緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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修学旅行Ⅰ終盤入ります!!

深夜のテンションでどんどん書いてきますよ!


66話<史上最速にして史上最悪の鬼ごっこ>

 

「現在18時30分!タイムリミットまで1時間を切っています!!」

「大丈夫だ!東名高速に入った!これで後は一本道だ!19時までには追いついてみせる!」

キンジ達と別れて半日後、氷牙とレキはキンジ達を追って東名高速道路で隼を飛ばしていた

しばらくは京都にこもりきりになると思ったのに・・・まさかこんなに早く東京に向かうことになるとはな・・・

 

 

 

―――数十分前

 

星伽分社に残って数時間後、氷牙は分社の工房を借りて装飾品の製作に勤しんでいた、資料の中には金属には魔力を抑制してくれる効果がある物が存在すると記載されていたので、ならばその金属で装飾品を作り身に着ければ魔力を制御できるのではないかと睨んだからだ。

(幸いここには必要な材料も設備も道具も全部そろってるしな・・・なら使わない手はないさ・・・)

そう思い装飾品の製作を進めるが・・・実は氷牙にはこの装飾品を作るのに至ってはもう一つ別の意図があったのだ・・・

(まあ・・・これもいわいる一つのけじめの付け方ってやつだと思うしな・・・)

問題はまた何と言うかだ・・・魔力抑制のためだと言えばそれだけで終わってしまうだろう・・・だからもう一つの意味もきちんと説明しなくてはならない・・・だが・・・

(こんなこと簡単に説明できるのはヒスッたキンジか、意味を理解してない何時ものキンジか、かつてのレキくらいだよ・・・)

 

と、本当にどうしようかと悩んでるうちに・・・

「完成だな・・・」

あっという間に出来上がってしまった、こういうのは我ながら惚れ惚れする手際と手先の器用さだ

そしてそれを箱にしまうと

「さて・・・本当にどうやって言おうかな・・・やっぱストレートに言わなきゃいけないんだけど・・・ちょっと予行演習してみるか・・・」

そして俺は入口の方に向いた状態で一呼吸置くと

 

「レキ!「氷牙さん!!」うぉぉっ!?」

 

レキの名前を呼んだ瞬間、本当にレキが部屋に飛び込んできた

「九狂様!大変です!」

そしてその後ろを見れば風雪も一緒だ・・・

てかタイミング良すぎだろ!!心臓止まるかと思ったぞ!!

まあ止まっても正直死ぬ気は全然しないけどさ・・・多分キンジだって心臓止まったって死なないと思うし・・・

「な、何でレキが!?どうしたんだよ!?」

 

二人とも随分と慌てている様子だが・・・次のレキの発言で俺も慌てて星伽分社を飛び出すことになった

 

「キンジさん達が乗った新幹線が・・・ココにジャックされました!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「油断してたよ!!ココの奴アリア達も狙ってたとは言えまさか新幹線丸ごと乗っ取るとはな!技師としても天才的だったってわけかよ!」

しかも聞いた限りでは爆弾まで仕掛けてあり3分おきに時速を10km加速しなくては爆発するらしい・・・今は偶然乗り合わせた武藤が操縦しているそうだが・・・このままでは19時22分には東京についてしまう・・・そうなればもう終わりだ・・・そこから先に線路は無い・・・

 

「ですが・・・妙です・・・」

「・・・なに?」

「『万武』のココ、その名の通り14歳にして格闘、拳銃戦、狙撃に加えて天才技師・・・いくらなんでもありえなさすぎます・・・どんなに才能に恵まれていたとしてもその才能を目覚めさせるには最低でも数年の『経験』は必要なはずです・・・何か違和感を感じます・・・」

「・・・・・・実は俺も違和感を感じてたんだ・・・比叡山の時もそうだった・・・アイツは音響弾をまともに食らっていたはずなのに俺達の前に何食わぬ顔で出てきた・・・それに本当に2キロ先にいたのなら、あの後すぐにバイクを飛ばして俺達に追撃に来たとしてもいくら何でも来るのが速すぎる・・・まるで初めから音響弾を喰らってないかのように・・・実は近くにいたかのように・・・」

そうして意見を言い合ううちに氷牙とレキには一つの推測が生まれた

 

「「――ッ!!まさかココは―――

 

そう言いかけたところで

「――ッ!!レキ!!」

俺はレキを俺の前に連れて行き、レキも察していたようで足を上げて俺と向き合うようにシートに跨がった

 

その直後

 

――ダガガガガガガガガガガガ――

 

後ろから銃弾が飛んでくる

「氷牙さん!後ろから追手です!」

「ああ!俺達が駆け付けるのも想定済みだったってわけだな!!」

氷牙は隼の脇に下げておいた大剣を背中に背負うと

「レキ!ここからは全速で飛ばす!お前は応戦してくれ!!落ちたら死ぬからな!!振り落とされるなよ!!」

「はい!」

そう言ってバイクを全開で走り出しキンジ達が時速200kmを超え続ける世界でのエクスブレス・ジャック戦が幕を開けていたと同時に・・・氷牙とレキも時速700kmの史上最速のカーチェイス戦が幕を開けた

 

 

 

 

 

一方キンジ達は

 

「不知火!どうだった!?」

新幹線がジャックされキンジは不知火にこの新幹線に他に居合わせている武偵がいないか見てもらっていた

「ダメだよ!他に武偵はいない!乗り合わせた武偵は僕達含めて全部で9人だけだよ!」

「理子は罠に嵌められて動けないし・・・武藤は新幹線を運転してくれているから・・・動けるのは実質7人ね・・・」

しかも戦力になりそうなのはキンジ、アリア、白雪、不知火の4人だけ・・・後は全員通信科の女子、鷹根、早川、安根崎の3人・・・とても前線に出せる人員じゃない・・・

「まずいね・・・爆弾も犯人も見つからない・・・このままじゃ・・・」

「犯人と爆弾はもう見つけた。犯人はこの16号車の洗面室に気体爆弾を充満させている。俺とアリアは屋上に逃げた犯人を追いかけるから白雪と不知火は万が一犯人が車内に戻った場合に備えてここに待機してくれ、鷹根達は武偵校、警視庁、鉄道警察と連絡して爆弾の解除法の模索だ!タイムリミットまで1時間を切ってる!急ぐぞ!!」

 

「「「了解!!」」」

 

そしてそれぞれが行動に移ろうとした時、不知火がそう言えばと

「それと遠山君、7号車で居合わせたマスコミ連中がこの出来事を放送してるみたいだよ?」

「・・・こんな状況でか?」

「うん、スクープ現場に居合わせた事を喜んでいた」

全員まとめて死にかかってるのに・・・現実感のない奴らだ・・・

「・・・放っておこう、報道は自由だ・・・」

「いいのかい?「早く解決して情報提供して欲しいですね、それくらいしか武偵は役に立たないんですから」って言いたい放題言ってたよ?」

 

「・・・・・・氷牙がいなくてよかったな・・・」

もしいたら今頃全員ボコボコにされてただろうな・・・

そう言うと武藤も同調して

『確かにな・・・もし氷牙の奴がその放送を見てたらあの事件の再来だな・・・』

「ああ・・・その放送を・・・」

・・・・・・・・・・放送を?

 

「「「――ッ!!」」」

 

全員がまさか!?と思いキンジが不知火に問いただした

「待て不知火!!その放送ってまさか生放送か!?」

「うん・・・そうみたいだね・・・今調べたら普通にワンセグで見れたよ」

 

「「「今すぐ止めさせろ!!」」」

 

もしこれ以上武偵を非難・中傷する発言をしてそれを氷牙が見たらあいつ黙っちゃいないぞ!!

「そうだね!武藤君!彼らは車両の無線LANを使って放送してるみたいだからそれを切るんだ!」

そう言うと武藤は運転室から新幹線の無線LANを切って放送を強制的に止めた

「・・・氷牙・・・この放送見てたかしら・・・」

「さあね・・・もし見てたら・・・どうするんだい?」

「どちらにしろこの事件はもう周知されてるんだ。氷牙も今頃こっちに向かって飛んできているだろうな・・・もし見ていたとしたら・・・その時は・・・マスコミ達には脅してでも不適切な発言だったと謝罪するように要求しよう・・・それとレキも一緒にいることを願おう・・・多分キレた氷牙を止められるのはレキだけだからな・・・」

「でも・・・もし向かって来てくれてるなら・・・頼もしい援軍になるのよね・・・」

「ああ・・・アイツの事だから気体爆弾が充満した洗面所ごと刀でくりぬいてそのまま上空に向かって蹴り飛ばして爆破処分しそうだな・・・」

キンジが冗談交じりにそう言うと

「まさか・・・いくらアイツでもそんな・・・」

アリアがそこまで言ったところで全員が

 

(((―――あり得る・・・)))

 

そう思った・・・

 

「ちなみに鷹根さん達?九狂君と連絡はつくかい?」

「さっきから電話しているけど全然出てくれない・・・繋がってはいるみたいだけど・・・」

「レキもね・・・コール音はするから繋がってるはずなのに出てくれない・・・」

「アイツ等二人とも何してんのよ・・・まさか二人揃って携帯失くしたって訳でもないでしょうに・・・」

「まさか俺達を追いかけていたらココの配下に追撃されて今頃東名高速を爆走しながらカーチェイスしているとか・・・」

またもやキンジが冗談交じりに言うが

「いやいや、キー君いくらなんでもそんなの・・・・」

無いでしょと理子は言おうとしたが・・・

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あり得る!!!」」」

 

全員が顔を合わせて同調した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてキンジの予想通りと言うか・・・氷牙とレキは東名高速を爆走しながらココの配下達とカーチェイスしていた

 

「お前等しつこいんだよ!!」

 

――バァン、バァン――

 

氷牙とレキは追撃してくる車のエンジンを撃ち抜き走行不能にした

だがそれでも追手は次々と現れてキリが無い

「まだ来るのか!?これで何台目だ!?」

ココの配下達の追撃がしつこくなかなか新幹線に追いつけない・・・時間が無いっていうのに・・・

 

――バラバラバラバラ――

 

「この音・・・氷牙さん!あれは!」

レキが上を指すので俺も顔を上げて上空を見れば・・・

「あいつらバカか!?」

大型の武装ヘリが俺達を追いかけてきたのだ・・・

 

――ドドドドドドドドドドドドドッ――

 

そしてヘリの機銃から雨のような弾幕が降ってきた

「やってられるか!!トンネルに入るぞ!!」

トンネルに飛び込めば流石のヘリも追ってこれない、そう睨んでトンネルに飛び込むが

 

――ゴォォォォォォッッッッ――

 

何とヘリはトンネル内に次々とミサイルを撃ち込んで俺達を追撃してきた

「・・・マジかよ・・・」

こいつらガチでバカだ・・・

 

「氷牙さん!正面からも来ます!!」

正面を見るとトンネル出口にはもう1機の武装ヘリがお待ちかねだった

「チッ!挟まれたか・・・このトンネルを抜ければキンジ達は目前なのによ・・・」

「では強行突破するほかありませんね?」

とレキは簡単に言ってくれた

「・・・簡単に言ってくれるな?」

「無理なのですか?」

「いや?レキがサポートしてくれるなら造作も無い!」

そして氷牙は右手はハンドルを待ったまま左手を大剣に手を掛け

「はい!お任せください!」

レキも目を瑠璃色に変えて返事をした

 

 

そして前のヘリからもありったけのミサイルが一斉に発射された

「気にせず走ってください!」

そう言うとレキは体をのけぞらせるとガソリンタンクに背中を乗せた仰向け状態でドラグノフを構えた

「・・・・・・・・・・・・・」

仰向けにのけぞっているためか最近になってから食生活が正されてからは成長を始めたらしい慎ましやかな胸は主張を始め、それに伴ってブラウスは持ち上がり綺麗なへそがチラチラと見えた

そして体を固定するためか両足は俺の胴体に回してしがみついていて・・・下半身に華奢で柔らかい太ももや小ぶりなお尻の感触が伝わって仕方がなかった

 

(それにこの体制覚えがあるな・・・確か『はちのこ』での夜にレキと繋がった時の体制の一つで・・・いわゆる・・・)

そんなこと考えていたら・・・俺まで主張を始めてしまい・・・

「・・・氷牙さん・・・当たっています・・・」

レキが顔を赤くして訴えてきた

「・・・すまん・・・ちょっと思い出したもんで・・・」

そう言って俺も顔を赤くして目を逸らすとレキも目を逸らして

「・・・帰ったらしてあげますから我慢してください・・・」

「・・・はい・・・」

帰ったらもう一勝負か・・・頑張らないとな・・・

 

 

そしてレキも気を取り直して瑠璃色の目で狙いを定めると

 

――ドドドドドドドォン――

 

まるでフルオートのような連射でドラグノフを発砲した

そして正面のミサイルは次々と撃墜され爆発して・・・一面ミサイルの壁に突破口が作られ俺たちはそこからミサイルをすり抜けた

そして・・・氷牙は大剣を構えると

「シャァァァアアア!!!」

 

――ズドォォォォォォォン――!!

 

すれ違いざまにバイクのスピードにさらに大剣の推進剤による加速も乗せた一撃をヘリにぶつけ・・・

 

――ガキィィィィン――!!

 

次の瞬間にはヘリは真っ二つに切断されトンネルの前後から迫ってきたミサイルは正面衝突し

 

――ドォォォォォォォン――!!

 

トンネル内で大爆発が起き振り返ればトンネルは完全に崩落して埋まっていた

「これで増援が来ることはもうなさそうだな・・・・」

氷牙は大剣を背中に背負うとハンドルを握り直した

「レキ、大丈夫・・・か・・・」

氷牙はレキを見た途端言葉を失うがそれも無理もないかもしれなかった

レキはミサイルへ狙撃を行った後、振り落とされない様にすぐさまドラグノフを背負い体を起こして氷牙にしがみついた

その時のレキの体制は両手も両足も俺の胴体に回した状態でしがみついており・・・あの時と同じ・・・いわゆる『だいしゅきホールド』状態だったのだから・・・

「あー・・・あのだな・・・レキ・・・」

・・・この体制・・・マズいんです・・・いろいろ当たるんですよ・・・お互いに・・・

「―――!!」

レキもそれに気付いたのか慌てて両足を離すとシートに座り直した

 

「「・・・・・・・・・・・・・・」」

 

咄嗟とはいえ流石にお互い思う事があるのだろう・・・二人共無言で顔を真っ赤にして俯いていた・・・

「・・・・・・・・ええとだな・・・その・・・」

「・・・・・・・続きは・・・夜に・・・・」

「え?」

「・・・続きは・・・帰ったら夜にしてあげます・・・」

とレキは俯いたまま今にも消えそうな声で返答した

「・・・あ・・・はい・・・」

 

(・・・今夜・・・今以上の激戦になるかも・・・マジで頑張らないとなぁ・・・)

そんな事を考えながら俺はバイクを全速力で走らせた

 


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