Fate/Evil   作:遠藤凍

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どうも遠藤凍です。

遂にUA数が2万を突破いたしました!

これも皆様の応援のおかげでございます。

失礼ながらこの場をもって言わせていただきました。

これからも応援のほど、よろしくお願いいたします!


では、どうぞ。




聖杯問答 ーー願いーー

 

 

ーーー絶対強者、ねえ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、残念ながら違うと述べておこう。

 

所詮それはただの肩書きに過ぎないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、私と互角の人物がまだ存在していたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私にとってその人は無二の友であり好敵手、そして、私の唯一の希望であった。

 

その人は私に本当の笑顔を、情を、異常としての生き方の楽しさを、色褪せて見えていた世界に色をつけてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、それも長くは続かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その人は私の前から姿を消したからだ。

 

何故!?どうして!?

 

疑問ばかりが私の頭をよぎり、私は知ってしまった。

 

 

もう、その人はいないのだと。

 

 

再び私の世界が色褪せてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、まだチャンスはあったのだ!

 

だから私はこのチャンスに賭けようと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからもう少しだけ待っていてくれーーー友よ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖杯を手に入れ、合間見えるその日まで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それではまず、最初に己が大望を聞かせてくれる者は名乗りを上げよ。なぁに、遠慮することはないぞ?」

「待て」

「ん?」

 

 

最初に切り出したのは意外にもアーチャーからだった。

 

 

「そもそもあれは我の所有物。世界の宝は1つ残らず、その起源を我が蔵に遡る。故に、その所有権は今も我にあるのだ」

「では、あなたは生前に聖杯を持っていたと?どんなものかご存知で?」

「知らぬ。我の財の総量は、とうに我の認識を超えている。だが、宝とあるというなれば我が財であることは明白。それを勝手に持ち出そうとは図々しいにも程があるぞ?」

「そんな無茶苦茶な……」

 

 

アーチャーの酒を我が物顔で飲んでいる、ライダー以外の他のサーヴァントも同感だと言いたそうな顔でアーチャーを見る。

 

 

「まあまあ……他に誰か名乗りを上げる者はおらんか?」

「では、次は妾がいこうかの?」

 

 

笑みを浮かべたルシファーが挙手すると他のサーヴァントとマスター達は期待に満ちた視線でルシファーに集中する。

 

永時1人を除いて……。

 

 

「妾の願いはーーー特にないな」

 

 

その場の全員がずっこけた、ように見えた。

 

 

「どういうことだそれは?」

 

 

ライダーが代弁して尋ねるとルシファーは笑みを崩さぬままの表情で語る。

 

 

「いやな……妾の望みは人間観察じゃからすでに達成しておるし……」

「セイバーのマスターへの婚約を頼もうと思わんかったのか?」

「いや、妾としては聖杯で叶えても妾自身が満足いかんし、どうせなら彼奴とは愛しあう仲になってから結ばれたいしのぅ……聖杯による偽の愛などいらぬわ」

 

 

言ってて照れくさいのか、頬を赤らめながら話すルシファー。

 

アスモは隣の相棒を睨みつけ、理由も分からずイラっとしたセイバーはとりあえずマスターに怒りの目を向けることでやり過ごし。言われた本人は馬鹿かあいつ?と若干の照れと自身を選んだことへの負い目が混ざった顔でルシファーを見ていた。

 

 

「欲のない奴だのう……だが、気に入った!どうだ?余の臣下になる気はないか?」

「残念じゃが妾を従えたければ力で示してみよ。まあ、妾を倒せた者は1人しかおらんかったがな」

「ほう?面白い……いずれ挑ませてもらうぞ?」

「ふふ、楽しみじゃのう」

「で、次は?」

 

 

アーチャーの呼びかけに手を挙げる男が1人。

 

 

「では、次は私、でしょうか?」

 

 

とりあえずノリで挙げましたよ?と言いたそうな顔でサーヴァント達を見回す。

 

 

「私の願いはしいて挙げるなら……普通になりたいですね」

「普通?」

 

 

あまりに意外過ぎる願いに一同は唖然とする。

そんな中、ビギナーは大して気にもせず続ける。

 

 

「私は生まれた時からずっとそれを夢見てきたのです……普通に働き、普通に結婚して、普通に子供を産んで、普通に死ぬ……そんな生き方をしてみたいのです」

 

 

そう、これが彼の夢であり『普通求めし異常者(ノット・バット・ノーマル)』となる彼の原点ともいえる。

 

生まれもって異常だった故に普通を求める。

 

例え、全てを失ったとしてもそれでも、普通になりたかった。

 

 

「英霊にしては意外な願いだのう……」

「残念ながら私は英霊程異常ではなく、あくまで普通でいるつもりなので」

 

 

あまりに異常過ぎる男の意外な発言にサーヴァントやマスター達はただ呆然としていた。

 

 

 

 

 

ーーーただ1人を除いて。

 

 

 

 

 

「エイジ?どうしたの?」

「いやちょっとな……」

 

 

魚の骨が喉に引っかかったような違和感を覚えたが後で考えるかと即座に放置して話を聞くことに専念することにした。

 

 

「変わっておるのぅお主」

「変わってなどいません、あくまで私は普通ですので……そういうあなたの願いは何なのですか?征服王」

「むっ、余か?」

 

 

いきなりの振りに少し驚くが、酒を飲むと照れ臭そうに頬を指でかきながら答えた。

 

 

「……受肉だ」

 

 

その意外性にその場にいた全員が驚きの声を上げた。

中でも彼のマスターが一番大きな声を上げていた。

 

 

「お前!望みは世界征服だったはzーーーぐえっ!」

 

 

もはや兵器に近いサーヴァントのデコピンで黙らせると大きな溜め息を吐いて肩を竦めた。

 

 

「馬鹿者。いくら現界してようと所詮サーヴァントの身。今世を生きる人間とは違い、魔力で現界しておる……故に!1つの生命としてこの世に根をおろし、この身をもって全てを征服する、それが余の覇道である!」

「なるほど。つまり聖杯戦争はあくまでお主の大望のための過程、ということじゃな?」

「さよう!その小さき願いを基盤に、世界を征服するという大業を成し遂げることが、余の真の願いである」

「……そんなものは王のあり方ではない。例えそれが王のあり方であってもそれはただの暴君だ」

「ほう、ではセイバーよ。貴様の願いと王道を聞かせてもらおうではないか?」

「私の望む願いはーーー」

 

 

セイバーは告げる。まだ、己のマスターにも話していないことをーーーずっと隠し通してきた聖杯への願いを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が故郷の救済ーーー祖国の滅びの運命を変えることだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで時が止まったかのように、場の空気が凍った。

 

 

 






いかがでしたか?

ビギナーの宝具『普通求めし異常者(ノット・バット・ノーマル)』はビギナー自身と人々の“普通でありたい”という願いから生まれた宝具。

生まれもって異常だから普通を求める……力を持つ人のよくある悩みですね。

まあ、『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』と由来は若干似てますが……


ですが普通であるからこその弱点は三つあります。

1つは某幻想殺しと同じ対策をとる。

ではあと2つは何か、考えてみてください。




ヒントは……"普通とは何か?"




ヒントになりましたでしょうか?



あともうひとつ問題です。
この中に嘘つきがいます。

さて、誰でしょうか?





では、また次回。



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