Fate/Evil   作:遠藤凍

33 / 63
お久しぶりです。遠藤凍です。

最近リアルが忙しくなってきたので更新の間隔がかなり開くとは思いますがお付き合いの程、よろしくお願いします。


更に狂い、荒れる戦争

ーーーさっきあいつも言ったと思うが、全ての原因は去った今。0(ゼロ)は1、2になり、やがて10……そして100へとなるだろう……。

 

 

ーーーだが……、そこ(新しい未来)に、(古い秩序)は……Never(限りなくゼロに近いもの)は、残ってはならない。

 

 

ーーーだからこそ……俺の死をもって、Never(0に近いもの)Ever(1に近いもの)へと変わり、新たな一歩を踏み出すことが出来るはずだ。

 

 

ーーー老兵(年寄り)は去るのみ、後は新兵(若い者)に後を託そうじゃねえか……。

 

 

ーーーああ……これが、(俺にとっての最後の希望)か……あながち、悪、くは………ない、な……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?お帰りーーーって、どうしたの!?」

 

 

弟子との組手という名の実戦データを取り終わり無事、呑気にゲームをしているベルフェの元へと帰還した永時。そんな彼の肩には眠っているニルマルが背負われていた。

だが、ベルフェが驚いたのはそこではなく……

 

 

「ああ……なんか死んだふりされた挙句襲われてこうなった」

 

 

と、苦笑気味に頭を指差す永時。頭には白い羽毛に覆われ、紅い目と頭部にある耳のような器官が特徴的な、まるでウサギとヒヨコを混ぜたようなそんな愛らしい生物がいた。

 

 

 

 

……まあ後に“永時の頭をガブガブと噛んでいる”、が付くのだが。

 

 

 

 

「……頭、大丈夫なの〜?」

「ああ、問題ない。しかし……見た目の反した凶暴性、更にそれを補うかのような高度な知能………何なんだこいつは?お前が造った生物兵器か?」

「うーん、正解っちゃ正解なんだけど……」

「あっ、ドリーちゃん!」

 

 

ベルフェが何かを言おうとしたところで話を遮るかのように扉を開けてズカズカとネルフェが部屋に入ってき、ネルフェの声に反応したそれは噛んでいた口の力を緩めてそのまま床へとうまく着地する。と同時にトテトテと猛スピードでネルフェの胸へとダイブし、優しく受け止めてもらっていた。

 

 

「ネルフェにはえらく懐いてんだな」

「あっ、お父様」

「お前がこれの飼い主か?」

「はい。……この子はドリーちゃんって言って、とっても大人しくて可愛いんです!」

「いやいや待って欲しい。可愛いはともかく、大人しい、というのは何かの間違いだろ?」

「えっ……?」

「いや、だってさっきまで噛まれてたし……」

 

 

ほら、とさっきまで噛まれていた痕を指差す。すると段々彼女の顔が青くなっていき、

 

 

「ドリーちゃん?あっちでお話ししようかぁ?」

 

 

何故かドス黒い笑みを浮かべながらドリーとやらを連れて外へと出て行った。

 

 

「……で、永くん。どうだった?」

「……ああ、投薬と組手のおかげで大体は戻ってきたよ」

「じゃあ、やるんだね?」

「ああ、これから本格的にな」

 

 

そう言って恒例の悪どい笑みをネルフェに見せ、その笑みに対してベルフェは頬を赤く染めながらニッコリと微笑み返した。

すると突然、先ほどネルフェが入ってきた扉から相棒が一通の手紙を持って入ってきた。

 

 

「エイジエイジ、さっきこんなのが届いてたよ?」

「俺宛の手紙?宛名は……チッ」

 

 

宛名を見るや否や嫌そうな顔になる永時。余程、嫌な相手なのだろうことが伺えた。

 

 

……なんか外からよく分からない悲鳴が聞こえるらしいが気のせいであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻。教会にて、その信徒席に向かい合うように座る二人の男がいた。

 

 

「……終わりました」

「そうかい」

 

 

男の左手に新たに追加され、三画になった令呪を追加されたのを確認していると言峰璃正があることを尋ねてきた。

 

 

「ひとつ、よろしいですか?」

「……なんだ?」

 

 

折角いい気分になってたのに話しかけんなや糞爺、と内心キレつつも表面上は平静を保つ。

 

 

「今回召喚されたビギナーはあなたの顔見知りだと伺いましたが……」

「ああ、それで?」

「彼は……一体どういう英雄でしたか?」

「どういう英雄、か……。実に分かりやすい英雄だよ、女のために英雄(化け物)になり、結局守る者も守れずに無様に死んでいった大馬鹿者、ってとこだな」

「そうですか……」

 

 

璃正としてはあわよくばビギナーの弱点を聞けるのでは……と考えていたが残念ながら思い通りにはならなかった。

 

 

悲劇(バットエンド)は英雄にはよくあること、寧ろ喜劇(ハッピーエンド)を迎えたものなんて数えるほどしかいない。……奴はその中の一例だった、ただそれだけだ」

 

 

似たようなもんだからな、と皮肉気に思った。

 

愛する者を守るために戦い、亡くし、それぞれ新たな生き方を手探りで探す。

何のために生き、何のために死ぬか、それを探すのが今彼等に課せられた生きる理由(使命)である。

 

 

「では、そろそろ失礼させてもらうーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー前に死んでくれ」

 

 

 

 

 

そう言って男は虚空から取り出した拳銃を発砲した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここをこうすれば……」

 

 

桜が泣き止んで眠ってしまった後、柳洞寺の境内に何故か侵入していたルシファーはある細工を施していた。

本来なら例のアヴェンジャー陣が陣取っていて危険なはずだが、流石は腐っても神々に逆らった者、軽い細工と隠蔽程度ならばあっさりとこなしていた。

 

彼女は一体何がしたいのかは実に簡単、単なる戦力の補強であり、もうここまでくれば大体の人は彼女の目的が何か理解できるだろう。

 

 

「ここか?……おっ、あったあった」

 

 

細工をする中、目的のものを見つけてニヤリと笑った。

 

 

「細工は上々、隠蔽は完璧じゃが……思ったより時間がかかりよったか。早くやるに越したことはないな」

 

 

細工を終わらせるや否や自身の指を軽く噛み、流れ出る血で魔法陣を描き上げる。

 

 

「ふう、さて……と」

 

 

魔法陣を描き上げ、ある棒切れをそこに投げ込んだ。そしてその口から言葉を紡ごうとした時、後頭部に盾が出現したと同時に冷気を纏った氷の槍が盾にヒットした。

 

 

「……来よったか。嫉妬の娘よ」

「チッ!まさか敵陣に単身で入り込むとは……流石は魔王といったところか」

 

 

現れたのは今注目されている少女、リヴァイアサン。例のアヴェンジャー陣のマスターである。

 

 

「しかしまあ、彼奴によく似ておるのう……ん?」

 

 

自身が知る相手の娘ということもあり、興味深く観察するルシファー。よく見れば見るほどあの女によく似ており、ある一点でその視線が釘付けになった。

 

 

「……親に似て胸がないな」

「…………………殺す!」

 

 

ブチッ!と何がキレる音と共に複数に増えた氷の槍がルシファーに向かって飛んでいく。

だが槍の飛んできた分だけ、自動防御の付いた便利盾が彼女の身を守りながら反撃として光線を放つ。それを一瞥した後、視線をリヴァイアサンから逸らし、その口から言葉を紡ぎ始める。

 

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三又路は循環せよーーー」

「貴様……まさか、サーヴァントを召喚する気か!?」

 

 

ルシファーの目的に気づいたリヴァイアサンは阻止すべく盾を突破しようと試みるが、増え続ける光線を避けるのに必死でなかなか近づけず、対してルシファーは今頃気づいたか馬鹿め、と内心ほくそ笑みながら言葉を続ける。

 

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する。

 

-----告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

「……チッ!令呪を持って命ずる、我がサーヴァントよ。今すぐ帰還し、魔王の行動を妨害せよ!」

「ーーー了解しました、我が主よ」

 

 

だが、リヴァイアサンは迷いもなく令呪を使って己のサーヴァントを呼び寄せて戦力を追加した。

令呪による瞬間移動をして召喚されたアヴェンジャーは手に持つ破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)を振るい、光線を凌ぎ、盾を叩き落とした。

だが、撃ち落とされると同時に新たな盾が彼女を守るために出現する。

 

 

……まさか奴が来るとはのう。

 

 

サーヴァントを来るのは予想していたが令呪を使ってくるのは予想外であり、思ったより早く来た事に内心舌打ちした。

今すぐにでも反撃を行いところだが、生憎魔法陣と挟まっている位置におり、下手に動けば召喚の影響を受けるのではないかと踏み、動けないでいて自身の武器が盾で良かったと思った瞬間である。

 

そういう訳で全くと言っていいほど動けないルシファーは今はただ己の盾を信じて言葉を紡ぎ続ける。

 

 

「誓いを此処に。

我は常世総ての悪と成る者、我は常世総ての善を敷く者」

 

 

だが相手が悪く、魔力的効果を打ち消す破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)を持っていて何故か使いこなせているアヴェンジャーの前に次々と撃ち落とされていって出現する方が遅れていき、両者の距離は段々と近くなっていく。

そんな状況においても彼女は目的を達するため、言葉を紡ぎ続ける。

 

 

「されど汝は終焉を葬りし者、我はその力を借りる愚か者なり」

 

 

目的のサーヴァントを召喚するため、オリジナルで言葉を追加する。

だがこうしている間にも二人の距離は徐々に縮んでいき……。

 

 

「もらっーーー「それはこちらの台詞じゃ」何っ!?」

 

 

アヴェンジャーの槍がルシファーへと届き、自身の勝利を確信した瞬間。

 

 

 

横から飛んできた光の槍に、アヴェンジャーは横腹を貫かれた。

 

 

 

「な、何故……!?」

 

 

痛む横腹を抑えながら驚愕の表情をするアヴェンジャー。それはそうだろう。何故なら……

 

 

「何故二人もいる!?」

 

 

横槍を入れたのと今目の前で詠唱している人物が同じルシファーだからであった。

 

 

「汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来れ、天秤の守り手よ-----!」

 

 

そうこうしている内に言葉を紡ぎ終わり、英霊が召喚される。

眩い光が辺り一面を包み込み……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何?……ッ!?」

 

 

光が晴れ、見えたのは頭部が無くなり大量の血を吹き出す変わり果てたアヴェンジャーの姿と。

 

 

「遅い、遅すぎる。スロー過ぎて欠伸が出るぜ」

 

 

そう言って一人の女が姿を見せる。

 

黒のTシャツに同色のデニムのロングパンツを身につけ、虎柄の腰巻を腰に巻いており、黒のロングヘアー、そして額には一本の横線があり、血で汚した三叉戟を持つ“幼女”がいた。

 

 

「ガキ……だと?」

 

 

十代にも満たない容姿の人物にリヴァイアサンは唖然する中、横槍を入れた方のルシファーはニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

「サーヴァント、ランサー。……否、『終焉末路(カウンター・ラグナロク)』が一人、バット=エンド。召喚に応じて参上してやったぞ」

「クックック……久しいのう、最速の黒槍姫(バット)よ。体調はどうじゃ?」

「ああ……死ぬ前と比べたら随分とマシだ」

「そうか、なら良い。……“ゼツ”、もう良いぞ」

「了解しました、ルシファー様♪」

 

 

返事と共に召喚していた方のルシファーの姿がぐにゃりと歪み、代わりとして彼女の部下にして秘書兼幹部の絶望淑女ことゼツの姿があった。

 

 

「ルシファー様、無事に成功いたしました」

「ご苦労」

 

 

少々疲れ切った表情をしながらも微笑みながら己の手についた令呪を見せ、弔いの言葉を掛けた。

そして、今まで警戒のため黙っていたリヴァイアサンが口を開いた。

 

 

「どういうことだ?確か絶望淑女は呪術師、まさか貴様が幻術でも掛けたのか?」

「流石は奴の娘、それぐらいは知っておるか……。まああれじゃ、いくら妾でも幻術は専門外でな。短時間しか不可能なのだ。だから、奴が自ら掛けたのだ」

「何?」

「簡単なこと。他人から見て自身がルシファー様に見えるように自身に呪いを掛けただけよ」

 

 

そう言われてリヴァイアサンは納得した。呪術が専門とする彼女なら掛けるのも解くのも朝飯前なのだろう。

 

 

「……で、俺はまずどうすればいいんだ?そこのマスターを殺ればいいのか?」

 

 

暇そうにしていたランサーがアヴェンジャーの血が付いた三叉戟をクルクルと器用に回した後、その矛先をリヴァイアサンへと向ける。

しかしルシファーにその矛先を手で制され、その頬を膨らませ、不満そうにルシファーを睨みつける。

 

 

「……何のつもりだ?」

「いや、撤収するぞ」

「はあ?」

「気づいておるじゃろう?……伏兵の存在に」

「……分かった」

 

 

不満そうにそう呟くと二人を抱えて姿を消し、衝撃によって遅れて出てきた強風だけが吹き荒れていた。

妨害しようとしていたリヴァイアサンはその早すぎる速度に反応できず、少し遅れて逃げられたことに気づいた。

 

 

「チッ」

「……見事に逃げられましたね、マスター」

 

 

するとさっき殺されたはずのアヴェンジャーが何もなかったかのようにひょっこりとその姿を現した。

 

 

「いや、多分“貴様ら”の存在に気づいていただろうな」

「……そうですか」

「まあ分かっていてあのランサーは貴様に挑むつもりだったそうだがな」

「そう、ですか」

「……で、例のは?」

「それならこちらに」

 

 

そう言って左手につけた……“令呪”を見せた。

 

 

「よろしい、では例の計画を始めるぞ。奴を呼んでこい」

「御意」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでマスター。破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)が見当たらないのですが……ご存知ないですか?」

「何?……ッ!あの女ァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでよぉルシファー、どうやって俺を召喚したんだ?もう7騎のサーヴァントが揃ってるはずだろ?」

「いや、正確には9騎だが……。まああれじゃ。聖杯戦争の予備システムを少し弄っただけじゃよ」

「予備システム?……おいおい、この地の魔力がなくならねえか?」

「いや、今召喚されておるのは9騎のはず。妾の計算では14騎未満ならなんとか持つと計算しておるが……まああんまり召喚すると面倒なことになるのでな」

「そうかい。流石は魔王ってか?」

「大したことはしておらんよ。……ところで、その紅槍はどうしたのだ?」

「これか?なんか置いてあったからパクった」

「手癖の悪い女じゃのう……」

「そりゃどうも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





いかがでしたか?

では、ランサーのステータスどうぞ。








【クラス】ランサー

【真名】『終焉末路(カウンター・ラグナロク)』の一人、バット=エンド。

【属性】中立/中庸

【ステータス】
・筋力A+
・耐久B
・敏捷EX
・魔力A
・幸運C
・宝具EX

【保有スキル】
・戦闘狂B
(戦闘中、一定の間隔で判定を行い、低確率で加虐体質のランクが1ランク上がっていく)

・加虐体質E

・戦闘続行A

・無窮の武練A

・勇猛A

・単独行動A

・神性B

・カリスマB

・野生の勘A
(直感A&気配察知A)

・騎乗B

・対魔力A

・白魔法A

【備考】エンド・コールを始末するために作られた組織『終焉末路(カウンター・ラグナロク)』の一人。
二つ名は最速の黒槍姫。最速の名の通り四人の内で一番足が速く、推定速度はマッハを超えると言われている(決して逃げ足ではない)。
永時曰く、見えないぐらい速い速度チート。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。