緋弾のアリア 狂牙の武偵   作:セージ

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正月休み明けてからまともに休む暇がありませんが何とかやってます・・・


98話<戦闘準備>

「「何だこりゃ?」」

 

キンジと氷牙がアリア達のいる病室に入って第一声はそれだった。

なぜならアリアはギザギザな装飾がたくさんついた緑ワンピースに大きな透明な羽と妖精の格好をして。

白雪はチューブトップにミニスカートだけを着て頭には金色の輪っかが先端に付いた針金を乗せ背中には飛べそうにない小さい翼とやたら色っぽい天使の格好。

理子は黒のゴスロリ風なドレスにジャックの顔が書かれた大きなフードが付いた南瓜色のマントを羽織り、魔女とジャック・オー・ランタンを混ぜたような恰好を。

レキは頭に獣耳を付けて手足も同じ毛色の長いファーグローブとファーブーツ、体も上半身は同じくファーの付いたチューブトップと鎖の付いた赤い首輪、下半身もファーで作られた獣尻尾が付いたホットパンツのみと狼女をイメージされた格好だった。

 

そして最後に凛香を見た瞬間

「ゴガッ!?」

とりあえずキンジの首を横に90度曲げてやった。こればかりはあいつも感謝するだろう。

 

凛香の装いは小悪魔っつーか淫魔って感じなのか頭には悪魔の翼のような角をつけたカチューシャをつけ、黒の長いレザーグローブとニーハイブーツ、こちらの首には鎖の付いた黒革の首輪を嵌め、背中には同じく悪魔の翼を背負い、上半身は胸以外は殆ど露出してしまっている黒のレザーボンテージを着て、下に至っては下着そのものだったのだから・・・

 

つーか顔真っ赤にして恥ずかしそうに両手で体を隠してるけどそれなら何で着たんだよ・・・後、全然隠せちゃいないぞ・・・

 

 

「お前等その格好は何だ?」

キンジは首が90度曲がってみんなから目も顔も逸らした状態で尋ねた。

「何って今日はハロウィンじゃない?」

「あー・・・そう言えばそうだったな・・・」

今日はハロウィン、武偵高校の決まりで今日は仮装しなければならない。普段からお祭り騒ぎが絶えないくせに文化祭の後にすぐさまハロウィンとはどれだけ祭り好きなんだか・・・

だがやらなければ教務科に強制的にゾンビかミイラにされてしまう。それが嫌ならば何かしらそれらしい格好をしなければならないのだ

 

「あんたこそ制服のままじゃマズイでしょう?だから氷牙もわざわざ血糊メイクしてそれらしくしてるんじゃない?」

「いや、これ本物。さっきチンピラとヤクザの団体と喧嘩して土下座するまで叩きのめした」

「・・・・・・今日はゾンビとミイラの仮装をした人がたくさんいそうね・・・」

この男にかかればいつでもどこでもハロウィンに早変わりであった・・・

 

「それとだ・・・あれは何だ?」

キンジが壁の一角に立てかけてある銃を指して問いかける。

「見てわからないの?右からウィンチェスターM1887、M60、バレットM82、チャイナレイクよ」

「いや、銃の種類は聞いてねえよ!!何であんなものがあるんだって聞いてるんだ!!」

「勿論戦力増強の決まってるじゃない!あの女、フォース達もそうだけど眷属の連中もこれから先何度でも戦う事になるでしょ?」

「・・・ウィンチェスターは理子でM60は白雪として・・・バレットM82は誰のだ?」

レキが手を上げ

「私です」

「・・・隣のチャイナレイクは?」

「・・・はい」

凛香が申し訳なさそうに手を上げた。

 

「・・・一応言っとくが全部違法なのわかってんのか?」

「無駄無駄!!そんな法律ごときであたしたちは止められない!!」

理子が自慢げに胸を張って突き出してきた書類には・・・公安の名においてすべての銃が所持することを許可する旨が書かれていた・・・

 

もうやだこの子達・・・俺の胃をどれだけ痛めつければ気が済むんですか・・・

 

「・・・因みにアリアは何も頼まなかったのか?」

「私はいいわ、もっと強力なのが来たもの」

そう言って小箱に詰められたクレヨンのようにカラフルな弾頭の銃弾の詰め合わせを出した。

「まさか武偵弾か!?」

「ええ、バチカンが送ってきたの。キンジにも届いてるはずよ?たぶん家に届いてるんじゃない?お金に困ってるからって売るんじゃないわよ?」

「・・・しねえよ」

「ああ、こいつの金欠ならついさっき解決したからな。なんとも奇遇じゃねえか?バスカービル全員が同じ時期に装備を増強してるんだからよ?」

「・・・確かにな、まあ武偵弾や対物ライフルやグレネードランチャーなんて物騒な物ばかりだが全員装備を・・・・・・」

そこでふと気づいた、全員?違うだろ?まだ一人追加した装備が判明していない奴がいるぞ!?

 

「アリア・・・まさか氷牙にも武偵弾が届けられたのか!?」

「いいえ!?それは無いわ!流石にバチカンもそれはやめたみたいよ!」

キンジは安堵するがそれも当然である。こんな奴にそんな物持たせたらどうなるかわかったものではない・・・

 

 

じゃあこいつの新しい装備とは!?

 

 

 

その答えは向こうからやってきた

 

 

 

 

 

 

「とりっくおあとりーとなのだー!毎度おなじみあややなのだー!!」

扉が開きカボチャの被り物にマントとジャックの格好をした平賀ちゃんが病室に入ってきた。

 

「って平賀さん?何か用か?」

「ここにいると聞いてご注文の品をお届けなのだ―!丁度良かったのだー!ついでに遠山君にもこれお届けなのだ―!」

そう言ってカボチャパンツの中からOFG、オロチの左手を取り出しキンジに差し出した

「あ、ああ。ありがとう・・・」

今どこから出したのかは見なかったことにしよう・・・

 

キンジが自分にそう言い聞かせていると今度は

「平賀ちゃん、キンジのがついでって事は元は俺の注文?」

氷牙がそう聞くと平賀ちゃんは銃のケースを差し出した

「勿論なのだー!!氷牙君にもご注文の品物お届けなのだ―!!」

「それがお前の新しい武器か?」

「ああ、文化祭前にコルトパイソンをベースに改造してもらったんだ」

そう言ってケースを開けて取り出したのは全長がゆうに350ミリはありそうな大型拳銃だった。

もはやコルトパイソンの原型はほとんど残っておらず強度を補強されて骨太になったフレーム、唯一名残を残しているこちらも補強された回転式6連弾倉、何か組み込んだのか長方形型に拡張されたバレル。相当な魔改造品であることは聞くまでも無くわかった

 

「・・・ほとんど原型が無い改造をしたみたいだが・・・どんな改造をしたんだ?」

「全体の強度を底上げしてバレル内部には電磁加速装置を組み込んであるのだ―!だけど組み込んだのは機構だけなのだ。作動させるには肝心の電源が無いのだ?本当に構わないのだ?」

「大丈夫だ。そもそも電源入れてないからここまで軽量化できたんだしな」

「電磁加速装置!?それってまさか・・・」

「そうなのだー!つまりは小型レールガンなのだ―!」

「レールガンって・・・確かに聞いたことはあるけど確かあれって大電力を消費するから実用には至ってないって話よ!?しかも電源ないって・・・機能を組み込んでみたって肝心の電気がなくちゃ・・・あ!!」

どうやらアリアは察したようだ

 

「ああ、クトネシリカの電気を供給して電力を賄う。こいつはそれを前提にして作ったんだ」

「まさにあんたにしか使えない銃ってわけね・・・」

「いや?レールガンは使えないけど銃弾を撃つだけなら俺じゃなくてもできるぞ?まあ50口径に拡張してるから立って撃とうもんなら反動で後ろに吹っ飛ぶけどな」

それにレールガンだって俺にしか使えないってわけじゃない

「そんな訳で氷牙君にだけ使えるこの銃の名付けも氷牙君にお願いするのだ―!」

「ならもう考えてあるよ。こいつの名前はディストルだ!」

 

「50口径レールガンって・・・お前が一番おっかない物注文してるじゃねえかよ・・・頼むから少しは自重ってものを覚えてくれよ・・・」

そんなキンジの気苦労も知らず氷牙と平賀さんは笑顔で武器のチェックをしていた・・・こいつら・・・もうどうしようもない・・・

「まあ、何はともあれ全員戦力を増強したことだし。自称あんたの妹、フォースとか言ったかしら?これより私達バスカービルは総力をもってフォースに灸を据えてあげるわよ!!」

「りょーかい、やられたらやり返すのが武偵だしね!」

「当然、このままってわけにもいかないよね?」

アリアもガバメントのマガジンに武偵弾を装填して、理子もウィンチェスターM1887にスラッグ弾を装填して、白雪もM60に7.62x51mm NATO弾を装填すると肩に給弾ベルトを掛け

 

「・・・もしかして私達も灸据えに参加するのかな?」

「アリアさんの事ですから蚊帳の外なんてことはまずありえませんね」

「諦めろ。時には開き直りも大事だ」

氷牙もディストルに専用の50口径弾を、レキもバレットM82に12.7x99mm NATO弾を、凛香もチャイナレイクに40㎜グレネード弾を装填してゆく

 

「ホントお前等・・・戦争でもする気か!?」

キンジはこいつらホントにもうどうしようもない。と言わんばかりに項垂れ、平賀ちゃんも若干引きながら興味本位で尋ねてきた

「バスカービルの皆の怒りを買うとは怖いもの知らずな子なのだ・・・遠山君の妹って一体どんな子なのだ?」

「だから妹じゃねえよ・・・てか外見か?14~15くらいで髪は栗色のボブカットで目は深海色、見た目幼げな女の子だよ」

「そうなのだ?つまりはちょうどあんな感じなのだ?」

と平賀ちゃんが指した方には・・・

 

 

 

「あ、やっぱりお兄ちゃんここにいた!!」

武偵校の制服を着たあの少女、フォースがいた!!

 

「「「「「――――ッッ!!??」」」」」

 

それを見た瞬間ほぼ反射的に氷牙がディストルを、アリアもガバメントを、理子もウィンチェスターM1887を、白雪もM60を、レキもバレットM82を、凛香もチャイナレイクを一斉にフォースに向けた。

だがフォースはそんなもの取るに足らないといった様子でキンジに抱きついた

「お、おいっ!?フォース!?」

「キンジ!そのまま離すんじゃないわよ!!自分から地獄に来るとはいい度胸じゃない!!」

アリアがガバメントの撃鉄を起こすが

「ま、待て!!撃つな!!師団がこいつをどうするか聞いてるはずだろ!?てか俺ごと吹っ飛ばす気か!?」

「確かに聞いてるけど不安要素がありすぎるでしょ!!そいつは一度あたし達に襲い掛かったのよ!?しかも自称あんたの妹って怪しすぎるじゃない!!」

「キンちゃんどいて!!その雌猫駆逐するから!!」

「そうだよキー君!!大体ヤンデレならもう間に合ってるでしょ!!」

キンジとアリア達が言い争っているとフォースはキンジに抱き着いたまま俺達を睨み

「おいお前等、お兄ちゃんの言う事に従え!!何を揉めてるのか知らないがお兄ちゃんを困らせるな!!」

 

「「お前(あんた)の事で揉めてるんだよ(のよ)!!!」」

 

キンジとアリアがそう叫ぶとフォースはキョトンとして

「お兄ちゃん?あたしのことで揉めてるの?何で?」

「あ、当たり前だ!!お前が昨日こいつらに何したかわかってるだろ!!!昨日はいきなり襲い掛かってきて今日はいきなり現れて抱き着いて、なんなんだお前は!?」

「あたしはお兄ちゃんの妹、お兄ちゃんの傍に居ていいただ一人の女だよ」

「だから・・・俺に妹はいねえんだよ!俺には兄さんしかいないんだ!!」

「そうだよ!!キンちゃんに妹はいない!!小さいころからずっと監・・・見守ってきた私が言うんだよ!!そんなものいない!!」

「ちょっと待て!お前今監視って言わなかったか!?お前十何年前からいったい何やってるんだよ!?」

キンジ達とフォースが言い争う中、氷牙は・・・

 

――ドォォォンッッッ――!!!!

 

ディストルをぶっ放し電磁加速された銃弾はドアから外へ飛び出し向かいの壁に大穴を開けた

 

「「「「「――――ッッ!!??」」」」」

 

その光景には流石に全員が硬直して氷牙に注目した

「・・・威力はチャージ次第、弾速は言わずもがなで、精度も十分、流石平賀ちゃん、いい仕事だ」

そう言うといつの間にかベッドの下に退避していた平賀ちゃんはグッとサムズアップした

 

そして銃を下ろすと

「・・・フォース、いくつか質問させろ。このままじゃ埒が明かないだろ?それとも昨日の続きをやるか?」

「・・・・・・いいよ。それがお兄ちゃんのためなら答えてあげる」

「言っておくが黙秘はしてもいいが偽ったりした場合はそれも敵対行為とみなすぞ・・・お前は俺達が師団だから敵意を持っているのか?」

「そんな訳ないじゃん、あたしは戦役の事なんてどうでもいい。あたしの敵はお兄ちゃんに手を出す奴だ」

「だったらなんで昨日はアリア達を襲った?」

「襲った?あたしはお兄ちゃんに群がる害虫を叩き潰しただけだよ?」

「だ、誰が害虫よ!?」

「害虫・・・キンジに近づく女は潰すってか?」

「当たり前じゃん。お兄ちゃんに近づく雌は全部叩き潰すのが妹の務めだよ。だからお前やその他の女はどうでもいいし邪魔しなければ手を出す気も無い」

「・・・てか何度も聞くがお前は本当にキンジの妹なのか?」

「だからそう言ってるじゃん、あたしはお兄ちゃんの妹。疑ってるならDNA鑑定してもいいよ?私とお兄ちゃんは間違いなく兄妹、遠山金叉の子供だよ」

「・・・遠山金叉の子供?・・・・・・じゃあ母親は?」

「わかんない」

 

父親は同じだが母親は不明・・・それを聞いて俺達には一つの結論が出た

「血筋か・・・」

「血筋ですね」

「血筋ね・・・」

「血筋だねぇ・・・」

・・・・・・そういうことか・・・こいつはキンジの腹違いの妹・・・そしてヤンデレじゃなくて極度のブラコンだ・・・

 

「いや待て!!お前ら何納得してんだよ!!俺の父さんを勝手に貶すな!!」

「じゃあ否定できるのか?お前は天然女たらし、鐵さんは超絶助平爺。そして金一さんは・・・まああれだが・・・それなのに親父は真人間ですと断言できるのか?突然変異が何度起きたって無理だろうよ」

「う・・・」

「その上妹は極度のブラコン・・・あんたの一族は揃いも揃ってどこまで節操ないのよ・・・」

「んで?キー君はその腹違いの妹さえも毒牙にかけて攻略しようというわけですな?近親相姦っていくら何でも鬼畜過ぎやしませんか?」

「ま、今更一人二人増えても何も変わらんだろ。丁度よかったじゃねえか?ヤンデレ枠は埋まってるけど妹枠は空いてただろ?さっさとそいつも手籠めにしろ」

「出来るか!!自称でも腹違いでも妹に手を出すって人の道外れてるだろ!!」

「大丈夫だよ」

そう言うと突然フォースはキンジに抱き着いたままキスした

 

「「「「「――――ッッ!!??」」」」」

 

流石にそのアクションには全員が目を見開いた

「お兄ちゃんだから愛さえあれば関係ないよ」

「い、いや、全然大丈夫じゃねえよ!!てかお兄ちゃんだからってなんだよ!?お兄ちゃんだけどじゃねえのかよ!?どっちもダメだろうけどよ!!」

「え!?てかキンジ・・・お前・・・」

そして氷牙も信じられないと言った顔で目を見開いた

ただしアリア達とは別の意味でだ

 

だがそれを尋ねる間もなく

「こ、この・・・・」

「ふ・・・ふふふふふふふふふ・・・・・」

アリアと白雪がついにキレた・・・

「あ、キンジ・・・とりあえず今は逃げろ・・・もう何を話しても無駄だ・・・」

俺とレキ、凛香もベッドの下へと退避して

「それとフォース、質問に答えてくれた礼と言っちゃなんだが一ついいか?」

「何?」

「下の方はまだ誰も手を付けてない、多少は武力行使に出てもいいから食え!そんでこいつのヘタレと甲斐性無しを改善してくれ!」

そう言って親指を人差し指と中指の間に入れて突き出すと

「言われるまでも無いよ!任せてお兄ちゃん!!今夜は精の付くものいっぱい作るからね!!」

「お前ら・・・頼むからこれ以上俺の胃をいじめないでくれ!!!」

 

キンジの叫びと同時に

「この人でなし!!鬼畜武偵!!!風穴!!!!」

「泥棒猫!!偽妹!!!天誅!!!!」

「とりあえずお返しだよ!!便乗!!!」

 

――バキュン、バキュン、バキュン、バキュン――!!!

――ばりばりばりばりばりばりばりぃ――!!!!

――ガゥンッ、ガゥンッ、ガゥンッ――!!!

 

アリア、白雪、理子が一斉に銃をぶっ放すとキンジはフォースを連れたまま病室から逃げ出し

 

「逃がさないわよ!!!」

「地の果てまで追いかけてやるんだから!!!」

「逃げられるなんて思わないでよね!!」

アリア達もすかさず後を追い病室には氷牙、レキ、凛香、そして平賀ちゃんの4人が取り残された

 

 

「ほんと、遠山君や氷牙君の周りは揉め事が尽きないのだー?」

「まあ、ここまで来ればもう呪いだよな・・・それで、ディストルはしばらくはこれでいいとして・・・もう一つ、レッドクィーンの修理はざっと見込んでどれくらいかかる?」

「そうなのだー?まず単分子振動刀で切り込まれた部分の修復に刃の研ぎ直しに推進機構部の分解点検もして、この際だから氷牙君の提示した改良個所も全部改良するのだ―!!」

「てことは・・・1週間くらいか?」

 

平賀ちゃんはふっと笑い

「あややを舐めてもらっては困るのだ!3日もあれば十分なのだ!!」

「相変わらず頼もしいな?けどそんな優遇してもらってるのに料金は殆ど原価価格でやってくれるんだろ?本当にいいの?」

「構わないのだ―!むしろもっとサービスするからあやや以外の人には絶対に頼まないで欲しいのだ―!!悪魔の専属スミスなんて貴重な経験が出来るなら採算なんて知った事じゃないのだ―!!」

「・・・まあ、貴重な経験が出来てるなら何よりだ。そういう事ならこっちも今後ともぜひ頼むよ」

「お任せあれなのだ!こうしちゃいられないのだ!早速工房に戻ってレッツアップグレードなのだ―!!」

そう言うと相変わらず片方で出来ないのか両目でのウィンクをすると平賀ちゃんも工房へと帰っていった

 

 

 

そして残ったのも俺達3人になると

「そんじゃ、俺達も帰るか」

氷牙がそう言うと

 

――ガチャッ――

 

レキは何故か病室の鍵を閉め

「レキ?何で鍵なんて――グイッ――ッ?」

続いて凛香がいきなり俺に抱き着いてベッドに押し倒す

「お、おい凛香?いきなりどうした?てか服はだけて見えてるぞ!!」

そんな露出度極大の攻めた衣装着て倒れ込んだもんだから服がずれて最低限隠さないといけない場所までもが見えてしまっている・・・

だが凜香は顔を赤くしながらもそれを隠そうともせず

「み、見せてるんだよ!だってこの服・・・氷牙の為に着たんだから!!」

俺の左腕を掴むと自分の胸元へと引き寄せ

 

――ガシッ――

 

その間にレキもベッドに登り四つん這いで俺の目前に迫ると右腕を掴み

 

「レキ?お前まで何を――」

 

――ジャラ、ジャラ――

 

二人共自分の首輪につながれた鎖を俺の手に巻き付けて握らせた

 

「・・・は?」

 

何でだろうか・・・二人の首輪の手綱を握っているはずなのに何故か逆に手枷を付けられた気分にしかならないよ!?そして二人共まるで獲物を狩るような目で俺を見つめてますよ!?

 

「と、トリックオアトリート!!」

「お菓子くれないと悪戯します。その代わりお菓子くれたらご奉仕します」

・・・それ、どっちを選んでも何も変わらなくないか?

というかよく見れば二人はいつの間にか準備は万全であった

何の準備かって?例えるなら・・・戦意最高潮?全武装解放?最終安全装置解除?

 

凛香は色々と頑張っていても恥ずかしさがあるのか顔を真っ赤にしながら

「悪戯しちゃうよ!!今の私は・・・サキュバスなんだから!!」

 

――ムギュゥッッ――

 

「ッ!」

封印解放された自分の武装を同じくいつの間にか二人によって解放させられていた俺の武装に押し当て。

 

レキも興奮してるように顔を赤くして舌で唇をペロリと舐め回し

「もう我慢できません」

 

――カプッッ――

 

「―ッ!!」

四つん這いのまま綺麗に並ぶ歯をむき出しにするように口を開けるとそのまま甘噛みに銜えた。

 

 

武装って何なんだって?銜えてるって何をだって?・・・察してくれ、説明している暇は無い!このままでは俺はまた二人に根こそぎ搾り取られてしまう!!

どうすれば・・・俺がとるべき行動は・・・

 

→①2人からのリンクバースト!!バーストレベルMAX!!!

 ②控えろ人類!!魔王の凱旋だ!!!

 ③よろしいならば戦争だ!!征くぞ諸君!!!

 

どれを選んでも何も変わらない気がする・・・てかなんだよこの選択肢は!?跳ね除ける選択肢は無いのか!?・・・・・・まあ、あっても間違いなく選ばないけどさ・・・

 

――カプカプ、ムギュムギュ――

 

「―――ッッ!!!!」

あっ・・・もう無理・・・俺も我慢できません・・・完全に制御不能!!暴走します!!!!

 

 

 

その後、氷牙が二人を抱えて窓から部屋を出たのはそれから3時間後の事だった・・・

何で窓からだって?これだけは説明しよう・・・ドアの外に額を青筋で埋め尽くして仁王立ちした矢常呂先生が待ち構えていたからだよ・・・

 




ディストル:コルトパイソンをベースに電磁加速装置を搭載したレールガン、電力はクトネシリカから供給する事を前提に作られているため基本氷牙にしか扱えない。
ネーミングは破壊

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