緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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遅れながら新年おめでとうございます
次話を投稿しようとする直前にこの話が思い浮かんで・・・
書き上げるのに一か月近くかかり・・・
おかげで先月は一話も上げられずに終わってしまいました・・・




82話<平等に・・・>

変装食堂の衣装が決まってから数日、都内某所にて

 

「あれ?もう待ち合わせ場所に着いちゃった・・・・」

凛香は時計を確認するが、約束の時間までまだ30分近くある

「まだ時間あるし・・・どうしようかな・・・」

そう困りながらも凜香は今日の予定を考えてみる

 

今日は凛香は衣装の材料を買いに学園島の外に出かけていた

本当ならここで氷牙とレキさんと待ち合わせて出かける予定だったのだがレキさんは朝早くから「今日はクエストがあります」と言って出かけてしまい来れないようで今日は氷牙と二人っきり・・・

「もしかしてこれって2人きりのデート・・・なのかな?・・・楽しみだけど・・・ちょっと緊張するな・・・」

「何が緊張するんだ?」

「ひゃあっっ!?」

突然後ろから氷牙に声をかけられて凛香は悲鳴を上げて飛び上がった

「い・・・何時からそこにいたの!?」

「何時って・・・今来たところだけど?そんなに驚く事か?」

「そ、そう・・・よかった・・・」

どうやらデートというところまでは聞かれなかったようだ

「よかった?何がだ?」

「な、なんでもないよ。それよりも随分早いね?まだ30分前だよ?」

「待て待て・・・凛香がそれ言うか?俺より先に来てるし・・・そもそも俺が起きたときには既に出かけていたじゃねえか・・・」

「うん・・・ちょっと早く目が覚めてね。折角だから早めに行こうと思って先に出たんだ・・・」

「・・・早めに行くってのは美容院にか?それともCVRにか?もしくは理子の所にか?」

そう聞くと凛香は驚いた顔をして

「え!?どうしてわかったの!?」

「見ればわかるだろ?ちゃんと髪も梳いてるし、化粧もしてるし、服だって綺麗に整えてる。俺はキンジみたいに鈍感でも朴念仁でもない。そばにいて見てるんだからこれくらいの変化に気が付かないわけないだろ?」

そう言うと凜香は恥ずかしそうに顔を赤らめるも嬉しそうな顔をすると

「うん・・・それで・・・どう?変じゃ・・・ない?」

「変なわけないだろ?綺麗だよ。すごく」

「―――ッ!!君は本当に・・・そう言う事平然と言うよね・・・」

凛香は顔を更に真っ赤にして俯いた

「・・・どこまで私を落とす気なのかな・・・ドキドキが止まらないよ・・・」

「ん?後半よく聞こえなかったけど何だって?」

「な、なんでもないよ。ちょっと早いけどほら行こ?」

そう言って凛香は速足に歩き出すが

「え?いやちょっと待て?それに足元気を付けないと――」

「え?あっ!?」

凛香が突然足をもつれさせて転びそうになるが

「おっと」

その前に氷牙は手を掴んで抱き寄せた

「――――ッ!!」

「ったく・・・気を付けろ?大丈夫か?」

「え!?あ!う、うん・・・危うく転んじゃうところだったけれどおかげで助かったよ・・・その・・・別の意味でも危なかったけど・・・」

「何言ってんだ?てか顔真っ赤だぞ?それにどこに行くつもりだったんだよ?」

氷牙がそう聞くと凛香はキョトンとして

「え?まずは衣装作る生地買いに行くんでしょ?」

氷牙はため息をついて

「あのなぁ・・・俺のは出来てるけど凛香の衣装のデザインまだまとまってないだろ・・・」

「あ、そっか・・・」

変装食堂の衣装は基本的に自分で用意するのがルールだ。自分で衣装デザインを作り、材料を調達して製作する。

衣装が決まった日から今日まで衣装デザインの作成に勤しんでいた甲斐もあってか氷牙とレキの衣装デザインは既に完成しているが凛香の衣装だけは大体は出来ているのだが細かいところがまだ完成してはいない

 

「見た目通りというか・・・普段しっかりしてるようでこういうところは抜けてるんだな」

「・・・そうなっちゃうのは君にだけだよ・・・」

「ん?何だって?」

「・・・何でもないよ、それじゃあどうしよう?」

「そうだな・・・せっかく街に出たんだから色々回ってみるか?そうすれば何かいいアイディアも浮かぶかもしれないしな」

「うん、じゃあエスコートお願いね?」

「はいはい、任されましたよ」

そして凛香に手を差し出し

「それとほら、手だせ」

「え!?」

「また転びそうになったら危ないだろ?」

「は、はい・・・お願いします・・・」

そう言って凛香もおずおずと俺の手を握ると顔を真っ赤にして俯いてしまった

「ん?俯いてどうした?気分でも悪いのか?」

「う、ううん!そんなことないよ!大丈夫!」

(言えないよ・・・こうなってるのは・・・あんな風に褒められて、抱きしめられた後にこんな風に手を繋いでいるせいだからなんて・・・)

「ならいいけど・・・何かあったら大変だし、手離すなよ?」

「うん・・・」

(本当に大変だよ・・・これ以上何かあったら私・・・どうなっちゃうのかなぁ・・・)

そう思いながらも凜香は氷牙の手を握りしめて離そうとはしなかった

 

そして二人でしばらくウィンドショッピングしていると店頭に飾ってある一着の洋服に目が付いた

「ん?あれは・・・」

「――?どうしたの?」

「いや、あの店頭に飾ってある服、可愛い服だなって思ってさ」

「えーと、あの服?」

「あれ凛香が着たら似合うんじゃないか?」

「え!?あれを!?・・・似合うかな・・・」

「まあ少し雰囲気変わるけどきっと似合うぞ」

「なら・・・着てみようかな?」

「ああ、着て来いよ。俺は他にも服見て回ってみるから―――」

「ダメだよ!今は私の衣装のアイディア探してる最中でしょ?一緒に来て!」

「お、おい!?分かったから引っ張るなって・・・」

有無を言わさずに俺は凛香に腕を掴まれて一緒に店に引っ張られてしまった

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、着て来るから待ってて」

そう言って凛香は服を持って試着室に入ったが

レキとデートした時もそうだったけど何度来ても・・・こういう店で男一人になると・・・落ち着かないよな・・・

 

それに・・・

 

「ねえ・・・あの人・・・」「うん・・・眼帯して・・・真っ赤でキツめな目してる・・・」「近寄りがたい雰囲気してるよね・・・」「なんか人殺してますって言っても違和感なさそう・・・」「しっ!変なこと言っちゃだめだよ!聞かれたらどうするの!」

 

(だから全部聞こえてんだよ・・・武偵の聴覚と読唇術なめんな・・・)

 

「う、うん・・・でもさ・・・あの眼帯・・・」「うん・・・ワイルドな雰囲気も相まって・・・」「すっごいサマになってるよね・・・」「どこかのモデルかな?」「ミュージシャンじゃないの?」「ワイルドでカッコいいよね・・・」

 

(せめて褒めるか怖がるかっどっちかにしてくれ・・・反応に困るから・・・)

とまあ、仕方ないとはいえこんな風に遠巻きに俺の事を見られてヒソヒソ言われてもあってかどうにも落ち着かない・・・

 

 

いや・・・それにしても・・・

(凛香の奴、遅いな・・・)

もう10分近く経っているのに凜香は一向に出てこない・・・

「凛香?どうした?まだ着替え終わらないのか?」

『も、もうちょっと待って!なかなか着れなくて・・・』

「何かあったのか?ひょっとしてサイズが合わなかったとか?」

『ち、違うの!ただその・・・心の準備があって・・・』

「心の準備?」

『う、うん・・・・・・・・大丈夫・・・似合うって言ってくれたんだ・・・勇気を出さなきゃ・・・』

「おい凛香?お前さっきから何言ってんだ?」

『な、何でもないよ!それじゃあ・・・いくよ?』

 

――シャッ――

 

そして凜香は恥ずかしそうに顔を赤くしながらも試着室のカーテンを開き

「―――ッ!?」

それを見た瞬間俺は目を見開いて言葉を失った

なぜなら・・・

凛香の装いは・・・上は腰回りはコルセット風に締められ、肩や胸元はばっくりと開いたブラウスを着て細い肩や腰、大きな胸元を強調して、下は股下ギリギリのミニスカートで程よく引き締まった太腿や足を余すことなく曝け出していた

「ええと・・・どう・・・かな?」

「あ、ああ・・・似合ってるけど・・・その・・・なんだ?胸元とか足とか・・・出し過ぎじゃないか?」

「そ、そんなこと言ったって・・・君が選んだんじゃ・・・」

「いや・・・そもそも俺が言ったの・・・その服じゃなかったと思うんだが・・・」

「え!?」

思いもしない返答に凛香は「まさか・・・」と言った顔をして

「・・・・・・もしかして・・・隣のだった?」

「かもしれん・・・悪い・・・最初に確認するべきだった・・・」

「・・・君が似合うっていうから頑張ってみたのに・・・なんだか恥ずかしくなってきちゃったよ・・・」

そう言って凛香は俯いてただでさえ赤くなっていた顔を更に赤くしてゆき

「あ、いや・・・だけど・・・」

ついに羞恥心に限界が来たのか

「そ、そんなに見ないで!!」

恥ずかしそうにしゃがみこんでしまうが

「って待て!そのスカートでしゃがんだら―――」

案の定、ただでさえ股下ギリギリの短いスカートはめくれ上がってその先、足の根本にある布地を隠すことなく曝け出した

しかも黒のレースって随分とエロいの穿いてるな・・・

「―――っ!!そ、そっちはまだ見ないで!!」

いや・・・まだって・・・じゃあいずれは見せるつもりだったのかよ・・・てか・・・

「だからってスカート押さえて前屈みになると今度は胸がだな・・・」

元々スタイルの良い凛香が肩と胸元が大きく開いた服を着て前屈みになろうものなら両腕は胸を寄せて今にもこぼれてしまいそうな谷間を作った

「―――!!」

スカートを押さえて胸を隠しながら涙目になる凛香に見かねた俺は

「ああもう!!」

 

――シャッ――

 

たまらず試着室のカーテンを閉めた

『え?』

「ほら・・・早く着替えろ・・・」

『う・・・うん・・・ごめんね・・・驚かせちゃって・・・』

「いや・・・俺も確認しなくて悪かった・・・でも・・・」

『でも?』

「・・・驚きはしたけどその格好も似合ってたぞ・・・」

『え?』

「まあ・・・目のやり場には困ったし、雰囲気も変わってたけど・・・可愛かった・・・」

『・・・・・・・・』

「ま、まあそれだけだ・・・じゃあ俺外で待ってるから着替えたら―――」

 

――グイッ――

 

外に出ようとしたら凛香が試着室のカーテンの隙間から手を伸ばして俺の服の裾を掴んだ

『待って・・・』

「――?どうした?」

『本当に・・・似合ってた?』

「・・・あ、ああ、本当だ。本音を言うならよく見ておかなかったの後悔してるくらいにな」

『・・・じゃあ・・・見ていいよ・・・』

 

――シャッ――

 

凛香が先ほどの服装のままカーテンを開けてきた

「お、おい!?凜香?」

そして今度は隠す事もなく手を後ろにし、目は逸らして顔は恥ずかしそうに真っ赤にしていたがそれがかえって可愛げを出していた

「ほら・・・ちゃんと見てよ・・・私・・・もう1回着る勇気ないよ・・・だから今見ないと2度と見れないよ・・・」

「あ、ああ・・・」

そして凜香に見とれているうちに・・・頭の中に何かカチリとピースがはまった感覚がしてぼんやりと浮かんでいた凛香の衣装のイメージが少しずつ鮮明になってきた・・・

そしてあと一歩で細部までが鮮明に見えそうになってきたところで

「あのっ、すみません!」

後ろから突然店員と思しき女性に声をかけられてイメージが霧散してしまった

「――?あんた誰だよ?」

せっかく後少しってところだったのに・・・くだらない用事だったら軽く睨んでやる・・・

「は、はいっ!突然すみません!私この店の店長なのですが少しよろしいでしょうか!?」

「何だ?・・・何か用か?」

「はいっ!そちらの彼女さんに折り入ってお願いがありまして・・・」

そう言って凛香を指した

「え?私に?」

「はいっ!お願いします――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして十数分後・・・

 

「ええと・・・これでいいんですか?」

そう言って更衣室から出てきた凛香は下は膝下まであるロングスカートを穿いて、上は肩が少し開いたセーターを着てその上から大きめのストールをかけた先程とはまるで正反対な装いになっていた

あの店長も同じ女性だというのに少し見とれた後に

「はい!バッチリです!それじゃあお願いします!」

といって凛香をカメラの前に連れて行った

俺と凛香はさっきの店の上のフロアにあるスタジオに連れてこられ、凛香はそのスタジオであの店長に用意された服を着ていた

あの店長が言うには何でも今日、新作の広告ポスターを撮影する予定だったのだがモデルをやる人が急病で来れなくなってしまい急遽代理を探していたらしく、それで凛香を見てこれだ!と目を着けたそうだ・・・

凛香も最初は戸惑っていたが店長の必死の懇願に最終的には「本当に困ってるみたいだし少しだけなら」と受ける事にしたのだ

凛香も中々にお人好しというか・・・キンジと同じく困っている人を見ると放っておけないというか・・・強く頼み込まれるとNOと言えないタイプみたいだからな・・・

まあ俺もスタジオに立ち合わせてるし・・・見回す限り怪しい所も無いし・・・イザってときはカメラ破壊してあの店長もボコボコにするだけだしな・・・

 

にしてもだ・・・

 

「じゃあ次は少し目線を外して・・・はい、そのままでお願いします」

CVRじゃないんだからいきなりモデルになってくれなんて言われても普通そう簡単にできるもんじゃない・・・そう思っていたのだが・・・大人しめな服装に元々持っていた母性的な雰囲気もあってかその出で立ちは清楚なお嬢様と言った感じで、特に雰囲気を演じる事も無く普段そのままでも難なく服を着こなしていた

 

(やっぱ凜香にはもっとこう清楚な感じを生かした服の方が似合うよな・・・)

そして撮影も終わろうとしていたところで頭の中でまた一つカチリとピースがはまったような感覚がして――

「な、なんだって!?予定が重なって来られない!?」

撮影スタッフの一人が携帯電話を片手に何か叫んだ

・・・お陰でまた纏まりそうだったイメージが霧散したよ・・・

「・・・今度はどうしたんですか?そっちも何かトラブルですか?」

「あ・・・はい・・・実は私達この後にも別の場所で撮影があるんですがどうも何人かのモデルにスケジュールのダブルブッキングが発生して来れなくなってしまって・・・」

何があったか説明するとスタッフは皆「どうすれば・・・」とざわつき始めるが・・・

凛香が少し困ったように手を上げると

「えーっと・・・乗り掛かった船だし・・・私でよければお手伝いしましょうか?」

と、協力を申し出た

一応凛香も申し訳なさそうに俺に

(いいよね?)

とマバタキ信号で尋ねてきたが

まあ、そう言うだろうと思ったし・・・俺に反対する理由も権利も無いので

(好きにすればいい)

と返しておいた

 

「は、本当ですか!?・・・いえ・・・ですが・・・」

「?何か問題でも?」

氷牙がそう尋ねると

「はい、お願いしたいところなんですが・・・その撮影、最低でももう1人必要なんです・・・」

「もう一人?別の人がその人の分もやるとかじゃダメなんですか?」

「はい・・・この後の撮影なんですが・・・「あらゆる体型に対応できる」というのをコンセプトにしたものでして・・・来れなくなってしまったモデルの中の一人に唯一の小柄な人も含まれていて・・・」

「まあ、モデルって女性でも高身長な人が多いですからね・・・それでも凛香もどちらかと言えば小柄な方ですけど・・・」

「いえ・・・彼女でも少し背が高すぎて・・・それに・・・その・・・胸サイズも大きすぎて・・・」

「ああ・・・そういうことか・・・」

氷牙が納得すると凛香は恥ずかしそうにストールで胸元を隠すと顔を赤くして俯いてしまった

「なので代理を立てるにしてももう少し小柄でスレンダーな人でないと・・・」

すぐに呼べそうで凛香よりも小柄でスレンダーな女子ね・・・

 

「「・・・・・・・・・・」」

 

俺と凛香の頭には一人、該当者が浮かび上がった

「ねえ?」

「・・・なんだ?」

「せっかくだし呼んであげてよ、それに・・・気付いてるんでしょ?」

「・・・凛香も気付いてたのか・・・いいのか?」

そう聞くと凛香も笑顔になって

「うん、じゃなきゃ平等じゃないでしょ?」

「・・・わかったよ・・・よろしければ・・・代理の条件に合う知り合いがいますので・・・呼んでもいいですか?」

「ほ、本当ですか!?ぜひお願いします!!」

氷牙はため息をつくと携帯を取り出し電話を掛けながら窓から遠くを見て手を振った

「で、何の用かは言わなくても分かるだろ?」

『・・・・・・はい』

電話の相手はそれだけ言うと電話を切った

 

 

 

 

 

 

そして十数分後

「お待たせしました」

スタジオに予想通りの人物が入ってきた

「よう、来たか・・・・レキ」

「やっぱりずっと見ていてんだね」

途中から何となく気付いてはいたがレキは遠くから俺達を見ていたのだ

「今日はクエストじゃなかったのか?」

レキの事だからそんなヘマはしないと思うが、もし本当に受けていたのなら依頼をすっぽかしたということで契約違反になる。そうなれば下手をすれば武偵校の信用問題になるので一応その辺は確認しておく

「はい、氷牙さんと凛香さんを今日1日監視する事、それが私が請け負った今日のクエストです」

「・・・ちなみに依頼人は?」

「私です」

「・・・報酬は?」

「カロリーメイトです」

「・・・依頼受けてるのに観察対象の前に出てきてよかったのか?」

「問題ありません、私が氷牙さんに発見された時点で依頼人は依頼をキャンセルしました」

「っとに物は言いようだな・・・」

つまりクエストなんて初めから名前ばかりだったってことかよ・・・

理由は分からんが・・・たぶんレキなりの・・・二人っきりにしてあげるという気づかいだったんだろう・・・

てことはクエストで来れなくなったというのも今日の同行を断る理由だったんだな・・・

そう言うとレキもわずかに笑みを浮かべて

「私もそう思います。きっと誰かに似たんでしょうね」

「ホントに・・・誰に似たんだろうな・・・」

「あいにく私には一人しか心当たりありません」

「私もだね、一人思い当たる人がいるよ?」

「奇遇だな・・・俺もだよ・・・」

と三人で呆れていると後ろから先ほどのスタッフが話しかけてきた

「あの・・・そちらの方はもしかして・・・」

「ええ、どうですか?彼女なら衣装のサイズ合いそうですか?」

「は、はい!彼女ならバッチリです!それではお願いできますか?」

「はい、事情は聞いています。それで私はどうすればよろしいのですか?」

「こちらに!すでに衣装とメイクアーティストの準備は出来ています!」

と言ってそのスタッフは急ぎ足でレキと俺達を車に乗せて連れて行った

 

 

 

 

 

 

 

そして到着先は・・・

 

「ここって・・・教会じゃないですか?」

「はい、言っていませんでしたか?こちらでウエディングドレスの撮影なんです」

「いや・・・聞いてませんよ・・・」

撮影内容を聞くとレキは無表情のままだったが凛香は「え!?」という声と共に苦い顔をした

「えっと・・・ウェディングドレスっていうと・・・やっぱり男の人と一緒に撮るんですか?」

「え?は、はい・・・最初は単独での撮影になりますが最後にはペアになって撮影になります・・・」

「ええと・・・そうなると・・・その・・・触られたりもしちゃうんですか?」

「ま、まあ・・・ウェディングドレスですから・・・好き合ってるかのように振舞ってもらわないと・・・」

 

「「・・・・・・・・・・」」

 

流石に名前も知らない異性に触られたり抱き着かれたりするのは嫌なんだろう・・・凛香もレキもそれを聞いて後ずさってしまった

「あの・・・悪いんですが・・・ペアでの撮影は無しでお願いできますか?」

「私も無しで、でなければ受けられません」

と、ペア撮影は出来ないときっぱり断ると

「そ、そんな・・・せっかく危機を乗り切れたと思ったのに・・・」

スタッフは項垂れて「どうすれば・・・」としばらく悩んでいたがしばらくすると「まてよ!?」と何かを閃いた顔をして

「そうだ!でしたら彼氏さんも代理お願いできますか?」

氷牙にもモデル代理をお願いしてきた

 

「「「え!?」」」

 

その以外な提案に氷牙は勿論、レキも凜香も鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした

「あの・・・俺もですか?」

「はい!男性モデルの方も来れない人がいまして・・・そちらは別の人がその人の分もやることでまとまったんですが・・・貴方なら体型もピッタリなんです!彼女たちも貴方が相手なら大丈夫ですよね!?」

「え!?ま、まあそれなら大丈夫ですけど・・・でも・・・」

凛香がそう言うと氷牙は眼帯を外して自分の顔の全体を見せた

「―――ッ!!」

念のためにと左目には特注のカラーコンタクトを入れて黒い目はごまかしてはいるがブラドに着けられた傷を見たとたんスタッフの顔が驚きで引きつった

「・・・あいにくですが俺、ご覧の通り顔に大きな傷があるんです。それに右腕も・・・義手なんですが・・・」

街中に出る際は悪魔の腕を隠すために俺の右腕は義手のカバーを付けて隠している。武偵校じゃ曝け出したって最初は少し驚くが3日もすれば誰も気にも留めなくなるが流石に街に出るのなら万が一を考え隠す必要があるので義手のカバーをはめて最新技術で作った機械義手と言う事にして悪魔の腕を隠しているのだ。

そう言うと我に返ったスタッフは驚いた顔から心配ないと言った顔になって

「いえ!大丈夫です!この撮影はあらゆる体型に対応できる事をコンセプトにしています!ならば顔や体に傷などのコンプレックスのある人のための衣装も当然用意してあります!」

と、顔に傷があっても問題ないと説明した

そして撮影の相手が俺になるとなった途端

 

「「・・・・・・・・・・」」

 

凜香とレキは顔を合わせた後、俺に受けろと無言の圧力を送ってきたので・・・

「・・・まあ・・・傷があっても問題ないなら構いませんけど・・・」

俺に選択肢はなかった・・・別に断る理由もないから構わないけどさ・・・なんか俺・・・最近二人の尻に敷かれてる気がするんだよな・・・

「あ、ありがとうござます!では彼氏さんはこちらに!彼女たちはあちらで着替えてください!」

そう言って凛香達といったん別れるとスタッフは俺を控室に連れて行った

 

 

 

 

 

そして・・・

 

「こんな感じでいいのか?」

控室に入り用意された白のタキシードに着替えた俺は鏡の前で自分の姿を何度も確認してみるがやはり始めて着るものだからいまいち勝手がわからない・・・

かといって誰かに聞こうにも他のモデルの人も中々に多忙なようでここでの撮影が終わると我先にと次の撮影に走っていったためこの控室にももう俺しか残っていない・・・

 

「失礼します。着替え終わりましたか?」

そう悩んでいるとヘアメイクさんがドアをノックして入ってきた

「ええと・・・勝手がわからないんですがこんな感じでいいんですか?」

「はい、大丈夫です。それじゃあヘアメイク始めますね」

「あ、はい・・・お願いします・・・」

そう言うとヘアメイクさんは俺のヘアメイクに取り掛かってくれた

「彼女たちはもう単独の撮影は終えて待っています。きっと驚きますよ?他のモデルさんも見とれちゃうくらいに浮いていましたから」

「へぇ?そりゃ楽しみですよ」

「それにしてもお兄さんもやり手ですよね?あんなに可愛い彼女をお互い容認の上で二人も連れている人なんて私も初めて見ますよ?」

「そうですか?俺の知り合いには今の所5人くらい手籠めにしてる奴がいますけどね」

「それと本当にプロデューサーも驚いてましたよ?「とんでもない原石を見つけてしまった!できる事なら何としてもうちのプロダクションに所属させたい!!」って言ってましたから」

「たぶん二人共即決で断ると思いますよ?先に言っておきますが俺に説得してくれなんて言っても無駄ですよ?俺は彼女たちの意思を尊重しますから何も言いません」

そんな他愛ない会話を交えながらもメイクが終わり

鏡を見れば・・・

「へえ・・・確かに傷が目立たなくなりましたね・・・」

前髪には俺の髪と同じ白のエクステを着けて顔の左半分を隠して両手にも白の手袋をして傷も腕も目立たなくなった

「すごくお似合いですよ!さあ、彼女たちも聖堂でお待ちです!行ってあげてください!」

「はい・・・あ、でもその前に・・・」

俺は自分の鞄からあるものを取り出しポケットにしまった

「一応持って行くか・・・」

 

 

 

 

そして聖堂に向かい扉を開ければ・・・

「・・・・・・・・・・・・・・」

例えるなら・・・目の前に2人の天使が柔らかく綺麗な白い翼をフワリと広げて舞い降りてきた・・・そんな感覚が頭を埋め尽くした・・・

 

「あ、やっと来た」

「お待ちしていました。後は私たちのペア撮影だけですよ?」

 

俺の目の前には・・・ウェデングドレスを着た凛香とレキがいたからだ・・・

その身を包む純白のドレスは上半身は体のラインに沿うように縫製され大きく開かれた背中からは先ほどまで翼が生えていたと言われれば信じてしまいそうな新雪の雪原のように真っ白で汚れ一つない綺麗な肌が見え、手には触り心地のよさそうな長手袋、腰からは精緻な装飾が施されたロングスカートが伸びて、化粧をして綺麗に飾られた顔は真っ白なヴェールが二人の魅力を最大限に引き立てていた

 

これは・・・確かに・・・見惚れっちまうほどに綺麗だよな・・・

そう思って二人に見惚れていると頭の中でまた一つカチリとピースがはまったような感覚がして――

「それじゃあ、彼氏さんも来ましたので早速撮影に入りますよ?」

・・・2度あることは3度か・・・後ろから声をかけられてまた纏まりそうだったイメージが霧散したよ・・・

「あの・・・?彼氏さん?どうかしました?恨めしそうな眼をしてますが・・・」

「・・・いえ、別に・・・」

そう言うと俺は二人の元へ向かった

 

そして撮影が始まりまずは凛香とカメラマンの指示の下あらゆるシチュエーションを撮影してゆき

「それじゃあ次の撮影は指輪交換するところを撮影しますので。今指輪を用意しますので・・・」

「必要ありませんよ?」

「え?」

指輪交換の撮影をすると言ったとたんレキがそう言ってスタッフを止めて俺の方を向くと

「氷牙さん?あるのでしょう?」

と言って俺をじっと見据えた

「・・・・・・何で知ってるんだよ・・・用意すると決めた時から誰にも気付かれないように細心の注意を払ったはずなんだが・・・」

「勿論確証はありません。ですが貴方の事だから、そうだろうと思っただけです。だから今日は二人だけにしてあげたんですよ?」

 

俺はため息をつくと

「・・・気遣いありがとよ・・・そこまで言われたらもう引けないじゃねえかよ・・・」

そう言うと氷牙は凛香と向き合い

「凛香・・・これ、受け取ってくれないか?」

ポケットから銀色に輝く指輪を差し出した

「これ・・・指輪?」

「ああ、凛香も俺の妻になるんだ。だったら一つのけじめとして俺がこいつを送るのが当然だろ?正式に俺の妻になってもらうためにもさ」

「え・・・それって・・・つまり・・・」

つまり・・・凛香は今、氷牙にプロポーズされている。

頭がその事実を理解すると凛香は一瞬で顔を真っ赤にした

「え、ええ!?わ、私に!?私が・・・君の妻になるの!?」

「他に何があるんだよ・・・」

「で、でも・・・君には彼女がいるんでしょ!?なのにそれを差し置いて・・・」

「その彼女からは既に側妻として傍にいる事を認めてもらっているだろ?大体そのために死闘までして認めてもらったらその場でキスして首にマーキングまでして挙句の果てにはその日の夜には二人がかりで根こそぎ絞りとろうとしたくせに今さら何言ってんだ」

「あう・・・・・」

そう言うと凛香は真っ赤にした顔を俯かせてしまった

それでも俺は言葉を止めない

「俺は人間辞めっちまったけどそのおかげで一度は失くした腕は今はちゃんとあるんだ。片腕は埋まってるけどもう片方でもう一人を抱えるくらいの甲斐性はあるさ」

「・・・・・・本当に・・・私でいいの?・・・本当に・・・もらっていいの?」

「凛香が貰ってくれなきゃ俺が困る。で?返事は?悪いけど俺もかなり恥ずかしいんだが・・・」

「・・・・・・はい・・・私でよければ・・・喜んで・・・」

そう言って凛香は左手の白手袋を外すと左手を俺に差し出してきたので俺は凛香の左手をとるとその薬指に指輪を付けてあげた

「・・・もう一生外さないよ・・・絶対に・・・」

「ああ・・・それとだ、これからは俺のことちゃんと名前で呼んでくれよ?」

「え?」

「ずっと俺の事、君って呼んでばかりで一度も名前を呼んだことないじゃねえか?」

「それは・・・私、君が名前も無かった時から知っていたし・・・その時から君の事ずっと君って呼んでいたからそれが染みついちゃってるみたいなのかな・・・」

「なら今日から正式に妻になるんだからこの機会に呼び方もちゃんと名前で呼んでくれよ?」

「う、うん・・・ええと・・・ひ・・・氷牙・・・」

そう俺の名前を読んだら凛香は赤くした顔を更に赤くさせた

「ああ、それといっぱいいっぱいなところに追い打ちをかける様で申し訳ないが・・・」

「え?」

「今の光景・・・全部撮られてるんだよ・・・」

そう言われて横を見れば・・・

カメラマンはこちらに向けて先程からシャッターを切り続けていた・・・まったく恐れ入るプロ根性だよ・・・

「――――――ッ!!」

それを見た凛香はもう人間が出来る領域を超えるくらいに顔を真っ赤にして

 

――ポスッ――

 

俺に抱き着いて胸に顔を埋めた

「――?凜香?」

「ごめんね・・・もう心臓が持たない・・・」

「まあ・・・正直俺もだよ・・・だからこれで切り上げるぞ」

「え?」

そう言って氷牙は一度しゃがみ込むと

 

――グイッ――

 

凛香の背中と足に手を回すとそのまま抱え上げてお姫様抱っこした

「―――ッ!?」

「壇上を下りるところまでが一通りの流れだろ?」

そう言って凛香を抱えたまま氷牙は壇上を下りた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、ええと・・・結婚おめでとうございます・・・」

そして壇上を下りるとプロデューサーが俺に声をかけてきた

「あ、どうも、それでどうです?この指輪もシンプルな作りだし撮影も今のでもう問題ないですよね?」

「は、はい・・・大丈夫です・・・けど・・・」

「けど?何か問題でも?」

「彼女・・・気絶してますけど・・・大丈夫ですか?」

「――――――」

凛香は顔を真っ赤にした状態で気絶していた。どうやらただでさえ限界を超えていた心臓に氷牙にお姫様抱っこされたのがとどめになったようだ・・・

「まあ、限界がきたんでしょうね・・・すみませんけど彼女の撮影はこれで終わりにして下さい」

そう言って凛香を長椅子に寝かせ

 

「次はレキとだな?ほら行くぞ」

と言ってレキに手を差し出すが・・・

「・・・・・・・・・・・」

レキは俺をじっと見つめたまま動こうとはしなかった、まるで何かを訴えているような・・・

「・・・はいはい・・・」

俺は何かを察すると今度はレキの背中と足に手を回すとそのまま抱え上げてお姫様抱っこした

「じゃあ行くか」

そう言うとレキも満足そうな顔で返事をした

「はい」

「あ、ちょっと待ってください!?こちらの彼女の指輪は・・・」

「私もあります。問題ありません」

そう言って氷牙から貰った指輪を着けた自分の左手を見せた

「え!?」

「私も氷牙さんの妻です」

そう言い残すとレキも氷牙に抱えられ壇上に向かった

 

 

プロデューサーも唖然として二人の背中を見ながら

「本当に・・・とんでもない人達連れて来ちゃったなぁ・・・」

と呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして気を取り直しながらも撮影は続行していき・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さんお疲れ様です!」

「どうも、これで撮影は終わりですか?」

「ええ、お疲れ様です。おかげで助かりました!」

撮影は終わり、俺達は目を覚ました凛香と共に一息ついた

「すいません・・・私、途中で気絶しちゃって・・・」

「いえいえ、むしろいい写真が撮れたので感謝してますよ!まあ・・・カメラマンが「まさか本物の結婚式を撮影する事になるなんて思いもしませんでした・・・」と驚いていましたけど・・・」

「あー・・・すいません・・・凛香も悪かったな・・・こんな唐突にプロポーズして・・・」

「い、いいよ・・・私は・・・その・・・嬉しかったから・・・」

そう言うと凛香はせっかく元の色に戻った顔をまた赤くして俯いた

 

 

「とにかく今日は本当にありがとうございます!どうですか?よければうちのプロダクションに所属しませんか?モデルは勿論、もし歌も得意ならアイドル路線としても売り出しようだって―――」

「悪いけど今の場所が気に入ってるんで」

「お断りします」

「私も辞退します・・・」

プロデューサーからスカウトが来たが俺達は3人共即決で断った

「そ、そうですか・・・まあ無理にとは言いません・・・それじゃあ最後に3人で一枚どうですか?」

「3人で?」

「ええ、色々あってここまで巻き込んでしまったんですから。せめてのお詫びとお礼と記念に1枚撮りますよ?」

「そうだな・・・せっかくだし撮ってもらうか?」

そう言うと凛香とレキは互いに目を合わせてレキは俺の右腕に、凛香は俺の左腕にそれぞれ抱き着いた

「お、おい?レキ?凜香?」

「この姿で3人で撮るならこれが一番自然です」

「それに片腕は埋まってるけどもう片方でもう一人を抱えるって言ったのは氷牙だよ?だったらちゃんと証明してよ?」

そう言って二人は氷牙を壇上へと引っ張っていった

「お、おい!?分かったから引っ張るなって・・・」

 

そして3人で壇上に立つとカメラマンがこちらにカメラを向け

「はい、それじゃあ写真撮りますよ?」

「あ、はい。ほら撮るぞ」

氷牙が二人にそう言うと凛香とレキは再び互いに目を合わせて笑みを浮かべると頷いて

「じゃあいきますよ。3,2,1・・・0」

と言ってシャッターが切られる直前に

凛香とレキは目を閉じ

 

ちゅっ、と

 

氷牙の頬の左右に口づけをした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ったく・・・絶対に他人に見せられない写真になっちまったじゃねえか・・・」

俺達は最後に撮影してプリントしてもらった写真を受け取るとスタッフに送り届けられ街に戻ってきた

そして受け取った写真には案の定、ウエディングドレス姿のレキと凛香が俺の頬に同時にキスする瞬間が写っていて・・・万が一にでもこんなの理子にでも見られたら次の日には学園新聞の一面トップを飾る羽目になるぞ・・・

俺は二人に抗議するが凛香とレキは腕に抱き着いたまま微笑むと

「結婚式の最後には誓いのキスでしょ?」

「平等に愛してもらうんですから誓いのキスも同時に、ですよ?」

そう二人の幸せそうな顔を見ると何も言えなくなり「ま、いいか・・・」と言った感じにため息をつくと

カチンッと全てのピースがはまった感覚がして・・・

「・・・っと・・・待て!・・・待てよ・・・」

氷牙は何か考え・・・

「そうか・・・これだ!!」

そう叫ぶと手帳とペンを取り出し猛烈な勢いで何かを書き込んでゆく

「え?どうしたの?」

「閃いたんだ!今日の凛香を見て未完成だった衣装の細部がまとまったんだ!!」

そう言って氷牙は手帳に凛香の衣装のデザイン画を描いてゆき

「ほら!出来たぞ!!これが凛香の女神衣装だ!」

そう言って手帳に書き上げたデザイン画を見せた

「え!?これが・・・私の衣装?」

「ああ!元々俺のコンセプトは凛香を女神にするんじゃなくて凛香が女神になる事だ!だから凛香のイメージを最大限活かした女神像ってのを考えてたんだがどうしてもあと一歩のところで納得いくデザインが決まらなかった!でも今日の出来事でようやく全てがまとまった!」

レキも凜香の衣装デザイン画を覗くと

「今日のトラブルに巻き込まれたおかげでこのデザインが完成した・・・これも・・・いわゆる一つの結果オーライというやつでしょうか?」

「ああ!そうと決まれば早速材料の買い出しだ!店に行くぞ!」

「う、うん!」

凛香も自分の衣装の全容がまだ把握し切れてない中、氷牙の勢いに押されて後を追うが・・・

「・・・・・・・・・」

レキはその場で立ち止まった

元々今日は氷牙と凛香の二人だけの買い物、そうさせたのは他でもない自分なのだ。なら役目も終わった以上自分はこれで去るべきだろう・・・そう考えていたのだが・・・

「レキ?何してんだ?お前も来るんだよ」

「・・・え?」

「え?って・・・レキの衣装もまだ手付かずのままだろ?なら一緒に材料買いに行くぞ。言っておくが今更クエストの報告がありますのでこれで失礼しますとか言わせないぞ?これ以上はレキに不公平だしな」

「ほら、行こう?やっと3人共衣装デザイン完成したんだし・・・平等に愛してもらわなきゃね?」

「・・・はい!」

そう言ってレキは微笑むとそのまま俺の右腕に抱き着いた

 




仕事明けの前にどうにか完成させようと駆け足気味に書いてありますが
なんとかまとまりました・・・
ちなみにこの話、過去最高文字数です・・・

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