緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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アニサマ終わってやっと続きが書けます・・・
本当に最高でした・・・トロッコが目前まで来て・・・


74話<始まりの場所(後半)>

再び1週間前

 

 

 

 

病院を抜け出してバイクを取り戻し武偵校のある人工浮島から脱出すると離れた埠頭で一度バイクを止めた

「ここまで来ればひとまずは大丈夫だな・・・けどそろそろバレる頃合いだ・・・少し休んだらまた遠くまで飛ばすぞ?」

「・・・はい・・・」

そう言って二人はバイクを下りると氷牙はバイクの点検をした、サイドカーの取り付け即席でやったから長距離飛ばすならこの辺で一度ちゃんと点検と調整しないと危ないからな・・・

 

「っとそうだ・・・携帯は電源切っておけ?入れたままじゃ居場所教えてるようなもん「氷牙さん」――?」

 

「ひとまず落ち着いたようですので・・・一つ聞きたいことがあるのですがいいですか?」

「ああ、なんだ?」

そう聞くとレキは・・・

「・・・これに・・・覚えはありませんか?」

そう言って小箱を出してきた

それを見て氷牙の顔は引きつった

 

(げ!?それは・・・)

 

「東京駅で自分を撃った後、目が覚めたら私の手にはこの箱が握らされていました。その上から氷牙さんの上着がかけられていたことを考えればこれを握らせたのは氷牙さん以外考えられません。違いますか?」

「・・・いや・・・間違いない・・・俺が握らせた・・・もともとレキに贈ろうと思っていたから・・・あの時は・・・供えのつもりで持たせたんだ・・・・」

「でしたら・・・これは・・・どういう意味でしょうか?」

そう言って箱を開ければ・・・中には・・・装飾のないシンプルな銀色の指輪が入っていた

 

(ぐ・・・やっぱり中も見たのか・・・)

 

それを突き付けられて俺は・・・

「ええとだな・・・星伽分社での資料の中には金属には魔力を抑制してくれる効果がある物が存在すると記載があってさ・・・ならその金属で装飾品を作って身に着ければ魔力を制御できるんじゃないかと思ってさ・・・まずは・・・レキの分を作ってみたんだよ・・・」

と気まずそうに説明をしたが

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

レキは何も言わないが・・・今の返答で俺が何か隠していることを確信したようで・・・その目は「本当にそれだけですか?」と訴えていた

 

「いや・・・そのだな・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「それと・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「あの・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

ポーカーフェイスと我慢比べでレキに勝てるわけがなかった・・・

無言の圧力に完全に圧されてしまい

 

「・・・・・ああもう!分かったよ!!いいかレキ!!一度しか言わないぞ!!2度も言うくらいなら今度は俺が自決するからな!!だからしっかり聞けよ!!」

 

「はい」

 

そして俺は半ば自棄になると指輪をいったん返してもらい

 

「いつかこうなりたいとは思っていた・・・もっと先だと思ってたけど・・・あの日成り行きとはいえ一夜を共にして契約までして思ったよりも早くその時は来たんだ。俺は悪魔だけど人としてのけじめはつけたいんだ!だから・・・レキ!俺と結婚してくれ!!こんな悪魔で戦闘狂な俺だけど・・・誰よりもレキを愛している!一生かけて幸せにする!俺が一生守る!!だから一生俺の傍にいてくれ!!今日から九狂レキになってくれ!!」

 

そう言って顔を真っ赤にしながら指輪を差し出して頭を下げレキにプロポーズした

 

 

だが・・・

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

それでもレキは何も言わない

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

あの・・・レキ?俺の心臓もう限界なんですけど・・・何で・・・何も言ってくれないんだ?

 

自棄になったあたりから心臓が破裂しそうな勢いで高鳴っている・・・『Razzo』を打った時でもここまで高鳴ることはなかったんだぞ・・・・

 

このままでは俺の心臓が持たない・・・俺は恐る恐る顔を上げた

そこにいたレキは・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

俯いて目は前髪に隠れて見えなかったが顔は俺と同じように耳まで真っ赤にしていた

そして何よりも目に着いたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺に向かって左手を差し出している事だった

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

なので俺はレキの左手を取った

手が触れた瞬間レキがビクッと反応したが俺もいっぱいいっぱいだったため気にする暇はなかった

そして右手で箱から指輪を取り出すと・・・

 

お互い手が震えながらもそれをレキの薬指にはめた

 

「ええと・・・OKってことで・・・いいんだよな・・・」

そう聞くとレキはこくり、と頷いて指輪を愛でるように見つめながら顔を上げた

 

そしてその目には・・・涙が浮かんでいた

 

「また泣いてるのか?ホント俺は・・・レキを泣かせてばっかりだな・・・」

「・・・当たり前です・・・こんなに嬉しいのに・・・泣くのを我慢なんてできるわけがありません・・・」

 

ああ・・・本当に・・・何て愛しい人なんだ・・・

 

「氷牙さん・・・」

「ん?」

「こういう時は・・・こう言えばいいんですよね?」

そしてレキは一呼吸置くと

 

「不束者ですが・・・宜しくお願い致します・・・」

「ああ・・・こちらこそ・・・末永くお願い致します・・・」

 

そう言うと二人は自然と近づき

 

お互いに目を閉じて唇を合わせた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――寸前で

 

――♪~♪~――

 

レキの携帯が鳴った

 

それを聞いて二人はビクッとして離れた

「で、電話!?何でこんな狙ったようなタイミングで・・・」

誰からだと思い俺もレキの携帯を覗くとそこには・・・

 

『旅館 はちのこ』と表示されていた・・・

 

「はちのこ・・・ってことは・・・」

 

「もしもし・・・」

 

『もしもし~私、はちのこの女将の沙織ですが~』

 

レキが電話に出るとそこから沙織さんの相変わらずのんびりとした声が聞こえてきた

「やっぱり・・・沙織さんですか・・・何の用ですか?」

 

『あら~お兄さんもご一緒ですか~?実はお宅のお嬢さんの飼っている狼をうちで保護しましてな~』

 

「ハイマキを!?アイツ無事だったんですか!?」

 

『ええ~、ひどい怪我やったけど峠も越して歩けるように回復したからそちらにご報告させていただいたんや~。ほれ?声聞かせたりや?』

 

そう言って受話器から声が離れると

 

『ヴォフッ』

 

鳴き声が聞こえてきた、その鳴き声は間違いなくハイマキだった

「ハイマキ・・・無事でしたか・・・」

「そうだったんですか・・・わざわざありがとうございます」

 

『いえいえ~構いませんよ~。ところで・・・先程何か不機嫌そうでしたが・・・もしかして私お邪魔でしたか~?』

 

「いえ・・・別に・・・とにかくそちらに迎えに行きますからもう少し世話をお願いします」

俺は何でもないと答えたが

 

『そうでっか~、ええところで邪魔して申し訳ないわ~』

 

と沙織さんはすべてわかってるような答えを言ってきた

 

『お詫びと言っては何ですが来られた時にはサービスいたしますわ~新婚旅行はぜひうちでどうぞ~』

 

「いや、ハイマキを迎えに行くだけですから!!勝手に話進めないでください!」

・・・まあ温泉くらいは入っていってもいいかな・・・

 

『承りましたわ~それじゃあ九狂氷牙様、九狂レキ様、新婚様専用の部屋用意してお待ちしておりますわ~うちはたとえお客様が悪魔でも最高のもてなしをさせていただきますえ~』

 

「いや、話噛み合ってませんけど!?・・・・てか待て!!今なんて言った!?」

そう言うがすでに電話は切れていた

「あの人・・・レキの事九狂レキって言ったよな・・・何で結婚したの知ってんだよ!?プロポーズしたのたった今なんだぞ!!つか・・・まさか俺が悪魔だってのも気付いてんのか!?」

そう言って色々突っ込んでいると

 

「氷牙さん」

 

「・・・ん?なんだ?」

レキは俺に手を差し伸べ

「どうせ行くあてもないのですから・・・まずは京都に行きましょうか?」

 

「・・・それは・・・ハイマキを迎えに?それとも・・・」

 

俺は苦笑すると

 

「新婚旅行で?」

 

そう訪ねたらレキは微笑んで

 

「当然、決まっています」

 

「・・・ああ・・・決まってるな」

 

俺はレキの手を取ると

 

「「両方だ(です)!!」」

 

二人でそう言って俺とレキは京都へと向かっていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で?病院を脱走して行方くらましてから、今日まで新婚旅行をして気ままに旅をしていたと・・・」

 

「ああ、んで今朝携帯の電源入れたらアリアから待ってるってメールが来てたからバイク飛ばして戻ってきた」

 

これまでの事を説明し終わると氷牙は楽しい新婚旅行でしたと言わんばかりの笑顔になりレキは顔を赤くして俯きながらもよく見れば左手の薬指にはめていた指輪を愛でるように触れていた

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

だがキンジやアリアは黙ったまま何も言わない・・・それに心なしか震えてるような・・・

 

「どうした?そんな震えて?」

 

「・・・そうだったよな・・・開き直りはお前の18番だよな・・・」

「・・・心配して・・・損したわ・・・」

 

「あれ?もしかして・・・怒ってる?」

 

「「当たり前だ(よ)!!!」」

 

アリアとキンジは氷牙に怒鳴るが

 

「くぉらお前ら!!じゃれあっとらんではよ並ばんかい!!あと10秒やぞ!!」

 

蘭豹の怒鳴り声で三人はすぐに我に返った

 

「やべっ!そうだった!!」

そう言うと氷牙はレキの背中と足に手を回すとそのまま抱えて

 

「あっ・・・」

「急ぐぞ!」

「・・・はい!」

そしてカメラの前に駆け出した

 

 

 

 

「キンちゃんも早く!」

「ほら!キー君とアリアも急いで!!」

そして撮影場所には既に白雪と理子が並んで立っていて後は二人だけだと急かしていた

 

「まったく・・・とにかく今は申請よ!!」

「ったく・・・後でキッチリ落とし前付けさせるからな!!」

そう言うとアリアとキンジも駆け出した

 

 

 

 

 

氷牙がレキを抱えたまま白雪と理子の後ろに立ち、アリアとキンジは白雪と理子の前に駆け込んで全員が枠内に入ると

 

「チーム・バスカービル!直前申請します!!」

 

アリアがそう叫び

 

「9月23日11時59分!チーム・バスカービル!承認・登録!!」

 

蘭豹がカメラのシャッターが切った

 

―――直前、

 

駆け込んだばかりのキンジが勢い余って足を引っかける

 

「うわっ!?」

 

そして前につんのめりに

 

――ぷにゅっ――

 

「ふにゃ!?」

叫び終えたアリアの胸に顔から突っ込むとそのまま押し倒していき

 

――むにゅ、むにゅん――

 

「やんっ!?」

「ふえっ!?」

咄嗟に伸ばした両腕はアリアの後ろにいた白雪と理子の胸をそれぞれの手で鷲掴みにして

 

――どんっ――

 

白雪はその衝撃で後ろにいた氷牙にお姫様抱っこされているレキの背中を後頭部で押してしまい

 

「「ん!?」」

 

レキは前へと押され氷牙と二人してキスした

 

そして

 

パシャッと

 

シャッターが切られ

 

――どだだだっ――

 

そのまま全員倒れこんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ・・・このバカキンジ!!!」

アリアがキンジを蹴っ飛ばして起き上がると

「ち、ちょっと!!今の無し!!早く撮り直して――」

そう言ったところで

 

――キーン、コーン、カーン、コーン――

 

昼を告げるチャイムが鳴った

「あー・・・残念やがちょうど締め切りや・・・ま、全員の顔は写っとるから問題はないやろ」

「あんな写真が公式記録に残るのかよ・・・」

 

ホント・・・どこまでも俺達らしい始まりになっちまったな・・・

 

・・・思えばいつもここからだったよな・・・ここでレキと出会いが始まって・・・レキとの恋人同士が始まって・・・そして今日ここで俺達のチーム、バスカービルが始まったんだ・・・

 

きっとこのチームもとんでもない波乱万丈で最高のチームになる・・・

 

何故かって?簡単だ、この場所からこんな出だしで始まってるんだぞ?まともなチームになる訳がない

 

このチームが・・・この先どんな軌跡を残していくのか・・・今から本当に楽しみだよ・・・

 

そしてその騒ぎのドサクサで風に飛ばされた申請用紙が俺達の眼前に飛んできた

そこには・・・俺達のチームメンバーの名前が記載されていた

 

チーム名

『バスカービル』

メンバー

・遠山キンジ(リーダー)

・神崎・H・アリア(副リーダー)

・九狂氷牙

・九狂レキ

・峰理子

・星伽白雪

 


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