宍戸丈の奇天烈遊戯王   作:ドナルド

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第182話  王者の鼓動

宍戸丈 LP1300 手札3枚

場 なし

 

シグナー LP3700 手札4枚

場 邪神トークン、輝白竜ワイバースター

 

 

 

 いきなりフィールドのリセットに二体のモンスターを特殊召喚の流れには驚愕したが、前に何度かシンクロ召喚を目の当たりにしていたことも手伝って丈は直ぐに平静さを取り戻す。

 生け贄や融合といった古くからの『ルール』を扱うデュエリストとして、そう易々と新しいシステムにやられるわけにはいかない。故にここから巻き返す。

 

「次は俺のターンだ、ドロー! E・HEROエアーマンを召喚、効果によりデッキからE・HEROブレイズマンを手札に加える! このままバトルフェイズへ移行。E・HEROエアーマンで邪神トークンを攻撃だ」

 

『……邪神トークンは撃破される』

 

 シグナーLP3700→2900

 

 エアーマンの攻撃力はサーチ効果つきの下級モンスターとしては優秀な1800。攻守が1000の邪神トークンはあっさりと破壊された。〝邪神〟の名を冠していても、カードが違えばこんなものだ。

 これでモンスターを一体撃破したが、シグナーのデッキはシンクロ召喚を主軸とするもの。ワイバースターを残したままターンを譲れば、連続シンクロ召喚を仕掛けてくるかもしれない。そうなればエアーマン一体では耐え切れない。

 そうはさせないためにも更なる一手を加える。

 

「速攻魔法発動、マスク・チェンジ! 俺の場のHEROを墓地へ送り、同じ属性のM・HEROを呼び出す。エアーマンを墓地へ送り、M・HEROカミカゼを場に変身召喚する!」

 

 

【M・HEROカミカゼ】

風属性 ☆8 戦士族

攻撃力2700

守備力1900

このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードは戦闘では破壊されない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

相手はバトルフェイズにモンスター1体でしか攻撃できない。

(3):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。

自分はデッキから1枚ドローする。

 

【マスク・チェンジ】

速攻魔法カード

自分フィールド上の「HERO」と名のついた

モンスター1体を選択して発動する。

選択したモンスターを墓地へ送り、

選択したモンスターと同じ属性の「M・HERO」と名のついた

モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。

 

 

 白いマントをたなびかせ、仮面のヒーローが場に出現した。

 緑色のヒーローが全身から放つのは、外敵の侵略を跳ね返し日輪に勝利を齎す神の息吹き。その信仰は決してシグナーの伝説に負けるものではない。

 

「これはバトルフェイズ中の特殊召喚のため、M・HEROカミカゼには攻撃権がある。M・HEROカミカゼの追撃、ワイバースターを破壊せよ! 神風アタック!!」

 

『……っ!』

 

 シグナーLP2900→1900

 

 邪神トークンに続いて、ワイバースターをも破壊した。これでシグナーのフィールド上のモンスターは全滅である。

 それにもう一つ。カミカゼが相手モンスターを破壊した時、カミカゼの特殊能力が発動した。

 

「カミカゼの効果だ。デッキから一枚ドローさせてもらう」

 

『私もワイバースターの効果を使う。ワイバースターがフィールドから墓地へ送られた時、デッキの暗黒竜コラプサーペントを手札に加える』

 

「バトルフェイズを終了し、メインフェイズ2。リバースカードを二枚セットする。ターンエンドだ」

 

『……ドロー。このカードは私の場にモンスターがおらず、相手の場のみにモンスターがいる場合、ステータスを半分にして特殊召喚できる。バイス・ドラゴンを守備表示で特殊召喚。』

 

 

【バイス・ドラゴン】

闇属性 ☆5 ドラゴン族

攻撃力2000

守備力2400

1):相手フィールドにモンスターが存在し、

自分フィールドにモンスターが存在しない場合、

このカードは手札から特殊召喚できる。

この方法で特殊召喚したこのカードの元々の攻撃力・守備力は半分になる。

 

 

 サイバー・ドラゴンと同様の条件で特殊召喚されたバイス・ドラゴンは、ステータスが半分となって攻撃力1000、守備力が1200となる。

 この戦況ではバイス・ドラゴン単体ではステータスの貧弱な壁にしかならないだろう。けれどシンクロデッキにおいてはそうではない。

 シンクロデッキにとって通常召喚権を行使せずに、シンクロ素材となるレベル5モンスターを呼び出せることは非常にありがたいことなのだ。

 

『更に私はチューナーモンスター、ダーク・リゾネーターを召喚する』

 

 

【ダーク・リゾネーター】

闇属性 ☆3 悪魔族 チューナー

攻撃力1300

守備力300

このカードは1ターンに1度だけ、戦闘では破壊されない。

 

 

 1ターンに1度だけの戦闘耐性を備えた、小さな悪魔族であるダーク・リゾネーター。バイス・ドラゴンのレベルを合計した数値はブルーアイズと同等のレベル8だ。

 沸き立つ血潮。シグナーのエクストラデッキに眠る力の権化ともいえる竜が長きに渡る眠りより目を覚ます。

 

『レベル5、バイス・ドラゴンにレベル3、ダーク・リゾネーターをチューニング』

 

 ☆5 + ☆3 = ☆8

 

 ダーク・リゾネーターが手にもっているもので音楽を奏でると、バイス・ドラゴンと共に光へ吸い込まれていった。

 光の輪はこれから招かれる悪魔の竜に反応してか激しく回転していき、やがて爆発する。

 

『王者の鼓動、今ここに列を成す! 天地鳴動の力を見るがいい! シンクロ召喚! 垣間見よ、シグナーの力! レッド・デーモンズ・ドラゴンッ!』

 

 

【レッド・デーモンズ・ドラゴン】

闇属性 ☆8 ドラゴン族

攻撃力3000

守備力2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードが相手フィールド上に守備表示で存在するモンスターを攻撃した場合、

そのダメージ計算後に相手フィールド上に守備表示で存在するモンスターを全て破壊する。

自分のエンドフェイズ時にこのカードがフィールド上に表側表示で存在する場合、

このカード以外のこのターン攻撃宣言をしていない自分フィールド上のモンスターを全て破壊する。

 

 

 ブラック・ローズ・ドラゴンが情熱的なまでの愛を感じさせたのならば、レッド・デーモンズ・ドラゴンが全身から発するのは激烈な王者の覇気そのものだった。

 正しく王たる者こそが扱える、王者のカード。例え同朋であろうとも、この誇り高き竜は王器なき者に傅くことはあるまい。

 

(レッド・デーモンズ・ドラゴンの攻撃力は3000。だがカミカゼは戦闘では破壊されない耐性をもっている上、俺の場にはミラーフォースがある。レッド・デーモンズ・ドラゴンが攻撃してきた瞬間、ミラーフォースを発動。レッド・デーモンズ・ドラゴンを破壊して、次のターンのカミカゼの攻撃が通れば……)

 

『ふんっ! 大方けち臭いリバースカードで私の攻撃を防ごうという算段だろうが温いわ! レッド・デーモンズ・ドラゴンのパワーの前にチャチな伏せカードは無力! 魔法発動、クリムゾン・ヘル・セキュア! 私の場にレッド・デーモンズ・ドラゴンがいる時、相手の場の魔法・罠を全て破壊する!』

 

「!」

 

『消え失せろ!!』

 

「ただでは転ばん。永続罠、リビングデッドの呼び声! 墓地よりカードガンナーを蘇生する。リビングデッドの呼び声はクリムゾン・ヘル・セキュアによって破壊され、カードガンナーもリビングデッドの呼び声と同じ末路を迎える。しかしカードガンナーの効果で俺はカードを一枚ドローする」

 

『狡い小細工は終わりか? ならばバトル! レッド・デーモンズ・ドラゴンの攻撃、アブソリュート・パワーフォース!』

 

「M・HEROカミカゼはバトルでは破壊されない!」

 

『だがダメージは受けて貰う』

 

 宍戸丈LP1300→1000

 

 レッド・デーモンズ・ドラゴンの繰り出してきた灼熱の拳撃を、カミカゼはどうにか耐えきった。

 カミカゼはステータスも高いので、受けたダメージも微々たるものである。やはりカミカゼは守りにおいて頼りになるカードだ。

 

『メインフェイズ2。カードを二枚セット、ターンエンドだ』

 




 社長→カイザー→十代→遊星…………お分かり頂けただろうか?
 過去キャラをイメージしたストラクが発売される中、元キングが華麗にスルーされているのだ。満足同盟の中で唯一特定のカテゴリーを使わないジャック。カテゴリーじゃないからといって別に種族で統一されているわけでもないジャックのデッキ。だけどリゾネーターを使いまくったことで、カテゴリー化したリゾネーター。ストラクではまだOCG化していないリゾネーターや、新規リゾネーターが出ると思ったのにスルーされた元キング。そして漸く元キングのストラクが出ると思ったらまさかのガセネタ。
 答えろコン○イ! 一体ジャックがなにをしたというんだ!?

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