緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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21話<新たな波乱ー幕開けー>

翌日、放課後

 

「・・・お前ら本気か?」

「本気よ!」

「じゃあ・・・お前ら正気か!?」

「残念ながらな・・・・」

俺はこいつらの正気を疑うがそれも当然のことだった・・・

なんでも今日、白雪が教務科に呼び出されたそうでアリアは白雪の弱みを掴もうと教務科に潜入するとか言い出したのだ・・・

強襲科・地下倉庫に並ぶ武偵高三大危険地域の一つ教務科に・・・

前職が特殊部隊・傭兵・マフィア、挙句の果てには殺し屋と聞かなきゃよかった経歴をお持ちの方々が大集合している場所に・・・

 

「お前ら・・・この前教務科を盗聴した奴がその後どうなったか知ってるだろ・・・」

「ああ・・・暫く綴達の飼い犬にされて今は廃人も同然になってるらしいな・・・」

「だろ?悪いこと言わないからやめと「キンジ!氷牙!ダクトから入るわよ準備しなさい!」

「「話聞いてました!?」」

 

俺たちが渋るとアリアはビッと木刀を突きつけて

「それとも二人共たんこぶ頭に量産する?」

俺たちは二人揃って

「「もう定員オーバーだよ・・・」」

と返した

「つーかなんでお前昨日よりもボコボコになってんの?」

顔の怪我は・・・昨日俺が鉄拳かましたからだろうけどさ・・・

「・・・俺を戦闘時のストレスに晒し続けた特訓の成果だ・・・」

「ハァ?」

何でもアリアいわくキンジのヒステリアモードを二重人格なんだと思っているようで戦闘時のストレスで切り替わると睨んだらしく切り替わった瞬間に反撃できるようにと真剣白羽取りを習得させるべくキンジの脳天に何度も木刀を叩き込んだらしい・・・

 

「つうかそうゆうお前もボロボロじゃねえか・・・」

「と言うよりなんで氷牙もそんな傷だらけなの?」

「・・・レキファンクラブに総攻撃を食らったんだよ・・・」

「「あー・・・そういうこと・・・」」

昨日氷牙が女子寮に行ってレキを連れ出して自分の部屋に連れて帰るところは案の定目撃されたらしく・・・

予想通り火にニトロを放り込む事態に陥ってしまい・・・

結果・・・

 

登校してみれば・・・

「死ね九狂ォオゴッ!?」

「命取ってやらァアガッ!?」

――ドキュン、ドキュン、ド――ドゴォォン――

「くたばれえェエボッ!?」

「殺してやらァアバッ!?」

朝っぱらから装備科、情報科サポートのもと襲ってくる強襲科、狙撃科、諜報科と大乱闘して・・・

 

教室に入れば・・・

「氷牙君!!昨日レキさんとどんな夜を過ごしたの!?」

「一昨日からレキさんと同居して子作りの計画立ててるってホント!?」

「昨日キンジが氷牙君の部屋の前で伸びてたのは復縁迫ってきたのを叩き出したから!?」

「ホラホラ?カツ丼おごってあげるから全部ゲロッちゃいなよ?」

尋問科、探偵科によって取り調べを受け・・・

 

挙句の果てに放課後は・・・

――バラバラバラバラバラ――

――ガガガガガガガガガガ――

――ドゴォォォォン――

――キュルキュルキュルキュル――

――ドガァァァァン――

武装ヘリに乗った車輌科に襲われ既に心身共々ボロボロだった・・・

「武装ヘリに追われたときは流石に死ぬかと思ったわ・・・」

「・・・どうりで何人も病院送りにされてるし、屋上に自動車がめり込んでるし、校庭に武装ヘリが墜落してるわけだよ・・・」

何かおかしい気もするがそんなボロボロな二人にアリアを止められるわけも無く・・・

 

教務科の廊下にて

「さっ!行くわよ!レキは見張りお願いね」

「はい」

「レキ・・・悪いな・・・こんな事付き合わせて・・・」

「構いません、私は氷牙さんとならどこまでもお付き合いします」

「あ、ああ・・・ありがとう・・・」

こうゆう事平然と言うからなんかドキリと来るな・・・

「ちょっと氷牙!じゃれあってないで早く上行って!」

「わ、わかったよ・・・」

俺はジャンプするとダクトへ入り込みアリアに手を伸ばすが・・・

「キンジ、手、届かない、抱え上げて」

するとキンジはアリアの両脇を掴んで持ち上げ

「ほーれ。たかいたかーい」

と既にヤケクソになっていた

ヤケになりたいのはこっちもだよ・・・

「風穴っ!」

――ごすっ!――

アリアは俺の手を掴むとキンジの鳩尾に膝蹴りを入れた

(膝・・・10センチくらいめり込んだな・・・)

「・・・ぅ・・・・っ・・・ぉ・・・!」

そしてアリアは悶えるキンジの頭を足場にダクトに登ってきた

「・・・キンジー?生きてるか?」

「・・・勝手に殺すな・・・」

そう言うとキンジはゆっくりと立ち上がると俺の手を掴んで上がってきた

 

そしてダクト内で

ゴソゴソ。

ゴソゴソゴソ。

俺たちが匍匐で亀のように進む中

シャカシャカシャカシャカ

アリアは異様な速さで這って進んでいった

「アリアって匍匐前進早いな」

「ええ、強襲科の女子で一番速いわ」

「そりゃそうだろ邪魔になるものがないからな」

「何がだ?」

「胸が」

――ごすっ!――

キンジの側頭部に、アリアのカンガルーキックがまた10センチめり込んだ。

お前・・・本当にある意味アリアの奴隷になってないか?

それも頭にアルファベットが一文字付きそうな奴隷に・・・

 

「そういえばなんで白雪の弱みなんか握ろうとするんだこの前の襲撃の仕返し?」

「あたし今日、白雪に殺されかけたの」

「武偵校・・・特に強襲科じゃ殺しかける殺されかけるなんて日常茶飯事だろ・・・」

「今日のは本気よ、女子更衣室のロッカーにピアノ線が張られていたの」

「ピアノ線って・・・それシャレにならんぞ・・・」

下手したら首がスパッか・・・

「ほかにも誰かに見られている気がしたり、渡り廊下から水をかけられたり、下駄箱に『泥棒猫!』って書かれた巻物が入ってたり、あの女以外にありえないわ!」

「いくらなんでも白雪がそんな事・・・」

「二人共そろそろ着くぞ、静かにしろ」

 

そして覗き込んだ通気口の向こうに・・・いた

白雪と綴だ・・・

何か話し合ってるな・・・

つうか・・・あんたのタバコ相変わらず煙たいんだよ・・・

それ絶対合法じゃねえだろ・・・

「星伽ぃーお前これどうゆうこったぁー?あんたが90点切るなんてなぁー」

「す、すいません」

俺たちは机の答案を見るが・・・

(それでも70点台か・・・十分じゃねえの?)

(私の勝ちね!私82点よ!)

(俺、91点だけど?)

(ぐ・・・あんた頭いいのね・・・)

というより武偵校の偏差値が果てしなく低いだけだ

(ちなみにキンジは32点、レキは100点だ・・・)

(あんたホントに馬鹿だったのね)

(・・・うるさい)

「まあ勉強とか成績とかどうでもいいんだけどぉ」

(よくねえだろ・・・あんた一応教師だろ・・・)

「なーに・・・えーっと・・・あれだ、変化。…変化は気になるんだよねぇ」

そんな単語も忘れるって・・・明らかにあんたラリってんじゃねえか・・・

「お前もしかしてあいつに何かコンタクトされた?」

(あいつ?)

「えーとぉ、なんだっけ・・・で・・・デュ・・・あ〜そう、デュランダルだ」

(――ッ!)

(・・・?アリア?)

「いえ、それはありません。それに、仮にデュランダルが実在するなら、私なんかよりももっと大物の超偵を狙うでしょうし」

「あのなぁーお前はうちの秘蔵っ子だぞぉ?アドシアードが始まれば外部の人間もわんさか来る。その間だけでも護衛つけろ」

「で、でも、護衛とかつけたらキンちゃんのお世話とか――ガシャン!――きゃっ!?」

アリアがいきなり通気口の金網をぶち破り二人の前に飛び出した

「そのボディガード私達がやるわ!」

「お、おい!?」

「ア、アリア!?」

アリアを追うようにキンジが通気口から身を出したら

――ズルッ――

「うわっ!?」

アリアめがけて落っこちた

「むきゅ!?」

そしてアリアはキンジの下敷きになった

「アリア!?キンちゃん!?」

「バカキンジ!変なとこに顔突っ込んでんじゃないわよ!」

「たくっ・・・」

そして俺もダクトから降りて

「よう、白雪」

「氷牙君も!?」

「まだいるぞ?レキ、入ってきてくれ」

そう言うとすぐにドアが開きレキが入ってきた

「レキさんまで!?」

「えーとぉ・・・お前らは・・・こないだのハイジャックカップルにテロリストカップルじゃん」

「ハイジャックカップルってのは多分キンジとアリアだろうが・・・テロリストカップルってのは・・・」

「当然、私と氷牙さんですね」

そしてアリアを猫みたいにつまみ上げて

「これは神崎・ホームズ・アリア。獲物はガバメントの2丁拳銃に小太刀二刀流。二つ名は双剣双銃。 欧州で活躍したSランク武偵、欠点はおよ・・・」

「わぁー!」

綴の言葉がアリアの叫びでさえぎられる。

「そそ、それは弱点じゃないわ! うきわがあれば大丈夫だもんっ!」

なるほど、アリア泳げないんだな。

 

「んで――」

次にキンジを見て

「こちらは遠山キンジ、元強襲科Sランクで現在探偵科Eランク」

「あー、俺は来たくなかったんですが、こいつが勝手に・・・・・・」

「性格は非社交的。しかし強襲科には一目置かれており、ある種のカリスマ性を備えている。解決事件は迷子の猫探しと600便ハイジャック事件・・・何でアンタ、やることの大小極端なの?」

「そんなもん俺が聞きたいです」

「武器はバタフライナイフに違法改造のベレッタM92」

――ぎく!

「三点バーストはおろかフルオートも可能な、通称キンジモデルってやつだよなぁ?」

「あー、いや・・・それはハイジャックの時に壊されました。今は米軍払い下げの合法の物です」

「へへぇー。装備科に改造の予約入れてるだろ?」

じゅっ!

「うわちっ!」

綴のやつ根性焼き入れやがった・・・

 

「んでんで―――」

今度はレキを見た

「こっちはレキ、狙撃科Sランク。獲物はSVDドラグノフ狙撃銃に銃剣。狙撃の腕は超一流で絶対半径は2051m。その範囲ならどんなに小さい的も撃ち抜けるが反面近接戦闘は苦手。羽田テロの際、腕を負傷して現在療養中・・・」

「ええ・・・」

「今は九狂と婚約して同棲中、本人曰く自分は九狂の所有物と主張してるそうだがぁ・・・」

「はい、私は氷牙さんの所有物です」

「・・・まあ、色恋沙汰にとやかく言わんが節度は守れよぉ?」

綴が若干引いてる・・・ある意味すごいな・・・

 

「んでんでんで―――」

最後に俺を見た

「あ、どうも・・・先日カツ丼一緒に食って以来ですね」

「あー・・・うん。確か九狂だっけ?」

・・・ダメだ・・・ラリって覚えちゃいねえ・・・

「こいつは九狂氷牙。コイツも元強襲科Sランクで現在強襲科Aランク。驚異的な脚力を持ち体術の達人で獲物はMP5Kが2丁と日本刀が2振り。ようやく銃剣ちゃんと持つようになったなぁ」

確かに・・・俺1年の時は剣なんて持たなかったし、平賀ちゃんに特注弾丸作ってもらうまでは銃置いてきたりした事もよくあったからな・・・

「戦闘スタイルは単独行動を取りがちで協調性ほぼ皆無。しかし周りからの信頼は厚く、実力は本物で100人を越える武装集団を一人で壊滅させたこともあり、また無断でクエストを勝手にこなしたり、犯人や民間人に重傷を負わせて病院送りにした事も多く、強襲科一の問題児」

「あー、そんなこともありましたね・・・そういえば俺が勝手にこなしたクエストの報酬の行方はその後どうなったんですか?」

「・・・・・・・・・・・・」

綴が急に黙る

「もしもーし?」

綴はアリアを向きこちらから顔を逸らし

「でぇー?ボディーガードやるってのはどういう意味?」

話逸らしやがった・・・さてはあんたピンハネしやがったな・・・

「そのままの意味よ!24時間体制であたし達が無償で護衛するわ!」

「・・・星伽ぃ。よくわからんけど、元や手負い含んだSランク4人がタダで警護してくれるらしいよぉ?」

「い、嫌ですアリアと一緒だなんて、けがらわ・・・ん?」

白雪が何かを疑問に感じた

「ん?」

「ん?」

続いて俺とキンジも一つの疑問が浮かんだ

今なんて言った?

あたし・・・達?

Sランク・・・4人?

「なあアリア・・・4人って・・・」

「当然、あたしとキンジと氷牙とレキよ!」

ですよねー

「あー・・・悪いんだがアリア・・・」

「何?」

「俺はアドシアード当日はバトルロワイヤルに出なきゃいけないから当日は競技が終わるまでは護衛できん、それに・・・今、金欠なんだ・・・悪いが無償でってのはちょっと・・・」

先の武偵殺し事件でかなり出費がかさんだからな・・・

主に荒れて大暴れしたせいで・・・

なのにほぼ無報酬・・・おかげで俺の財布は今カツカツだ・・・

そして綴はさっきから俺と目を合わせようともしない・・・

そりゃあ、俺の財布あんたに払わされたカツ丼代がトドメになりましたからね!

「仕方ないわね・・・じゃああたしがアンタとレキを腕の時間貸しで雇うわ」

「ああ悪いな」

「いや俺はタダ働きなのかよ!?」

キンジは叫ぶが当然誰も聞いちゃいない

「ということは・・・キンちゃんと・・・24時間・・・一緒に・・・」

そして白雪の顔が次第に恍惚な表情になってゆく

白雪さーん?俺やレキ、アリアもいるってこと忘れてませんよね?

ちなみにそれを見たアリアは

「ちょっと!変な意味で捉えてるんじゃないわよ!」

そう言ってガバメントを抜いた

「ア、アリア!待て!落ち着け!」

「へぇーお前らそうゆう人間関係かぁー」

綴は何が面白いのか、この状況をニヤニヤ見ている

「ええ・・・只今絶賛泥沼進行中です・・・」

俺は巻き込まれないようにレキとこの状況を傍観していた

そうしていたら・・・

「キンちゃん!!」

白雪が叫んだ

「私の護衛任務お願いします!24時間体制で!私も、私も・・・

キ ン ち ゃ ん と 一 緒 に 暮 ら す ぅ ー ! 」

それを聞いて今日はキンジが膝から崩れ落ちた

 

 

そして後日・・・

荒れ果てたキンジの部屋のリビングでキンジはふてくされていた・・・

「・・・なんでこうなる・・・」

「こ、これからお世話になります。星伽白雪ですっ!ふ、ふつつかものですが、よろしくお願いしますっ!」

そう言って白雪はキンジの前で三つ指ついていた

白雪・・・それじゃあ結婚の挨拶だ・・・・

「あのなー・・・今さらなに言ってんだ・・・」

「き、キンちゃんのお部屋に住むって思ったら緊張しちゃって・・・あ、お掃除するね。粗大ゴミも処分しなくちゃね・・・うふふふふ・・・・」

最後辺りアリア見ながら言ってなかったか?

なんか・・・またひと波乱始まった気がしてならないんだよな・・・

「で?アリアは何してんの?」

「見てわかんないの?この部屋を要塞化してんの!護衛の基本でしょ?氷牙の部屋もすごいじゃない!要塞化してて一部の隙もないわ!」

そりゃあレキの指導のもと完璧にやりましたからね・・・レキが横になって寝るためだけに・・・

そしたらキンジが

「でも白雪を狙っているっていうデュランダルって都市伝説みたいなもんだろ?実在するのか?」

なんて言ってきた

「実在するわ、あいつはあたしのママに冤罪着せてるうちの一人なの!」

「他の犯人かも知れないだろ?大体デュランダルってお前も誰も見ていないんじゃないか」

「うるさい!とにかくいるったらいるの!」

「あのなあ・・・」

「氷牙!あんたはどうなのよ!」

俺に矢先向けてきたよ・・・

「俺は・・・いると言う確たる証拠もない以上鵜呑みにはできないな・・・」

「氷牙・・・あんたまで・・・」

俺は言葉を続ける

「が・・・無下にもできない、」

「え?」

思いがけない展開にアリアも目を丸くした

「護衛対象の白雪がそいつに狙われている可能性がある以上は悲観的に実在すると考えて動くべきだ。杞憂だけで済んでくれるならそれこそ御の字だからな」

「氷牙・・・」

「アリアの言葉を鵜呑みにはできないがいるという前提で俺は備えるよ、それでいいか?」

「ええ・・・十分よ・・・ありがと・・・」

「キンジもアリアの言葉を鵜呑みにしろとは言わんがお前も護衛する以上は悲観論で備えろ・・・」

キンジは渋々ながらも

「・・・わかったよ・・・」

と返してきた。ほんとに分かってんのかコイツ・・・

「んじゃ俺は飯作るよ、キッチン借りるぞ?」

そう言って何食わぬ顔で俺はキッチンへと向かった

そしたらアリアも立ち直り

「ほら分かったのならアンタも動く!廊下の箪笥に危険物がないか調べてきて!」

とキンジを動かした

「危険物って・・・あれ白雪が持ってきたもんだぞ?」

そしてキンジもそう言いながらも廊下に向かっていった

それを見て俺は・・・実は内心かなりほっとしていた

またあいつらの仲がこじれたりでもしたら面倒事になりかねないからな・・・

我ながらどっちつかずの言葉で上手く仲裁できたなと只今感心してるよ・・・

「ま、これ以上感心すんのは後にして今は飯作んないとな・・・」

そして気持ちを切り替え冷蔵庫を開けると・・・

「何もねえ・・・」

申し訳程度にペットボトルが数本入っていただけだった・・・

戸棚を開けても・・・カップ麺しかねえ・・・

この部屋には米さえも存在しないのか・・・

「キンジ・・・たまには自炊しろよ・・・」

これじゃあレキといい勝負だ・・・俺の周りにはこんな生活破綻者しかいねえのか・・・

しょうがねえな・・・俺の部屋から食材少し持って来て・・・

「氷牙君!」

と思っていたら俺の周りで数少ない家事有能者の白雪が叫んだ

「はい?」

「夕食は私が作るよ!氷牙君はリビングでレキさんとお茶でも飲んでて!」

「え?でもリビングは・・・」

リビングを見ると・・・そこは既に完璧に綺麗になっており、おまけにどこから持ってきたのか生け花まで飾ってあった・・・

そしてレキはリビングで白雪が入れたであろうお茶を飲んでいた

嘘だろ・・・あの戦争の跡が綺麗に無くなってる・・・

「もう掃除終わったのかよ・・・」

完璧すぎだろ・・・さすが今や絶滅寸前の大和撫子・・・

「うん、あとは粗大ごみを始末すれば終わりだよ・・・」

白雪さん?なんでそう言いながらアリアを見るの?

つか粗大ごみって何?いや、やっぱりいい!聞きたくない!

「だ、だけど食材どころか米すらないぞ?」

俺はそう言って慌てて話を戻した。そしたら白雪も話しを戻して

「私が持ってきたよ!大丈夫!氷牙君とレキさんの分もあるから!」

そういって大きな風呂敷から色とりどりの野菜や米、肉類を出してきた

どれもこれも一見しただけで上質な品と分かるほどの食材ばかりだ

「すごいな・・・どれもこれも上質な品ばかりじゃないか・・・本当に任せていいのか?」

「まかせて!」

そこまで力強く言われては引き下がる他なかった

「じゃあお願いするよ・・・」

「うん!」

そしてリビングに戻ると

キンジが難しい顔で戻ってきた

「?どうしたキンジ?何かあったのか?」

「ああ・・・あったな・・・俺にとっての危険物が・・・」

「・・・ハァ?」

 

そして食事になると

「さ、たくさん召し上がれ」

と食卓には和食一色の料理が並べられた

「おお、美味そう」

「すごいな・・・やっぱり白雪には敵わないよ・・・」

「そんなことないよ、氷牙君もお菓子とかなら私よりも上手だよ」

「んじゃ、いただきます」

「いただきます」

「いただきます・・・」

そういってキンジやレキも食事をするが

「そういえばレキ?腕は大丈夫なのか?」

「骨は繋がりました、まだ多少の痛みや違和感は残りますので狙撃等の精密な動作は無理ですがこの程度ならちょうどいいリハビリです」

と箸を動かしていた

「そうか・・・まあ無理はするなよ」

「辛かったら言ってね?フォークもあるから」

「はい、ありがとうございます」

「そ、それでね・・・き、キンちゃん・・・食事の後はお風呂?それとも・・・わ・・・わた・・・」

白雪が何か言おうとした時

「ねえ?なんで私の前には何もないの?」

誰も突っ込もうとしなかった(というか突っ込む勇気がなかった)が

自分の目に前にだけ何も用意されていないアリアが頬杖ついて聞いてきた

そしたら突如コォーっと聞こえてきそうなくらい白雪が目を暗くして瞳孔を開いた

そして・・・

ドンっと

米を盛った茶碗を突き出した

しかも箸が突き刺して立ててある・・・縁起でもない・・・

「なんでよ!」

「文句があるならアリアだけ護衛は解任します!」

「あんたねぇー下手に出てりゃあーー」

「かかってくるなら受けて立つよ!」

と言ってお互いガルルルルッと唸りながら睨み合いをおっ始めた

「おいおい二人共・・・」

そんな中キンジはあたふたしていたが

俺とレキは・・・放っておくかと黙々と食事を続けることにした

しかし・・・和食の腕は・・・本当に敵わないな・・・




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