ようやく有効な時間の使い方が分かったと思ったら、それを圧殺する勢いで仕事が忙しくなりました。ちくしょう。
それでもちまちまと文章打ってたらやたら長くなりました。そして時間も掛かりました。
おバカ……!!
それではまたあとがきで。
星熊勇儀が現場に辿り着いた時には、全てが終わっていた。
見覚えのない女性の前に横たわっている、行方不明だったはずの横島。
その傍に座り込み、両手で顔を覆っているパルスィ。ひどく項垂れた様子であり、幾度もしゃくり上げていることから泣いているのだと分かる。
周りに居るのは地上の妖怪達だ。皆一様に沈痛そうな表情を浮かべている。
ここまで来れば流石の勇儀も状況を察する事が出来た。
勇儀は他の者達から少し離れた場所で佇んでいる紫を見付け、近付いていく。
「八雲紫」
「星熊勇儀」
互いに名を呼び、目礼を交わす。勇儀は懐から酒を取り出そうと手を入れるが、首を振り、止める。その代わり、と言うのもおかしいが、視線を横島達から離さず、ゆっくりと口を開いた。
「横島の奴、見つかったんだね」
こくり、と紫は頷く。
「でも……まさか、こんなことになるとは」
紫はまたこくりと頷いた。
「横島とはもっと盃を交わしたかったけど、これも運命ってやつなのかね」
紫は頷こうとして途中で「ん?」と首を傾げる。
「でもま、こんだけのキレイどころに看取ってもらえたんだ。きっと、アイツも本望だったろうな」
ああ、なるほど。紫は大きく頷き、勇儀の肩に手を置いた。
「星熊勇儀」
「ん?」
「滅 多 な こ と を 言 わ な い で 下 さ る ?」
「……え? あ、あれ?」
肩に置かれた手は万力の如き力で握り締められ、さしもの勇儀の骨も砕かれてしまいそうだ。
紫は勇儀に最上級のエガオを向けている。向けているのだが、笑顔のはずなのにとっても怖い。
何せあの勇儀が冷汗をだらだらと流すくらいだ。そこら辺の妖怪や人間なら一瞬でショック死してしまっているだろう。それくらい怒っている。
「やはり貴様とは一度決着を付けねばならんようだな、鬼」
「うおぉ、八雲藍!?」
勇儀の傍ら、紫と挟む様に出現した巨大な妖力。紫の式、藍が現れたのだ。その目はまるで狐の様に細められ、やはりこちらも怒っている。
「い、いや、あの状況なら勘違いしても仕方ないだろ!? 悪かったって! 謝るから改めて説明してくれ!!」
流石の勇儀でも今の二人は怖かったらしい。
二人の大妖怪に挟まれてたじたじになる勇儀を、橙は憐れみを以って眺める。でも助けはしない。橙も大恩人たる横島を勝手に死んだことにされて怒っているのだ。南無南無と両手を合わせた後、橙は横島へと視線を戻す。
一連の出来事がどういった結末に行き着くかはまだ分からない。誰も傷付かず、全てが丸く収まるような、そんな優しい結末。
無理だと分かっていても、橙はそんな結末を望まずにはいられなかった。
第八十五話
『始まりはあの日から』
横島の顔色も大分良くなってきた。ヒャクメは神気を送るのを止め、彼の体調を『診』る。……記憶意外に問題は無いようだ。
「ふう……。これで身体の方は大丈夫なのねー」
額の汗を拭い、ヒャクメは一先ずの治療を終えた。彼女の言葉に周囲で眺めている事しか出来なかった横島の恋人達やレミリアから安堵の息が漏れる。
永琳と輝夜も緊張を解き、ほっと息を吐く。と、輝夜はじっと永琳の顔を凝視する。その視線は「聞きたいことがある」と如実に告げていた。
「……何かしら」
輝夜の視線の圧力に耐え切れなくなったのか、永琳は先程とはまた違った意味で息を吐き、輝夜に問う。
「さっき、ヒャクメさんと何か話していたみたいだったけど……」
「ああ、そのことね」
先の移動中、ヒャクメに告げられた横島への神魔の決定。ヒャクメは永琳の心を完璧に読み切った。だからこそ何か余計な事を仕出かさないように先に教えてくれたのだ。
「……横島君に関する事よ。後でヒャクメ様が話して下さるわ」
「……そっか」
それ以降、輝夜は永琳に何かを聞く事はなかった。あの永琳が純粋に話しにくそうにしている。ここまで露骨なのは、それこそ
故に、輝夜は大体の察しが付いた。複雑そうに顔を歪め、重く、深く溜め息を吐く。
「――――そっか……」
輝夜の見つめる先には妹紅がいる。
ヒャクメがパルスィを『視』る。彼女の心は横島への深い罪の意識で埋め尽くされている。
そんなパルスィに、ヒャクメは更に残酷な事を告げねばならない。
「水橋パルスィ」
「……」
ヒャクメが名を呼んでも反応はない。ただ俯き、己の行為を悔いるのみだ。
だが、次の言葉。
「……私は、
「……!!」
パルスィはがばりと顔を上げた。その表情には様々な感情の色が浮かび上がり、また、その感情の波が奔流の様にヒャクメへと流れ込んでいく。
「……」
だが、ヒャクメは動じない。ただまっすぐにパルスィの目を見つめる。
「……っ」
パルスィは横島に視線をやり、無意識なのだろう、その身に触れようと手を伸ばす。
しかし横島に触れる直前、その手は止まり、大きく震えだす。
「……ふっ……ううぅ……っ、うううぅぅ……っ」
震える手をもう片方の手で押さえ、自らの胸へと引き寄せる。
ぼろぼろと零れる大粒の涙もそのままに、パルスィは今にも消え入りそうな声で、しかしはっきりと。
「――――はい」
と、頷いた。
その返答にどれだけの葛藤があったのかを正確に理解出来ているのはヒャクメだけだろう。
故に、ヒャクメはその想いに報いる為に声を上げる。
「横島さんを治療するのに安全な場所に移動するのね! さとりちゃん、場所は地霊殿を借りていいかしら?」
「あ……は、はいっ」
ヒャクメの確認にさとりは頷く。
今の地霊殿はゾンビフェアリーに加え、勇儀の部下も警備に就いてくれている。優秀な彼らのおかげで今の旧地獄で地霊殿以上に安全な場所は存在しないだろう。
「星熊勇儀! ここの対応は任せてもいい?」
「ぅえっ!? あ、ああ。任せてくれ!」
紫と藍に挟まれていた勇儀だが、ヒャクメに声を掛けられ、これ幸いと離れていく。
自分の部下へと使いを出し、周囲の被害の調査などの指揮を執る為だ。
「紫さん! スキマ、お願いね」
「ええ。地霊殿へのスキマを開きます」
こちらは最初から分かっていたのか、既に準備は終わっており、言葉と同時にスキマを開く。それはその場にいる関係者全員の眼前に。
「さあ、みんな。その中に入って」
そう言うと紫は自らもスキマに入る。紫の入ったスキマは閉じ、その空間には何の跡も残らない。
皆は目を見合わせると、軽く頷き合う。
「横島さんは私が抱えますね」
「お願い、めーりん」
美鈴が横島に負担を掛けぬよう、静かに横抱きに抱え上げ、すぐに隙間の中へと入っていく。フランやてゐ達、横島の恋人達もそれに続いた。
妹紅はちらりとパルスィに視線をやり、何事かを言おうとする。だが、それを口にするのは憚られた。
結局、何も声を掛けることが出来ぬままにスキマの中へと消えていった。しかし、これで良かったのだろう。妹紅の言いたかった言葉は、きっとパルスィを傷付けてしまっていただろうから。
だから、いつの日か。
今日の事を笑って話せる様になったら、改めてその言葉を掛けようと思う。
その日まで、この胸に抱いた思いは心に留めておくことにした。
皆がスキマに消えていく中、ただ一人パルスィは動けなかった。
スキマに入るどころか、立ち上がる気力さえ湧いてこない。よしんば立ち上がることが出来たとして、自分が妹紅達と同じくスキマに入り、横島の傍に居る事が許されるというのか?
――――許されるはずがない。自分にその資格はない。
すぐに勇儀が戻ってくるだろう。その時は大人しく拘束されよう。そう考え、一度目を閉じ、開く。
そうして目に映ったのは地面の冷たい色ではなく、鮮やかな色彩の絨毯だった。
「……? ……っ!?」
驚き顔を上げれば、周囲には横島を床に寝かせ、何やら複雑な魔方陣を敷いているレミリア達の姿。
そう、ここは地霊殿の一室だ。
「……なん、で」
「そりゃあのまま放っておくわけにはいかないからねー」
パルスィの呆然とした呟きに答えたのはヒャクメだった。
ヒャクメはパルスィと同じく床に座り込み、自らの隣に出現したパルスィをじっと見つめている。
「あなたは、さっきの……」
「改めて自己紹介するのね。私はヒャクメ。横島さんが元居た世界の神族で、調査官をやってるの。……横島さんの友人でもあるのね」
「横島さんの……」
パルスィの驚きは小さかった。大きく驚くだけの気力が無かったのもあるが、先の横島の治療の際に二人がそれなりに近しい間柄だと何となく気付いていたからだ。
――――嫉妬心が湧き上がってくる。もはやそんな資格はないというのに。
「……」
ヒャクメは片目を閉じる。最近になって出来た、ちょっとした癖だ。
「……あまり思い詰めない方が良いのね。
「……?」
「あなたの想いも行動も、私は納得したし共感もした。だからその部分についてはあまり考えすぎない方が良いのね」
「あなたに……ッ」
何が分かる、と沸騰しかけたその刹那、パルスィはヒャクメの額の目、そして全身に存在する目に気が付いた。
「気付いたのね。私は心を読むことが出来るの。その気になれば前世も見えちゃうくらいに強力にね。……身体の目はあくまでも目のように見えるってだけなんだけどね」
なるほど、と。怒る気力も失せてしまった。何せ相手は
仕方のない事だが、情緒が不安定になっているらしく、パルスィの思考は様々な思い、感情とちぐはぐな繋がり方をしている。
「……どうして私をここに?」
パルスィの冷静な部分がヒャクメにそう問いかける。
「あのまま放っておいたらややこしいことになってたかもしれないからねー。ちゃんと書置きは残してあるから大丈夫!」
「……」
そういう問題ではない。とは思うが、それを口にする気力もない。
何故自分がここに居なければいけないのか。
ヒャクメは横島の治療を行う――――すなわち、記憶を取り戻させるという事。
「……」
パルスィは、一つ気付いたことがあった。
あの日の出逢いが横島に惹かれる切っ掛けとなったのは間違いない。
では、その想いが確かなものへと変わったのはいつだったか。
横島の事を愛おしいと感じる様になったのは、いつだったのか。
それは、
横島のあの言葉を聞き、パルスィはそれに気が付いた。
好きだから護っていたのではない。護るうちに愛する様になり、共に過ごしたいと思うようになったのだ。
「私は……」
そして、今まさに愛する男が記憶を取り戻そうとしている。
記憶を失っていた者が記憶を取り戻した場合、
「わたし、は……」
その場に自分が居て、次に横島さんが目を覚ました時に、以前の様に――――出逢った時と同じ様に名前を呼ばれて。
――――今までの私達は、全て無かった事になっている。
「それ、は……それは……」
それは、なんて、とても残酷な――――。
「
「え……」
ヒャクメがパルスィの手をそっと握り、名前を呼ぶ。
名を呼ばれ顔を上げれば、真剣な表情をしたヒャクメがその眼に真摯な光を湛え、真っ直ぐに己を見つめている。
「私がどれだけ酷いことをしてるのかは分かってるつもりなのね。でも、これだけはお願いしたいの。どうか、どうか――――信じてほしい」
「……そんなこと、言われても……っ」
誰かが誰かを信じる事。それは存外難しいものだ。
ただ「信じる」と口にして、言い聞かせるのではない。信じるとは、その誰かに心を預けるという事。
今のパルスィにヒャクメを信じる事は出来ない。――――だが。
「違うのね」
「え……?」
パルスィが信じる……心を預けるのはヒャクメではない。
「私じゃない。――――
「……!」
パルスィの目が大きく見開かれる。
「横島さんは記憶を失っていても愛する人の名前を呼んだわ。
だから、横島さんの記憶が戻って、それまでの記憶を失くしていても――――あなたとの日々を、あなたへの想いを忘れないって。
信じてほしいのね」
「……」
どこか呆然とした表情を浮かべ、パルスィは横島を見る。
本当に、心の底から愛しているのだろう。例え記憶を失っても、その名を口に出来る程までに。
――――では、私は?
私との日々は、それほどに彼の心に刻まれているだろうか。
私への想いを、それほどに強く抱いてくれているだろうか。
それに、何より――――。
「横島さんを、信じられない?」
その問いには強く首を振って否定する。
「うん。……信じられないのは、自分の気持ちなのね」
その問い……否、断定には弱々しく頷いて肯定する。
そう、パルスィは何より自分の想いに自信が持てない。
もし自分が同じ状況に陥った時、自分は愛する者……横島の名を口にするだろうか。
当然、そんな事が分かる訳がない。誰もが同じ事を言うだろう。
だが、パルスィにとって「出来る」と断言する事が出来ない事が、何よりも怖かった。
パルスィとて千年以上を生きる妖怪だ。その永き生で恋をする事など何度もあった。
しかし、それはパルスィの前を通り過ぎていく。
パルスィの性質は他人と情を交わすには苛烈過ぎたのだ。
そうした中で出逢ったのが横島だ。
初めてだった。見ただけで嫉妬心と劣等感の塊だと気付いたのは。
だというのに横島は明るく社交的で、あけすけで、ネチネチと嫌味を言うのにさっぱりとしていて、スケベなのにあっさりとしていて。
かと思えば変な所で悩んで、葛藤して踏み込めない。そんな臆病な少年。
自分に近しいのに、まるで違うその存在。惹かれるには充分だった。
だから横島の恋人達には嫉妬したし、
そんな横島が記憶を失って、ほんの数日だが生活を共にして。
記憶を失った横島も、変わらず嫉妬心と劣等感の塊だった。今思えば、それは以前の自分に対するものだったのだろう。
それに気付かず、現在の横島に過去の横島を求めた。
今に懐いた想いを、過去に懐いたのものだと勘違いした。
最後の最後にようやく間違いに気付いた。何もかも全てがもう遅く、先の様な事が無ければ、きっと自分はいつまでも間違いに気付かなかっただろう。
そんな自分が、横島の事を愛していると言えるのだろうか。
「……っ」
パルスィは今まで、これ程誰かに強い想いを懐いた事はなかった。
いや、
故にパルスィは怯えてしまう。
初めての恋に戸惑う少女の様に、自らの想いに自信が持てないのだ。
「パルスィさん」
「……」
パルスィは応えない。誰かに想いを否定されるのが怖い。
「大丈夫なのね。パルスィさんの気持ちは間違ってなんかいないのね」
ヒャクメはそれを否定しない。否定など出来るはずがないのだ。
「忘れちゃダメなのね。あなたも、横島さんも。互いの為にその身を擲つ事が出来る。
……それが一概に良い事なのかはこの際置いておくけど、あなた達二人はそれぐらい強くお互いを想い合っているの」
ヒャクメはパルスィの想いを知っている。
それがどれだけ強く真っ直ぐで純粋か、その眼で全てを見た。
その想いは間違いではない。否定されてはいけない。
だから、ヒャクメはパルスィにこう言うのだ。
「あなたが自分の気持ちを疑ったら、横島さんの気持ちまで疑っちゃうことになるのね。
だから、まずは自分の想いを否定せずに受け止めてあげて。
あなたは確かに、横島さんを愛しているんだから」
「――――……っ!!」
その言葉は、パルスィにとってどれほどの救いになっただろう。
その“眼”で以ってあらゆる物事を見通すであろう神が、最高の証明をしてくれたのだ。
今日だけでどれほど涙を流した事か。
パルスィの目からは雫が零れ、その頬を濡らしている。
ヒャクメに握られた手をぎゅっと握り返し、何度も頷いた。
横島が元居た世界から訪れた神。
横島の命を救い、そして今、自分の心さえも救ったヒャクメと言う女神。
その言葉を信じよう、とパルスィは思う。
横島を――――その想いを信じる様に、自らの想いを肯定する。
横島を治療したその先にどのような未来が訪れるのかは分からない。
だが、パルスィはその想いをずっと憶えている。そう信じるのだ。
どのような結末になったとしても、パルスィが横島を愛している事に変わりはないのだから。
「……あー、やっと終わった。
フラン、アンタも魔法使いなんだから私一人にやらせないで手伝ってくれても良かったんじゃないの?」
「う……。でも私が得意な魔法は攻撃とか破壊とかだし、こういうのはちょっと……」
「こういう方面も勉強しなさいって言ってたでしょうが」
肩や首を回しながら、レミリアがフランにぼやく。ボキボキと関節を鳴らしていく姿は少々はしたない。
「永琳や輝夜もこういうのは得意でしょ?」
「それはそうだけど」
「あなたが止める間もなく動き出したからね。
私達の方法とじゃ系統が違い過ぎるし、術式が競合しておかしなことになっても困るしね」
「むう……」
それでも手伝う事くらい出来るでしょうに、と呟き、ちらりとパルスィとヒャクメを見やる。
「……どうなるかと思ったけど、上手いこと落ち着かせたみたいね」
「そのようですね。……まだどうなるかは分かりませんが、それでも……」
常人では聞き取れない程に小さな声で美鈴と言葉を交わす。
「さすがにあのままでは悲しすぎますものね……」
「今も状況が変わったわけではないけど……それでも、心の持ちようによっては色々と違ってくるさ」
「……」
同じ様に話す小悪魔とてゐも、今回の件について思うところがあり、複雑な表情をしていながらも、どこか胸の痞えが取れた様に感じる。
ずっとてゐの傍に居た鈴仙は先のてゐの言葉にかつて言われたある言葉を思い出し、深く考え込んでいる。
ちなみにレミリア達はヒャクメ達の話が終わるまでずっと息を潜めていた。要するに、おしゃべりをするタイミングを窺っていたのである。
「ふう」
ほっと息を吐くレミリア。
実はスキマ空間の中で、ヒャクメに「パルスィは自分に任せてほしい」と頼まれていたのだ。
正直な事を言えばどうしたらいいのか見当もつかなかった為、ありがたい申し出だった。
ヒャクメの言葉を聞き、任せて正解だったと改めて思う。
「……あの、お姉ちゃん」
「ダメ」
「……離してほしいなって」
「ダメ」
「……お燐とお空も」
「ダメです」
「ダメですよ」
どうしたら見当もつかないのはもう一組あったが、そっちは放っておき。
レミリアはまた何かを考えて暗くなっている妹に目を向ける。
「……で、今度はどんなおバカなことを考えてるの?」
「……真剣なことだもん」
フランは頬を膨らませ、そっぽを向いた。……が、それもすぐに止め、言いにくそうに口をもごもごと動かし、それでも吐き出してしまいたかったのか、その内容を口にする。
「……あの時、ただお兄様の前に行ったのが妹紅じゃなくて私だったとしても……ただお兄様は名前を呼んでくれたのかなって」
そうして吐き出した想いは美鈴、てゐ、小悪魔も気になっていた事であった。「いや……私は別に……」と言いつつかなり横島を気にしているうさぎさんも居るが、それは置いておいて。
「フラン……」
最愛の妹の想いを受け、レミリアは名前を呼び、肩に手を置く。
互いの視線が交わるとゆっくりと口を開き――――。
「やっぱりバカなことじゃないの」
思いっ切り鼻で笑った。
「思いっ切り真剣なんだけど!?」
「お嬢様! 流石にそれは酷いですよ!」
「妹が悩んでんだからもっとマジメに聞いてやんなよ!」
「あわわ、み、皆さん落ち着いてー!?」
レミリアの余りにもあんまりな物言いにフランだけでなく美鈴やてゐも憤慨する。
唯一小悪魔だけは皆を宥めようと努めているが、それでもレミリアに非難するような目を向ける。
「はぁ……アンタ達は揃いも揃ってまったくもう……」
「っ……?」
レミリアは呆れた様に溜め息を吐き、こめかみを押さえて頭を振る。
フラン達は何故レミリアがそのような態度を取るのかが分からず、怒りよりも戸惑いの方が勝ってしまう。
「そもそも、
「……それは、一体どういう……?」
戸惑い、口を開く事が出来なかったフラン達に代わり、鈴仙がレミリアの真意を問う。
それに対して「優曇華院、お前もか」という視線を向けるレミリア。
鈴仙は何故か後ろめたくなり、目を逸らす。
レミリアはまた溜め息を一つ零し、横島を指差す。
「あのね。
だったらアンタ達の誰が行ったってその子の名前を呼ぶに決まってんでしょうが」
「――――……」
その言葉に、皆は口をぽかんと開けた。まさしく開いた口が塞がらないといった状態だ。
「確かに記憶は失ってるけどね、
それだけアンタ達はこいつに愛されてんのよ? そこら辺、もうちょっと自覚しておきなさい」
そう堂々と言い切るレミリアに、皆は衝撃を受ける。
レミリアは自分達より、横島の恋人である自分達よりも余程横島の事を理解し、信頼している。
どうしてそこまで、と疑問が口を突こうとした時、ヒャクメから声が掛かる。
「そっちの準備は終わったのねー?」
立ち上がりながらの問いに、レミリアは「ああ」と一つ頷いた。
ちらりと横島を見やる。複雑な魔方陣の上に横たわるその姿は、まるで死んでしまっているかのように静かな眠りに就いている。
妹紅はそんな横島の傍らにぺたんと座り込み、その手をそっと胸に抱きかかえている。
その温もりを確かめる様に、温もりを与えるかの様に。ただ目を閉じ、横島を感じ続けていた。
パスが切れてしまってからというもの、妹紅の精神は急速に乱れていった。
妹紅の服の袖を赤黒く染め上げている液体の跡が何よりの証拠である。
そうまでしなければどうにかなってしまいそうな程、妹紅は横島に依存してしまっている。
こちらもいずれ何とかしなければならないが……今は横島の方が優先である。
「お前の言う通りに結界を敷いたが、これでどうするんだ?
対物結界に
紫達は何をするか知っているみたいだが……」
魔法陣の端、紫は自らの式達と同調し、魔法陣に何らかの調整を施している。
自分が敷いた魔法陣が少しずつ別の物に書き換えられていく様を見て「最初っからアンタ達がやればいいのに……」と呟かずにはいられない。
紫曰く「アナタのものでなければダメ」とのことだが……
「説明するのね。私達はこれから
「……!!」
「そして、横島さんの
開示された治療法に皆は驚く。治療法もそうだが、そのような手段をヒャクメが選ぶ事にも驚いたのだ。
「……何故そんなやり方を?
横島からお前についての話を聞いたことがあるが、お前ならそんな手を使わなくても……」
「……ううん、ダメなのね」
訝る様に問うレミリアにヒャクメは首を振る。
その悔しげな、悲しげな表情に二の句が継げなくなる。
「私は
あの戦いで横島さんは肉体的にも……精神的にも、酷い傷を負ったから」
「……っ!」
この時、皆は横島がかつて語った話を思い出した。紅魔館での
「……その戦いで、横島さんは
……最後の最後まで、私達は何の役にも立たなかった」
「……」
ヒャクメの眼が横島を見る。
「……でもね。それなのに横島さんは
「え……?」
不信感を懐いたのに、それでも信頼してくれている。それは喜ばしい事なのだろうが、当時の横島にはそれが毒となってしまっていたのだ。
「魂と肉体への影響ね」
「やっぱりそれか……」
「え……? え……?」
どうやら永琳とレミリアは理解出来たらしい。
他にも紫、藍、さとりの三人も答えに辿り着いている。
だがそれ以外の者はまるで理解が追い付いておらず、ただ困惑するだけだ。
「実は私、向こうで一度この方法を試しているのね」
「え?」
「そのせいで、
「え……!?」
今横島を治療しようとしているその方法は、以前に失敗したのだという。そのことについて永琳、レミリア、紫、藍、さとりはやはりと納得している。
なぜ失敗したのか。そして何故また同じ方法を使うというのか。それがヒャクメの口から語られる。
「最初私が横島さんの心の中に入った時は何も問題が無かったの。
横島さんの
でも、横島さんの無意識の部分はそうもいかなかった」
「……」
ぴくり、とお燐とお空に包帯で起き上がり
「横島さんは無意識に私を拒絶していたの。
結果、二つの意識がぶつかり合って、霊基構造にまで影響を及ぼし始めた」
「……当時の横島の霊基構造は……」
「うん。一度崩壊・消滅しかけたものを
……割れた花瓶を接着剤で無理矢理にくっつけた様な歪で、今にもまた崩れてしまいそうな……そんな状態」
「……」
そうしなければ横島は死んでいた。だからルシオラはそれを実行したのだ。
それに横島と結び付いたルシオラの霊基構造はやがてその姿を変え、完全に横島の霊基構造と同一化する。
その時に歪な霊基構造も元の形に戻るはずだったのだ。
だが、横島はそれを無意識に拒んでいた。
横島はかねてより無意識状態の方がより強い力を発揮する傾向がある。
横島の中で、じわりじわりと霊基構造が変容し、歪なままに安定してしまう。
そして、歪な霊基構造は
「今や横島さんは私達を受け入れることはない。神魔族だけでなく、人間も。
「――――!!」
ヒャクメの言葉に皆は絶句する。横島にとって、元居た世界がどういったものなのか、その一端を知る事が出来た。
だがその内容は横島にとってあまりに残酷に過ぎた。
横島は変わらず元の世界の家族、友人、知人を愛しているだろう。信頼しているだろう。
しかし、彼の心の底。無意識に懐いてしまっている不信感は、その愛し、信頼する者達へも例外なく紐付けされてしまった。
本人はそれに気付くことなく、ただ日常を過ごすだけで昏い炎が心を蝕んでいくのだ。
ヒャクメはそれを見た。己の能力によって、それを“視て”しまったのだ。
あの心優しい横島が、知らずの内に愛する者達を――――
「……なるほどね」
永琳、紫、レミリア、そしてさとり。横島が元の世界で精神的なケアをされていないと気付いていた彼女達は、ついにその理由を知る事が出来た。
なるほど、ケアが出来ない訳である。横島の精神をケアしようとすること自体が、横島の精神への甚大なる負担となってしまうのだ。
――――しかし、
「そんな……そんなことって……」
小悪魔が呆然と呟く。
愛する者達、信頼する者達と共に過ごせば過ごす程、その者達を愛せなくなり、信じられなくなる。それも本人の知らない内にだ。
それは最早呪いと言えるだろう。
思い返せば横島は幻想郷に墜落した当初、元の世界に帰りたがっていた。しかしいつからかそういったそぶりを見せなくなり、横島は不自然なまでにあっさりとこの幻想郷に骨を埋める覚悟を決めていた。
その転機となったのは? 何が切っ掛けとなったのか?
「……」
永琳は
横島が幻想郷に墜落した日。あの日から
スキマを通り、誰かを愛すれば愛する程に愛を失い、信頼すれば信頼する程に不信を募らせる世界から解放され。
『男』の手によって内臓を喰われ、妹紅に蓬莱人の生き胆を喰わされたことによって蓬莱人と化し、魂が主軸の存在と化したことで肉体という枷から半ば解放され。
結果的に生きてはいたが、その心身に強烈な“死”を体感することでほんの瞬きの間“生”から解放され。
あの日から横島は変わっていった。徐々に、だが急速に――――変わってしまったのだ。
「……どうやって、横島さんを治すんです? そんな状態の横島さんを何とかすることなんて、出来るんですか……?」
美鈴の言葉は一部を除き、その場の誰もが思っているものであった。特に横島の恋人達は特にそれが顕著だった。動揺から視線が一定せず、悲痛な表情を浮かべている。
愛すれば愛する程、信頼すれば信頼する程それを失っていく横島に自分達が出来る事などあるのだろうか?
そもそも、その話が本当であれば自分達も
「いや、そうじゃない。
「え……」
美鈴達の耳に入る力強い声。絶対の確信を以って紡がれた、レミリアの声だ。
「ど、どういうことなの?」
フランがレミリアに問う。目には力がなく、声も弱々しい。横島からの愛と信頼が今も失われていっていると思っているその姿に、思わず苦笑が浮かぶ。
「いいか? そもそもの話、前提が違うんだ。
ヒャクメが言っていただろう。
裏を返せば、それは自分達の世界以外の者ならば癒せる者が存在するということだ」
「……」
確かにそう言われればそうかも知れない。だが、それだけではあまりにも確証がない。
皆もそう考えているのだろう。その事に気付いたレミリアは、未だ困惑した表情を浮かべている妹に、
「まったく……いい、フラン? あなたは横島の恋人なの。頑なに自分はロリコンじゃない、なんて言ってたアイツの心を射止めた女の子なのよ?」
「あ……」
その言葉に目の前が拓ける様な感覚がした。そう、それは表現こそ異なるが以前にも言われた言葉だ。
「痛いのも苦しいのも嫌だと言っていた横島君ですが、あなたの期待に応えたくて毎日魂を削る程の努力を惜しまなかった」
紫が美鈴に。
「恐ろしく自己評価の低い横島さんが、あなた達に心から愛されていると自覚し、その想いを受け入れた。
横島さんにとってあなた達の存在はそれだけ特別なものであるのです」
さとりがてゐと小悪魔に。
「永遠を厭う彼が、永遠を受け入れた。永遠の愛を誓ったのよ」
そして永琳が妹紅に。
彼女達だからこそ出来る事。彼女達にしか出来ない事。
「私達ではどうしようもなかった。でも、あなた達ならそれが出来るのね」
ヒャクメは横島の恋人達に向き直り、その頭を下げる。
「どうか、私に手を貸してほしい。横島さんを助けてほしいのね……!!」
その声は涙に濡れている。今まで本当に様々な検査・調査をしたのだろう。しかし実行に移せるものが存在せず、ただ手を拱いているしか出来なかった。
本来ならば自分達で解決したかった。自分達で横島の心を癒したかった。だが、それは不可能だった。
だからヒャクメは縋るしかない。目の前の横島の恋人達に助けを求めるしかないのだ。
「……」
目の前で頭を下げるヒャクメ。今までじっと横島の手を握っていた妹紅がその手を離し、ヒャクメの肩に優しく触れる。
顔を上げたヒャクメが見たものは、その瞳に強い輝きを宿した妹紅だ。
「分かってる。……分かってるんだ」
妹紅は自分の周囲に目を向ける。
フランが、美鈴が、てゐが、小悪魔が。強く強く頷いてくれた。
「私は……私達は、横島を助けたい。私達に、力を貸してくれ……!!」
それは叫びだ。切実なる、魂からの叫び。
もはやその心に迷いはない。ならば、一刻でも早く治療を開始する――――!
「みんな、心を落ち着けてほしいのね。私がみんなを繋いで横島さんの心の中に案内するわ」
ヒャクメは愛用のアタッシュケースに搭載されたパソコンの様な機械に追加の吸盤型アタッチメントを複数付け、それを妹紅達の額に取り付けていく。
一つ一つに綿密な設定を施し、超スピードで最適化を行う。
「でも私が出来るのはそこまで。横島さんの深層心理にはみんなだけで向かってもらうことになる」
ヒャクメの眼が忙しなく動き、タイピングする指もぶれて見える程に縦横無尽に動いている。
真剣な目でヒャクメの作業を眺めていたレミリアに、ヒャクメが吸盤を差し出した。
「わ、私もか?」
「そうなのね。あなたも必要なの」
「……分かった。負担を掛けるがよろしく頼む」
きゅぽ、と気の抜ける音がする。何か妙な気分だ。傍から見ればシュール極まりない格好を進んで受け入れている自分に、知らず苦笑が浮かぶ。
美鈴や小悪魔、てゐもそうだった様で、妙なシンパシーを懐いてしまう。
フランは気を落ち着ける為に何度も何度も深呼吸を繰り返し、妹紅は妹紅で目を閉じて、まるで祈る様に胸の前で指を組んでいる。
「……みんな、準備は良いのね?」
数分の間鳴り続けていたタイピング音が止み、長く深い息を吐いたヒャクメが皆に問う。
誰もが頷き、その身を床に横たわらせる。
――――さあ、横島を救いに行こう。
「行くのね……!!」
ヒャクメがエンターキーを押した音が聞こえた瞬間、妹紅達の意識は闇に呑まれていった。
深い深い水底の様に、一切の光も差し込まない世界。それは深淵の闇。妹紅達の意識は、その闇の中を漂っていた。
「ここは……?」
妹紅が困惑の声を上げる。
周囲は一切何も見えず、だというのに自分やレミリア達の姿を認識することが出来る、不思議な空間。
「なるほど。これが横島の心の中か」
レミリアは腕を組み、明かりのない天をじっと眺めている。何か、見えたような気がしたからだ。
「そんな、こんなにも真っ暗な世界が横島さんの……?」
小悪魔が信じられないとばかりに声を出す。
確かにいつも明るい横島を見ていたからか、この世界が横島の心の中とは思えないのだろう。
「この世界の暗さは横島さんの心や性格とは直接関わりはないのね。心の世界は人によって千差万別。正直重要なことではないのね」
「そ、そうなんだー」
ヒャクメの言葉に納得し、てゐがキョロキョロと周囲を見回す。
しかし本当に何もない。これでは横島を治療するにも何をどうすればいいのかがまったくもって分からないではないか。
「あの、それでこれからどうすればいいの?」
フランがヒャクメにこれからの指示を仰ぐ。するとヒャクメの身体が所々ぶれはじめ、ノイズが混じったようなものへと変貌する。
「ちょ、どうしたの!?」
思わず大きな声を出してしまうが、ヒャクメは手を広げて問題ないと言った。
「この私はヒャクメ本人じゃなくて、ヒャクメの意識を分割して作られた言わば分霊みたいなものなの。
だから本体が複雑な作業をしたりすると少し不安定になっちゃうのね」
「ほ、ほんとに大丈夫……?」
見た目がかなりショッキングである為、皆の目には心配や不安が浮かぶ。
それに対してヒャクメはにっこりと笑い、その姿も安定を取り戻した。
「ちょうど本体の作業も終了したみたいね。
本体が行っていた作業は
横島さんの精神を解析して、形にする……。例えば迷宮とか、お城みたいにね」
「……そんなことまで出来るのか……」
ヒャクメの説明に妹紅が感嘆の息を吐く。
改めてヒャクメの能力の凄さを知った妹紅であるが、それを感覚で行える某式神使いが横島が元居た世界に存在していたりする。
きっと今日もどこかでプッツンしているのであろう。
「さ、すぐに横島さんの精神を具現化した建物が顕れるのね。
その中を進んで、横島さんの
笑顔で意気込むヒャクメの言葉に皆で頷き、決意を新たにした瞬間、皆の背後から光が走り、その存在を現した物があった。
「……!!」
「これが……横島さんの……!!」
振り返り、その威容を目にした皆は息を呑む。圧倒的な存在感に気圧されそうだ。
こじんまりとした、だが充分に大きいと言えるいくつかの尖塔が飛び出した外観!
派手派手しい色合いの装飾に、ケバケバしい光を放つ照明!!
門柱にて存在を主張している『休憩:○○円 宿泊:○○円』と書かれた看板!!!
そう、それは昨今ではめっきり見なくなった、お城型ラブホテルそのもの――――!!!
第八十五話
『始まりはあの日から』
~了~
「……」
横島さんと、その周囲で眠りに就いた横島さんの恋人達を見る。
胸に渦巻く激情を何と名付ければいいだろう。
怖い。信じると決めた。だが、それでも怖い。
自分の手が震える。呼吸が荒くなる。そんな自分に、紫と呼ばれた少女が背中を押してくれた。
手はまだ震えたままだ。その震える手で、横島さんの手を握る。それだけで震えは止まった。
祈る様に、求む様に、その手を額に当てる。
「……妬ましいわ」
パルスィは小さくそう呟いた。
妹紅の頭を撫で、そっと自分の膝の上に乗せる。
先までの弱り切った姿を見るのはライバルとしても、
「……頑張ってね。戻ってきたら、また遊んであげるから」
発破を掛ける様に、挑発めいた事を口にしてみる。
この声が届いていれば、きっと妹紅は怒るだろう。でも、それが妹紅の助けにもなると信じて。
少女達は、ただ帰りを待つ。
お疲れ様でした。
ヒャクメはダイスロールでクリティカルが出たのでパルスィの言い包めに成功しました。
横島君の内面はあんな感じに。
あのまま元の世界で過ごしていれば情緒不安定になり、自傷行為……最悪自殺にまで至ったかも知れないくらい深刻な意識・無意識のズレが生じている、という設定です。
なので何のしがらみもない幻想郷に墜落して蓬莱人になって「こっちで生きていった方が良い」と知らずの内に思考がすり替わっていったわけです。
乱暴な言い方をすれば自分がどんどん他人になっていく感覚でしょうか。
間違いなく自分なのに他人というのも変な話しですが。
これからの展開は……上手く纏められるかなぁ……。
横島の精神構造のイメージはあれしか考えられませんでした。
それではまた次回。
ロストワードでぬえちゃんが来たのでいわゆる嫁部隊が完成しました。(どうでもいい)
メンバーは妹紅・パチュリー・布都・さとり・ぬえ・諏訪子様です。
友人には意外なメンバーと言われました。何でや。