緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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連休中は筆が進みます
なぜなら思う存分夜ふかしできるからです


22話<監視という名の・・・>

白雪の護衛を始めてから数日

 

「花火大会・・・ですか?」

「ああ、キンジと白雪が今夜花火大会に出かける。俺はそこに潜入してあいつらを離れた場所から監視するんだ、それで――

「了解しました。お供します」

最後まで言う前にレキは了承した

「まだ最後まで行ってないが・・・」

「私は氷牙さんの行くところならどこまでも共にあります」

「あ、ああ・・・そうか・・・」

まあ確かについて来て欲しいと言おうとしたからな・・・アリアにも俺とレキにお願いされてるし人ごみの中でも狙撃手の目があれば助かるし・・・ただ、レキは潜入経験ないからな・・・念押しておくか・・・

「わかってると思うけど、さすがに制服じゃ目立つから潜入に適した服に着替えて来いよ?後、ちゃんと武器も隠せよ?」

「はい」

「それじゃあいつらは7時に待ち合わせだから俺たちは10分前に離れた場所で待ち合わせよう」

この監視一見楽そうだが気が抜けない・・・

アリアはかなえさんの事で打ち合わせがあるから来れないし・・・キンジは未だにデュランダルが存在するか半信半疑・・・いや・・・あれは9割信じてないからな・・・もしデュランダルが白雪を狙うとしたら当日は絶好の機会なのだ・・・

最も・・・一番警戒すべき対象はデュランダルではなくキンジなのかもしれないが・・・アイツが白雪に手を出そうが俺は知ったことじゃないが、またアリアの時みたいに中途半端な気持ちで曖昧なままでいたらお互いに傷ついてゆくだけだ・・・だが、こればかりはアイツが自分で覚悟決めなければ意味がない・・・取り返しがつかなくなる前に済めばいいんだが・・・今は俺とレキで周囲に目を光らせる他ないのだ・・・

 

 

そして葛西臨海公園駅

俺は既に到着してレキを待っていた

ちなみに服装は下はパンツ、上は半袖シャツと私服に着替えているがきっちり防弾仕様で肩にかけたギターケースにMP5Kと刀を入れてある

できればそうあっては欲しくないが万が一に備えるに越したことはない

「そろそろ時間か・・・レキも着替えてくるはずだが・・・ちゃんと潜入に適した服ってのわかってんのかな?そういえばレキの私服なんて見たことなかったしな・・・」

そして時間ジャストに

「氷牙さんお待たせしました」

レキは来た

「ああ、来た・・・か?」

そして氷牙はレキを見ると目を見開いて固まった

なぜなら目の前には

紫陽花の刺繍の入った鮮やかな青色の浴衣に身を包んだレキがいたからだ

顔もきちんと薄化粧もして髪も梳いておりそれを引き立てる決して主張しすぎないかんざしも風情があって実にいい

肩には、中はドラグノフが入ってるんだろうが浴衣に合わせた色合いの琴袋背負っている・・・

初めて見るレキの洒落た姿に俺が放心していると、

レキは首を数ミリかしげ

「氷牙さん? どうかしましたか?」

と訪ねてきたので俺は

「綺麗だ・・・」

思わずそう言っていしまった

「ええ、鮮やかな色合いで綺麗な浴衣です」

俺は少し照れながらも

「あのなあ・・・俺が綺麗だといったのはレキがだよ・・・」

と言い直した

それを聞いてレキは少しキョトンとしていたが

「・・・そうですか・・・ありがとうございます・・・」

やがて少し俯いてそう返してきた

そして手を首のところに持ってこようとしたがすぐに下ろした

そんな仕草を見ながらも俺はしどろもどろになりながらも尋ねた

「えっと・・・その浴衣・・・どうしたんだ?レキって浴衣持っていたのか?」

「いえ、服を選ぶ際、結城先生に氷牙さんと花火大会に行くので最適な服をお願いした所こうなりました」

それCVRの教諭じゃねえか!あの人にそんなふうに言ったもんだからデートだとかに思われたんだろうよ!

・・・だが今回ばかりはGJだ!

「それで白雪さんは?」

「あ、ああ・・・それが10分くらい前からここにいるんだがキンジも白雪も来ないんだ・・・」

「それは・・・時間に律儀な白雪さんにしては変ですね・・・」

キンジも一緒のはずだから万一があれば連絡が来るはずなんだが・・・

「それとなく電話してみるか・・・」

こういって俺は携帯を出しキンジにかける

一応レキにも聞こえるようにイヤホンで繋いである

『もしもし?』

すぐに出た、どうやら何かあったようじゃなさそうだが・・・

「ああ、キンジか?お前今日部屋何時頃帰る?」

ストレートに聞くわけにもいかないので遠まわしに探りを入れる

『え?なんでそんな事きくんだ?』

「今日アリア夕飯いらないそうでな、お前も白雪もどこか出かけたみたいだし・・・もしお前も白雪も夕飯いらないなら俺も後でレキ誘ってどこかで外食して済ませようと思ってな・・・」

『ああ、そういうことか、それなら俺も白雪と夕飯は外で済ますから大丈夫だ』

よし!今のセリフつけこめる!

「白雪と?今白雪と一緒なのか?」

さあ・・・どうなんだ?

『ああ、今白雪と一緒にいる』

っな!?マジかよ!?

『キンちゃん?氷牙君なんて言ってるの?』

本当に白雪の声だ・・・もう合流してたのか・・・

「そうか、なら悪いけど頼むわ」

そう言って俺は電話を切り・・・

「不味いぞ・・・もうとっくに合流して向かっていたんだ!」

「私たちも行きましょう」

そして俺たちは公園へと向かった

 

だがこの時二人は知らなかった・・・実はキンジは事前に待ち合わせに遅刻しそうになり待ち合わせ時間を遅らせたことに・・・それを知った白雪は学校前でキンジを待っていたことに・・・

 

葛西臨海公園は穴場なだけあって比較的空いていたがやはり人はちらほらいた

だがそれでもキンジと白雪の姿は見当たらなかった

「完全に見失ったか・・・」

「仕方ありません手分けして探しましょう」

「ああ、見つけたら知らせてくれ」

そして二手に分かれてキンジ達を探し始めた

 

十数分後

「いないな・・・それほど人はいないのにどうなっているんだ?」

レキの方も・・・連絡がないってことは見つかってないのかな・・・

なんて思っていたら

「ん?」

あれは・・・レキか?

目の前に男が二人立っているが・・・

「ねぇ君一人?俺たちと遊ばない?」

「・・・・・・」

「ねぇ?何か言ってくれないかな?」

「・・・・・・」

レキの奴・・・ナンパされてるよ・・・

・・・何でかわからんが・・・なんか無性に腹が立つな・・・早く止めに行こう・・・

「レキ!ここにいたのか!」

「氷牙さん?」

「ん?なんだよあんた?」

「ああ、俺は――」

俺はレキにマバタキ信号で

――ハナシ アワセロ

と送るとレキも

こくりと首を振った

そして男に

「コイツ俺の彼女なんだここで待ち合わせてたんだよ」

と答えてやった

「えっ!?マジかよ!?」

「はい、彼は私の恋人です」

「ちぇっ・・・彼氏持ちかよ・・・」

そう言うと男たちは引き下がっていった

 

「お手数おかけします、氷牙さん」

「ああ、構わないさ」

あのまま言い寄られるのは俺自身見ていたくなかったからな

「では引き続きキンジさん達の搜索に戻ります」

そしてレキは歩き出そうとするが・・・

「いや・・・待ってくれ!」

俺はすぐさまレキの手を掴んで止めた

何でだろうか・・・レキを一人にしたらまた見知らぬ男に声をかけられるかもと思うとすごく不愉快な気分になる・・・

「レキ・・・やっぱり一緒に探そう・・・」

「ですが・・・」

「いいから!ほら行くぞ!」

そう言ってレキの手を繋いだまま歩き出した

しばらくするとレキも俺の手を少しずつ握り返してきた

そうしてると俺は・・・

この手・・・絶対に離したくないな・・・

なんてすら思えてきた

 

それからレキと手をつないだままキンジたちの捜索を続け

今は海岸近くを歩いていたがやはり見つかることはなく・・・

そろそろ打ち上げ花火の時間か・・・

「少し足場が悪い、足元気を付けろレキ」

そう言いながらレキの手を取りゆっくり歩いていると

「あっ・・・」

レキが突如つまづいた

「レキ!」

幸い俺が手を引いてすぐに受け止めたため無事だったが

レキを抱きしめるような形になってしまいレキの顔がすぐ間近に近づいていた、

間近で見たレキの顔は・・・

小さな顔に猫みたいな大きな金色の目、無表情だけど整った顔立ち、文句なしの美少女だった、きっと笑ったら可愛いんだろうななんて思っていたら

「・・・氷牙さん?」

「あ、ああ・・・すまん大丈夫かレキ?」

「はい、どうやら草履が脱げたようです・・・」

そう言ってレキは自分の足元を見た

「ああ、これか」

俺は道に落ちていた草履の片方を拾うと

「草履の鼻緒が切れたのか・・・」

これならすぐ直せるが・・・ここは道の真ん中だ、ひとまず落ち着ける場所に行かないとダメだ

「仕方ないか・・・レキ」

俺はレキの背中と膝の裏に手を回すとそのまま抱え上げ

いわゆるお姫様抱っこをした

「あ・・・」

「ひとまず移動するからちょっと我慢してくれ」

そそて俺はレキを抱えて移動した

周りから嫉妬や冷かしの声が聞こえたがそれは全部無視した

 

そしてレキを海岸近くのベンチに座らせて俺はレキの隣で鼻緒を直していた

「申し訳ありません・・・私のせいで・・・」

「そんなことないさ、それに・・・いいもの見れたしさ」

「?いいもの?」

氷牙は少し照れながらも

「お前だよ」

と答えた

「私・・・ですか?」

「ああ、浴衣姿のレキをこんなに間近で見れたしさ」

「え?」

「これを機にもっとお洒落とかしてみたらどうだ?レキって可愛いからさ・・・きっと似合うと思うぞ?」

「・・・・・・」

そう言うとレキは少し俯いてしまった

そして手を首に動かそうとした・・・

・・・また?あの仕草は・・・もしかして・・・

 

「ん?」

海岸に誰かいるな・・・

「あれはキンジと・・・白雪?」

やっぱり来ていたのか・・・

海岸でどうやら花火をやってるみたいだ

この場所なら・・・気づかれる心配はないか・・・

そう思い二人を監視をしていると

やがて白雪がキンジに涙がらに告白してきたが・・・

――ドン、ドン、ドドン――

突如始まった打ち上げ花火

キンジはそれに乗じて白雪の告白の返事ををうやむやにして

背を向けて帰っていってしまった・・・

「・・・あのバカ・・・白雪の気持ちも知らないで・・・また目を背けるのか・・・」

あの時と同じだ・・・これじゃあまた・・・

「・・・レキ・・・アドシアード当日は白雪から目を離さないでくれ、俺も念の為に当日は無線を常備しておく何かあったらすぐに連絡してくれ・・・」

「・・・はい」

そして氷牙はレキに向き直ると

「さ、草履も直った、花火も終わったし俺たちも帰ろう」

そう言って手を差し伸べるとレキもその手を掴んできた

そして帰宅するまで俺たちは手を離すことはなかった

 

自宅に戻りレキを風呂に押し込むと

俺はベランダに出て携帯を取り出しある所へ電話をかける

『おう、誰や?』

「こんばんわ、蘭豹先生ですか?九狂です」

『九狂?なんの用や?』

「実はアドシアードについてなんですが・・・」

『あ?まさか今更出たくないとか言わんやろな?』

「いえ、出場はします。ただ・・・ひとつだけお願いがあります・・・」

『――?なんや?』

「何でもあなた方教官の間では裏で誰が優勝するかの賭けが催されているらしいじゃないですか?」

『・・・・・・・』

蘭豹が黙る・・・やはり図星か・・・

「ああ、安心してください密告するわけじゃありません、お願いとゆうのは・・・その賭け、俺も一口乗せてくれませんか?」

『・・・・・・』

流石に蘭豹も難色だな・・・だがこっちも引き下がるわけにはいかない!

「お願いできませんか?こっちも何か見返りがあったほうが頑張りようもあるんですよ」

だいたい先日まで俺が無断でこなしたクエスト・・・その報酬ほとんどあんた達の懐に行ったんだろうが・・・

ついでに俺が払ったカツ丼(だけじゃない)の代金も蘭豹と綴の懐に行ったそうだ・・・あんたあの金全部間違いなく賭けに注ぎ込む気だろ!

『・・・ええやろ』

「ありがとうございます」

『その代わりや!ええか!?絶対に優勝目指せいや!(ここまでしてやったんや!わかっとるやろな!?優勝せんかったら殺すで!)』

そう言ってまた嫌な副音声が聞こえ・・・電話は切れた・・・

そして携帯をしまうと・・・

「ふぅ・・・何とかなったな・・・あとは優勝目指しますか・・・」

こんなこと言ったのはもちろん理由はある

レキのために少しばかり金が要り用になる・・・そう思ったからだ・・・

そう・・・レキ自身も気づいてないようだが・・・俺は気づいてしまった

レキが時折少し俯いた時に見せるあの仕草・・・あれは・・・きっとそうなんだろう・・・

 

強い目的を持った氷牙

デュランダルを捕まえようと必死になるアリア

浮かばれない想いを抱えた白雪

行動に変化を見せるレキ

そして再び全てから目を背けるキンジ

 

いろんな思いが交差する中でも時は無情なほどに進んでいく・・・・

そしてGWもあっという間に終わりついに・・・

 

アドシアード開幕!




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