クラウドが斬る!   作:ばうむくうへん

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爆破ミッション

 荷馬車は揺れ石畳の街道をゆく、酷く乗り心地が悪い。しかしそれも無理はないことだろうとタツミは思う。というのも自分の身体は今荷馬車の荷台のさらに下、車輪部に最も近くに設けられた二重底となったスペースに身を隠していたからである。

 

 僅かに覗く光を目にタツミは今一度思い返す、自らが望んで引き受けたこの『仕事』の経緯を――。

 

 

 ……………

 

 右手がガトリング銃の男は確かに言った、「アバランチ、活動開始だ」と。その名前にタツミは聞き覚えがあった、ナイトレイドのアジトへ招かれてから2日目、帝具の存在や帝国の近況をレオーネから聞かされていた時に耳にした組織の名前だった。

 

 ナイトレイドが殺し屋集団であるならばアバランチはお祭り集団だとレオーネはカラカラと笑って見せていたが、殺しとテロの境界線を測りかねたタツミは空笑いを返すだけに留めた。殺し屋などという物騒な連中と関わり、この上環境テロリストなど冗談ではない、願わくば一切の関わりがないことを望んでいた。

 

 悪いことは続くものだと悟ったタツミはティファに注いでもらったカクテルの残りを一気に飲み干す、少しでも気を紛らわせたかったがノンアルコールであるそれは高揚感を与えることも冷静さを与えることもせず、緊張によってカラカラに乾いた喉を僅かに潤すに過ぎなかった。

 

「ジェシー!作戦内容は!?」

 

 ティファにバレットと呼ばれた男はテーブル席にふんぞり返りながら赤いバンダナで髪をポニーテールに結った女性に怒鳴るような声で尋ねる。その振る舞いからこの男がアバランチのリーダーであろうことは容易に想像がついた。ジェシーはリーダーの虫の居所が悪いと知ると、淡々と作戦内容を告げる。

 

「予定通り、今日の午後に帝都エリア2で神羅の新型動力炉の発表式典が開かれるわ」

 

 部外者である自分が耳にしてはいけないと思ったタツミであったが、皮肉にも聞いてはいけないその情報はハキハキとした口調で話すジェシーの声もあって一言一句漏らすことなく耳に届いてしまう。

 

 本日の午後、帝国内組織『神羅』が予てより研究・開発を推進していた魔晄を動力とした新型機関の発表式典が予定されているとのこと。詳しい内容は事前の公開では伏せられているものの帝都中心部はおろかここミッドガルエリアにおいても広く知れ渡っていることから帝国としても今回の発表は大々的なものとして宣伝を行っていることが窺えた。今回の作戦の目的はその発表式典の妨害、だがそれは一筋縄ではいかない。

 

 これまでも神羅が手掛けてきた技術・製品には各方面から関心が寄せられてきた。それらによって人々の生活水準は高まり、それに伴う経済の活性化も期待できた為である。さらに今回の式典は大々的な宣伝を行っていたこともあり過去にない規模の関心・期待が寄せられていた。当然、その式典に配備される警備も尋常ではない。

 

 帝国軍兵士をはじめ神羅の私兵組織であるソルジャーも多数が警備に当たる、昨今のナイトレイドの暗躍やアバランチのテロ活動によって警戒を強めるのは当然と言える。式典を襲撃するのは容易ではなかった。

 

 だがその点についてはアバランチも理解をしていた。ジェシーは笑みを浮かべながら本作戦の真の狙いについて語りだす。

 

 発表式典の会場こそ帝都内に位置してはいるが帝国より北に2kmほど離れた位置に神羅の関連施設があった。式典そのものを妨害することは叶わないが近接するこの関連施設を襲撃することでアバランチの活動をより帝国・神羅、そして式典に多数訪れるであろう市民に知らしめるにはまさに絶好の機会であったのである。

 

「そ、それじゃあ!何も関係のない人達を巻き込むってことじゃないかよ!?」

 

 タツミの口から思わず飛び出たその言葉は店内にいる全員の注目を集めるには十分すぎるほどであった。左目を細め右目を大きく開いたバレットがタツミを睨みつける。

 

「なんだ小僧……!?テメェは帝国の人間かぁ!?」

 

 再び仲裁に入ったティファだが、タツミの身分がクラウドと同じ『何でも屋』と知るとバレットは鼻で笑う。その態度が癪に障ったがこれ以上騒ぎ立てることは自身はおろかティファにも迷惑がかかることを理解したタツミは震える拳をなんとか収める、そんな喧騒すら我関せずとカウンターに腰掛けていたクラウドだったが静かに席を立つと玄関へと向かっていく。

 

「待ってクラウド!どこへ行くの!?」

 

 ジェシーは慌てた様子で呼び止める、元・ソルジャーであるクラウドありきの本作戦と考えていただけにつまらぬ諍いで支障をきたすわけにはいかない。ティファとジェシー、気の強い二人から睨まれたバレットはその剣幕に思わずたじろいだ。その様子をざまあみろと笑みを浮かべる男、ビッグス。そのふくよかな身体とは裏腹に作戦前の仲間同士の争いに冷や汗を浮かべる男、ウェッジ。

 

 爆破テロという過激な行動を取る連中と聞いていただけにあるいはナイトレイド以上に危険な存在と捉えていたタツミであったが場所が酒場ということもあって酒の席の一幕を演じる彼らにどこか毒気を抜かれた気分になった。

 

 しかし先ほどの作戦を認めるわけにはいかなかった、帝国に属しているものの人々に裕福をもたらす技術を開発する神羅に対してテロ行為を行う意味を見いだせなかったためである。そんなタツミの表情から何かを思ったのかビッグスがアバランチの存在意義について語ってみせる。

 

 軍事兵器から生活技術まで手広く活動する神羅であるがその根底に存在する『魔晄』とはライフストリームに流れていった知識やエネルギーを差す。それらを吸い上げ運用しているというのが神羅の活動その実態であるとビッグスは語る。

 

 星に還っていった知識やエネルギーは星に蓄えられ、次なる生命へと受け継がれていく。星名学という学説によって提唱されたこの理念を信条として結成されたのが反帝国・神羅組織アバランチ、魔晄エネルギーを無作為に乱用する神羅、そしてその大元である帝国に対してテロという報復を行うのは全ては星の生命を守ることに繋がるのだとやや興奮気味にビッグスはタツミに詰め寄る、星名学を常に念頭に置いている彼の性格の一端が垣間見えた瞬間でもあった。

 

「ちょっと待ってくれよ!?星の命を吸い上げてるってことはサヨもイエヤスも……!」

 

 星の生命と言われても想像もつかないタツミであるがただ一点、懸念があったのは星に還っていったサヨとイエヤス。二人の生命も今この瞬間、魔晄エネルギーとして神羅に利用されているかもしれないと思うとわなわなと身体を震わせる、神羅に対する明確な怒りを募らせる。

 

「作戦開始時刻は1100!式典開始の2時間前だ!遅れんじゃねぇぞ!」

「ま、待ってください!……その作戦、俺も参加させてもらえませんか!?」

 

 先刻まで神羅に対する行為を批判したタツミの思わぬ一言にアバランチのメンバーは勿論、バレットも思わず目を開く。一体どういう風の吹き回しかと睨んだがタツミの瞳に映る並々ならぬ決意が物語る、それを見たアバランチのメンバー全員が理解する、この少年もまた「抗う者」なのだと。

 

「……クラウドはやっぱり手伝ってくれないんだね」

 

 士気を上げていく彼らを傍観するクラウドに対してティファが尋ねる、がその反応は薄い。気乗りしない仕事は引き受けないクラウドであるが今回の仕事もジェシーをはじめ、ティファからも度々勧誘されていた。そもそも彼がテロリスト集団と接点を持っていたのも幼馴染であるティファがアバランチのメンバーとして所属していたことにある。

 

 帝国、もとい神羅を嫌悪するアバランチリーダー、バレットと馬が合わないこともあって幼馴染であるティファが危険な活動に身を投じていることも気にしない素振りを見せていたクラウドであったがこうしてアバランチの拠点であるセブンズヘブンに足繁く通っていることから少なからず心配しているのだろう、そう女の勘を働かせたティファはクラウドに対して『魔法の言葉』を向ける。

 

「私を『守って』くれるんじゃなかったっけ?」

 

 それを聞いたクラウドは左右に首を振りながら1つ溜息を吐く、暫くしてから報酬の話をジェシーにつけたことで作戦参加の意思を示した。相変わらずバレットは報酬を釣り上げる要求に辟易しつつもこれ以上ジェシーとティファからの説教は御免とばかりに顔を背ける。

 

 タツミは先のアカメと全く同じ発言をしたティファと返事こそしなかったもののそれに応じたクラウドの意外な態度に驚きつつも何でも屋としての初仕事を共に行えることに胸を高鳴らせていた。

 

 

 ……………

 

 頬杖をつきながらセリュー・ユビキタスは恨めしそうに帝都を見つめていた。本日は帝国を上げての式典、帝都警備隊である自分にとってこれ以上ない晴れの舞台であるにも関わらず、神羅の関連施設とは言えこのような僻地に配属されたことに不満を募らせていたのだ。

 

「今日こそ正義を賊に知らしめるチャンスだったのに……」

 

 そう恨み節を呟くセリューの脳天に拳がコツンと触れる、加減はしてくれたようだが思いの外衝撃があったのか両手で頭を押さえながら少女は頭を上げるとそこには左目に大きな十字傷と中々の風貌の男が立っていた。

 

「オーガ隊長!痛いですよぉ!」

「持ち場を離れてんじゃねぇぞ、セリュー!」

 

 オーガと呼ばれた男は部下であるセリューの怠慢を叱ってみせたが本心では自分も同じ気持ちであった。

 

 鬼のオーガと賊から恐れられ、帝都警備隊の隊長という役職に就いていた彼は宮殿付近のメインストリートを中心に幅を利かせていた。権力という名の下に賄賂をもって擦り寄る輩は多く、中々に居心地の良い毎日を送っていた。そんな彼が部下共々僻地に送られている背景にはソルジャーの存在があった。

 

 現在行方不明と帝国・神羅に認定されてはいるが未だにセフィロスを英雄視する市民は多い、故に帝国は現在帝国兵よりも神羅の私兵であるソルジャーを主軸に軍備を編成していたのである。

 

「くそったれ!!」

 

 詰所に戻ったオーガはセリューとさして変わらぬ恨み節を呟くと常々懇願する、自分の身近で何か大きな事件が発生しないかと。武功を挙げて有能を示せば必ずまた甘い蜜を吸えることを望んでいたこともある。が、亡き父が帝都警備隊に属しており、父の遺志を継いで帝国兵となったセリューを始めとした若手達の芽を潰したくはないという思いもあった。

 

「なんでもいい……!どいつでもいいから派手にやらかしやがれ……!」

 

 そんなオーガの願いを聞き入れたかのように施設には一台の荷馬車が接近しつつあった。

 

 

 ……………

 

 一方、帝都内エリア「ミッドガル」を歩くアカメであったが少々トラブルに接触していた。掃き溜めのような街では鼻もよく利くのだろうか、全身をマントで覆っていた人間を女性と感づいたゴロツキ数名がアカメを取り囲んでいたのだ。勿論、彼女にとってゴロツキ共を叩き伏せることなど造作もないことであったが、式典当日である今日はミッドガルエリアにも帝国兵の姿が見える、ここで騒ぎを起こすことは手配書が出回っている彼女にとってなんとしても避けなければならない。

 

 

 と、本来の彼女であればそう判断していただろう。だがアカメは日中の帝都に単身で潜入という行動に走っている時点で既に冷静を欠いていた。さらに下卑た言葉を並べる輩に対して気分を苛つかせたアカメは懐に隠し持っていた村雨を力強く握ると一歩前に出る、その時ゴロツキの一人が叫び声をあげる。その背後には手首をねじ上げるレオーネの姿とラバックの姿があった。

 

「これ以上おいたすんならこの腕もらっちゃうぞ~?」

 

 帝都ではマッサージ師の身分を持つレオーネであるがミッドガルでは喧嘩っ早さと借金が目立つ荒くれ者で通っている。レオーネと縁のある女に声を掛けてしまったことに渋々と男たちは去っていく。レオーネのお陰でさしたる騒ぎもなかったことに胸をなで下ろしたラバックだったがアカメの前に立ったレオーネがその頬を力強く叩くと再び緊張感がその場を襲った。

 

「アカメ……お前、今なにしようとした?」

「レオーネ……すまない……!本当に……すまない……!」

 

 いかにゴロツキとは言え一市民、制裁こそ加えても帝具を用いて殺害すればそれは信念も持たない賊となんら変わらない。アカメは詫びると共に過ちを止めてくれたことに礼を告げた。レオーネも当初は普段見られないアカメの反応を楽しんでいたが今回の帝都潜入といいあまりにアカメらしくない行動に戸惑いを見せていた。

 

 すると先の件もあって幾分周囲が賑やかになるとレオーネはアカメとラバックの二人に付いてくるよう促す。

 

「どこ行くんですか、姐さん?」

「な~に、私の行きつけの店だよ」

 

 ……………

 

 グラスを磨きながら時計の針に目をやったティファはそろそろ作戦開始時刻を迎えることに若干の焦りを覚えていた。これが初めてということではないが何度経験しても慣れるものではない。それは父バレットの帰りを待つマリンも同様であった。普段は忙しなく店内を駆け回っている少女もバレットが仕事に出ているときは大抵父の絵を画用紙に書き続けていた、何枚も何枚も。

 

 こんな時に限って客足は鈍く時計の秒針がやたらと煩く刻む音を鳴らせていると勢いよく入口の扉が開かれる。

 

「よっ!ティファ」

「レオーネ!久しぶりね」

 

 久しぶりの常連客の来店にティファの顔にも明るさが灯る。以前街で絡まれていたところを助けてもらったことで縁があった二人、互いにその素性は知らなかったが親友の間柄でもあった。

 

「珍しいわね、こんな時間に。飲んでいくでしょ?」

「モチ!ついでにコイツらにも頼むよ」

 

 レオーネの背後からラバックは鼻の下を伸ばしながら顔を覗かせていた。ティファの大胆なファッションとその豊満なバストに目が釘付けになったラバックだったが腰から胸にかけて視線を上げていくとその顔立ちに驚く、真っ直ぐに伸びた長い黒髪と澄んだ朱色の瞳。アカメに瓜二つだった、体格こそ異なるが姉妹と言われても遜色ない。

 

 顔を見比べようとレオーネの背後でマントを被っていたアカメに向き直ったラバック、しかしアカメの表情は恐怖に怯えているようで玉のような汗を浮かべ、動悸を激しくさせながら奥歯をカタカタと震わせている。やがて自身の姿を隠すことなく顕にしたアカメが一歩前に出る。

 

「う、嘘だ……!お前がティファ……!?」

「あれ、貴女どこかで見たような?もしかして手配書にあった――」

 

 アカメに気づいたティファであったがレオーネやラバックが思った以上に動揺しなかったのは自身も日陰者であるアバランチのメンバーであることからだったがそれ以上にアカメの異常な様子に2人は驚いていた。

 

「あ、アカメちゃん!?どうしたんだよ!?ティファさんと会ったことがあるのかよ!?」

「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ!!お前が、ティファ……!なら私は、何の為に……!?」

 

 両手で頭を抱えたままその場に蹲るアカメ。もはや正常な状態ではないと悟ったレオーネとラバックはアカメに駆け寄る、何事かと怯えたマリンを抱きかかえながらアカメのもとへと恐る恐ると近づくティファ、顔を埋めたままアカメがうわ言のように呟くのはクラウドの名と呪詛のように謝罪を繰り返していた。

 

 

 ……………

 

 

「そこの荷馬車、止まれ!」

 

 

 神羅の施設へと接近していた荷馬車は当然、検問にかかり施設入口前で呼び止められると門番の兵士が御者の身分を確認しようと近づく。

 

「お仕事、お疲れ様です。帝国から差し出しをお届けに上がりました肉屋「カルビ」の者です」

「帝国が差し入れだって…?身分証明はあるのか?」

 

 御者が取り出した書簡は肉屋カルビの営業申請書と帝国の書留がされていた、念のため荷を確認するが確かに香ばしい肉の香りが漂っており思わず流れ出た涎を拭った兵士は入口前の門扉を開けると通行を許可した。ひとつ御者にしては随分と若い女性だと訝しんだが通り過ぎる際に女性がウインクを寄越すとニヤけ顔のまま再び正面に向き直った。

 

「う・か・つ♪」

 

 御者に扮していたジェシーは去り際に笑みを浮かべながら荷馬車を走らせると備品を搬入する裏口へと回った。

 

 やがて人気のない場所に荷馬車が止まったことを確認したバレット、ビッグス、ウエッジ、そしてタツミは荷台の底から姿を現す。流石に長時間狭い荷台の下、しかも大の男4人で密集していただけに外の空気を大きく吸い込む。だが一息つくのは僅か一瞬、ビッグス、ジェシーの二人はともかく体格の大きいバレット、ウェッジすら機敏な動きでそれぞれの持ち場に着くと慌てるように指示されていた持ち場に移動したタツミは予めジェシーが用意していた施設内の地図を広げる。

 

 作戦の第一段階である施設内への侵入は難なく成功、第二段階はいかに潜入を気取られることなく爆破対象である施設内機関に接近することにあった。互いに周囲の気配を警戒しながら歩を進めるタツミはまもなく作戦の第三段階に移行する頃だと正門がある方へと目をやる。この作戦の『キモ』でもあるクラウドの身をひとつ案じながら再び施設内へと駆け出していった。

 

 

 タツミらが施設内へと侵入してから暫く、未だに顔を緩めていた兵士であったが街道から徒歩で近づく男に目が止まるとようやく顔を引き締めると即座にその場で留まるよう勧告したがそれも当然。男は背負っていた大剣をゆっくりと抜くと真っ直ぐに正門へと迫っていたからである。

 

 明らかな不審者であると捉えた兵士が警鐘を鳴らすと施設内の至る場所から帝国兵が姿を現す、その対応は見事なまでに迅速であったが彼らもまた鬱屈していた任務にやってきた賊の到来に胸を躍らせていたのだ。

 

「思っていた以上に釣れたな」

 

 タツミらがターゲットを爆破するまでの間、表で派手に騒ぎを起こすというのがクラウドの役割であったが作戦の第三段階は概ね成功したと納得すると敵陣の中へと駆け出した。

 

 

 ……………

 

 

 道中大所帯で向かうのは危険であると判断したバレットの提案で1人で施設内をゆくタツミ、表が騒がしくなったことでクラウドが交戦に入ったことに気づくと目標までの道を急いでいた。自分がこれから何をしようとしているのか理解はしているつもりだがやはりどんな目的意識を掲げていても犯罪を起こすことに良心が痛む、ふと目線を下に落としたタツミは曲がり角の通路から姿を現した影に気づかずに身体をぶつけてしまった。

 

「きゃぁっ!?」

「うわぁっ!?」

 

 両者ともに急いでいたせいか、勢いを乗せたまま床を転げるが流石の身のこなしで受身を取ったタツミは思わず倒れ伏したままの兵士に声をかけた。顔は見えなかったが朱色のポニーテールの髪型から女性であると窺い知れた。

 

「あ、あのスイマセン!大丈夫ですか!?」

「え、ええ。貴方、見ない顔ですけど誰ですか?」

 

 ジェシーがこの場に居れば間違いなく「迂闊」と言われるであろう行いを悔いたタツミは慌てふためきつつも偽造された書簡を見せながら肉屋の業者であると語った。書簡と自分の顔を交互に見ている女性に祈るように素性が悟られないようにと願うタツミであったが次の瞬間には女性は顔を輝かせながらタツミの手を取った。

 

「市民の方だったんですね!?ここは危険です、私と一緒に来てください!」

「え、あ、あの、ちょっと!?」

「遠慮はいりません、私は帝都警備隊のセリュー・ユビキタス。正義の軍人ですから!」

 

 セリューに手を引かれながらタツミは目標とは在らぬ方へと誘導されていく。作戦は万事順調と施設内をゆくバレット達であったが思わぬ障害が発生しているとは知る由もなかった。

 

 ……………

 

 アバランチが神羅の研究施設に襲撃を仕掛けている頃、時を同じくして帝都では間もなく神羅による魔晄動力炉の発表式典が執り行われようとしていた。これまでの実績もあり宣伝活動の効果もあって会場となるエリアでは帝国民の実に4割がその場に訪れており、注目度の高さを伺わせる。

 

 帝国関係者が集う特設の舞台、そこで恰幅のよい男2人が群がる民衆を見下ろしながら談笑を交わしていた。

 

「いやはや、神羅の名前も今やこれだけの影響を与えるまでに至りましたな、プレジデント卿?」

「いえいえ、これもオネスト様が目をかけていただいた故のこと」

 

 1人は現帝国の大臣にして帝国腐敗の元凶でもあるオネスト、片手に持った燻製肉を貪りながら下卑た笑みを浮かべつつ眼下の民衆の群れをまるで蟻の行軍のように見下ろす。

 

 その大臣の隣で葉巻を片手に派手な赤のスーツを纏う男はプレジデント神羅、その名が示す通り帝国内組織「神羅」の創始者にて現最高責任者でもある。

 

 いかに帝国の大きな力になっているとは言え、一介の兵器開発部門でしかなかった組織が「神羅」という個人の名を冠し、事実上最高権力を掌握しているオネストの横で対等に言葉を交わせるのもひとえに「魔晄エネルギー」の発見と実用の成功、そして強大な戦闘力を誇る「ソルジャー」を有していることにあった。辿ってきた道程はそれぞれであれ、オネストとプレジテント両者の姿は写鏡のようであり正に私腹を肥やした者と言える。

 

「ところで例のアバランチ…でしたかな?釣れますかな?」

 

 群衆に目をやりつつオネストはテロリスト集団アバランチの式典襲撃を懸念する、これまでの活動からも本日の式典への妨害は容易に想像できる。だからこそ警備の数も通常時の3倍にも増やし神羅の私設兵でもあるソルジャーも多数配備しているのだ。もっともオネストにとっては会場式典に集う民の身を案じている訳ではない、寧ろ派手に賊に暴れてもらい帝国が場を収めればそれはまた格好のPRの場となる。

 

 その為に大袈裟なまでの宣伝活動を行ってきたのもいつ何時現れるか分からないナイトレイドよりもアバランチが現れる可能性が高いと踏んでいたからである、アバランチなど有象無象の輩としてしか捉えていなかったプレジテントであったが目の前に飛び続ける羽虫は鬱陶しかったのか今回の式典を機に一掃できるならとオネストの策に乗った。

 

「釣れればよし、釣れなければ所詮奴等の思想などその程度ということですな」

 

 グラスのワインを一口飲み干したプレジデント、彼もオネストも些事にすぎないささやかなゲームの行方を楽しんでいた。

 

 

 

 ……………

 

「う、うわぁぁぁっ!!」

 

 その叫び声とともに帝国軍兵士の男5人がほぼ同時に宙を舞う、クラウドが横に薙いだ剣の一閃で屈強な男たち5人が爆ぜた火薬の如き勢いで壁に地に叩きつけられた。タツミらが潜入してから5分、陽動を担当していたクラウドであったが既に配備されていた帝国軍兵士の3分の1以上を撃退していた。

 

 当初は向う見ずな輩が単身乗り込んできたと舐めてかかっていた帝国軍であったがその鬼神の如き強さの男を前に考えを改めると後方に待機させていた銃撃隊に一斉射撃を命じる、ライフルを持った狙撃手が複数名クラウドに照準を合わせつつさらに短機関銃を構えながら接近する兵が数名、最後方には砲弾を携えるなどまさに必殺の布陣を敷くと一斉にその引き金を引いた。

 

 だがクラウドは手近の兵を斬り捨てながら前進をすると狙撃手が放った銃弾を跳躍にて回避、さらに宙を駆けつつ放たれた砲弾に剣の切先を翳すとその軌道を上空へと逸らしてみせた。

 

 砲弾を真っ二つに斬り裂くことも容易かったがそうはしなかったのは帝都から離れているとはいえ砲撃の爆発音を気取られることを避けた為である。また必要以上に派手に立ち回るのも陽動としての自身の立場を理解、もとい契約上の任務と割り切っていたことに過ぎない。

 

 涼しい顔で大剣を構えるクラウドに対して密集陣形を敷いていた前衛から割って入る男が一人、その大柄な体躯を顕にする。待ちに待っていた賊が現れたことに満足する一方で地に倒れ伏す部下達の数に相当の手練であると理解すると帝都警備隊 隊長であるオーガはゆっくりと剣を抜くと中段の構えを取った。

 

 その構えに思わず部下達も息を呑む、「鬼のオーガ」と呼ばれるのはその強さだけでなく型にはまらぬ豪快な剣捌きと、どのような状況でも笑みを浮かべながら剣を振るう様からも由来する。そのオーガが基本に忠実な構えと真横に口を噤んでいることから改めて目の前の金髪碧眼の男に対する警戒を強めた。

 

「お前ら下手に手を出すんじゃねぇぞ……!」

 

 対してクラウドも目の前にいる男が只の雑魚ではないと悟ると肩に担いでいた剣を八相の構えにて迎えうつ。

 

「その服……よりにもよって相手はソルジャーかよ!」

「元、だ。どいつもこいつも何度言わせる気だ」

 

 クラウドの出で立ちを見たオーガは思わず苦笑する。着崩してはいるが濃紺のタートルネックと左の肩当て、そしてバックルに施された紋様はソルジャーの証、ソルジャーによって立場を追われた彼が望んでいた賊の到来がソルジャーだったとはつくづく因果なものである。

 

「ぬおおぉぉぉ!!」

 

 咆吼一番にオーガは右足を力強く踏み出した。

 

 

 ……………

 

「ち、ちょっと待ってくださいよ!あの…セリューさん!?」

「何を言うんですか!?いつ賊がここに来るか分かりません!一刻も早くここから離れないと!」

 

 セリューに腕を掴まれながらタツミは目標から全くの逆方向へと誘導されていた、だがバレット達が爆破目的である施設の中枢部へとそろそろ辿り着いている頃を考えればこのままセリューという軍人を自身に引きつけつつ脱出するのも一つの手と考えていた。

 

 腕を掴んでいるセリューの力強さからは身を案じている真剣さが伝わってくる、純粋な人の善意を作戦遂行の為に利用していることにタツミの胸は痛む。今更であるが一時の感情に振り回されて愚行を犯しているのではないかと苛まれた。そう思うといつの間にかぐっと瞼を閉じ、腕を引くセリューに身を任せるように歩を進めるタツミはせめてもとアバランチの無事を祈った。

 

 ……………

 

 狭い通路で小気味のいい連なった銃声が響き渡る、義手に代わりガトリング銃を右腕に携えたバレットが立ちはだかる帝国軍人に向けて発砲を行っていた。為す術もなく灰色の床を赤く染め上げたレッドカーペットの上をアバランチの面々が駆け抜ける、タツミを除いた全員が無事合流を果たしていた。

 

「おう、ビッグス!あの小僧はどうした!?」

「知らねぇよ!こっちも手一杯だったんだ!ジェシー、ウェッジお前らタツミ見たか!?」

「途中までは一緒だったけど……」

「俺も見てないッス!」

 

 会話を交わしながらバレットは眼前の敵を射殺、ビッグスとウェッジがバックアップに回り、ジェシーが施錠された扉の開錠を行う。実に精錬された動きで目標へと迫っていた。

 

「クラウドとタツミ、二人共無事かしら……?」

 

 ジェシーは外で敵を迎撃しているクラウドと行方知らずのタツミの身を案じたが正式メンバーではないことと報酬を支払わなくて済むとバレットは皮肉を込めて笑ってみせる、笑えない冗談だとバレットの尻を革製のブーツで思い切り蹴り上げたジェシーは目的地の最後の扉を解錠する。

 

 帝国が採用する錠はパズルのような複雑なパネルを結合させるものであるが機械工学に精通する彼女の手に掛かれば帝都の雑貨屋で売られている子供の玩具に等しい。

 

 開かれた扉の先には巨大な筒状の機械が地下深くまで続いておりその先には淡い光が見える、それこそが神羅が魔晄エネルギーと名付けている星の命そのものである。筒状の機械を介してその光が立ち昇っていることから吸い上げられている様子が見て取れる。

 

「くそったれ!星の命は石油とは違うんだぞ!帝国も神羅もふざけやがって!」

 

 星名学に傾倒するビッグスは怒りに震える手で手近な機材を殴りつける、勿論それで済むはずはなくジェシーが所持していた爆弾を早々に仕掛け始める。

 

「俺たちが脱出する時間を考えて爆破まで5分の設定だ、できるなジェシー?」

「待って!私達やクラウドはともかくタツミはどこにいるのか分からないのよ!?」

 

「ジェシー!!」

 

 バレットは細かい説明は省いてジェシーの名を力強く叫ぶ、ジェシーもその言葉の本質は理解していた。ここで時間を掛ければ掛けるほど危険が迫ること、そして反帝国・神羅組織アバランチの内々の掟である「目的の為には手段を選ばない」それは仲間の命も含まれていた。奥歯に力を込めたジェシーは時限式爆弾の起爆を5分後に設定、それを確認したバレットらはタツミの無事を祈りつつ足早にその場を去った。

 

 ……………

 

 風を斬り裂く音が周囲に響き渡るほどの剣速をもってオーガは剣を振るうがその剣戟をクラウドは手に持った大剣を交えることなく回避する。一見するとオーガの猛攻に手が出せないと捉えることができて帝都警備隊長であるオーガを鼓舞せんと部下たちが声を上げる。

 

 だがオーガには解せなかった、相手の力量が分からぬほど愚かでなかった彼は一閃、また一閃と剣を振るう度に疑念を募らせていく。

 

(何故だ、何故手を出してこねぇ!?)

 

 その気になれば反撃の機会はいくらでもあったにも関わらずクラウドが守勢に回っていたのは『合図』を待っていた為、バレット達が潜入してから10分、首尾よく事が進んでいれば間もなくその時を迎えるはず。

 

 と、施設の裏口から馬の嘶きと共に荷馬車が勢いよく飛び出す、その『合図』を受け取ったクラウドは下ろしていた剣を再び構え直すとオーガの前に立つ。

 

 

「――悪いが、ここまでだ」

 

 

 その言葉を聞いたオーガは咄嗟に身の危険を察知し剣を横に防御姿勢を取った、がオーガが剣を構えるよりも早くクラウドの剣がオーガの身体を払う。

 

 

「がはっ……!?」

 

 

 グラリとその巨体をよろめかせるオーガ、隊長の危機に部下達が反応し迎撃姿勢を取ろうとした瞬間、オーガが大地に身を預けると同時に数十人の帝国兵の意識は刈り取られていた。

 

 そのクラウドの下に駆け寄る荷馬車、手綱を握るジェシーだがその様子が慌ただしいことに気づいたクラウドは問題が発生したことに溜息を一つ吐いた。

 

「タツミがいない?」

「そうなの!もう爆破まで時間がないのに……!まさかまだ施設内に!?」

 

 爆破まで残り1分を切ろうという時に考えを巡らせる時間も暇もない中でジェシーから知らされた報。急いで離れなければ巻添えを食うことはおろか、事態を察知した帝国から部隊が派遣され包囲されるかもしれない。先のバレットの言葉もあり断腸の思いで手綱を握るジェシーだったが――

 

「クラウド!?どこへ行くの!?」

「先に行っていろ」

 

 咄嗟にクラウドの行先を訪ねたジェシーだったがその問いが「迂闊」だったことは分かりきっていた、爆破まで残り僅かでタツミの救出に向かったクラウドに対してジェシーは戻れとも助けてこいとも声を掛けられない、切迫した状況を招いたのは他でもない自分達なのだから。

 

 ……………

 

 しまったとタツミが気づく頃には既に遅すぎた、セリューがタツミの手を引いて向かっていたのは施設の外ではなく要人用の避難所だったのだ。幾分頑丈に出来ているようだがあくまでも銃撃など想定範囲内に過ぎない。事前に知らされていた爆破の規模を考えれば施設内のどこにも安全な場所などないのだ。

 

「セリューさん!急いでここから逃げましょう!」

「ここより安全な場所はありませんよ、大人しく待っていて下さい!私は賊を始末してきますので!」

 

 そう言いながらその場を後にしようとしたセリューの腕を今度はタツミの腕が掴む、その余りの力強さに賊の討伐と血気に逸っていたセリューも思わずその足を止めた。

 

「一体どうしたんですか?大丈夫です、あなたの安全は私達が…」

「そうじゃないんだ!ここは……この施設はもうすぐ爆破されるんだ!」

「どういう……ことですか……!?」

 

 

 何か上手い言い訳でも立てられれば良かったがその余裕がタツミにはなかった。苦し紛れにアバランチのメンバーがそう計画しているのを聞いたと話したが明らかにセリューの目は疑心暗鬼に満ちていた、だがその事を憂いている場合ではない。このままでは爆破から逃れても生き埋めになることは明らかだとタツミはセリューの手を強く引くとそのまま出口へと向かう。

 

「ち、ちょっと!離しなさい!あなたには聞きたいことが……!」

「話ならここから出たらいくらでも聞きます!だけど今は!!」

 

 タツミの表情から嘘はついていないと感じたセリューは喉につかえる言葉を飲み込んでまずは施設からの脱出を優先すると先を行くタツミに出口までの方向を指示していく。タツミも初対面、しかも帝国軍人でありながらセリューの言葉を全く疑わなかったのは互いに命の危険に晒されている以上、不要な詮索は無粋と感じていた。やがて出口まで残り僅かというところで突然の地鳴りが襲った。

 

「きゃぁっ!?」

「セリューさん!?」

 

 バランスを崩したセリューが転倒すると直後に激しい轟音が廊下の奥から響き始める、仕掛けていた時限式爆弾が遂に起爆したのだ、連鎖的に爆発を起こしながら狭い通路を爆風が駆け巡る。

 

 タツミは急ぎセリューを抱き抱えると扉を蹴破る勢いで外に飛び出す、その直後火炎放射の如く直線に伸びた爆風がタツミの背中を掠めるとあらゆる場所から爆炎を巻き上げつつ上空に巨大なキノコ雲を上げる。

 

 

 

 それは祝辞を終え、動力炉の概要説明を行っていた式典会場からもまざまざと映り、市民をはじめ帝国軍人もそれぞれ遠方の爆炎に視線を向けていた。

 

「一本取られましたなぁプレジデント卿?」

「いやはや、参りましたオネスト様」

 

 肉を頬張りながらオネストは「アバランチが襲撃する」という賭けに勝った喜びを顕にした。対するプレジテントも負け惜しみの様子を全く見せることはなく、懐から賭け金を取り出すと静かにオネストの前へと差し出した。

 

 

 

 

(――しっかり……しっかりしてください……!)

 

 

 

 未だ激しく噴煙を上げ続けていた神羅の研究施設であったがようやく爆炎の噴出が沈静化しようとしていた、セリューに覆いかぶさる形で庇ったタツミは自身を呼び起こす声にゆっくりとその瞳を開くと----

 

「セ、セリューさん……無事だったんですね、よかった……」

「自分の心配をしてください!本当に危なかったんですよ!?」

 

 セリューに膝枕をされる形で目を覚ましたタツミは体の節々に痛みが走るとその痛みに顔を歪ませる。セリューの言うとおり危機一髪の状況だった事に理解が回ると沈んでいた恐怖が今更身体を襲い始めた。

 

「もう大丈夫ですよ…助けていただいてありがとうございました、えっと……」

「あ……俺、タツミっていいます」

 

 感謝を告げたセリューが口篭った事にタツミは自身の名前を告げる、今度は「迂闊」ではない。そこには打算もなく唯一人の人間として当然のことをしたまでのこと。

 

 

「タツミ……、改めてありがとうございました、私は――」

 

 

 その時セリューの背中に一閃が走るのを見たタツミは力無く自身に倒れ掛かるセリューの肩を無意識の内に受け止めたが状況を理解することができなかった、セリューの背後に立つクラウドの姿を見るまでは。

 

「生きていたか、中々の渋とさだ」

「クラウド、さん……?」

 

 剣を背中に背負ったクラウドは何食わぬ顔でタツミに手を伸ばしたがその手をタツミは受け取れなかった、自分の腕の中でうな垂れる少女に目の前の男が何をしたのか頭で理解できなくとも心が理解していたのか。タツミの腕はクラウドの差し出した手には伸びずに背中の剣へと向かう、そして次の瞬間にはクラウドに向かって抜刀した剣を向けていた。

 

「クラウドさん……あんた何やったんだよ……この子に今、何やったんだよ!!?」

「その服は帝国軍人の者だ、お前は顔を見られた。だから斬った、それだけだ」

「ふ、ふざけんなよっ!!」

 

 言葉と共にタツミは剣を振るっていた、だがその剣はクラウドに届かない。精神が、心がいくら叫んでも肉体は悲鳴を上げていたのだ。突き出した剣がクラウドに届く前にタツミの両膝は崩れ落ち無様に顔面を地に打ち付ける。

 

「それだけ動ければ問題はなさそうだな」

 

 意識を失ったタツミを担ぎ上げるとクラウドはジェシーが駆る荷馬車が去った方角へと進みだした。

 

 

 つづく


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