双六で人生を変えられた男   作:晃甫

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 やっとこさ登場シャルラウラさん。


#16 娘と嫁

 

 あのクラス対抗戦から幾許か月日は流れ、今日は六月の第一週の日曜日。

 生徒たちは部活動に勤しんだり、外出届けを出して近くのショッピングモールへと出掛けたりと思い思いの休日を堪能していることだろう。一夏も昨日外出届けを提出しているので、今頃は五反田の家にでも出向いているのかもしれない。ここ数ヶ月ずっと女子ばかりに囲まれての生活を強要されてきたので、たまには男友達と騒ぎたいのだろう。その気持ちは痛いほど分かる。

 

「それにしても、もうこんな時期なのか」

 

 ふと窓から外に視線を向ける。

 別に季節が移り変わって行くことを言っている訳ではない。いや、確かにもうじきやって来る梅雨は正直好きではないが。俺が言っているのは、原作の時系列のことだ。俺や織村、それに四人目とかいうイレギュラーが存在することで大筋の原作からはかなり外れてしまっているように思えるが、どうやらこの辺りは原作通りに話が進むらしい。

 パラ、と手元に置かれた書類を捲る。

 それは、とある生徒たちの転入を記載したものだった。一枚目には金髪の少女、二枚目には銀髪の少女のデータが顔写真と共に記載されている。

 

「シャルロット・デュノアにラウラ・ボーデヴィッヒか……」

 

 自分で淹れたコーヒーを一口含んで、青空の広がる外の景色から書類へと視線を移す。うん、やっぱりコーヒーは真耶に淹れてもらったものが一番美味いな。自分で淹れたものはなんというか、コクが足りない気がする。今度そのあたり聞いてみよう。

 正直なところ、この二人とは何度か面識があったりするので初対面特有の緊張はない。寧ろ二人共俺によく懐いてくれていると思うくらいだ。彼女たちと会ったのは今からもう数年前の話なので、どのくらい成長しているのか会うのが楽しみではある。

 

「楽しみは楽しみなんだけど……、また原作通りにこんなのやるんだよなぁ……」

 

 二人の書類の隣、少し分厚い書類の束を、忌々しそうに持ち上げる。そこに書かれていたのは今月の末に毎年開催されている学年別個人トーナメントを多少変則的に行うというものだった。因みに、書類の文頭に決定事項であることがばっちりと赤字でプリントされている。

 ということは恐らく、また面倒な事が起こる。間違いなく一夏絡みで。というか、ラウラも巻き込んでか。

 

「あの二人を戦わせなけりゃいい話なのか? 多分そこまで仲悪くないよな」

 

 原作通りに話が進まないことを願いつつ、俺は残ったコーヒーを一息に飲み干す。原作ではラウラは千冬の顔に泥を塗った一夏のことを憎んでいた訳だが、この世界では一夏の誘拐は未遂で終わっている。千冬の棄権までは変えられなかったが、その場にはラウラも居たのだ。そこまで感情を顕にしていなかった所を見るに、然程心配しなくてもいいように思える。

 第二回モンド・グロッソ。ラウラが歪んでしまった原因があるとすればそれ以外に見当つかないが、そのモンド・グロッソでの誘拐事件は水面下で解決されていたのだ。原因が無ければ、過程をすっ飛ばして憎悪という結果には至らないだろう。

 

 そう考えていると、不意に主任室の扉がノックされた。向こう側から聞こえてきたのは、よく通る女性の声。

 

「楯無、入るぞ」

「どーぞ」

 

 俺の返答を聞いて、グレーのレディーススーツを着た千冬が入ってきた。

 

「どうしたんだ? 今日は非番で真耶と出掛けるって聞いてたけど」

「ああ、これから出掛けるつもりだ。その前にこれを渡しておかなくてはと思ってな」

 

 ドサッ、と。到底紙の束を置いただけでは聞こえないような音と共に、俺の目の前に大量の書類が。いやこれ何枚あるんだよ、千冬の顔が見えないんだが。

 

「あの、千冬さん……? これは一体……」

「先月のクラス対抗戦で起こった案件の詳細を教えろという各国からの通達だ。後黒執事の戦闘データがあるならそれも寄越せというな。随分とがめつい奴らだ」

「え、それ千冬の方に行ってたのか?」

「あのな……、あの案件に関しては私と山田君が一任して対処していたんだぞ。少しは感謝して欲しいものだ」

 

 成程。責任を負うとか吐かしていた割に後処理が楽だったのはこうして千冬たちが対処してくれていたからなのか。いや助かる。でもあれ、何でそれを今俺の所に持ってくるんだ。

 

「私は今から出掛けるからな、残りの書類。私が帰るまでに片付けておいてくれよ」

「…………」

 

 どう見ても一日で終わる量でない書類と千冬の顔を交互に見て、崩れ落ちるように残った机のスペースに突っ伏した。

 ああ、俺の休日は無いってことなんだなそういうことなんだな。楽しげに部屋を出て行く千冬の後ろ姿を眺めながら、俺は現実逃避気味に目を伏せた。自業自得、そう自身に言い聞かせなければとてもじゃないが手が進まない。内心で思いつつ、俺は一番上の書類へと手を伸ばした。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「聞いた? なんでもこのクラスに転校生がくるらしいよ!」

「ほんと!?」

「なんでも超美少女なんだって!」

 

 HR前の一年一組の教室は、俄かに騒がしかった。

 少女たちが口々に話題にしているのは、なんでも今日やって来る転校生のことらしい。

 

「転校生、ねぇ」

 

 そんな騒々しい教室の中。机に片肘をつきながら一夏はぼんやりと騒ぐ少女たちを見つめていた。転校生、と言われてもピンとこない。確かこのIS学園は編入するにあたって入学試験よりも難易度の高い試験をパスしなくてはならなかった筈なので、かなり優秀な人間であるということは理解できる。

 ただ、やはり一夏にとってはどこまでも他人事だった。

 鈴の時のように友人がやって来るのならまだしも、今回の転校生とは間違いなく初対面だろう。そこに多少の興味はあっても、目の前の少女たちのように興奮は出来ない。

 

「どうしたのだ? やけにボーッとしているが」

 

 そんなことを考えていた一夏に声を掛けたのは、今日も今日とてポニーテールを揺らした箒だった。

 

「ん、箒か。転校生がくるらしいな」

「みたいだな。聞くところだと代表候補生みたいだが」

「そうなのか?」

「詳しくは知らん。鷹月あたりに聞けば分かるんじゃないか?」

「あれ、お前が仲良いのってのほほんさんだろ」

「アイツがそんなこと知ってると思うか?」

「…………」

 

 あの袖がぶかぶかなのほほんとした女の子を思い浮かべて、一夏は苦笑いを漏らした。

 確かにあの少女はどこか頭のネジが緩んでいるのではないかと思われるところが多々あるので、そんな情報を知っている可能性は極めて低い。

 

「というか、未だに箒とのほほんさんが仲良いって意外なんだが」

「彼女は来年整備科志望らしいからな。私もそうだし、何より機械方面に関しては優秀だぞ、彼女は」

 

 箒の話によれば、普段はあんなふわふわしているのに事機械方面の話や作業になると驚く程スムーズに作業をこなしたりするらしい。何でも友達の代表候補生の専用機のチューニングも一人で請け負っているのだとか。

 

「というか、その友達というのが簪なんだがな」

「え、そうなのか!?」

 

 そう言われてみれば、放課後二人で一緒にいるところをよく見かけるなと思い返す。

 成程あの打鉄弐式の調整はのほほんさんが行っていたのか。一年生のうちから機体の整備をきちんと行えるということは、既に彼女は二年生以上の技術を要しているということになる。普段の姿からは全く想像できないが、実はしっかりしていたらしい。

 

「って言っても機体調整なら箒も出来るだろ?」

「まあな。姫無さんのように一から機体を制作するのはまだ無理だが、完成された機体を調整するだけなら造作もない」

「なら俺の白式もたまに見てくれよ」

「構わないが、一夏の白式は武装も一つだけだし基本スペックが高いから微調整だけでいいと思うぞ?」

 

 箒から見れば、一夏はまだまだ白式の能力を十二分に引き出させていない。

 近接特化型の武装である雪片弐型のせいで他の武装を搭載できず、燃費も悪いのは確かである。が、燃費の面はスラスターの出力調整や回避や移動を最小限に抑えることでいくらでも向上させることが出来る。武装についてはそもそも一夏に遠距離型の武装を使いこなすことが出来ないので他のものは必要ない。

 そんな状態で調整、と言われても出来ることなど限られている。せいぜい一夏の感覚のとおりに微調整するくらいなのだ。

 

「まぁ、俺がこの白式を完全に乗りこなせなきゃ意味ないんだけどな」

「分かっているなら訓練頑張れ。何なら剣道で手合わせしてやろうか?」

 

 待機状態のブレスレットに視線を落として呟く一夏に、そう箒が提案する。

 

「いや、ありがたいけど遠慮しとくよ。しばらくはISの操作に重点を置いて訓練したいんだ」

 

 一夏にとっても剣道の中学王者との手合わせは願ってもないものだったが、今この時点ではISでの稼働に費やすことが最善だと考えた。今月の末には学年別の個人トーナメントも控えている。専用機を与えられているというのにさっさと負けてしまっては格好がつかない。

 優勝は勿論狙っているが、少なくとも準決勝までは残るために今は少しでもISに乗っていたいのだ。

 

「ふむ。そうだな、専用機持ちが一回戦負けとか恥ずかしいしな」

「うっ……」

「そういえば今のところ一夏って公式戦まだ勝ち星無しなんじゃないか?」

「ぐはっ……!」

 

 ぐさり。一夏の胸に言葉の刃が突き刺さる。

 箒の言う通り、このIS学園に入学してから一夏は公式試合で勝利したことがない。入学して早々のセシリア戦では詰めの甘さが露呈し、クラス別対抗の皿式戦は途中で正体不明のISが乱入してきたことにより試合自体を無効にされてしまったのだ。

 因みに、ISを使用しない肉体のみでの組手でも姫無や簪に勝てていないのは箒には秘密である。ほぼ互角だというのに勝ち星が得られないのは単純に経験不足なのか。はたまた別の要因があるのか。

 

「今ので思い出したけどさ。結局、皿式との試合中に乱入してきたあの黒い機体ってなんだったんだ?」

「その点については更識先生と織斑先生が箝口令を敷いただろう。無闇矢鱈に言いふらしていい類の話ではないしな」

「……だな」

 

 腑には落ちないものの、師匠である楯無がこの件は預かるというのだから一夏にそれ以上詮索することは出来なかった。

 幸いにして、あの時アリーナにいた生徒の殆どは侵入者ではなく執事服で舞う楯無に視線を奪われていたのでそこまで大きなパニックにはならなかった。

 当然ある程度の実力者たちは正体不明の侵入者について各教師たちに問いかけたらしいが、明確な答えは返ってこなかった。

 

「そこはかとなく姉さんが絡んでいるような気もするが、聞いたところではぐらかされるだけだろうしな」

「束さんが?」

「ああ。遠目からだから細部までは見れなかったが、あの黒い機体はおそらく……」

 

 そこまで言いかけて、箒は口を噤んだ。

 何かを考え込んでいる様子の箒だったが、一度俯いて顔を上げると、

 

「いや、なんでもない」

「? そうか」

 

 箒が何かを言うべきか悩んでいる、というのは一夏も気付いていたが、敢えてそこを問うたりはしない。箒が言うべきではないと判断したことをわざわざ蒸し返すことはない。

 そろそろ朝のHRが始まるな、と時計を見ながら一夏が思っていると。

 

「おっはよーおりむー、モッピー」

「おはよう、のほほんさん」

「おはよう本音。あと次にその名前で呼んだらその長い袖同士を結ぶぞ」

 

 基本的にカスタムが自由なIS学園制服の袖部分の長さを、大胆にも三十パーセント程プラスした制服を着用した生徒が二人へと声を掛けた。

 布仏本音。通称のほほんさん。

 男女を問わずその心を癒すという謎の特殊能力を有する少女である。

 

「えー? だってモッピーはモッピーだもんー」

「ようし本音。ちょっとお話をしようか」

 

 箒の剣幕にも臆することなく、そのぽややんとした雰囲気で相殺している。そんな様子に思わず「のほほんさんすげえ」と感嘆する一夏。

 見た目はこんなんだが、彼女は更識の家に代々仕える布仏の三女であり、簪専属の従者である。本音がそういった活動をしている場面を一度として目の当たりにしたことのない一夏にとっては少々の違和感を覚えるが、先の箒の話のように実は案外しっかりしているのかもしれない。

 

「あ、で二人共何の話してたのー?」

 

 未だに呼び名のことで詰め寄る箒をどうどうといなしつつ、本音は一夏へと問いかける。

 

「ああ。なんか今日転校生が来るらしいからさ。そのことでちょっと」

「なんだその話かー」

 

 一体何の話を想像していたのかは定かでないが、本音の反応は他のクラスメイトの女子たちとは幾分か違うものだった。

 

「のほほんさんは知ってたのか?」

「うんー。ちょっと前に会長さんから聞いたー」

 

 成程あの人か、と一夏は絶賛片思い中の生徒会長の姿を思い浮かべる。

 確かに姫無であればこの程度の情報は知っていても不思議ではない。というか知っていなければおかしいだろう。

 

「何でもかたり……更識先生の知り合いらしいよー?」

「師匠の?」

 

 本音の言葉に首を傾げる一夏。彼の師匠である楯無の交友関係はどうやら思っていた以上に広いらしい。

 まさか代表候補生の知り合いがいるなんて思ってもいなかった。

 

(……あ。でもセシリアも師匠の事知ってるみたいだったな)

 

 学園生活一日目にセシリアが話していたことを思い出して、ほんとにあの人何者なんだと溜息を吐き出す。

 

「と、もう時間だ」

 

 気がつけばSHRが始まる数分前になっていた。幾ら何でもこんな朝から出席簿を喰らいたくはない箒と本音はそそくさと自分の席へと戻っていく。一夏も同様に席に座り直し、自身の姉である織斑千冬が教室に入ってくるのを待った。

 

 それから程なくして。

 ガラッ、と教室前方のドアが滑らかにスライドした。

 

 扉の先から入ってくるのは、黒のレディーススーツを着たこのクラスの担任である織斑千冬。副担任である山田真耶。

 その二人の後に続いて、この学園の制服を着用した二人の生徒が入ってきた。一人は銀髪と眼帯が目を引く小柄な少女。もう一人は金髪と人あたりの良さそうな笑顔が特徴の少女。見覚えのないその二人が教室に入ってきた瞬間、周囲の生徒たちがざわつき始める。

 

「美少女、美少女だ!」

「何あの銀髪! 綺麗ー!」

「じゅるり」

「げへへへ、たまりませんなぁ」

 

 ……何やら後半はおっさんがいたような気もするが、一夏はそれを意図的に無視して教壇に立つ二人の転校生へと目を向ける。

 そのうちの一人と、一夏は既に面識を持っていた。向こうもこちらの存在に気付いているのか、一夏のほうへと視線を向けて微笑を浮かべている。

 

 ラウラ・ボーデヴィッヒ。

 数年前に出会った、ドイツの少女だ。

 

「諸君、おはよう。早速で悪いが本日よりこのクラスに配属となった転入生を紹介する。二人、順に自己紹介を」

 

 千冬に促され、最初に一歩前に出たのはラウラだった。

 

「ドイツ軍特殊部隊所属、ラウラ・ボーデヴィッヒ。階級は少佐で代表候補生も務めている。よろしく頼む」

 

 軍人らしくピンと背筋を伸ばし、手を後ろで組んだ状態でクラスメイトへとそう告げる。その動作は恐ろしくサマになっており、一挙手一投足に彼女の軍人としての威厳が見え隠れしている。

 のだが、そんな毅然とした動作も彼女の見た目、正確には小柄な身長と整った顔立ちによって生徒たちには威厳や貫禄よりも前に可愛らしさや愛らしさを覚えたらしく。

 

「可愛いーッ!!」

「何この生き物! お持ち帰りぃぃいいいいッ!!」

「ね、ね! このウサ耳つけてくれない!?」

 

 一気にクラスのムードが浮ついたものに変貌した。

 まさかの反応に周囲をキョロキョロと見渡して、ラウラは一夏へと視線を向けた。どうやら助け舟を求めているらしい。確かにこれまで軍での生活が長かったラウラにこういった環境は馴染みのないものだろう。女子特有のこういった騒がしさにも免疫がないのが今の彼女の反応で伺える。

 とは言え、助けを求められても一夏にはこの騒がしさをどうにかできる力は持っていない。

 そういった仕事は一夏の仕事ではなく、教壇に立つ教師の役目である。

 

「うるさいぞ、黙れ」

 

 途端、これまで口を開いてやいのやいのと騒いでいた生徒が漏れなく全員ピタリとその動きを止めて静まり返った。

 ブリュンヒルデ、おそるべし。

 

「質問等は二人の紹介が済んでからにしろ」

 

 有無を言わせぬ千冬の言葉に、生徒は無言で首を縦に振った。

 それを見て、千冬はもう一人の少女へと顔を向ける。それだけで意図を察したのか、一歩下がったラウラに代わり、一歩前に出て笑顔を浮かべて。

 

「初めまして、シャルロット・デュノアです。フランスからやってきました。一応代表候補生をやらせてもらっています。それと――――」

 

 

 

 ◆◆

 

 

 

「ふう、」

 

 朝のSHRが行われているだろう午前八時半。昨日千冬に渡された山積みの書類をなんとか処理し、俺はインスタントのコーヒーを啜っていた。

 今頃は一年一組で二人の自己紹介なんかが行われているだろう。ラウラが転校してくることは一夏には言っていなかったので、さぞ驚いているに違いない。

 因みにラウラとシャルロットとはSHRが始まる前に既に顔合わせを済ませてある。これでも一応一年生の学年主任を任されている身なので、生徒たちとの関わりはしっかりと確保しておかなくてはいけない。とは言っても、ラウラとは何年も前からの知り合いであるし、シャルロットに関しては。

 

「……会ったのは一年振りくらいか」

 

 再会した時の彼女の反応は、まるで長年引き裂かれていた家族が再会したかのようなものだった。

 というか、やけにボディスキンシップが多かった。フランスはそういったお国柄ではなかった筈なんだが。

 断っておくが、俺は決してロリコンではない。いや、確かにシャルロットの立派に成長したバストやヒップには視線が行ってしまったが、それだけだ。そういった感情は一切無い。……俺には、だが。

 

 うん。どうしてだろうな。

 何か嫌な予感がしてならないんだが。今すぐにでも一組に行かなくてはならない衝動に駆られる。

 いやいや。考えすぎだろう俺。流石にそんな場をかき乱すような発言を彼女がするはずない。

 

 根拠のない自信で己を納得させながら、俺は残ったコーヒーを飲み干した。

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 金髪の少女、シャルロット・デュノアは満面の笑みを浮かべ、さも当然であるかのように言った。

 

 

 

「――――更識先生の、未来のお嫁さんです」

 

 

 

 

 

 




 ※シャルロットさんが一夏争奪戦からログアウトしました。

 あれ、てことは一夏狙いは三つ巴の戦い?
 

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