だけどやめません!!
書き続けます!!
「ほら急げキンジ!もっと飛ばせ!!」
「うるせえ!これで全力だ!!」
そう言いながらキンジは自転車を全力で漕ぐ。
キンジと氷牙はジャンヌの部屋を出て中空知さんのナビゲートの元、ワトソンを追って車道をひたすらに走っていた・
ちなみに信じられないがキンジは自転車だというのに時速は100キロ近くまで出していて
それを軽々と追い抜く氷牙は・・・自分の足で走っていた
さっきから何回もオービスが光りまくって眩しいったりゃありゃしない
「中空知さん!ワトソンは!?」
『補足しています。目的地特定できました。場所は建設中のスカイツリーです』
「了解!ほらキンジ!加速するぞ!!」
そう言ってレッドクィーンを自転車の背中に当てると
「え!?ちょっと待――ズドォォォン――うぉぉおおおおおおお!!??」
キンジはさらに加速していき氷牙もそれに並走するように駆け出した
ちなにのこの時の二人の時速は150キロを余裕で超えていたのを知っていたのは偶然にも二人を捉えたオービスだけであった
『アリア、ワトソン、音声補足エリア外に出ました。目標ロスト』
ロストしたか・・・中空知さんの補足もここまでか・・・だが
「十分だ!行き先が分かればどうにでもなる!後は任せろ!!」
『交信終了します。ご武運を』
そしてスカイツリーの目前に迫ったところでキンジ達は傍に止めてあった車に気付き自転車を降りた
「あれは・・・間違いない・・・ワトソンの車だ!」
近づいて調べてみるが誰も乗っていない。エンジンの冷め具合からして着いたのは15分前ってところか・・・
「足跡は作業用エレベーターに続いているな・・・どうやらワトソンとアリアはこの上みたいだな・・・」
「ああ、ちなみに・・・」
氷牙は展望台へと上がる階段に向けて傍にあった空き缶を投げた
――ドォンッ――
空き缶が階段に当たると同時にそこで爆発が起きた
「・・・階段にはあえてわかりやすいトラップ・・・どうやら俺達が来るのも想定済みでおもてなしの準備も万全って事だ。来たら分かる様にエレベーターで昇って来いって言ってるみたいだぜ?まあ今の爆発でバレたであろうがな」
「・・・上等だ・・・その決闘受けてやるよ・・・」
そしてキンジはエレベーターに乗り込もうとすると
――ブロォォーーーー――
遠くから一台の車がこちらに向かって猛スピードで走ってきた
「――ッ!?ワトソンの仲間か!?」
――キィィッーー――
そして車は俺達の前で急停止すると
「二人共!」
中から凛香が降りてきた
「お前何してるんだ!?凛香はレキのランク考察試験のサポートに行ってるんだろ?」
キンジが問いかけると凛香は
「レキさんも後は最終試験を残すだけになったから開始するのを見届けて一足先に向かう事にしたんだ!私も助太刀するよ!」
「そうか・・・氷牙は・・・どうする?」
キンジがそう言うと氷牙は凛香に尋ねた
「・・・一応言っておくぞ?今の俺は虫の居所が悪いんだ・・・手加減できる余裕なんかないぞ?」
「大丈夫だよ。また君が自分を抑えられなくなった時は私が絶対に止めてあげるから」
「ああ、そうかよ!!」
――ズドォォォン――
氷牙は凛香に向かってレッドクィーンを横薙ぎに払った
「がはっ!?」
凛香は咄嗟に持っていたSR-25でガードしたが威力は殺しきれず吹っ飛ばされてSR-25は叩き折られた
「なっ!?おい氷牙!?いくら何でもそれは無いだろ!!」
「なんで・・・どうして・・・」
氷牙は冷めた目で凛香を見下したままMP5Kを構えて
――バララララッ――!!
「―――ッ!!」
発砲したが凛香はすぐさま飛び上がって距離をとった
「いい加減にしろ・・・これ以上何をしても何を喋っても俺を余計に怒らせるだけだぞ・・・」
「もうやめとけ?それに・・・俺も氷牙もさっきから一度だってお前を凛香とは呼んでない。その時点で察してるんじゃないか?」
「・・・・・・・・・・・・・なんでだ・・・」
凛香(?)は口調を変えると顔に手をかけ思いきり引っ張り自分の顔を剝いだ
そしてそのマスクの下からは見覚えのある顔が出てきた
「ふざけた真似してんじゃねえぞ、理子!!」
峰理子、俺達のクラスメイトにしてバスカービルの1員だ
「で?理子?お前わざわざ凛香に変装までして何してんだ?」
「・・・何でバレた?今の変装、理子の自信作だったんだけどな?」
「ヒステリアの俺の目を誤魔化すことなんて出来ないことくらい分かってるだろ」
「凜香はな、正式に側妻になってからは俺の事を氷牙って呼ぶんだよ」
「・・・キー君のはともかくひょーたんのは盲点だったね・・・理子のリサーチ不足だったよ」
「アホが、たとえそこまで調べたとしても一発で見抜いてやるよ」
「へぇ・・・理子の変装も見くびられたね・・・ちょっとムカつくよ」
「馬鹿かお前は、自分の妻を見間違うわけねえだろ?」
理子は氷牙の惚気と見下すような哀れむ視線を受けるとギリッと歯を噛みしめ
「ああ・・・やっぱりお前はムカつくよ!!殺したいほどにな!!」
そう叫ぶと理子はナイフを取り出し襲い掛かってきた
「なっ!?理子!?お前まさか・・・」
「チッ!」
――ギィンッ――
氷牙は理子が繰り出してきたナイフを受け止めると
「キンジ、先に行け!理子の相手は俺がする!逆転サヨナラ決めるなら最低一人は出塁してなきゃ成立しないだろ?俺が先に出てやる。最後はお前が決めろ」
「なら・・・絶対に顔は傷つけるなよ・・・それと少しでも消えない傷を付けたりしてみろ・・・俺がお前の左腕を斬り落としてやるからな・・・」
「保証しかねる・・・と言いたいところだが状況が状況だからな、こいつに関してだけはお前の甘ちゃんに付き合ってやる・・・」
「・・・すまない!」
そういうとキンジは理子に背を向けエレベーターへと乗り込んでいった
そして氷牙は理子を押し返すと
「理子、お前がどうしてこんな事してるかは大体想像がつく。それに免じて今すぐ刃を引くならまだ目を瞑ってやるぞ?」
「黙れ!元々お前はいずれ殺してやるつもりだったんだ!それ以外に理由なんか無い!!」
「いいんだな?キンジに免じて命だけは保証してやるけどそれ以外を保証できるまでに手加減できるほど機嫌は良くないぞ・・・」
「うるさい!黙って理子に殺されろ!!」
そう叫び、今にも泣きそうな顔で氷牙に飛び掛かった
氷牙は一層哀れみの目を理子に向けると
「ああ、本当にお前は飼い犬だな・・・首輪をつけられた飼い犬だ!!」
レッドクィーンを振るい理子を吹っ飛ばした
「がはっ!」
理子はレッドクィーンの一撃で吹っ飛ばされたがすぐさま立ち上がって髪で2本のナイフを、両手に銃を構え再び飛び掛かってきた
「おっと」
だが銃弾をレッドクィーンで防ぎ、髪も使ったナイフの連撃を簡単にかわすと
「オラァ!」
「ゴホォ!?」
鳩尾にキックをいれて理子を吹っ飛ばした
「ごほっ!がはっ!」
理子は嘔吐混じりの咳をしながらも立ち上がり
「身の程をわきまえろ?お前が俺に勝てると思ってんのか?俺は悪魔だが鬼じゃねえ、あの時みたいに泣いてごめんなさいって言えば許してやるぞ?」
「黙れ!!誰がお前なんかに2度も頭なんか下げるか!!」
理子は懲りずに飛び掛かってきたが
氷牙はため息をつくと
「やっぱ似た者同士だからかな・・・どうしてかこうも反発する・・・」
そう呟いて再び理子の攻撃をレッドクイーンでいなしてカウンターにキックを打ち込んで跳ね返した
一方、キンジは
「来たか・・・遠山・・・」
「ようワトソン・・・アリアは無事なんだろうな?奪い返しに来たぜ」
エレベーターで第一展望台に着くとワトソンは隠れる事もなくエレベーターの真正面に防弾・防刃ベストに防弾のロングコートを着て鋼鉄入りのコンバットブーツを履いた完全武装で待ち構えていた
「アリアならこの先で眠っている。無事かどうかは僕から奪い返して自分の目で確かめればいい。僕を倒せたらの話だけどね?」
――カシュッ――
そう言ってワトソンは注射器を出すと首に注射した
あれは・・・十中八九ドーピングだな・・・
「お前・・・打つタイプか・・・」
厄介だな・・・あのタイプは痛みや恐怖心にも強くなるから手ごわいんだ・・・
「遠山、ここまで来たんだ。どうして僕がアリアを君から遠ざけるのか教えてあげよう」
「・・・そうだな、薬が回るまでは時間がかかるだろ?それまで待ってるのもなんだから聞かせろよ?」
キンジがそういうとワトソンは少し驚いた顔をした
「・・・分かっていながら呑気に話を聞くのか?君が不利になるだけだぞ?」
「生憎だが俺の親友には『Razzo』を打った日には脳内リミット外れてどっちかが死ぬまで爆走する大馬鹿がいてな。それに比べればドーピングの一つや二つかわいいもんだ。体は労わってやれよ?」
ワトソンはふうっとため息を吐くと
「そう言う事なら遠慮なく時間を稼ぐために話させてもらうよ。僕がアリアを君から遠ざけたのはアリアを保護するためだ。バスカービルいや、師団にいてはアリアは確実に殺されてしまうからね。だから僕はアリアをバスカービルからリバティーメイソンに引き抜く、そしてリバティーメイソンは中立から眷属に所属する。すでに進言は済ませてある。早ければ来週にも可決されるだろう。そうすればアリアの身の安全は保障される」
「なら大きなお世話だ。アリアはバスカービルが、俺が守る。俺は腐ってもバスカービルのリーダーだぞ?あいつらが俺を助けてくれるなら俺がそれ以上にあいつらを守るのが当然だろう?」
キンジがそう言った直後、ピリッと周囲の空気が一層に張り詰めた感覚がした
今の発言でワトソンがキンジに対する怒りと殺意を露わにし始めたのだ
「君がアリアを守る?出来る訳がない!一度は自分からも目を背けて逃げた君に、アリアと向き合おうとさえしない君に、挙句の果てには自分の甘さゆえに仲間さえも巻き込んだ疫病神の君に守るなんて出来る訳が無いだろう!!」
「ああそうだな。俺は嫌な事があればすぐに目を背けて逃げる意気地なしの腑抜けで、敵でさえ優しくする甘ちゃんで、周りに迷惑かけてばかりの疫病神だ。こんな俺に出来る訳がない。」
「・・・そこまで分かっていながらどうして守るなんてことが言える?九狂君にでも頼る気か?虎の威を借るのか?もし君がそんな器の小さい男だったのならアリアの事を抜きにしても今すぐ殺してやりたいよ」
「いいや?氷牙や皆を頼ることはするが自分の役目まで押し付ける気は毛頭無い。ただ、アリアと氷牙にそれぞれに叩きこまれたことがあってな」
キンジが一つずつ指を立てていく
「一つ、『ムリ』、『疲れた』、『面倒くさい』は絶対に言わない事。
二つ、どんな事にも必ず手掛かりも突破口もある。
こんなこと叩きこまれたせいで弱音も吐けずに諦める事も出来ないから必ずどこかにある突破口を抜けるしかなくなっちまうんだよ。そうやって俺達はどんな死線だって乗り越えてきた。なら目の前の仲間数人を守るくらいなら出来ないわけがないだろう?それに俺はもう決めたんだ。仲間が危ないときには俺がこの身を挺してでも命がけで仲間を信じて、仲間を助けようってな!」
「・・・まさに絵空事だね」
「確かにそうさ、だけど諦めなければ可能性は0じゃない。0を100には出来ないけど1にする事は出来る。そして可能性が1%でもあるなら俺達はその1%の隙間をこじ開ける!」
「・・・だったら証明して見せてもらおうか?」
ワトソンはP226Rを抜いた
「・・・なんだ?ようやく薬が効いていたか?」
「ああ、薬もいい具合に回ってきたし。理想を語る君と現実を語る僕とじゃこれ以上は話すだけ平行線だ・・・僕を説き伏せたいならその理想論で君の0%の勝率を覆して証明してみせなよ?」
ワトソンが身を低くして駆け出してくると
「ああ、俺達ならお前に勝つくらいはわけもねえよ!!」
キンジもべレッタを構えて応戦した