緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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ちょっと間の開いた更新です・・・
何故か原作の5巻だけが見当たらないせいか最近うまく筆が進まない・・・
後、年末年始、仕事が鬼のように忙しい!
それとラブライブのライブBD先行落ちました・・・


52話<芽生えた狂気>

「オラァ!」

ファングは飛びあがると左足に狼の顔を象ったエネルギーを纏った飛び蹴りを入れてくる

 

「・・・・・・・」

氷牙は当たる直前に飛び上がって躱し、反撃に刀を振るう

「おっと」

ファングはそれを躱す

だが今の氷牙は両手に刀を持った二刀流スタイル

間髪入れずにもう片方の手の刀が襲い掛かる

「クッ!?」

それも辛うじて躱される

 

ニィ――

 

だが躱された氷牙は口元を引きつらせる、そして・・・

 

――ドゴッ――

 

「ゴハッ!?」

氷牙のキックがファングを床に叩き付けた

刀は最初から囮、本命は躱して隙だらけの所に入れるキックであった

そして床に叩き付けられたファングは

 

「―――!!!」

すぐさま横に転がった

 

――ドガッ――

 

そして直前までファングが倒れていた場所に刀が勢い良く突き刺さってきた

「ははっ・・・容赦ないな・・・マッド・・・」

「・・・・・・・」

氷牙は何も言わないままゆっくりと立ち上がりる・・・だが言葉を交わさずとも・・・ファングに対する思いはファングを睨みつけるその赤く禍々しく光る目から溢れ出る殺気が全てを想い方っていた・・・

 

だがそんな殺気浴びているファングは物怖じするどころか、むしろ嬉しそうに言った

「そうだ!いいぞマッド!!本気で殺しに来い!それでこそ俺も倒し甲斐がある!!」

「・・・五月蠅えよ・・・お前の声は耳障りだ・・・お前の姿は目障りだ・・・お前の存在は不愉快だ・・・黙れ!消え失せろ!」

「ハッ!なら力ずくで黙らせてみろよ?」

そう言ってファングはトラクタービームの出力を上げ・・・自分の体を独楽のように回転させてゆくと竜巻を作り出し周りの物体がどんどん引き寄せられてゆく・・・

その有様は正にトルネードそのものであった

しかもその規模はすさまじく・・・

「ぐぁっ!?」「がぁ!?」「ごほぉ!?」

周りにいたラッシュの部下たちも次々と巻き添えを喰らっている・・・

「俺たち傭兵が従うのは力だけだ!マッド!」

そしてファングは竜巻を纏いこちらに突っ込んでくる

 

「そうだったな・・・ならお望み通り・・・」

氷牙は腰を落として構えると

 

――ドッ――

 

物体や暴風の隙間を潜り抜け一瞬でファングへの間合いを詰めた

 

「何っ!?」

 

「・・・二度と喋れない体にしてやるよ・・・」

 

――ザンッ――

 

「ぐぁっ!?」

氷牙は刀を振るいファングの足に装着されていたトラクタービームはその足ごと斬り飛ばされ竜巻はエネルギー源を失い霧散していった

 

「それに・・・お前は楽には殺さない・・・」

氷牙はファングの体を

 

――ザザザザザザッ――

 

舞うように刀を振るい全身を刻んでゆく・・・

「がぁああああ!?」

だがその全ては致命傷にはならない程度に浅く加減して斬り刻まれた

「・・・てめえは自分の血溜まりの中でもがいてろ・・・」

全身を致命傷にならない程度に斬り刻まれ死ぬことも出来ず普通なら激痛で発狂する

だがそんな状況でもファングはニヤリと笑い

「ぐっ、ははっ・・・やっぱりお前こそ・・・最強最悪の傭兵・・・」

そう言おうとしたところで

 

「・・・もう黙れ・・・ファング!!」

俺は体を翻して

 

それと同じくしてラッシュもグレゴリーの懐に入ると身を低くして

 

「「これで・・・・」」

 

俺の回し蹴りがファングの

ラッシュのアッパーカットがグレゴリーの

 

「「終わりだ!!」」

 

それぞれの顎に同時に炸裂した

そして二人は同時に吹っ飛ばされ壁に叩き付けられると

 

「「グファッ・・・・」」

 

そのまま同時にダウンした

どこからかカンカンカンとコングが鳴った気がして

 

『ウォォォオオオオオオオオ!!!!』

 

そんな歓声がフェンスの外から響いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やったな!氷牙君!!」

「ああ・・・―――ッ!!大尉!後ろだ!!」

 

「何!?」

ラッシュが後ろを振り返った瞬間

「馬鹿め・・・死ね!!」

 

――ダァン――

 

グレゴリーはラッシュに向けて銃を発砲した、幸い弾丸はラッシュが振り向いたことにより急所は外れ肩に命中したが

「グァッ!!」

そのショックでラッシュは床に倒れた

『大尉!!』

無線からベスの声が聞こえてきて

「――――!!」

その瞬間氷牙の頭にラッシュではなく何故かレキが撃たれて倒れる光景がフラッシュバックした

そして氷牙の中で何かがキレた

「小僧!お前も死ね!!」

そう言ってグレゴリーは今度は氷牙に銃を向けた

 

――ドガッ――

 

それと同時に氷牙が投げた刀がグレゴリーの腕に・・・縦に刺さった・・・

 

「え?」

 

刀は銃を突き抜け、掌を貫き、腕を通り抜け肘から切っ先が飛び出したてようやく止まった

「あ・・・ぎゃああああああああああ!!!」

「・・・屑が・・・死ぬのはテメェだよ・・・」

 

――カツン・・・カツン・・・――

 

そして氷牙はブーツを鳴らし、赤く光る眼から殺気を滲ませながらゆっくりとグレゴリーに歩み寄って行く・・・

 

「く・・・くそぉ!!」

グレゴリーはもう片方の腕で銃を取り氷牙に発砲するが

 

――ダァン、キィン――

 

氷牙はそれをもう片方の刀で弾く

「なっ!?」

グレゴリーは続けて発砲するが・・・

 

――ダァン、キィン――

 

それも弾かれる

「そ・・・そんな・・・」

再び発砲するが

 

――ダァン、キィン――

 

また弾かれる

「・・・・・・・・・・・・」

 

――カツン・・・カツン・・・――

 

氷牙は強烈な殺気を放ちながらグレゴリーに歩み寄り続ける・・・

今の氷牙は本気だ・・・この男を・・・グレゴリーを・・・本気で殺す気だ・・・

「な・・・なんだ・・・」

グレゴリーは何度も氷牙に向けて発砲する

 

――ダァン、キィン――

 

だが何度やってもその全ては弾かれる

 

――ダァン、キィン――

 

「何なんだお前はぁあああ!!!」

今の氷牙が何か・・・恐らく今の氷牙は・・・一線を越えてしまった人間・・・

最強最悪の傭兵・・・人類史上最悪の殺人マシン・・・

 

――ダァン、キィン――

 

そして弾が切れ、追い詰められた恐怖からか発狂したグレゴリーは近くに落ちていたファングの着けていたトラクタービームを拾い上げ

「貴様ら・・・道連れだぁああ!!!」

そう叫びながらそばにあったミサイルを引き寄せて暴発させようとした

 

――パァン――

 

だがその直前にラッシュが放った弾丸がグレゴリーの頭を撃ち抜いた

そしてトラクタービームは作動を停止してその力によって持ち上がっていたミサイルは落下し

 

――ドガンッ――

 

そのまま床をぶち抜いてミサイルは近くにいたファングもろとも最下層へと落ちていった

「・・・大尉・・・?」

氷牙は後ろを見て今グレゴリーを撃ったのはラッシュだと確認するとその殺気を消沈させた

『大尉!?無事ですか!?』

「ああ、俺は大丈夫だ・・・氷牙君には・・・また借りが出来てしまったな・・・」

「・・・別に・・・いいさ・・・」

 

俺はそう言い返し射殺されたグレゴリーを見ると・・・さっきまで殺したくて仕方がなかった相手が死んだ・・・そして、恐らくファングももう生きてはいないだろう・・・その事実だけで俺の中にはかつてないほどの達成感と高揚感があった・・・もしグレゴリーに止めを刺していたのがラッシュではなく自分であったなら・・・俺はきっとその場で大笑いしてこいつの死を喜んでいただろうな・・・

(・・・人の死をこんなに喜べるなんて・・・俺は本当に・・・どうしようもないくらいに・・・狂ってるな・・・)

 

 

それから数分後、キンジ達や米軍本部に士気を上げる吉報が届いた

 

 

――下層ブロック:格納庫 制圧完了――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして下層ブロックを制圧してすべてのミサイルを停止させるとラッシュは立ち上がり

「これで残るはイ・ウーのリーダーだけだ!すぐに遠山君達と合流して先に向かおう!」

 

だが氷牙は

「いや・・・大尉!アンタたちは一度引き上げろ!アンタも部下も・・・もう限界だろ?」

確かにラッシュは先程の戦闘で負傷し、ラッシュの部下たちも見渡せば・・・先程のファングの竜巻に巻き込まれ、そのほとんどは負傷しており、中には立っているのもやっとな者さえいて、とてもじゃないが戦える状態ではなかった

「・・・・・・確かにその通りだが・・・しかし・・・」

こちらも壊滅寸前だが今はイ・ウーを壊滅させられるかもしれない千歳一隅のチャンス・・・ここまで来て引きあげるのはあまりにもリスクが高すぎる・・・

「引き上げるんだ!キンジ達の所には俺が行く!手負いで戦えるほどあいつらは甘くない!」

「・・・わかった・・・一度撤退して体勢を立て直したらすぐに戻る!無茶だけはするな!」

「ああ・・・」

 

そしてラッシュの率いる軍勢は一時撤退して行き、一人残った氷牙は再び無線を取り出した

 

『氷牙君、今度はどうしたんだい?』

「とぼけんな・・・わかってんだろ?アメリカ軍の連中は退却したが・・・ミサイルは全部停止された、ドッグもファングも・・・グレゴリーも死んだよ・・・」

これで俺はイ・ウーからも敵扱いだ・・・そう思っていたら

『ああ、そうだろうね。僕は最初アメリカ軍の皆は全滅すると推理したんだがそこに君が加わっただけでこんなあっさりと戦況がひっくり返るなんて・・・やはり君の実力は本物だ』

シャーロックはむしろ嬉しそうに答えた

「へぇ・・・嬉しそうだな?俺のせいでミサイルを撃ち込めなくなったんだぞ?俺を裏切り者扱いしたりしないのか?」

『いいや?アメリカにミサイルを撃ち込むのは彼ら独自の目的だ。それに関しては僕は一切関与しないし阻止されても何も思うことは無いよ』

「アンタも薄情なんだな・・・」

『それに彼らのおかげで君の実力を再認識させてもらって喜ばしい限りだよ。やはり君こそイ・ウーのナンバー2に相応しい』

「・・・・・・・・ナンバー2ね・・・アンタはそんなに俺をアンタの下に就かせたいのか?」

『え?・・・っと、そうか・・・そう言えばそのあたりを説明していなかったね。氷牙君、まず君は一つ勘違いをしているよ』

「何?」

『実は僕は近いうちにイ・ウーのリーダの座をとある人間に譲ろうと思っているんだ。君をナンバー2に迎えたいのは僕の下に就かせたいからじゃない、僕の後継者・・・イ・ウーの次期リーダーの補佐を務めてほしいからなんだ』

「次期リーダー?アンタの後任を務められる人間なんてそういないだろう?一体誰なんだ?」

『君もよく知っている人物だよ。そしてその人物はもうすぐここに・・・っと、どうやら来たようだ』

「え?」

そしてシャーロックの声が少し遠ざかると

『ようこそ、歓迎するよ諸君』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どうして・・・お爺様!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッ!!」

この声・・・聞き間違えるはずがない!

「まさか・・・アリアか!!」

『ご明察だね。そう、アリアこそ僕の、イ・ウーの後継者に相応しい。だが、この子はまだまだ未熟、それ故に危うい・・・だからこそ君にはナンバー2となりアリアの補佐をしてほしいんだ』

「・・・アリアをアリアが最も嫌っている犯罪組織のトップにするってか・・・えげつない事しやがる・・・」

『そうかい?アリアが嫌だと言えば諦めるつもりだよ?』

「ふざけろよ・・・アリアがお前からの要望を無下にできるわけがないだろ・・・最初からアリアに選択肢なんか無いじゃねえか・・・」

『どうだろうね?アリア一人で来ていたならばそうだったかもしれないけど・・・アリアだけじゃなくキンジ君にウルスの巫女・・・君の姫君も一緒だからね』

「なっ!?」

そう言われ耳を澄ませてみれば・・・

 

 

『おいシャーロック!!さっきから誰と話しているんだ!?』

 

『氷牙さん・・・ここには来ていない?・・・なら一体どこに・・・』

 

 

確かにキンジとレキの声も聞こえてきた・・・

レキの奴・・・まさか追ってきたのか!?・・・バカが・・・来るなって言ったのに・・・

『どうだい?この際彼女もイ・ウーに迎え入れて正式に君のパートナーにしてはどうだい?君がここにいると知ればきっと何もかもを捨ててでも来てくれると思うよ?』

「――――――――!!」

そう言われたとたん氷牙は無線を握る手に力を入れた

 

――ピシッ、バキッ――

 

そして無線機は音を立てて亀裂が入ってゆく

その音を聞いただけでシャーロックは大体を察したようだ

『おっと・・・怒らせてしまったかな?』

「てめぇ・・・レキに手を出してみろ・・・殺すぞ!!」

『心配しなくても僕は何もしないよ。どうするかは彼女たちが決める事だ。ただ・・・彼女たちが質問して来れば答えられることには答えるし、イ・ウーは門を叩くものは決して拒まないがね』

「クソが!!ふざけんな!!」

 

――グシャッ――

 

そう叫び俺は無線機を握りつぶしてぶっ壊した

何が何もしないだ!弱みに付け込んで引き入れる気じゃねえか!!

こうしてはいられない・・・このままではアリアはおろかレキさえもイ・ウーに引き込まれてしまう・・・もはや一刻の猶予もない・・・こうなったらなりふり構っていられない・・・

 

「元々俺はここで終わるんだ・・・どうせなら派手にやるか!!」

 

そして俺は辺りを見回して・・・最悪の手段を・・・実行に移した・・・

 




ようやく大詰めに入れそうです・・・

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