緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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視点が何度も入れ替わりますが何とかお付き合いください・・・


63話<共に生きるために>

ギィィィィィッ―――

 

キンジはアスファルトの地面に真っ黒なブレーキ痕を残しながらバイクを急停止させた

 

そして止まった場所には・・・・

「キンちゃん!!」

白雪が待っていた。そう、キンジは星伽分社の鳥居前に到着したのだ

(まさかこんな早く到着できるなんて・・・何だったんだこのバイク・・・なんていうか・・・ヌルヌルと滑るような走りだったな・・・でも今はそんな事より・・・)

「白雪!!早くレキを頼む!!」

「分かったよ!!すぐに運んで!!」

そう言うと待機していた巫女が担架でレキを運んでいった

 

そして用意されていた医務室に運ばれると

「こりゃヤバいな・・・急所は外れとるがまともに入った上に出血がひどい・・・おまけに弾が貫通しとらん・・・」

レキを迎えた拳銃を提げているプロの衛生武偵らしい若い女医はレキの容体を見ると顔をしかめ

「緊急手術や!血算、血液型判定!交差適合試験、生化をチェック!大至急輸血や!」

すぐさまナースたちに指示を飛ばしレキの処置を開始した

「大丈夫だよな!?レキは助かるんだよな!?」

「大丈夫だよ!!この人は京都でも一番の名医なんだよ!!」

そう聞いてキンジは安堵の顔を浮かべた、だが・・・

 

「・・・消耗が激しすぎる・・・残念だが何とも言えん・・・」

返ってきたのはそんな無情な返答だった・・・

「なっ!?何とかならないのか!!」

「取り乱すなや!ウチも医者として死なせる気はない!!せやけど・・・最後は本人の気力次第やな・・・」

そう言うと女医はレキを連れて手術室へと駆け込んでいった・・・

 

キンジは手術室のドアの前で拳を血が滲むほどに強く握りしめた

「キンちゃん・・・」

「大丈夫だ・・・あいつらは絶対に死なない・・・こんな所で死ぬ奴じゃないんだよ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方氷牙は・・・

 

――ズドォォォォォォン――‼‼

 

「追い詰めたぞココォ!!」

剣の推進剤噴射機構で空中での移動速度を加速させココへと一気に間合いを詰めた

「クッ!!」

ココは銃を向けて応戦しようとしたが剣の加速が乗ってる分こっちが速い!!

「まずは・・・レキを撃ったお返しだ!!」

そう言ってココの脇腹にミドルキックを入れた

「ゴハッ!?」

これにはココは息を吐いたが袖を振りながらも後退し再び逃げようとした

「逃がすか!!」

氷牙は追撃を仕掛けたがその時

 

キラリ、と

 

ココの袖からゴマ粒のように小さなシャボン玉が振り撒かれるのが朝日に反射して見えた

 

そして次の瞬間

 

――バチ、バチ、バチィッッッ――!!

 

「があぁっ!?」

シャボン玉が激しい閃光と衝撃を上げ氷牙の体は強風にあおられた紙屑のように吹っ飛ばされ・・・大木に叩き付けられた

「キヒッ・・・日本じゃこういうのを・・・肉を切らせて骨を切るっていうネ?」

そして氷牙は大木を背もたれにして寄りかかったまま

 

――ガシャンッ――

 

「がはっ!はあっ!」

剣を落とし血を吐いた

(クソッ・・・何が起きた・・・あのシャボン玉・・・爆弾だったのか?・・・あのサイズでこの威力かよ・・・)

「キヒッ!中々手こずらせてくれたけどもうここまでネ」

その声に反応するように顔を上げて周りを見渡せば目の前にはココが仁王立ちでふんぞり返って俺を見下しており、その後ろにはココの配下達が俺を取り囲んでいた・・・

 

マズいな・・・これ・・・絶体絶命ってやつか・・・

体はボロボロ・・・銃はとっくに弾切れで・・・残っている武器はこの大剣と背中に入れてある折れた刀だけだ・・・

いや・・・どちらにせよ無理に出力を上げて使い過ぎた上、今ので肩も負傷した・・・肩がもう上がらない・・・

俺は・・・牙の折れた狼か・・・確かにその通りだったな・・・

片腕になってからバランス感覚も落ちて攻撃の手数も落ちて・・・思うように動き回れない・・・

片目になってからは視野も動体視力も距離感も視覚に関するものが全てが落ちてしまって・・・攻撃が見切り切れない・・・

それどころか狂牙の力だってもう使えないのに無理して使ったんだ・・・本当は気絶しそうな激痛が体中を駆け巡っている・・・

正直・・・今俺は気力だけで立ってると言ってもいい・・・というか・・・自分は本当に立っているのかでさえ分からない程に意識が朦朧としてる・・・

それにシャーロックとの死闘の傷もまだ完全には癒えてはいないんだ・・・限界を超えて体を酷使したせいでいくつかの傷は開きかけていたのにさっきの爆発のダメージで完全に開いてしまった・・・特に右腕からは流血が流れ出て止まらない・・・

 

(まずいな・・・血を流し過ぎてる・・・体が重い・・・もう迷ってられねえな・・・)

氷牙は『Razzo』を取り出し自分の心臓に投与しようとしたが・・・

(・・・でも・・・この状態でこいつを投与したら間違いなく俺の体は持たない・・・今度こそ体は取り返しがつかない程にぶっ壊れるだろうな・・・そうなれば俺は間違いなく――)

「キヒヒッ、お前もう限界ネ、諦めるヨ、お前ここで死ヌ、これ必然ネ」

 

ココがそう言うと俺はハッとして頭の中で考えが巡った

(・・・死ぬ?俺は・・・ここで死ぬ?)

「・・・・・・・・・・・・・」

しばらく考えたのち

 

――ポトッ――

 

注射器を落とし

「・・・クッ・・・ハハッ・・・・」

唐突に笑い出した

 

「何がおかしいネ?」

「・・・笑うしかないだろ?少し前までは死にたくて仕方なかった俺が・・・今は・・・死にたくない、生きたいって思ってるんだぜ?」

何がきっかけで人生変わるかなんてわかんないもんだ・・・レキの言った通り・・・本当に・・・笑えるよな・・・

「・・・死ぬ覚悟も無イとは情けないネ、0点ヨ・・・まあ牙の折れた狼にしてはよく戦ったヨ、それだけはあの世で誇るといいネ」

そう言ってココはUZIを構え俺に向け配下達も銃を俺に向けた

「遺言は聞いてやらないヨ・・・・・・・・・死ネ!」

ココの宣告と同時に周りの配下達の銃からも一斉に銃弾が発射された

 

「―――――――――」

 

そして氷牙の目には飛んでくる銃弾が鮮明に見えた

(・・・また・・・これか・・・)

シャーロックの死闘の時と同じだ・・・自分に確実な死が迫ってるって悟ると・・・1秒が何分にも引き伸ばされて周りの風景が止まって見える・・・

てことはこの後は走馬燈が流れてそれが終われば俺は死ぬか・・・

以前は直前でキンジが俺に銃弾当てて逸らしたおかげで脳天を突き刺されるところ眼帯で受け止めて左目だけで済んだ・・・だか今度はそうもいかない・・・体もまともに動かない状態で孤立無援の状況・・・もうここから起死回生の手立ても九死一生の手立てもない・・・この先の俺にあるのは確実な死だけだ・・・

(ああクソッ・・・俺は今度こそここで死ぬのか・・・)

そう思うと魂が叫ぶ・・・

 

死にたくない・・・

 

生きたい!

 

生きるために・・・

 

戦いたい!

 

戦うために・・・

 

武器が欲しい!!

眼が欲しい!!!

腕が欲しい!!!!

力が欲しい!!!!!

 

人間辞めたっていい・・・

世界を敵にしたっていい・・・

悪魔に魂を売ったっていい・・・

 

どうなろうと・・・

 

生きたい・・・

 

その為なら・・・この体だろうと魂だろうとくれてやる・・・

 

だから・・・力を寄越せ!!

 

俺の何もかもを犠牲にしてでも・・・

俺の大切な全てを守るために・・・死だろうと蹴散らす力を・・・

 

生きる力を寄越せ!!!

 

俺は・・・もっと生きたいんだ!!

 

あいつと・・・レキと―――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、レキの手術室では

 

(目が開かない・・・体が動かない・・・ここは・・・)

 

「―――――――――――――」

 

(何か聞こえる・・・話し声?)

レキはぼんやりとした意識の中、体は指一つ動かなかったが辛うじて感じる聴覚のみを頼りに周りの声や音から状況を把握しようとしていた

 

「血を流し過ぎとる!!もっと輸血もってこいや!!」

 

聞こえてきた会話に耳を澄ませて聞き取ってみると、その会話内容から見てどうやらここは手術室のようだ・・・と言う事は・・・

(私は・・・手当されている?私は助かったのですか?)

そう思ったが

 

「バイタル低下!!血圧が上がりません!!脈拍も弱まっています!!」

 

話を聞く様子では状況は芳しくなさそうだ・・・どうやら私は今にも死にそうなようだ・・・

(私は・・・死ぬ?・・・いやだ・・・死にたくない・・・)

 

「呼吸も止まりかけとる・・・気道確保!電気ショックも用意しとけ!」

 

(生きたい・・・どんなにみっともなくても・・・どんな代償を払っても・・・生きたい・・・)

 

――ピーーーーーーーーー――

 

「ダメです!心肺停止しました!!」

 

(氷牙さんと―――――――――――――――)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『共に生きたい!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう二人が同時に強く願った次の瞬間

 

 

「―――ッ!!」

氷牙の背中に入れたあった折れた刀が強く輝き

右腕から流れ出る血がやがて粘度を増して形を成していこうとする・・・

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

だが氷牙はその血が完全に形になる前に右腕を思い切り振り

 

――ドォオオン――‼‼‼‼‼

 

右腕からまばゆい光と強烈な衝撃が発生し周りの敵や銃弾はそれにより全てふっ飛ばされ、その際の衝撃で氷牙の眼帯も一緒に外れ宙に舞った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてレキも心臓が止まった直後

 

「――――――ッ!!」

 

何かに呼び起されたかのように目を開き

 

――ピッ、ピッ、ピッ、ピッ――

 

心臓は再び動き出した

「え!?」

「なっ!?どうゆうことやこれは!?」

「わかりません!一瞬、心臓が止まった後・・・すぐに稼働し始めました・・・バイタル、血圧・・・全て正常値です・・・」

「――ッ!!先生!!患者さんが!!」

ナースに言われようやく女医はレキの目が開いている事に気が付いた

「なっ!?気が付いたんか!?んなアホな!麻酔もかけとるんやぞ!!目覚めるわけがあらへん!!」

 

「・・・・・・・ここは・・・」

「・・・・・・お前・・・一体何なんや・・・」

女医はそう問いかけるがレキは虚空を見つめた後

「・・・・・・・氷牙さんが・・・呼んでいる・・・」

「は?」

「・・・行かないと・・・・」

そう言うとレキは起き上がり腕や胸から注射針やパッチを抜くと手術台から降りた

 

「って、アホかお前!!手術中に傷ふさいだばかりなのに起き上がって出歩くなんて自殺行為にも程が―――ッ!?」

起き上がったレキの脇腹を見ると・・・そこには何もなく・・・雪のように白くきめ細かいレキの肌があるだけだった・・・撃たれた傷も・・・先の事件でできた痣も・・・跡形もなく消えていたのだ・・・

「傷が・・・消えている・・・んなアホな・・・」

信じられない光景を見て唖然としている女医を脇目にレキはそばにあった患者衣を羽織ると手術室を出ていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クッ!?何が起きたネ!?」

 

ココは突如発生した衝撃とまばゆい光に吹き飛ばされたがすぐさま受け身を取って体勢を立て直していた

氷牙の方を見るが土煙が上がり姿よく見えない・・・だが、やがて煙が晴れてくると人影がこちらに歩いてきた・・・

そしてその人影が氷牙だと分かるまではっきりと見えた瞬間

 

「ナッ!?」

ココは我が目を疑った

 

なぜなら・・・

 

「グ・・・ガァ・・・」

 

蒼い炎を纏った氷牙が・・・ゆうに1メートルは超えるほど長い白銀に輝く刀を”右手”に握って表れたのだから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レキが手術室から外に出ると手術室前の椅子で誰か座って項垂れている人を白雪さんが慰めていた。あれは・・・

「・・・キンジさん?」

 

「「え?」」

 

キンジと白雪は顔を上げると目を見開いた

「――ッ!?レキさん!?何で歩いているの!?」

「・・・え?レキ!?お前治ったのか・・・ってバカ野郎!!あんな重傷で手術直後に出歩こうとかしてんじゃねえよ!!せっかく助かったのに死にたいの―――ッ!?」

キンジと白雪は我が目を疑った・・・それも当然だろう、レキの着ている患者衣は脇が大きく開いている、本来ならそこから見えるはずの撃たれた傷が見えないのだから・・・

「お前・・・傷が・・・」

「レキさん・・・なんで・・・傷が無いの?それに・・・」

「・・・氷牙さんはどこですか?」

 

「「え!?」」

 

「キンジさん・・・氷牙さんは?」

「・・・・・氷牙は・・・・」

キンジは顔を伏せてしまうが・・・レキはそれだけで察しがついた

「まだ・・・あそこに・・・比叡山にいるんですね?」

「ああ・・・氷牙は・・・俺達を逃がすために一人残って殿を務めた・・・そして・・・今もあそこで300人相手に一人で戦っている・・・」

「本当に・・・無茶ばかりする人です・・・」

それを聞いてレキはキンジのそばにあったドラグノフを持った

「ダメだ!今から行っても間に合わない!それにもう星伽の武装巫女たちが救援に向かってる!だから―――」

キンジは止めようとするがレキと目が合った瞬間、金縛りにでもあったかのように体が動かなくなった

「―――ッ!?レキ!?お前・・・」

「行くまでもありません・・・ここからでも十分です・・・」

そう言って瑠璃色に光る瞳でキンジを睨むとレキは鳥居へと向かって行った

「今・・・レキの目が・・・光っていた?いや、まて・・・レキの瞳は確か・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キヒッ!?驚いたネ!?お前人間じゃなかったのカ!?」

ココは氷牙を化け物を見るような目で見たがそれも当然であった

氷牙が一月前に自ら切り落とし無くなっているはずの右腕があったのだから・・・

だがその腕は全体が水色に輝き、手の甲から肘にかけては赤黒い装甲のようなもので覆われていた・・・

そして左目も傷こそは消えていなかったが無くなっていたはずの目は白い部分が全て真っ黒になっている状態で再生していた

 

それはもうどう見ても人間の腕や目では無い・・・

 

「グ・・・ア・・・ア・・・」

 

ココは放心していた配下達に向け

「お前等、何してるネ!!さっさと撃ち殺すヨ!!」

 

「・・・え?は、はいっ!!」

 

指令を下すと我に返った者から順に立て続けに氷牙に向けて発砲してゆくが

「ウゥ・・・・・・・」

氷牙は刀を回すように振るい刀の壁を作ると

 

――キィン、キィン、キィン、キィン――

 

銃弾は刀の壁に触れた瞬間消えていき、銃弾を全て防ぐと氷牙は刀を水平に寝かせた状態で止めた、その刀身には氷牙に向かって撃ちこまれていた弾丸が棒樋(刀身の峰側に彫ってある溝)に沿うように並べて置かれていた

 

「ナッ!?弾丸を弾いたんじゃなく受け止めたのカ!?」

 

そして氷牙は刀をそのまま横薙ぎに払うと

 

――ビュン――

 

弾丸は棒樋に沿って切っ先から飛んでゆき

 

「グォ!?」「ガァ!?」「グゥ!?」

 

横一列に掃射されたかのように飛んでいった弾丸は撃った連中の元へそのまま撃ち返された

「・・・銃弾を刀で受け止めてそのまま撃ち返すなんテ・・・出鱈目にモ程があるネ・・・ヒョウカ採点改めるヨ、90点ネ・・・何としてモ欲しい駒に化けたヨ・・・」

ココは両手に銃を構えると

「総員、指令を変更ネ!ヒョウカを生け捕りにするヨ!!」

そう言ってココは氷牙に銃を向けるが

 

――バギィン――

 

その直後、ココの銃が撃ち抜かれた

「ナッ!?何が起きたネ!?」

 

――バギィン、バギィン、バギィン、バギィン――

 

そして配下達の銃も次々と撃ち抜かれてゆき

 

――ダァ・・・ン――

 

しばらくすると小さく銃声が聞こえてきた、それもほとんど聞こえない程に小さく遠い銃声だ・・・

「この発砲音は・・・ドラグノフ!?まさカ―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「援護は・・・お任せください・・・」

レキは鳥居の下に立つとドラグノフを構えた

「おいレキ!?まさかここから狙撃する気か!?無理だ!!ここからじゃ5キロ以上はある!!当てる以前に・・・弾が届かない!!」

キンジはそう叫ぶがレキはそんなこと知ったことかと言わんばかりに

「私は貴方の道を照らす・・・一筋の光・・・」

そう唱えて引き金を引いた

 

――ドォン――

 

そしてレキが星伽分社の鳥居の下から放った弾・・・その弾丸は的確にココ達の銃を撃ち抜いていったのだ

とても信じられない光景だが・・・望遠鏡から辛うじて見える光景がそれが全て現実だと語っていた

 

――ドォン、ドォン、ドォン、ドォン――

 

そしてレキはその超長距離狙撃を休むことなく何発も打ち続けた

集中は一向に切れない・・・次の弾丸を打つまでの間がほとんどない・・・それどころか・・・さっきから一度もリロードしていない!!

「なんでだ!?どう考えてもここは射程圏外だ!どうして弾が届く!?それどころか・・・なんで弾が尽きないんだ!?」

キンジは疑問を持つばかりだったが白雪はあることに気付いた

その瑠璃色に変わった眼から蒼い光が溢れてレキをうっすらと覆い・・・それがドラグノフにも流れてる事に・・・

「その眼・・・レキさん・・・まさか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかレキなのカ!?バカな!?あんな重傷で狙撃なんかできるわけが無いネ!!それにこの着弾と銃声の時間差・・・どう考えても10秒近くハ・・・」

ココは状況判断に頭をフル回転させるが

 

「・・・ア・・・ガアアアアアアアア!!!!」

間髪入れずに氷牙は雄叫びと共に刀を思いっきり振るい

 

――ドォオオン――‼‼‼

 

「―――――ッ!!」

 

「「「うわああああああ!!!???」」」

 

刀から衝撃波が飛びココは咄嗟に躱したがその直線上にいた配下達は木や岩ごと吹っ飛ばされた

 

それを見てココは冷や汗を垂らした

「冗談じゃないネ・・・ヒョウカもレキも・・・とんでもない怪物に化けたネ・・・」

そして遠方からワインレッドのオープンカーがこちらに向かってくるのが見える

そのボンネットには膝立ちで和弓を構えている星伽の武装巫女・・・星伽神社からの援軍が到着したのだ

「クッ・・・どうやら潮時のようネ・・・総員ここは引くヨ!!・・・ヒョウカ・・・レキ・・・お前達は何としても貰いうけるヨ!!再見」

そしてココ達は藪の中へ消えていった

 

 

そして・・・ココ達の気配が消えると同時に・・・

刀は右腕に吸い込まれるように消えてゆき

 

氷牙は膝を付いて倒れ

 

星伽分社でもレキも時同じくして倒れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして離れた場所では・・・

「答えは出たんだね・・・」

 

自分の命を含めた全てを守るために・・・力を求め・・・

その為ならば人であることも喜んで捨てる・・・

 

 

「それにしても・・・彼女まであんなことになっちゃうなんて・・・まあ彼女も・・・何もかもを捨ててでも君と一緒にいたいみたいだからね・・・ある意味じゃ本望なのかもしれないね・・・」

そう言って彼女は背を向けて去って行こうとするが最後に一度振り返ると

「でも・・・悪魔に魂を売るなんてちょっと笑いそうになったよ?だって・・・」

 

 


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