三日月は流離う   作:がんめんきょうき

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活動報告の通り、リアルの事情で執筆活動が一時中断するので、更新を休みにしようかと思いましたが、早めに投稿する事にしました。
他の事にも言えるのですが、あーだこーだ理由を付けて一度サボると、意外と引き摺るもんですからね…。


第十八話 三日月と滅火と任務と…その他諸々

 覚醒の間の中心に、逆様の錐台型の透明な結界が張られており、その傍らに立つのは藍染。

 結界の中には全身を白い紐の様な物で覆われた人型の何かが、まるで鎖に繋がれた囚人の様な姿で入っていた。

 

 その中心の周囲を取り囲む様にして、十刃達が其々にリラックスした体勢でそれを眺めている。

 正確には一名だけ、場違いな者も居る。元第6十刃、グリムジョー・ジャガージャックだ。

 十刃落ちとしての新たな数字は未だ授けられておらず、3ケタの巣には拠点を移していない。今は遊撃要員の破面達の拠点の宮を仮住まいとしているが、遠からず移動する事になるだろう。

 

 基本的に十刃落ちは虚夜宮の中心部には足を踏み入れる様な真似は極力しない。理由としては主に他の破面達の眼や現十刃に遭遇した際の気不味さが有るが、グリムジョーの場合はそんな些細な事を気にする様な器は持っていない。

 唯我独尊とはまた異なるが、落ちたとは言え変わらず堂々と己の道を行く彼に口出しする者は居なかった。

 3ケタの巣へ移動したらしたで同僚の二人と面倒事を起こしそうではあるが、恐らくノイトラがそれを阻止する為に動くのは目に見えている。特に問題は無さそうだ。

 

 先程からグリムジョーの視線は新たに自分の後釜となったルピの方を向いている。

 一応場を弁えているのだろう、霊圧は抑えている代わりに溢れ出んばかりの殺意が見て取れた。

 だがルピは無視しているのか気付いていないのか、顔色一つ変えていない。それどころか彼の意識は別方向を向いており、頻りに横目で入口の扉の前の階段に立つ二名の内一人―――ノイトラの方を見ていた。

 その視線には何かを期待する様な熱いものが含まれており、当人は背筋を走る謎の悪寒に疑問を抱きつつ、何故自分が見られているのかと内心で首を傾げていた。

 

 不意に藍染が結界の上に何かを置く。

 人型の何かと同じく結界に覆われた崩玉だ。

 

 相変わらずの薄い笑みを浮かべながら、藍染は右手を伸ばすと、その指先は容易に結界を擦り抜けた。

 指先が崩玉に触れると、球体である崩玉が形を変え、その指先へと溶け込んで行く。

 刹那、発光と同時に、霊圧だけに限らない常軌を逸した力の渦が藍染を中心に巻き起こった。

 だがそれはほぼ一瞬の間の出来事で、気付けば直ぐに収まっていた。

 錐台の結界がガラスが砕けた様な音を響かせながら弾け飛ぶ。

 何時の間にやらその中に居た人型の何かを覆っていた白い紐は消え失せ、その正体が露となっていた。

 

 

「…名を、聞かせてくれるかい。新たなる同胞よ」

 

 

 藍染の問い掛けに、その人型の何かだった―――小柄で額に小さい王冠のような仮面の名残を残した全裸の少年は、たどたどしい口調で答えた。

 

 

「…ワンダーワイス…ワンダーワイス・…マルジェラ…」

 

 

 彼に抱いた第一印象は皆共通していた。

 ―――まるで言葉を覚えたての幼子だ。

 その目は虚ろで、知性の欠片も見られない。見た目は完全に人型なのだが、その中身は明らかに不完全極まりない。

 そして特筆すべきはその身に纏う霊圧。量、質、共に紛れも無く下位十刃レベル。

 これ等の条件から、十刃達はワンダーワイスと名乗った破面が一体何の役割を持つ者なのか大凡察した。

 

 

「君を歓迎しよう。破面No.77(セテンタ・イ・シエテ)、ワンダーワイス・マルジェラ」

 

 

 この一連の流れを見れば判る通り、藍染が行ったのは虚の破面化だ。

 現在、崩玉は封印を解かれたばかりで睡眠状態に在る。故に本来の力を発揮するには完全覚醒を待たねばならず、それには結構な時間が必要だった。

 だが嘗てより崩玉に対して並々ならぬ研究を注いでいた藍染は其処に抜け道を見出した。

 護廷十三隊の隊長格に倍する霊圧を持つ者と一時的に融合する事で、ほんの一瞬だけだが完全覚醒状態と同等の能力を発揮するという事実を。

 

 今回その破面化の対象となったワンダーワイスだが、十刃達の察した通り、普通の虚では無い。

 彼等の敵対勢力である護廷十三隊。その中でも藍染が最も警戒している者の一人―――護廷十三隊総隊長及び一番隊隊長、山本 元柳斎 重國(やまもと げんりゅうさい しげくに)

 彼の持つ最強最古の斬魄刀と謳われる―――流刃若火(りゅうじんじゃっか)の能力を封じる為に作り出された改造虚。それがワンダーワイスだ。

 だが重國の強大過ぎる能力を封じるには多大な代償が必要で、御蔭で彼は言葉や知識、記憶や理性などを失っていたのである。ならば彼のその異質さも納得だった。

 

 

「…一ヶ月前に話した指令を覚えているね、ウルキオラ?」

 

 

 破面化が成功した為か如何かは不明だが、より笑みを深めた藍染は背中を向けたまま、後ろのウルキオラに声を掛ける。

 

 

「…はい」

 

「実行に移ってくれ―――おや?」

 

 

 指示を出し終えた途端、藍染は不意に疑問の声を上げた。

 彼の視線はノイトラを向いている。

 

 

「…何か?」

 

 

 突然の事に、ノイトラは内心で何かマズイ事でもしただろうかと盛大に焦り始める。

 だがその様子を表に出す訳が無く、冷静な態度でそう返す。

 

 

「いや、ヤミーが居ないと思ってね。彼は如何かしたのかい?」

 

「……日頃の不摂生が影響したのか如何か不明ですが、全身が痛いと言って部屋に引き籠ってまして…」

 

「ふむ、珍しい事も有ったものだね。身体の頑丈さで言えば十刃随一だと思っていたのだが…」

 

 

 困ったね、と笑みを崩さぬままそう零す藍染。

 其処で初めてノイトラは己の失態に気付いた。

 ―――拙い、ヤミーと言えばこの後の任務の参加メンバーだったではないか。

 そして同時に悟る。これはパターン的に言えば以前と同じ経緯を辿る羽目になるのではないかと。

 

 

「致し方無いね。ではウルキオラ、君に決定権を与えよう。ヤミーの代わりに好きな者を連れて行くと良い」

 

「…了解しました。では頼めるか、ノイトラ」

 

「…あいよ」

 

 

 流れる様にして、ウルキオラは隣のノイトラに視線を移しながらそう言う。

 ―――もう成る様になれ。

 激流に身を任せ何とやらだ。達観した様な雰囲気を醸し出しながら、ノイトラは了承の返事を返した。

 そして開き直った彼は、序にチルッチを連れて行く事に決めた。 

 鍛錬後の消耗した状態では有るが、其処はセフィーロに頼めば如何にでもなるだろうと。

 

 藍染から権利を譲渡されたウルキオラが決めたとあっては、それは藍染が決めたのと同等。もはや覆らない。

 ならば前向きに事を運ぶ方法を考えた方がマシだ。

 悪い方向から見れば、このイレギュラーが今後一体何を引き起こす切欠になるのか判らない事。

 逆に良い方向では、最近では貴重な実戦の機会を―――しかも相手は破面では無く死神という、何時もの鍛錬とはまた違った戦闘経験を積める機会が増えた事だ。

 

 只、この任務に於いて注意せねばならないのは、自分が成すべき事はあくまで陽動であるという事。言わば時間稼ぎに近い。

 不用意に相手を追い込み過ぎるのも、帰刃等の力をひけらかして相手に余計な警戒を促すのも得策とは言い難い。

 それにノイトラとしては自分の情報は極力流したくないという思いも有る。どちらの陣営に対しても、だ。

 

 

「…ああ、そうだ」

 

 

 藍染は部屋の中に立ち並ぶ、サイズがバラバラの台。その中でも一際大きく高い台の頂上に腰掛けるグリムジョーに視線を移した。

 彼の左腕には本来在るべき物が無く、自由の身となった左袖が室内に僅かに流れる微風でヒラヒラと舞っていた。

 

 

「君も一緒に行くかい? グリムジョー」

 

 

 返答は無し。グリムジョーの顔には先程までの殺意も消え失せており、落ち着いた様子で下を見下ろすだけだ。

 だが藍染の問い掛けの直後に見せた鋭利な目付きは、彼の本心の全てを語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瀞霊廷の中の端に位置する、十三番隊隊舎裏修行場。

 其処で井上織姫は心から信頼する仲間である朽木ルキアと対峙しながら、自身の一番慣れぬ力を必死に行使する。

 盾舜六花より、呼び出した妖精は椿鬼(つばき)。それより放たれるのは、全体的に補助に傾倒した彼女の能力の中でも唯一の攻撃手段―――孤天斬盾(こてんざんしゅん)

 盾の両面の物質の結合を拒絶するそれは物質の結合を解くという力を持ち、直撃した対象を真っ二つに裂く。

 一見凄まじい能力に見えるが、実はそうでは無い。精々雑魚虚を仕留められる威力しか無く、死神の上位席官レベルには全く通用しない。

 御世辞にもこの先で待ち構えている破面達や藍染との戦いで役に立つとは言い難い代物だった。

 

 この殺傷能力の低さは織姫自身の性格にも要因が有る。

 事象の拒絶という能力は、意志の強さに左右される。

 完璧に詠唱を済ませて技を放とうが、それに迷いや戸惑いが含まれていれば当然威力や効果も落ちてしまう。

 それは戦場に立つ者達にとっては皆共通して言える常識だ。一瞬でも躊躇すれば逆に自分自身の命を失う事となる。

 

 基本的に織姫は戦いを、そして敵であろうが相手を傷付ける事を極端に嫌う。

 そんな甘さを持つ者が、明確な意志を以て敵を完全に滅する様な真似が出来るだろうか。

 如何考えても不可能だろう。それは他ならぬ彼女自身も良く理解していた。

 だからこそ、此処に来る前に喜助から戦力外通告と同時に放たれた容赦無い言葉にも納得していた。

 ―――相手を殺す覚悟も持たない甘ったれに、戦場に立つ資格は無いって言ってるんスよ。

 

 

「―――孤天斬盾っ!!!」

 

 

 だが幾ら納得はしたとは言え、感情は別だ。事実故に悔しさは無かったが、織姫はその胸の内に途方も無い淋しさを抱いていた。

 確かに自分は弱い。秀でているのは双天帰盾の治癒の力のみで、この孤天斬盾の威力や三天結盾の防御力だって高が知れてる。

 全く以て喜助の言う通りだ。こんな弱者が戦場に出たとしても、足手纏いにしかならない。

 下手すれば自分が原因で誰かが傷付き、命を落とすかもしれない。そうなるぐらいならこの感情を享受している方が良かった。

 

 しかしだからと言って何もしないで引き籠って居られるかと言われれば―――否。

 仲間が、そして一護が戦っているのだ。戦力にはなれずとも、自分にも何か出来る事が有る筈だし、役に立ちたい。

 

 

「“私は…拒絶する”ッ!!!」

 

 

 織姫は霊圧を纏った掌を前方へと突き出す。

 その送り込まれた霊圧を、健気な思いと共に受け取った椿鬼が全身に円盤状の盾を張る。

 完全に形成が完了すると同時に、その盾は爆発的な速度で放たれ、攻撃対象へ向けて直進して行く。

 

 対するルキアは斬魄刀を構え、真正面から受けて立つ。

 無論、解放はしない。何故なら盾舜六花の拭い様も無い弱点である脆さを知っているからだ。

 あくまでこれは鍛錬であり、死合いでは無い。

 織姫の狙いを見切り、着弾点である其処に刀の腹を持って行く。

 

 

「はあああぁっ!!!」

 

 

 威力不足とは言え、かつて尸魂界へ囚われの自分を救助の為に訪れた時とは比べくも無い程向上したそれは、人間が持つ力としては過ぎた物。

 躱したり相殺する等といった実戦的な対処は、この場に於いては無粋。そう判断したルキアは真っ向から受け止める。

 身長百四十程度の少女の如き体格の彼女の身体が一瞬浮き上がるが、即座に全身に霊圧を込めて強化を施し、地面を踏み締めて耐える。

 

 

「ハァッ!!」

 

 

 足場が安定したルキアは、刀身を右回りに返すと同時に真横へ弾き返す。

 椿鬼はそのままブーメランの様な軌道を描きながら、織姫の元へと戻って行き、待機状態たるヘアピンの姿へと帰属する。

 

 

「っ火無菊、梅厳、リリィ!!」

 

 

 織姫は続け様に三天結盾の展開の為の妖精三人を呼び出し、防御体勢を取る。

 完全に次の体勢へと移行したのを確認し、ルキアは斬魄刀を鞘に納めると、そのまま鬼道の詠唱の準備に入る。

 

 

()くぞ井上!!!」

 

「…うんっ!!」

 

 

 如何に鍛錬と言えども、実戦形式に近いそれは一歩間違えれば大怪我は必至。

 だが二人の顔には必死さの上に微かな笑みが浮かんでおり、実に楽しげだ。

 

 

「―――“君臨者よ! 血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ”!!」

 

 

 ルキアの口から放たれる言霊(ことだま)は、死神の中でも最もポピュラーなものとして知られている鬼道の一つ。

 二千年以上前に山本元柳斎重國により設立された、死神の他、鬼道衆や隠密機動を育成する為の学校である真央霊術院。それに入学して一年目にて演習として用いられる中級鬼道。

 使用者の工夫次第では攻撃以外にも転用可能という汎用性の高さを持ち、卒業後に正式に死神となった後でも好んで使用する者は多い。

 

 

「“焦熱と争乱、海隔て逆巻き南へと歩を進めよ”!!」

 

 

 元々鬼道全般の運用に長けたルキアにとっては、別に上級以外であればどの鬼道を選択しても問題は無かった。

 只単に威力を三天結盾の強度を超えない程度に抑えれば良いだけなのだから。

 だが如何にルキアが三天結盾の強度を把握していたとしても、不測の事態というものは必ず存在する。

 しかも今の織姫は喜助からの諫言の影響も有り、精神状態がやや不安定だ。ふとした拍子に集中力が切れ、取り返しが付かない事態へ陥る可能性も捨て切れない。

 故にルキアはより確実に調整可能なそれを選択し、更に威力を低めた上で放ったのである。

 

 

「“破道の三十一、赤火砲(しゃっかほう)”!!!」

 

 

 基本的にこうして言霊の詠唱を行って放つ鬼道だが、ルキア程の熟練者ともなればその手間を省いて名称だけで放つ詠唱破棄という手法も取れる。

 だがそれは発動が早い分、威力が落ちたり術の構成や制御が甘くなるというデメリットも存在する。上級鬼道でそれをするとなれば尚更だ。

 以上の点から、ルキアは完全詠唱による鬼道の発動という確実性に念を込めた。

 

 突き出された掌より、人の頭一つ分程度の火の玉が放たれる。

 本来より三割程度の威力が削られたものだが、人間一人殺すには十分過ぎた。

 常人より霊圧の多い織姫ならば幾分か耐える事は出来るだろうが、当たり所が悪ければ命に関わる事に変わりは無い。

 

 仲間に対して放つ攻撃とは思えない。痛みが無ければ成長しないとは良く言うが、それにしても容赦が無いのは事実。

 だがルキアは信じていた。今の彼女ならば確実に防ぎ切る事が出来ると。

 織姫とてその程度の意図など察しており、迫り来る火の玉を眺めながらも、覚悟を決めた。

 

 

「―――三天結盾、“私は…拒絶する”ッ!!!」

 

 

 本来の形は逆三角形だが、それを通常の三角形で展開。

 そしてルキアから事前に聞いていたその赤火砲という鬼道の特徴から、盾の範囲を拡大し、自身をやや包み込む様に広げる。

 

 三天結盾の展開と同時に、火の玉が直撃した。

 響き渡る轟音に、立ち上る火柱。

 その真っ只中に居た織姫はというと、同時に巻き起こった砂煙の中に吞み込まれた為、安否は不明。

 二人の鍛錬風景を遠くで眺めていた一名のギャラリーである、白の長髪に父性を感じる優しい雰囲気を醸し出した男―――十三番隊隊長、浮竹 十四郎(うきたけ じゅうしろう)が一瞬表情を崩し、焦った様な表情を浮かべる。

 

 次の瞬間、その砂煙の中心から突風が巻き起こる。

 ―――その原因は椿鬼だった。

 燕を思わせる超高速軌道で何かを中心にする様にして飛び回り、風を起こしていたのである。

 やがて砂煙が風に乗って行き、視界が晴れる。すると其処には涙目で咳き込みながらも、やや罅の入った三天結盾を前方に展開したままの無傷の織姫が現れた。

 

 

「…ケホッ…ケホッ! うう~、目と喉が痛いよぉ…」

 

 

 無事な姿に安堵の溜息を零しながら、ルキアは未だ咳き込み続ける織姫に近寄って行く。

 それに気付いた織姫は、盾を消して全ての妖精を六花の形へと戻す。

 

 

「あ、朽木さん! お疲れ様!」

 

「うむ、お前もな」

 

 

 互いに腕で額の汗を拭い、笑い合う。

 その顔は達成感に満ちていた。

 

 実は二人は鍛錬開始前に打ち合わせていた。実戦形式ではあるが、互いに術の応酬に限定しての内容を何往復かしようと。

 元々、この鍛錬のメインは織姫だ。

 提案したのはルキア。強くなりたいと願う織姫の思いに応え、そして励ましの意図も込められた鍛錬内容だった。

 

 

「見事なものだ。手加減したとは言え、私の鬼道をあの程度の損傷で防ぎ切るとは、な」

 

「えへへ、有難う…あ」

 

 

 嘘偽り無い称賛の声に、織姫は照れた様子で頭を掻く。

 其処で不意に、彼女はルキアのある部分へと視線を移したかと思うと、気遣う様な表情を浮かべた。

 

 それはルキアの右腕だ。

 突然現世に侵攻してきた三人の破面という敵。結果、彼等の内一人の手で泰虎に一護、そして織姫自身が重傷を負い、途中で援軍に来た夜一までも結構な負傷をした。

 更にその翌日の深夜。前日の者達とは別の破面達が更に現世に侵攻。

 その戦いの中で、ルキアは不意討ちで腹部を貫かれ、意識を失う直前に抵抗した際に用いた右腕を捥ぎ取られた。

 

 現場に到着したのは敵が撤退してから五分程度が経過した後だった。何せ一番近くに一刻を争う程の重傷者が居たのだ。遅れたのは致し方無いと言えた。

 ルキアの惨状を目の当たりにし、織姫は初め、動揺の余り直視出来無かった。

 前日の泰虎の場合、確かに重傷ではあったが五体満足だった為か、まだ耐えられた。

 人体の身体の部位欠損とは思った以上に衝撃的な光景だ。それが信頼する仲間ともなれば尚の事。

 

 思わず涙を零しそうになる織姫だったが、必死に治療を懇願する一護の声を聞き、即座に我を取り戻す。

 そうだ、一番辛いのは他ならぬ、初めからルキアと共に居た彼ではないかと。

 ―――今は現実から目を背けている場合ではない。甘えるな。

 織姫は覚悟を決めると閉じていた目を開くと、意識の無いルキアの傍らに置いてある右腕を手に取った。

 それを元の有るべき場所に接触させると、双天帰盾を発動した。

 傷口が綺麗に両断されている状態であれば繋ぐ程度の事は容易だったろうが、今回は運悪く捩じり切られた形である。鬼道を用いたとしても、全くの元通りとはいかない現状であった。

 それ故に周囲は駄目元と言った感じで治療の様子を見ていたが、見る見る内に元通りになっていくルキアの右腕に皆は驚愕していた。

 

 

「フッ、何だ井上。未だ右腕(これ)の事を気にしているのか?」

 

「う…だって…」

 

 

 織姫の心配性な性格を十分理解しているルキアは、彼女が考えている事を直ぐに察した。

 小さく鼻で笑うと、大袈裟に右腕をぐるぐると振り回してみせる。

 その動きは以前と変わらず、特に後遺症も何も見られなかった。

 

 

「…案ずるな。見ての通り、腕の調子は頗る良い。お前の治療は完璧だ」

 

「朽木さん…」

 

「自信を持て井上。今のお前は決して無力でも足手纏いでも無い。あの胡散臭くて無礼極まりない奴の言った事など気にするな!」

 

 

 ルキアは普段は一切の緩みが無い凛々しい顔付きを、柔らかで屈託のない笑みに変えた。

 腕を組み、本人が聞いたとしても一切動じ無いであろうと理解しながら、喜助の事を扱き下ろして織姫を激励する。

 

 二人は暫しの間見つめ合うと、途端に噴き出し、そのまま笑い始めた。

 織姫は何かを吹っ切れた様にして、ルキアはそんな彼女に釣られて。

 

 

「はははは…さて、では後もう少し続けるか?」

 

「うん! お付き合い宜しく!!」

 

「心得た。そら、持ち場に移動するぞ!」

 

 

 雑談によって一息吐いた形となった二人。

 虚圏に劣るとは言え、この尸魂界の空気にも豊富な霊子が漂っている。御蔭で彼女達の霊圧は既に回復していた。

 現在時刻は未だ昼前。再び鍛錬を始めたにしても、休息時間は十分に取れる。

 

 二人は其々の立ち位置まで移動し、自身の霊圧を解放し始めた。

 その時、ふとルキアの眼前を黒い揚羽蝶が過った。

 

 

「これは―――っ、何だと!!?」

 

 

 これは瀞霊廷で飼育されている特殊な生き物―――地獄蝶(じごくちょう)

 尸魂界から現世へ案内役や、各方面に居る死神達に伝令を伝えたりする役割を持つ。

 

 ルキアはその地獄蝶から伝えられた情報に驚愕の声を上げた。

 直後、彼女の顔から先程までの余裕が消え失せると、今度は焦燥が浮かび上がる。

 

 

「ど、どうかしたの…?」

 

 

 只ならぬ様子に、織姫はおずおずとした様子で問い掛ける。

 それに対し、ルキアは緊張した面持ちで、ゆっくりと答えた。

 

 

「…先程、空座町の北部上空に新たな霊圧反応が現れた。数は五つ」

 

「まさか…それって!!」

 

 

 その返答から脳裏を過ったのは、起きて欲しく無い最悪のパターン。

 

 

「ああ、反応色は全て紅色―――十刃だ」

 

 

 余りにも想定外な事態に、織姫は目を見開いて動揺を露にする。

 対するルキアはまるで苦虫を噛み潰したかの様な表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第5十刃の拠点の宮の屋上にて、ノイトラは静かに虚夜宮の天蓋の下に描かれた青空を見上げていた。

 その背には使い慣れた特異な形状の大鎌。どういった原理かは知らないが、鞘どころか引っ掛ける物も何も無いにも拘らず、逆さ状態で背中に接触したまま固定されていた。

 

 

「………」

 

 

 何時もであれば此処で何か独り言でも呟いていただろうが、生憎と今はそんな事をしている状況でも無いし、する気も無かった。

 故に言葉を呟くのは内心でのみ。

 口を完全密閉しながら、ノイトラは現状、そしてこれから先に待ち構えているであろう未来に対し、思考を巡らせる。

 

 ―――いよいよ始まる。

 間も無く決行に移される、現世での任務。

 ルピ、グリムジョー、ワンダーワイス、そしてヤミーの代役として任されたノイトラと、その従属官のチルッチ。彼等の持つ役割は現世の戦力と、瀞霊廷の死神達の注目を逸らす為の陽動。

 後は本来のシナリオ通り、ウルキオラは単独で織姫の身柄の確保に動く。

 

 この任務を境目に、ある意味ではこの破面篇の物語は佳境を迎える。

 誘拐された織姫を巡り、錯綜する死神達と一護。異質とも取れる存在が身近に現れた影響か、少なからず状況が変化し始める虚夜宮内。

 やがて喜助の協力の下、死神達には知らせずに独断で虚夜宮へと侵入する一護達三人。そして始まる壮絶な死闘。

 

 その最中に於いて、ノイトラは自身の立てた目的絡みの関係から、単独行動が必然的に多くなる。

 そして同時に危険度も一気に跳ね上がる。彼自身の事は勿論、何よりセフィーロやチルッチ等の身内に対するカバーが甘くなってしまうのだ。

 藍染は言うまでも無いが、最近嫌に大人しいザエルアポロの事が気掛かりな現状、容易に隙を作りたくない。

 後者についてはノイトラの意識が逸れた瞬間、吐き気を催す程の汚い策を平然と仕掛けて来る可能性だって有る。

 対抗出来る術を尽く失い、取り乱す此方の姿を嘲笑いながら、自分は優々と目的を果たす。奴はそういう性格だ。

 

 

「ノイトラ」

 

「…チルッチか」

 

 

 今後の行動に対して思索に耽るノイトラの背後へ声が掛けられる。

 先程ウルキオラに任務同行の許可を得たチルッチだ。

 ノイトラと同様に特異な形状故に鞘を持たない斬魄刀は、ワイヤーの部分を折畳んだコンパクトな状態で左腰に掛けられている。

 

 

ウルキオラ(あいつ)が呼んでたわよ。もう直ぐ出発だって」

 

「―――了解だ」

 

 

 ノイトラは返答を返すと同時に右瞼を閉じた。

 一呼吸間を置いて、ゆっくりと開く。

 ほんの僅かな時間であったが、覚悟を決めるには十分だったらしい。その眼光は鋭く、身に纏う雰囲気も、周囲の者に息苦しさを与える様な重みを感じさせた。

 

 右腰から大鎌の柄頭に繋がる鎖をジャラジャラと鳴らしながら、ノイトラは宮の中への階段へと歩き始めた。

 先程の彼の変化を感じ取ったのか、多少緊張しながらも、チルッチも追従する。

 

 基本的に現世の任務へ赴く際に利用する出発地点―――壮途の間を目指して進み続ける。

 二人の間に会話は無い。否、必要無いと言うべきか。

 この任務についての打ち合わせは既に済んでいる。

 緊張を解すという意味合いで雑談を重ねる事も良いのかもしれないが、それよりも今はこの静かな時間の方が案外悪く無いと互いに感じていた。

 

 時として何も、そして多くを語らずとも、互いの気持ちを伝えられていると感じられるこの状況。正しく沈黙の共有に他ならない。

 まるでノイトラとテスラの関係だ。流石にアイコンタクトで正確な意思疎通が出来るまででは無いが、確実に仲が進展しているという事実に、チルッチは微かな幸福感を覚えていた。

 

 

「…俺等が最後か」

 

 

 だがその幸福も長くは続かない。

 気付けば二人は壮途の間へと到着していた。

 

 既に開かれていた扉から室内へと入ると、其処には既に任務に参加する全メンバーが集結していた。

 ワンダーワイスは言葉にならない声を漏らしながら、虚ろな目で虚空を見詰めている。

 グリムジョーとルピは互いに距離を取って立ち、その間には殺気が入り混じった嫌な雰囲気を醸し出していた。

 

 

「…来たか」

 

 

 そんな三人とは離れた位置に居たウルキオラは、ノイトラとチルッチの姿を確認するとそう零す。

 その顔が何処と無くうんざりしている様に見えるのは気のせいだろうかと、ノイトラは思った。

 

 

「随分とゆっくりだったねー。もしかしてさっきまでお楽しみでした…って感じ? これから任務だってのに中々御盛んな事で―――」

 

「あ?」

 

「…そ、そんな顔しないでよ。冗談だって冗談! もー、ノイトラってば気が短いなァ…」

 

 

 ノイトラは減らず口を叩き始めたルピを反射的に睨んだ。

 何時もとは違って得物を所持している影響か、心なしか威圧感が増している。

 睨み付けられた当人だけで無く、他の三名も思わず身構えて後退りそうになっていた事から、どうやらそれは合っていたらしい。

 

 ルピは冷や汗を流しながら、顔を逸らす。

 だがノイトラは気付いていた。彼のその頬が仄かに赤く染まっている事に。

 

 怒りが一瞬で冷め、全身に鳥肌が立ち始める。

 ―――何コイツ気色悪いんですけど。

 ノイトラは思わず顔が引き攣った。

 先日ルピに教育的指導を行って以降、妙な感じがする視線を向けられている事は気付いていた。

 だがそれが一体何の考えで、何の感情から来ているのかは不明だった。

 

 

「……ああ…なんかクセになる…」

 

 

 その呟きは即座に空気中に掻き消える程小さなものだったが、常に周囲に気を配っている為に地獄耳と化しているノイトラにはしっかり聞こえていた。

 先程の態度とこの発言。こうして間近で観察してみて初めて理解する。

 ―――まさか変態だったのか。

 ノイトラは戦慄した。まさかSっ気の他に真逆のMっ気まで持ち合わせているとは、と。

 実は他ならぬ彼自身がその切っ掛けを作ったのだと自覚せぬまま。

 

 

「…任務内容は先に伝えた通りだ。俺はお前達が奴等と交戦した後に移動する」

 

 

 ウルキオラはそう言うと、メンバー全員に目配りする。

 質問は有るかと、その目は問い掛けていた。

 

 

「特に文句は無ぇよ」

 

「横に同じく」

 

「…アウー…」

 

 

 質問も何も、初めから任務内容に対して特に文句も何も無かったノイトラは了承の意を返す。

 それはチルッチも同様だった。

 

 只、ワンダーワイスについては譫言の様に声を漏らすだけで、如何聞いても返答では無い。明らかに何も理解していないのが丸判りだ。

 この様子では任務を忠実にこなせるとは到底思えない。それは皆の共通認識であった。

 

 だがウルキオラ自身としては特に問題無いと判断していた。

 確かに何を仕出かすのか判らないという懸念は有る。だが今回は仮にそうなったとしても、必ず“彼”が止めてくれるであろうと信頼していたからだ。

 ウルキオラの視線がノイトラの方を向いている事から、その“彼”というのが誰を指しているのかは言うまでも無い。

 

 

「………」

 

「ハァ…ハァ…りょ、りょうかーい…」

 

 

 誰かに指図される事を嫌うグリムジョーは無言という予想通りの反応を示し、ルピは先程までの余韻に浸っているのか、やや頬を染めた状態で息を荒げながら返答する。

 此処まで来てやっとルピの変化に気付いたのか、チルッチは顔を引き攣らせながら、自身の身体を抱く様にしてノイトラの背後まで隠れる。

 流石のグリムジョーもその様子に拒否反応を示したのか、得体の知れない物を見る様な目をしながらルピとの距離を取っていた。

 

 

「…では始めるぞ」

 

 

 参加メンバー達の纏りの無さを無視しながら、ウルキオラは虚空へと指を付ける。

 彼が以前の任務内にも見せたこれは解空(デスコレール)。黒腔を開く際に用いられる技だ。

 バキンと空間へと罅が入り、両甲丸の形に開く。無数の色が入り混じっては不規則に蠢く、正しく異空間といった感じの光景がその中から覗く。

 

 基本的に上位の破面や十刃はこの解空によって其々独自に黒腔を開ける。だがそれは決して好き放題に開けるものでは無い。

 虚夜宮では原則として、藍染の許可を得ずに黒腔を開く事は固く禁じられている。それに加え、宮の建物自体が開いたら開いたで即座に認知出来る構造となっているので、隠し立ては不可能。

 当たり前だ。制限を掛けて置かなければ、グリムジョーの様に気性が荒い性格の者や、ゾマリの様に行き過ぎた忠誠心が暴走し、破面の何れかが独断で現世へ侵攻する可能性は少なくないのだから。

 

 だがその反面、上位十刃に対してはそれ程厳しい制限は無かったりする。

 ウルキオラを筆頭に、彼等は本能よりも理性が勝っている上、無暗矢鱈に攻勢に出るような性格はしていない。

 ハリベルは藍染に忠実で、命令が無ければ例え強大な敵であろうとも放置する。だが何もしないという訳では無く、その待機期間中は静かに牙を磨きながら来るべき戦いに備える。

 バラガンは虚圏の絶対的な神であり王。故にその腰は重く、何事に対しても玉座に腰掛けたまま堂々とした構えを崩さない。敵が来ても態々動く様な真似はせず、自らの部下が全て倒れた時に初めてその腰を上げ、彼自ら敵を蹂躙する。

 スタークは言わずもがな。命令でもされない限り、面倒臭がりで戦いを嫌う彼が一々動く訳が無い。

 こんな彼等だからこそ、藍染も特に何も言わないのだろう。もしも上位十刃の中にグリムジョーの様な者が居れば、必ず何か制限を掛けた筈だ。

 ―――逆にその攻撃性を利用し、策略を巡らす可能性も有るが。

 

 

「制限時間は特に無い。俺の任務が完了したと同時に、お前達は反膜で纏めて回収する手筈になっている」

 

「ええー? 何か気に入らないなァ…回収ってまるで物扱いじゃーん。普通に敵を皆殺しにした後に黒腔で帰れば良―――ッ!?」

 

「黙ってろ糞餓鬼」

 

 

 ウルキオラの意図を理解していたノイトラは、一々口出しするルピの後頭部を右手で掴み、先日と同じく小柄な身体を持ち上げて、それ以上の発言を止める。

 この任務に於いて、自分達が相手取るのは隊長格。基本スペックは此方に軍配が上がるとは言え、彼等は決して油断ならない相手だ。

 今迄の経験から来る咄嗟の機転力。追い詰められた時に発揮される、不利な戦況を一瞬で引っ繰り返す起死回生の一手。

 史実でのスタークがそうだった様に、流石の十刃と言えども、敗北の可能性はゼロでは無いのだ。

 

 ノイトラはそのまま右手を後ろへと引っ込めると、ウルキオラに視線で続きを促す。

 ―――その手に掴まれているルピが更に息を荒くし、恍惚とした表情を浮かべているとは気付かぬまま。

 

 

「…くれぐれも散開戦術は取らん事だ。でなければ回収に支障が出るのでな」

 

「…チッ」

 

 

 ウルキオラは主にグリムジョーを横目に見ながらそう言うが、彼の態度を見る限りは余り効果は無いだろうと悟る。

 まあ単独行動を取るのが彼一人であれば十分対応可能なので、特に気にも留めていなかった。

 

 

「では行け」

 

 

 その掛け声の直後、五人の姿が黒腔の中へと消えて行った。

 

 

 




趣向を変えて、破面以外のキャラの描写も入れてみた今回の話でした。
んでもって初っ端から原作通りの場面を露骨に描写カット。極力自分で考えた部分を書きたいと思ってますので…。

ちなみに御分かりかと思いますが、作中の豹王さんは主人公のせいで敵に対する容赦の無さが1.5倍程度になっているので、ルキアが悲惨な事になってます。
別にルキアが嫌いな訳じゃないです。ですが不快な思いをされた方々には謝罪申し上げます。





捏造設定纏め
①豹王さんの十刃落ち後の背景。
・落とされた後も普通に十刃達の集まりに混ざっているので、完全に立場が変わるまでは多分猶予が有ったのだと推測。
・それか十刃落ちメンバーの近くに住む事を豹王さんが頑なに拒否った可能性も有り。
②織姫とルキアの鍛錬内容。
・椿鬼を使っていた事以外は完全に捏造。
・織姫の事を特に気に掛けていたルキアなら、彼女の事を優先して色々考えたりしてそう。
・描写の中では普通に斬魄刀抜いてましたが、鍛錬とは言え織姫にルキアが斬り掛かるという場面を想像しにくかったので。
※本当はもっと詳しく彼女達の心理描写を書こうと思ったのですが、無理でした。真面に書けません。女心が解らんのは男のサガですわ。
そんなんだから作中のヒロインの内容書くのに一番時間食うんだよ…。
③虚夜宮出発の際の部屋とか。
・作者のオサレ力は、マイナス53万です。師匠助けて…。
④黒腔の管理体制。
・豹王さんの他、鋏蟲さんも開けたし、十刃以外も開けるのだと推測。
・それに普通なら制限ぐらいはついてないとマズイかと。じゃないと現世涙目やで。
⑤織姫誘拐任務についての打ち合わせ内容。
・蔦嬢さんが織姫の誘拐の件について知らなかったので、只単に自分達が陽動中に虚無さんが何かするとしか聞いてなかったのだと推測。



ってかゲスプーンさんだけじゃなく、DMC3の鬼ぃちゃんとかどうやって背中に大きな武器を背負ってるのでしょうか?
永遠の謎や…。

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