Fate/Evil   作:遠藤凍

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どうも、遠藤凍です。

今回は短めで色々と読みずらい点がありますのでご了承ください。

では、どうぞ。



聖杯問答ーー終幕ーー

 

 

ライダーの号令により、それは始まった。

 

戦略もない、ただ一方的な狩りが。

 

ライダーは軍勢を先導するように、尖兵のように砂漠を駆け、最も距離が近い女のアサシンの首を切り落とし、それに続くように軍勢は槍を投げ、剣・槍で次々とアサシンを斬り伏せる。

ライダー以外のサーヴァントはただその攻撃を見届けるぐらいしかせず、

 

 

「クッ……惜しいことをしたのう……」

 

 

情報源が失くなるのは分かってはいたが、手を出せないため、魔王は悔しそうにライダーを睨みつけるぐらいしかできなかった。

そしてその蹂躙を受けているアサシンはただその攻撃を受けるしかなかった。

 

圧倒的物量を目の前にして呆然とする者、現実から逃げるように軍勢から逃げる者、無駄だと分かっていてなお挑む者。

 

 

 

 

何をしようと関係なく、アサシンたちはその圧倒的数に飲まれ、10分もたたぬ内にそれは終わった。

 

 

 

 

敵が全滅したのを確認するとライダーは剣を上に掲げて勝利の叫びを上げる。

 

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

『オオオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 

 

更に負けじと軍勢も雄叫びを上げる。

 

 

「これが……ライダーの宝具!?」

「す、すごい……」

「ほう、雑種にしては……」

 

 

その蹂躙の様子にその場の全員が驚愕と感嘆に浸る中、ルシファーだけは思いつめた表情で軍勢を見つめていた。

 

 

「……ルシファー?どうかしたか?」

「いやのう……妾も“あれ”と似たようなのを持っておるぞ?」

「えっ……?まさか……?」

「そのまさかじゃよ?」

 

 

またあれとやるのっ!?と内心シンクロをした永時とアスモ。そして、それを見透かしてニヤついているルシファーがそんなことをしている間にライダーは固定結界を解除し、元の中庭に戻っていた。

 

サーヴァントたちは特に何も思うことなく、酒飲みを再開する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、物事にはいつも終わりは存在する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーッ!?そ、そろそろわ、私はかeらせていtaだきます……ね……」

「……時間か?」

「……えe」

 

 

ビギナーの宝具の限界が近づき、理性が失くなり始めたところで、聖杯問答はお開きとなった。

 

 

「今日はもう言いたいことを言い尽くしたし、ここらで終幕としようか」

「ッ!ライダー!私はまだーーー」

「貴様はもう黙っておけ」

 

 

そう語るライダーの視線には怒りはなく、寧ろ憐れみへと変わっていた。

そして、それに気づいたセイバーは言いかけた反論を辞める。

 

 

「セイバーよ。いい加減その痛ましき夢から目を覚ませ。さもなくば貴様は、英霊としての最低限の誇りを失うことになるぞ?」

「何だと?」

「貴様の夢見た王とは、貴様自身を苦しめ続けるだけの呪いでしかないのだ。……行くぞ、坊主」

「あっ……ああ」

「待てライーーー!」

 

 

セイバーの静止の声を聞き流し、ライダーはマスターと共に戦車で空を駆け、夜の闇へ消えていった。

 

 

「我もそろそろ去るとしよう。……そうだ、セイバーよ」

「何だ?」

「奴の言葉に耳を傾ける必要はないぞ?貴様は、貴様の信ずる道を進めばよい。その道の果てまで突き進んだ際の姿はどのようなものか……楽しみにしておるぞ?」

 

 

それと……と言って、ビギナーの方を見やる。

 

 

「……私、Deス……か?」

「そう、貴様だ」

「……ナにka洋……Deスか、金ピカ王?」

「英雄王だ。……やはり貴様も我直々に裁いてやらねばならぬと思っただけだ」

「……はァ?」

「……原点にて頂点に君臨する王?……冗談も大概にしておけよ?王は天上天下、我一人だ」

「……だkaラ、殺すト?」

「……無論だ」

「……Naルほど……まア、ココ以外の殺りアイを受けると言っタのは私ですしね……イツデモイラシテクダサイ」

「まあ、その無個性な面が恐怖に染まれば、さぞかし見物であろうなぁ?」

 

 

ではな、と不敵に笑いながら、アーチャーは霊体化して中庭から姿を消した。

 

これで残りはルシファーとビギナー陣とセイバー陣だけになった。

 

 

「……エイジ」

「……なんだ?」

「……どうしてあの女の味方をするのだ?」

「はぁ?」

 

 

ルシファーの言葉が理解できない永時にルシファーは溜め息を吐いて続ける。

 

 

「……いや、なんでもない。……ではな」

 

 

だが、結局言葉を飲み込み、背中から漆黒の翼を広げ、空を舞って夜の闇へと紛れていった。

 

そろそろ帰るか、と永時はアスモとセイバーに声をかけ、中庭に背を向ける。

 

 

「……そうだ、ビギナー。少しいいか?」

「……?」

「……お前、あの時どうして嘘をついたんだよ?」

 

 

ピタッと、帰ろうとしていたビギナーの動きが止まる。

 

 

「……どうイう琴……Deスか?」

「あれだけ頑張って“普通”になろうとした奴が、どうして今更聖杯なんかに頼るんだって聞いてんだよ」

「……気ガ変ワッタンデスヨーーー」

「“自力で”普通になることがお前の悲願なのにか?」

「……」

「無言は肯定とみなすが?」

「……ソウイウアナタノ願イハナンデスカ?」

 

 

逆に質問され、しばらく考え込んだ後、永時は答えた。

 

 

「……俺に願いなんてねえよ」

「嘘デスネ」

 

 

即座に否定され、若干困惑した永時を見て、ビギナーはニヤッと笑った。

 

 

「……聖杯戦争二選バレルマスターノ条件ハ、何カ願イヲ持ッテイル者ナノデスヨ?」

「……」

「ホラネ?私ト貴方ハ同ジナノデス」

「……分かった、これ以上深くは追求しない。……これでいいな?」

「分カレバ良イノデス」

 

 

デスガ、とビギナーはセイバーを今まで以上にキツく睨みつけながら言う。

 

 

「貴方ノ願イダケハ、絶対二阻止シテミセル」

「お前、どうしてそこまでしてセイバーを目の敵にするんだ……?」

「アア、ソレハデスネーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私ハ正義ヲ語リ、名乗ル者……ソウ、特二偽善者ガコノ世デ一番嫌イナノデス……殺シタイ程二ネ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前……」

「タダ……ソレダケノ事デス」

「ちょっと待てーーー」

 

 

永時の静止を聞き流し、ビギナーは光の粒子となって中庭を去って行った。

 

 

「……さて」

 

 

過ぎたことは仕方がない、と永時は気を取り直して、2人の方を見やる。

 

憤怒と哀愁の混じった表情のセイバーとそれをどうなだめようかとオロオロするアスモ。

 

 

「……まずは飯でも食わせるか」

 

 

とりあえず、セイバーを落ち着かせるところから始めよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが、あの人の新しい拠点ですか……」

 

 

前回登場した謎の少女は今、トランクケースを掲げて、ある建物の前で佇んでいた。

 

 

「クンクン……ムッ!これは女の匂い……!?またあの人は……!」

 

 

……女の匂いって、実際に分かるのだろうか?

 

とにかく、少女はトランクケースから一丁の拳銃を取り出すと憤怒の表情を浮かべながら建物の中に入っていった。

 

 






いかがでしたか?


前々回のクイズの答え、つまり嘘つきは、永時とビギナーでした!


えっ?2人もいたのかって?……誰も1人だけとは言ってませんよ?あと、誰もサーヴァントだけとは言ってませんし……。

2人の願いは何なのかはまた今度ということで……。

では、また次回。


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