やっぱり何でもそうですが、日が空いてしまうと下手になりますね(元々下手という事実からは目を逸らしながら)
互いの気持ちが分かり、ついに恋人同士となった横島とフラン。その2人は、現在中庭にて各々の時間を過ごしていた。横島は美鈴と妖夢に型を見てもらい、フランは妹紅と共に地面に座って横島を見守っている。
「……そうですか。そんなことが……」
「はい。あれほどまでに怒ったお嬢様は久しぶりに見ましたね……」
美鈴と妖夢は横島の動きを見ながら『男』との戦いについて話していた。そのような異変があったことを妖夢は知らなかった。過ぎたこととはいえ、彼女の胸に罪悪感がこみ上げてくる。
「すみません、駆けつけられなくて。その時、私は幽々子様と一緒に冥界を散歩していたのです……」
「そんなに気にしないでくださいよ。妖夢さんは何も悪くないじゃありませんか」
「そうかも知れませんが……やはり皆さんや弟子の危急の時にただ遊んでいたというのは……」
申し訳無さそうに畏まる妖夢に美鈴はただ苦笑を浮かべるしかない。どこまでも真面目で責任感の強い様は尊敬に値するが、やはり融通が利かないというか、頭が固いというか。しかし、美鈴はそんな妖夢が好きだった。
「とにかく、この話はここまでにしましょう。……横島さんの動きを見て、何か気付くことはありませんか?」
「……そうですね。横島さんの……」
未だ納得は出来ないのだろうが、それでも妖夢は頷く。そして横島を見ること暫し。妖夢は気付く。
「これは……霊気の流れが、格段に滑らかになっていますね」
「ええ。もしかしたらですが、これも蓬莱人になったことが関係しているのでしょう」
蓬莱人とは肉体ではなく魂が主軸の存在。霊気とは魂の力だ。枷となる肉体を持ったまま、
「……言われてみたら、横島の霊気の流れって結構綺麗なんだなー……」
「分かるの、妹紅?」
「ああ、私だって一応霊能力者だしな」
美鈴の言葉に、妹紅が自分の感想を述べる。彼女の膝にはフランが収まっており、今まであまり接点のなかった2人の仲睦まじい様子に妖夢は驚きを隠せない。
「……失礼ですが、お2人は仲が良かったんでしたっけ?」
「んんー、何というか……」
「えへへー、さっき仲良しになったんだー」
妖夢の質問に妹紅は苦笑気味に、フランは満面の笑みで答えた。
2人の仲が良くなった理由。それは横島に他ならない。彼は妹紅の恋人であり、そしてフランとも恋人となった。はじめ2人が顔を合わせたとき、横島は2人に対する罪悪感で胃に激痛が走り、思い切り吐きそうになった。普段から「美女美少女はみんなワイのもんやー!!」と叫んでいる彼ではあったが、本当に複数人の美少女が自分のものとなったとき、彼は色々な感情に押し潰されそうになった。
どちらも自分よりも外見年齢が低い女の子。つまりはロリの範疇である。更にフランは自分が仕えているレミリアお嬢様の妹だ。そのお嬢様の前で告白をしておいて今更だが、それでも彼はレミリアに崇拝に近い感情を持ち始めている。そのレミリアの妹と恋仲に、というのは葛藤があったのだろう。その葛藤もレミリア本人に「細かいことは気にするな」と言われ、横島も「そうっすよね! むしろそーゆー身分違いの愛とかって燃えますもんね!! ついでに言えば2人ともハーレム容認派ですし!!」と他の懸念事項と一緒に一瞬でぶん投げてしまったが。
ちなみに「ロリはいいのか?」と聞かれた際には虚ろな瞳で虚空に向かって「うへ……うへへへへ……」と笑い始めたことにより、触れないこととなった。彼が血の涙を流していたのは、きっと気のせいではないだろう。
さて、そんな妹紅とフランの邂逅だが、意外と2人は冷静だった。2人は横島から話を聞き、それを即座に受け入れた。何せ2人とも元々ハーレム容認派である。彼が選んだ相手に不満はない。妹紅は以前からフランのことを可愛い女の子と思っていたし、フランもフランで妹紅のことを気にしていた。
その理由を聞いた際、フランは自分と妹紅は似ていると言った。曰く、「だって、2人とも“妹”で“紅”だし」。その場にいた横島、レミリアはそろって首を傾げた。が、妹紅は違った。
「うん、そうだな!」
妹紅は良い顔でそう言った。頭上に巨大な疑問符を浮かべながら。
良く分からなかったが、とりあえず肯定しておくことにしたらしい。それが功を奏したのか、フランは妹紅に飛びつき、ごろごろと甘えだした。それを見たレミリアが妹紅に嫉妬の視線をよこしたのは余談である。
「なるほど、そうなんですか……」
話は逸れてしまったが、2人を前にしている妖夢は正直に言って気が気でない。というのも、隣に佇む美鈴の存在だ。
「……」
彼女は妹紅とフランを羨ましそうに、指を咥えて眺めている。横島が妹紅、そしてフランと恋人同士となったことは既に紅魔館の中に知れ渡っている。
横島を狙う女の子は案外多い。妖精メイド達の何人かがそうであるし、小悪魔やてゐ、そして美鈴がそうだ。あとは例外として輝夜、といったところか。これだけの人数がいるのである。てゐと小悪魔、そして輝夜は機会を虎視眈々と狙っている。元々小悪魔はフランと組んで横島を(色々な意味で)堕とそうとしていたのだし、てゐは彼の愛人さんになろうとしていた。輝夜の場合は少々特殊だが、彼を自分に相応しい存在にしようと考えている。
しかし、てゐと小悪魔に関しては現在自重しているようだ。横島が蓬莱人となって日が経っていないというのもあるし、彼も色々と混乱してしまうかもしれない。彼女達は彼女達なりに負い目を感じているようだ。それははっきりと言ってしまえばお門違いの感情であるし自分達でも理解はしているのだが、それでも納得がいかないらしい。なので、今は妹紅とフランが横島とイチャついている姿を眺め、それを頭の中で自分に置き換えて我慢をしているようだ。
……さっさと告白しろというのが周りの感想だったりする。
「……美鈴さん、貴女もそろそろ……」
「え、なんですかようむさんすみませんきこえませんでしたー」
「……ああ、いえ。何でもありませんよ」
横島の周囲が刻々と変化していっている中、美鈴は思い切り取り残されていた。へタレているのだから仕方がない。妖夢の彼女を見る目も、だんだんと生暖かくなってきていた。その視線に耐え切れず、思わず目を逸らす美鈴。彼女はこの後で思い知ることになる。以前鈴仙が言っていたことが、現実に起こってしまうかも知れないということを。
第四十一話
『彼女の想い』
「そういえばさ、お兄様ってお姉様よりも速く動けるって本当なの?」
そのフランの質問に、皆の視線が改めて横島へと集中する。その視線に横島は動きを止め、「うーん」と唸る。
「正直、あの時はそういうこと気にしてなかったからなー。俺がお嬢様よりも速かったって言われても……」
横島は当時のことをあまり覚えていないようだ。そうなると、この中で横島と一緒にその場にいたのは1人だけ。今度は美鈴へと視線が集中する。美鈴はその視線に動じることなく、ゆっくりと頷いた。
「はい、確かにあの時の横島さんはお嬢様よりも速かったです」
「……マジかー」
まるで他人事のような横島の台詞に、周りから苦笑が漏れる。
「一体、どうやってそれほどの速度を出せたんですか?」
「どうやってって言われてもなぁ……」
妖夢の問いに横島は頭を掻く。どう説明をしたら良いか、言葉にするのが難しいようだ。
「なんつーか、こう……えーっとだな、まず霊力を体にだな……」
しどろもどろになりながらも説明を試みる横島だが、やはり言葉にするのが難しく、思ったように解説することが出来ない。それを見かねた妹紅が「とりあえず一回やってみたら?」と提案した。下手な説明をされるよりは一度見たほうが理解も早いだろうと横島がそれを承諾。そうして実演することとなった。
「ふぅー……」
横島は呼吸を整え、霊力を全身に回す。その回転はやがて速度を増していき、充分に高まったところで、それは発動した。
「――ふっ!!」
爆発呼吸と共に震脚。それは美鈴が得意とする八極拳の歩法、活歩と同じ動き。しかし、横島のそれには変化があった。妖夢から教え込まれた、剣術の踏み込みに近いものへと変化している。それだけではない。下半身だけでなく、上半身の動きにも変化があった。
――中国拳法と剣術、二つが混ざった特異な動き。本来ならば噛み合うことのないそれらが、横島の神がかり的なバランス感覚の元で融合し、一つの形を得た。
「――っ!?」
瞬間、横島はその場にいた全員の視界から消え失せた。霊力による爆発的な推進力もあったのだろう、彼が存在していた場所には濃密な霊力の残滓が漂っている。
横島はどこに――? 皆はまず横島が向いていた方向を見やる。
「――――っ!!?」
皆は見た。横島が地面に顔面からダイブし、ゾリゾリと音を立てながら数十メートルも地面を滑っていく様を……!!
「……」
やがて地面との摩擦が移動の速度から出る勢いに勝って速度が落ち、ゆっくりと止まった。横島はしばらく顔面を基点に逆立ちの状態だったが、数秒後には力なくうつ伏せに倒れ伏した……。
「……」
誰も声が出ない。ただ呆然と大口を開けるのみである。そうしてたっぷりと数秒。真っ先に正気に戻ったのはやはりと言うべきか、あの2人だった。
「よ、横島ーーーーーーっ!!?」
「お、お兄様ーーーーーーっ!!?」
そう、妹紅とフランである。2人は横島へと駆け寄り、彼を助け起こす。幸い怪我は顔面にちょっとした擦り傷が出来ていた程度であった。相変わらず頑丈な男である。しかし、妹紅達にとって横島が怪我をしたのに代わりはなく、少々取り乱してしまった。
「大丈夫か、横島!?」
「お兄様っ!?」
フランにいたっては涙さえも浮かべ、横島へと縋りつく。どうやら2人は横島が怪我をすることに、軽いトラウマを持ったようである。
「お、俺は、大丈夫だ……」
「横島!」
「お兄様……!」
横島が傷む顔面をおして無事を告げる。流石にその声は痛みに揺らいでいたが、2人が安心するには充分だったようだ。そんな2人の様子を見て、横島はにんまりとした笑みを浮かべる。
「……ほっぺにちゅーしてくれたら、すぐ元気になるかも」
「分かった!」
「まかせて!」
2人は躊躇うことなく横島の頬に「むちゅー」と唇を押し付けた。2人とも必死なのか、顔が赤く染まっている。そして数秒後、2人は頬から唇を離し、横島に元気が出たかを確認する。
「……あー、うん。何ていうか、そのー……ちょっとした冗談のつもりだったんだけど……」
「ふぇ?」
「……んなっ!?」
まさか本当にキスをしてくれるとは思っていなかった横島は、かなり照れた様子で2人にそう言った。その言葉にフランは疑問符を浮かべ、妹紅は先ほどとは別の感情で頬を真っ赤に染める。
「お前って奴は本当にもおー!!」
「いだだだだだだっ!? ちょ、ごめん! ごめんってー!」
妹紅はいつかのように横島の背中に馬乗りになって頭をぽかすかと殴り、横島は頭を両手で庇う。何というか本当にもうただのバカップルの様相を呈している。
「……失敗したとはいえ、横島さんは私にも認識出来ない速さを出した。恐らくは中国拳法と剣術の組み合わせ。それを横島さんが纏め、編み出した移動法……。ほんの一瞬でしたが、足に霊力が集中していましたね。やはりこの部分が鍵でしょうか……」
妖夢は横島達のやりとりを頬を赤らめながらも見物しつつ、先ほどの横島の特異な移動術の考察をしていた。それは何も妖夢が真面目だからとか、それだけが理由ではない。ちらりと隣に視線をやる。
「……うぅ~……!!」
美鈴が涙目で唸っている。それだけでなく、小さな声で「私も横島さんにああいうことしてみたい……」などと呟いている。妖夢は大きな溜め息を吐き、さっさと告白しろ、改めてそう思った。
そうやってなんやかんやと平和な時間を過ごし、時間は夕刻を越えて夜にさしかかった頃、紅魔館へと客がやってきた。
「みなさーん、お客さまですよー!!」
本館の方から聞こえてくる妖精メイドの声。そちらに目をやれば、妖精メイドがレミリアと共に数人の少女を連れ歩いていた。
「あやややや、何やら楽しそうですねー」
「本物? ねえあの人本物?」
「はいはい、本物でしょうから落ち着いてくださいよ」
「ぅおーい、フランー!!」
お客というのは文、はたて、椛、そしてチルノの4人だった。チルノはフランの元へと駆け出し、互いに手を取り合って挨拶を交わしている。
「久しぶり、文ちゃん。そっちは友達の子達? ……そういやチルノと文ちゃんってのも珍しい組み合わせだよな」
「いやー、お久しぶりですね横島さん。チルノとはたまにお話する仲ですよ。と言っても、紅魔館に新聞を配りに来る関係上、あまり時間が合わなかったりもするんですけどね。……それはともかく、清く正しい射命丸がお供を連れてきましたよー」
「誰がお供ですか」
「……」
早速横島の元へと集った3人。周りに更に美少女が増えたことにより、横島の機嫌は良くなっており、その笑顔は輝かんばかりだ。その笑顔を見て、2名ほどくらくらと来ている者がいるのだが……それを彼が知ることはない。
「こほん。……私は“白狼天狗”の犬走椛です。文さんとの関係は仕事の上司と部下、兼友人といったところでしょうか。よろしくお願いいたします」
「ああ。俺は紅魔館の執事の横島忠夫。よろしくー」
椛は行儀良くぺこりと頭を下げ、横島も言葉は軽いが同じように頭を下げる。ピシリと決まったその動きは、執事という役職に恥じないものとなってきている。これも咲夜の教育の賜物だろう。
続いて文と椛が下がり、はたてに視線を送る。しかしはたてはそれに気付かず、じっと横島の顔を見つめ続けている。
「……えー、っと?」
「……」
「――――ッ!!」
赤らんだ顔で横島の顔を見続けるはたてに横島は戸惑い、その様子を見ていた美鈴は乙女の勘によって大体のことを理解した。衝撃を受ける美鈴には誰も気付かず、はたての様子を見かねた文が彼女に早く自己紹介するように耳打ちする。
「はたて、自己紹介自己紹介」
「あっ!! ああ、そう、そうだったー。……あ、あの、私は姫海棠はたて……です。文とは同僚で、一応友達……です。よ、よろしくお願い、します……」
「ん、はたてちゃんだな。よろしく」
「……っ!!」
人見知りということも関係しているのだろうが、はたては少々詰まりながらも挨拶を交わす。対する横島はにこやかに微笑みながら返したのだが、それによってはたては頬が真っ赤に染まる。はたてにとって、直に見る横島の笑顔はそれほどまでに強烈なもののようだ。
「……はたてちゃん? 大丈夫か?」
「はっ、はひ!! だだ大丈夫ですっ!!」
「いや、とてもそうは見えんが……」
ここにきて、ようやく皆にも理解が及んできた。はたてのあの態度。どうやらはたては横島のことを以前から知っていて、また何らかの想いを抱いているのだろうと。
ちなみに横島はまるで気付いていない。彼からしてみれば、顔を真っ赤にした女の子がぼーっとしたり慌てたりしているのだ。彼が鈍感なことを差し引いても、これでは分からなくても無理はないと言える。
「熱とかあるんじゃないか……? もしそうならあまり無理せずに、寝ていた方がいいと思うけど……」
「ぇうっ、あの、違っ……」
「ああ、いえいえ違うんですよ横島さん。はたてはね、横島さんのファンなんですよ」
「ちょ、文あんた……!!」
その言葉に皆は納得した。しかし、よく考えてみれば彼女の能力は念写である。恐らくは念写をした際に横島の写真が撮れたのだろう。先ほどぼーっと横島を見つめていたのは、憧れの存在が目の前にいることに感動していたからというわけだ。
「……ファン? ……俺の?」
「ええ、実はそうなんですよー」
「うわぁ……よくもまあ悪びれずに……」
文の所業にドン引きする椛だが、彼女も文を止める気は毛頭無い。先ほど極上の恐怖を(無意識に)味わわせてくれたのだ。これは彼女なりの意趣返し。ついでにもしこのまま上手くいってはたてに彼氏が出来れば、引きこもりも治るだろうというお節介な思いもあったりする。はたてがそれを知れば怒るか感謝するのか、微妙なところである。
「俺に、ファン……!! 美少女の、ファン……!! これは人類にとっては小さな一歩だが、俺にとっては大きな一歩……!!」
「あ、あの、横島さん……?」
「うわぁ……」
自分にファンがいると知って一瞬ふらついてしまった横島だが、次の瞬間には日本の国旗を付けた棒を地面に突き立て、寄せ来る感動に身を震わせている。そんな横島に文と椛は引き気味だ。しかし、これも仕方のないことなのだ。横島の幼馴染に銀一という男がいる。彼は全国でも有名なアイドルとなっており、横島の同僚のおキヌも彼のファンなのだ。自分とは違って美形で、自分とは違って女にモテて、自分とは違って――。横島は嫉妬心が強い。そんな彼が銀一と同じようにファンがいると分かったのだ。これは、彼にとって中々の大事件である。
横島ははたての手を優しく、しかししっかりと握る。
「はたてちゃん……」
「ふえっ!? は、はいっ!!」
「――ありがとう……!!」
横島から出た言葉は感謝だった。彼は心からの感動をそのままに、はたてへの感謝を述べる。真摯なその眼差しははたての心にクリーンヒットし、ただでさえ赤い彼女の頬を更に赤くする。もはや“紅い”と言っても良いぐらいであり、レミリアが少しだけ反応した。
それはさて置き、感動する横島を見てショックを受ける者がいる。それは美鈴だ。はたての手を握る横島の姿に、つい先日の鈴仙の言葉が甦る。
――でもあんまり考え過ぎてるとどんどん後回しになっちゃうかも……。
――もしかしたら人里とかでぽっと出の女の子に先を越されるかも……。
あの時の鈴仙の言葉が現実になろうとしている。それが美鈴にある未来図を想像させた。それは、横島が色んな女の子とイチャイチャしている中、自分はそれを外からただ眺めているだけ、というもの。
嫌だ、そんな風にはなりたくない!! 私も横島さんとイチャコラしたい!! ついに美鈴の胸にも決意という名の火が灯る。彼女は横島とイチャコラする未来のために、行動を起こす――!!
「
美鈴は自分1人では勇気が出ないので、鈴仙に助けを乞いに走った――!!
「……どうしたんだろ、美鈴」
「さあ……」
皆は何か変なものを見るような目で走り去る美鈴を見送った。誰もが美鈴の行動に疑問を持ったのだが、唯一妖夢だけは違った。
「……まあ、前進した……んですかね……?」
首を傾げざるを得ない妖夢であった。
第四十一話
『彼女の想い』
~了~
「……」
彼女は紅魔館に遊びに来る時は、ずっと横島を見ていた。
横島が妹紅と話していた時も。フランと話している時も。他の誰かと話している時も。ずっと、彼を見ていた。
彼の手は暖かい。
「……」
――羨ましい。
いつも彼と一緒にいるみんなが羨ましい。
――どうして、自分の傍には居てくれないんだろう?
その時、彼女の心に芽吹いた1つの思い。
それが開花するかは……
文の取材服って、記者の服装というよりは少年探偵っぽく見えます。
つまりはショタ化あや……流行る……?
でもショタ化なら椛の方が流行ってるのかな。
それではまた次回。