遊戯王ZEXAL 知られざる八人目の七皇   作:瑞田高光

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いよいよ、「遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~」とのコラボも最終話となりました。

この場を借りて改めてお礼を申し上げます。






不知火新夜さん、今回のコラボをお受けしていただいて、本当にありがとうございました!!同時更新の提案を受けていただいて本当にありがとうございました!!大輔は『完全決闘者』には勝てなかったけど、とても楽しかったです!
では、最終話、どうぞ!!!!


CNo.EX10 デュエリスト同士の交流

 もう少しで勝てそうだったんだけどなぁ……俺は軽く息を吐きながらデュエルフィールドが解除された部屋の天井を見上げた。

 

「ガッチャ! 楽しいデュエルd……あべし!?」

 

 すると、突然スパァンと綺麗な音が聞こえてきて、そちらを見ると……赤髪ツインテで青い半球状の髪飾りで透き通った青色の眼の少女の持つハリセンが遊矢の頭に綺麗にヒットした音だった。

 

「遊矢! 一体全体なんであんな事仕出かしたの!?」

 

「いやぁ、狙いのアクションカードが空高くにあったし、空飛べるモンスターがいなかったからつい」

 

「つい、じゃないわよ遊矢! 怪我でもしたらどうするの!?」

 

「悪い、柚子。極力気を付けるよ」

 

 えーと、何があったのかな? まさかだけどデキてる系か? この2人……

 

「じゃあ改めて大輔。ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ! でも、あの舐めプは頂けないな」

 

 あ、やっぱり怒ってた……俺としては慎重になりすぎてた……としか言えないけど、言い訳になるか。俺は遊矢の言葉に苦笑いをしつつ返した。

 

「ああ、あれか。舐めプしたつもりは微塵も無かったんだが…言い訳だったな、すまん。でもこちらこそ、楽しい物だな、アクションデュエルって」

 

 俺は遊矢と健闘をたたえ合い、アクションフィールドを後にした。その後に遊勝塾生達によるさっきホープにさせたハンマー投げに関する突っ込みが遊矢を襲ったのは、言うまでも無い。

 

 

 

 

 

「成る程な、やっぱりOCGからZEXALの世界に転生したのか。それにしても『異端な存在だから』って理由でZEXALの世界に転生されたとか、それはまた斬新な…」

 

「まあな。そっちはそっちで武藤(むとう)遊戯(ゆうぎ)にこそ転生していなかったとは言え、それ以外は俺の想像通り、遊戯王シリーズの全主人公を経験していたとはな。『遊戯王シリーズの主人公に転生し続ける』って特典も、そうそう無いんじゃないか? 増してやずっと『強くてニューゲーム』状態って…」

 

『こう聞くと神様転生といっても、色んなシチュエーションがあるね。まあ転生前の世界での『都合あわせ』的な面は何処も一緒みたいだけど』

 

 遊矢の転生人生を聞いてみれば、やはりというべきの結果だった。初代主人公の千年パズルとか、それっぽいのが見当たらないからどうだったのかと思えば流石に違ったようだ。

 転生の経過からすれば互いに違うルートだった訳だけど……結果としては同じ。その全てが元の世界にとってイレギュラー、つまり『不都合な事態』に対する回答的な物になっている、ということだ…………まさかとは思うけど俺のいる世界の遊馬も……いや、流石にない、か?

 

『ガイア? 『暗黒騎士ガイア』カテゴリの事か?』

 

 急にどうした、アストラル……ガイアって何だよ……遊矢が何か言ってたのかな? 思考モードに入ると人の話があまり聞けなくなるのは昔からの悪い癖だからな……いい加減に直さないと。

 

「にしても、大輔をこの世界に呼びよせたあの白紙のカード、一体なんだろうな。そろそろ零児が向かわせた関係者が此処に来る頃だし、その時に分かればいいか」

 

「ん、零児? ああ、さっき遊矢が言っていた、この手の方面で詳しい知り合いって奴か?」

 

 遊矢の言葉に思わず反応する。俺もWDCの予選があるから早く戻りたいんだよな……今は3つだし、早く残り2個集めたいんだよな……

 

「ああ。赤馬零児、この世界において、アクションフィールド等といったデュエル関連機材の開発・製造を手掛ける大手企業レオ・コーポレーションの社長で、プロデュエリストなんだ。傘下にLDSっていうデュエルスクールも持っていて、刃も元々其処の出身なんだぜ」

 

 ……WHAT?

 

「デュエル関連の大手企業の社長!? 傘下にデュエルスクール!? 海馬社長みたいな感じか!?」

 

 だってそうだろ、デュエル関連の大手企業社長でデュエルアカデミアのオーナーだし……まぁ、俺も一応海馬しゃっちょとはそこそこ仲良い(?)けど……

 

「ま、まあその認識で合って、るか?」

 

『合っていると思うよ。あのブルーアイズ命の社長も、デュエル関連事業の大手企業の社長で、デュエルスクール、というかデュエルアカデミアのオーナーだし』

 

 遊矢がたしかにそうだな、と納得していると……

 

「遊矢、お客さんだ。何でもレオ・コーポレーションの社長さんからの命で来たそうだ」

 

「お、噂をすればなんとやらって奴だな。分かったぜ塾長、今行く。大輔」

 

「分かった。じゃあ行きますか!」

 

 どうやら良いタイミングで到着したらしく、大輔の声かけに応じて向かう。

 

「榊遊矢様と、七穂氏大輔様ですね。社長がお待ちです。どうぞこちらへ」

 

「はい、了解しました」

 

「分かりました」

 

 其処に待っていた黒服の人、遊矢が言っていたLDSの人物だろう……その人の案内に応じて俺達は車に乗り込み、一路LDSへと向かった。

 

 

 ……あ、そうだ。遊矢のデッキってどんな感じになってるんだろ、気になるな。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そうそう遊矢、色々と気になったんだけどさ、さっきのデュエルで使っていたホープデッキ、見せて貰っても良いか?」

 

「ん? ああ、良いぜ。そうだ、大輔も見せてくれよ」

 

「分かった、良いぜ」

 

 というわけで遊矢に頼んで、俺達はデッキを見せ合う事になった。遊矢が使っている【オノマトペホープ】、どんなデッキ構成になっているのかな……

 

「うぉ、このメインデッキ、少し厚いんじゃないか? 下限の40枚を超えているみたいだが」

 

 ん、あぁ……そういや俺のデッキってほとんど40枚ジャストってのが無いんだよな…………

 

「確か45枚かな? まあこれでも減らした方なんだけどな、ちょこちょこ入れていた奴を外してさ」

 

「これで、か。ちなみにどんなカードを入れていたんだ?」

 

「ざっと挙げると、“オーバーレイ・イーター”だろ、“テイク・オーバー5”だろ、“ダブル・アップ・チャンス”に“地獄の暴走召喚”、それから……」

 

「ああ、成る程。そっちの世界の『俺』とかカイトとかの対策に良さそうな奴だな。それにしても“テイク・オーバー5”は墓地肥やしとして中々良いと思うけどな。ネクロ・ガードナーが入って無いんだし、エンドサイクとかで使う事無く除去されそうな“針虫の巣窟”より良いんじゃないか?」

 

 いや、確かにな。でも、このカードって墓地にあると墓地肥やしが出来ないし、何より……

 

「それなんだけどさ、どうも最近その落ち方が良くないんだよ。“死者蘇生”が何連続も落ちてさ……」

 

 ちょっと、落ち方がとても悲しいからな、仕方ない、うん……しかも遊馬とテーブルデュエルをしてるときにも、なんだよなぁ……ちょっと泣けてくる。

 

「ひょっとして大輔、“貪欲な瓶”ってカードを知らないか?」

 

 貪欲な瓶って言うと……確か遊矢のデッキにもあったような…………それに、他にも使ってるやつが居たような……

 

「ああ、これか。一応知っているけど、余り入れようとは思わないな。紋章獣の大半やアンデッドモンスター達は墓地に落ちていてナンボだし」

 

「でも魔法や罠カードを、デッキを通してとは言え即座に回収できるのは強いと思うぜ。俺、今使っているデッキ達の殆どに制限カードを結構積んでいるから重宝するんだよ。ライブラリアウトするかどうかって場面で使えば戻したカードを即ドローするって事もしょっちゅうだし」

 

 それは十代ドローを経験しただけじゃね? 3積みのならともかく……ピン刺しをそう簡単に即ドロー出来るとは思えねぇ…………

 

「やっぱ“ハーピィの羽根帚”がピン刺し、一体こっちでの禁止制限はどうなっているんだ……ん? RUMはクイック・カオスだけなのか」

 

 意外だな……リミテッドとかヌメロンとか入れてると思ったんだが…………

 

「ああ。速攻魔法のRUMなんてそう無いだろ? 俺のデッキは“希望皇ホープ”を出してナンボだし、ベストなのはコイツかと思ってさ」

 

 ふ~ん……あれ、エクストラ…………

 

「あれ? エクストラデッキはNo.39しか無いのか。ホープ・ドラグーンとかホープ・ゼアルは無いのか?」

 

「アイツら“希望皇ホープ”じゃないからな。ホープ・カイザーは出す意味が薄いし」

 

 ホープ・カイザーやホープ・ドラグーン、ホープ・ゼアルは涙拭けよ…………

 

「ヲイヲイ、それで良いのか?」

 

「そういう大輔こそ、紋章No.はプルートだけなんだな。ゲノム・ヘリターとかコート・オブ・アームズとかどうしたんだ?」

 

 入れたいよ? めちゃくちゃエクストラに入れたいよ?

 

「ああ、それだけどさ、ZEXALの世界で紋章獣を使っているのは俺だけじゃない、トロンもいる。今遊矢が挙げた奴は元はと言えばトロンのNo.だろ? それと辻褄を合わせる為じゃないか?」

 

「成る程な」

 

 俺と遊矢が、互いのデッキ構成に対してああだこうだと持論を述べている中、俺達を乗せている車は順調にLDSへの道を進んでいた……

 

 

「初めまして。遊矢から話はあったと思うが、此処レオ・コーポレーションの社長を務めている、赤馬零児だ。宜しく頼む」

 

「七穂氏大輔です。宜しくお願いします」

 

「さて、早速だが君をこの世界へと転移させたと言う、真っ白なカードを見せては貰えないか?」

 

「はい、これです」

 

 LDSへ到着し、ある場所に連れてこられると……一部が白い銀色の短髪で赤い眼鏡とマフラーを身に付けている青年(この人物が赤羽零児と思われるが……パッと見16くらいか? 若い社長やな……)がおり、赤羽零児との自己紹介もそこそこに、俺は零児にあの白紙のカードを見せた。

 

「ふむ、カードフレームを見るとシンクロモンスターの様だが、遊矢が持っているペンデュラムモンスターの様に、カードフレームが変わる可能性もある。カードの種類も現状では判別しがたいな」

 

「ペンデュラムモンスターと言うと、確か魔法カードとしても使えるモンスターカード、でしたっけ?」

 

「ああ、まだこちらの世界でも実用化されるかされないかといった段階の、カードの種類だが。それにしても良く知っているな、君がいた世界では実用化されているのか?」

 

 へぇ、そうなんだ、話を聞いてる限りではてっきり普及してるものかと思ったが……

 

「いえ、此処とは別の異世界で、それを使うデュエリストがいたので」

 

 それにしても、意外だな……普及しきってないんだ……

 

「何にしても、詳しく解析してみないと話は進まない。其処で、そのカードの召喚エネルギーを計って見ようと思う。急で済まないが、目の前のアクションフィールドに入っては貰えないか?」

 

「あ、はい。分かりました」

 

 召喚エネルギーとは、赤羽零児曰く、カードが持つ力が現実世界に干渉する際に発生するエネルギー、との事。そのエネルギーの『性質』によって、シンクロ召喚やエクシーズ召喚、融合召喚や儀式召喚、果てはペンデュラム召喚の判別も可能だとか……なるほど、分からん。まぁ、本人もわかってないらしいし、気にしたら負けだな、うん。そして、それを計測して、あの真っ白なカードがどの様な種類か判別出来ないかという赤羽零児の提案に乗り、俺はアクションフィールドへと入っていく。

 

 

「はい、スタンバイOKです」

 

『了解した。それでh……む、どうした!?』

 

 俺がオーケーを出した途端、何か警報が鳴り始めた……何があったんだ?

 

『社長、緊急事態です!あの白いカードから膨大な召喚エネルギーの反応が!』

 

『だ、大輔!?そっちは大丈夫か!?』

 

「わ、分からない!一体何が、こ、この穴はまさかさっきと同じ……」

 

 突如としてあの真っ白なカードから強烈なエネルギーと共に眩しい光が発生し、俺はふっと意識を失った。意識を失う前にこの世界に来た時に見た穴を確認していた……

 

 

 

 

 

「う、うぅ……あれ、ここは…………」

 

 俺が気が付くと、そこは俺の家のカード部屋だった。どうやら、無事に戻っては来れたらしい……

 

『マスター、大丈夫ー?』

 

「プルート……あぁ、大丈夫だ」

 

 プルートも無事に一緒に戻ってきてたらしい。ふと、手に持っていたカードを見ると……

 

「えっ!?」

 

 見えた光景に驚いて俺が腕で目をこすって再びカードを見ると……最初のままだった。

 

「…………気の、せい……か?」

 

 まさか……な。さっき見えたのは気のせいだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このカードが……No.のカードで……しかも、○○○○○○なんてな。


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