緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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この半月・・・東亰ザナドゥやってたからこっちは全然進みませんでした・・・
キャラは男性はシオ先輩が女性はソラちゃんがお気に入りです
つうかトワ会長が出るって反則すぎるでしょ!


40話<迫られた期限>

 

翌日

 

「何してんだアイツ?」

朝、登校してみたらキンジがかじりつく様に掲示板を見ていた

俺はキンジのそばにいたアリアに

「なあ?キンジのやつどうしたんだ?」

と尋ねたら・・・

 

「あら、氷牙」

「ああ遠山は・・・なっ!?なぁ!?」

そしたらアリアの隣にいた女子生徒は怯えたように後ずさった

「――?どうした?」

「ま、待ってくれ!確かに私はお前に恨まれるだけのことはした!だがそれも今では申し訳なく思っている!本当に済まなかった!このとおり心から詫びる!だから、どうか寛大に見てくれ!」

そう言うと少女はその場で土下座し始めた

俺は訳も分からず困惑するが・・・もしかして・・・

「ええと・・・アリア、レキ・・・この人は?」

「ジャンヌ・ダルク30世、かつて魔剣デュランダルと呼ばれたイ・ウーの構成員で先のアドシアードの際白雪さんを殺害しようとしましたがキンジさん達に阻まれ逮捕、その後、司法取引で今は情報科2年の武偵です」

「ああ・・・そういうことか・・・」

どうやら俺とコイツは前は敵対関係にあったようだ…当然俺は覚えちゃいないがな・・・

「頼む!もちろん神崎かなえの裁判には必ず証言する!だからケツバットだけは勘弁してくれ!」

「は?・・・何でケツバット?」

「理子に聞いたんだ!お前のケツバットを食らうと3日はまともに座れなくなると!」

理子?そういえばクラスメイトにそんな名前の奴がいたな・・・確か任務で海外に長期出張中だったな・・・つーか・・・

「俺・・・そんなことしてたの?」

「ええ、その理子って子に2回入れてるわ」

・・・ホントに何してんだよ俺!

 

「・・・もうわかったから・・・顔上げてくれ・・・」

「ほ、本当か?」

「・・・まあ・・・ほんとに反省してるなら一度は大目に見るさ・・・」

「お、おお・・・すまない!この恩は一生忘れん!」

できれば今すぐ忘れてくれ・・・

「で・・・聞きたいんだが・・・キンジのやつどうしたんだ?」

「ああ、あれだ・・・」

そう言って掲示板を見ると

 

――単位不足者リスト――

 

 

――遠山キンジ 1.9単位不足――

 

 

「単位不足?あいつ留年すんのかよ?」

「そうならないために今緊急クエストの一覧を見ているそうだ」

「あいつも大変だな・・・」

「他人事ではない、お前たちの名もあるぞ?」

「「え?」」

そう言ってリストの更に下を見ると・・・

 

 

――九狂氷牙 0.2単位不足――

――レキ 0.3単位不足――

 

 

俺とレキの名前もあった

「あ、ホントだ。俺単位足りてなかったんだ」

「ですね・・・」

 

確かに氷牙は4月に詰め込むように強襲クエストをこなしたがほとんど無断でやったためペナルティとして激減して付与されていた・・・

レキも4月の内に必要単位を揃えておこうとしていたようだが羽田テロで負傷してから療養に徹していたためクエストをほとんど受けていない・・・

 

「まあ、お前たちはこれくらいなら適当なクエストやればすぐ補填できるだろう。だが・・・」

氷牙とレキの不足単位はそれほど多くないので焦る必要はない、だがキンジかそうもいかない・・・

キンジは掲示板を噛り付くように見ながら

「くそっ!足りるクエストがない!」

と嘆いていた

そりゃあ一度で2単位近くを会得できるクエストなんてそうそうあるわけがない・・・

ましてや今のキンジはEランク・・・受けれるのにも制限されるだろうよ・・・

そう思っていると突如放送が鳴り

『あーあー、2年A組九狂氷牙及びその一行、今すぐ教務課に来いや!』

と流れてきた

 

「おい・・・今のって・・・」

「蘭豹の声だな・・・」

「一行って・・・アタシとキンジも?」

「そしかして白雪もか?」

「私もそうでしょうか?」

「私は違うだろう?」

「・・・俺に聞くな・・・」

 

 

 

そして俺たちは白雪と合流して教務科に着くとそのまま校長室へと連れて行かれ・・・

 

 

 

「はいはいどうぞ、お待ちしていましたよ。」

校長室に入ると校長と思われる特徴も印象もまるで無い男に迎えられた

「あなたが校長?特徴さっぱり無い人ですね。無さ過ぎてそこに居るのかもわかんなくなりそうですよ」

「お、おい!氷牙!出会っていきなり失礼だろ!」

何を考えているのか氷牙は最初から上から目線で緑松と接していた

「はいはいどうも、それで九狂君はあれからどうですか?記憶は戻ってきましたか?」

だが緑松は取るに足らないといった感じで軽く流して話を進めた

「さっぱりですね、肝心なことは何も戻っていません」

「そうですか、そんな所に申し訳ないんですがアメリカ軍のラッシュ大尉からあなたご指名の依頼が来ているんです」

「ラッシュ?誰だそれ?」

そう疑問を訪ねるとレキが説明してくれた

「米軍統合監察部特殊実行部隊大尉ウィリアム・ラッシュ、氷牙さんと私とは羽田テロの時、共闘して彼の任務の手助けをしています」

「羽田テロ・・・確か4月にやった事件か・・・てか軍将校と共闘って!?マジかよ…」

「ええ、彼が氷牙さんを擁護しなければ危うく防衛庁に捨て石にされるところでした・・・」

「マジで俺・・・あれこれやらかしてんなぁ・・・」

次は俺はどんな事をやらかしてるんだろうな…

 

「そして君たちが手助けした彼の任務ですがあの後、調査も進んで次の取引の情報が入ってきたそうなんです。証拠もほとんど抑えているそうなのであとは取引現場を押さえて犯人を逮捕すれば終わりなんだそうですが・・・取引の場所が港区と今のシーズンは人でごった返す場所なんだそうで念のため港区各所の施設に兵士を潜入させているそうなのですが人手が足りないそうで君には警備の手伝いということでこのクエストを受けてもらいます。」

そう言って緑松は一枚の書類を見せてきた

俺たちは用紙をのぞき込むとそこには

 

 

――特別依頼 カジノ『ピラミディオン台場』警備  報酬・・・2単位――

 

 

「貴方にはここの警備をお願いします。まあ取引現場からはだいぶ離れていますから仮に何かあってもここまでは被害は来ないと思いますが・・・ああ、ちなみに何人か協力者を連れて行っても構いませんよ?」

「2単位!やった!これなら足りる!俺もやるぞ氷牙!」

「羽田テロの時の・・・それじゃあワイルド・ファング・・・いえ、ワイルド・ドッグやイ・ウーも・・・氷牙!私もやるわ!」

「キンちゃんよかったね!単位不足から一転してお釣り来るよ!」

 

だが氷牙は・・・

「気が乗らねえ・・・それに俺、別に留年しても構わないんだよなぁ・・・」

これを聞いてキンジはずっこけた

「お前危機感無さ過ぎるだろ!」

「別にいいじゃねえか、それにお前だって武偵辞めんだろ?」

確かにそうだが・・・たとえ後半年間だけでも・・・この上下関係が体育会系大学も裸足で逃げ出すほど厳しい武偵校じゃ留年して下級生と机を並べることになるのがどれほど屈辱的か・・・キンジのなけなしの尊厳もそれだけは嫌なようだ・・・

 

「つーわけでキンジやアリアは乗り気ですが俺は気乗りしないのでお断―――」

「残念ですが君に拒否権はありません、何が何でも受けてもらいますよ?」

 

緑松にそう言われると氷牙の目が僅かに吊り上がった

「へぇ・・・ちなみにそれでも嫌だって言ったら?」

「ははは・・・どうしましょうか?」

緑松は困ったような口調だが・・・わかる・・・いや・・・正確にはわからない・・・

緑松の気配が・・・わからなくなってゆく・・・

緑松は・・・本当にそこにいるのか!?もしかして・・・今頃背後で俺に銃をむけているんじゃないのか!?

そんなえも知れぬ恐怖に晒された膠着状態が続くと氷牙は手をあげ降参のポーズを取り

「わかったよ・・・受けますよ・・・」

と何てことなく言った

 

「そうですか、ではお願いしますね」

そして緑松も警戒を解いたのか気配がようやくわかってきた

お前・・・校長に喧嘩売るなんて何考えてんだよ!

 

「その代わり報酬は弾んでもらいますよ?」

「報酬…単位ですか?それなら十分―――」

「いいえ金ですよ。今は武偵のようですが今の俺には傭兵として生きていた記憶しかありません。この仕事には武偵としての俺は乗り気じゃありません、なので傭兵としてこの依頼を受けさせていただきます。」

「傭兵として・・・ですか・・・ならば・・・」

「はい、傭兵は仕事を選びません、見合った金さえ貰えればどんな仕事もこなしますよ?」

「・・・わかりました。こちらとしても必ず達成してもらわねば困る依頼です単位の他に相応の金も乗せておきましょう」

「ええ、それともう一つ・・・条件があります」

「なんですか?」

「簡単ですよ。遠山キンジが武偵を辞めようとしてるのはご存知ですよね?」

「え?氷牙?なんで今その話を―――」

「お前は黙ってろ!・・・それで、ご存知ですよね?」

「・・・ええ、手続きの関係で辞めれるのは来年3月の話になりますが・・・」

「このクエストが終わったら・・・夏休み中に武偵を辞められるように取り計らってください」

 

「「「「―――――ッ!!」」」」

 

「おい氷牙!何勝手なこと言ってんだ!」

キンジは氷牙の肩を掴んで問いただすが・・・

 

――ドゴッ――

 

「グァ!?」

「黙ってろっつってんだよ!!」

氷牙はキンジに鉄拳を喰らい黙らされてしまった

「キンジ!?」

「キンちゃん!?」

アリアと白雪がキンジに駆け寄るが氷牙は興味がなさそうに校長へと向き直り

「っと失礼、話が逸れましたがこの条件も報酬として乗せておいてください。それが呑んでいただけるのならこの仕事を受けます。」

 

「・・・・・・・・・・・」

緑松は少し考えたような雰囲気を見せた後

「いいでしょう、このクエストが完了したら後は遠山君が退学届けにサインすれば今すぐにでも武偵を辞められるように特例措置を取りましょう」

「契約成立ですね・・・言っておきますが契約違反には死をもって償っていただきますよ?」

「――っな!!ちょっと氷牙!!」

「ほう・・・私を殺しますか?」

「まあ、俺は殺しはしませんよ?死んだほうがマシな目には合わせますがね」

「ははは、それもまた面白そうですね・・・」

「ははは、まあ面倒なのでできればないようにお願いしますよ」

 

ピシッ、パキッという音を出しながら窓ガラスや飾ってある額にヒビが入ってゆく・・・

「「「・・・・・・・・・・・・・(空気が・・・)」」」

 

氷牙と緑松はお互い笑顔で「ははははは」と笑っているが・・・

その空気は・・・押しつぶされそうに重かった・・・

 

 

 

 

 

 

 

そして話が終わり氷牙達が教務科を出ると

 

「おい氷牙!!お前何のつもりだよ!!」

そう叫んでキンジは氷牙を問い詰めた

「何って?何の話だ?」

「校長との話だよ!!校長に喧嘩腰で挑んだ挙句あんな勝手なことまで言いやがって!」

「ハァ?何が不満なんだよ?お前にとっちゃいいことずくめじゃねえか」

「え?」

「手続きがあるから武偵を辞められないんだろ?ならこのクエストが終われば校長直々に今すぐ辞めれるように特例措置を取ってくれるんだ、これでようやく武偵を辞められるじゃねえか、むしろ面倒な手続きも無しに半年も早く辞められるんだ、感謝さえされど怒られる筋合いはないね」

そう言われてキンジは消沈してしまうが

「・・・・だ、だけど・・・いきなりこんな事言っても・・・」

と相変わらず本当に武偵を辞める気があるのかもわからない返答をした

 

それを見た氷牙はしびれを切らして言い出した

「・・・いいかキンジ!本当に武偵を辞めるなら・・・このクエストが終わったら武偵校から出ていけ!!」

「―――ッ!!」

「これがお前の最後の仕事、そう考えれば踏ん切りはつくだろ?」

「そ・・・れは・・・」

確かにその通りだが・・・やはりまだ何処かで迷いがあるのか・・・キンジはどちらにも踏み切れずにいた・・・

「なんだ?それともやっぱり辞めるってのは嘘か?ただ悲劇のヒロイン気取りたかっただけか?みっともねえなぁ・・・」

そのためかこんな安い挑発にもあっさり乗ってしまい

「――ッ!!ああ上等だよ!!これが俺の最後の仕事だ!!早く辞めれるように掛け合ってくれてありがとよ!!」

そう叫ぶとキンジは行ってしまった

 

「ちょ!?キンジ!?」

「キンちゃん!?」

アリアと白雪は慌てて後を追おうとするが・・・

 

「ついてくんな!!」

 

「「――ッ!!」」

 

「悪い…一人にしてくれ…」

そう言うとキンジは俯いたまま行ってしまった

 

 

「ったく・・・あれじゃあガキの意地っ張りだな・・・」

氷牙もそう呟いてキンジを一瞥すると帰っていった

 

アリアはそうして背中を向けて去ってゆく二人を見て痛いほどに感じてしまった・・・

あの事件以来・・・二人の間には・・・もう・・・声も届かないほどに・・・高く厚い壁ができてしまっていたんだということに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・何かあってもここまでは被害は来ない・・・よくもまあ抜け抜けといえるものですね・・・」

氷牙達が校長室から出て行った後、物陰からそう言いながら人影が出てきた

「いえいえ、嘘は言ってませんよ?ちゃんと”仮に”何かあっても、被害は来ないと”思います。”私の楽観的な憶測で言っただけですから」

「じゃあだいぶ離れているってゆうのは?ここって・・・取引現場の――」

「だいぶ離れてるじゃないですか?今日の私の物差しで見ればだいぶ離れてるように見えますよ?」

「ほとんど敷地内を”だいぶ”ですか…貴方もエグイことをしますね…」

「それだけの単位と報酬は乗せています、それに彼らならなんだかんだで乗り切るでしょう」

「もし死んだら?」

「まあそれはそれで仕方ない事です。それに、もし乗り切ることができれば、彼らは今後より一層大きく成長できる。」

「大きな原石を見れば割ってしまうのは・・・貴方の悪い癖ですね・・・」

「それもまた教師の醍醐味です。楽しみですよ、割ってみたら中身ごと割れるか・・・それとも殻を打ち破って輝きを見せるか・・・彼らはどっちに行く着くでしょうかね…」

そう言いながら緑松はニヤリと珍しく本性を露わにした

 


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