東方煩悩漢   作:タナボルタ

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大変お待たせいたしました。

今回は妹紅達が横島の記憶を覗いていく話になりますね。
果たしてどんな記憶をみんなに見られてしまうのでしょうか……。

プライバシー? 横島君には存在しませんよ?(無慈悲)

それではまたあとがきで。


第八十七話

 

「のっぴょっぴょーーーーーーんっ!!!」

「うわーーーーーー!!?」

 

 横島の鬼気迫る物凄い表情と意味の分からない雄叫びに、妹紅達五人の恋人とレミリアは心の底から大いに驚いた。

 愛する者を救う為、その精神世界へと侵入した妹紅達であるが、まさかその愛する者――――横島にドッキリを仕掛けられるとは思ってもいなかった。(ドッキリではない)

 妹紅は今も暴れ回る心臓を押さえながら、状況を確かめようと周囲を見回す。

 まず自分の足下に、驚きすぎたのか涙目になってへたり込んでいるフランと小悪魔の姿。フランはまだ余裕がありそうだが、小悪魔に至ってはどうやら腰が抜けてしまっている様だ。

 そのまま視線を上げれば物凄い形相でまた意味の分からない事を叫んでいる横島と、その隣には妙齢で己とは正反対のプロポーション――いわゆるボンキュッボン――の、赤みがかった長髪の美女。

 更には恐らく外見年齢は自分と同じくらいに見える幽霊と思しき少女の姿も見える。

 妹紅は二人の女性を見て、以前横島から聞いた話を思い出した。

 そう、彼女達こそが横島の雇い主にして師匠一人でもある『世界最高のゴーストスイーパー』“美神令子”と、同僚の『死霊術師(ネクロマンサー)』“氷室キヌ”である。

 横島達三人は皆険しい表情で妹紅達を――――否、その背後を睨んでいる。

 妹紅達はその視線の先に何があるのかを確かめるべく後ろを振り返る。

 果たして、その先に存在したのはラッパを持ったピエロを身体から生やした巨大な鼠と、そのピエロをデフォルメして三頭身にした小さなピエロ達であった。

 

「……状況から考えると、このでかい鼠と戦ってるのか」

 

 両社に挟まれたままでは詳細が分かりづらい為、その場から少々離れた場所へと移動する。

 周囲に目をやれば、不思議な形状をした建物がそこかしこに屹立している。

 多くの作り物の白馬と馬車が環状に配置された施設。巨大なティーカップがいくつも置かれている場所。

 トロッコと思しき物が何個も連なったまま停止している長大で立体的な軌跡を描く線路。他にも様々な建造物があるが、中でも一際目を引くのは妖怪の山にある索道(ロープウェイ)の“ゴンドラ”が超巨大な輪にいくつも吊るされている構造物だ。

 余りにも見慣れない光景に、横島達の戦いを見ながらもついチラチラと目をやってしまう。

 

「……ああ、ここは遊園地か」

「遊園地?」

 

 ぽつりと呟いたレミリアに妹紅が反応する。

 

「簡単かつ大雑把に説明すると、ここは娯楽施設ね。周りの建物は全部遊びの為の物なの」

「……ふーん?」

 

 娯楽施設と言われてもまるで実感が湧いてこない妹紅は首を傾げるばかりだ。

 

「あ、そろそろ決着が付きそうですよ」

「ん?」

 

 美鈴の言葉に横島達の方へと視線を戻してみれば、鼠が右腕を切断され、ピエロが本体と思しき鼠から分離して巨大な輪――観覧車――へと向かっていったところだった。

 

「死ね!!」

 

 そのままピエロは輪の軸の部分を破壊したが、次の瞬間、本体である鼠が美神に討ち滅ぼされ、断末魔の悲鳴を上げて消滅した。

 よく分からないがとりあえず横島達が勝った事でフランと小悪魔が歓声を上げるが、当然このままでは終わらない。

 大きく、重く、鈍い音を立てて巨大な輪がゆっくりとこちらへ向けて倒れ込んでくる。

 

「ぅええぇえっ!?」

 

 思わずてゐは叫んでしまう。

 これは記憶の映像。自分達に何ら影響を与える物ではない事は分かり切っている。

 だからこそ、その叫びは自分達の為に上げたものではない。

 かつての記憶の映像であったとしても――――その声は、愛する横島の為に上げたものなのだ。

 

「しまった!? もっと可愛らしい悲鳴を上げればよかった!!」

「そんな事気にしてる場合ですかっ!?」

 

 余裕があるのかないのか、素っ頓狂な事を言い出すてゐに小悪魔がツッコミを入れる。

 そんな事をしている間に巨大な輪が轟音を立てて地面へと覆い被さり、横島達の姿をも飲み込んでいった。

 

「よ、横島ーーーーーーっ!! ……――――っ!?」

 

 大丈夫であると分かっていても、横島の窮地に妹紅は叫ぶ。

 ――――その時、その場の全員に()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

第八十七話

『その記憶は誰のものか』

 

 

 

 

 

 あまりの質量に大地が揺らぎ、あまりの轟音に大気が揺らぐ。

 周囲一帯を埋め尽くすのはその衝撃によって発生した大量の土煙だ。

 

「くっ……! これじゃあ何も見えない……っ!!」

 

 これが現実世界であるならば土煙など簡単に吹き飛ばせるが、記憶の映像に干渉する事など出来はしない。無事な事は分かっているが、それでも安否を気にしてしまうのが人情というもの。

 レミリア達のその気持ちに応えた訳ではないが、一陣の風吹き、土煙を流し去ってくれた。

 取り戻された視界の中、何と横島達は無傷であった。

 ちょうど鉄材の間に収まる形で事なきを得たのである。

 

「よ、よかった~……」

 

 てゐと小悪魔がへなへなと地面に座り込む。敵を倒し、横島も無事であった事から気が抜けたのだ。これでようやく一安心と言ったところだろう。……先はまだまだ長いのであるが。

 

「ふぅ……まったく心臓に悪い。それにしても……」

 

 レミリアは自分が生きている事に喜び、またも「のっぴょっぴょーん」と叫んでいる横島を横目に、先程味わった妙な感覚を反芻する。

 突然頭の中に浮かんできた、覚えのない記憶。

 

「美鈴」

「はい。私も知らない記憶が浮かんできました。これがヒャクメさんが言っていた事なのでしょうね」

 

 意を読み取って答えた美鈴にレミリアは頷く。

 視線を横島から外し、フランを見やる。フランは浮かんできた記憶の存在に少々混乱しているのか頭を押さえてしゃがみ込んでおり、それを妹紅が介抱している。

 落ち着きを取り戻したてゐと小悪魔も知らない記憶に戸惑いを覚え、二人して頭を振っている。

 レミリアと美鈴も冷静ではあるが普段通りとはいかない。そんな中、妹紅は既に普段の調子を取り戻している。横島と妹紅はラインが繋がっている為、突然何かが流れ込んでくる感覚には耐性があるのかも知れない。

 

「……ん?」

 

 ふと太陽が雲に遮られたかのように視界に影が差す。次の瞬間には()()()()()が終わり、レミリア達は紅魔館のゲストルームに酷似した部屋に立っていた。

 戸惑うのも束の間、部屋の外からいくつもの扉が開いていく音が聞こえてくる。

 

「これは……いや、そうか。そういうことね」

 

 ヒャクメは言った。重要な記憶を呼び起こせば、多くの記憶が蘇ると。ならばこれがそうなのだろう。

 

「こうやって横島さんの記憶を取り戻していくわけですね」

 

 レミリアと同じく答えに辿り着いた美鈴はしきりに頷く。

 とにかくこれでやる事ははっきりした。ならば、後は突き進むのみである。

 

「お姉様」

 

 自分を呼ぶ声にレミリアが振り返れば、そこにはフランを始め皆が揃っていた。

 

「よく分かんないけど、これを続けていけばいいんだよね?」

「……まあ、うん。そういうこと」

 

 妹の『ややこしい事は他の人に考えてもらう』といった風な表情を見たレミリアは、帰ってからフランの勉強の時間を増やす事に決めた。ついでに妹に影響を与えたであろう人物、妖夢も巻き込むつもりである。

 

「それじゃあみんな。行きましょうか」

 

 レミリアの言葉に、皆は力強く頷いた。

 

 

 

 それから皆は光を放つ扉を目印に、次々と横島の重要な記憶を取り戻していく。少し不思議だったのは、必ずしも記憶が時系列順ではなかったところだ。

 とある戦闘狂の少年と共闘した記憶を見た後に、その少年との出会いの記憶が再生されたのだ。

 扉が放つ光の強さも一定ではないようで、恐らくではあるが本人にとって印象深い記憶であればある程光も強くなるのだろう。

 そうしていくつもの記憶を蘇らせてきた一行だが、とある記憶を見た事によって精神に大きなダメージを負ってしまった者がいる。誰あろうレミリアだ。

 

「何でやねんな……何であないな事になっとるんや……」

「お、お姉様しっかりーっ!?」

「おいたわしや……お嬢様……」

 

 レミリアはうつ伏せに倒れ伏し、フランが必死の呼び掛けを行うも効果は薄い。美鈴はレミリアが心に負った傷の深さを思い、涙を流しており、残りの三人は苦笑を浮かべてそれを見守っている。……妹紅はあまりよく分かっていなかったりするのだが。

 さて、今回レミリア達が蘇らせたのは最強の吸血鬼、“真祖”ブラド―伯爵との戦いの記憶である。

 神魔の支配力が()()()よりも遥かに強い()()()の世界で最強を誇ったという吸血鬼であり、彼の行った悪逆非道――中世ヨーロッパで流行したペストによる人口激減。その内少なくとも二回はブラド―伯爵の仕業だと言われている。

 それを知り、レミリアの期待はそれはもう高まりに高まった。その姿はまるで遊園地に遊びに行く前日のお子ちゃまの様ですらあった。

 そんなレミリアにお出しされたのが三分割された中世の世界地図――TO図――を背に世界征服宣言をするブラド―伯爵の雄々しいまでの勇姿。

 更には普通に戦えばいいのにわざわざ息子のピートと噛み付き合戦を行い、無様にも敗北して息子の支配下に収まってしまうというお粗末な結果である。

 ブラド―伯爵の基本スペックは非常に高い。魔力、眷属、使い魔――――質・量共にレミリアですら未だ到達していない高みにあると言っていい。

 惜しむらくはそれを十全に活かす為の頭がなかった。

 

 ――――ブラド―伯爵はアホだったのだ。

 

 自らの生き写しである息子を装って敵――美神一行――の数を減らしたのは良い。そこから更に横島が吸血鬼にされたのには少々複雑な感情が過ぎったが、まあそれも良い。むしろ手放しで褒め称えても良いだろう。

 吸血鬼化した横島のスペックが非常に高かったのも素晴らしい。(小笠原エミはレミリアの眼中になかった)

 何せ当時はただの一般人(?)に過ぎない横島が世界最高峰のゴーストスイーパーと真っ向から戦える程の超強化を施されたのだ。しかも自分が直接血を吸っていないにも拘らず、だ。

 もっと言えば、吸血鬼となって一日と経っていないのにこの破格の強さなのである。大元の“親”であるブラド―伯爵が如何に頭抜けた吸血鬼であったか窺い知れるというものだ。

 ……故にレミリアの精神ダメージは極大だったのである。

 

「何で息子のピートと真っ向から噛み付きあっとんねん……しばき倒してから血ぃ吸えばええやんけ……普通に戦っとったら楽勝やったやろがい……」

「あ、あはははは……」

 

 流石の美鈴も今のレミリアはどうする事も出来なかった。美鈴とてあれだけの戦力差がありながらあのような負け方をするとは思っていなかった。

 

「それにしても……何か今回の記憶は特に曖昧というか、ぼやけた感じの映像が多かったですね」

「あー、確かに。何だろう、結構前の記憶っぽいし、忘れかけてるのかな?」

「ブラド―とピートが噛み付き合ってる部分が特にぼやけてたな……って、あれ? 横島って別の場所に居たはずだよな……?」

「……そういえば」

 

 とりあえずレミリアは置いておいて、気になった部分を話し合う妹紅達。もしかしたらこの話題で復活するかも、という期待も込められている。

 

「……記憶の映像があって、それを見たから知ってるとかじゃない? もしくは他の誰か……例えばカラスとかいう神父の記憶を見たか、それこそヒャクメが横島の頭に何かしたとか」

「あ、復活した」

 

 期待通りレミリアは妹紅達の話に食いついて復活を果たした。しかし鈍重な動きで「どっこらしょ」と起き上がるその様は、未だにダメージが抜けきっていない事を表している。

 さて、記憶の映像が曖昧でぼやけている事、本当は知りもしないはずの出来事の記憶を持っている事。これには一応理由がある。

 まず一部曖昧でぼやけている部分であるが、これはてゐの予想通り忘れかけているのと、他に強く印象に残った記憶があるせいだ。

 それは自分が吸血鬼化してしまった事、美神と戦った事、ブラド―がアホだった事など色々と挙げられる。

 では、何故横島が見ていないはずのブラド―とピートの戦いの記憶を持っているがだが……こんな経験はないだろうか?

 他人から聞いた出来事を頭に思い描くうち、いつしか()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()事が。

 この記憶が横島にとっての()()である。

 横島から見て当時のピートはいけ好かないスカした美形だ。その出自、バンパイア・ハーフである事を知ってもそれはマイナスではなく、女を落とすのに有効な設定であるなどと、とんでもない感想を抱いた。

 そんなピートが全身ズタボロの歯形だらけ――もちろん顔面も――という姿を晒したのだ。横島は心の底から「ざまぁwww」と思っただろう。

 以降、ピートのこの醜態を思い返し、一人不気味にほくそ笑む事もあったほどだ。(そして警察に通報された)

 横島の想像力は規格外である。ピートが無残な姿となる様を何度も思い描いた。自分が美神と戦闘中――美化1,000パーセント――に、ピートは親父と噛み付き合戦――醜悪度1,000パーセント――に耽る、そんな光景を。()()()()()()()()()()()()何度も思い描いてきた。

 ――――そんな横島が知ってしまった情報。

 

 ――『吸血とはセックスの隠喩である』――。

 

 自分が思い描いていたあの光景は。何度も悦に浸ったあの光景は――――親子の、超濃厚なホモセックスだった……?

 

 結果、精神崩壊が起こる前に横島の防衛本能が働いた。

 そう、ブラド―対ピートの戦いは忘れかけていたのではない。実際はその場に居なかったから曖昧だった訳でもない。

 そう、あれは――――アダルトビデオの様にボカシが入っていたのだ!! それもギリギリモザイク級の!!

 ……頭から綺麗さっぱり消し去る事が出来れば、どれほど幸せであっただろうか。だが、それが出来る程横島は人間が出来ていなかった。過去の栄光(錯覚)を捨てる事が出来なかったのだ……!!

 ……それ故のボカシである。とりあえずピートは横島を殴っても許されるだろう。

 

「そんなことより、早く次の記憶の部屋を探しましょう。私のせいで余計な時間を使わせちゃったし」

「いえ、そんな。あれは仕方ないですよ」

 

 横島にとっては重要な事なのであるが、他人からすれば“そんなこと”である。

 誰しもが持っているはずだ。当人にとっては大切でも、他の人から見ればその理由が分からないもの。

 他の誰でもない、自分自身にとって何よりも――――何よりも、()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「……けっこう記憶の部屋を見付けて来たけど、ヒャクメの言う“穴”は出て来ないな」

「そうだねー。まだ足りないのかな?」

 

 それからも多くの記憶の部屋を辿った妹紅達だが、深層意識へ続く穴は未だに現れない。

 現在一行は廊下を猛スピードで飛行している。現実世界と精神世界で時間の流れに違いがあるのかは分からないが、体感では既に数時間が経過している。

 重要な記憶もその全てが再生される訳ではなく、特に印象深かったであろう一部分だけが再生されるのだ。

 ほんの数分、あるいは十数分だろうか。それも降り積もれば山となる。更にはその記憶に対して先のレミリアの様に無駄な時間を使ってしまう事もあった。

 例えば斉天大聖孫悟空との修行の記憶。これには美鈴が未だかつて見た事のないテンションで大はしゃぎした。鈴仙の能力によって狂気に陥った時よりもハジケていた……と言えば、どれだけテンションが上がっていたか伝わるだろうか。

 次に月での戦い。これは妹紅の反応が大きかった。

 

「うおぉっ!? な、何だあの世界観(えがら)がまるで違う様に見える美人は!?

 ……は? かぐや? かぐ、輝夜!!? あれが!!!? ど、どうしたんだ輝夜!? 何でそんな思い切ったイメチェンを!!!???」

「いやあの人は横島さんの世界の迦具夜(かぐや)姫ですってば!!」

「すっごい混乱してるね」

 

 横島の記憶映像に現れた()()()()()()()()の姿に妹紅は驚きの余り混乱してしまう。

 世界が違っても“かぐや姫”が絶世の美女である事を思い知ったせいもあるだろう。妹紅にとってかぐや姫――――輝夜の容姿は憧れであり、コンプレックスの象徴でもあるのだ。

 

「うーん、ジャンルは違うけどこっちの姫様もどえらい美人だなー。それにしてもこっちにはお師匠様はいないのかな?」

 

 初めは迦具夜姫の美しさに目を奪われていたてゐであったが、その興味はすぐに別のものへと移り変わった。かぐや姫がいるのだから、永琳と同じ立ち位置の者もいるだろうと考えたのだ。

 

「それっぽいのは見当たらないけど……どことなく綿月姉妹っぽいのはいるみたいね」

 

 てゐの言葉に応えたのはレミリアだ。彼女は迦具夜の傍に仕えている双子の姉妹――――“朧”と“神無”に注目している。

 容姿が似ている訳ではないが、二人の発する雰囲気がどことなく綿月姉妹を彷彿とさせる。

 

「そういえばここ暫く顔を見せないね、あの二人。色々と話を聞きたい事があるんだけど、また何か月でゴタゴタがあったのかな?」

「以前遊びに来た時に玉兎達を徹底的に鍛え直すって言ってたし、それじゃない?」

「あー」

 

 月出の一件以来、綿月姉妹――綿月豊姫・綿月依姫――は時々地上へと遊びに来ている。

 それは永琳と会う為であったり、鈴仙と会う為であったり、レミリアとのお茶会の為であったりと様々だ。

 個人の私人としての付き合い、更には月と幻想郷の賢人同士、月の都と幻想郷の今後について賢者である紫達と話し合ったりと、意外と良好な関係を築いている。

 時には「よっちゃん! 手合わせしましょう!」「誰がよっちゃんですか!」とレミリアと依姫が弾幕ごっこに興じたりもする。

 しかし、ここ数か月間姉妹は地上に降りて来ていない。レミリアの言う通り玉兎達を鍛えているのか、それともまたぞろ月で異変でも起こってしまったのか。

 少なくとも鈴仙は胃が痛くならないので大助かりだ。最近は横島との関係も微妙であるし、かつての飼い主(じょうし)にそういったところを見られたら色々な意味でたまったものではない。

 レミリアはフッと短く息を吐き、記憶映像の方へと目を向ける。分からない事をいつまでも考えていても仕方がない。今は横島の記憶に集中する時だ。何せちょうど横島が活躍している。

 横島と蛇女(メド―サ)が熱いディープキスを――――。

 

「――――って、何でキス!!?」

 

 全員の叫びが木霊した。

 

 

 

「……いやー、一大スペクタクルだったね」

「これが“えすえふ”ってやつなのかな」

「まさか宇宙から地上へ墜ちていくとは……いや、どこかで聞いた様な……?」

 

 記憶映像が終了し、皆は疲れた様に息を吐き出した。大気圏でのメド―サとの最後の戦い。生身での大気圏突入。そして地表へと大激突。そこから映像が一瞬途切れてしまったが、次に映った時には何故か横島が縛られ、意味の分からない事を延々と喚いていた。内容から察するに、どうやら記憶を失っていたらしい。

 

「何で記憶を失うだけで済んでるんでしょうね?」

「それは……まあ、横島だし」

「横島さんですものねぇ……」

 

 果たしてその返しは信頼の表れなのかどうか。何とも言い難い感覚を抱く。

 

「ただお兄様、前にも記憶喪失になってたんだね」

「ええ、今回みたいに深刻なものではなかったみたいだけど……本当に波乱万丈な人生を歩んでるわね、アイツ」

 

 レミリアの言葉に皆が頷いた。

 

 

 

 次に南部グループという企業との戦い。

 いつの間にか生き返っていたおキヌと良い雰囲気になり、直後にその空気をぶっ壊した横島の言動、更には食人鬼女(ぐーらー)に『恋』の文珠を飲ませて自分に惚れさせたのには美鈴、小悪魔、フランの三人が怒った。

 

「流石に今のは酷いですね。ギルティです」

「そうですね。ギルティですよギルティ」

「後でお兄様にはお仕置きしないとだよね」

 

 古代の神々、貴族・豪族のあれやこれやを知るてゐ、レミリア、妹紅は横島の言動に特に思う所はない。……レミリアの場合、フランが同じような目に遭えば横島を()ってしまうかもしれないが。

 この三人の場合、注目したのは文珠の効果である。

 

「なるほど……こういう使い方も出来るのね……」

「敵対組織のそれなりの立場の相手に使えばスパイ活動も破壊工作もやり放題。いやー、とんでもないねー。流石私の執事さん」

「効果範囲や時間制限はどんなもんなんだろうな? ……一回早苗に使ってみてほしい」

「いくら何でもそれはかわいそうでしょ。それに八坂神奈子がいる。またアイツに横島がミンチにされかねない」

「面白そうではあるけどねー」

 

 やはり人を束ねる立場であるレミリアとてゐからすれば、こういった人心を操る能力は欲しいものである。

 二人が浮かべている表情は笑顔であるのだが、その笑みの“色”はとっても黒く、そして邪悪である。

 妹紅は妹紅で二人とは別の意味で黒い事を言う。別に早苗を苦しめようだとか嫌がらせしようだとか、そういった意図がある訳ではなく、単純に自分の好きな人が嫌われている(怯えられている)のが嫌なのだ。

 なので手っ取り早く仲良くなってもらおうと提案した次第なのである。

 

「……効果はすぐに切れるんじゃないですか?」

 

 話を聞いていたのか、小悪魔が妹紅に私見を述べる。

 

「ふむ。その心は?」

 

 確かに、如何に文珠が強力とはいえ永遠に相手を縛り付ける事は不可能だろう。しかし文珠の強力さは小悪魔も知っている。それでなお効果はすぐに切れる言ったその理由とは、いったい何なのか。

 

「いくら文珠が凄いと言っても、グーラーさんが抱いたのは偽りの想い。私達の胸に宿る本当の愛とは強さも、熱さも、そして重さも違いますから!!」

 

 小悪魔はキラキラと純粋に輝く瞳でとても恥ずかしい事を言った。

 何故か天より降りかかりたる光を浴び、胸で手を組んで空を見上げる小悪魔の姿は魔族なのに聖女そのものである。

 レミリアはあまりにもあまりなその内容に開いた口が塞がらなかったのだが、どうやら他の者には好評だったようだ。

 

「おぉー!」

「そっかー……そういうものなんだなぁ……」

「うーん……嘘ばっかりの私が抱いた、ただ一つ本当の想い……いやー、いいねぇ。ロマンチックだねぇ」

「マジかこいつら……」

 

 特に盛り上がっているのはフランだ。両手を上げてハイテンションで小悪魔と絡んでいる。

 妹紅は色恋沙汰の経験が無かったせいか、小悪魔の言葉に感動を覚えた様だ。

 てゐは逆に今までの自分を省みて、他者を、そして自分を偽った過去を思い出し、自らの想いを反芻している。

 美鈴は特に何かある訳ではない。ただ目を瞑ってだらしのない笑みを浮かべ、涎を垂らしながらぐふぐふ言っているだけだ。極力視界には入れたくない。

 

「あー……うん、そうね。――――ん? 映像に動きがあるわよ」

 

 考えるのも馬鹿らしいと適当に相槌を打っていたら、いつの間にか映像の中で横島達は強力な魔族“ガルーダ”と対峙していた。

 隙の無い構え、無駄の無い体捌き……美鈴の目がキラリと光る。

 

「むむっ、截拳道(ジークンドー)ですか。これは中々の功夫(クンフー)……いや、でも……う~ん……?」

「どうしたの、そんなに唸っちゃって?」

 

 映像の中のガルーダを見やり、美鈴はその違和感に首を傾げる。てゐはそんな美鈴に何が気になるのかを問うた。

 

「いえ、あのガルーダなのですが……かなりの功夫の持ち主なのですが、どうもチグハグというか……」

「チグハグ?」

「はい。頭と身体が一致していないというか……んー、何と言えばいいでしょうか……」

 

 どうも言葉にするのが難しいらしく、美鈴は必死に言葉を探している。

 

「頭と身体が、ねぇ。達人によくある本能だけでとか、反射に任せてとか……要するに考える前に身体が動いてる状態じゃないの?」

「いえ、というよりは()()()()()()()()()()()()()()()……――――あ、グーラーさんが」

「え?」

 

 美鈴に視線が集まっていたが、その美鈴の言葉に釣られるままに映像に目をやると、グーラーがガルーダにその身を吹き飛ばされた場面であった。

 そこからはまるでジェットコースターの様に展開が進む。

 皆が「あ」と言った次の瞬間、横島がグーラーを即座に治療。身体もろとも霊基構造を吹き飛ばされた為か、文珠と南部グループの精神支配から抜け出したグーラーは横島達にガルーダをけしかけていた男女――妹紅達は名前を憶えていない――へと攻撃。

 グーラーの攻撃はシールドによって阻まれるが、それはガルーダを誘導する為の罠だった。ガルーダがグーラーへと仕掛けた攻撃は躱されシールドへと命中し、そのまま突き破る。

 その衝撃によりガルーダを制御していたコンピューターが破損。それによりガルーダは暴走してしまう。

 狂乱したガルーダに男が殺されてしまうも、グーラーやガルーダのヒヨコ達と力を合わせ、遂にガルーダを討ち滅ぼした。

 

「あの小さい鳥さん可愛いね! 紅魔館でも飼えないかな!? 大きくなってもスタイリッシュでカッコいいし!!」

「うーん、まず見付けるところから始めないとだから難しいんじゃないかな。……それにしても“人造魔族”かぁ……。あっちはあっちで色々あるんだねぇ」

 

 横島達とガルーダの戦い、そしてガルーダのヒヨコの可愛さに注目していたフランは興奮した様子で感想を述べる。どうもガルーダをペットとして飼いたくなった様だ。

 一方フランと話すてゐの顔は複雑そうに歪んでいる。

 神魔や妖怪といった存在が当たり前に人々に認知されている世界でも、一部の者達はその存在を“こちら”の世界以上に変質・利用されている。否、この場合は()()()()()()()()()()。だからこそこの様に秘密裏ながらも大規模に研究されているのである。

 

「ふむ。ガルーダの動きに違和感があったのはこの為ですか。恐らくは生み出された際に武術の動きを刷り込まれた(インストールされた)のでしょう。

 時を費やし、己の力で積み上げた功夫ではなく、いきなり入力された技術だった。だからチグハグだったのですね」

「んー、そういうのが分かるってやっぱ達人は凄いな。私は全然分からなかった」

 

 美鈴は違和感の正体が分かってスッキリしたのか、満足そうな笑みを浮かべて頻りに頷いている。隣で解説を聞いていた妹紅は美鈴の達人としての目に感心しきりだ。

 

「……しかし、凄いと言えばやっぱり横島の文珠は反則だよな。紫を治した時もそうだけど、あれだけの傷を一瞬で治すなんて」

「確かに。流石は龍神の能力と同一の力といったところね」

 

 妹紅の言葉にレミリアが頷いた。肉体の破損だけでなく、霊基の破損すらも一瞬で回復させた。

 あまりにも強力で、あまりにも万能な力、“文珠”。()()()の世界でさえ希少なその奇跡(ちから)。もし横島の能力が()()()()()()()()()()()()()()()……。

 嫌な想像にレミリアは眉間に皺を寄せる。

 

 ――――この敵対組織……南部グループとか言ったっけ。こいつらは文珠の事を知っていたのかしら。横島への対応からして知らなかったみたいだけど……もし知っててあの対応なら余程文珠の力を軽視していたか、それとも自分達の()()にそれだけの自信があったのか……。

 

「……ふん」

 

 どちらにせよ、お粗末なものだ。レミリアは嘲笑(わら)う。

 あまりにも無様が過ぎる。人質に取ったとはいえ、横島に何の制限も設けないなど愚の骨頂だ。例え文珠が使えないとしても、()()()()()()()()()()()()()()()()――――。

 

「……いや、いくら何でも身内贔屓が過ぎるわね」

「ん? 贔屓がどうしたって?」

「いえ、何でも。それにしてもグーラーは意外とあっさり正気に戻ったわね。……いや、身体も霊基も吹き飛んだわけだからあっさりじゃないか」

 

 自らの思考の偏り具合を自覚したレミリアは苦笑を浮かべる。妹紅に独り言を聞かれていたが、それを誤魔化す様に別の話を切り出した。

 

「ああ、確かに。強いショックを受けたから、とかかな?」

「叩けば治る! って感じですか。……横島さんもそうであればどれだけ良かったでしょうか」

「まあ蓬莱人なわけだしいくらでも強いショックは与え放題よね。すぐに生き返るんだし」

「待て待て待て待て」

 

 照れ隠しでもある為か、レミリアの発言は過激だ。下手をすれば死んでしまう様な強いショックを与え続けるなどただの拷問である。流石にそれは看過出来ないと、皆はレミリアにツッコミを入れる。

 その横で何やら難しい顔をしていた小悪魔がぼそりと呟いた。

 

「うーん、どうせ洗脳が解けるなら、前後にもうちょっとこう恋愛漫画みたいなドラマチック且つロマンチックな展開があれば良かったんですけど……」

「洗脳って言っちゃったよ」

 

 紅魔館の恋愛脳(スイーツ)の一人である小悪魔。どうやら彼女は現実にも漫画の様な展開を求める漫画脳でもあったらしい。例え目の前の現実がどれだけ漫画的であったとしても、漫画の様な日常を送っている幻想郷の住人である小悪魔からすれば、少々物足りないのだ。

 

「――――ん。映像も終わったか。次の部屋を探しましょう」

「はい」

 

 記憶の再生が終了し、皆は部屋を後にする。多くの記憶の部屋を発見してきたが、一向に深層意識への穴は出現しない。恋人達の顔に少々焦りが滲みだした。

 レミリアはそんな彼女達を横目に一人考えを巡らせる。

 

 ――――何だろう。何か、違和感がある様な……。

 

 今まで目にしてきた横島の記憶達。確かにそれは彼にとって重要な、横島を横島たらしめる多くの要素が存在していた。

 だが、()()()()()()()()()()()()()

 それは当たり前のものであり、そしてとても大切なもの。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 その答えにレミリアが行き着いた瞬間、全員が飛行を止め、床に降りた。

 

「……何だ?」

 

 妹紅が目を瞬かせ、辺りをキョロキョロと見やる。

 突如全員に走った奇妙な感覚。胸がざわつく様な、チリチリと焦がれる様な。その感覚には皆覚えがあった。

 

「あ、あそこ」

 

 フランが指を差す。廊下の先、二つに分かれた向こう側。片方には今まで見付けてきた記憶の部屋と同じく横島の霊力光と同色の翡翠の光を放つ扉が。

 そしてもう一方には今までの記憶の部屋と比べても酷く弱々しい――――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 皆は目を見合わせる。少しの間無言で視線を交わし合うとゆっくりと頷き合い、一つの扉を目指す。

 ――――淡い、蛍火の扉を。

 

 

 

 扉の前に立つ。どこかおかしな印象を受ける。扉が放つ光だけではない。言わばこの部屋、この一画の雰囲気が今までとまるで違う。

 ここは横島の精神世界だというのに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()かの様な違和感。

 よくよく見れば壁紙の模様も扉の色、形、装飾も違う。

 

「――――……」

 

 レミリアには心当たりがあった。

 

「……開けるぞ?」

 

 妹紅が()()()()を掴み、皆に確認を取る。フランが、美鈴が、小悪魔が、てゐが頷く。そしてレミリアは――――。

 

「全員、気を引き締めなさい」

 

 レミリアは静かにそう告げ、注意を促す。

 

「お姉様?」

 

 皆の目がレミリアに集まる。

 

「ヒャクメの言ってたこと、憶えてるでしょう?」

 

 横島の記憶を取り戻す際、その時の横島の思い、感情が流れ込んでくる事があるとヒャクメは言った。だが、今現在まで流れ込んで来たものは精神体のレミリア達に害を及ぼさないであろう記憶、そしてその時の横島が感じた興奮、高揚感といったものばかりだ。そのせいで次の行動に移るのに時間が掛かったりもした訳であるが、それは今は関係が無い。

 『その時』に自分は『こう思った』という記憶が流れ込んで来ても、その時々に懐いた激しい負の感情が流れ込んで来た事は一度もなかった。

 小心者の横島は記憶の中でも何度も死への恐怖を感じている。それは生物が持つ感情の中でも最も強い感情の一つだろう。それすらも流れない。

 ヒャクメが大袈裟に言ったのか、横島が無意識に守ってくれているのか、はたまた別の要因か。それは分からない。

 しかし、もしこの部屋がレミリアの予想通りの部屋ならば、今までとは違い強烈な感情が流れてくる可能性がある。

 

「あくまで予想だけど……心を強く持ちなさい」

「……」

 

 レミリアの言葉に皆は声が出なかった。その内容に納得する一方で、同時に疑問も浮かんできたのである。

 

「その……レミリアは……」

 

 躊躇いがちに妹紅が問う。

 

「レミリアは知ってるのか? 横島の……その、()()……を?」

 

 その問いにレミリアは目を伏せて答える。

 

「ええ。以前、ちょっとした機会があってね。……それを、あなた達もこれから知る事になるでしょうけど」

「……」

 

 皆は一言も発さない。緊張からか生唾を飲み込み、視線を交わし合う。しかし目を閉じ、大きく息を吸い、そして吐く。次に目を開いた時、その目に宿っていたのは決意と覚悟だ。

 

「今こうしてても仕方がない。横島を助ける為にここまで来たんだ。どんな事が待ち受けてようと、私達なら大丈夫さ」

 

 皆を代表し、妹紅がそう言い切る。ここに横島を助ける為の何かがあるのかもしれない。ならば迷う事など何もないのだ。

 

「……そうだったわね。ごめん、私の方が怖がってたみたい」

 

 レミリアは短く息を吐き、皆に軽く頭を下げる。それを皆は笑って許した。レミリアは己が可愛いのではなく自分達を思いやってくれていたが為に慎重になっている。それを理解しているからだ。

 

「……じゃあ、行こう」

 

 妹紅が宣言し、皆は頷く。ゆっくりと、扉は開かれた。

 

「……何もない?」

 

 果たして、中の部屋には家具も調度品も何もない、ただ空白が広がっていた。ただ室内であると認識は出来る、そんな空っぽの部屋。

 皆は部屋の中央に集まり、思い思いに室内を見やる。何もない。それは変わりようがなかったが。

 背後で扉が閉まる音がする。その瞬間、記憶の再生が始まった。

 

「……? 何だ、これ……?」

 

 夜、なのだろう。空の暗さからそれは分かる。しかし映像が酷く乱れている。所々でノイズが走り、音すらもまともに聞こえてはこない。時折響く大きな音。それは爆音だ。小さく、遠くから多くの人の悲鳴のようなものも聞こえてくる。

 暗い夜空、地に走る爆炎、大気に響く爆音。そしてじわじわと立ち昇る人々の悲鳴。それらがノイズ越しに繰り広げられている。

 ――――それは、地上に現われた地獄だった。

 

「……」

 

 皆、声も出ない。本当にこれは横島の記憶なのか。そのような思いが場を支配する。

 

「……これが、魔神アシュタロスとの……」

 

 レミリアが誰に聞かせるでもなく呟いた。横島から聞いた話の一つ、アシュタロスとの戦い。この地獄こそがそうなのだろう。

 

『―――、……。―…―――……』

 

 何かが聞こえてくる。酷いノイズに阻まれたそれは、横島ではない()()()()()()()()()()

 

『一緒――こで夕陽――たね、ヨコ――……。昼と夜――瞬―――ま――――短―間しか―れな――ら……きれ――…』

 

 ぶつん、と。そこで映像は終わった。誰かの声が聞こえてきたが、それまでだった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そして再び空っぽの部屋に戻る。否、先程までとは違うものがそこにはあった。

 

「……予想は外れたか。でも、ここまで外れるとはね」

 

 呟くレミリアの視線の先。皆も目が釘付けになっているその存在。皆の目の前には、横島の深層意識へと繋がる穴が出現していた――――。

 

 

 

 

 

第八十七話

『その記憶は誰のものか』

~了~

 

 

 

 

☆おまけ☆

横島と恋人になった事により生じた皆の変化

 

妹紅 横島を全肯定する様になってきている。かつては輝夜の存在に依存心を抱いていたが、今はそれもやや薄れ、その分横島に強烈な依存心を抱きつつある。

ヤンデレとはまた違うジャンル……のはず。

まだ潜伏期間……?

 

フラン 今までの孤独を埋める様に、横島に対してかなりの甘えん坊と化す。とにかくくっつきたがり、よく背中に抱き着いている。

レミリアに対しても甘える様になるが、横島と比べて遠慮しがち。

 

美鈴 露出が減り、接触も減る。しかし修行中に「ご褒美です♪」などと言って胸の谷間を至近から見せつけたり、下着をちらりするようになる。

むっつりからオープンに変化しつつある。(今更感が強い)

 

てゐ フランと同様によく横島にくっついている。横島とヤるぞ! と意気込んでも最近は少し触れ合ったり言葉を交わしたりで満足感を得る様になってきた。

もし横島に抱かれたら心臓が破裂してしまうかも知れない。(ある意味弱体化?)

 

小悪魔 横島に対して個人的にしたためてきた『恋人にしたい・されたい100の触れ合い』を実践していく。

皆より一歩引いた距離を取っており、傍目には今までとそれほど違いは見られない。

しかし小悪魔が感じる高揚感・充足感・幸福感等が今までとは比較にならないレベルに高まっている。

 

 




お疲れ様でした。

次回は遂に深層意識に突入する事になります。ようやく煩悩漢における横島の地雷設定を明かす時が来たのか……!!
ここまで来るのに何年かけてるんだこのやろうばかやろう。
いやー、正直怖いですねー。

それではまた次回。

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