Fate/Evil   作:遠藤凍

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問:次のうち、この話に登場予定のキャラを答えなさい。
また、その理由(作者の心情)を簡潔に述べよ。

①クーデレ

②ファザコン

③妄想系ドM

④ツンデレ


さあ、どれでしょうか?では、どうぞ。





結論として彼には秘密が多すぎる。

 

 

「では、私は手筈通りに彼らを襲撃すれば良いのですね?」

 

 

同時刻、暗い空間で1人佇む青年は目の前の暗闇に話しかける。

 

 

「ーーー?」

「別に構いません。その覚悟はとっくの昔にできていますので……」

「ーーー」

「ええ、ですから“あの約束”は守っていただきますよ?」

「ーーー」

「なら良いのですが……では、そろそろ出撃準備に取り掛かりますので、私はこれで……」

 

 

青年が背を向けて去って行くのを暗闇はただ後ろからジッと眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベルフェゴール……怠惰の悪魔、ですか……」

 

 

いかにも怠惰らしく、机の上で布団を敷いて、ダラけきった表情で眠る美女を見てセイバーは納得する。

 

ベルフェゴールの伝承の1つとして、ベルフェゴールは自ら発明し、発明品を人間に譲渡することで堕落させるというものがあり、故に彼女が科学者であるのはすぐに理解できたのだが、

 

 

「……んんっ……zzz」

 

 

あまりの堕落っぷりにさすがのセイバーも警戒をあっさりと胡散させてしまった。

 

 

「ベルフェ様……ベルフェ様!セイバー様をお連れしましたよ!」

「んんっ……あと五分だけ……」

「ダメです!第一、呼んできてと仰ったのは誰ですか!?」

「ええ〜?もう、あと10分だけでいいから……」

「時間が増えてますよ……そんなことはいいので、早く起きてくださいよ!」

「あと10光年だけ……」

「それは時間の単位ではありません!」

 

 

こうなったら……、とアリスは近くの壁に付いていた青いボタンを押す。

 

するとジリリリリリ!!とけたたましい騒音が響くとともに壁や天井から数十個の目覚まし時計が出現した。

 

 

「ん〜!うるさ〜い!」

 

 

騒音に負けないぐらいのベルフェの叫びとともに影のように真っ黒な彼女が何人も現れ、目覚まし時計を止め始める。

だが、さすがに数十個の目覚まし時計のせいで起きたのか布団の中でモゾモゾしつつも上半身をゆっくりと起こした。

 

 

「んっ……ふあああ……よく寝た〜」

「ベルフェ様、お客様がお見えになられてます」

「んっ?……ああ〜!始めまして〜、私の名前は〜ベルフェゴール、ベルフェって呼んでね〜!」

「では、私はセイバーと……」

「真名はアーサー王、だよね?」

「えっ、ええ……」

 

 

真名を言われたことで驚いたがアリスが言ったんだろうなと自己解釈で済ました。

 

 

「ところで、私に用とは一体……?」

「ん〜とね〜、一回英霊って存在とお話ししたかったんだよね〜」

「嘘を言わないでくださいボケマスター。つい先日までサーヴァントのサンプルが欲しいって仰っていたではないですか……」

「あっ、そうだったね〜!ちょっとそこに座って〜」

「大丈夫です、戦闘に響くようなことは致しませんので……」

「そうですか……」

 

 

2人に促されるままに近くの椅子に座らされるセイバー。

 

威風堂々としているが若干固くなっているのに気づいたベルフェはニッコリと微笑んだ。

 

 

「大丈夫だよ〜。ほんの少しで終わるから〜」

「ベルフェ様、早くしないとマスターに怒られますよ?」

「うっ……永くんは怒ると怖いからね〜。じゃあ、始めよう〜!……解析開始(アナライズ)

 

 

サファイアの瞳が更に碧く光るとともにセイバーの足元に同色に光る魔法陣が出現する。そしてそれはゆっくりと上がり、セイバーの頭のてっぺんで下がり、足元のところでまた上がりとそれを何回か繰り返した後。魔法陣が消え、セイバーの目の前には満足顔のベルフェがいた。

 

 

「おお〜!これがサーヴァントという存在なのか〜!」

「データを移しておきますね?」

「おお〜!流石は私の作った優秀な助手だね〜!」

「私はそのために作られた訳ではありませんよ……」

「では、私はこれで……」

「あっ、セイバーちゃん〜ちょっとお話ししない〜?」

「しかし……」

「永くんなら酒に酔って寝てるし〜、いいんじゃない〜?」

 

 

確かに……とセイバーは酔って眠ってしまった永時を思い出しそれならいっかと思い、中途半端に上げていた腰を下ろし席に再度座った。

 

 

「……で、永くんは何て言ってたの〜?」

 

 

永時自身の過去、永時がここに来て20年も生きていること、そして彼に恋人がいたこと。セイバーは先程されたばかりの話をした。

するとベルフェはう〜ん……と考える仕草をしたのち、あれ?と首を傾げた。

 

 

「永くんは“前回の聖杯戦争”に参加していたはずだよ〜?」

「前回の聖杯戦争!?そんなことは一言も……」

「永くんはアサシンのマスターとして〜参加したはずだよ〜?」

 

 

衝撃の事実に唖然となるセイバー。

それもそのはず、聖杯戦争は60年に1度行われるもの。つまり、永時は少なくとも60は軽く生きているということになる。

 

60代なのに見た目や体つきは20代のまま。どうやら不老というのは本当らしい。

 

 

「ですが……どうして嘘なんかを……?」

「さあ?酔っていたから仕方ないんじゃない〜?永くんは酔ってる時はよく話すし〜記憶が混濁する時がたまにあるしね〜。酔いが覚めた時に聞いてみたら〜?」

 

 

では、そうさせていただきます。とセイバーは椅子から立ち上がり、

 

 

「あっ、ちょっと待って〜」

 

 

いざ去ろうと後ろを向いたところで後ろからベルフェに静止の言葉をかけられた。

 

 

「まだ何か……?」

「んっとね〜……アリス〜、あれ持ってきて〜!」

「あれですね。えっと……」

 

 

アリスは資料の山々をガサガサと粗探しを始め、1つの用紙の束を取り出した。

 

 

「これでしょうか?」

「そうそうこれこれ〜!はい!これを永くんに渡しておいて〜。あと、永くんによろしく伝えておいてね〜!」

「分かりました。お伝えしておきますね?」

 

 

そう言ってセイバーが退出して行ったのを見たベルフェは。

 

 

「さてと……うんしょ」

 

 

いそいそと布団の中へ戻っていき眠ろうと目を瞑り、

 

 

「ーーー何しているのですかボケマスター。まだ仕事は終わっておりませんよ?」

「だって〜、今日は英霊とお話しできて〜いい気分だから〜」

「だから寝ると?……ほう?」

「はわっ!?」

 

 

元魔王といえどそれなりの実力があるはずだが、そんな元魔王がビビるほどの怒りのオーラを放出するアリス。

 

 

「えっ……?ア、アリス?」

「いつもいつもいつも!ことあれば惰眠ばかり……いい加減……」

 

 

ガチャガチャ!とアリスの腕や背中からガトリングやら刀やらキャノン砲やらミサイル砲などの殺戮兵器が出てきて、無論切っ先は全て作り主であるベルフェの方へ。

 

 

「仕事しなさーい!!」

「えっ?ちょっと待っーーーにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

この日、研究室の一部が爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベルフェの霊圧が……消えた?」

「エイジ、何を仰っているのですか?」

「いや別に……帰ってきたのか」

「ええ……酔いが覚めたのですね」

「ああ、酔いが覚めるのは早い方だからな……職業柄ってやつだ。……そうだ、さっきの話の件だが……」

「年齢が間違えていたことについてですか?」

「えっ?ベルフェから聞いていたのか?」

「はい……それにエイジが前回の聖杯戦争に参加したと聞きました」

「そっか……悪いな。前回のことをバラしたくなかったんだよ」

「そうですか。あの……良ければ聞かせていただけませんか?前回の聖杯戦争について……」

「クカカ……いいぜ?酔ってねえからさっきみたいに間違えはしねえ……とは思うぜ?」

「とは思うぜって……不安要素がありますが?」

「まあそう言うなって……さてさて、まずは前回の聖杯戦争に参加した過程から話そうか。

 

そもそも俺が参加した理由としては当時お得意様だったエーデルフェルトからの依頼でな。今は衰退こそしているが当時はまだ有名な貴族の家系の1つでな、俺はその家からの参加者であるエーデルフェルト姉妹っていう本当に姉妹か?って思うほど仲が悪い姉妹の協力者として参加することになったんだよ。

 

依頼内容は簡単に言うとマスター殺し、だな。

 

あの姉妹はとても面白い発想をしてな。姉妹ということを利用して善と悪両方の詠唱を唱えて召喚を行ってあら不思議。善と悪両方の属性を備えたサーヴァントが召喚されたのさ。いやぁ、あの時はかなり驚いたよ。

 

で、実際聖杯戦争が始まって俺が最初に行ったのはアサシンのマスターの闇討ちだ。アサシンは俺がマスター殺しをする上で最も邪魔な存在だったからな……。マスターが人形師だったかなんだか知らんが、クソ弱かったからあっさり始末できたよ。

 

んで、あっさり始末できたのはいいがな……アサシンが残ってたからそのマスターから令呪を奪い取り、あの姉妹のサポートとして情報収集と裏工作が出来そうなアサシンのマスターになったのさ。

 

だけど俺が姉妹の所に戻っていた頃。なんとあの姉妹は仲間割れを始めててな。まああの二人は血が繋がってるか怪しいぐらい仲が悪かったからいつかは起こると考えてはいたがな……。まさか序盤でやるとは思わなかったよ……。

 

結局、俺が戻ってきた頃には妹ちゃんは死んでいて、姉(あね)ちゃんの方は辛うじて生きていてな。治療してやった後彼女は速攻祖国へ帰って行ってしまったよ。そこでエーデルフェルトは序盤であっさり敗退。

 

仕方なく残った俺はエーデルフェルトに報告。その後興味半分でアサシンのマスターとして参加することにしたのさ……まあ、最後にあんなもん出てくるとは考えてもなかったが……」

「あんなもん?それは一体……」

「……残念だがそれは言えん。悪いな、いつかは話すから」

「そうですか……」

「ところで、ベルフェに何て言われたんだ?」

「その件なのですが、実はベルフェから永時にこれを渡して欲しいと……」

 

 

セイバーは先程ベルフェから渡された用紙の束を手渡す。

 

永時は受け取ってすぐにペラペラとめくり、あるページでその手を止め、笑みを浮かべた。

 

 

「……ほう、なるほどね。……こいつは面白え」

 

 

だがその笑みはとても主人公とは言い難い悪役染みた笑みだった。

 

 

 

 

ーーーサーヴァントの真名調査による報告書。

 

以下の内容は今回の聖杯戦争のサーヴァントについて記載する。

 

 

 

『遠坂時臣・アーチャー真名→古代ウルクの王ギルガメッシュ』

 

『間桐雁夜・バーサーカー真名→湖の騎士ランスロット』

 

 

 

なお、付近に魔王らしき反応を5つ確認。

 

詳しい詳細は次ページにて記載。

 

 

 

「5つ、だと?」

 

 

数の多さに疑問を抱きつつもページを進めるとその疑問はすぐに消えた。

 

 

「内2つの反応はここだからアスモとベルフェ。内一つは間桐邸だからルシファー。内1つは……新都の方じゃねえか。確かオフィス街だったよな……まさかあいつか?……で、最後の1つは……冬木中を移動して回っている?これについての詳細は次ページに……ヒント?」

 

 

次のページをめくり、目を疑うような内容に永時の表情は驚愕に満ちていた。

 

 

「何々……えっ?あ、あの子が帰ってきたのか?マズイぞ……ひっじょぉぉぉぉぉぉに、マズイ!」

 

 

持っていた書類を床に放り投げ、非常に慌てた様子で部屋の片付けを始める永時。

 

 

「何が書かれていたのですか……?」

「何がもクソもねぇよ!お前も片付け手伝ってくれ!」

 

 

あたふたしながら片付ける永時を横目で見つつ、何が彼をそうしたのか気になったセイバーはさっき永時が放り投げた書類を拾い上げて目を通す。

 

 

「『ヒント!永くんと私がよ〜く知っているあの子だよ〜!あっ、私が連絡しておいたから〜、時期にコッチに来るはずだよ〜!』……誰なのでしょうか?」

「誰って!?そんなのーーー」

 

 

そこでピンポーンとインターホンの音が鳴り響く。てか、インターホンあったんだ……。

 

と、同時に扉が開き、

 

 

「おとうさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

見覚えのある光景と共にニルとはまた別の美少女が永時にダイブしーーー

 

 

「遅い」

「うぎゃ!」

 

 

美少女と永時が触れそうな距離に達しかけた瞬間、永時の姿が一瞬で消え、美少女はそのまま重力に従って落ちて行った。

 

 

「お父様!?娘がいたのですか!?」

 

 

そんな美少女はほっといていつの間にか横にいた永時の胸ぐらを掴んで揺さぶってどうなんだコラ?と言いたそうな表情を見せて真実を問いただす。

 

 

「あぁ……いやな、これにはマリアナ海溝より深〜い訳があるわけでな……揺らすなセイバー、よっ、酔っちまうか、ら……!」

「お父様!」

 

 

胸ぐらを掴むセイバーの腕を払うとそのタイミングを見計らっていたのか今度は永時の娘?が抱きついて永時の胸に顔をうずめて形で引っ付く。

 

 

「……とにかく紹介するよ。ほら、自己紹介しな」

「はい!初めまして!ネルフェ・B・終です!」

「そうですか……ん?ミドルネームのBはまさか……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ?ミドルネームのBはベルフェゴールのBですけど……」

 

 

 

 

 

 

ここに爆弾が1つ、投下されたのであった。

 

 






答:②
模範解答:staynightのイリヤちゃん見てたら無性に書きたくなったから。


……言っておきますが、ネルフェちゃんは普通の子ではないので悪しからず。

では、また次回。


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