緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

74 / 133
修学旅行Ⅰ編、舞台もとうとう東京に戻ってきました。



69話<失望と絶望の果て>

氷牙が東京駅に着く数分前

 

キンジたちは新幹線の爆破・衝突の阻止に成功して東京駅のホームに降り立った

「東京ぅ~東京ぅ~お降りの際はお忘れ物にご注意くださいっと」

そして後ろを振り向けば武藤が呑気にアナウンスの真似をしながらココ二人を引きずって出てきてホームに転がした

「んじゃあとはまかしたぜ?そいつらは武偵校で尋問科にこってり絞ってもらえ、俺は駅弁食ってくるわ」

そう言うと武藤は階段を下りて行った

 

「氷牙さんから連絡もありました。追手は振り切ってこちらに向かっているそうです」

「そうか・・・何はともあれこれで一件落着だな」

「まったく・・・一時はどうなるかと思ったわよ・・・」

アリアは傷だらけのココ達を見ると

「にしてもアンタ達・・・いくらやられた仕返しだからってレキも氷牙もえげつないことしたわよね・・・」

全身掃射にアキレス健狙撃・・・片や悶え苦しむであろうほどの激痛、片や二度とまともに歩くことはできない体に・・・考えればどちらもえげつない攻撃である・・・

だがレキは

「私を撃ったのはともかく、氷牙さんを危うく爆死させようとしたんです。これで済んだだけありがたく思ってください」

と自分のことよりも氷牙の方が大事だと主張した

 

「レキ・・・アンタ・・・良くも悪くも氷牙に似てきたわね・・・」

「もともとこの二人は似た者同士だったからな・・・氷牙もきっと・・・「俺を吹っ飛ばしたのはどうでもいいがレキを撃ち殺そうとしたんだ!生きてるだけありがたく思え!」って言うだろうな・・・」

そうつぶやくとキンジはそういえばと一つ気になることが浮かんだ

「待てよ・・・そういえば・・・どっちなんだ?」

「どっち?何がよ?」

「だから・・・どっちがレキを撃った・・・狙撃手のココなんだ?」

片方が格闘担当、もう片方は拳銃担当、じゃあ狙撃はどっちの担当だ?

そう疑問に思っていたらキンジのヒステリアの解けていない頭は一つ、失念していたことを浮かび上がらせた

元々ココは一人の人間と見せかけてそれぞれの役割を分担して『万武』を演じていた。それを見破った氷牙は「ココは二人いる」と言っていたため俺達もココは二人いると思っていた・・・だが当のココは二人でとは言っていない!!

 

そうだ・・・俺達が二人しかいないと思ってしまっていたんだ!!

 

「―――っ!まずい!!」

キンジはすぐさま懐からベレッタを出した

「アリア!レキ!まだ終わってない!ココは「そこまでネ!!」―――ッ!!」

その声に反応するようにキンジは声のする方向に銃を向けた

そこには・・・

新幹線の上には・・・狙撃銃、M700を構えた3人目のココがいた

そう・・・ココはまだいたのだ!

キンジと3人目のココは互いに銃を向けあうが・・・

「ハッ!キンチ、女は撃てなイ!ココの勝ちネ!」

キンジは女は撃てない・・・ほとんど一方的に銃を突き付けられているようなものだった

「ああもうっ!離しなさいよ!!」

アリアは捕えた二人のココにしがみつかれ身動きが取れず

「レキ動く駄目ネ!!」

レキはココにマークされてしまい動けないでいた

 

そして3人目のココはキンジ達を睨むと

「キンチ、ヒョウカ!二人のせいでココたちの計画がメチャクチャネ!200人を超える負傷者は出ル・・・バイクや車両、挙句の果てには武装ヘリも墜とされル・・・これだけの損害を出して収穫はゼロ・・・大赤字にも程があるネ!」

「何よ!全部あんた達の売ってきたケンカの末路じゃない!それでやられたから逆ギレ!?自分勝手にもほどがあるわよ!!」

お前が言うな・・・キンジはそう思ったが言わないことにした、触らぬアリアに風穴無しだ

「うるさいネ!!ここまでコケにされて黙っているココたちじゃないネ!!せめて一矢報いてから逃げるネ!!」

そう言ってレキを睨むと

「レキ!お前ウルスならまだ弾丸持ってるネ!?」

「ええ・・・ウルスの・・・最後の銃弾・・・自らを撃つ・・・自決用の弾丸ですね」

「それで自分を撃つネ!そうすればキンチは撃たないヨ」

 

「「―――!!」」

 

「キンチはいい駒、殺すのは惜しいネ。だからお前を死なせてヒョウカへの見せしめにするネ!」

「ココ・・・私が自分を撃てばキンジさんは撃たないんですね?」

「曹操の名に懸けて誓ってやるネ」

 

そう言われるとレキは淡々と弾丸を取り出しドラグノフに装填した

そして自分の額に銃口を当て足の指で引き金を引こうとした

「やめろ・・・やめるんだ!!レキ!!」

「キンジ!何してるのよ!!早くココを撃ちなさいよ!」

アリアにそういわれてもキンジは動けないでいた

キンジもココに銃を向けている。本当なら打開策はある

先手を打ってココの肩を撃ってひるませるもいい、銃口に銃弾を撃ち込んで銃を破壊するもいい、撃たれたとしても撃ってきた銃弾を撃って弾けばいい、いくらでも策は出てくる

だがキンジはそのすべてを実行に移すことができなかった・・・

ヒステリアモードのキンジの頭は『ココを傷付けずに済ませる打開策』を探してしまっていたからだ・・・

むろんこの状況でそんな打開策はない

そんなありもしない策を探して自分から袋小路に迷い込んでしまい・・・

結果、キンジは何も出来ないでいた

「キンジ!!何してるのよキンジ!!」

「きひっ!キンチ!自分の甘ちゃんが招いた結果の末ネ!よく見ておくヨ!」

 

だが当のレキは微笑むと

「・・・大丈夫です」

「え?」

「この命は氷牙さんの物です」

そう言って引き金を引いた

――パァン――

そして新幹線のホームに無慈悲な銃声が響き・・・

――ドサッ――

レキは後ろに倒れた

「レキィーーー!!」

 

額に銃弾を食らったんだ・・・誰がどう考えても即死だ・・・

「きひっ、結局お前何もできなかった。やっぱりキンチは役立たずの甘ちゃんネ」

「まあ安心するネ、甘ちゃんでも実力は本物ヨ、藍幇に連れて行ったらココ達が骨の髄まで調教してヒョウカのように情け容赦ない忠実な戦闘マシンに仕立て上げてやるネ」

横からはココ達のキンジへの嘲笑が聞こえ・・・

後ろからは・・・

 

「レ・・・キ?」

「――!!氷牙!?」

いつの間にかホーム階段前には・・・氷牙が立っていた

「アヤヤッ?ヒョウカも来たのカ?デモ一足遅かったネ?」

「なんで・・・レキが倒れてるんだ?なんで・・・頭から血を流してるんだ?なんで・・・なんで・・・なんで・・・自分で頭打ち抜いてるんだ?」

キンジは俯いて

「すまない・・・ココは3人いたんだ・・・新幹線から降りた所で俺に銃を突き付けて人質にして・・・レキに自分を撃つように強要したんだ・・・」

「きひっ!本当にキンチは甘いネ!たとえ銃を向けあっても絶対に女は撃たないんだから甘ちゃんネ」

「その結果がこれネ、ココ達助けて仲間は死なせるなんてとんだ疫病神ネ」

「・・・お前・・・レキを見殺しにしたのか・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「あ・・・ああ・・・あああ・・・・」

氷牙はよろよろとつたない足取りでレキに近寄っていく

「悪く思うナ?利用できないなら消ス、それが鉄則ネ、素直に藍幇に来れば良かったのニ、お前とキンチのせいでこうなったヨ」

「・・・・・・・・・・」

氷牙はレキの前に跪くとレキを強く抱きしめ・・・やがて床に寝かせ身なりを整えると自分の上着を被せた

「・・・待っててくれ・・・俺も・・・すぐにそっちに行くからよ・・・」

「おい・・氷牙?お前・・・

 

氷牙は顔を俯かせたままゆっくりと立ち上がると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コォコォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!」

 

 

 

ブラドのワラキアの魔笛にも引けを取らない咆哮にも近い雄たけびを上げた

 

 

「ッ!」

その咆哮に危険を感じた三人目のココは咄嗟に後ろに跳んだ

――ベキャッ――!

だが氷牙はココの眼前に一瞬で詰め寄り右ストレートでM700を叩き折り

―ドムッ―!

「エ?」

ココの腹部に氷牙の悪魔の拳が入った

「ゴボッ!?」

次の瞬間にはココはおびただしい量の吐血を吐き

――ボキ、ベキ、ボキ、ボキ、ベキ――

次々と肋骨が砕ける音が響いたあと

――ドォン――

地面に叩き付けられた

 

そこから氷牙はココに馬乗りになり頭を左手で掴むと

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

怒りのままにココの顔を何度も殴りつけた

それも手加減無しで入れてるのか一発撃つたびにココから血飛沫が飛び何処かの骨が砕ける音が響いた

「――!!氷牙止めろ!!ココが死ぬ――」

そして文字通り顔の形が変わるまで殴りつけた後、こんどは右手でココの頭を掴んで

「ジャァ゛ァ゛ッ!!」

――ドゴォン――

ココを野球ボールのように思い切り投げ飛ばしホームの売店に突っ込ませた

「――ッ!!狙姉!!」

「ガ・・・グポ・・・」

吹っ飛ばされたココは顔はガードした両腕ごとボロボロに殴られていた

腕は完全に折れて顔もグチャグチャの血塗れ、吐血量からみて・・・内蔵も潰れている・・・かろうじて生きていると言ってもいい重傷を負っていた

そして氷牙の猛攻はこれで終わらなかった

「ラア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

氷牙はさらに背負っていた大剣をココに向けて槍投げのように投げつけたのだ

「―――ッ!!馬鹿野郎!!」

それを見たキンジはデザートイーグルをフルオートにセレクトし大剣めがけて発砲した

 

――ドドドドドォン、ガキィン―――

その衝撃で大剣は軌道を変え

――ズドォォォン――

ココの首に刃が僅かに触れたところに突き刺さった

「氷牙!!お前ココを殺す気―――!!」

キンジは氷牙を見て驚愕した

こちらを向いた氷牙の目は・・・両方の目が真っ黒に塗り潰され、血涙を流しながら・・・人間の域を超えた殺気と狂気が溢れ出ていたのだから・・・

「よくもレキを殺しやがったな・・・よくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくも!!!殺してやる!殺してやる!殺してやる!殺してやる!殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺してやる!!!!!!」

 

 

「・・・あの目・・・マズいわよ!完全にキレてるわよ!!」

「まさかお前・・・戻っちまったのか・・・」

「戻った?どういうことよ!?」

「矢常呂先生が言ってたこと忘れたのか!?今まで氷牙はレキがいたからどんなことが起きても平常心を保っていられたんだよ!!たとえ自分が人間じゃなくなっても・・・たとえ記憶を無くしてもな!!」

 

そう言いながらキンジの頭には氷牙が記憶を無くしていた時、夏休みが始まる直前に矢常呂先生に忠告されていた事を思い浮かべていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本来記憶喪失になれば自分のことはおろか周りの人間は誰が敵で誰が味方かもわからなくなるんです。そうなれば大抵の人は周りは全て敵と思い行動します。

周りは全て敵・・・対して自分は一人・・・それどころか自分が誰かもわからず自分さえも信用もできない・・・そんな状況下に絶えず置かれるんです・・・普通なら一日ともたずに発狂してしまいます・・・なのに九狂さんは記憶障害の混乱から数時間で立ち直り、その後精神的にも非常に安定して落ち着いています・・・考えられる可能性は恐らく・・・拠り所を見つけたからでしょう・・・」

「拠り所?」

「・・・精神的に不安定な場合・・・対処法としては心から信用できる存在等の心の拠り所になるものを見つけることが効果的です。おそらく今の九狂さんはレキさんを心の拠り所にすることで理性と自制心を保っています」

「そうか・・・だからこそ記憶を失ってもあんなに落ち着いていたのか・・・」

「ですがそれは所詮はその場凌ぎです・・・」

「え?」

「もしレキさんに万一の事があれば九狂さんは再び精神が不安定になります・・・それどころかレキさんを失った喪失感さえも味わうことになり・・・今度こそ完全に理性のタガが外れて暴走してしまいます・・・そうなればもう誰にも止められません・・・いえ・・・唯一、止める方法があるとするならば九狂さんを―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイツはずっとレキに支えてもらって生きてきたんだ!!そして今、レキを・・・心の拠り所を失ったアイツはその喪失感と絶望から理性のタガが外れて我を失ってるんだ!今のアイツは・・・シャーロックの死闘の時の様に・・・思考も理性も殺意と狂気に塗りつぶされて・・・暴走しているんだ!!」

「なっ!?ちょっと!?それってマズイんじゃ・・・」

「ああ・・・これでココ達を殺せば・・・よくてアイツはレキの後を追って自分で死ぬ・・・下手すれば自棄になって・・・今度こそ・・・人類史上最悪の殺人マシンの降臨だ・・・」

「―――ッ!!のんきに解説してる場合じゃないじゃない!氷牙を止めるわよ!!」

アリアがそう言うがその前にいつの間にか手錠を外していたココたちが氷牙に飛び掛かった

「炮娘!こうなった以上やむを得ないネ!ヒョウカも殺すヨ!」

「応!殺すには惜しいが仕方ないネ!」

そう叫ぶと炮娘が隠し持っていたマイクロUZIを発砲して弾幕を張った

だが氷牙はそのすべてを闇魔刀で弾き返したが

「フッ!!」

その隙に猛妹が接近して背中に組み付いた

あれはかつて食らった裸絞めだ!

「ヒョウカ・・・惜しい逸材だガ・・・利用できない駒は脅威にしかならないヨ!死んでもらうネ!!」

もう完全に極まっているあのまま首を折られると思っていたら

「・・・・・・・」

氷牙は闇魔刀を床に突き刺すと右手を力ずくで動かし

―ブチブチブチッ――

髪の毛を引きちぎりながらも猛妹の腕をつかむと

 

――ベキッ――

強引に腕をへし折った

「ギァッ!?」

そして絞めつけが緩んだところで右手で猛妹の頭を掴みあげると

「ラア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

――ドォン、ドォン、ドォン、ドォン――

腕を振り回して猛妹を地面何度もに叩き付けた後

「ラア゛ッ!!」

新幹線に向けて投げつけた

――ゴォン――

猛妹が新幹線に叩き付けられると・・・新幹線の車体が・・・浮いた・・・

そして猛妹は・・・新幹線にめり込んだままぴくりとも動かなくなった

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あと・・・一人・・・・・・・・」

 

そして氷牙は闇魔刀を引き抜くと最後の一人のココにゆっくりと近づいてゆく

かつんっ、かつんっ、と一歩踏むごとに響くブーツの音がまるで死の宣告にきこるかのように・・・

炮娘は逃げたくとも先程のレキの狙撃でアキレス健を撃たれて立つことすらままならないでいた

「ま、待つネ!お前武偵ヨ!ココ殺せば9条破りネ!」

氷牙は暗闇のように黒く、血のように赤く禍々しく光る瞳をココに向け答えた

「・・・だからなんだ?」

「そうすればお前もう武偵じゃいられないネ!それどころか犯罪者に逆戻りヨ!」

「・・・それが?」

「エ?」

「犯罪者?上等だ・・・大切な人一人守れず何が武偵だ・・・もう俺には何もないんだ・・・犯罪者にでも殺人鬼にでもなってやるよ・・・」

そう言いながら氷牙は血涙を流しながら炮娘に刀を向けた

「ハ刀刑って知ってるよな?」

「ハ・・・エ?」

知ってるかと聞かれれば炮娘は当然知っている、それは・・・

「お前の国の処刑法だ・・・お前の体で再現してやるよ・・・」

方法はいたって簡単だ・・・体を外側から縦に切り刻んで最後に首を斬る。この処刑の特徴は首を斬るまでは死なないので苦しませて殺すことで有名な残酷な処刑法だ

「ヒ・・・ヒィッ!!」

炮娘は恐怖におびえながらもマイクロUZIを向けたが

「ラァ゛!!!」

発砲するより前に氷牙は炮娘の顔を思いきり蹴り飛ばした

「ボハッ!?」

その蹴りで炮娘は吹っ飛ばされて銃を手放してしまった

「ア・・・バ・・・」

そして悶える炮娘に氷牙は一気に間合いを詰め炮娘を斬りつけた

 

――ザシュッ――

だがその傷は致命傷と言うには浅く、かすり傷というには深い痛みだけを伴う傷であった

「ギァッ!?」

「・・・楽には殺さねえ・・・少しずつ斬ってやる・・・」

「ア・・・アア・・・」

炮娘は血に塗れた歯をカチカチと鳴らして怯えきっていた

「お前等は・・・やっちゃいけないことをしたんだ・・・」

「ヤ・・・止メテ・・・許シテ・・・助ケテ・・・」

その言葉を聞いて氷牙は更に殺気を膨らませた

「止めてくれ?」

――ザシュッ――

「ギァッ!?」

 

「許してくれ?」

――ザシュッ――

「ギァッ!?」

 

「助けてくれ?」

――ザシュッ――

「ギァッ!?」

 

「お前はその言葉を今まで何度聞いてきた?」

――ザシュッ――

「ギァッ!?」

 

「そして何度踏みにじってきた?」

――ザシュッ――

「ギァッ!?」

 

「俺も同じように・・・踏みにじってやる!」

炮娘の体は少しずつだが確実に切り刻まれていった

だが切り刻んでる途中で

 

――ダァン――

弾丸が俺の顔をかすめた・・・これは・・・ベレッタM92F・・・てことは・・・

「・・・これで2度目だな・・・何のつもりだ・・・キンジ!!」

氷牙はこちらに向けてベレッタを向けているキンジに問いかけた

「やめろ氷牙!!それ以上は本当に死ぬぞ!!」

「・・・・・・・・・・俺を止める気か?」

「当たり前だ!お前のリーダーとして・・・何より親友としてお前が誰かを殺すところを見過ごせるわけないだろ!!」

「ふざけんな!!こうなったのも・・・お前のせいじゃねぇか!!!!お前が甘ちゃんなせいで・・・散々こいつらに甘くしたせいで・・・レキは死ぬ羽目になったんじゃねえか!!お前がさっさとこいつらを捕まえてれば俺たちは駆けつける必要なんかなかったんだ!!お前がさっさととこいつを撃てばレキは自決することなんてなかった!お前がレキを見殺しにしたんだ!!お前なんかに賭けた俺が間違ってた・・・だから・・・俺の手で落とし前をつけてやる・・・お前の代わりに・・・俺がこいつらを殺してやる・・・」

そういってキンジに背を向けた

「―――!!待て氷――ドォン――がっ!?」

キンジは駆け寄りとめようとしたがその前に氷牙はキンジの胴体にコルトパイソンを発砲した、防弾制服を着ていなかったら即死していた・・・

「――!!キンジ!?」

「キンジ・・・俺は『バスカービル』を抜ける・・・かつての親友としてのよしみだ・・・2度は目を瞑ってやる・・・でも3度目は無えぞ・・・だから邪魔するな!!でなきゃ殺すぞ!!もうお前にはうんざりなんだよ!!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・氷牙・・・俺は・・・」

「・・・お前なんかと・・・出会わなければよかったよ・・・」

そう言ってキンジを一瞥すると炮娘に向き直った

「ア、アヒ・・・」

炮娘は怯えきって涙を流していたが

それを見た氷牙は刀を振り上げ

「ココ・・・お前に泣く権利なんかねえ!その眼潰して止めてやるよ!」

「ヒィィ!?」

ためらいもなくココに向け振り下ろした

 

そして炮娘の右目に突き刺す直前

 

――ドォン、ガキィン――!!

キンジがデザートイーグルを闇魔刀に向けて撃ちココの右目から逸らして刀はココの顔から数センチ離れた床に突き刺さった

「ア・・・・」

そしてそのショックで炮娘は気絶した

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

氷牙はキンジをギロリと睨むと

「キンジ・・・3度目は無えって言ったはずだ・・・邪魔すんじゃねえ!!殺すぞ‼‼‼‼‼」

「ああ・・・殺したきゃ殺せ・・・」

「・・・あ?」

「ごめんな・・・氷牙・・・俺が甘いせいで・・・レキを死なせた・・・こうなったのも全部俺のせいだ・・・」

そう言ってキンジは俯いた顔を上げ

「でもよ・・・俺は誓ったんだ・・・お前は俺が道を踏み外しそうになった時、俺を助けてくれた・・・だから・・・お前が道を踏み外しそうになったら今度は俺が助けようって・・・」

「・・・甘ちゃんの次はエゴイストか?どこまでも自分勝手だな・・・」

「ああ!なんとでも言え!!腑抜け上りで甘ちゃんな俺だけどよ・・・せめてお前だけは止めてやる!!せめてお前だけは絶対に助けてやる!!」

そう言ってキンジは氷牙を見据えると

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

氷牙は何かを考えているかのように口を閉ざし・・・やがて口元を歪めてニィッと笑った

「・・・面白れぇ・・・出来るもんならやってみろよ・・・この甘ちゃんが・・・」

そう言うと氷牙は・・・アリアに刀を向けた

「え!?なに!?」

「キンジ、3度も止めやがった罰だ・・・ココを殺す前に・・・俺はこれからアリアを殺す・・・止めてほしけりゃ俺を殺せ・・・」

 

「「―――ッ!?」」

 

「なっ!?アリアは関係ないだろ!!殺すなら俺を殺せ!!」

「大事な人を失くすのがどれだけ辛いか・・・お前ならわかるよな?それを今度こそ本当に味わせてやるよ・・・」

 

「―――っ!!」

それを聞いてキンジの頭にはあの時矢常呂先生が最後に言っていた唯一氷牙を止める方法がよぎった

 

『唯一、止める方法があるとするならば九狂さんを・・・殺すしかありません・・・』

 

 

 

 

 

「それが嫌なら・・・俺を殺すしかない・・・でなきゃ・・・アリアが死ぬぞ!!」

そう言うと氷牙はアリアに向けて飛び掛かった

 




修学旅行Ⅰ最後の敵はなんと主人公・・・

ラスボスが主人公っていうゲームかマンガ、どこかであった気もしますが・・・ちょっと思い出せないな・・・

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。