東方煩悩漢   作:タナボルタ

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お待たせいたしました。
最近、もっとすっきりとした文章が書けないか悩み中のタナボルタです。

もっとシンプルな方が読みやすいかな? むむむ。

それはさておき、ようやく宴会です。
キャラが多いのでちょっとしっちゃかめっちゃかですが、ご了承ください。

それでは、あとがきでお会いしましょう。


第九話『紅魔館での宴会』

 

「……なるほど、そういう経緯で紅魔館の執事になったわけですね」

 

「ああ、うん。まあな」

 

 紅魔館で宴会が開始され十分程。横島は文に取材されており、彼女の勢いに若干圧されている。初めの頃は正に烏の濡れ羽色というべき髪と可愛らしい顔立ち、そしてミニスカートからすらりと伸びる白い太ももに目を奪われ、だらしなく鼻の下を伸ばしていたが、彼女が新聞記者であることを知ると、途端に顔を歪ませた。

 

 彼は魔神アシュタロスとの一連の戦いでマスメディアの恐ろしさを身をもって味わっているため、文に苦手意識を持ったようだ。

 

 実際には横島について記事にしない手筈となっているので、今回の取材はほぼ文の趣味であり、好奇心を満たすためのものであるので、横島が不安がることは無かったりするのだが、それを彼が知るはずもない。

 

 警戒虚しく文の巧みな話術に嵌った彼は、既に元居た世界についても軽く話しており、後日独占取材の約束までも取り付けられている。

 

 文は高速でメモを取り、何か横島の存在をぼかして記事に出来ないかと頭を捻る。その隙を丁度良く思ったレミリアが二人の間に割って入り、文に話を切り出す。

 

「取材中悪いが、横島を連れて行きたいんだが……構わないか?」

 

「え、俺をっすか?」

 

「ふむ……ついて行っても良いですか?」

 

 何かネタになりそうな予感がしたのか、少しばかり目を輝かせて聞く文に、レミリアは少々思案する。だが、ついて来られても別段困るようなこともなく、気にする程でもないと考えたレミリアは「邪魔はしないでよ?」と、一応の念押しと共に同行を許可する。

 

「それで、何をするんです? 料理なら取ってきますけど……」

 

「あー? 違う違う。今からやるのはあんたの顔見せ。つまりは挨拶まわりよ」

 

 

 

 

 

 

「幽々子様、追加のお料理をお持ちしました」

 

「あら~。ありがとう、妖夢」

 

 艶やかな着物を纏い、三角頭巾を模した帽子を被る『亡霊の姫君』西行寺幽々子。彼女は自らの従者である魂魄妖夢から、皿に程々に盛られた料理を受け取った。

 

 妖夢は半人半霊という種族であり、人の姿をした半人、白く大きな霊体の形をした半霊に別れて存在している。半人の方は銀の髪をボブカットにした凛々しい表情の似合う美しい少女であり、黒いリボンを付けている。背中には『楼観剣』という長刀を背負い、腰には『白楼剣』という刀を佩いている。

 

 対する半霊は、上記の通り白く大きく、そして丸い。何ともシンプルな、正に幽霊らしい姿だ。

 

 本来ならばその組み合わせは違和感を齎しそうな物なのだが、流石は『半人半霊』という種族と言うべきか、その姿を見ても違和感を生じさせず、それこそが自然なのだと素直に感じさせる。

 

 そんな誰も彼もの目を引く妖夢を超える存在感を放つ者、それが彼女の傍らに居る西行寺幽々子だ。

 

 何も威圧感があるわけではない。恐怖感をばらまいているのでもない。ただ、何となく気になってしまう。何となく視線が行ってしまう。そんな雰囲気を纏う少女だ。

 

 そして、そのような雰囲気を纏うのは幽々子一人だけではない。この宴会に来ている中にも、更に数人存在する。

 

 その中の一人が、ワインの入ったグラスを片手に近付いてきた。八雲紫である。

 

「貴女達も来ていたのね」

 

「あら、紫。良かった、元気そうじゃない。心配していたのよ~?」

 

「こんばんは、紫様。お元気そうで何よりです」

 

 二人の挨拶に紫は苦笑を浮かべる。妖夢は純粋にそう思っているのだろうが、幽々子についてはそうではないだろう。明らかに分かって言っている。

 

「全く……。それでも貴女は私の親友なのかしら、幽々子」

 

「あら~、もちろんよ紫」

 

「……?」

 

 妖夢は二人の言葉の意味が分からず、首を傾げている。幽々子にしてみれば、ここまで余裕の無い紫は一昨日の異変を除けば、いまだかつて見たことがない。とりあえず心配させた仕返しに皮肉を織り交ぜた挨拶をしたのだった。

 

「ところで、結局あの時何があったの? 貴女があんなことになるとは、ちょっと考えにくいけれど……?」

 

 幽々子のその問いに、紫は顔を苦々しく歪める。目線を逸らし、言いにくそうにしていたが、やがて決心したのか幽々子と視線を合わせる。

 

「……恥を晒すことになるから、あまり言いたくはないんだけど、ね……」

 

 そのあまりにも苦々しい表情に、自分はこのまま聞いていて良いのか迷う妖夢であったが、込み上げてくる好奇心には抗えず、緊張しつつも紫の言葉を待つ。

 

「―――てけれっつのぱー」

 

「ふんふん」

 

「……。……ん?」

 

「―――はっぱふみふみ」

 

「あらあら……、そんなことが……?」

 

「待ってください」

 

 妖夢が二人に待ったをかける。二人はまるで「どうしたの?」とでも言いたそうな表情で妖夢を見る。

 

「いえ、その……。今ので本当に分かったんですか、幽々子様……?」

 

「……妖夢は分からなかったのかしら……?」

 

「普通は分かりませんよ! ……ていうか何で困惑した表情をしてるんですか!?」

 

 天才とは得てしてそういったものである。特に理論ではなく感覚で物事を捉えている人物は、それが顕著だ。普通の人間よりは長生きしているとはいえ、少々頭が堅く、柔軟性に欠ける妖夢は天然気味な幽々子の言動に振り回されることが多いようだ。

 

 そんな妖夢を見て、幽々子は懐に入れていた扇子を取り出し、スッと広げ、口元を隠しつつ一言。

 

「まだまだ未熟ね、妖夢」

 

「いくら熟練した人と言えど、今のは分からないと思いますが……」

 

 幽々子の言葉に妖夢は反論する。それは至極当然な内容なのだが、幽々子と、ついでに紫は何故か不敵な笑みを浮かべている。

 

 そんな二人に疑問を持った妖夢だが、丁度紫達の背後に、横島と文を伴ったレミリアが歩み寄って来た。

 

「あんた達も、中々楽しんでいるようね」

 

「どもっす」

 

「あはは……相変わらずですねえ」

 

 レミリア達各々が会釈をし、話の輪に入る。視線は当然横島に集中し、横島は美少女の視線にある種の快感を感じはじめる。だが、こんなことで新たな扉を開くことはないと、頭を軽く振り、改めて自己紹介をしようとするのだが、それは紫に遮られた。

 

「横島さん、まずはこちらから。この子は……」

 

「え? あ、はい。私は魂魄妖夢と申します。以後、お見知り置きを」

 

「ああ、妖夢ちゃんだね。俺は横島忠夫、よろしく」

 

 また自己紹介を遮られたので若干落ち込むが、まずは妖夢との自己紹介を済ませる。そして自分と紫の意味ありげな視線と、紫が手で示す幽々子の視線が絡み合い、彼は何をするのか大凡のところを把握した。

 

「ふふ、私の番ね。私は―――」

 

 そして、幽々子がその小さな唇をそっと開く。

 

「―――てけれっつのぱー」

 

「……ふむ」

 

「……は?」

 

「……え?」

 

「ちょ、何を……?」

 

 レミリアと文は口をポカンと開け、妖夢は初対面の男性に先程自分が体験した訳の分からない言葉をかける。それに対し横島は思案顔だ。

 

「―――はっぱふみふみ」

 

「……うーん」

 

 最早周りの者を置き去りに、幽々子と横島は見つめ合う。皆は頭に疑問符がいっぱいだ。その後横島は数秒間程唸った後、徐に頷き、無駄に爽やかな(つまり胡散臭い)笑顔を浮かべ衝撃の発言をする。

 

「貴女が紫さんの親友の幽々子さんっすか。俺は紅魔館で執事として雇ってもらった横島忠夫っす。よろしくお願いしまっす!」

 

「はい、よろしくね~」

 

 にこやかに笑い合う二人。

 

「ぅえええええええ!!??」

 

 と、そこに妖夢の驚愕の悲鳴が轟いた。

 

「わ、分かったんですか!? 本当に分かったんですか今ので!?」

 

「お、おおぅ……っ!?」

 

 猛烈な勢いで横島に迫る妖夢。横島もこれは予想外だったらしく、勢いに押されるがままに後ずさっている。

 

 レミリアや文も目を見開いて驚いており、今の謎の言語についてお互いの考えを話し合ったりしている。

 

 そんな少々カオスな空気が立ち込める中、紫と幽々子の二人がゆっくりと妖夢に歩み寄り、肩をポンと叩く。

 

 妖夢は振り向く。そこに有ったのは―――。

 

「……ふっ」

 

「み・じゅ・く♪」

 

「なんですかそのドヤ顔は……っ!?」

 

 非常に腹立たしい、これでもかという位に勝ち誇ったかのような表情をする二人であった。妖夢は既に半泣きである。

 

 そんな光景を見た横島は良心が痛んだのか、頭をポリポリと掻きながら種明かしをする。

 

「えーっと、ごめんね妖夢ちゃん。実は、紫さん達の話が偶然耳に入ってただけなんだよ」

 

「え……? ど、どういうことです……?」

 

 つまり、こういうことだ。

 

 横島は紫と幽々子の会話を美女美少女にのみ発揮される驚異的な聴覚で聞き取り、二人が親友であると知る。そして横島はこれまでの紫との会話と周りの紫に対する評価から、彼女が中々に厄介な性格であることに気付いた。

 

 横島の推測通りなら、彼女の性格からして生真面目な人物はからかわれるであろうことは容易に推察される。そこに来ての意味深なアイコンタクトだ。紫と幽々子が真面目そうな妖夢をからかう目的で何かをしてくると瞬時に判断し、後はアドリブで乗り切る。幸い幽々子もノってくれた。

 

「偶然とはいえ、即興で……?」

 

 妖夢は目をまん丸と開き、かなり驚いているようである。これにはレミリアと文も感心し、横島を見る目が少々変わった。

 

「妖夢、貴女を未熟と言った理由が分かったかしら」

 

「え……?」

 

 幽々子の言葉に、妖夢は顔を向ける。

 

「彼、横島さんは周りから得た情報を瞬時に整理し、まだ知り合って日が浅い紫や、初対面である私からの視線だけで私達の意図を察し、これだけのことをやって見せたわ。それには咄嗟の判断力や、頭の回転、何より柔軟な思考が必要になる……」

 

「……!」

 

 幽々子の真剣な言葉に妖夢は姿勢を正す。それは普段から幽々子に言われてきたことだが、今回のことでそれがやっと理解出来た。

 

「妖夢、もっと周りに目を向けなさい。何もいきなり出来るようになれとは言わないわ。少しずつ、少しずつ今の貴女の殻を破りなさい。そうすれば、今よりもっと大きくなれる」

 

「……はい、幽々子様!」

 

 妖夢は幽々子に力強く頷きを返す。そして横島に向き直り、頭を下げる。

 

「初対面である私に対し教えを授けていただき、深く感謝します横島さん! ありがとうございます!」

 

「ぅえっ!? ぇあ、うん、どう……いたし、まして?」

 

 妖夢の感謝に横島はしどろもどろで返す。妖夢は実に晴れ晴れとした表情で横島を見ている。対する横島の表情は困惑に染まっている。

 

 それも当然だろう。彼は別に妖夢に対して何かを伝えたかったわけではない。ただ、紫達に乗っかって真面目そうな女の子をからかっただけだ。向こうでよくやっていた、敵を罠に嵌めるための即興漫才を応用して。だというのに、当の本人は横島をキラキラとした、まるで尊敬に値する人物を見るかのような目で見詰めてくる。

 

(真っ直ぐってレベルじゃねーぞ、この子……! この視線はどことなくシロを彷彿とさせるが、これじゃ扱い易いを超えてチョロい―――はっ! だから、この二人に……っ! そして、自分達の思惑に俺が乗っかると判断して……!!)

 

 全ては、紫と幽々子の掌の上だった。妖夢も横島も、二人に遊ばれていただけなのだ―――!!

 

(これが……『妖怪の賢者』と、その親友……!!)

 

 無駄にシリアスに驚愕する横島だが、紫達はニコニコとしている。

 

(妖夢は真面目すぎるからねえ。男性の知り合いもほぼ皆無だし、これで色々と成長してくれたらいいんだけど……)

 

(乗った私が言うのもなんだけど、これから先あの子が彼に恋愛感情を持ったらどうするの? 多分無いと思うけど)

 

(その時はその時よ。どんな結果であれ、良い経験になるわ。ま、もしそうなったとしても、妖夢を泣かせるようなら怒っちゃうけど……♪)

 

 何とも分かりづらい愛情表現である。紫は苦笑を浮かべ、横島と他愛ない世間話に突入した妖夢に視線を向ける。方法は悪ふざけと似たような物だが、幽々子の言葉は真に彼女を思ってのもの。いつか妖夢は幽々子が胸を張って誇れる存在となれるのか―――。

 

「紫様、お料理をお持ちしました」

 

「お魚もいっぱいありましたよっ」

 

 妖夢について思いを馳せていた紫だが、自らの式である藍達が料理を持ってきたことで、思考を中断した。

 

「あら、ありがとう。……そうそう、貴女達にも紹介しないとね」

 

「ああ、彼ですか?」

 

「執事さん……ですよね?」

 

 紫は橙の頭を撫でつつ、二人の疑問に頷いて応える。

 

「横島君、ちょっと良いかしら?」

 

 横島と談笑している妖夢には悪いが、時間をそれほど取るわけでもない。ここは我慢してもらおうと横島に声をかける。横島と妖夢は同時に紫に向き直り、側へと寄る。

 

「紫さん、何かありまし―――ぐふぅっ!?」

 

「っ!? よ、横島さん!?」

 

 だが、紫の隣に居る藍が視界に入った瞬間、まるでボディブローを受けたかのように横島の体がくの次に曲がる。

 

「く……っ! 落ち着け、俺の煩悩よ……!! ハシャぐんじゃあない……!!」

 

 何か、溢れる力を抑え込むような台詞を呟きつつ、何故か右腕を押さえている。口の端からは何故か血が垂れており、それを男臭く拭う様はまるで熱血系の漫画のようだ。某吸血鬼はその血を見て、とある衝動が湧き上がったが、この場では問題がなかった。

 

 横島は何回か深呼吸を繰り返し、多少は落ち着いたのか、にこやかに藍達に話しかける。

 

「いやー、すんません。君達があんまりにも可愛いんで、俺の中の怪物が暴れ出しちゃって!」

 

「は、はあ……」

 

 藍は目をパチクリとさせており、橙は可愛いと言われたせいか顔が赤い。正直に言えば横島はほとんど橙のことは目に入っていなかったのだが、彼の感覚は橙を『可愛らしい』と捉えていたので、複数形で可愛いと言ったのだ。……本命には効果は無かったようだが。

 

 でへでへと鼻の下を伸ばしている彼の姿を見て、妖夢の中の横島像に罅が入ったりもしたが、相手が藍では仕方がない。何せ彼女は世界に名高い『九尾の狐』、傾国傾城の美少女なのだ。

 

「それにしても……」

 

 横島は自分の周りを見渡す。視界に入るのは美少女、美少女、美少女!

 

(モテない貧弱なぼーや代表だった俺の周りに、美少女がいっぱい! これは人類にとっては小さな一歩だが、俺にとっては偉大な一歩……!!)

 

 急に喜びに打ち震える横島に大半のメンバーはきょとんとした表情を浮かべるが、紫と幽々子、文の三人は理解したのか苦笑を浮かべている。最近苦笑を浮かべてばかりの紫は、変にクセになって皺にならないか心配なほどだ。

 

「うーん、皆美少女で幸せだなぁ……。ここに輝夜様が居たら大変なことになってたかもなぁ……」

 

「横島さん、呼んだー?」

 

「あ」

 

 横島がぼそっと呟いた内容に返答する声が響く。声のした方を向くと、イカの丸焼きをはむはむと食んでいる輝夜が、いつものメンバーを引き連れてやって来た。ちなみにてゐはまだ本調子ではないのか、また鈴仙に背負ってもらっている。

 

「……」

 

「ん? どうした、横島?」

 

 途端に静かになった横島を訝しみ声をかける妹紅だが、横島から反応はない。輝夜と目を見合わせて更に声をかけようとしたのだが―――。

 

「FOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!」

 

 横島の霊力が、爆発的に膨れ上がった。

 

「な、何だぁっ!!?」

 

 その霊力に皆は驚愕し、その場に居なかった他の者も横島に注目する。巨大な霊力はまだ物理的な威力は伴っていないが、それも時間の問題に思える。

 

 瞬間、妹紅の脳裏を過ぎるのは今朝の博麗神社での光景。もし今この場所であの時のような爆発が起こってしまったら……! そう考えた妹紅は横島を羽交い締めにする。

 

「止めろ、横島! それ以上霊力を高めるな!!」

 

 必死に横島に呼び掛ける妹紅。しかし、彼を羽交い締めにすることによって、妹紅の慎ましくもしっかりとその大きさと柔らかさを主張する二つの丘は彼の背中に密着し、妹紅から仄かに薫る石鹸の匂いは彼の鼻腔をくすぐる。

 

―――結果的に、横島の霊力は更に強力になった。

 

「煩悩が高まる……、溢れる……!! おおおおおおおおお!!!」

 

 ついに横島を中心に風が起こり始める。それを感じた妹紅は更に体を押し付けて叫ぶ。

 

「止めろ、横島! 止めろおおおーーーっ!!」

 

 妹紅の決死の叫びも虚しく、横島の霊力が極大にまで高まったその瞬間、ついに月の頭脳が動く―――!!

 

「横島君、これを見なさい!!」

 

 永琳は懐から雑誌を取り出し、とある頁を開き、横島に突き付ける。

 

 それを見た横島は、一瞬で煩悩を霧散させ―――。

 

「く゛ほ゛は゛ぁ゛っ゛っ゛っ゛!゛!゛!゛」

 

「うわあああっ!?」

 

―――盛大に、吐血した。

 

「むぎゅっ!?」

 

 妹紅も巻き込みバタンと倒れ、ビクビクと痙攣している。横島に圧し潰される形となった妹紅は何とか這い出し、またもや横島に必死に呼び掛ける。今度は先程とは真逆の意味だが。そこに輝夜と鈴仙、更には藍に橙、妖夢も加わっていたりする。

 

「……永琳、あんた何見せたの?」

 

 執事として雇った横島の突然の奇行と惨劇の衝撃が抜け切らぬまま、レミリアは永琳に問い掛ける。

 

「ああ……、これよ。こんなこともあろうかと、人里で用意しておいたの」

 

 永琳が見せた物、それは『月刊・益荒男褌姿』という雑誌だった。ちなみに横島が見た頁には、明らかに人間を超越した筋量を誇る、解けた褌を右手で押さえ、何故か左手で胸を隠した、顔を赤らめ照れているスキンヘッドのおっさんが写っていた。

 

 レミリアは吐き気を覚え、即刻目を逸らし、口元を押さえる。

 

「う、うう……」

 

「大丈夫か、横島!?」

 

 苦しみの声を上げる横島を皆が心配して覗き込む。横島はうっすらと目を開き、言葉をつむぐ。

 

「し、死ぬ前に一度全裸美女で満員の日本武道館でもみくちゃにされながら『ジョ○ー・○・グ○ド』を歌ってみたかった……」

 

「……何の話だ!?」

 

「別に、哀別のチューでも、ええんやで……?」

 

 そう言って横島は目を閉じ、期待に高鳴る胸を押さえ、唇を突き出す。それに応えたのは妹紅の燃える拳であった―――。

 

 

 

「―――で、結局何があったの?」

 

 巻き込まれたくないのか、遠巻きに霊夢が質問する。それに対して永琳はヒラヒラと手を振った。

 

「大したことはないわ。輝夜と八雲藍を見た彼の若さが爆発しただけだから」

 

「ふーん。……最近の人里では滅多にないことだから、何か久しぶりね」

 

 どうやら昔人里で頻繁に有ったことらしい。あまり想像したくない光景が繰り広げられていたようだ。

 

「……」

 

 ドタバタと賑やかな横島の周囲、ちょっとアンニュイな気分に浸っているのは妖夢だ。初対面であるのに、自分に必要な物を教えてくれた(思い込み)人物が、何というか思った以上にスチャラカな人物であったからだ。

 

 しかし、妖夢は思う。先程の強大な霊力。自分に見せてくれた柔軟な思考に対応。『能ある鷹は爪を隠す』という言葉もある。これが彼一流のスタイルなのだ、と。

 

 妖夢が今の殻を破るのは、まだまだ遠い―――。

 

「痛てて……、ちょっとした冗談だったのに……」

 

「悪かったって」

 

 結局横島はその後ペコペコと謝り倒すことで許しを得た。彼からすれば、妹紅の攻撃は美神のシバきに比べて格段に優しいため、ダメージが残ることはない。一応鈴仙に治療はしてもらったが。彼は服の埃を払い、スッと立ち上がると、藍と橙に対して謝罪をする。

 

「いや、すんません。自己紹介もしない内からお見苦しいところをお見せしちゃって……」

 

「あ、ああ、うん。気にしなくても良いよ。……こほん。では改めて、私は紫様の式、八雲藍だ。こっちは私の式の橙。これからよろしく頼む」

 

「橙です! よろしくお願いします!」

 

「紅魔館の執事、横島忠夫っす。よろしくお願いしまっす!」

 

 さっきのことは互いに忘れ、にこやかに挨拶をする三人。特に、横島の雰囲気はまた変わっていた。それは、何かを懐かしんでいるかのようなものだった。

 

(九尾の狐、か……。見た目の年齢はそう変わらないはずなのに、タマモとは段違いだな。あいつも成長したらこうなるんだろーか……)

 

 実際には三日と経っていないのだが、幻想郷から出られないと聞かされたせいか、途端に郷愁に似た物を感じたのだろう。横島は軽く頭を振り、笑って橙との会話を盛り上げていく。

 

 その横顔は、横島の怪我を治療した鈴仙に、不思議な感覚を残した。いつか、どこかで見た顔だ、と。

 

「ところで、妖夢ちゃん。気になることがあるんだけど……」

 

「え? はい、なんでしょうか?」

 

 鈴仙が物思いに耽っている間に、話題は妖夢へと移っていたようだ。横島の問い掛けに、妖夢が答える。

 

「その、妖夢ちゃんの隣にいる霊体は何なんだ? 何か妖夢ちゃんと同じ霊波を放ってるみたいだけど……?」

 

「これは、私の半霊です」

 

 妖夢は自分の種族、半人半霊について説明する。その内容に横島は感心しきりだ。元の世界では見たことも聞いたこともない種族。それは横島の好奇心を大いに刺激する。

 

「もし許してくれるなら……、半霊を触ってみても良い?」

 

「え、半霊を……ですか?」

 

「うん」

 

 妖夢は少々考えるが、いきなり半霊を祓おうとはしないと判断し、「痛くしないでくださいね?」と許可を出した。それにより横島の煩悩が少し刺激された。

 

「んじゃ、お言葉に甘えて……」

 

 横島は優しく霊力を練り、半霊に触れる。すると、妖夢が突然声を上げた。

 

「―――ひゃっ!?」

 

「ぅえっ!? あ、あれっ? 痛かった……?」

 

「い、いえ……そうじゃなくて……。だ、大丈夫です」

 

「そう、か……?」

 

 横島は妖夢を気遣い、更に優しく、優しく霊力を練る。そうして半霊に触れ、妖夢がまた声を上げないのを確認し、ほっと息を吐きつつ今度は半霊の感触を堪能する。

 

「うーむ、これは……。掌に吸い付き、程良い弾力と見事な張り……。ビーズクッション……いや、低反発? どっちも違うか。何にせよ、癖になりそうな感触だ……」

 

「そんなに凄いんですか?」

 

「ああ。枕とか、クッションにしたら気持ちいいだろうな……」

 

 横島だけでなく、他の者も「横島が良いなら私達も良いだろう」と半霊に触れる。

 

 半霊を触られている妖夢は特に何も言ってこないが、実は喋る余裕が無いだけだったりする。

 

「……っ。……んっ! ふ……っ、ふぅ、ん……っ」

 

 妖夢は口を押さえ、必死に声を出さないようにしている。

 

 他の者が半霊に触れるのは問題無い。だが、横島が触れる時だけ、全身に甘い感覚が迸るのだ。それは全身を優しく撫であげられ、体の芯から、何か背徳感を刺激するような快感。

 

 妖夢は未知の感覚に恐れと興奮を覚えたが、そんな自分を恥とし、この感覚をねじ伏せようと耐えているのだが、全身を駆け巡る甘い雷は彼女の頭を痺れさせ、徐々に牙城を崩していく。

 

 結果、妖夢は声を出すまいとするしかなくなっているのだ。

 

 文はそんな妖夢を無遠慮に写真に撮りまくる。次々とアングルを変え、バシャバシャとそれはもう景気よく撮っていく。幸いにも妖夢は耐えることに必死で文に気付くことはなく、被写体の赤く紅潮した頬、熱っぽく、まだまだ未成熟ではあるが、色気を湛えた表情、快感に震える体を余すことなくフィルムに収める。

 

 と、そこに影が差した。ぽんと肩を叩かれる。振り向いた先に居たのは、艶やかな着物を纏った、『死を操る程度の能力』を持った美少女だった。

 

「―――文?」

 

「……これはこれは幽々子さん」

 

 文の全身から冷や汗が流れ出る。彼女の能力を鑑みるに、今の状況は非常にマズい。カメラどころか自分の命のピンチだ。

 

 幽々子は扇子を広げ、口元を隠し、ニッコリと微笑んだ。

 

「私にも写真を分けてちょうだいね?」

 

「勿論です!」

 

 フィルムよ尽きよとばかりに撮影を再開する文。

 

「あーもう、妖夢が困ってるからそこまでにしときなさい横島。あと、お前もだ天狗」

 

「あやややや」

 

 流石に見るに見兼ねたのか、こんな主にはなるまいと思ったのか、レミリアが割って入る。文も今回は悪ノリが過ぎたと思っていたのか、あっさりと従う。

 

「あー……、ごめんな妖夢ちゃん。そりゃ、半霊を弄り回されたら気分悪いよな」

 

「い、いえっ! も、もも問題ありません! またいつでもどうぞ!?」

 

 妖夢はさっきまで全身(半霊)を撫で回していた横島の顔を見たせいか、呂律が回らず、若干自分でも理解し難い言葉を口に出してしまった。これはほぼ無意識的であったようだ。

 

(……癖になったらどうするの、幽々子?)

 

(それはそれで良い経験に……)

 

(なるわけないでしょうが)

 

 最近、周りのツッコミに回ることが多くなった紫。今から胃が心配になってきた。

 

「ほら横島、次に行くぞ。相手はまだまだいるんだからな」

 

「うっす、了解っす! んじゃ、藍さんに橙ちゃんに幽々子さんに妖夢ちゃん、また今度なー」

 

「は、はい。またいずれ」

 

「お疲れ様でーす」

 

「程々にな」

 

「うふふ、またね」

 

 挨拶を交わし、横島達はその場を後にする。妖夢は少しふらつきながらも喉の渇きを癒やすために水分を求めて歩き出す。幽々子もそれに付いて行き、料理の攻略にかかった。

 

 

 

 

「……ん? あれは……」

 

「どうかした?」

 

 次の人物の所へ向かう途中、横島は幼い少女達がパーティーホールから出ようとしているのを発見した。気になって近付いてみると、どうやら悪戯目的だったようだ。

 

「ここから中に入って探検すれば、お宝とか見つかるかも……」

 

「だ、駄目だよチルノちゃんっ。怒られちゃうよ?」

 

「そうだよ。せっかく紅魔館のパーティーに招待されたんだから、今日は大人しくしてようよ」

 

 館内の侵入を試みる『氷の妖精』チルノに、それを留める『大妖精』、そしてチルノを落ち着かせようとする『蛍の妖怪』リグル。その場にもう二人、『夜雀の妖怪』ミスティアと『宵闇の妖怪』ルーミアという少女達が居るのだが、ミスティアはハラハラと状況を見守っており、ルーミアは「そーなのかー」とどちらに同調しているのか分からない発言をしている。

 

「何言ってんのさ! せっかく赤くて大きい家に入れたんだから、お宝を探さないと! それであたいが最強であると証明しないと!」

 

「最早意味が分からないよ、チルノちゃん」

 

 青と緑の妖精が元気よく言い争う中、横島はスタスタと歩み寄り、探検を提案していたチルノをひょいと猫のように摘み上げる。

 

「こーら、何をしようとしてるんだ?」

 

「んにゃ!? は、離せー!」

 

 チルノはバタバタと暴れ出すが、横島はそれを意にも介さない。念の為に霊力を纏っていたのが功を奏したようだ。

 

 横島の姿を確認した他の四人は、顔を青ざめる。格好からして彼は紅魔館の関係者であり、もし館内に侵入しようとしていたのが館の主にバレたら……。そういった悪い想像は、現実になることがある。

 

「何だ、お前達も来ていたのか」

 

「っ!!? れ、れれれ、レミリア・スカーレット!!!?」

 

「あ、あわ、あわわわわわ……!?」

 

「や、やばいのかー……」

 

「ご、ごめんなさい! だから命だけは……!!」

 

「あのー、私も居るんですよー?」

 

 紅魔館の主にして、強大な力を誇る吸血鬼レミリアの登場は、チルノ以外の全員に絶大な恐怖を与えた。そんなに恐れているなら何故宴会に来たとツッコミたい横島だったが、やはり何かやましいことがあるからなのだろう。いつの間にか、チルノも暴れるのを止めている。

 

「あー……、余り羽目を外しすぎるなよ? 言いたくはないが、目に余るようなら帰ってもらうことになるし……」

 

「はいっ! ごめんなさいっ!」

 

「あの、私も……」

 

 レミリアの言葉に四人は必死に頷く。その様子にレミリアは若干気分が良くなったようだ。文は逆に落ち込んでいる。レミリアはニヤリと口角を上げ、横島に自己紹介を促す。

 

「俺は紅魔館の執事の横島忠夫。あんまり悪戯しちゃダメだぞー?」

 

 にこやかにしているが、それでも注意するのを忘れない。横島が放っている霊波のお陰か、皆も落ち着いたようだ。

 

 そこで、気になることがある。

 

「……」

 

 横島に摘み上げられているチルノが、横島の顔をじっと見詰めているのだ。

 

「……えっと?」

 

 その視線に横島は困惑する。自分は何かをしたのだろうか、と。

 

 事実、横島自身にとっては何でもないことだが、チルノにとっては驚愕に値することを行っていた。

 

 現在の横島は妖精や力の弱い妖怪、霊体に作用する霊波を放っている。だが、『その程度のこと』はどうでもいい。

 

 チルノが何よりも驚いたのは、自分に触れているのに、まるで何でもないかのようにしていることだった。

 

 チルノは氷の妖精であり、その力は妖精の範疇を超え、そこらに存在する凡百の妖怪なら一蹴してしまうほどに規格外な力を誇る。それは触れた物を瞬時に凍り付かせ、例え眠っていたとしても体から放出される冷気は簡単に人間に凍傷を負わせてしまう。

 

 自然の具現である妖精に対して大した効果は無いとはいえ、チルノに進んで触れる者も極僅かなのは仕方のないことであろう。

 

 では、この人間は?

 

「……あんた、あたいに触って大丈夫なの?」

 

「え? ……何が?」

 

 横島は首を傾げる。現在横島は霊気を纏っているのでチルノの力が及ばず、特に問題は見当たらない。とりあえず彼はチルノを下ろし、膝を曲げて目線を合わせて優しく頭を撫でる。

 

「どうした? 何かあったのか?」

 

 チルノの頭に触れる、横島の大きな手。それはチルノが今まで感じたことのない、『暖かさ』を伴っていた。

 

「……何でもない」

 

 チルノは小さな頭をプルプルと振り、その小さな胸を張って、ニッコリと自己紹介をした。

 

「あたいはチルノ! 幻想郷で最強の妖精なのよ!」

 

「ああ、君があの最強の妖精か。咲夜さんの言ってた通り、随分と力が強いな」

 

「分かるっ? 分かるっ? やっぱりあたいは最強ね!」

 

「……チルノちゃん」

 

 チルノがはしゃぐ姿を見る大妖精の胸に去来した感情。それは純粋な嫉妬であった。

 

 自分の前では見せたことのない表情を簡単に引き出してみせた、横島という男。チルノの一番の親友である大妖精にとって、それは当然面白くないことであった。

 

 だが、それを今ここで表してチルノの表情を曇らせるのはもっと我慢ならない。深呼吸を一つ、皆と一緒に名を名乗ることにした。

 

「私は大妖精です。……チルノちゃんとは、一番仲が良いです」

 

「そっか、よろしくな」

 

 それでも、自己主張は忘れない。乙女心は複雑なのであった。

 

「私はミスティア・ローレライです。夜雀の妖怪で、普段は八ツ目鰻の屋台を出したりしています」

 

「八ツ目鰻かー。食ったことないな。今度寄らせてもらうよ」

 

「はい、お待ちしています」

 

 ミスティアの隣に居たルーミアが、両手を広げて前に出る。

 

「私はルーミア。宵闇の妖怪。ところでこのポーズ、何に見える?」

 

「え? えっと……グ○コ?」

 

「一粒三百メートルなのかー」

 

 いつの間にか幻想入りしていたらしい。

 

 ルーミアとの問答を笑って見ていたリグルが、最後に横島の前に出る。彼女の姿を見て、横島の動きが止まった。

 

「私はリグル・ナイトバグって言います。私は―――」

 

「蛍……?」

 

 リグルが種族を言う前に、横島が半ば無意識に声を出した。

 

「え、うん、そうだけど……。よく私が蛍の妖怪だって分かりましたね?」

 

「あ、ああ、いや……。知り合いに、似ていたからさ」

 

 なははと笑って誤魔化している横島だが、その対応はレミリアに疑問を抱かせるには十分な態度だった。

 

「……」

 

 今は、いい。この宴会の空気を壊すのは憚られる。尋ねるならば、この宴会が終わってからだ。

 

「蛍の妖怪か……。なら、砂糖水でも持ってこようか?」

 

「え、良いんですか?」

 

 横島はレミリアに視線で問う。それにレミリアは頷くことで答えた。

 

「んじゃ、作って持ってくるよ。他の皆は何か要る?」

 

「じゃあ、あたいは黒くてシュワシュワするやつ!」

 

「私も、チルノちゃんと同じコーラで」

 

「私は熱い緑茶があれば……」

 

「生き血……は無いだろうから、トマトジュースで」

 

「吸血鬼か、お前は。……私は、ワインでよろしく」

 

「じゃあ、私もワインで」

 

 横島は皆の注文を聞き、その場を離れる。後に残ったのは、横島が居なくなったことで恐怖感が蘇った四人と、自分の頭をさすっているチルノ、そして思案に耽るレミリアと、そんなレミリアを激写する文であった。

 

 

 

 

 一旦パーティーホールから出て、近くに設置された簡易的な厨房で砂糖水を作る横島。その顔は、少々人に見せられない物になっている。

 

「……あいつは、このくらいが好みだったよな」

 

 水に砂糖を混ぜ、ぽつりと呟く。瞬間、横島は愕然とし、大きく深い息を吐いた。

 

「重ねちゃ駄目だっつーのに……全く」

 

 横島は両頬をパンと勢いよく叩く。ヒリヒリとした感覚に若干涙が出るが、そのお陰で表情は普段通りに戻った。

 

「さて、戻りますか」

 

 他の皆の飲み物も用意した。力強い歩みでパーティーホールに戻り、レミリア達を目指す。

 

 周りの喧騒は高らかに彼の体を突き抜けていく。宴会を楽しむ皆を見て、自然と頬が緩む。もう、先程のような雰囲気は霧散していた。

 

 宴は、まだまだ終わらない。

 

 

 

 

 

 

第九話

『紅魔館での宴会』

~了~




雑なフラグを雑にばら撒く男、スパイダーマッ!!

はい、お疲れ様でした。

そして、宴会は後半へ続きます。
私の力量では一回で纏め切れませんでした。申しわけねぇ……!

キャラ付けについては、妖夢とみすちーとるみゃが難しいです。

まあ、一番難しいのは横島とリグルをどうするかなんですけどね!
ほんとどうしよう。

それにしても妹紅の扱いやすさは異常。

この宴会は多分次回で終わります。タブンネ。

それでは、また次回お会いしましょう。

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