魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

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本日、二話目です。


九校戦八日目⑥ VS三校②

閃光によって視界が一瞬真っ白に染まる。そして同時に両陣営で砲撃が交わされる。

両陣営の距離は六百メートル。それを一校、三校、共に拳銃型のCADを突きつけ合い撃ち合いながら歩み寄る。

 

一校選手は二丁拳銃スタイル。三校選手は特化型のCAD一丁のみだ。右手のCADで相手の攻撃を打ち落とし、左手のCADで攻撃を仕掛ける一校に対して、三校は意識的な防御を捨てて攻撃に専念している。

 

 

「やはり婚約させたのは正解だったな」

 

 

それを九島烈は面白そうに眺めていた。

 

 

 

 

真紅郎はフィールドを迂回して一校モノリスの横手を目指していたが、その途中、一校陣営までおよそ百メートルの地点で黄金の剣を持った黒ローブに行く手を遮られた。

ディフィンダーがここまで前進していることに戸惑いを覚えつつ、『不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)』を放とうとする。が、その瞬間、剣から圧倒的『光』が放たれ視界を白く染め上げる。エクスカリバーの光学系魔法だ。

 

『不可視の弾丸』は加重系の系統魔法であり対象のエイドスを改変無しに直接圧力そのものを書き加える魔法。その為、情報強化では防げないという利点を持つ。

しかし、その反面、作用点に直接加重をかける魔法なので作用点を視認する必要が生まれてしまう。

 

つまり視界がなくなった現状『不可視の弾丸』は使えない。

 

そこへ突風が襲い掛かる。

真紅郎は加重系魔法で身体にかかる慣性を減らし、風に逆らわずに飛ばされることでダメージを緩和した。

 

そして十メートルほど後方に姿を見せた突風の魔法を使ったと思われる一校選手に『不可視の弾丸』の照準を合わせる。

が、黒色のローブに目の焦点を合わせると、遠近感が定まらなくなる。人影が何重にもぼやけて見えるのだ。

 

真紅郎がローブはフードで光学系魔法の光を回避するためじゃなかったのか!と自らの勘違いに気がついた瞬間、前方で武装一体型CADの剣を投げ捨てこちらを拳銃型CADで狙っている人影に気がつく。

 

回避は不可能。飛んでくるであろう何らかの魔法に目を閉じようとした瞬間、その人影は横合いから叩きつけられた空気の爆発で吹き飛んだ。

 

 

「将輝!」

 

 

将輝が攻撃を続ける傍らの援護射撃で助け出したのだ。

 

真紅郎はこのチャンスを逃さぬよう加重の系統魔法を発動させる。

重力の方向を急に変えられた一校選手、幹比古は倒れ、加重増大魔法によって地面に押し付けられる。

 

 

幹比古のピンチと同時に一校のチャンスは訪れていた。

 

将輝の注意が逸れた一瞬、一校選手は自己加速術式を使い、将輝へと一投足の間合いまで近づいていたのだ。

 

将輝の顔に動揺が走り、そしてそれはレギュレーションを越えた威力の圧縮空気弾十六連発となって具現化した。

 

迎撃が間に合わず最後の一発(・・)の直撃を受け、倒れる一校選手。

 

レギュレーション違反は一瞬、審判は気がつかなかったかもしれない。が、自分が友人との本気の対決に泥を塗るようなことを、反則という最低な行為を持ってしてしまったということを、強く後悔した。

 

故に生まれる一瞬の空白。

 

 

 

 

 

「ぼくの勝ちだね、将輝」

 

 

聞き覚えのあるその声は自分の魔法を受け地面に沈んだはずの達也─正確には達也だと思い込んでいた(・・・・・・・・・・・)人物から発せられた。

 

後ろから殺気。咄嗟に傾けた首の横を人の手がはしり去る。

 

そして爆弾が爆発したかのような破裂音がその右手から放たれた。将輝は意識が遠くなり、地面へと崩れ落ちながら、その右手の主を見て弱々しく呟いた。

 

 

「司波…達也」

 

 

三校選手、一条将輝。戦闘不能。




はい、マッキー退場です。
一校メンバーが行った作戦の詳しい種明かしは、次話ということで。

さて、明日も0時に投稿します。

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