今回はセイバーさん視点の日常回
では、お楽しみ下さい。
セイバーの日常
私こと、セイバーの朝は早い。
朝日が昇る時間帯。
現代の時刻で午前6時に目覚め、前に買ってもらった“ぱじゃま”から“じゃーじ”に着替える。
拠点(新都の東側の中央より)から未遠川に向かってエイジから頂いた『
川に着いたら、川原で、訛ってないか確認しながら素振りをする。
ある程度したら、拠点まで走って戻り、じゃーじを脱いで、買ってもらった服に着替える。
そのままじゃーじを脱衣所の籠に入れて、台所に向かい、茶碗と箸を持って、エイジの自室の前で座って起きるのを待つ。
その数分後に扉が開き、エイジが眠気の残した顔ででてくる。
以前は驚かれたが今回から慣れてしまったのか、「飯だな?ちょっと待ってろ」と言って食事の用意をするために台所へ向かった。
普段あまり感情を表に出さない彼の驚いた顔が見れないのが残念だ。
去り際に、「まるでペットみたいだな……」と言っていたが、“ぺっと”とはなんだろうか?
今度エイジに尋ねてみることにする。
エイジの料理はどれも美味しいので、箸がよく進む。
今朝も2人前を平らげるとエイジの乾いた笑い声が聞こえたがどうしたのだろうか?
朝食後。
エイジは仕事が入り、外に出て行った。
どうやらある荷物の輸送と護衛を依頼されたらしい。
確か中身は……世界で1番最初に脱皮した蛇の化石、だったはず。
エイジが仕事の間、私は暇になってしまったので、“てれび”を点けて暇を潰す。
お昼過ぎ。
用意されていた食事を食べ、てれびを見る。
お昼が過ぎてちょっとしたぐらいに、エイジが帰宅した。
疲れたと言って、そのまま“そふぁ”に寝転び、眠ってしまった。
………暇だから彼の寝顔を眺めることにする。
間違っても、見たいからというわけでなく、暇つぶし程度に見るのだ。
………ふふっ、エイジの寝顔、普段からは想像できないほど可愛らしいですね………。
体感時間で数十分、実際には5分弱経った頃。
エイジが目を覚まし、慌てて元の位置に戻り、平常を装う。
寝起きだからか、エイジはまだ眠そうな顔をしていた。
午後3時頃。
エイジに外に出かけようと提案されたので、一緒に出かけることにした。
どうやら予備の拠点候補と同時に、私にこの街の地形を覚えて貰おうと考えているらしく、基本毎日一緒に外に出かける。
………そういえば、これはてれびで言っていた“でーと”いうものではないだろうか?
男女が仲よく、楽しく出かけることがそうらしいのだが………私たちの場合はどうでしょうか?
ヴェルデは、エイジがよく訪れる場所だ。私はどちらかというと、深山町の方の商店街がいい。
あっちは食事関係の店が揃っているからだ。
1度エイジに連れてってもらったっきり、全く行っていない。
ただ店に立ち寄って外食をしただけなのに………。
ある程度見て周ると、エイジがお手洗いに向かったので、その場で辺りを見渡すと、ある店が目に入った。
様々なぬいぐるみが置かれた専門店だ。
特に私の胴体ぐらいの大きさのライオンのぬいぐるみが気になった。
………あれを抱きかかえてモフモフしたいですね………。
うぅ〜、欲しい………。
「………そんなに欲しいなら、買ってやろうか?」
「ッ!?エ、エイジ!いつから戻ってきたのですか!?」
「お前がそれに喰いついた辺りから」
不覚………まさか見られていたとは………王としての威厳が………。
「………で、欲しいの?欲しくないの?」
「欲しいです」
威厳?そんなの今捨てました。
「〜♪」
買ってもらったぬいぐるみを抱きかかえ、拠点に帰ってからずっと、顔をうずめてモフモフしている。
「………フッ、年相応の趣味もあるんだな……」
あぁ〜、このモフモフ感がたまりません!
気がついたら、一時間もモフモフしていた。
横でにやけた顔のエイジがこちらを見ていた………は、恥ずかしい……。
午後6時。
エイジが突然、手合わせをしようと頼まれた。
もちろん断った。いくらエイジが強くても限度があると。
だが、その後話し合った結果、手合わせをすることになった。
………別に、モフモフしているのを見られ、「へえ、騎士の癖に逃げるんだぁ?」と言われた腹いせではない。
そう、あくまで手合わせだ。
武器は木刀。勝利条件は「相手に降参させる」こと。
フッフッフッ………今こそ王の威厳を見せる時!
いざ、参る!!
………エイジは本当にただの魔術師か?
英霊、ましてや、全盛期の私相手に互角に打ち合っていた。
最初、様子見がてら軽くするつもりが気づけば本気を出させるまで発展した。
もしかすると、私はとんでもないマスターに選ばれたかもしれない。
ひょっとしたら、この人となら、私の悲願を叶えられるかもしれないという期待と同時に、彼を恐ろしく感じた。
その時エイジが、黒い笑みを浮かべていたのに私は全く気づかなかった。
午後7時。
体を動かした後の食事は最高である。
今晩は焼肉らしく、用意が出来るまでぬいぐるみをモフモフしておこう。
しばらくモフモフしていると、エイジに、できたから来いと言われたので箸を持って向かう。
いざ、戦場へ!
モグモグ…………あっ、エイジ!それは私が育てた肉です!
………え?名前でも書いてんのかって?
フッフッフッ、そんなこともあろうかと、唾液をつけておきました!
…………って、なんでむせているんですか?
ほら、お水飲んでください。大丈夫ですか?焦って食べるからですよ?
午後8時。
お風呂が沸き、“れでぃふぁーすと”ということで、私がいつも先に入らせてもらっている。
…………そういえば、彼と出会ってもう3ヶ月ですか。
最初は彼のミスによる不本意の召喚だったが、今ではいい思い出だ。
共に笑い、酒を飲み、語り合ったりした。
ある時はエイジに嫌がらせをされ、ある時は聖杯戦争に向けて話し合ったり、ある時は食事の奪い合いをしたりした………。
でも、これでいいのだろうか?
あと3ヶ月もすれば、聖杯戦争の始まりと共に、私たちの別れが近くなるということです。
………ですがそれが私たちサーヴァントという存在、こんなにお世話になった彼に、これ以上迷惑をかけられません。
………そう、それが最善なんです、彼にとっても、私にとっても。
そして、いつかは言わないといけない。
聖杯に望む、私の願いを。
故郷の救済、ブリテンの滅びの運命を変えることを。
だがそれを聞いたエイジは、なんていうのだろうか?
なぜだろうか?
彼に否定されるのが、怖く感じた。
否定されたことを考えると胸の辺りが酷く痛く感じた。
これは………いったいなんだろうか?
いつか、分かる日が来るのだろうか?
………とりあえず、今日はもう寝よう。
午後11時、就寝。
おやすみなさい。
いかがでしたか?
今更ながら戦闘描写が苦手なことに気づいてしまった。
そろそろ聖杯戦争に突入するのだが、うまく書けるか心配になってきました。
では、また次回。