緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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27話<芽生えの代価>

数日後教室

 

「お、おいキンジ・・・」

武藤が声をかけてきた

「・・・なんだ?」

「氷牙どうしたんだよ・・・」

そう言って武藤は氷牙に目を送るが、氷牙は・・・

 

――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――

 

と効果音が出るんじゃないかと言わんばかりの威圧を発してドカッと机に足を乗せてふてぶてしく座っていた

氷牙は見て分かるくらい機嫌が悪かった・・・

 

「氷牙の奴・・・朝からずっと殺意満載の不機嫌オーラ出しっぱなしで・・・何があったんだよ・・・」

ちなみにアリアも不機嫌だったのだが氷牙の不機嫌さに圧されてしまい比較的落ち着いて見えた

「すまん・・・何とかするからそこは触れないでくれ・・・」

いかにせよこのままにはしておけず、キンジは声をかけることにした

「な、なあ・・・氷牙・・・」

だが声をかけたとたん

「あ゛?何か用か?」

ギロッと睨まれた・・・

あのオーラだけでもすごく怖いのに眼力も相まって余計怖い・・・

おまけに・・・

「てゆうか氷牙・・・今日もすごいボロボロね・・・」

体中傷や返り血が付いていて余計怖さを引き立てていた・・・

「もう毎度のことだ・・・」

「相変わらず襲撃が絶えないんだな・・・」

 

 

それもその筈・・・・

 

 

先日――

氷牙の携帯に着信が入る

 

「はい、九狂です」

『おう、ウチや蘭豹や』

蘭豹?何の用だ?

「どうしたんですか?」

『いや何ちょいと言い忘れたことがあってな』

 

何でもアドシアード、バトルロワイヤルにて氷牙は優勝したのだが、氷牙の戦法について審判は異論を唱えるものはいなかったが選手やその関係者には多数いたのだ

それもその筈・・・自分の学校の代表も含むSランク揃いの3年の精鋭たち数十人がまさか2年のAランク一人に壊滅に追い込まれるなんて皆赤っ恥もいいところだ

だからこそどうにかして氷牙を失格、できなくても自分たちの敗北を正当化したかったのだろう

だが当然今更異議を訴えても敗者の戯言でしかないが向こうにも面子があるのだろう・・・なかなか引き下がろうとはしなかった

それを鬱陶しく感じた蘭豹はブチギレて

 

「うっさいわ!文句があるならあいつに勝ってから言えや!」

なんて言ったもんだから・・・

 

 

 

 

 

 

 

「おかげでアドシアード以来襲撃者が余計増えた・・・」

ただでさえレキファンクラブからは嫉妬に狂う奴、

3年からは去年の上勝ちを挽回しようとする奴がいて

襲われることがしばしあったというのに・・・

 

アドシアード以来・・・

他校からは何とかして氷牙に勝って体裁を保つため勝負を挑む奴、

そして優勝し世界記録を更新したことで氷牙の名は1年にまで知れ渡り

1年からは戦姉妹の申し込みに挑戦する奴が増えたもんだから・・・

氷牙は今、上からも下からも中からも外からも睨まれ続けているのだ・・・

なのでスキあらば氷牙に襲撃してくるものが後を絶たない・・・

その上に・・・

 

「ヤッホーみんなのアイドルりこりんが帰ってきたよー」

なんて言って理子は何食わぬ顔で復学していた

なんでも表向きはアメリカへ出張していたということになっているらしい・・・

教室中も「りこりん!りこりん!」と歓迎ムードだ

氷牙もアリアも出来ることならあいつが「武偵殺し」だとバラしてやりたいようだが武偵少年法により犯罪を犯した未成年の武偵の情報の公開は禁止されている

もしバラそうものなら今度は俺たちが犯罪者扱いだ・・・

だからキンジもアリアも氷牙もレキも武偵殺しの正体もハイジャック事件の犯人も理子だとは誰にも言っていない・・・

そこにつけこんで情報操作した理子が我が物顔で帰ってきて何も知らぬクラスメイトたちは呑気に歓迎してるのだ

おかげでただでさえ悪い氷牙の機嫌は最悪なまでに悪かった・・・

 

「・・・ちなみにこの間男子寮の玄関前でボコボコにされて逆さ吊りになっていた奴、誰だ?」

「俺の部屋に直接襲撃しに来たバカだ」

基本的に奴らが襲いかかってくるのは授業時間外で俺が校内にいる時のみなのだが自宅にまで奇襲に来る奴もたまに出る

まあそうゆう奴はトラップの嵐と氷牙の八つ当たりでズタボロになるだけだがな・・・

 

「しかし・・・お前向かってくる挑戦者は律儀に全部相手して返り討ちにしてんだろ?」

「まあ・・・そうしないとレキがな・・・」

そう言って隣にいるレキを見るが

「氷牙さん、いつでも言ってくださいあなたが望めば全ての敵に報いを・・・」

「だからしなくていいから・・・」

俺が相手しなければ代わりにレキが相手しかねない・・・

そんなことさせるくらいなら俺がさっさと片付けたほうが万倍いい・・・

なのでかかってくるやつは全部律儀に相手しているのだ・・・

そのため俺の体は怪我が絶えない

しかし挑戦者を片っ端から倒して連日救護科送りを出しているため、ついに堪忍袋の緒が切れた救護科からは出禁を食らってしまい行ったところで医療道具を突きつけられて門前払いにされるだけだった

 

・・・なので俺は今もレキに手当をしてもらっていた

 

「しかし、レキ・・・手当の手際良くなったな・・・」

「ま、パートナーがいつもこんなに怪我が絶えなければ嫌でも身につくわね・・・」

「はい、最近は救護科の講習も受けているため医療知識もあります」

おかげで最近レキはドラグノフと一緒に医療バッグを肩に下げていることが多い

「たしかこの前救護科から暫定ランクAって認定されたんでしょ?」

「Aランクって・・・そのまま医者になれんじゃねえか・・・」

ホントにバックアップ系に関してはスキがないな・・・

そう思ったキンジは何気なしに

「いっそ救護科にでも転科してもいいんじゃないか?」

と口走ってしまった

そうしたら

「氷牙さんが必要とするならばそうしましょう」

とレキは答えたが

「・・・・・・・・」

氷牙は俯いて黙りこくってしまった

「氷牙?急に黙ってどうしたの?」

「・・・いや、なんでもない」

 

実はこの時、氷牙はキンジの何気ない冗談のつもりで言った発言にそれも視野に入れるべきなのか・・・と真剣に考えていた

なぜなら・・・

 

 

 

 

 

再び先日――

 

「あんた・・・なんてことしてくれたんですか!」

『いやーあんまりにもうっとおしくてなーメンゴメンゴ』

メンゴじゃねえよ・・・

『それにや・・・お前にもうひとつ伝えとこ思ってな』

「え?」

『レキや』

「レキが?あいつがどうしたんですか?」

『あいつこの前の羽田テロで腕負傷したやろ』

「ええ・・・でももう完治してるはずですが・・・」

『ああ、腕の怪我は治っとる・・・せやけど・・・狙撃の腕は・・・治っとらん・・・』

「え・・・?」

『この前、狙撃科の実技に出た時・・・アイツ・・・200メートル先の静止ターゲットに当てるのが精一杯やった・・・』

「・・・なんですかそれ?・・・何かの冗談ですか・・・?」

200メートル先の静止ターゲット?それ・・・上手い奴なら狙撃銃じゃなくても当てられるぞ・・・

『冗談やない・・・今のあいつは・・・狙撃科としては・・・Eランクの腕前や・・・』

「でもこの前は、1キロ以上先を滑空するパラグライダーのワイヤーを撃ち切ったんですよ!?」

それだけでもSランクレベルの狙撃なのに練習にもならないと言い切ったんだ十分復帰できてると思ったのに・・・

『なんやと!?どうゆうことや?』

「はい、それは―――」

 

俺は先日理子を追いかけた時の事を所々はぐらかしつつも説明した

 

『ほうか・・・んなことが・・・』

「ですから完全復帰したと思ったのに・・・」

蘭豹はしばし考えたがやがて・・・

『・・・なあ九狂・・・』

「なんですか?」

『・・・これはうちの憶測やが・・・多分精神面の問題なんやないか?』

「精神面?」

『狙撃っつうもんは心境一つで大きく影響してまうもんや、あいつも何か抱えとるんやないか?』

「・・・・・・」

『羽田テロ以降あいつになにか大きな変化はないか?あるんならそれが原因の可能性が高いんや』

あいつに大きな変化・・・まさか・・・

『お前なにか心当たり無いか?』

「いえ・・・あいにくと・・・」

『ほうか・・・とにかく今のアイツは何か問題抱えとる、お前には伝えとこ思てな』

「ありがとうございます・・・」

そう言って俺は電話を切った

 

 

 

 

 

 

俺は手当をしてくれているレキを見て考えていた・・・

(レキの腕が揺らいでるのは・・・どう考えても・・・俺が原因だよな・・・)

俺は・・・どうするべきか・・・今のままじゃとてもレキに狙撃手としての適性は無いだろう・・・腕に起伏がある狙撃手なんて危なすぎる・・・もしこのままの状態が続くようなら・・・いっそキンジの言う通り本当にレキを救護科にでも転科させるべきか・・・あるいは・・・かつての状態に・・・

 

――私は一発の銃弾です――

 

――いや!ありえない!そうだ・・・何も悩むことなんてない・・・あんなところに逆戻りさせるくらいなら・・・

あいつの好きなように決めさせよう・・・そしてどんな道を選ぼうと俺が・・・

 

「レキ・・・」

「はい?」

「この先何があろうとお前が自分で考えて自分でしたいように決めろ・・・」

「――?どういうことですか?」

レキは意味が分からないといった感じで首を傾げた

「いや・・・なんでもない・・・とにかく、今後どうするのかはほかでもないお前自身で決めろ・・・」

どんな道を選ぼうと俺がそばで守ってやる・・・そう心に決めたのだから・・・

 

そしてアリアが

「そろそろ時間よ、キンジ、氷牙、行きましょう」

と言ってきた

「ああ、もうそんな時間か」

「そうだな、行くか」

そして氷牙は立ち上がると

「そういう訳だレキ、悪いが先に帰っていてくれ」

「はい、お気をつけて」

と言ってレキを先に帰らせた

俺達はこの後理子と打ち合わせがある

なのでレキは連れていけない

依頼として受ける以上守秘義務はあるし・・・

なにより今回の件にはこれ以上レキを巻き込みたくない

 

 

 

そうしてレキを置いて俺たちが向かった先は・・・

 

 

 

 

 

「「「お帰りなさいませご主人様、お嬢様」」」

 

 

 

 

 

秋葉原のメイドカフェだった・・・

 

 

 

 

理子から受けた依頼の打ち合わせにこの店を指定されたのだ

(どう考えても・・・この店は・・・理子の馴染みの店だろうな・・・)

話し合いのイニシアチブを取ろうって寸法か・・・

相変わらず抜け目のないやつだよ・・・

けどそんなことよりも・・・

「理子の奴まだか・・・」

待ち合わせ時間はとっくに過ぎているのに・・・理子はまだ来ない・・・

ちなみに氷牙は相変わらず不機嫌オーラ全開で座っていた

おかげでメイドさん達はこの席には近づいてすら来ない

それからしばらく待つと・・・

「やっほー!」

と言って30分近く遅刻して理子がやってきた

そしたらメイドさん達の歓声が聞こえてきた

「理子様お帰りなさいませ!」「きゃあーおひさしぶりー!」「理子様がデザインされた新しい制服、大好評なんですよー!」

とメイドさん達は理子に群がっている。やっぱりこの店はあいつの馴染みの店か・・・

「ところで・・・」

メイドさん達が俺たちを見る

「あちらの方々、理子さまのお知り合いですか?」「あのピンクの可愛い子抱きしめていいですか!?」「あの黒髪の方、目つきが何かやらしいんですが・・・」「あの白髪の方、先程から不機嫌満載なオーラを出しているんですが・・・」

 

「あ、みんなーおっ待たせー!」

氷牙は理子を睨み

「遅えぞ理子!さっさと来い!」

だが理子は

「理子はいつものパフェといちごオレ!ダーリンにはマリアージュ・フレールの春摘みダージリン、そこのピンクいのにはももまんでも投げつけといて!白いのは客扱いしなくていいから水でもぶっかけてやって!」

と好き勝手に注文していた

「あ?やってみろよ!?今度は金棒でそのケツ吹っ飛ばすぞ!?」

そう言って一層強く理子とメイドさん達を睨むと

「ひっ!?」「理子様ー!無理です!」「怖くて近づけませんー!」

と言ってメイドさん達は理子の後ろに隠れてしまった

理子も咄嗟に尻を押さえたが

「ハイハイ、大丈夫だからー」

そう言って手にパフェを持ってこちらに来て氷牙の向かいの椅子に座った

そして理子のもう片方の手にはゲームやフィギュアがいっぱい詰まった袋が下げられていた

それを見てキンジは察した、遅刻した理由は・・・

「てゆうかお前・・・遅刻した理由は秋葉原でゲームやフィギュア買い漁ってたからか!」

そして同じく察していた氷牙は

「理子・・・てめぇから呼び出しといて何の連絡もなしに自分の勝手な都合で遅刻して反省の色もなしとはいい度胸だな・・・さっさと打ち合わせ始めろ!」

「いいじゃんそれくらいー、ちょっとまってねー、食べてから話すから」

と言ってパフェにスプーンを入れようとするが・・・

「――――ッ!!」

 

――ドンッ――

 

氷牙が机を下から蹴る

するとその衝撃でパフェが上に飛び上がるが・・・

「うわっ、と、とお」

リコは慌てて空中でキャッチした

「んなもん食う前にさっさと始めろ!始めねえなら俺は帰るぞ!」

そしたら理子はパフェとスプーンを置き

「おい・・・あたしは一応お前の雇い主だぞ!それが雇い主の前でとる態度か?」

と裏側の顔で氷牙を睨んだが氷牙は

「金をもらってる以上依頼はこなしてやる。だけどお前に礼儀を払う義理はない、それとも礼儀を払えってのが依頼か?」

と理子を睨み返した

 

「――チッ!」

理子は舌打ちをするとパフェを脇に置いてノートパソコンを出してテーブルに放り投げた

そこに映っていたのは・・・古風の大きな屋敷の見取り図と写真だった

「横浜郊外にある『紅鳴館』、理子のお宝はこの屋敷のここ――地下金庫にあるはずなの。でもここは理子一人じゃ破れない鉄壁の金庫・・・でも息のあった優秀な二人組と外部からの連絡役一人、それに陽動が一人いれば、なんとかなりそうなの」

「それであたしとキンジと氷牙を使いたいってわけね」

「だからこそ氷牙を破格すぎる報酬を吹っかけてでも引き止めたのか・・・」

「で?俺たちはこの屋敷から何を盗み出せばいいんだ?」

「――理子のお母様がくれた、十字架」

 

「「―――ッ!!ふざけ(ないで!!)んな!!」」

 

アリアと氷牙は同時に叫んだ

「あたしのママに濡れ衣着せといてあんたは自分のママからのプレゼントを取り返せですって!?虫がいいにも程があるわよ!」

「てめぇ・・・どこまで自分勝手なんだ・・・」

「うらやましいよ、アリアは」

「何が羨ましいのよ!」

「アリアのママは生きてるから・・・」

「―――え?」

「理子にはお父様もお母様ももういない・・・二人共、理子が8歳の時に・・・亡くなっている」

「・・・・・・」

「あれは理子にとって命の次に大切なもの。でも・・・ブラドのヤツ・・・それを分かっててあれを理子から取り上げて・・・こんな厳重警戒な所に隠しやがって・・・ちくしょう・・・」

理子は顔を伏せて憎悪に満ちた声で、ボソボソと続けた

そしたらアリアは決まり悪そうに視線を逸らし着席した

だが氷牙は・・・

 

「なるほど、つまりお前は盗られたものを盗り返す事もできない無能な4世だってことか」

「なっ!?氷牙!?」

「・・・今なんて言った・・・」

理子は俯いたまま声音を変えた

「聞こえませんでしたか?リュパン4世とあろうものが自分のお宝盗られて取り返すこともできないから、かつての敵に泣きつくなんてリュパンの恥さらしとは思いませんか4世様?」

氷牙はあからさまに理子を挑発していた・・・

「黙れ!」

「じゃあ力ずくで黙らせてみろよ?あ、悪い、無力な4世様には無理だったか」

「―――!!」

 

――ドバンッ――

 

それを聞いた瞬間とうとう理子がキレてテーブルをひっくり返す

と同時に氷牙もテーブルを蹴り真横に飛ばした

「ハァッ!」

そして理子は机の下をくぐり氷牙に飛びかかろうとした

(刀は机が邪魔で抜けない!MP5Kはでかくて街中じゃ帯銃できないからカバンの中!先手はもらった!)

先手を取ったと確信したが・・・

「遅えよ」

「なっ!?」

氷牙は既に左手にコルトパイソンを構えて理子に突きつけていた

「なっ!?お前それは・・・」

それはバトルロワイヤルで手に入れた物だった

あれ以降取り回しがいいので氷牙はサブウェポンとして装備していたのだ

「流石にコイツは予想外だったか?」

理子は硬直する・・・

――ドガン――

そして蹴り上げたテーブルが真横に大きな音を立てて落ちた

そして氷牙の右手には・・・理子がさっき食べようとしていたパフェがあった

「食いもんを粗末にすんなよ?」

そう言って氷牙はパフェを理子の口に押し付けた

「ふぐっ!?」

「ほら?もう食っていいぞ?たんと食えよ4世様?」

しばらく押し付けた後、手を離すとパフェは理子の顔をクリームまみれにして床に落ちてグラスはガシャンという音と共に割れた

「で?まだやるか?媚び売るしか能のない4世様?」

と言って理子を見下すと理子は悔しそうに下がり

「話は終わりか?じゃあ俺は帰るぜ?お前と一緒にいると気分が悪い」

「・・・上等だよ・・・誰も殺さなかった武偵殺しもお前だけは必ず殺してやる・・・」

と吐き捨てた

「ハッ、それは武偵校じゃ親愛の言葉だぜ4世様!」

そう言って氷牙は立ち上がり店を後にした

 

「な!?待て!」

そしてキンジはすかさず氷牙を追った

そして店の外でキンジは氷牙を捕まえ

「おい!氷牙!お前どうゆうつもりだよ!」

「あ?何のことだ?」

「理子のことだよ!あそこまでやらなくてもいいだろ!」

氷牙はため息をつき

「相変わらず女には甘いな・・・一度殺されかけようとも忘れられないくらい骨抜きにされやがって・・・」

「――っ!!違う!理子を許せないのはわかるよ!正直俺だって割り切れていない!だからってああやって過去のトラウマ抉るような事までしなくてもいいだろ!」

氷牙はキンジを睨み

「知ったことか・・・仲間を傷つける奴は誰だろうと容赦しねぇ!まずはあいつの安いプライドへし折ってやる・・・それこそ・・・もう自分ひとりじゃ何もできないと分かるまで徹底的にな・・・」

「え?それって・・・」

「フンッ・・・あいつももう立ち直ってんだろ?」

もしかしてこいつ・・・あれで理子を元気づけたつもりなのか?自分を憎まれ役にすることで・・・

「氷牙・・・お前・・・」

「じゃあな、俺は帰る」

そう言って歩き出そうとしたが

「そうだ!もうひとつ聞かせてくれ!」

キンジが呼び止めた

「?」

「お前噂じゃアドシアードで相当儲けたんだろ?なのになんでまた金に困ってるんだ?」

氷牙は、ああその事かという顔になって

「ちょっとでかい買い物したんだ、それで金が足りなくてな・・・まあ、理子から今回の報酬前払いでもらってやっと目標額に達したよ」

「買い物?」

「ああ、買い物だ」

そう言って氷牙はそれ以上は教えてはくれず秋葉原の人波に消えていった




レキュ・・・怪我は完治しましたが狙撃の腕にムラが出ています
当然ですが怪我の後遺症からというわけじゃありません
もちろん転科させるつもりもありません

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