Fate/Evil   作:遠藤凍

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切嗣と永時の師弟関係の始まり。とは言っても軽い馴れ初め程度ですが。

ナタリアの口調ってこんな感じだっけ?

では、どうぞ。




師弟関係(半ば強制)

 

 

「何の用だナタリア。こっちは今追われてる身だぞ?」

「まあまあ、あたしとの仲じゃないか」

 

 

ナタリア・カミンスキーとの出会いは敵同士ということから始まった。

当時の永時(この時からもう黒ずくめだった)は封印指定を受けている真っ只中で執行者とのリアル鬼ごっこをし続ける日々を送っていた。そんな大半の執行者とは別のごく少数の中に彼女が入っていたのである。

結果としては永時が逃亡することにより何もなく終わったかのように思われたが腐れ縁とも言えるものであろうか、再会は案外すぐに訪れた。

 

永時もまさか逃亡先の酒場で再会するとは思いもしなかっただろう。

そこから後はただ普通に2人で飲んで、近代兵器を使う共通点から話が合い、共に仕事をする仲にまで発展したというわけである。

 

 

「まあ最近この生活に飽きてきたから構わんが……」

 

 

最近まではリアル鬼ごっこをゲーム感覚で楽しんでいたものの、最近はザコ続きでいい加減この生活に飽きてきたところに丁度かかってきたのが旧知の女、ナタリア・カミンスキーからの連絡だったというわけである。

 

まあ言うなれば暇つぶしがてらに寄ってみたようなものである。

 

 

「ならいいじゃないか」

 

 

とりあえずついてきてくれ、と言われ彼女の背を追っていくとある1人の少年がベットの上で規則正しい寝息を立てて眠っていた。

永時はその光景に目を見開き、ナタリアとその少年を何回か見た後こう告げた。

 

 

「……とりあえず警察行こうか?安心しろ、腕の立つ弁護士を紹介してやるから」

「落ち着け、一旦話をしようじゃないか。あと、あたしをなんだと思ってるんだ?」

「冗談だよ、冗談」

 

 

とは言うものの実際内心ではショタコンになったのかとヒヤヒヤした自分がいたが……。ショタコンは知り合い1人で充分である。

そうこう言っている内に少年は目を覚まし、永時を見て誰だと言いたそうな顔でナタリアを見ていた。

 

 

「紹介しよう、この男は終永時。今日から坊やの師となる男だ」

「「……は?」」

「……何か意見でも?でも、あくまで聞くだけで拒否権はないぞ?」

「いやいや大ありなのだが?そもそもこいつは何者だ?」

「……アリマゴ島は知っているか?」

「アリマゴ島?確か死徒が出たとかで教会の奴らが慌てて出動していたのは知ってはいるが……?」

「……もうそこまで言えば分かるだろう?」

「……なるほどね、あの島の生き残りか……いや、魔術刻印が存在しているということは……衛宮矩賢の息子の衛宮切嗣ってとこか?」

「正解だ。よく知っているじゃないか」

「奴が封印指定される前に研究者として2、3度は会っていたからな。……そっか、奴は死んだのか」

 

 

教会も惜しい人材を失ったな、と言いつつ、その息子である衛宮切嗣を観察する。

 

 

「んで、それが理由だと?」

「なぁに、エイジが気に入りそうな存在と思ったのさ」

 

 

ナタリアは語った。

アリマゴ島にて島民が死徒化し、教会によって地獄と化した島を見た切嗣は別のところでも同じ事を繰り返すであろう父を見逃すことができず、背を向けた父を銃殺。その後衛宮矩賢を狙ってきたナタリアと島を脱走。そしてナタリアの交渉により矩賢の魔術刻印の2割を継承し、現在に至ったということを。

 

そしてそれを聞いた永時の反応はとてもいい笑みを浮かべていた。

 

 

「ほう……なかなか素晴らしい“悪”を持ってるじゃねえか。いいぜ、俺がこいつの師事をしてやるよ」

 

 

その時ナタリアは待ってましたと言いたそうな笑みを浮かべていたのを切嗣は見逃さなかった。

そしてこうも思った。

 

この男……どこかきな臭い、と。

 

まあ見た目からして誰もがそう思うだろう。

 

 

「おい、誰がきな臭いだ?あっ?」

 

 

と怒った声で言った後、切嗣の頭に鈍痛が走った。まあただゲンコツを受けただけである。

じんわりと痛む頭を抑えながら永時を睨むが子供の睨みに怯むわけもなく寧ろ鼻で笑って受け流した。

 

 

「言い忘れていたが坊や、この男には隠し事はできないから気をつけろよ?」

「クカカ、そういうこった。だって俺はーーー普通じゃないからさ」

 

 

その言葉にますます胡散臭いと思い、再びゲンコツを喰らったのは言うまでもないだろう。

 

 

その後半ば強制的に受けた彼からの師事は思い出せば目から涙が出るほど、厳しいものだったと語っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを思い出し、彼は出会った時から問いただしてことを再度問いただす。

 

 

「あなたは……何者なんだ?」

「何度も言ってるだろ?俺は普通じゃなーーーいや、少し答えを変えようか……」

 

 

 

 

 

「俺は、超能力者(エスパー)だ、とでも言っておこうか」

 

 

 

 

 

そう言い残し、横の女を肩に寄せると同時にその姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よろしいのですか?彼に秘密を教えたりして」

「別に構わんよ。バレたところで誰も対策はとれないんだからよ。それに……実際能力は教えてはいないだろ?」

「そうですが……あっ、そういえばそれがあなた様が封印指定を受けている理由でありましたわね」

「そりゃそうだろ?魔術師は探せばいるが、超能力者(エスパー)なんてこの世界にはいないからな」

「確か、その希少性故の封印指定でしたわよね?」

「まあそういうことだ」

 

 

そう言ってマモンを抱きかかえ、消えたり現れたりしながら空中散歩のように空を駆ける。

 

傍から見ればまるでお姫様を運ぶ王子様……には正直誰からも見えないだろう。永時の格好も格好だし、寧ろ誘拐に見えるだろう。

 

 

「てか流れで抱きかかえてるけど、お前……空飛べるだろ?」

「よろしいではありませんか。此方としては永時様に触れる機会ができたわけですし……」

「……はあ、目的地に着くまでだぞ?」

「まあよろしいではありませんか。わたくしの身体を堪能されておられるようですし」

「おい」

「フフッ、冗談ですわ」

「どうだか……」

 

 

内心ではあわよくばそのままどこかの廃ビルに入って襲って欲しいと願う変態お嬢様がいるが、まあ触れ合っているからいいかと納得した。

 

だが、そんな彼女の幸せも一瞬で終わる。

 

 

「こんなところにおったか」

「「えっ……?」」

 

 

何故ならそう……

 

 

「また会ったのう、エイジよーーーんっ?……何故強欲の奴がここにおる?」

 

 

現在魔王の中で上位に値する程、愛が重い(面倒くさい)2人が揃ってしまったからだ。

 

 






いかがでしたか?

次回は愛の重〜い2人が夫(仮)を巡ってバトる予定です。
狂信者とストーカー、果たして勝つのはどちらか?
まあ結局のところ、どっちが勝とうが永時は被害に合うのは目に見えてますが……。

では、また次回。


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