今回はクリスマスということで、番外編を書かせていただきました。
少し遅かったのは、キャスター戦と並行で書いていたからです。
とりあえずifのつもりで書いたので時系列はめちゃくちゃです。
では、どうぞお楽しみ下さい。
明後日は12月25日。
どうやら現世ではクリスマスという日らしく、人々が祭り事をし、何かを祝う日のことを指すそうだ。
家族で、友達で、夫婦で、そして、恋人同人で-----
夜にパーティーという祝典を開き、ご馳走を食べるそうだ。
ああ、クリスマスとはなんて素晴らしい日なのでしょう!これこそまさに祝典!私が求めていた理想郷!
しかし、今回の私は一味違う。
クリスマスの醍醐味………そう、それは-----
「-----プレゼント交換?」
「そうだよ。クリスマスでは仲のいい友達や好きな人、恋人や家族に贈り物をし合うのが普通だよ?セイバーの場合、僕とエイジだね」
「アスモとエイジ、ですか………確かに、普段からお世話になっていますしね……」
「そう、だから僕たちも贈り物を用意しなくちゃ!」
とは言われても………何を贈ればいいのだろうか?
「何を贈ればエイジは喜んでくれるのでしょうか?」
「うーん………エイジは多分何でもいいと思うよ?」
「そうなんですか?」
「うん、貰った物には絶対ケチをつけないから………」
「しかし何でもといっても、適当にするには………」
「だよね。エイジは普段から感情を顔に出さないから僕も毎年喜んでくれてるのか分からないからヒヤヒヤしてるよ……」
うーん………どうすれば………。
「じゃあ、無難にケーキでも作れば?」
「ですが私は料理は………アスモは経験は?」
「…………ない」
「ですよね」
「料理はいつもエイジに作ってもらってたし………」
「そうでしたね………」
「じゃあどこかのお店で適当に………」
「ッ!それはダメです!」
いくらなんでも年に一度の大事な贈り物、手を抜くのは流石に相手に失礼だろうとアスモに論ずるとーーー
「セイバー………僕感動したよ!そうだね!手間暇かけて、気持ちを込めることに意味があるんだね!」
「その通りです!」
「セイバー!」
「アスモ!」
そう言って私たちは抱き合う。
女の友情とはいいものだと“てれび”で言っていましたが、ここまで素晴らしいとは……!
「でもどうするの?料理はできないし………」
「いえ、まだ手はあります」
「え?」
今こそ、てれびの知識を活用する時!!
「では、早速出かけましょう!」
「えっ?ちょっと!待ってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
これは12月23日、クリスマスイブの前日のことである。
一方永時はというと……………悩んでいた。
もちろんアスモとセイバーのクリスマスプレゼントについてである。
アスモは…………エロ本でも贈ってやるか………?
いや、ダメだ。あいつは色欲の悪魔だから渡したら発情して襲われる危険性が………よし、やめよう。
やはり無難に猫のグッズか?とりあえずその線でいこう。
問題はセイバーだな……。あいつは…………食べ物か?
いや、あいつは変なところでマジメだから食べ物で釣れるか?やっぱり無難に………ん?
「これだ………!」
ふと、あるものが目に入ったエイジはすぐ様走り去った。
「何?編み物がしたい、じゃと?」
すっかりクリスマス気分の街につられた間桐家はクリスマスパーティーの準備に取り掛かっておったのじゃが………妾の契約者である小娘、間桐桜が急にそんなことを言ってきおった。
「うん……おじさんに」
相手は屍もどき………しかいなさそうじゃしな。
「しかしのうお主、編み物の経験はないのじゃろう?」
「………うん」
「ムムム………教えるのが面倒だしの………潔く諦めy「ルシファー姉様はできないの?」……無論できるが?」
「じゃあ教えて」
「それとこれとは話が別zy「教えること、できないの?」な、何を言うておる!妾は誰だと思うておる!」
「………口だけの人?」
キィィィィ!言わせておけば失礼なことを………!
「………いいじゃろう、今回は特別に妾自ら教えてやろうではないか!」
「ありがとう、ルシファー姉様」
クッ…………!こやつとおると調子が狂うわ。
そうじゃ、あの男にもプレゼントを用意してやらねばな。
「桜ちゃん…………ぐすっ………お、俺………!」
して、屍もどきよ。覗きとは趣味が悪いぞ?
「で、セイバーは何をする気なの?」
「フッフッフッ、よくぞ聞いてくれました。いいでしょう、今こそ明かされる私が求めていた究極の贈り物とは…………!」
ビシッと若干変なポーズで決めているが、英霊の持つオーラがセイバーから溢れ出し、思わずアスモは息を飲む。
「ズバリ、-----」
「……………ゴクリ」
「-----手編みの物です!」
バーン!と効果音が付きそうな勢いで言い放つ姫騎士。その勢いに思わずアスモもオォー!となるがあることに気づく。
「セイバー………それどこ情報?」
「もちろん“てれび”でですが?」
「そう………………セイバー、編み物の経験は?」
「ありませんが何か?」
「………そう」
ものすごく不安が積もるアスモであった。
「………ククッ…………クカカ………………クカカカカカカカカカ!我ながらいい考えが浮かんだぜ!クカカカカカカカ!!」
なんかマッドサイエンティストみたいな凶悪な顔で何かを始めようとするこの小説の主人公……………大丈夫だろうか?
「-----痛っ!」
「大丈夫ですかアスモ?」
「うん………あっ、セイバー!縫うところ間違えてるよ!」
「えっ!?そ、そんな…………またやり直し………」
「間に合うかなぁ…………」
「-----ここをこうして、こうすれば…………ほれ、やってみよ?」
「うん…………」
「あれって………魔王なん、だよな?おっと、俺も早くプレゼントを探さないと!」
そして、時は来た。
12月25日-----クリスマスという名の聖戦が。
「「「メリークリスマス!!」」」
各々がクラッカーを鳴らし、並べられた豪華な食事を食べ始める。
「モグモグモグモグモグ…………………」
「セイバー、少しは落ち着いて食えよ………」
「ほんとほんと」
「お前はお菓子ばっか食うんじゃねえ、子供か?」
「むう、子供じゃないもん………」
「だったらちゃんと食べなさい」
「はーい」
「モグモグモグモグモグ………………」
「どうしたセイバー?いつもなら『エイジ!クリスマスとは本当に素晴らしい祝典ですね!』とか言いそうなのによう?」
「モグモグ………食べ物が全てではない、ということです」
「?」
そしてやってきた醍醐味、プレゼント交換。
まずは間桐家から。
「はい、これは俺からのプレゼントな」
小娘にキラキラしたブレスレットを手渡す屍もどき。
「ありがとう、おじさん」
「ほう、屍もどきにしてはいいセンスじゃのう」
「俺だってやればできるってことさ。ほら、あんたもだ」
「妾に、じゃと?」
手のひら大の大きさの箱を渡され、中を見てみると、
「ゼンマイ式のオルゴール?」
「あんた綺麗な音色のものが好きなんだろ?」
試しにゼンマイを巻いてみると、とてもいい音色が聞こえてきおった。
これはなかなか…………。
「いい音色、だろ?」
「フンッ、まあまあじゃのう」
「そっか………「じゃが」………?」
「せっかくじゃ、ありがたく貰っておいてやろう」
「そうかい………」
「ほれ、小娘も渡す物があるじゃろう?」
「うん………おじさん、少ししゃがんで」
「ん………?こうかい?」
屍もどきがしゃがんだのを見計らって小娘は例のものを首に巻いてやった。
「いいよ?」
「えっ?これって…………」
「小娘の手編みのマフラーじゃな………」
紺色とは………なんか微妙じゃがのう…………。
おっといかん、次は-----
「次は妾じゃのう」
と言った途端に引き締まった顔になる二人-----そんなに緊張しなくとも良いのでは?
「ほれ、まずは小娘からじゃ………」
「これは?」
“見た目”は普通の薄い赤の髪留めじゃが………そう、見た目は-----
「それは妾の特別製での、それに魔力を込めるとすぐさま妾が飛んでくる+対攻撃Cの結界を張る代物じゃよ」
「とんでもない物作ったんだな………」
「まあその程度作るなら容易かったしのう………そうじゃ、屍もどきにもちゃんとあるから泣いて喜ぶが良い」
「俺にも?」
「さようーーーーーーバーサーカー!持って参れ!」
台所から箱を持ってくる黒騎士。
「妾からお主にやる代物はこれじゃ」
妾が手を軽く挙げると開かれる箱。
そこには真っ黒いケーキが………って黒い?
「ちょっと待て、妾は確か白いケーキを-----あっ」
しまった!!バーサーカーの宝具を忘れておったわ!
「確か………バーサーカーの宝具って………」
「掴んだものを宝具にする、じゃ………」
クッ!妾としたことが油断しておったわ!
「こうなれば………ありとあらゆる我が術を使って…………」
ケーキを元に戻す!
余談じゃがこのあと戻すのに三十分かかりもしなかったわ。これぞ妾!傲慢を冠する者の実力じゃ!
では、セイバー陣はというと…………
「…………」
「…………」
「…………何これ?」
ちゃぶ台を囲んで、二人の美少女が濃厚な威圧を出しながらたまに永時をチラチラ見てくる…………永時に変わってもう一度言おう、何だこれは?
現在食事が終わり、楽しいプレゼント交換のはずだが…………
「とりあえず、プレゼント交換をしたいんだが…………プレゼント、あるよな?」
「「もちろん(愚問ですね)!」」
「そ、そうかい………じゃあ、まず俺からか?」
ほれ、と言って二つの小包みを二人の前に差し出す。
セイバーには本体が青で銀のリボン、アスモにはピンク本体で赤のリボンの小包みだ。
「開けていい?」
「いいぜ?」
その言葉を皮切りに小包みを紐解く。
さて、気になる中身は?
「これは………私、でしょうか?」
「かわいい!」
二人に渡されたのは手のひらサイズの小さな人形だった。
セイバーは手のひらサイズの自身がライオンの着ぐるみを着ている………読者は知っている人もいると思う、セイバーライオンである。
アスモは手のひらサイズの自身がライオンではなく猫の仮装をしている………ネコアr………ではなくネコアスモ。
「よくできてるだろ?いやぁ、ホビーショップに寄った際にピンと来てな、ラボをフル稼働させて手作りしたんだ」
「これは………可愛らしいですね………」
「そうだね………」
セイバーの頬が緩み、つられてアスモの頬も緩み、それを見た永時はとても満足そうな表情をしていた。
「で、お前らもプレゼント、用意してくれたんだろ?」
「はい、そうなんですが…………」
「ねえ………?」
自分らよりいい贈り物をされて、流石の二人も言い淀む。
「アスモ………覚悟を決めましょう!」
「そうだね!せっかくだから一緒に出そ?」
「いいですね!では、せーので出しましょう。いきますよ?せーのっ」
二人同時にちゃぶ台の上にプレゼントを置く。
「セイバーは………ハンドウォーマー。アスモは………ハンドウォーマー?」
見れば黒と青の色違いのハンドウォーマーが一つずつ置いてあった。
「どうして一つずつ?」
「本当は手袋を作りたかったのですが…………」
「時間と技術が足りなくて…………」
「それで片っぽずつのハンドウォーマーが………」
申し訳なさそうにする二人を見て、永時は少し間を置いたあと、ハンドウォーマーを手に付けた。
「んっ…………いいんじゃねえか?俺としてはハンドウォーマーの方が作業がしやすいしな。………サンキュー」 「…………良かった」
「喜んで頂けて何よりです」
「何言ってんだ?こんな美少女二人に貰ったんだ、男としては嬉しい限りだぜ?」
「び、美少女………ですか………」
「ううう〜恥ずかしい〜」
言われ慣れていないのか、美少女二人は顔を赤くして俯く。
永時はこうなるのを分かってやっているから達が悪い。
「クカカ………まあそこが面白えじゃねえか、作者?」
そんなもんか………って、地の文読むんじゃねえよ。
「悪い悪いーーーほら、二人とも。いつまでも顔赤くしてねえで、さっさと締めるぞ?」
「………そう、ですね。やることはやっておきましょう。ほら、アスモ?」
「…………うん」
「ではーーーーーーせーのっ!」
「「「メリークリスマス!!」」」
おまけ
_________________________
1:アインツベルンのクリスマス
「----えっ?クリスマスパーティーがしたい?」
「………」
「じゃあ切嗣に相談してーーーえっ?サプライズの方が面白そう?………確かにそうね。いいわ、やりましょう?」
「マダム………ビギナーの言っていることが分かるんですか?」
「ええ。彼は意外と大人しい性格なのよ?」
「それは意外ですね………敵を容赦なく襲うので、もっと狂暴な性格かと………」
「…………」
身振り手振りでアイリスフィールに意思を伝える。
「私は普通の人間ですので………ですって」
「ランサーの片腕吹き飛ばした人物が普通の人間とはとても思えません………」
「…………」
「失礼な!そんなこと言うならケーキを作ってあげませんよ?って」
「すみませんでした」
「………」
「分かればよろしい」
「………」
「では、早速ですが準備を手伝っていただけますか?って。私は別に構わないわよ?」
「ええ、私も構いません…………ケーキのためなら」
「………」
「まずはケーキ作りから始めましょうって」
「ッ!是非お手伝いをさせてください!」
「…………というわけでパーティーを開きました!」
「…………」
仲良くハイタッチするアイリスフィールとビギナー。
「いやいやアイリ。今は聖杯戦争の途ch「ビギナーがたまには休息も必要ですよ?って」………もうなんなんだこのサーヴァント。規格外の力を有しているのに性格は凡人って………」
「………」
「ちょっ、何勝手に撮影しているんd---えっ?イリヤにお父さんたちの楽しんでいる姿を送りつける?………まあそれならいいが………えっ?今の内にプレゼントでも買って送ってやれ?………確かにな、遅くなるけどイリヤが喜ぶなら………」
「切嗣が折れた!?」
「ビギナー………恐るべし………」
1:アインツベルンのクリスマス 完
2:自称妻の贈り物
クリスマスパーティが終了し、眠りにつこうとベッドに足を運んだ時にそれは起こった。
「ーーーーー痛っ」
コツンと何かが降ってきて、永時の頭に当たる。
「…………なんだこれ?」
床に落ちたそれは銀ピカに輝くーーー高さのあまりない長方形のプレゼントボックスだった。
「うわぁ………どっかの金ピカ思い出すぜ……」
若干ビビりながらも包装紙を剥がし、中身を確認するとーーー
「あれ?マフラーじゃん」
黒のマフラーだったのでとりあえず広げてみてーーーーー固まった。
よく見れば白の糸でこう刺繍されていた。
ーーーEIJI LOVE と。
送り主が誰かすぐに判明し、永時は深いため息を吐く。
他に何かないかと箱を探ると、一通の手紙があった。せっかくなので中を開けて読んでみると、
『愛する我が未来の夫へ
前略
いつになったらお主は妾の夫になってくれるのじゃ?
この超絶完璧最強美女である妾を負かしたほどの男じゃーーー責任は早うとっておくれ…………。
まあ、妾は寛容じゃから、昔みたいに奴隷になれとは言わん。
それはそうとさっさと婚姻届にサインしておくれ、後の手続きは妾がしておくから。今なら三食寝床風呂付きで面倒を見てやるぞ!
そうそうお主は子供が何人欲しい?妾は三人は欲しいのうーーーっと、これはちと早すぎたかの?まあお主に純潔を捧げる準備はできておるからいつでもウェルカムじゃ。
妾はお主のことを常に見守っておるぞ?
どうして居場所が分かるじゃと?それは無論、妾とお主の愛の為せる技よ!
待っておるからの、ダーリン♪
by お主の愛するルシファーより』
「ーーーッ!?」
読み終わり次第すぐさま辺りを見回して監視の目がないか確認する。ちなみに永時は前世でも今でも独身である。
手紙の他に、あらかじめ記入された婚姻届が同封してあった。あとは永時が印をするだけで完成するのである。
「あの女………まだ諦めてなかったのかよ………怖えよ!」
もはやストーカーと化している魔王(笑)に永時はただ震えて怯えるしかなかったー----はずもなく。
「----ー寝よ」
毎度毎度ご苦労様と呟くと考えることを放棄して、さっさと寝ることにした。
「----おやすみ」
「よく眠るのじゃぞ?」
「----ーッ!?………気のせい、だよな………?」
2:自称妻からの贈り物 完
いかがでしたか?
どうしても書きたかったクリスマス編。
気まぐれな作者をお許し下さい。
では、メリークリスマス! 良いお年を!