Fate/Evil   作:遠藤凍

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どうも、遠藤凍です。

いよいよ始まります聖杯戦争。
まだ最初なので、あんまり永時の出番はありません。

では、どうぞお楽しみ下さい。




本編:聖杯戦争開始
幕開け


 

 

日本のとある空港に1組の男女がいた。

 

雪のように白い肌、そして同色の髪、赤眼と人形のような女性、アイリスフィール・フォン・アインツベルン。

今回の聖杯戦争のアインツベルンの代表である。

 

もう1人は、ダークスーツを着こなしシークレットサービスのような黒髪で白い伊達メガネをかけた男。

今回の聖杯戦争で召喚されたサーヴァントである。

 

 

「ここが、日本なのね………」

「………」

 

 

アイリスフィールの言葉を肯定するように、男は首を縦に振る。

 

 

「ねぇ、ちょうどいい時間だし、お昼にしない?」

「………」

 

 

肯定のつもりか、アイリスフィールの後ろに立ち位置を変える。

 

 

「それじゃあ、行きましょう」

「………」

 

 

男はうなづくことで、アイリスフィールに答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、アサシンがアーチャーに消され、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セイバー、準備と覚悟は出来たな?」

「ええ、もちろんですが………本当にその格好で行くんですか?」

 

 

いつでも戦えるように、セイバーはあの時のダークスーツに着替えたが、永時はというと、フルフェイスの黒のガスマスク、黒いヘルメット、黒い軍服と、黒づくめの完全装備をしていた。おかげで声がいつもより低くなっている。

 

 

「仕方ねえだろ?顔を晒して正体をバラす訳にはいかねえし、それに………例の魔術師殺しが参加するそうじゃねえか」

「確かその方とは………」

「ああ、1回殺りあって殺されかけたことがある。………まさか、魔術回路をぶち壊すとかやばすぎだろ………おかげで復帰に3ヶ月かかったぞ…」

 

 

どこからかの依頼で永時を殺しにきたので、興味本位で戦ったが、何らかの方法で魔術回路を壊され、一応かけておいた保険のおかげで事なきを得た。

だからこそ、あの時の借りを返せるチャンスがきたのだ。嬉々として、スナイパーライフル…モシンナガン(改造により、サプレッサー内臓)をいじる永時を嫌そうに見るセイバー。

 

 

「エイジ、何回も言ってますが………」

「分かってるって。狙撃するのはあくまでお前の勝負の邪魔をする奴だけにするから、全力で戦ってくれ。ただし、万が一の時は手を出させてもらうぞ?」

 

 

奇襲メインの永時と騎士道を重んじるセイバー。

異なる戦法の2人はもちろん、意見をぶつけあった結果。

 

1:基本セイバーに合わせて決闘方式にし、永時はその邪魔をさせないようにし、常に1対1の状態にすること。

 

2:万が一の場合は、意地を張らずに退却も考えること。

 

3:相手がセイバー1人の手に負えない場合、永時も参加する。

 

4:真名、マスターがバレるような発言をしない(宝具使用は別)。

 

5:基本独断行動はせず、必ずパートナーに相談すること。(それなりの理由がある場合は除く)

 

6:これらを守らない場合、永時はセイバーの欲求にできる範囲で答え、セイバーは1食抜きと4時間モフモフ禁止とする。なお、破った場合は延長する。

 

となり、決めた途端に絶対に守ろうと誓ったセイバー。

食事と娯楽をとられるのだ、無理はない。

暇さえあればモフモフしている身としてはたまったもんじゃない。

 

 

「えっと………モシンナガン、ナイフ、グレネード、スタン、チャフ、スモーク、C4、AK-47、ハッシュパピー、LAW、スコーピオン、麻酔弾………あとは適当にするか」

 

 

ポイポイと次々に現代兵器を影の中に入れ込む。

 

 

「エイジ、魔力回復の薬品は入れましたか?」

「おっといけね」

 

 

薄い黄緑色のいかにも怪しい薬品を放り込む。

 

さて、ここでこの影のネタバラシをしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

影の家(シャドウ・ハウス)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負の象徴ともいえる影を利用したもの。

効果はいたって簡単で、自分の身体の質量の分だけ好きな物を入れて持ち運べるというもの。応用すれば、人を入れて運べることも可能だ。

これである程度の武器を入れ込み、残りはここと予備の拠点に置いておく。

 

 

「………OK、できた………セイバー、敵はどこにいると思う?」

「多分ですが………ここかと」

 

 

セイバーの直感は、倉庫街を指していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が沈み、倉庫街が近づくにつれ、濃厚な威圧感を感じ取られる。

どうやらセイバーの直感が当たったらしい。

 

 

「エイジ、この気配は間違いなくサーヴァントのものです」

「分かったから飛び出そうとするのをやめろ。行くかは罠かどうか確認してからだ」

 

 

そういうと、影の中から数羽の蝙蝠が威圧感のする方角へ飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………罠らしきものがないな……よし、行ってこい」

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

倉庫街の中心の大通りに見える2つの人影。

1人は、ダークスーツに身を包んだセイバー。

そして彼女の前には、暗い緑のボディースーツで身を包み、右手に長槍、左手に短槍を携えた、泣きぼくろのある美麗な顔立ちの男。

男は目の前のダークスーツ姿のセイバーを見据えるとフッと笑って口を開いた。

 

 

「よくぞ来た。今日1日、この街を練り歩いて過ごしたものの…どいつもこいつも穴熊を決め込むばかり……俺の誘いに応じた猛者は……お前だけだ」

 

 

セイバーはいつでも戦闘できるように構える。

 

 

「その清澄な闘気……セイバーのとお見受けしたが、いかがに?」

「いかにも。そういうお前は、ランサーに相違ないな?」

「その通りだ。-----フン、これより死合おうという相手と、尋常に名乗りを交わすこともままならぬとは………興の乗らぬ縛りがあったものだ」

「………全くだ」

 

 

アホかッと念話で永時の声が聞こえた気がしたがスルーして睨み合う。

しかし、ランサーの目の辺りから、何か妙な力が発せられているのが分かる。

 

 

「……………魅了の魔術?」

 

 

セイバーはランサーの泣きぼくろが原因だということに気がついた。

 

 

「ああ、これは何に効くか分からん物だ。異性には効くらしいが正直分からん。恨むなら俺の出生と己が人間であることを恨むがいい」

 

 

そいつは是非欲しいな…と言っている男がいるが、セイバーはまたもやスルーする。

 

ランサーは笑みを浮かべると、セイバーはそれをそよ風でも受けているような涼しい顔で返す。

 

「そのような面構えで、私の剣が鈍ると期待していたか?槍使い」

「そうなっていたなら興ざめだっただろうな。なるほど、セイバーの対魔力は伊達ではないということか………結構。この顔のせいで腰の抜けた女を斬ることとなれば、俺の面目に関わる。最初が骨のあるやつで嬉しいぞ」

「ほう、尋常な勝負が所望であったか。誇り高き英霊とあいまみえたこと、私にとっても幸いだ」

 

そう言ってセイバーは白銀と紺碧のドレスのような甲冑を見に纏わせ、不可視の剣を構え、

 

 

「「………いざっ!!」」

 

 

激突する。

 

 

まず、間合いの関係でランサーの長槍による突きを繰り出すが、セイバーは不可視の剣で薙ぐように振って弾き、上段から斬りつける。

だがそれを2本の槍で受けとめ、短槍で弾いて長槍で薙ぐ。

足元を狙われたセイバーは後ろに跳んで避け、速度を上げて再度斬りかかる。

不可視の剣で斬るが、上手く弾かれる。

 

 

『ランサー、宝具の開帳を許す』

「了解しました、我が主よ」

 

 

ランサーは短槍を投げ捨て、フッと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………マズイな」

 

 

永時は心の中で舌打ちをする。

 

いい狙撃ポイントがあったので陣取り、スナイパーライフルのスコープ越しで観戦していたが、状況はまずかった。

ランサーの宝具の開帳により、腹部にダメージを受け、そのうえ、さっき投げ捨てた短槍を拾って使われ、左手に傷を負わされていた。

狙撃しようかと考えたが、射線上に脱落したはずのアサシンがいたから、撃てるに撃てない。

 

 

「………仕方ねえ」

 

 

乱入しようとスコープから目を離そうとした永時ーーーの耳に雷鳴が響いた。

 

 

「「「ッ!?」」」

 

 

広場にいた二人と永時が、空を見上げて音源を確認する。

そしてそれを見た永時は思わず呟いた。

 

 

「………あれって……戦車(チャリオット)か?」

 

 

まさしくそれは古代オリエントの国々が使っていたとされる戦闘用馬車ーーー戦車(チャリオット)だった。

それを引くのは神々しい二頭の牡牛。

それに乗るのは、炎のように赤い髪と髭を蓄えた巨漢の男だった。

 

 

「AAAAlalalalalaie!!」

 

 

稲妻を踏みながら空を駆ける戦車は、やがて二人の間に割り込むように降り立った。

降り立った直後に、堂々と立つ巨漢は両手を広げてその口を開いた。

 

 

「双方武器を収めよ!王の前であるぞ!!」

 

 

その身体に相応しい野太い声を上げ、動きを止めている二人を見て、言葉を続ける。

 

 

「我が名は征服王イスカンダル!此度の聖杯戦争において、ライダーのクラスを得て現界した!!」

 

 

その言葉を聞いて、永時は思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-----コイツ、ひょっとして馬鹿なのか?

 

 





いかがでしたか?

最初に出てきた男はオリ錆です。

いずれまた登場させるので、ご期待ください。

タグ追加しました。

では、また次回で。


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