ペースが落ちている一方ですがこれからも書き続けていきます
「それじゃあ、第・・・もう何回目かわからないフォース対策会議を始めるわよ!!」
フォース改めかなめがキンジの部屋に住み着いてから数日、アリア、白雪、理子は今日も今日とでどうやってかなめを追い払うか会議をしていた
のだが・・・
「ねえ?アリア?」
凛香がレキと一緒にアリア達にお茶を出しながら問いかける。
「何?」
「聞きたいんだけど本当にかなめちゃんを追い出す気なの?」
「当たり前でしょ!!あんた何言ってんのよ?」
「だって・・・いつも私達の部屋で会議をやるんだもの・・・嫌でも疑っちゃうよ・・・」
何故かアリア達はかなめ対策会議を毎回氷牙の部屋で開催する。現在かなめが住み着いてキンジの部屋の隣でもある氷牙の部屋の一室で・・・
「だってあたし達は追い出されちゃったし立地を考えるとここが拠点にはちょうどいいのよ」
「だからって・・・かなめちゃんは隣の部屋に住んでるんだよ?会議内容筒抜けじゃないの?」
そう聞くと理子がニヤニヤしながら
「それは問題ないんでないの?この部屋の防音対策は万全なんでしょ?」
と聞き返され凛香は顔を赤くして目を逸らしたので代わりにレキが返答した。
「否定はしません。確かに防音措置はしてあります」
確かにこの部屋は要塞化してあるし防音設備もある。特に3人の寝室は音楽スタジオレベルの防音壁になっている。そうでもなければとても毎晩のようにあんな激戦は出来ない・・・
「第一あいつは氷牙やあんた達には手を出す気は無いから言うなればここは中立地帯、一番安全に議論できる場所でしょ?」
「それにひょーたんの恐ろしさはあたし達が一番よく知ってるからねー?今更下手に手を出すような輩はもういないでしょ?」
「そういえば氷牙君はどうしたの?姿が見えないけど?」
「氷牙さんは出かけています。私達もついていきたかったのですが人の部屋で戦争でもやって荒らされたらたまったもんじゃないから暴走しないように見張っておけと留守を任されています。なので先に言っておきますがこの部屋で銃弾の一発でも発砲したら氷牙さんは勿論ですが私達も黙っていませんよ?」
そして壁越しにキンジの部屋の方を睨み
「当然貴女もですからね?アリアさん達の会議の時だけの盗聴ならまだ目を瞑ってあげますが・・・それ以外の時間に盗聴や盗撮したり壁に穴の一つでも開けたら容赦なく撃てと言われてますのでそのつもりでいてください?」
そう言うと壁の向こうで何か気配がゆらりと動き離れていった
「――ッ!?あいつもう盗聴していたの!?」
「まあ毎日この部屋に出入りして会議してれば盗聴されるのは当たり前だよ・・・」
「油断も隙も無いねー?やっぱこれからは一番防音対策が完璧なひょーたんたちの愛の巣である寝室で――ッ!!」
理子から寝室という単語が出た直後レキは威圧を放つ瑠璃色の眼で理子を睨むと
「寝室に入りたければご自由に?ただし、その時は私の魔弾が地獄の果てまで逃げようともあなたを撃ち抜きますので覚悟のうえで」
「は、はい・・・」
そしてレキと凛香は一礼すると部屋を出ていった。
「レキ・・・本当に誰かにすごく似てきたわね・・・」
一方、その似てきた誰かはというと
「ここにいたかキンジ、ってなんだ?ワトソンも一緒か?」
カーテンも閉め切った薄暗い美術準備室で二人きりになっているキンジとワトソンを尋ねていた。
「氷牙!?何でここに!?」
「お前を探してたんだよ。お前今自分がどれだけ目を着けられているか少しは自覚しろ。で?ワトソンとこんなところで何してんだ?もし嘘でもいいからこれから夜戦に入るって言うなら俺は歓喜しながら立ち去るんだがなぁ・・・」
「なっ!?何を言い出すんだ!!いや・・・だが最終的にはそう言う事になるのか・・・」
ワトソンは顔を真っ赤にして否定してるのか肯定してるのかわからない弁明をするが
「ま、どうせワトソンとGⅢやかなめについて情報共有してるってとこだろ?なら俺も混ぜろ。聞きたいこともあった事だしな」
俺は軽く流して本題に入った。
「・・・相変わらず自分のペースを崩さない男だよ・・・まあいい、だがどこで盗聴されているかわからない。まずは少しあたりを調べて・・・」
「なら安心しろ、クトネシリカの電気応用してこの一帯に電磁波流してる、無線の盗聴機なら全滅だよ」
「本当に相変わらず何でもありな男だよ・・・」
ただ直接見られてるならどうにもならないがな・・・でもそれは面倒だから言わん
「それで?あいつ等について何かわかったのか?」
「ああ、かなめに関してはともかくGⅢについてはほぼ判明した。2人の素性だが・・・あの2人は作られた人間だ」
「作られた人間?もしかしてホムンクルスだとか言うのか?まさか致命傷も数秒で完治したり何十回も殺さないと死なないのか?だったらもう人間なんかじゃねえ化物だろ」
「ホムンクルスというのはある意味そうだ。人工天才と呼ばれている人為的に作られた天才。優秀な遺伝子を持つ受精卵を人工子宮で育てて生み出された存在、それがあの二人さ。そしてその際に使われた受精卵の父親側が・・・」
「遠山金叉、キンジの親父ってわけか・・・そうなるとかなめの言ってた事、ある意味本当だったな。あいつらはキンジとは腹違いの弟と妹か。良かったなキンジ。親父さんの身の潔白は今回は証明されたぞ」
「ああ、よかったよ・・・って待て!!なんだよ今回はって!?次回なんかあるのかよ!?」
「可能性はあるだろ?だってお前の親父だし」
そう言ってまた軽く流した。
「そして化物という点もある意味肯定だ、GⅢは元アメリカの武偵だ。それも世界に7人しかいないRランクの一人でもある」
「Rランク・・・あいつそんな化物なのか・・・」
「君が言える立場じゃないよ・・・実際九狂君だって8人目、日本人なら2人目のRランクに最も相応しい男でもあるんだよ?いい加減ランク考察試験を受けたらどうだい?間違いなくSランクどころかRランク推薦が取れると思うよ?」
「そんなもんいらん、べつにEランクでも特に不自由はないしな」
「全武偵の憧れ、英雄的存在でもあるRランクをそんなもの扱いか・・・遠山もそうだが九狂君も自分の価値をもっと自覚した方がいい、特に九狂君はリバティーメイソンでなんて呼ばれてるのか知ってるのかい?」
「知らないし知りたくも無い」
「・・・この際だから言うよ「何としても味方にしたい、だがそれ以上に関わりたくない男」だよ。何としても引き入れたいが下手に手を出して藍幇のように怒りや恨みを買うのは非常に不味い。そんなリスクもあって無暗に手を出しては来ないが今もなお世界中の組織が遠山や九狂君をどうやって取り込もうか水面下で頭を悩ませ続けているんだよ?」
「勝手に悩ませてろ。俺はどこにも引き込まれる気は無い。手を出すならその手上半身ごと噛み砕いてやるよ!!」
「やはり手を出すのは危険すぎる男だよ・・・」
「で、話を戻すがあいつ元アメリカ武偵っていったな?何で元なんだ?」
「ある日発狂して生まれ育った研究所から脱走したそうだ。かなめを連れてね」
「自由を求めて妹連れて檻を破って飛び出したってとこか?だとしたらどこも狂ってなんていないと思うけどな」
それにもしそうだったらやっぱあいつとはどこか気が合いそうだ。
「勿論政府は何人も刺客を送り込んだ。だが1人として帰ってこなかった。みんなGⅢに惹き込まれたそうだ」
「キンジやあかりのように敵さえも味方にする求心力とカリスマ性も持ち合わせてるか・・・その辺はさすが兄弟ってところだな?」
「その後はいくら刺客を送り込んでも取り込まれるだけと気付いた政府は暗殺を中断して交渉・説得に切り替えたそうだ。そしてそれは今もなお続いている」
「なるほど・・・だから師団はあいつ等を倒すんじゃなくて引き込もうとするわけか・・・味方にすれば頼もしいことに違いはないからな」
「ま、困難を極めると思うぜ?ああいう輩はよほどのことがあっても簡単には誰かになびいたりしないぞ?」
「お前が言うと余計にハードルが高く感じるから嫌になるな・・・」
「ま、貧乏くじを引くのは毎度の事だと思ってあきらめるんだな」
「話をつづけるぞ?最後に君たちが気にしているセカンドとファーストにもついてだが・・・」
「そっちも何かわかったのか?」
「いや・・・何もわからなかった、違うな・・・何も無いんだ」
「何も無い?どういう事だ?」
「そのままさ、いくら調べても名前の一つも出てこない。こんな事、意図的に記録を抹消したとしてもありあえない」
「・・・確かに何も出てこないなんてありえないな。どんなに念入りに抹消しても必ずどこかに痕跡が残る。ってことは・・・」
「ああ、おそらくは・・・セカンドもファーストも最初から存在しない。僕らの憶測の存在でしかなかった。そう言う事さ」
「ならどうしてあいつ等は自分たちをサード、フォースって名乗っていたんだ?」
「いや、まて・・・まさか・・・そうだよ!お前じゃねえか!!!」
「「え?」」
氷牙はキンジを指して
「セカンドってお前だよ!!だってあいつ等も遠山金叉の子供だって言うなら2番目、セカンドはお前じゃねえか!!」
「じゃあファーストは・・・」
「間違いなく金一さんだな・・・」
「そうか・・・なんにせよこれで疑問は一気に解決したな・・・次の話に移ろう・・・遠山、君はかなめについて何かわかったか?」
「ああ、かなめの目的だが・・・あいつは俺を何としてでもヒスらせるつもりだ。かなめは俺でヒスり、そして俺はかなめでヒスる。そうすればいつでも一騎当千の兵士が二人、双極兄妹が完成する。それがあいつの・・・あいつ等の目的みたいだ」
「・・・それ出来るのか?だってお前・・・かなめにキスされてもヒスらなかったじゃねえか?」
あの時、病院でキンジはかなめにキスをされた。なのにキンジはヒスらなかった。アリアと、白雪と、理子とした時は何時でも何度目でも一発でなったのに・・・かなめの時だけならなかったんだ・・・
「俺も後々そう自覚して驚いたよ。あの時どうしてならなかったのか・・・俺も分からない・・・」
「それにお前の家系って確かとてつもないくらい男系の家系だろ?」
「ああ、俺も聞いた限りだけど遠山家の家系で女が生まれたことは皆無だ」
「女のHSSってどうなるんだ?HSSはお前ら一族の特異体質ではあるけどその本質は―――ッ!!」
――ドォォォンッッッ――!!!!
突然氷牙がディストルを抜いて窓へとレールガンをぶっ放し窓はカーテンや周りの壁ごと消し飛び風と光を惜しみなく取り入れる大穴が空いた。
「チッ・・・逃げやがったか・・・」
「お、おい氷牙!?お前何いきなりレールガンなんて撃ってんだよ!!」
「ネズミがいたからだよ。ほら、こいつを見ろ」
穴の淵に引っかかっていたレールガンで焼け焦げた布切れの様なものを拾い上げてキンジに投げ渡した
「これは・・・かなめが使っている磁気推進繊盾!?」
「ああ、どの辺からかは知らねえが・・・あいつ聞いてやがったな」
「たしかに・・・このあたりの盗聴器が機能していなければここで何かあると考えるのは当然だったね・・・油断していたよ・・・」
かなめの奴何かしでかさなきゃいいんだが・・・無理だよな、もうしてやがるし・・・あいつはきっと自分の事しか頭にないから気付いてないだろうな・・・
「ったく・・・打倒に燃えるのは結構だがその前に自分の周りをちゃんと見ておけよな・・・ホント阿保ばかりなんだから嫌になる・・・ま、しばらくは様子見て気が向いたら声かけてやって・・・あー、めんどくせぇ・・・それもこれもこのバカがいつまでもヘタレで甲斐性無しなせいだ・・・ほんとめんどくせぇ・・・」
氷牙は周りに聞こえないようにブツブツと呟くが
「ん?何か言ったか?」
「何でもねえよ。帰ったらお前の部屋の壁紙全部水着グラビアアイドルのポスターに張り変えて毎晩AV音声部屋に流し続けてやるって言ったんだよ」
「お前俺に恨みでもあるのか!!!!」
キンジは叫ぶが
「心当たりは?」
の一言で黙らせた。
そりゃ心当たりだらけだろうよ
同時刻、氷牙の部屋のリビングでもレキと凛香が今後について会話していた。
「いいの?私たちは会議に出なくて?」
「問題ないでしょう。氷牙さんもアリアたちの事はキンジに任せとけば大丈夫だ。放っておけ、むしろ問題はあの子達の方。だそうです」
「あの子・・・もしかしてアリアの戦妹?」
「ええ、遠山かなめは武偵校に編入してるんです。それも間宮あかりのクラスに。私も様子を見ましたが・・・少なくともクラスの女子はほぼ全員洗脳されて軍隊蟻になっています。おそらくはアリアさん達を完全に潰すために足場固めをしてるのでしょう」
「だけどもうアリア達には手は出さないんじゃ・・・」
「手は出さないんでしょう。少なくとも直接的には。間接的になら知らぬ存ぜぬと言い張れば足はつきません。だから学校中の女子を兵隊にして間接的に手を下そうというわけです」
「けどそれにはあかりちゃん達が邪魔なんだね?かなめちゃんもあかりちゃんと同じように女人望持っているけどあかりちゃんには敵わないから・・・」
「だからまずは彼女達を仲間割れさせて自滅させる気です。そのためにあれこれと根回しもしているようですしね」
「アリアの事だからきっと目が行ってないだろうね・・・」
「ですがこちらも私達が心配する事も無いでしょう」
「うん、氷牙がこんな状況放っておくわけないものね?」
「ええ、きっと今頃「打倒に燃えるのは結構だがその前に自分の周りをちゃんと見ておけよな・・・ホントあいつ等阿保ばかりなんだから嫌になる・・・ま、しばらくは様子見てその時がくれば止めてやるか・・・あー、ホントにめんどくせぇ・・・それもこれもあのバカがいつまでもヘタレで甲斐性無しなせいだ・・・これが終わったらあのバカどついてやる・・・ったく、ほんとめんどくせぇ・・・」といった風に文句を述べながら情報収取している頃でしょうね」
「それ間違いなさそう。めんどくさいって言っておいて、それでも見捨てるって選択肢は最初から無いんだから本当に素直じゃないよね?」
「そんな人だから私も凜香さんも惹かれたんです。違いますか?」
「それも違わないね」