続きはありません。
「……やっぱ原作通りか」
「何か言いましたか司令官?」
「いや、何もねぇよ」
火星宙域を航行している艦隊の司令官はそう呟いた。
「新型のワシントン型でどれくらい粘れるでしょうか?」
「……三十分も無理だろうな。ヤマトの装甲を貫いた敵ミサイルはかなりの代物だ」
傍らにいた副官が呟いたのを司令官はそう返した。
(全く……今度は俺も死ぬかもなぁ……ヤマトの世界に転生して二十と数年……彼女できなかったな……)
司令官は俗に言う転生者であった。しかも死亡率が高い宇宙戦艦ヤマトの世界に転生していた。
司令官は冥王星沖会戦からキリシマの乗員として軍歴を歩み、今では二十代で小規模の艦隊司令官となっていた。
ただ、艦隊と言っても旧式の部類になるドレッドノート型戦艦二、吉野型巡洋艦四、吹雪型駆逐艦八、無人戦艦六、無人巡洋艦十二と無人艦隊と組み合わせた艦隊である。
「司令官、土星宙域に向かった護衛艦隊が全滅しました」
「……そうか」
「ワープアウト反応!! 敵艦隊です!!」
「敵との遭遇時間は?」
「凡そ三百秒!!」
「砲雷撃戦用意!! 敵の侵略を一秒でも遅らせろ!!」
そして艦隊はディンギル艦隊と衝突するが数が多すぎた。
「戦艦インディアナ轟沈!!」
「巡洋艦リアンダー大破!! 航行不能!!」
戦闘開始から十分で艦隊はボロボロになっていた。
「敵ミサイル接近!! 命中します!!」
「……此処までか」
そこで司令官の意識は途切れた。次に気が付いたのは副官に起こされた時だった。
「生きてるだと? 敷島の損傷具合は?」
「大破です。航行しているのがやっとです。エンジンがやられていないのが幸いかと」
「他艦は?」
「巡洋艦八雲、駆逐艦朝潮、時雨、無人戦艦二、無人巡洋艦三隻がいます」
「……近くの惑星は?」
「火星です。ですが通信に応答がありません」
「呼び続けろ。とりあえず火星に向かおう」
火星へ向かう艦隊だが、火星はかなり変わっていた。
「火星に海だと……(まさか……)」
「火星から正体不明の艦隊接近!! ですが速度はかなり遅いです」
「メインパネルに映せ」
映し出されたのはヤマトの世界には存在しない艦隊だった。
(……まさかナデシコの木星蜥蜴の艦隊とはな……となると火星にはナデシコがいるのか?)
「敵艦発砲!! 重力波です!!」
重力波に一隻の無人巡洋艦が巻き込まれて轟沈した。
「全艦砲撃開始!!」
直ちに艦隊は木星蜥蜴艦隊を攻撃する。ショックカノンはディストーションフィールドをものともせずに突き破り撃沈させていく。木星蜥蜴艦隊を全滅させるのに三十分も掛からなかった。
「火星の様子はどうだ?」
「侵略……されてますな」
火星の地表には多数の虫型機械が火星の街を破壊していた。
「火星に降りる。奴等の目標を我々に向けさせる」
「司令官!?」
「とりあえずは助けよう。考えるのはそれからだ」
そして艦隊は火星一帯から木星蜥蜴を駆逐した。
「火星を救って頂きありがとうございます。ですが貴方方は一体……」
「……我々は時の漂流者……とでも言っておきましょうか」
そして司令官は決断する。
「木星蜥蜴から……火星を守りましょう」
現れるは木星蜥蜴とあの艦隊。
「間違いありません、あの時の艦隊です!!」
「(草壁の野郎……地球を潰すためならディンギルと手を結ぶのかよ)」
「司令官!?」
「拡散波動砲発射用意!! 奴等に風穴を開けてやる!!」
女神は誰の微笑むのかそれは神のみぞ知るのみである。
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