〜キクマr……ではなくニルマルちゃんが送るあらすじ〜
「(ん?また誰か私の名前を間違えた気配が……気のせいか?)皆さんこんにちは。終永時の弟子兼愛人こと、終ニルマルです。えっ?なんで愛人かって?そりゃあ……その方が興奮するじゃないですか色々と!
……んんっ!それにしても凄いですよね〜。えっ?何かって?そんなの……師匠の肉体の凄さに決まってるでしょう!
……えっ?前回のあらすじ?あー、傲慢様はお強いですねー(棒)
そんなことより、師匠の肉体について語るのが大事なんですよ!まず師匠はですねーーー『以降惚気話(?)のため、この先はカットしました』」
消えていくライダーの世界とその兵達。まるで夢のように儚く消えていき、やがて残ったのはライダーとそのマスターと馬のブケファラスという
「……」
「ライダー……」
世界が崩壊したのをこの目で見たライダーはただ無言のまま馬を止める。マスターであるウェイバーからはその表情を見ることは出来ず、ただ黙って見守っていた。
するとライダーは突然あることをマスターであるウェイバーにある問いを投げかけた。
「……そういえば1つ、貴様に聞いておきたいことがある。ウェイバー・ベルベットよ、臣として余に仕える気はないか?」
「……ッ!?」
その言葉にウェイバーは涙を流す。
かの征服王に認められたことか。それとも、参加理由である自身のことを認められることが叶ったことか。はたまた、ライダーが今から死に行くことを悟ったことか。それともその全てか。
その本心はウェイバー本人にしか理解できないが、確かに彼は泣いていた。
「貴方こそ……貴方こそが、僕の王だ。貴方に仕え、貴方に尽くす。どうか……僕を導いて欲しい…!臣として、貴方と同じ夢を見させて欲しい!」
ウェイバーの言葉をライダーはしっかりと受け止め、それに答える。
「……うむ、良かろう」
「え……?」
そう言ってウェイバーの襟首を掴み、舗装された道路へと降ろしてやった。
「夢を示すのも王である余の務め、そして王の示した夢を見極め、それを後世へと語り継げていくのが、臣たる貴様の務めである!」
臣として認められて初の命の内容に驚くなか、ライダーはニッコリと笑い、まるで何かを悟ったかのように彼は言葉を続ける。
「生きろウェイバー。そして余の生き様を、貴様の王の在り方を、このイスカンダルの疾走を!生きて後世へと語り継げろ!」
「……!!」
遂に我慢できなくなったウェイバーは顔を俯かせて涙を流しながら嗚咽を漏らす。
そして、ライダーは気持ちを整理する。今から相対する敵へと集中するため、目を瞑る。
「……さあ!いざ行こうぞブケファラス!!」
カッと目を開き、強く手綱を握り、愛馬を前へと走らせる。ブケファラスはその巨体から普通の馬とは比べられぬ程の疾走を見せる。
そして先程まで俯いていたウェイバーは涙を拭い、疾走するライダーの背を見つめる。自身が認めてくれた王を、その生き様を、在り方を見届けるために彼は見続ける。
「AAAAlalalalalalalalalalalalalalalalaie!!」
「来るか……」
雄叫びに近い叫びを上げながら疾走する姿を目視したルシファーはそこから先は何も言わず、自身の背後に盾を展開する。やがて夜空に白光と黒光が光り輝き広がっていき、そして……そこから光線が一斉に放たれた。
飛んでくる光線を自身の得物で弾く、防ぐ、受け流す。しかしそれだけで全てを凌げる訳もなく、取り零した光線は道路を、ライダーを、そして愛馬をも貫いていった。
「……ぬおっ!?」
脚を貫かれ、遂にブケファラスは転倒し、乗っていたライダーも地面へと引きずり降ろされる。だが彼はすぐに立ち上がり、実体を消していく愛馬を背にして走る。
「AAAAAAAAAAAAlalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalalaie!!」
今まで以上に声を上げ、彼は走る。
光線が腕を、足を、左肩を、腹を貫いていく。だが彼は急所に当たるものだけを最低限の動きで弾き、前へと走り続ける。
彼は走ることを止めない、どんなに貫かれようとも、どんなに血に染まろうとも、彼は足を止めない。
「……」
何故なら自身の背を、己の生き様を、在り方を、その疾走を、見極めようと見続ける臣のために。そして、自身の覇道を魔王に示すために彼は走る。
ーーー覇道を謳い、覇道を示す!そしてこの背を見守る臣下のために!!
そう心に決めた彼の進行を、そう簡単に止めることは出来なかった。
「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
遂にルシファーの元へと辿り着いたライダーは剣を全力で振り下ろす。
しかしルシファーはそれを涼しい表情でひらりと避けるがライダーはそれを見越したかのように剣を薙ぐように振るい、ルシファーの首を狙った。
「ーーーその攻撃は良し。だが……甘いぞ」
しかしその刃は間に挟まるように現れた盾によって届くことはなかった。
そして、動きが止まった一瞬の隙にルシファーの手から出現した光の槍によって心臓を突き刺された。
心臓を貫かれたことにより、ライダーの口の端から血が流れる。
「…瞬間移動する盾に光の槍とは、また妙なものを使いおるなぁ……」
「フッ……前に一度、同じ流れで苦い思い出があったのでな。二の舞を踏まぬよう対策をとったまでよ。して……夢より覚めたか、征服王よ?」
「ああ、そうさなぁ……。此度の遠征もまた、心躍ったなぁ……」
「……いつまでかは知らんが妾は長寿の身。いつの日かまた巡り会える日が来るであろう。その時は……また挑戦するがよい」
「はははっ……そりゃまた…いいなぁ………」
そう言ってライダーの体は粒子へと変わっていき、静かにその実体を消していった。
そして、静まり返る中ルシファーは静かに歩き出し、奥にいるウェイバーの所へと向かっていく。
「……小僧、貴様は何者だ?」
「僕は……僕は、あの人の臣下だ!」
「ほう?臣下とな?……では、もう1つ聞こう。貴様の王が討たれた訳だが……仇はとらぬのか?」
「……お前に挑めば僕は死ぬ。けど、僕は生きろと命じられた…!だからそれは出来ない!!」
揺らぎのない強い言葉にルシファーは感心した。
かつてルシファーが見た人間らしい真っ直ぐな瞳にはその揺るぎのない信念と強い意志が込められており、ある男をふと思い出してしまった。
更にはある男でさえ持ち得なかった王への忠義心をも感じ取れた。
彼女は素直に驚いた。これ程までの人間が、まだ現代にも残っておったのかと。
「……そうか。その忠義、大儀であるぞウェイバー・ベルベットよ。この妾を感心を持たせるとは驚いたぞ。これからもその心意気、忘れることなく、胸を張って生きていくがよい」
そう言って背を向け、次の目的地へと歩みを進める。
「フッ…妾も甘くなったものよ。さて……そろそろ次に移ろうとしようかの。……ゼツ。バーサーカーとバットを呼び戻してこい」
「了解しました。ところで、雁夜殿はどうなされますか?」
「彼奴はバーサーカーのマスターだ。残る小娘の警護は貴様が信頼できる部下にでもやらせておいて構わん。呼び出せ」
「……逢瀬のままに」
「……!?ここは!?」
気がつけば見覚えのある白い平原へとセイバーは立っていた。
この間このようなことがあったことを思い出し、嫌な雰囲気を感じ取っていたところに、
「まさか……」
「ふふふ、そのまさかですよ。では、『第2回這いよれ〇〇〇さん!』開幕でーす!」
辺りは光に包まれた。
「ここは……?ッ!?」
再び意識が戻ったので辺りを見れば見た覚えのあるようなテレビスタジオにある椅子に座らされていた。
「やあ、ご気分はいかがかな?」
そして目の前の席には見覚えのある黒いパーカーに同色のジャージのあの
「貴方が私の立場なら気分がいいと言えますか?」
「……では、今回もお話をしましょうか」
セイバーの遠回しの苦情に男は華麗な(?)スルーパスで強制的に話題変換をした。
セイバーは若干不満気ながらも前回同様に出された紅茶に舌鼓を打つ。
「今回は茶菓子としてワッフルとバウムクーヘンをご用意しました。ですので……少しだけでいいのでお義兄様の遊びに付き合ってくださいませんか?」
こちらも前回同様Aが茶菓子を申し訳なさそうに出すのを見て少しだけ付き合うことにした。
「それで……今回呼び出したのはどのようなご用件で?」
「それはですね……今回もアヴェンジャーについてお話ししようと思いましてね」
「はあ……」
出された茶菓子を食しながらセイバーは男をじっと見つめて観察する。
仕草、口調などから行動パターンなどを推測し、どのように行動すべきかを考える。
「ところで1つお聞きしますが……セイバーさん、貴女はその生涯。敗北もしくは勝利だけのどちらかで固定されていましたか?」
「えっ?いえ、それは流石にありませんでしたが……」
そう、セイバーでさえ、否、人間誰でも1度は敗北と勝利を経験するものである。そのことを説明すると男は苦笑しながら答えた。
「それがですねセイバーさん。世界というものは貴女の予想以上に広いものでしてね。中には常敗無勝の男やその逆も存在するんですよ?」
つまり、話の流れ的にアヴェンジャーはその2つのどちらかに値する存在であるようだ。
そのことを頭に記憶しておき、セイバーは聞くことに集中する。
「はあ……それに何の意味が?」
「つまりその人物は敗北もしくは勝利のどちらかを経験していないことになります。そんな人間が果たして現状に満足するのでしょうか?」
「なるほど。つまりアヴェンジャーの目的は自らの運命の払拭だと?」
「さあ?流石にそこまで断言は出来ませんが直感Aを持つ貴女が言うのです。合っているのではないてしょうか?」
適当に返答する男に若干の苛立ちを感じながらもセイバーは質問を続ける。
「しかし…そんな英霊は記録に全くないのですが?」
「なぁに、簡単なことですよ。貴女のその記録とやらはあくまでこの世界の史実に基づいた記録なのです」
「…つまり、どういうことですか?」
「難しいですか?では、分かりやすくこう言いましょう。キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグという人物はご存知ですか?」
「確か……第二魔法『並行世界の運営』に至った。現存する魔法使いの1人でもあり、死徒27祖第4位の世界に座る者であり……かの朱い月を倒した者、でしたね」
「朱い月、ですか……懐かしい名前ですね。彼?いや、今はその後継者は彼女だったかな?あの頃が懐かしいですね……」
元気にやってますかねぇ〜と懐かしそうに空を見上げており、それを見て1つ疑問が生じた。
「懐かしそうに語ってますが……知り合いか何かで?」
正直合って欲しくない予想が頭に浮かぶが現実というものは非情である。
「ええまあ…昔ちょっと語り合い(物理)を少々と……」
なんか物理と物騒なことが聞こえた気がしたが気のせいであることにした。そう、気のせいなのである。
「……っと、昔話に浸るのはこれぐらいにして本題へ入りましょう。かの糞じz……んんっ!ゼルレッチ氏は並行世界の運営に成功したためにはっきりと分かったことですが並行世界とはあらゆるifの世界を意味しています。例えば、貴女のマスターが衛宮切嗣である世界。そもそも私がここで貴女と対話していない世界。もしかしたらこの世界自体が小説である世界かもしれません」
「なるほど、つまりアヴェンジャーはあったかもしれない並行世界で偶然誕生した英雄だと?」
「まあそういう認識で構いませんよ」
紅茶を飲んで男は一息つく。茶菓子を食べようと手を伸ばすが既になくなっていることに気づき、Aに頼んで追加の茶菓子を出してもらい、出されてすぐに男はバウムクーヘンひと切れを摘むとそのまま口に運んで食す。
対してセイバーは無表情のまま黙々と追加の茶菓子を口へと放り込んでいっており、その様子を見たAは食べてくれることに嬉しく思う反面、食いすぎでは?と引いており、苦笑していた。
「よく食べますね……私としては嬉しいのですが…」
「そうやね……(大食らいなところは一緒。あくまでそれが出たのが少し早いだけか)」
「しかし……並行世界の英雄なのは理解出来ましたが……これだけでは真名が分かりませんね」
「まあそこは次回へと持ち越しということで……では皆様。残念ながらお時間となってしまいました。最後にゲストのセイバーさん。何かご質問はありませんか?」
「アヴェンジャーについてお聞きしたのですが……彼は私のマスターと親しくはなしているようですが……竹馬の友か何かで?」
「さあ?それは分かりません。ですが、視聴者の皆様の中にはそろそろ感づいている方もおられるはずです。なので後は直接マスターにお尋ねください。では、生きていればまた会えるでしょうその日まで。皆様ご機嫌よう!」
そう言って前のように光に包まれた。
「お義兄様。いつまでこの遊びを続けるおつもりで?」
「ん〜……あと1回ぐらいかな?多分それぐらいがええ感じやと思うし?何回もやったら視聴者の皆様も飽きてくると思うし?恐らく多分次話かその次あたりにネタバレすると思うわ」
「そう、ですか……」
「さてさて、皆がどんな風に動いてくれるのか。楽しみでしゃあないわ」