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ワトソンに銃を突き付けられキンジは完全に追い詰められてしまった。
ヒステリア・ベルゼによって攻撃ばかり考えていたため守りが隙だらけになってしまっていたため弾薬を盗られ、スクラマ・サクスも盗られ、ナイフも盗られ完全に丸腰にされ。崖っぷちにまで追い詰められてしまい絶体絶命のピンチに陥っていた
「遠山、もう武器がないんだろう?今すぐ撃ってもいいんだが・・・丸腰相手にそんな事するのはかわいそうだからせめてもの情けだ。今すぐ帰れば見逃してやる!アリアのパートナーはこの僕だ!君になんて最初から無理な話だったんだよ!」
ワトソンは降伏を促すがキンジは屈することなく反論した
「・・・だから言ってんだろ?俺には無理って言うのは禁じられてるんだよ。それに・・・まさかとは思うが「アリアのパートナーは自分だけだ」なんて思っているのか?」
「当然だろう?」
「だとしたらお前の目は節穴だな・・・お前はあいつの何も見えていない・・・」
「へぇ?それじゃあ君は「アリアのパートナーは俺だけだ」とでも言いたいのかい?そんな体たらくでまだそんなことを吠えるのか?」
ワトソンがそう尋ねるとキンジは鼻で笑った
「やっぱりお前・・・何も見えてないな・・・アリアのパートナーはお前だけ?アリアのパートナーは俺だけ?どっちも違うよ・・・」
「・・・どういうことだ?君は何が言いたいんだい?」
「最初から言ってんじゃねえか・・・アリアのパートナーは・・・」
そう言ったところで
――ドォ―ン――
下から爆発音が聞こえた
「っと、これは九狂君の武器か、そう言えば彼がいたんだね。どうして彼が来ていないのか疑問だったけどようやく来たのか」
「――?何言ってんだ?お前が――ドォォ―ン――
キンジの会話が爆発音で遮られる
「もしかして彼をアリアのパートナーに推薦でもする気――ドォォ――ン――あいにくだが彼には既に心に決めた人がい――ドォォ――ン――それに彼に依存しないと言ったのは君――ドォォ――ン――
ワトソンは爆発音を無視して話を進めるが
――ドォォォ―ン――
「・・・いい加減うるさい――ドォォォォォン――・・・彼は何をしている――ドォォォォォン――
音は先程から一向に鳴りやまない、それどころか・・・
――ズドォォォォン――!
その音はだんだんと大きくなってゆく・・・いや、正確には音源が近くなっているような・・・
――ズドォォォォォン――!!
「まさか・・・いや・・・そんなわけ――ズドォォォォォォォォン――!!!
そして音が最大になると
――ズドォォォォォォォォォォン――!!!!
「オイコラ!!キンジィ!!」
下から爆炎と共に氷牙が昇ってきてMP5Kを向けた
「「なっ!?」」
キンジとワトソンが突然予期せぬ場所から現れた氷牙に目を開くと同時に
――バラララララッ――!
「―――っ!?」
氷牙はMP5Kを掃射してワトソンは咄嗟に下がったが
「いででででっ!?ちょっ!!俺に当たってるぞ!!」
その弾丸は全てキンジへ被弾した
「は?」
その光景にはワトソンも間抜けな声を上げて固まらざるを得なかった
「なんで俺を撃つんだよ!?てかお前なんで窓がっ!?」
そして氷牙が展望台に着地すると同時にキンジの頭に全体重が乗った鉄拳を炸裂させた
「このナイフお前のだろ!俺の右腕に刺さってすげえ痛かったんだぞ!!」
と言って先ほど右腕に刺さったバタフライナイフをキンジに突き付けた
「し、仕方ないだろ!!ワトソンに武器と弾薬盗られてナイフとマガジンは窓から捨てられたんだごはっ!?」
キンジが頭を抱えながら説明すると今度は顔面にケンカキックが直撃した
「このマヌケ!!武偵があっさり武器盗られてんじゃねえよ!!今度から紐でもつけとけ!!」
氷牙はアリアのごとくキンジに鉄槌をかましながらガミガミと説教し続けた・・・お前どっちの味方だよ・・・
「いや待ちたまえ!九狂君!?エレベーターはまだ来ていないし階段には幾多ものトラップを仕掛けておいたはずなのに・・・いや、そもそもここは地上350mの展望台だぞ!?どうやって窓から来た!?」
我に返ったワトソンが問いかけてきたので
「ああ、別に?外からここまでこいつで登ってきた」
氷牙は先程まで爆炎を上げ今なお熱気と煙を上げているレッドクイーンをワトソンに突き付けた
あの剣で?まさか・・・
キンジとワトソンが同時に下を見れば・・・ツリー入り口前の広場には焼け焦げた跡が広がっていた
「お前・・・持ち前の脚力とレッドクイーンの推進噴射を使って登ってきたのか!?」
「ああ、何度か落ちかけたけどその度壁に闇魔刀刺してハーケン代わりにしてきたから落ちずに済んだ」
何とも相も変わらずデタラメで常識外れな事をさも当たり前のようにやってのける男である・・・
「てかキンジ?お前左目腫れてるけどどうした?」
「毒針でやられてな・・・眼球は無事だが目が開かなくなった・・・」
「ほう?」
氷牙はワトソンを睨むと
「おいワトソン?アリア薬盛って攫って、理子泣かせて、こんなのでも一応は俺達のリーダーをここまでボコして、挙句の果てには俺の右腕にナイフぶっ刺してくれたんだ・・・まさかタダで済むなんて思ってないよな?覚悟はいいか?」
「いや俺・・・むしろワトソンにやられた傷よりも、お前にやられた傷の方がよっぽど重症なんだが・・・」
キンジはジト目で突っ込むが氷牙は無視した
「・・・君の腕に刺さってしまった事は謝罪する。僕も意図的ではない事故だったんだ。だが理子については何の事だ?」
ワトソンがそう言うと氷牙の中でブチッと何かが切れた音がした
「分かんねえのか?じゃあ思い出させてやるよ!そのスカした顔思いきり焼き入れてな!!」
氷牙はワトソンに向かって走り出しながらレッドクイーンを振りかざすと
「甘いよ!この距離で大剣なんて隙だらけだよ!!」
ワトソンは勝機とばかりにP226Rを構えるが
「ああ、そうかよ!」
――ゴッ――!
「がはっ!?」
氷牙の右フックがワトソンの横っ面に直撃してP226Rを落とした
「忠告ありがとよ。じゃあ剣じゃなくて拳でやるよ」
そう言って振り上げたレッドクイーンはそのまま背中へと収められた
「お、お前・・・僕の顔を殴ったな!それもその右腕で!!」
「じゃあ左でも殴ってやるよ!」
続いて左ストレートが顔面に直撃してワトソンは鼻血を吹きながら後ろに倒れたが
「ホラ立てよ?まだ終わりじゃねえだろ?俺が終わりになんてさせねえよ?」
氷牙は右手でワトソンの頭を掴んで立ち上がらせた
「待て氷牙!!ワトソンは体中に武器を隠してるぞ!!」
そう叫ぶがすでに遅くワトソンは両手と膝に仕込んだナイフで氷牙を斬ろうとするが
――ヒュンッ――
氷牙は寸前でバックステップで間合いを取り両手のナイフも膝のナイフも空を切った
「なっ!?」
「そう来ると思ったよ」
――ズドォォォン――!!
そう言ってナイフを空振りして隙だらけのところにレッドクイーンの推進噴射を使って突進して間合いを詰めるとワトソンの体を掬い上げる様にレッドクイーンを斬り上げた
「がはっ!?」
ワトソンは咄嗟にガードするが今のカウンターで両手は勿論肘や膝のナイフも全て叩き折られた
「驚いたか?シャッフルっていうカウンター技だ。星伽分社で読んだ文献の中には俺と同じく悪魔の血を引く剣士が使っていた剣技の記述があってな?実に参考になったぜ?」
氷牙はレッドクイーンを背中にしまい宙に浮いたワトソンの両腕を両手で掴むと
「随分と手癖が悪いようだがこうすりゃおとなしくなるだろ?」
――ゴギィッ――!
力技でワトソンの両肩の関節を外し
「ぐぁあああああああああ!!!!!」
「うるせえよ!斬り落とされないだけありがたく思え!!」
再び頭を掴むと床に叩きつけた
「がっ!?」
そしてワトソンの頭を地面に押し付けたまま氷牙は口を開いた
「お前が女だろうと貴族だろうとどうでもいい、お前は俺の仲間に手を出した敵だ、それ以上でも以下でも無い。そして俺は仲間に危害を加える奴には女だからって容赦しない。ましてお前は『眷属』の人間だ!加減する理由はもう微塵もない!」
「な!?どうして君がそれを知っている!?」
「お、女!?お前・・・転装生だったのか!?」
キンジとワトソンは目を見開くが
「これだけされて気付かねえのはそこのバカリーダーぐらいだよ!!まさか初めからヒルダとグルだったなんて流石に思いもしなかったけどな!あの時ヒルダから助けてくれたのも全部芝居だったんだな!!」
氷牙がそう言うとワトソンは「え?」という顔をして
「ぼ、僕がヒルダと!?ちょっと待ってくれ!僕がリバティーメイソンに『眷属』に着くように進言したのは今日の事だ!!ヒルダと手を組んでなんていない!!」
「理子まで利用しておいて今更見苦しい事言ってんじゃねえ!!ヒルダはどこだ!!さっさと言え!!」
「し、知らない!!本当だ!!君が何を勘違いしているのか知らないが僕は昨日までは本当に無所属だったんだ!!ヒルダについては本当に何も知らないんだ!!」
「いい度胸だな・・・その根性がいつまで持つか楽しみだよ・・・」
そう言って氷牙は右手を握りしめると思いっきり振りかぶってワトソンの顔面にストレートを打ち込んだ
――ガッ――!
だが当たる直前にキンジがその右手受け止めた
「と、遠山?」
「・・・何のつもりだ?」
「止めろ!ワトソンは本当に何も知らない!」
「・・・何を根拠にそう言えるんだ?言っておくが『女性の言葉は信じるものだ』なんてぬかしやがったらお前の肩の関節外して逆向きにはめ戻してやるぞ?」
「ヒルダとグルなら理子がお前を足止めしてる事も把握しているはずだ!なのにワトソンはどうしてお前が俺と一緒にいなかったのか知らなかった!理子をこのタイミングでけしかけたのもたぶんヒルダがワトソンとグルなんだと思わせるためだ!今ワトソンを殴ればそれこそヒルダの思うつぼだぞ!!」
「・・・その根拠、確証はあるのか?」
そう言ってキンジを問いただすと
「キー君の言う通りだよ!ワトソンは何も知らない!ヒルダはワトソンがアリアを奪った後にかすめ取ろうと企んでいたんだよ!」
エレベーターで駆け付けた理子の証言がキンジの推測を裏付ける証拠となった
「・・・・・・・・・・・」
説明に納得してくれたのか氷牙は右腕を下ろしワトソンの頭を離した
・・・成程な・・・まずはワトソンにアリアを俺達から引き離させて俺達と衝突させる、その後はどちらが勝とうが勝った方も消耗しているだろうから最小限のリスクでアリアを横取りできる。まさにキンジが言ってた通りだ。三つ巴戦になる場合はまず敵同士だけで戦わせ合って漁夫の利を得るのが一番だって
「ヒルダもこっちに向かってる!狙いは間違いなくアリアだよ!!」
「聞いたかワトソン?どうやら俺達やお前は知らぬ間に利用されていたみたいだぞ?」
そう言うと文字通り手も足も出せないワトソンは歯を噛みしめると
「・・・まさかこの僕がピエロにされていたとはね・・・その上君達相手にこのありさま・・・無様極まりないな・・・」
「おいワトソン!さっきアリアは上で眠ってるって言ったよな!?まさか一人で寝てるのか!?」
「ああ・・・アリアは今一人だ・・・その上まだ薬は切れていない・・・このままじゃ危険だ・・・」
「マジかよ・・・こうしちゃいられねえ!!」
そう言うと氷牙はワトソンのコートを開くとシャツをめくり上げた
そして服の下から男装していても女性らしく確かにある膨らみと柔らかそうな白い肌が丸見えになり
「おおっ!?」
「なっ!?氷牙!?」
「なっ!?何をするんだ!?」
三人が顔を赤くしつつもそれぞれの驚きの反応を見せた
「黙ってろ。盗ったキンジの武器、それとキンジに打ち込んだ毒の解毒剤、持ってんだろ?どこだ?」
そう言って服の中に手を突っ込んだ
「あっ!?や、やめろ!どこ触ってるんだ!」
「イヤならどこに隠してんのかさっさと言え、ここか?」
氷牙はワトソンの服の中をまさぐり続ける
「そ、そんなところに隠してるわけないだろ!!い、言う!言うから手を離せ!!」
「いや!言っちゃダメ!!もう少し頑張って!!」
そしてその傍らでは理子がケータイカメラを構えながら二人の様子を延々と撮り続けた
「ふ、ふざけるな!!おい遠山!!この二人を止め――」
キンジは我関せずと言わんばかりに背を向けて耳をふさいでいた
「おい、どこに隠しやがった!?もしかして下の方か?」
「え!?下も剥ぐの!?ちょっと待ってて!今ライト持ってくるから!!」
助けは無い。救いも無い。もはやされるがままにされるしかないと察したワトソンは
「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
絶叫を上げながら早く終わるのを待つしかなかった・・・
そして数分後には
「ほらキンジ、武器取り返したぞ?あと薬もあった」
奪われたキンジの武器と注射器を手に持つ氷牙と
「うう・・・穢された・・・この・・・悪魔・・・」
顔を真っ赤にしてワナワナと震えるワトソンがいた
「いやーいいもん見ちゃいました!あとひょーたん?奥さんいるのにこれってまずいんじゃい?レキュとりったんに言いつけちゃおうか?」
「ご自由に?ただし尾ひれ着けるなら二人の狙撃から逃げ切れるプラン用意しとけよ?」
「氷牙・・・気は済んだか?」
「ああ、武器取返した。こんなあっさり武器盗られてんじゃねえよ。さっさと解毒してアリアを取り返しに行くぞ!」
キンジに武器を返そうとするが
「・・・まだ受け取れない」
「「は?」」
「まだ勝負はついてない。氷牙、ワトソンの肩を戻せ」
「ちょっ!?キー君何言ってんの!?」
「これは俺とワトソンの勝負だ。俺にけじめ着けさせろ」
氷牙はしばし考えると・・・
「・・・いいんだな?もう助けてやんねえぞ?負けやがったらどうなっても知らねえぞ?」
「無茶すぎるよ!しかも武器も薬もいらないってキー君丸腰で片目見えないじゃん!勝つなんて無理だよ!!」
「勝つさ、無理ってのを禁じられている俺にはな・・・勝つしかなくなるんだ」
「そうだな・・・やっぱりお前は世界一のバカだな」
――ゴキンッ――
そう言ってワトソンの両肩をはめ戻し
「ッ!!」
そしてワトソンの前にP226Rを転がした
「ここから先はもう手は出さん、お前らのやりたいようにしろ」
氷牙はエレベータ前に解毒剤とキンジの武器を置くと
「理子、先に行くぞ。来たからには役立ってもらうぞ?」
「・・・りょーかい」
氷牙と理子は上へのエレベーターに乗って上っていった
キンジとワトソンは二人を見送ると
「さて・・・予期せぬ乱入はあったが・・・とりあえず仕切り直すぞ?」
キンジはワトソンを直視しないように呼びかけ
「まったく・・・本当に常識外れで破天荒な男だよ・・・突然現れて周りを散々振り回して嵐のように去っていくのだからね・・・」
ワトソンは立ち上がりながら氷牙に乱された衣服を直していった
「それで?本当にいいのかい?せっかく君達が逆転したのにそれをわざわざ仕切り直してくれるのかい?」
「ああ、この勝負は俺一人で勝たないと意味がないからな。お前を説き伏せるためにも・・・俺の理想論を認めさせるためにもな!」
「そうか・・・そうだったね・・・」
ワトソンはP226Rの銃口をキンジに向けると
「・・・時間も無い・・・この一発で決着をつけるぞ」
「ああ、それが最後の一発だろ?よく狙えよ?」
「・・・どうしてそう思う?」
「撃った数、数えてた。今の俺ならそれくらいの事は頭の片隅で難なくできる」
キンジはワトソンをまっすぐ見据えると体を左に大きく捻り溜めの動作を取った
「・・・遠山、確かに僕の残弾はあと1発だ。あの交差の中でそこまで把握する洞察力は本当に見事だ。なのに本当に残念だよ・・・僕をここまで追い詰めておいて最後はそんなブラフを最後に儚く散るなんてね・・・」
「本当にブラフなのかどうかはすぐに分かる。それとさっきの答え教えてやるよ・・・アリアのパートナーは・・・お前だけでも俺だけでもねえよ・・・アリアのパートナーは・・・俺達バスカービルだ!!」
「・・・アーメン」
ワトソンが祈りの言葉と同時に引き金を引き銃口から銃弾が飛び出し
「―――!!」
キンジは桜花のように全身の筋肉を使って右手を居合斬りのように左から右へ振るい自身に向かって来た弾丸を右手の指先で捉えそのまま軌道を左へと逸らし
――チュィンッ――!
ワトソンの最後の銃弾はキンジの右目スレスレを掠めて後ろへ流れていき
「―――ッ!!」
ワトソンも信じられないものを見たようで目を見開いて固まった。
ベルゼじゃなきゃやろうとも考えなかった。もう二度とやりたくない片手での銃弾逸らし、名付けるなら・・・
「螺旋(トルネード)!!」
――ガキンッ――
そしてP226Rがスライドオープンすると
「うぉおおおおおおおおお!!!!!」
キンジは駆け出しワトソンの顔面に向かってキンジの右ストレートが
――ドゴォンッ――!!
ワトソンの顔面スレスレを通り後ろの壁にめり込んだ
「な・・・あ・・・?」
「悪いな・・・やっぱり俺、女は殴れねえ・・・」
代わりに人間辞めたことは考えてやろうかな?今度は銃弾片手で逸らすなんてもう人間のやる事じゃねえしな・・・まあ仮に銃弾手で掴んだりしたら潔く人間辞めたって認めてやるか・・・
「何の真似だ・・・ふざけるな・・・ふざけるな遠山!!女だから殴れない!?君はどこまで甘いんだ!さっきまで僕が女だと気づいてなかった時は躊躇なく撃ってきたくせに今さら何を言ってるんだ!!」
「躊躇無く?違うな?俺、お前が女だって本能的には気付いてたんだよ。そうじゃなきゃここまでやられねえよ」
「え?」
「・・・最初からそうだった・・・どうしてかお前とは本気でやり合えなかった・・・今思えばたぶんお前が女だってことは最初から何となく気付いていたんだろうな・・・」
「なっ!?じゃあ最初から手加減していたっていうのか?」
「さっきまでは自分でもどうして本気でやれないんだって自分に苛立ちを持っていたけど今は本当に本気にならなくてよかったって思ってるよ。お前みたいな可愛い女の子本気で殴っていたりしたら俺はきっと自分を一生許せなかったと思うよ」
「っ!か、可愛い!?この僕が!?本気で言ってるのか!?」
ワトソンは顔を真っ赤にした
「何言ってんだ・・・だったら自分の顔ちゃんと鏡で見てみろ、お前は間違いなく可愛い部類の顔だよ」
「―――――ッ!!」
キンジがさらりと言うとワトソンは更に顔を真っ赤にして尻をついてへたりこむと
――ガシャン――
突然エレベーターが降りてきてそこにいた人物に2人は目を開いた。
「キンジ!?ワトソンまで!?あんたたち何してんの!?」
「「アリア!?」」
そこにはアリアだけがエレベーターで降りてきたのだから・・・
やっとワトソン戦(8巻)しめられます・・・
次からヒルダ戦はいります