「お前、本気出してないだろ」
「っ…………」
「本気を出してないからあの時攻撃を受けたんだろ?」
突然の優也の発言に俺は思わず黙り込んでしまった。
「え、はぁ!? ちょ、ちょっと優也どういう事だよ? あれが本気じゃないって……」
「良いか? お前のホープって言うモンスターの攻撃時に伏せられていた“ゲーテの魔導書”……俺の兄が使ってたから覚えてるけど……アレには3つの効果がある。1つはデュエル中に見せた効果。そして2つ目には2枚の魔導書の魔法カードを除外してモンスターの表示形式を表側攻撃か裏側守備に変更させる効果。そして最後は3枚の魔導書の魔法カードを除外して発動出来る『相手のカードを除外する』という効果……」
「えっ……つ、つまり…………」
「あぁ、本来ならゲーテを発動させてホープを除外、もしくは裏守備にするのが定石だ。それなのに、大輔はゲーテを伏せカードバウンスに留めて、ホープの処理をわざわざジュノンで行った。それがどうも腑に落ちない……どういう意図なんだ?」
まさか、魔導書についてここまで知ってたのか……意外に優也ってやるんだな…………とりあえず、ここは素直にしとくか?
「何、折角“ダメージ・ゲート”を伏せてたんだ。だからそっちを使おうと思ってだな……」
「だからってわざわざ受けるか? もしも遊馬が何かしらの攻撃力上昇カードを使用していたらお前負けてたかも知れないんだぞ?」
「それだったらゲーテを使ってたさ。あの時、別に俺のライフに傷は入ってなかった。それに使われたとしても然程問題はない程度の誤差だ。そこからでも挽回は出来る」
俺は優也の問い掛けに微笑みつつ答えた。
まぁ、実際に俺はそう思っただけだし、嘘は言ってない。嘘と言えば遊馬のプレイングに少し合わせたってだけだし。
「……なら、俺とデュエルだ」
「え……?」
「俺と本気のデュエルをしろ。それでお前の手を抜いてないデュエルを見せてみろ」
…………なんか、バレてる? まぁ、知らない相手だし…………本気……出そうかな。俺は頷いて俺のガチデッキを手に取った。
「……分かった。なら、このデッキで戦おう」
「おっ、シーラカンスのデッキか?」
……遊馬はシーラカンスのデッキと勘違いしてるな。確かにアレも俺のガチに近いデッキではあるけれども……ガチデッキじゃない。
「行くぞ、優也!」
「来い、大輔! お前の本気見せてみろよ!!」
「「ディーゲイザー、セット。デュエルディスク、セット……デュエルターゲット、ロックオン!」」
『ARヴィジョン、リンク完了』
「「……デュエル!!」」
かくして、俺と優也のデュエルが始まった。先攻は……俺!
「俺の先攻、ドローっ!」
俺は初期手札とドローしたカードを見比べる……これは…………攻めれるけど、一度守備に徹した方が良さそうかな。
「俺はモンスターをセット、カードを伏せてターンエンド!」
大輔LP4000
手札4
場
???
伏せカード1枚
俺は1枚ずつ伏せるだけの、特にこれといった動きをせずにターンを終える。実際、この手札だとあまり動きづらいというイメージだから仕方ないな。
「行くぞ、俺のターン……ドロー!」
そして優也が一枚デッキトップからカードを引く。一体どんなデッキなんだ…………?
「俺は“切り込み隊長”を召喚するぜ! 更に切り込み隊長の効果で2体目の切り込み隊長を特殊召喚!」
切り込み隊長ATK1200×2
切り込み隊長が2体……切り込みロックか…………ロックバーンとかなのか? いや、ロックバーンにはちょっと緩い。ここはレベル3が2体と考えるべきか。ちょっと様子見しておこう。
「行くぜ……! 俺はレベル3の切り込み隊長2体でオーバーレイ!」
「エクシーズ……何が来る…………?」
ランク3でこの状況をどうにかするカードって言うとゼンマインとかが思い浮かぶが……
「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚! 来たれ、炎を纏いし戦士、“ラヴァルバル・イグニス”!!」
ラヴァルバル・イグニスATK1800
確か、イグニスは自己強化の効果を持ってたっけかな? 俺のセットモンスターを破壊しにかかってくるようだ。面倒だし、止めておくか。破壊されるくらいなら巻き添えにする。アイツの効果は相手ターンにも発動できるしな。
「リバースカード、オープン! “激流葬”! 特殊召喚に成功されたから場の全てのモンスターを破壊する!」
「なっ……このタイミング!?」
まぁ、確かにタイミングとしては驚くだろうな。普通ならレベル3が揃った時だし。でも、相手のセットモンスターの存在が不気味なだけに攻撃力補助のカードが無いと1200だと反射ダメージがある可能性が高いからここは自己強化能力を持つイグニスを出すかゼンマインで場を固めるか……この択になる。今回はゼンマインじゃなかったから相手の場を一掃出来たけど……ゼンマインだったらちょっと考えものだったな。あの耐性は厄介だし……
そして、場の状況に戻す。激流葬のお陰で相手のエクシーズモンスターは倒せた。そして俺の場で破壊されたのは……
「俺は破壊されて墓地に送られた“ゴブリンゾンビ”のモンスター効果を使う。デッキから守備力0の“ゾンビマスター”を手札に加える」
ゴブリンゾンビは普通のリクルーターと違って破壊されただけで発動するから結構重宝する。
「…………俺は手札を4枚セットしてターンエンドだ!」
優也LP4000
手札0
場
伏せカード
伏せカード
伏せカード
伏せカード
ありゃりゃ……ガン伏せかよ…………攻めづらいってもんじゃねぇぞ……しかも大嵐入れてねぇし…………とりあえず、引いてから考えるか。
「俺のターン、ドロー」
手札5→6(内“ゾンビマスター”)
ふむ……まぁ、これなら少々損害を受けても問題はない…………か?
「俺は“ゾンビ・マスター”を召喚!」
ゾンビ・マスターATK1800
「さっきサーチした奴か。となるとアンデットデッキか?」
ふむ……頭脳はマシなデュエル脳……ってとこか?
「まぁ、半分正解……だな」
「なに……!?」
「半分正解って……どういうことだよ?」
「確かに俺のこのデッキはアンデットが入ってる……が、純アンデットデッキではない…………って訳だ。俺はゾンビ・マスターのモンスター効果を発動。手札を1枚墓地に送って俺のまたは相手の墓地からレベル4以下のアンデットを特殊召喚する。俺は手札の“紋章獣 レオ”を墓地に送って“ゴブリンゾンビ”を特殊召喚する!」
ゴブリンゾンビATK1100
「な……!? <<紋章獣>>……!? 何なんだ、そのモンスターは…………!」
「なんだっ!? 初めて見るぜっ!」
流石に優也も紋章獣は初めて見たようだ。遊馬達も、当然だが初めて見るみたいだし。
「このデッキ……【紋章アンデット】は俺の本気のデッキだ。コイツを使うからには、絶対に負けない! 紋章獣レオのモンスター効果! コイツが墓地に送られた時、タイミングを逃さずデッキから紋章獣をサーチして手札に加える事が出来る! デッキから……“紋章獣エアレー”を手札に」
手札4→5(内“紋章獣エアレー”)
「すげぇ……大輔の奴、手札を減らさずに自分の場を整えているぜ……!」
「……行くか。手札の“紋章獣アンフィスバエナ”のモンスター効果。手札からこいつ以外の紋章獣モンスター……“紋章獣ツインヘッドイーグル”を捨てて……特殊召喚!」
紋章獣アンフィスバエナATK1700
「っ……」
「まだまだ! 俺は魔法カード“蘇生紋章”を発動! 墓地の紋章獣レオを蘇らせる!」
紋章獣レオATK2000
「レベル4で攻撃力2000!?」
「レオは召喚したターンのエンド時に自壊するが……これは特殊召喚だからこの効果は意味を為さない。更に俺の場に紋章獣が2体以上いる……よって“紋章獣エアレー”は特殊召喚出来る!」
紋章獣エアレーATK1000
あっという間に俺の場にモンスターが出揃った。うん、清々しい展開力だな。
「すげぇ……シャークの時と同じであっという間に場を整えやがった…………!」
「スゴい……!」
「あぁ……大輔には、挑んでも勝てそうにねぇな…………」
遊馬は相変わらずだな。小鳥もビックリしているみたいだし、鉄男は俺とデュエルしても勝てそうにないとか言ってるか…………そして、肝心の優也はってぇと……
「へっ……面白れぇ! 互いに展開力勝負って訳か。良いぜ! 掛かって来いよ!」
…………まさか、デュエル馬鹿なのか? いや、少なくとも優也は遊馬よりは頭は良さそうだ。
まぁ……どっちにせよ、俺は全力で挑む!
大輔「今回は前回のデュエルで俺が出し渋ったモンスターの説明、だっけ?」
作者「そうだね。感想欄で気になってる人がいたからね。こんな質問とか要望もできる限り応えようかなと思ってるから。今回は剣聖龍さんからの要望に応えるつもりだよ」
大輔「前回出そうと思ったのはこいつだね」
アルケミック・マジシャン
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/魔法使い族/攻1500/守1500
魔法使い族レベル4モンスター×3
このカードの攻撃力は自分の墓地の魔法カードの数×200ポイントアップする。
また、自分のエンドフェイズ時に1度、
このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、
手札を1枚墓地へ送って発動できる。
デッキから魔法カードを1枚選び、
自分の魔法&罠カードゾーンにセットする。
(遊戯王カードWiki参照)
大輔「サモプリの効果で魔法カードを墓地に送ってブレイカーを引っ張ってきて、こいつをエクシーズ召喚。ヒュグロ・アルマを発動して攻撃力を上昇させてアルマでラメイソンを除外ゾーンから手札に加えて上書き発動。これで墓地の魔法カードは最低でも8枚。ヒュグロと自身の効果、エトワールの効果分を合わせれば4800となる。こいつの効果を合わせれば攻撃力5000を超えるって寸法だね」
作者「こんな風に作中で気になったことがあれば質問・要望はじゃんじゃん受け付けます!取り入れるかはその時の気分しだいにはなりますが、基本は全部受けていこうと思います。勿論、コラボ受付も致します。基本的には2015年3/3の活動報告欄にて受け付けますのでぜひ、お気軽にお申し付けください!」