東方煩悩漢   作:タナボルタ

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あー……ここ暫く1週間更新出来てたのにな……。



それはともかく今回は前回から場所を移動しています。
そして、ちょっとだけ気になる要素が出てくるかも……?

それではまたあとがきで。


第五十二話

 

 さて、新たに幽香を含めた横島一行は現在珍しく徒歩で移動中である。理由はいたって簡単。場所が近いからだ。太陽の畑より更に東に行った場所にそれはある。

 目的地目指し、一行はピクニック感覚で日差しの下を和やかに進む。

 

「それで、次の場所はどんなとこなんだ?」

 

 自分よりも先を進む案内役のチルノに、横島はそう問い掛ける。それに対するチルノの答えはこうだ。

 

「えっとね、お花畑!」

「また?」

 

 まさかの連続お花畑。確かに先程まで眺めていた太陽の畑は美しい場所だった。しかし、それは幽香が管理しているからであり、普通の“お花畑”ではどうしてもインパクトに欠けてしまう。それほどまでに美しい場所だったのだ。太陽の畑は。

 

「この方角で“お花畑”というと……()()()ね」

 

 日差し避けに差している傘をくるくると回しつつ、幽香はそう呟いた。それは横島の耳にも当然届き、どんな場所なのかと問われる。何だかんだと言いつつも、やはり初めての場所は気になるもの。横島は意外と興味津々だった。

 

「教えてもいいのだけれど……やっぱり、実際に見てからじゃないとね。それまではおあずけ」

「ちぇー」

 

 幽香の返しに横島は唇を尖らせて不満を顕にする。男がやっても可愛くも何ともない行為だが、はたてには効果があったようで、密かにカメラのシャッターを切っている。どうやら彼女はてゐと同じく盲目的な部分があるようで、横島の言動にはある特殊なフィルターが掛けられているらしい。恋する乙女視点(ビジョン)といったところか。

 

 幽香はそんなはたての様子に苦笑を浮かべつつ、頭では別のことを考えている。

 それは、チルノのことだ。ここ最近、チルノの力が日増しに強くなっている。最強を自称し、自分にすら突っかかってくるチルノを幽香は気に入っている。だからこそ、チルノの原因不明の急激なパワーアップに不安を抱いているのだ。

 

 ――――力を使いこなせていないっていうのが1番の問題よね。

 

 チルノは自分のパワーアップに気付いていない。いや、もしかしたら気付いてはいるのかも知れないが、例えそうだったとしてもまるで意識をしていないかのように思える。はたして無自覚なのかどうか。これだけでも今後の対応は決まってくる。

 これ以上干渉せずに放っておくのも限界があるだろう。今チルノの傍に居るのは幽香を含めて天狗に吸血鬼という大妖怪達。そして自然の力に強い大妖精と、異様に強大な力を持っている人間(?)横島だ。

 もし横島が普通の人間だったならば、とうの昔に彼は酷い風邪を引いていただろう。チルノが放つ冷気は物理的にもそうだが、霊的にも作用する。今現在横島が平気なのは自らの身を強大な霊波で覆っているからであるし、チルノの力が霊的な方向へと集中し、尚且つ身体へと蓄えられていっているからだ。

 そのエネルギーが解き放たれれば、ということを考えると、少々頭が痛くなってくる。それこそ()()()()()で対応せざるを得なくなるだろう。

 

 ――――そういえば、あの異変辺りだったわね。チルノの力が強くなってきたのは。

 

 幽香はその当時のことを思い起こす。始めは気のせいだと思っていた、チルノの力が増大していた時のことを。

 それは近年でも稀に見る大異変、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()――――。

 

 

 

 

 

 

 

第五十二話

『名前の無い丘で』

 

 

 

 

 

 

 

「とうちゃーーーくっ!!」

 

 その場に足を踏み入れたチルノが叫ぶ。その騒々しくも可愛らしい姿に皆の頬が緩むが、それも長くは続かない。“お花畑”の放つ雰囲気がそうさせるのだ。

 

「ここは……」

 

 横島はそのお花畑に目を奪われる。一面を染める“白”と“緑”。咲いているのはどれも同じ花。――鈴蘭だ。

 

「この花は……確か、イヌノフグ――――」

「鈴蘭よ。……っていうか全然似てないでしょうが」

 

 受けを狙ったのか、ちょっとしたボケをかまそうとする横島の肩を、幽香が『ガッ』と掴む。フラワーマスターとして草花の名前をネタにするのは許さないのだ。……寛容なのかそうじゃないのか、判断が難しい幽香さんなのであった。

 

「それにしても、このお花畑……何ででしょう、何か、寂しい気がします」

 

 ぽつりと、大妖精が感想を述べる。目の前に広がる一面の鈴蘭畑。それは目に賑やかさを齎してくれる――わけではなく。自然の化身であり、自然に対して鋭敏な感覚を持つ彼女の言葉は、この“お花畑”の特徴を見事に捉えていた。

 

「それは……そうでしょうね。何せここは、()()()()()()()使()()()()()()()だもの」

「え……!?」

 

 幽香が語る真実に、写真を撮っていたはたても視線を向ける。今、全員の注目は幽香に集まっていた。

 

 この鈴蘭畑――名を“無名の丘”というのだが、この場所は博麗大結界が出来るよりも以前に、名付け前の名無しの幼子を鈴蘭の毒で安楽死させ、間引く場所だったのだ。地名の“名無し”とはそのことに因む。

 

 幽香は不機嫌そうにこの名無しの丘の解説をする。彼女はこの場所に何とも言えない感情を抱いている。それもそうだろう。彼女の愛する花が、よりにもよって親が子を殺すことに使われているのだ。その家その家にはそれぞれの背景があるのだろうし、それほど興味を持っているとは言えないことでもあるのだが、せめて他の場所を使えというのが偽らざる本音である。

 

「……ただお兄様、間引きってなに?」

 

 幽香が語った出来事に気持ちが沈む一行であるが、不意にフランが横島にそう質問した。最近は勉強も頑張っているフランだが、まだまだ彼女には知識が足りない。今回の質問もその為であるのだが、横島としては何とも答え辛いことだ。

 

「んー……元々は植物とかを育てるときに密集した状態から、ちょっとの苗だけを残して他のを全部抜いちまうことを言うんだ。それから、増えすぎた物を減らす意味で使われるようになって、んで生活苦から食い扶持を減らすために子供を殺したりと……そんなような意味だよ」

「……そう、なんだ」

 

 横島の説明は決して上手いとは言えない。言えないのだが、フランには彼の言葉が嫌に心に響いた。傷を付けた、とも言える。

 何も分からないような子供が、ここに連れてこられ、そして殺される。その子供は一体何を思ったのだろうか? 自分が何をされるか、気付いていたのだろうか?

 ……考え出すと恐ろしくなってくる。それでも、彼女の脳はそれを思考することを止めようとしない。自分とはまるで違う。境遇も何もかもがまるで合致しない。だというのに、フランは自分とその子供をどこか重ね合わせていた。

 自らが望んだ事ではあるが、フランは強大過ぎる能力を持っていたために地下へと潜った。誰にも会わず、誰とも話さず、誰とも触れ合わず、そんな日々を何百年間も過ごし――――。

 そんな半生を過ごしてきたからだろうか、フランは間引かれる子供にシンパシーを覚えたのだ。

 

 フランは俯き、自らの身体を抱き締めるかのように身を竦ませる。胸に痛みが走り、目尻に雫が伝う。――だが、それもそこまで。

 

「――――ふえ?」

 

 フランは横島に肩を抱かれ、その小さな身体をやや強引に引き寄せられた。横島は何でもないかのように澄ました顔をして鈴蘭を眺めているが、フランはただそれだけで心を暖かなもので満たされていくような心地よさを感じている。

 いつもそうだ、とフランは思う。自分が沈み込みそうになる時、いつも大好きなお兄様が救い上げてくれる。自分を、真っ直ぐに見続けてくれる。

 フランは横島の腰に甘えるように擦り寄り、きゅっと抱きついた。知らず頬が緩み、上気してくる。

 そんな2人の様子をはたては羨ましがりつつ写真に収めて「いつか自分も……」などと妄想したり、大妖精が顔を真っ赤に染めて「ひゃ~~~」と妙な声を上げて食い入るように見つめ、幽香が微笑ましそうに見守りながらも「犯罪……? 犯罪なのかしら……?」と横島を疑惑の眼差しで見やる。

 当の横島はフランを抱き寄せ、フランに抱きつかれたせいで日傘の露先の部分が身体に刺さり、痛みやらむず痒さやらでどんどんと顔を歪めていっている。本当に締まらない男だ。

 

 

 

 

 

「………………………………………………………」

 

 

 

 

 

 そんな中、チルノは横島とフランを静かに、ただじっと眺めていた。

 

 ()()()()()()()()()()

 

「――――ッ!?」

 

 一瞬。ほんの一瞬だけ背筋に悪寒が走り、大妖精はチルノに振り返る。しかし、そこにいるのはいつも通りのチルノ。いや、いつも通りと言うわけではないのだ。何せチルノはフランを羨ましそうに眺めている。その拗ねたような目や尖らせた唇は、大妖精にチルノの新たな可愛らしさを発見させてくれた。

 

 ――――気のせい……だったのかな?

 

 普段とそう変わらないチルノの様子に、大妖精はそう結論付ける。そうして、彼女はこの時のことをすぐに忘れてしまう。この時、大妖精がもう少しチルノに踏み込んでいれば、もしかしたら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……それは、もしもの話だ。

 

 

 

 

 

「それにしても、この鈴蘭畑の名前が名無しの丘で、その由来が子供の間引き……。それじゃあ駄目だ。そんなだからここの霊気が澱んでしまうんだ」

 

 名前というのは大事なものである。狼を例に出すが、狼は大神に通じ、かつては日本人にとって畏敬の対象であった。そういった風に名は対象に意味を生じさせ、やがては意味に身を付けさせる。名も付けられていない子供を間引いたことから“名無しの丘”では、その土地が陰気を纏って当然だ。

 

「そんなわけで、この俺が名付け親(ゴッドファーザー)になってやろう」

「は……?」

 

 いきなり何を言っているんだこの男は、という幽香の視線が横島を貫く。その視線に横島はちょっとだけ気持ち良くなりながらも、意気揚々と自らが考え出した名前を告げる。

 

「そうだな……。『まるで時が止まったかのように静かな丘!』という意味の……“静寂の丘(サイレントヒル)”はどう――――」

「止めなさい」

「えー? でも名無しの丘よりは……」

「止めなさい」

「……はーい」

 

 横島は幽香から発せられる強烈な威圧に負け、渋々ながらも承諾した。これでこの鈴蘭畑が血と錆の世界に変質することはなくなったのである。

 

「……なんか騒がしいわねー」

 

 幽香がある意味幻想郷という世界を救った直後、鈴蘭畑に恐らくは幼い女の子と思しき声が響く。その声は何か不思議な力を持っているようで、鈴蘭の匂いが少し強くなったような気がしてくる。

 周りには人の気配は無い。ガサガサと鈴蘭を掻き分けるような音はするが、その姿は見えない。一体何者の声なのか……。横島が念のためにより強大な霊力を練る中、幽香が皆よりも1歩前に踏み出し、その場にしゃがむ。

 

「久しぶりじゃないの、メディスン。元気にしてた?」

「あれ、幽香? うわー、本当に久しぶりー! 私とスーさんは元気だよー!」

 

 しゃがんだ幽香は誰か――メディスンという名の少女と思しき存在と会話を始める。しかし、横島達には一向にそのメディスンという少女の姿は見えない。一体どういうことなのか、と考えていると、幽香が何かを抱え、ゆっくりと立ち上がりながら横島達の方へと振り向いた。

 

「……それは……?」

 

 幽香の腕の中、ウェーブのかかったショートボブの金の髪を持つ、人形と思われる人型が鎮座している。その人形は横島の言葉に()()()()()()()()()()()、手を振り上げて抗議した。

 

「“それ”だなんて失礼しちゃう! 私はメディスン・メランコリー。こう見えても立派な妖怪なんだから!」

 

 プンプン、とわざわざ口に出して怒り出すメディスンという名の妖怪。そう、彼女は人形の妖怪だったのだ。

 

「……付喪神か……!」

「え、つくもがみ……?」

 

 横島は得心したように手を打ち鳴らし、フランは聞きなれない言葉に疑問符を浮かべる。こんな場合、すぐに始まるのは横島先生の授業である。

 

「簡単に言えば、物に魂が宿ったことで生まれた妖怪のことだな。元々物は100年経てば命が宿るって言われてて、昔は99年経ったら物を捨てることが多かったんだよ。それで『あと1年で命が得られたのにー!』って怒って妖怪化した……っていう昔話があるんだ。そっから物には色んな意思を込められ、その意思がこう……あれだな。何かいい感じに定着したら付喪神になるんだよ」

「……途中で説明が面倒臭くなったんだね」

「……帰ったらパチュリー様や永琳先生とかに詳しく聞いて」

 

 もしかしたら面倒になったのではなく、どうしたら付喪神になるのかを知らないのかも知れない。

 

「それはまあ置いておいて。メディスン、か……そういえば聞いたことがある」

「何か知ってるの、お兄様?」

「ああ。確か永琳先生が言っていた。何かの花の毒素を得るために協力している妖怪がいるとか何とか……。そうか、それがメディスンで、花の毒素っていうのがこの鈴蘭の毒なわけか」

 

 横島はうんうんと頷き、以前疑問に思っていた事柄の答えを得たことに謎の達成感を得る。メディスンは横島が出した名前に興味を引かれ、ずいと身を前に乗り出す。抱えてる幽香は大変だ。

 

「あなた、永琳の知り合いなの?」

「おう。永琳先生にはいつも世話になっててなー」

 

 共通する人物との交流があったせいか、2人の会話は予想以上に盛り上がった。永琳との話だけでなく、お互いのこれまでの経緯を話し合った時には互いに同情の目で見たりもした。そして、最も予想外だったのはフランが積極的に会話に入っていることだった。

 

「メディスンはこの無名の丘からほとんど出たことがなかったんだよね?」

「うん、そうだよ。それで閻魔様に視野が狭過ぎるとか何も知らないとか言われちゃってねー。最近は見聞を広めるために色んな場所に遊びに行ったりしてるんだ」

「そうなんだー……」

 

 フランがメディスンに抱いていた妙な親近感。その正体がそれだろう。自身もメディスンと同じように何も知らない。自分だけで完成された、自分以外の何も存在しない自分だけの世界。互いの背景は違うが、フランもそこに引きこもっていたのだ。

 ここに来て、無名の丘という地名の由来を聞いて。間引きされた子供たちに抱いたシンパシー。そしてメディスンと出逢い、彼女に抱いたシンパシー。それは、もしかしたら違うものではなく、同種のものなのかもしれない。

 メディスンはこの地で生まれた。この地に宿る意思が、この地に捨てられた人形に宿り、そして命を芽吹かせたのだ。それは、この地で死んだ子供たちの思いが1つとなり、人形に宿ったことで“生きたい”という当たり前の願いを叶えたのかもしれない。

 メディスンへと抱く思いは、この地に眠る子供達へと向けた思いであり、そしてそれは自分にも向けた思いであるのだろう。おかしなことだが、フランはその滅茶苦茶な理論を正しいものなのだと確信している。

 

「えへへ。私とあなたって似てるのかも」

「んー? まあ確かに似てるかもね。金髪だし、ちょっとウェーブもかかってるし」

「そういうことじゃないよー」

 

 いつしかフランは自分から幽香の腕の中のメディスンの元へと歩み寄り、笑みを浮かべながら、楽しそうにおしゃべりをしていた。自分とよく似たお人形(の妖怪)と戯れるフランの姿は非常に絵になっており、これにははたても興奮しながらシャッターを切りまくる。メディスンを抱える幽香はまるで2人のお母さんだ。

 

「せめてお姉さんにしてくれないかしら?」

「何がっ?」

 

 幽香の突然の奇行にフランとメディスンの2人はびくっと身体を震わせる。何でもない、と誤魔化す幽香の姿はある意味で微笑ましい。今まで抱いていた幽香のイメージとは異なる姿に、大妖精も何だか微笑みを浮かべてしまう。

 

「幽香さんもあんな風に慌てたりするんだねー」

「幽香にはあんまり似合わないかも……」

「そんなこと言っちゃ駄目だよ、チルノちゃん」

 

 ちょっと失礼なことを言うチルノを窘め、大妖精はチルノも誘ってフラン達の輪の中に入っていく。チルノも人形サイズの妖怪は初めてなようで、珍しそうに色んな角度から観察を始める。おもむろにメディスンのスカートを捲った時には本人からわりと容赦の無いビンタを食らってしまったが、それ以外は特に何の問題も無く、和やかに時は過ぎていく。

 

「シャッターチャンスが一杯だわー……」

 

 はたては写真を取りながら「はふぅ……」と何とも悩ましげな息を吐き、うっとりとシャッターを切り続ける。どうやら彼女は可愛い物好きのようで、小さな女の子がキャイキャイと戯れている姿に魅力を感じている。これではたてが男だったら通報ものだ。

 

「今日だけでアルバム1冊を埋めるような勢いだなー」

 

 横島は写真を撮りまくるはたてに苦笑を浮かべ、彼女のすぐ隣へと移動する。

 

「おおー、よく撮れてるなー」

「ふぇっ!?」

 

 はたてが気付けば横島の顔はすぐ隣。彼はカメラの画面を覗き込んでいるので、自然に顔同士が近くなるのだ。

 

「……あ、あぅ……!!」

 

 途端、顔が真っ赤になるはたて。横島はそれに気付かず、思ったことをそのまま口にする。

 

「後でみんなで記念写真でも撮ろうか」

「え……?」

「みんなで並んでさ、この無名の丘を背景に。なんかこう、賑やかな感じで。……あー、でも不謹慎かな。別の場所の方がいいか」

 

 横島はそのまま「どこがいいかな?」と思案に耽る。なるほど。この地の背景を知った以上確かにここで写真を撮るのは些か不謹慎かもしれないが、記念写真というアイディアは良い。ここは名も無い子供達が眠る場所。これ以上騒がしくするのは可愛そうだろう。場所は追々決めるとして、記念写真は必ず撮ろう。

 

「……その時は」

 

 その時は。自分が、この人の隣に立ってもいいよね……なんて。

 

 はたてはその時を想像し、横島の横顔に見入る。フランや妹紅、美鈴がいる以上自分がどうなるかは分からない。それでも、そのくらいはしてもいいだろう。

 彼のことをもっと知り、自分のことをもっと知ってもらって。それでも、自分の気持ちが変わらないのなら。その時こそは――。

 

 そんな未来が、来るかもしれない。そんな未来を、生きていきたい。

 

「……ん?」

 

 はたては横島の横顔を写真に撮る。いきなりのことに驚く横島だが、それでもはたてはもう一度シャッターを切る。

 色んな表情を見せる彼。いつかはこんな風に写真だけでなく、ずっと隣で、自分の眼で見つめることが出来るようにと願いながら。

 

 

 

 

 

第五十二話

『名前の無い丘で』

~了~




というわけでメディスンが登場しました。
本文で触れてる通り、メディスンはフランと似てる所があったりするんじゃないかなーとかそんなことを思ったりするんですがどうでしょうか……。

ちなみに鈴蘭に含まれる毒素はかなり強力なようで、致死量は18mg前後、なんと青酸カリの15倍もの毒性があるそうです。コナン君もびっくりですね。

摂取した場合の気になる症状ですが、不整脈や頭痛、眩暈、嘔吐、下痢、強い興奮、更に昏睡、心不全、血圧低下、心臓麻痺……。

無名の丘で安楽死……? 安楽、死……?

それではまた次回。

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