宍戸丈の奇天烈遊戯王   作:ドナルド

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第47話  鉄壁

宍戸丈 LP3600 手札5枚

場  

伏せ 1枚

 

丸藤亮 LP2600 手札3枚

場 キメラテック・オーバー・ドラゴン(攻撃力3200)

伏せ 2枚

 

 

 

 

「亮お前のターン終了宣言の前に俺はこの速攻魔法、終焉の焔を発動する。二体の黒焔トークンを場に特殊召喚」

 

 

 

【終焉の焔】

速攻魔法カード

このカードを発動するターン、

自分は召喚・反転召喚・特殊召喚する事はできない。

自分フィールド上に「黒焔トークン」

(悪魔族・闇・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。

このトークンは闇属性モンスター以外の生贄召喚のためには生贄にできない。

 

 

 

 これで再び二体の生贄要因が確保された。

 

「そして俺のターン!」

 

 ライフは丈が勝っているが、形勢は亮に有利だ。キメラテック・オーバー・ドラゴンの攻撃力は3200であり、丈のデッキに入っている最上級モンスターの殆どは3000が精々。まともな相手とのデュエルでは攻撃力3000越えのモンスターなど早々には出ないため、大抵は最上級モンスターを展開すれば押し切れたのだが、馬鹿火力にかけては天下一品の亮を相手するとなると攻撃力3000など気休めにもならない。パワー・ボンドやリミッター解除を駆使して、攻撃力10000オーバーくらいなら軽くやる男なのだ。丸藤亮というデュエリストは。

 

(だが……戦闘破壊が出来ないなら別の方法でフィールドから退場させるだけだ)

 

 デュエル前にデッキを調整しておいて良かった。お蔭でこういう絶体絶命の危機にも対応できる。

 

「二体の黒焔トークンを生贄に捧げ、ヘル・エンプレス・デーモンを攻撃表示で召喚!」

 

 

 

【ヘル・エンプレス・デーモン】

闇属性 ☆8 悪魔族

攻撃力2900

守備力2100

このカード以外のフィールド上で表側表示で存在する

悪魔族・闇属性モンスター1体が破壊される場合、

代わりに自分の墓地に存在する悪魔族・闇属性モンスター1体を

ゲームから除外する事ができる。

また、フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、

「ヘル・エンプレス・デーモン」以外の

自分の墓地に存在する悪魔族・闇属性・レベル6以上のモンスター1体を

選択して特殊召喚する事ができる。

 

 

 

 エロティックな雰囲気を漂わせた女性悪魔が、髑髏の装飾をした槍を真っ直ぐに亮へと向けた。攻撃力はキメラテック・オーバー・ドラゴンの3200には惜しくも及ばない2900。

 

「そして魔法カード、融合解除!」

 

 

 

【融合解除】

速攻魔法カード

フィールド上に表側表示で存在する

融合モンスター1体を選択してエクストラデッキに戻す。

さらに、融合デッキに戻したそのモンスターの融合召喚に使用した

融合素材モンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、

その一組を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

 

 

 

「融合解除……そうか、考えたな」

 

 納得がいったというように、亮が口の端を釣り上げる。

 

「キメラテック・オーバー・ドラゴンはオーバー・ロード・フュージョンの効果で墓地融合したモンスター。そして融合解除は融合モンスターを融合デッキに戻し『墓地にある融合素材一組』を場に特殊召喚するカード。だがキメラテック・オーバー・ドラゴンの素材は除外されていて墓地にはない。ジ・エンドだ」

 

 キメラテック・オーバー・ドラゴンがフィールドから消失する。その後には何も起こらない。がら空きのフィールドだけが残った。

 亮の残りライフは2600。ヘル・エンプレス・デーモンの攻撃が通れば、丈の勝利だ。

 

「見事だ。そう言う他ない。ここまで心躍るデュエルも、これほどスリルのあるデュエルも生まれ初めてだ。だが忘れていないか? 俺はまだ俺が信じる最高のモンスターを召喚してはいないッ! リバースカード、オープン! 異次元からの帰還!」

 

 

 

【異次元からの帰還】

通常罠カード

ライフポイントを半分払って発動する。

ゲームから除外されている自分のモンスターを

可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する。

エンドフェイズ時、この効果で特殊召喚した全てのモンスターは

ゲームから除外される。

 

 

 

「フィールドに三体のサイバー・ドラゴンを特殊召喚、そして速攻魔法発動。瞬間融合!」

 

 

 

【瞬間融合】

速攻魔法カード

このカードはバトルフェイズ中のみ発動する事ができる。

自分フィールド上から、融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、

その融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

 

 

 

「三体のサイバー・ドラゴンを瞬間融合。降臨せよサイバー・エンド・ドラゴンッ!」

 

 

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

光属性 ☆10 機械族

攻撃力4000

守備力2800

「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」

このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。

このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、

その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 

 

 

 遂に。遂にサイバー流正統後継者の証にして、サイバー流が誇る最強のモンスターであるサイバー・エンド・ドラゴンが召喚された。

 亮の友人としてサイバー・エンドの雄姿は何度も見てきているが、こうして一世一代の晴れ舞台で敵として相対すると威圧感も三倍はした。

 

 

(駄目だ。俺の手札にサイバー・エンドを倒すカードはない)

 

「……ターン終了だ」

 

「俺のターン、天使の施し発動。三枚ドローし二枚捨てる。魔法カード発動、魂の解放!」

 

 

 

【魂の解放】

通常魔法カード

お互いの墓地のカードを合計5枚まで選択し、

そのカードをゲームから除外する。

 

 

 

「俺は丈の墓地から三体のレベル・スティーラーと闇の侯爵べリアル、神獣王バルバロスを除外!」

 

「くそっ!」

 

 サイバー・エンド・ドラゴンが召喚されたのみならず、レベル・スティーラー三体の墓地アドバンテージまで失ってしまった。しかも特殊召喚可能な悪魔族モンスターであるベリアルが失われたことにより、ヘル・エンプレス・デーモンの効果を使う事も出来なくなってしまった。

 

「魔法カード、デビルズ・サンチュクアリ発動。メタル・デビル・トークンを召喚。それを生贄に人造人間サイコ・ショッカーを召喚! バトルだ。サイバー・エンド・ドラゴンでヘル・エンプレス・デーモンを攻撃、エターナル・エヴォリューション・バーストッ!」

 

「うわぁぁぁ!」

 

 宍戸丈 LP3600→2500

 

「更にサイコ・ショッカーで直接攻撃、サイバー・エナジー・ショック!」

 

 宍戸丈 LP2500→100

 

「ぅぅぅぅぐぅぅぅあぁぁぁぁぁぁあああッ!」

 

 二体のモンスターの総攻撃で丈のライフは限界にまで追い詰められた。

 残りの数値は僅か100。後一回でも戦闘ダメージを受ければそのままゲームエンドになってしまうだろう。

 

『ここでぇぇ! ここでなんと!! カイザー亮!! 宍戸丈のライフを残り100にまで追い詰めたぁぁぁぁああッ! そしてカイザー亮のフィールドにはサイバー流最強モンスターであるサイバー・エンド・ドラゴンと罠封じのサイコ・ショッカー! 魔王、遂に討たれる時がきたのかッ!?』

 


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