Fate/Evil   作:遠藤凍

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どうも遠藤凍です。

遂にあのサーヴァントが登場します。
一体、誰なんだ〜(棒)

では、どうぞお楽しみ下さい。




金ピカ降臨

 

 

空を駆ける戦車に乗って現れた巨漢の男の言葉に、2人は呆気にとられていた。なお、永時に至っては呆れとともに男に少しの期待を持っていた。

攻略の要となる真名を告げたのだ。征服王イスカンダルは博学で有名であるから、何か考えがあって言い放ったのだろうと、そう思いたかった。

 

 

「何を考えてやがりますかこの馬鹿はぁぁぁぁ!!」

 

 

1人の少年……らしき人物が、赤髪の巨漢…ライダーの赤いマントを掴んで喚く。

 

 

「フッ」

「ぎゃふん!!」

 

 

が、ライダーのデコピンであっさり沈められた。

そしてそのまま、ライダーは2人を見つめて問いかける。

 

 

「うぬらとは聖杯を求めて争う巡り合わせだが………まずは問うておくことがある………」

 

一旦区切り、拳を握って両腕を広げて続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひとつ我が軍門に下り、聖杯を余に譲る気はないか?さすれば余は、貴様らを朋友として遇し、世界を征する愉悦を共に、分かち合う所存であるぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………訂正、やっぱり馬鹿だった。

 

こんな奴にかつて、世界は征服させられかけたのか……と内心呆れ一色に変わる永時。

 

一体何言ってんだこの馬鹿は………とでも言いたそうな目でライダーを見る2人。

 

ランサーは首を左右に小さく振ると、ライダーに向かって口を開く。

 

 

「残念だったな。俺はその提案に乗るつもりはない。俺の主は今生に誓いを立てた新たな君子ただ1人。断じて貴様ではないぞ、ライダー!!」

 

 

怒りを含んだ声で答え、ライダーを睨みつける。

同感だと言いたそうに小さくうなづき、答える。

 

 

「そもそも、そんな戯言を述べたてるために、貴様は私たちの勝負を邪魔立てしたというのか?だとしたらそれは…騎士として許し難い侮辱だ………!!」

 

 

そう言われたライダーは困った顔でゴツゴツした大きな拳を額に押し付けていた。

すると何か思いついたか、拳を額から離し、

 

 

「………待遇は応相談だか?」

 

 

金を示すハンドサインをする。

………どうやら金で釣る気だ。

 

しかし、その言葉にセイバーとランサーは誇りを傷つけられ、怒りに任せて言葉を放った。

 

 

「「くどい!!」」

 

 

ライダーは諦めてないのか、不満を残した顔で二人を見つめる。

それを見て更に苛立ちを覚えたセイバーが言葉を紡ぐ。

 

 

「重ねて言うなら、私も1人の王として、ブリt………国を預かる王だ。………如何な大王といえど、臣下に下る訳にはいかぬ」

「ほう、一国の王とな?国を束ねる者が、こんな小娘だったとは……して、どこの国の者だ?」

「生憎、マスターに口止めされていてな……答えることはできない……が…」

 

 

そりゃそうだ、食事と娯楽がかかっているんだから。

 

しかし、小娘ーーーと言われたのに腹が立ったのか、不可視の剣の切っ先をライダーに向ける。

 

 

「その小娘の一太刀を浴びてみるか?征服王!」

 

 

明確な拒絶の意思を表すセイバー。

ランサーも同様らしく、己の獲物を構えて拒絶の意思を示す。

流石に諦めたのか、ライダーは眉を顰めて大きなため息を吐いた。

 

 

「………こりゃあ、交渉決裂か。残念だなぁ」

「ラ・イ・ダーーーーーー!!」

 

 

断られ、心底惜しそうに頭をかきながら呟くライダーに向けて、マスターらしき少年の怒りの叫びが倉庫街に響き渡った。

するとそれに反応したのか、倉庫街のどこからか声が響いた。

ただし、その声には少年とは違う怒りが込められていた。

 

『そうか……よりにもよって貴様か』

「ひィッ………!!」

 

 

少年は甲高く短い悲鳴を上げる。

その声には覚えがあるからだ。それは、できれば会いたくなかった人物で………本来ライダーのマスターになるはずだった男だったからだ。

 

 

『一体何を血迷って私の聖遺物を盗み出したかと思ってみれば……まさか君自ら参加するとはねえ……ウェイバー・ベルベット君?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、あの少年がウェイバー・ベルベットなら、この声は………高飛車……ケイネス・エルメロイ・アーチボルトか………いいこと聞いたな」

 

正直にいうと永時は仕事上関わりがあるが、ケイネスのことが嫌いだった。ケイネスが天才なら、永時は努力の人間だからだ。

 

 

『日々失敗し、鍛錬する者こそが真の強者となり、慢心こそが己の真の敵なのだ』

 

 

永時は努力すればラノベの主人公みたいに強くなれると信じ、この言葉を掲げ今日まで鍛錬を続けた。

 

だからこそ、失敗を知らないこの男が嫌いなのだ。

口を開けば如何に優れているかと自慢話ばかり、魔術師以外の人種を完全に見下しており、同じ魔術師でも血筋の乏しい者には歯牙にも掛けない。

彼としては結果がついてくるのが当たり前と考えているのだ。そりゃ嫌いになるのも無理はない。

 

 

「ちょうどいい、少しは奴にお灸を据えてやろう……」

 

 

ライダーがケイネスに喧嘩を売っている中、永時は悪役のような黒い笑みを浮かべた。

一応この小説の主人公なのだが………大丈夫なのだろうか?

 

 

「ーーー他にもおるだろうが、闇に紛れて覗き見しておる連中は!」

 

 

ライダーの言葉に怪訝そうに尋ねるセイバー。

ライダーはセイバーに向けて親指を立てるとニカッと笑った。

 

 

「セイバー、ランサーよ。うぬらの真っ向勝負、誠に見事であったぞ。あれほど清澄な剣戟を響かせては、惹かれて出てきた英霊がよもや余1人ということはあるまいて」

 

確かに…と思う永時。

 

 

「もし名高き英霊がこそこそと鼠のように隠れ潜んでると云うならば………全く情けないのぅ!」

 

 

それでも姿を現さない英霊に、痺れを切らした征服王が今まで以上に大きな声で倉庫街に響かせる。

 

 

「聖杯に招かりし英霊は、今ここに集うがいい!なおも顔見せを怖じるような臆病者は、征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知れぇッ!!」

 

 

(そんなので、出てくる馬鹿はいないだろ?)

 

残念ながらそれはフラグである。

 

 

「ッ!?」

 

 

永時は驚く。それは倉庫街の街灯の上に闇色の夜の世界とは不釣り合いな黄金の粒子が集まって、人の形を成していくからだ。

 

 

「我を差し置いて“王”を称する不届き者が、2匹も湧くとはな………」

 

 

赤い双眼の黄金の鎧を纏ったサーヴァントが、3人のサーヴァントを見下ろして不愉快そうに言った。

3人にはこの男に見覚えがあった。何しろ、この男こそがアーチャーで、アサシンを圧倒的火力で消し去った張本人だからだ。

無論、そう言われた王2人は苛立ちを覚える顔でその男を見た。

 

 

「………マズイな」

 

 

すぐさま荷物を片付け始める永時。戦士としての直感が、あの男はヤバいと告げているのだ。

 

セイバーには悪いが、参戦させてもらおう。

 

 






いかがでしたか?

次回は遂に永時も参戦します。
セイバーと互角な永時はどこまで喰いついていけるか?

では、また次回で。


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