緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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更新遅くなるばかりですいません・・・


104話<リスタート>

「それで?俺は手は出さないけどお前達はかなめと戦ってどうするんだ?」

「どうするって・・・何がですか?」

「この一連の騒動の落とし前をどうつけさせるかって話だよ。袋叩きか?それとも指でも詰めさせてケジメ取らせるか?でなけりゃ腹でも斬らせるつもりか?介錯はともかくなぶり殺しにするならノウハウ教えてやるぞ?」

 

「いや・・・指ってヤクザのケジメじゃねえか・・・」

「切腹って・・・あたし達は武偵ですよ・・・」

「先輩のなぶり殺しってトラウマは確実な廃人レベルの拷問って聞きましたよ・・・」

 

あかりはしばらく考えた後、俺と向き合うと

「戦って・・・かなめちゃんと友達になります」

「・・・友達に?」

「かなめちゃん、友達って意味をきっと間違えているから・・・だからまずはあたしと友達になって本当の友達の意味を教えてあげたいんです」

「・・・一筋縄じゃいかないぞ?そもそも、なれたとしてもかなめがしてきたこと考えればゼロどころかマイナスからのスタートだぞ。上手くいくと思ってるのか?一度付いた遺恨はどんなに割り切ろうとしても絶対消えない。たとえそれが何十年前の事だろうと、死ぬまで燻ぶり続けるぞ」

「わかっています・・・だから消そうとも忘れようとも思いません。全部受け止めてもう一度やり直したいんです。それに・・・友達って、時にはぶつかり合う事もあるものですよね?違いますか?」

「・・・お前達もそれでいいのか?」

 

「こうなったあかりは絶対に引かないですよ?」

「あかりちゃんがそう決めたなら私はそれを全力ででサポートするだけです!!」

「あかりのこういうところは今に始まった事じゃないしな」

「実際、私も似たような口ですわ」

 

「そうか・・・なら俺はもう何も言わない。かなめを頼むぞ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間は現在、羽田空港に戻り

 

 

「かなめちゃん・・・約束して。あたしが勝ったら・・・あたしと友達になろう?」

「・・・・・・・・・?」

「かなめちゃんは友達の本当の意味が分かっていない。だかあまずはあたしと友達になろう?それでもう一度やり直そう?」

「いいよ・・・どうせあかりが勝つことも・・・2度と会う事も無いんだから・・・」

「約束したよ!!」

 

言質を取ったと同時にあかりが両手を広げると突如あかりの背中がライトで照らされた。

ライカ達、どこ行ったのかと思っていたがこの時の為に大型ライト設置してたようだ。

そして後ろから当てられるライトの光はあかりを通して大きくなっていく

 

あかりの奴パルスを応用して自分をレンズにして光を増幅しているのか!?だがそれだけではただ莫大な光エネルギーを蓄えてるだけだ・・・そこからどうやって反撃に―――

「成程な・・・」

 

後ろに立っていたひかりがあかりの背中に打ち込んだ鷹捲によってエネルギーは嚮導されて胸へと一点集中してかなめと放たれた。

一人じゃできない。一人じゃないあいつだからできる技だ!!

 

かなめは磁気推進繊盾を張り巡らせ盾にするが

 

無駄だ。あかり・・・間宮の技は雑兵の中にいる敵将を討ち取るための技だ。どれだけの防壁を張り巡らせようが・・・無意味だ!!

 

あかりとひかりが放ったエネルギー、鳳は磁気推進繊盾をすりぬけてかなめに当たった瞬間炸裂した

 

「――ッ!!」

 

かなめは倒れ、それに続くようにあかりも倒れかかったがそこはひかりが受け止めて抱き上げた。

 

磁気推進繊盾はかなめを守るように囲うが

「もう勝負はついた。主人を病院に運んでやれ」

そう言ってひかりは背を向けて離れていった

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったな?」

「ええ、ぶっつけ本番で鳳を非殺傷技にしたんです。本当にあかりは凄いですよ・・・」

「ま、とりあえずあかりになんか着せてやれ。さっきから志乃が俺に殺気向けてるんだよ」

まあ、無理も無いだろう。なにせかなめは鳳のショックで、あかりも自身を鳳の発射台にしてひかりの鷹捲を受けた衝撃で二人共下着姿になっていたのだから・・・

 

「はい、それで九狂先輩・・・申し訳ありませんが・・・」

「わかってる。いいもん見せてくれた礼だ。後のことくらいは俺が引き受ける。・・・言っておくがあの協力技の事だからな?だから志乃に落ち着くように言っておいてくれ」

あいつ・・・少なくとも今だけなら俺にも勝てるくらいの殺気放ってるぞ・・・

「はい・・・では、失礼します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてあかり達が去ってゆくと

 

間宮あかり・・・

アリアも本当にいい子に目を着けたよな・・・求心力やリーダーシップはもちろん、実力もまだまだ未熟だが将来性は申し分ないほどに光る素質を持っている。あれは将来とんでもなく、それこそ俺やアリア以上に化けるぞ・・・

 

ただ・・・

 

「で?お前はいつまで寝たフリしてるんだ?」

 

「・・・・・・・やっぱり気付いてるか」

かなめは目を開けるとむくりと起き上がった

 

まだまだ詰めが甘いのが今後の課題だな・・・

 

「何だ?あかり達の渾身の一撃まともにくらったはずなのに案外平気そうだな?」

「お察しの通りあまりダメージはないよ。アーミーの訓練で嫌になるほど鍛えられたし、お前にくらった一撃に比べれば軽いもんたよ」

「ならどういった気まぐれだ?さっきまで八つ当たりの相手としか見ていなかったのに急にやられて負けたフリまでして勝ちを譲るなんてよ?」

「・・・迷ったんだ・・・あかりと戦ってるうちに・・・抱えている物全部どうでもよくなって・・・あかりと友達になってみたいって考えちゃったんだ・・・」

「いいんじゃねえか?なれば?あいつの事だから二つ返事で受け入れてくれるぞ?」

「いいわけないよ!!出来る訳無いよ!!いずれあたしはアーミーに殺される運命だ!!そしたらあかり達どころかお前達まで巻き添えに・・・」

「すればいいだろ?困った時こそ真っ先に頼れるのが友達ってもんだ。友を、仲間を見捨てる奴なんてこの学園にはいねえよ。そもそも、俺達が一体いくつの組織に命狙われてると思ってんだ?今更殺しに来る組織が一つ増えたところで狼狽えるかよ」

そう言うとかなめは膝がガクンと崩れて尻を着いた

 

「どうした?あかり達の一撃、やっぱり堪えたか?」

「それもあるけど力抜けたんだよ・・・本当に・・・お前達と話してると全てがどうでもよくなってくるよ・・・」

「いずれにせよお前に選択の余地はないだろ?お前はあかりに負けた。敗者は勝者に従うのが武偵の決まりだ。ならあかりの要求を呑んで友達になるしかない。一度生まれ変わったつもりで、今度はどんなにみっともなくても格好悪くても生きる事にしがみついてみろ。運命なんざ意思一つでいくらでも書き換えたり切り開いたりできるもんだぞ?」

 

「・・・少し・・・考えさせて・・・」

「ああ、ゆっくり考えろ。せいぜい悔いの無いように決めるんだな。後服着ろよ」

そして氷牙も帰っていった

 

一人残されたかなめはしばらく考えた後立ち上がると

 

「生まれ変わったつもりで・・・運命を――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、かなめも帰った後

 

 

――キィィィィッッ――!!

 

滑走路に一台のバイクが急ブレーキをかけて停車した

 

「おいっ!!かなめ!!」

キンジは誰もいなくなった滑走路に今更ながら到着したのだ

 

「おいっ!!かなめ!!氷牙!!どこだ!?」

呼びかけながら周囲を探すが誰もいない。周囲には戦った形跡もあるのでこの辺りにいたのは間違いない

「くそっ!!みんなどこに行っちまったんだ!!」

携帯を取り出そうとすると

 

――ババッ――!!

 

敷地内のサーチライトが一斉に点灯してキンジを照らした

 

「―――っ!?」

 

そして周囲を見渡せばいつの間にか武装した警備隊と思わしき人達に銃を突き付けられ囲まれていた

 

「動くな!!武器を捨てて床に伏せろ!!」

「なっ!?ま、待ってくれ!!俺は武偵だ!!テロリストじゃない!!」

必死に弁明を試みるが

 

――パァンッ――!

 

「――ッ!?」

 

弁明虚しくキンジの足元に銃弾が被弾した

「動くなと言っているんだ!!武器を捨てて床に伏せろ!!さもなくばテロリストとみなし射殺する!!!」

「く、くそっ!!悪いけどこんな事してる場合じゃないんだ!!」

キンジもこんなところで言い争ってる場合じゃないと走り出そうとすると

「なっ!?止まれ!!」

警備隊もまさかここまで囲まれて逃げ出すとは思わず

 

――パァンッ――!

 

咄嗟に引き金を引いた

 

「――ッ!!」

キンジもこの弾は当たると判断し反射的に銃弾にベレッタを発砲

 

――キキィン――!!

 

その際、幸か不幸か金欠で未だ修理していなかった3点バーストの2発だけでそれが同時に出る欠陥状態で発砲して

 

――バガン――!!

 

「ぐぁっ!?」

 

鏡撃ちで銃弾を返してしまい隊員のサブマシンガンを破壊した

 

『・・・・・・・・・』

 

この刹那の出来事には警備隊員達は処理が追い付かず固まってしまい

 

「・・・・・・・・・」

 

そしてキンジもベレッタを構えた状態で固まったまま思った

 

やってしまった・・・と

 

「き、貴様!!今何をした!?」

 

制止を振り切って逃げようとして挙句の果てには銃弾を撃ち返して相手の銃を破壊・・・完全に詰んだ・・・

もう何を言っても無駄だ・・・こうなってしまっては・・・逃げるしかない!!

 

その結論に至ったキンジは一目散に逃げだした

 

「ま、待たんか!!」

「総員、発砲を許可する!!絶対に逃がすな!!」

我に返った隊員たちが次々とキンジに向けて発砲してくる中で

 

「ああもう!!かなめ!!氷牙!!どこにいるんだ!!!」

 

キンジは警備隊から必死に逃げながら既にいない妹と親友の名前を何度も叫び続けた

 

 


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