ばいにんっ 咲-Saki-   作:磯 

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2.たいようモード(後)

2.たいようモード(後)

 

 

 ▽ 12月中旬(土曜日) 長野県・飯島町・町立小学校/ 10:30

 

 

 東一局 ドラ:{⑤(ドラ表示牌:④)}

 【東家】片岡 優希 :25000

 【南家】石戸 月子 :25000

 【西家】花田 煌  :25000

 【北家】須賀 京太郎:25000

 

「飛ばしていくじぇ!」

 

 元気よく吼えた片岡が、たどたどしい手つきで理牌を始める。「むむっ」と難しい顔で摘んだ牌を河に置くすんでで、花田の「待った」が掛かった(既に手を伸ばしかけていた月子の動きが、そこで止まった)。

 

「第一自摸を忘れていますよ」と、花田がいった。

「――おおっ」と手を打った片岡は、照れくさそうに笑うと山から一枚、牌を自摸った。「危ない危ない、またチョンボするところだったじぇ」

「まあ、コレわたしもたまに忘れますからねぇ……」

 

 教室に配置された卓は、雀荘の回転率を劇的に向上させた配牌自動卓である。各座の手元にせり上がる配牌は13枚であるため、親も常に山から最初の一枚を自摸る必要がある。

 そそくさと手に牌を入れる片岡を横目にした月子が、

 

「あーあ、少牌させようと思ったのに」と、言った。

「このおねえさんさっきから怖いじぇ……」片岡が眉を下げる。

「大丈夫です。月子さんは怖くないですよ」と、花田が片岡に向けて微笑んだ。「優しくもないですが」

「スバラさんもいうようになったわねえ」

「花田ですけどー」花田は訂正して、「あのう……、ときどき思うんですが、素で間違ってないですよね?」

 

 軽口を叩き合う月子と花田は友人そのものである。人格に問題を多く抱える月子だが、池田華菜や花田煌と話すときばかりは年齢相応の少女にしか見えない。年上という自負のためか、自分に対しては嵩に掛かってくる彼女のそんな姿を見るのが、京太郎は嫌いではない。

 とはいえ、麻雀より好きなわけでもない。少女三人の藹々としたやり取りを視界の端に押し付けて、京太郎は配牌を眺める。

 

 東一局 ドラ:{⑤(ドラ表示牌:④)}

 配牌

 京太郎:{一一二九②④⑦3889南西}

 

(七対子で四、手成りで五向聴――こいつはまた、ヒサンな並びだ)

 

 自摸の風向き次第では、和了を見切って守りを考慮してもよい牌姿である。ただこの日の京太郎には片岡優希の実力を見定めるという用向きがあった。

 

(打てて数回。それで何がわかるってわけでもねえだろうけど、とりあえず真っ直ぐいってみる)

 

 自分よりもよほど達者である花田の推薦を疑う心積もりはないが、初見の相手と囲む卓には独特の緊張感がある。その空気は京太郎の好む所である。

 

 東一局 ドラ:{⑤(ドラ表示牌:④)}

 1巡目

 片岡:{■■■■■■■■■■■■■}

 

 打:{④}

 

 各人の視線に晒されて、片岡が劈頭に並べた牌は{⑤}(ドラ)傍の{④}であった。月子はつまらなげに河を一瞥すると、山へ手を伸ばす。音もなく牌を自摸る。指を素早く繰ったかと思うと、手の内でかすかに音が鳴る。そして、次の瞬間には河へ牌を置いている。

 教本に載せられるような小手返しである。

 彼女の右手は実に器用に牌を扱った。滑らかで、いかにも熟達しているといった風情の手つきだった。京太郎は密かにそんな仕草に憧れているが、真似をすると月子はとても嫌な顔をして怒り始めてしまう(「ただの手癖で、意味なんかないんだから、須賀くんは真似しないように」と京太郎に言い聞かせた)。

 

「それ、カッコいい!」

 

 片岡がわかりやすく目を輝かせる。態度に出さず京太郎も同意したが、片岡と同じ感性かと思うと、何とはなしに残念な心持になった。

 

「どうも」と、月子は素っ気無く応じる。彼女の目線は動かない。

 

 続けて花田の手番が回り、淀みなく摸打が行われた。不穏な起親の第一打からすれば、変哲の無い字牌が河に並ぶ。

 

 東一局 ドラ:{⑤(ドラ表示牌:④)}

 1巡目

 京太郎:{一一二九②④⑦3889南西} ツモ:{西}

 

(縦――七対子までなら、あと三つ)

 

 {打:南}

 

 そして2巡目、片岡はまたも強い牌を切り落とした。

 

 東一局 ドラ:{⑤(ドラ表示牌:④)}

 2巡目

 片岡:{■■■■■■■■■■■■■}

 

 打:{⑥}

 

 手出しである。愚形とはいえ、十分両面への変化があり得る嵌{⑤}(ドラ)の塔子を払った。常道であれば相当な手が入っていると見るべきだが、片岡は見るからに自らの道を行くタイプの打ち手である。予断は保留することにして、京太郎は他家の目線を伺った。

 

 月子は、どうやら見に徹する心積もりのようだった。もっともこれは牌姿があまりよくない時点で、京太郎にも察しがついている。月子が()()()であれば、既に何らかの仕掛けが行われているはずである。

 花田は、よくわからない。彼女の打ち筋は素直で堅実である。ただし時折異常としか思えない打ち回しをすることもある。まさか後輩に花を持たせる心算とも思えないので、目下のところ、京太郎にとっては最も警戒に値する対手といえる。

 

 東一局 ドラ:{⑤(ドラ表示牌:④)}

 2巡目

 京太郎:{一一二九②④⑦3889西西} ツモ:{6}

 

 打:{9}

 

 東一局 ドラ:{⑤(ドラ表示牌:④)}

 3巡目

 片岡:{■■■■■■■■■■■■■}

 

 打:{九萬}

 

({④⑥}のあと、これも手出しで{九萬}……)

 

 京太郎は、項のあたりに熱を感じる。夏からこちら積み上げた浅い経験が、それでも警鐘を鳴らしていた。

 

(そろそろ来るな)

 

 と、かれは思う。確信に近い予想である。自分の勘が鋭いとは思っていない京太郎だが、この種の予想をかれが外すことはあまりない。ほとんどないといってもいいかもしれない。

 

 東一局 ドラ:{⑤(ドラ表示牌:④)}

 3巡目

 京太郎:{一一二九②④⑦3688西西} ツモ:{七}

 

(――)

 

 打:{6}

 

 下家の気配に全注意を傾けながら、京太郎は打{6}とした。親の安牌を温存しつつ、七対子の決め打ちである。見切りがやや早く、払うならば{3}からがセオリーだが、片岡の反応を釣るのが目的であった。

 片岡は河に打たれた{6}へ一瞬目をやったかと思うと、興味なさげに手元へ視線を戻した。手が早々に山へ伸びる。

 

(ここじゃないか)

 

 彼女が素直な性格であることを、京太郎は現時点では疑っていない(ここまでの言動が全て演技であれば、どの道京太郎の手に負えない人間だ)。いまは少しでも片岡に関する情報が欲しい京太郎は、あえて捩れた打牌を選択した。が、

 

「……」

 

 対面の月子が、凄まじく不機嫌そうな顔で京太郎を凝視していた。つまらない小細工をするなと、その大きな瞳が克明に語っている。何かというと裏をかいたり出和了を引き出そうとする京太郎の癖を、月子はしばしば咎めた。どうも彼女は面前で自摸和了できない鬱屈を京太郎に投影している節があって、呪文のように「両面作って立直して自摸りなさい」と繰り返し京太郎に囁いてくる。

 

(しらん)

 

 京太郎はそ知らぬ顔で、月子の怒りを受け流した。彼女の主張の正当性はわかっているが、それも時と場合による。

 

 東一局 ドラ:{⑤(ドラ表示牌:④)}

 4巡目

 片岡:{■■■■■■■■■■■■■}

 

 打:{5}

 

 一際強く、片岡が打ったのは{5}である。自摸切りだった。一向聴か聴牌と、京太郎は見た。

 高目か好形への変化が手広い場合を除き、巡目が浅く先行聴牌であれば愚形だろうがとりあえず立直せよ、とはやはり月子の教えである。この明解で有効な戦術を、花田が片岡に伝えていないとも思えない。だがそれを片岡がどれだけ実践するかは計れない。論理が枠を作る。いくつかピースも示されている。しかし足りない欠片は多々存在する。真実という図面の、肝心な部分を埋めるのは経験と感性である。

 その確度を、人は指して博才と呼ぶ。

 

 東一局 ドラ:{⑤(ドラ表示牌:④)}

 4巡目

 京太郎:{一一二七九②④⑦388西西} ツモ:{②}

 

(あと三つ)

 

 打:{3}

 

 京太郎が向聴を進めた直後、とうとう片岡が動きを見せた。

 

「――立直だじぇ!」

 

 東一局 ドラ:{⑤(ドラ表示牌:④)}

 5巡目

 片岡:{■■■■■■■■■■■■■}

 

 {打:南}

 

 河:{④⑥九5横南}

 

(――{南}?)

 

 さすがに目を白黒させて、京太郎は口元を歪めた。打ち出されたのは一枚切れの{南}で、間違いなく手出しだった。速度と河から浮かぶのは七対子やチャンタ系の変則手だが、

 

(さっぱりわかんねえ。国士じゃねえだろうな)

 

 ちらと過ぎった推測が思考を占めかけるのを感じて、京太郎は頭を振った。可能性を考慮はするが、敵を大きくしてかれに利することはない。

 月子、花田は、穏当に安全牌を打った。オリ切るには巡目が浅く、勝負に出る時宜を選ぶ必要がある。

 

 東一局 ドラ:{⑤(ドラ表示牌:④)}

 5巡目

 京太郎:{一一二七九②②④⑦88西西} ツモ:{東}

 

 打:{九萬}

 

 迷う余地はなかった。このタイミングで()()()()()親の連風牌は不穏すぎる。頭を下げて、暴風の過ぎるのを待つしかない――

 

 と思った矢先に、片岡が喜色満面の声を上げた。

 

「ツモだじぇー!」

 

 東一局 ドラ:{⑤(ドラ表示牌:④)} 裏ドラ:{東}(裏ドラ表示牌:(北})

 6巡目

 片岡:{五六七⑤⑤⑨⑨⑨123東東} ツモ:{⑤}

 

「立直一発自摸ドラドラドラ、ウラウラ……えーっと」片岡はにこにこしながら指を折って、花田を伺った。「ろ、6000オール……?」

「いえ、8000オールですね……」花田が切ない顔で点棒を取り出した。

「役無しで親倍とか」月子はうんざりした風情だった。「しかもドラとダブ東のクソ待ちいっぱつツモとか!」

「点棒いっぱいだじぇー!」

 

「……」

 

 浮かれる片岡へ黙って点棒を供出すると、京太郎はひとり、抑えた{東}を眺めた。

 

 東一局

 【東家】片岡 優希 :25000→49000(+24000)

 【南家】石戸 月子 :25000→17000(- 8000)

 【西家】花田 煌  :25000→17000(- 8000)

 【北家】須賀 京太郎:25000→17000(- 8000)

 

 

 ▽ 12月中旬(土曜日) 長野県・飯島町・町立小学校/ 10:33

 

 

 開始三分で大きなイニシアティブを得た片岡は、一本場も止まる気配を見せなかった。7巡目に花田が打った立直に対して三連続無筋を被せて、11巡目に自らも追っかけ立直に走る。後退の二文字が存在しない摸打は、運が続く限り小細工などものともせずに走ってしまう。案の定、次々巡に片岡は自摸和了を決めて見せた。

 

「4100オール! だじぇ!」

 

 東一局一本場

 【東家】片岡 優希 :49000→62300(+ 1000、+12300)

 【南家】石戸 月子 :17000→12900(- 4100)

 【西家】花田 煌  :17000→11900(- 1000、-4100)

 【北家】須賀 京太郎:17000→12900(- 4100)

 

(ただのバカヅキにしか見えない――んだけど)

 

 心もとなくなっていく手元の点棒を数えながら、京太郎は片岡ではなく、むしろ花田の様子を伺った。追いつかれた挙句の自摸被りにさすがに悄気てはいるが、好調と思しき片岡に一言掛ける様子もない。日常的な展開として、この大量リードを受け入れているようだった。

 京太郎の胸裏に疑心が湧いた。

 

(そこまで強いのか、こいつが?)

 

 見る限り初心者でしかない片岡が、偶さかではなく常にこんな強さを誇っている。京太郎はそんな想像をしてみる。()()()()()とかれは根拠もなく己の思考に反駁した。身近なところでは花田や池田や月子、そして照――他幾人か知っているかれが「格上」と分類する打ち手たちと、いまの片岡が伍するとはとても思えない。

 

(あれ)

 

 わかりやすい反発心が鎌首をもたげるのを悟って、京太郎は軽い戸惑いを覚えた。片岡が強いことは、かれに不都合を与えない。強い打ち手と神経を焦がすような勝負をすることが、かれの何よりの望みである。

 そのはずだったが、かれはいま、確かに、

 

(面白くない)

 

 と、感じていた。

 新鮮な感情の動きに、京太郎は蒙が啓かれた気持ちになった。その情動の由来をかれは探った。理由にはすぐに突き当たった。嫉妬だ、とかれは思った。

 

 快調に二本場へ臨む片岡を、京太郎は思わず見つめた。

 

(まじか。おれが、こいつに――()()が!)

 

「ん?」

 

 視線に気づいた片岡が、フフンと、得意げに笑う。勝ち誇っている。小憎らしい顔である。

 京太郎はうれしくなって、思わず笑ってしまう。

 

(なんだ、こいつ。むかつくなァ――)

 

 初心者であったかれが麻雀を学ぶ環境の必然として、周囲の打ち手は皆一日の長があるものばかりだった。信州麻雀スクールで知己を得た月子を始めとする少女たちもそうだし、クラスメートも同様だった。時折目にする初心者は大概年下で、同い年、似た立ち位置で麻雀に取り組んでいる人間は、思えば片岡が始めてなのである。

 そして、かれが嫉妬を覚えた人間も、恐らく片岡が初だった。御せない感情は、京太郎にとって必要以上に鮮やかに感じられた。麻雀がどれほど根深く自分の精神に刺さったのかを、かれは改めて思い知る。

 胸に兆した情動を持て余しながら、かれはようよう、手牌へ目を落とした。

 

 東一局二本場 ドラ:{八(ドラ表示牌:七)}

 配牌

 京太郎:{一一三三四六八九①④8北北}

 

 呼吸を調える。思考はクリアになる。感情は片岡を強く意識している。やられるがままの月子と花田に身勝手な憤りも覚えている。

 そんな京太郎の意気や感想を置き去りにして、対局は進む。

 

 

 ▽ 12月中旬(土曜日) 長野県・飯島町・町立小学校/ 10:38

 

 

 東一局二本場 ドラ:{八(ドラ表示牌:七)}

 1巡目

 京太郎:{一一三三四六八九  ()④8北北} ツモ:{東}

 

 打:{①}

 

 東一局二本場 ドラ:{八(ドラ表示牌:七)}

 2巡目

 京太郎:{一一三三四六八九④  ()東北北} ツモ:{南}

 

 打:{8}

 

 東一局二本場 ドラ:{八(ドラ表示牌:七)}

 3巡目

 京太郎:{一一三三四六八九  ()東南北北} ツモ:{八}

 

 打:{④}

 

 東一局二本場 ドラ:{八(ドラ表示牌:七)}

 4巡目

 京太郎:{一一三三四六八八九東南北北} ツモ:{⑤}

 

 打:{⑤}

 

 東一局二本場 ドラ:{八(ドラ表示牌:七)}

 5巡目

 京太郎:{一一三三四六八八九東  ()北北} ツモ:{七}

 

 {打:南}

 

 

 ▽ 12月中旬(土曜日) 長野県・飯島町・町立小学校/ 10:40

 

 

 急所が埋まる。萬子が自然に寄っていく。東一局0本場、成就しなかった七対子を京太郎は想起する。

 だが不穏さもかれは嗅ぎ取っている。同じ卓に好調者は並立しない。必ずどちらかが上だし、どちらかが下だ。そして片岡は既に実績で自らの調子を示している。一方で、いまのところ京太郎は常に後手に回っている(そもそも片岡以外の三名は焼き鳥である)。

 

(半ヅキのときこそ不調のしるし――っていったっけか)

 

 格付けは、京太郎も望むところだった。この局面で片岡を狙わない手はない。いまは東一局――東風戦ならいざ知らず、配牌は残り最低七度与えられる。親番さえ二度残っている状況で、トップ目を避ける理由はない。

 片岡優希がこの局面に望む展開もまた、散家との真っ向勝負のはずである。不測の事態を起こす可能性は、誰かのハコをカラにすることで摘み取れる。

 

(このまま一人旅にはさせねえぞ)

 

 東一局二本場 ドラ:{八(ドラ表示牌:七)}

 6巡目

 京太郎:{一一三三四六七八八九 ()北北} ツモ:{白}

 

 {打:東}

 

「――ポン」

 

 動いたのは石戸月子だった。

 

 

 ▽ 12月中旬(土曜日) 長野県・飯島町・町立小学校/ 10:40

 

 

 見に徹する心算が、あまりに好き勝手に打たれて、月子はあっけなく我慢を放棄した。年長を気取ったところで彼女の負けず嫌いが希釈されるわけではない。相手が片岡のような初心者ともなれば尚更である。

 

 東一局二本場 ドラ:{八(ドラ表示牌:七)}

 7巡目

 月子:{一二三三②③④⑥南西西} ポン:{東横東東}

 

 {打:南}

 

 花田が「強い」と評した片岡については、月子はおおよそ見極めを終えていた。片岡は月子にとって半分だけ『同類』だった。おまけに知り合いの少女(南浦数絵)に良く似た性質を持っている。単純だが、それだけに侮りがたい相手であることはすぐにわかった。

 なるほど確かに、片岡優希は強い。

 ただし片岡は南浦よりも、幾らか融通の利かない体質のようだった。単純に経験不足か、それとも自覚の薄さゆえか、片岡の好態勢は押せば崩れる均衡のうえに立っている。

 

(まあ、だからって五万点差を押し返せるかは微妙だけど――とりあえず親は流す)

 

 と、姿勢を決しかけたところで、月子はふだんと様子が違う京太郎に気づいた。

 

(おや、須賀くんの様子が……)

 

 勝負の勘所に差し掛かるまでは今ひとつ火の付が遅い京太郎が、どことなく愉しげな顔で場を見据えている。基本的に表情を変えずに打っているかれに見慣れている月子は、少しばかり驚いた。

 

(なんかよくわからないけど、須賀くんが燃えている)

 

 一瞬黙考した彼女は、

 

(お手並み拝見)

 

 とりあえずこの場はかれの動向を見守ることを選択した。

 

 

 ▽ 12月中旬(土曜日) 長野県・飯島町・町立小学校/ 10:40 

 

 

 東一局二本場 ドラ:{八(ドラ表示牌:七)}

 7巡目

 京太郎:{一一三三四六七八八九白北北} ツモ:{7}

 

 打:{7}

 

 東一局二本場 ドラ:{八(ドラ表示牌:七)}

 8巡目

 京太郎:{一一三三四六七八八九 ()北北} ツモ:{五}

 

 {打:白}

 

(あと――ひとつ)

 

 望外の{五萬}を引き入れて、京太郎は{白}を落とした。{一二三七北}引きで聴牌だが、いずれも愚形である。更にこの巡目で{八萬}(ドラ)を落とすのも抵抗がある。

 とはいえ、引けば勝負だ。日和る打点や場況ではない。

 

(さっきから見てるけど、片岡(こいつ)の頭にオリはない。河さえほとんど見ていない。ひたすら真っ直ぐ、アガりだけ見てる。そりゃァ、ハマれば強いよ。引けるやつが強いんだ。おまえは強いのかもしれない。それが麻雀だ。でも――)

 

 東一局二本場 ドラ:{八(ドラ表示牌:七)}

 9巡目

 京太郎:{一一 ()三四五六七八八九北北} ツモ:{七}

 

 打:{三萬}

 

「立直」

 

 京太郎

 河:{①8④⑤南( 東 )}

   {7白横三}

 

(引き続けるやつはいない。勝ち続けるやつもいない。それが絶対だ。()()()()がどんなルールを持ち込んでも、そこは枉がらないし――枉げさせない)

 

「うっ」

 

 果たして片岡は、そこで初めて、摸打にためらう素振りを見せた。

 順調だった自摸に、陰りが見えたのかもしれない。流石に旗色悪しを悟ったのかもしれない。だが目一杯に手を広げて、面子を落とす決断でもできずにいる。京太郎は彼女の心理が手に取るようにわかる。

 

 {一萬}も{北}も、()()()()()、とかれは思う。

 

 待ちは双ポン――だが、字牌に老頭の形である。黙聴(ダマ)でも満貫で、{北}が刺されば跳満に届く。無理に立直を掛ける必要はなかったかもしれない。しかし、片岡から出和了を釣るためには必要な立直だった。

 月子や花田は勝負手以外であれば、京太郎の立直に当たり牌({一萬}{北})は死んでも切らないだろうが、この卓で片岡だけは、京太郎へ放銃する可能性がある。だからこそ京太郎は安心して立直を掛けた。

 そしてかれは、片岡がいずれかを打つと感じた。それは洞察や理論を超越した直感で、いってしまえば都合の良い空想でしかない。かれもそれは心得ている。

 けれども、何かを賭すとはつまりそういうことだった。

 都合の良い空想の実現に身を擲つ。

 いずれ来る破滅を、刹那の判断で先延ばしにする。瞬間の決断に全てを預けた先に、痺れるような快感がある。

 

「う――」片岡が苦吟する。ゆったりと山から牌を自摸る。その顔色がやや晴れる。「こ、これなら大丈夫だじょ――」

 

 東一局二本場 ドラ:{八(ドラ表示牌:七)}

 9巡目

 片岡:{■■■■■■■■■■■■■}

 

 {打:北}

 

「ロン」

 

 間髪入れずに、京太郎は牌を倒した。

 

「一発で高めなら、16600だ」

 

 東一局二本場

 【東家】片岡 優希 :62300→45700(-16600)

 【南家】石戸 月子 :12900

 【西家】花田 煌  :11900

 【北家】須賀 京太郎:12900→29500(+16600)

 

 

 ▽ 12月中旬(土曜日) 長野県・飯島町・町立小学校/ 10:45

 

 

 東二局 ドラ:{發(ドラ表示牌:白)}

 【北家】片岡 優希 :45700

 【東家】石戸 月子 :12900

 【南家】花田 煌  :11900

 【西家】須賀 京太郎:29500

 

 数秒、判りやすく落ち込んだ片岡は、しかし次局が始まるころには持ち直していた。倍満を振り込んだとはいえ、未だ持ち点のリードは圧倒的である。追われる苦しさはあるものの、麻雀は基本的に先行者が有利な遊戯だ。オリ切る技術も場を流す技術も身につけていないのであれば、姿勢を変えずに攻めるのは正しい。

 だからこそ、ここで頭を抑えつけることに意義がある。京太郎は片岡を追う。わき目も振らずに真っ直ぐと、

 

「ロン」

 

 ――行こうとした矢先に、月子に刺さった。

 

 東二局 ドラ:{發(ドラ表示牌:白)}

 3巡目

 月子:{二三四⑥⑦⑧34發發} ポン:{横白白白}

 

 ロン:{2}

 

「――5800」

 

(は!?)

 

 東二局 ドラ:{發(ドラ表示牌:白)}

 【北家】片岡 優希 :45700

 【東家】石戸 月子 :12900→18700(+ 5800)

 【南家】花田 煌  :11900

 【西家】須賀 京太郎:29500→23700(- 5800)

 

「どうも忘れてたようだから、教えてあげる」と、月子は呆れ混じりにいった。「麻雀って、四人でするゲームよ須賀くん。――あなた下手なんだから、下手なりに周りに目を配るところはわたし、イイと思ってるの。でも今のは全然駄目ね、無防備すぎ。どこの無防備マンかと思ったわ」

「バカ言え」と京太郎は反論した。「3巡目の聴牌なんかわかんねーよ」

「ならそのままラスでも何でも引きなさい」月子は冷たく言い放った。「あと、さっきの倍満も、結果和了れたからいいけれど――あなた、手に惚れてたでしょう。場を全然見てなかった」

「それは」思い当たる節があった京太郎は、素直に頷いた。「――そうだな。気をつける」

「やーい」片岡が月子の尻馬に乗った。

「片岡さんも東場終わったらひどいことしてあげるからよろしくね!」

「――じょ!?」

 

「スパルタですねえ」花田がのんびりと感想を述べた。「愛を感じます……すばらっ」

「そんなもの持ち合わせていません」きっぱりと月子はいった。「ていうか、今日こそ花田さんに勝つわ!」

 

 実は、月子と花田の直対では、月子の勝率は四割を割っている。数値だけを取れば、月子は池田華菜より花田を苦手としているのである。生真面目にも人毎に収支表をつけている月子は、ことあるごとに京太郎へ対花田戦術を開陳しているが、目下のところ実を結んでいないようだった。

 

 

 ▽ 12月中旬(土曜日) 長野県・飯島町・町立小学校/ 10:50

 

 

 東二局の動静は、総合的に見れば片岡と京太郎の持ち点が分配された形になった。

 一本場、月子はドラの隠れ暗刻を含んだ満貫手で片岡から直撃をもぎ取った。

 

 東二局一本場

 【北家】片岡 優希 :45700→33400(-12300)

 【東家】石戸 月子 :18700→31000(+12300)

 【南家】花田 煌  :11900

 【西家】須賀 京太郎:23700

 

 ――しかし、続く二本場で、月子は花田に黙跳満を放銃した。

 

 東二局二本場

 【北家】片岡 優希 :33400

 【東家】石戸 月子 :31000→18400(-12600)

 【南家】花田 煌  :11900→24500(+12600)

 【西家】須賀 京太郎:23700

 

 片岡から月子が奪った点棒は、左から右へ移動したわけである。

 

「は!?」月子はあからさまに悔しがった。「ツモり四暗刻ならツモりなさいよ! 出和了しないでよ! ていうかせめて立直かけなさいよ!」

「そういわれましても」花田は笑って抗議を受け流した。

 

「テンションたかいおねーさんだじぇ」片岡がぼんやりと年上女子二人のやり取りを眺めていった。

「会ったころはそうでもなかった」京太郎は一応、フォローにならないフォローを入れた。「いや、どうだったかな……」

「そういえば――おまえ、男子のクセにあのおねーさんや花田せんぱいと知り合いなのか?」今さらな質問を投げる片岡である。

「そうだな。友達(ダチ)だよ」京太郎は頷いた。摸打をする動作をしながら付け加える。「麻雀(これ)で知り合った」

「ふゥん――」首を傾げる片岡は、よくわからないと言いたげだった。「ヘンなの。ガッコーの男子は、女子と遊んでたりすると男のクセに、って苛められたりしてるじょ」

「ああ、まあ、そういうこともあるかもな」

 

 彼女の言わんとするところは、京太郎にもわかる。かれらの年頃は、徐々に性の分化が兆し始めるころでもある。男女はそれぞれのコミュニティを築き、その境界を侵すものは攻撃を受けがちだ。なぜ男子が女子に混じって遊んでいるのかと、そうした趣旨の質問なのだろう。

 ある意味では、京太郎が身を置く環境は少しだけ特殊だった。学校においては未だその傾向が薄く、月子や花田は同世代より精神性が大人びており、池田はそもそも世界観が独特である。京太郎自身が同世代の性別に意味らしい意味を感じていないこともあって、片岡の言う性差を明確に意識したことはなかった。

 

「――みんな、どっかヘンだからなァ」

 

 そのとき、かれの脳裏には照の顔と声、そしてにおいが再生された。

 その意味を、京太郎は深く考えないようにした。

 

 

 ▽ 12月中旬(土曜日) 長野県・飯島町・町立小学校/ 11:00

 

 

 東三局

 【西家】片岡 優希 :33400

 【北家】石戸 月子 :18400

 【東家】花田 煌  :24500

 【南家】須賀 京太郎:23700

 

 東三局は、再び月子の和了番となった。

 相変わらずの速攻で、花田から3900を奪い返した。

 場は更に平たくなって、片岡が掴みかけた勝機は完全に振り出しに戻っていた。

 

 東三局

 【西家】片岡 優希 :33400

 【北家】石戸 月子 :18400→22300(+ 3900)

 【東家】花田 煌  :24500→20600(- 3900)

 【南家】須賀 京太郎:23700

 

 迎えた東四局(トンラス)では、東一局からなりを潜めていた片岡が、再び爆発した。二鳴きしている月子と花田に対して、変わらぬ攻めの姿勢を貫き、立直から2巡後、満貫を自摸和了ったのである。

 

 東四局

 【南家】片岡 優希 :33400→41400(+ 8000)

 【西家】石戸 月子 :22300→20300(- 2000)

 【北家】花田 煌  :20600→18600(- 2000)

 【東家】須賀 京太郎:23700→19700(- 4000)

 

 チャンスの一つである親番を逃した京太郎は、むしろ腰を据えて対局に取り組んだ。劣勢からの挽回こそ、かれが勝負に求める刺激である。

 

 京太郎はトップをひた走る片岡に照準を向けて、南場に気持ちを入れ替えた。

 が――

 

 

 ▽ 12月中旬(土曜日) 長野県・飯島町・町立小学校/ 11:14

 

 

 結論から言うと、南三局で片岡が飛んだ。

 南一で月子に満貫を振り込み(-8000)、南二、南三では連続して花田の跳満に刺さった(-12000、-18000)。

 そして南三局の一本場で止めの4200を放銃し、京太郎は南場ではほとんどゲームに参加せず、この半荘は終了を迎えた。

 

「おまえ、ふざけてないよな」と京太郎は半眼でいった。

「まったくな」大真面目に片岡はうなずいた。

「いつもこうなんですよ」花田は肩をすくめた。「東場は凄いのに」

「また負けた――ああ、また負けたあ!」月子がひとり、敗北をかみ締めていた。「なぜなの……」

 

 南三局一本場(終了)

 【西家】片岡 優希 :- 800

 【北家】石戸 月子 :28300

 【東家】花田 煌  :52800

 【南家】須賀 京太郎:19700

 

「気合入れて損した」京太郎は嘆息する。

「ぐぬぬ」片岡が怒りを露にした。「しょうがないんだじぇ。なんか、南場に入ると急にシューチューできなくなっちゃって……」

「そういうレベルじゃなかったと思う」

 

 南場の片岡は、一言では言い表せないほど酷いものだった。初心者からビギナーズラックを取り去ればこうなるという手本のような悪循環に陥り、立直に向かっては一発で振り込む装置になっていた。

 歯ごたえがないというどころではなく、京太郎は完全に消化不良の体である。好敵手と見定めた片岡がこの有様では、芽生えた感情も立ち消えにならないとも限らない。

 数秒沈思して、京太郎はこう提案した。

 

「――昼飯まではまだ時間あるし、東風戦やるか」

 

「ああっ」と花田が声を上げた。「だ、だめですっ、それはすばらくないっ!」

 

「ん?」と片岡が首をかしげた。「とんぷうせん……とんぷうせんとは?」

 

「東場だけで終わる麻雀だよ」と京太郎はいった。「やったことないか?」

 

 そのときのことを、片岡優希は後にこう語った。

 ――タコ麻雀が褒め言葉じゃないってしったときよりも驚いたじぇ。

 

「な、ないじょ。まったくないじょ――え、なに、マジで? そんな素敵ルールがあるのか!?」片岡の声は震えていた。エウレカ、と今にも言い出しそうなほど目を見開いている。「く、くわしく! くわしく教えるんだじぇ!」

「教えるも何も、そのままだろ。テレビで見たことないか? 東風戦フリースタイルとかさ。ほら、ルーマニアのエイミー・ペトレスクがこの前金メダル取ってたやつ――」

 

「ああ、楽を覚えさせないようにしていたのに……」花田がこっそりと肩を落とした。

「あなたもけっこうスパルタね」と、月子が呟く。「それにしても、半荘戦では片岡さんがヘボすぎて、逆に東風戦だと須賀くんが全く相手にならなくなると思うんだけれど、どうしましょうか」

「いやいや、東風で彼女の相手はふつうにわたしも無理ですよ」花田が苦笑した。

 

 その後、昼までに東風戦を二度打った。

 

 ――京太郎は、片岡の影も踏めずに負けた。

 

 

 ▽ 12月中旬(土曜日) 長野県・飯島町・町立小学校/ 16:49

 

 

 夕日が稜線の影に落ちかけて、最後の残光を校庭に照射する。じきに休日の校舎を夜が(おとな)う。打ちつかれた少年少女が講師に礼をして、三々五々家路についていく。

 

「――今日も打ったなァ」

 

 と、大きく背伸びして、京太郎は満足げに呟いた。

 

「でも明日も打つんでしょう」そんなかれを横目に、月子は心得た口ぶりでいった。

「ま、明日が本番だからな」京太郎は頷く。「じゃァ、明日、頼むぞ優希」

「おおー」片岡が眠たげな様子で手を挙げた。「だいじょうぶだじぇ。たぶん――」

「ああ、ホラ、そんなにフラフラして」花田が心配げに片岡の身体を支えた。「あ、それじゃあお二人とも、明日はこの子のこと、よろしくお願いします」

「麻雀打つだけだから特によろしくすることもないわよ」月子は鼻を鳴らした。

 

 それでもよろしくお願いしますと繰り返して、花田と片岡は、別の帰路に向かった。

 その背を見送りながら、京太郎は、

 

「優希――アイツ、おまえと同じだろ」

 

 と、呟いた。

 

「同類ってほど近くは無いけれど、でも須賀くんからすれば似たようなものでしょうね」

 

 石戸月子は、以前、麻雀における打ち手について、以下のようなことを語った。

 

 河と自手牌――認知できる限りの領分における正着と、実質的な正着にはしばしばズレがある。対手の牌姿や残りの山、王牌の情報が伏せられている以上、受け入れ枚数は全局面の正解とはなりえない。しかし現実的に京太郎の目や直感は一足飛びに真実を掴むことはできないし、他に頼る術があるかといえばそれもない。打点の期待値と和了速度をはかりに掛け、あたうかぎりに失策を減らし、放銃を回避する。それが麻雀の巧拙に対するひとつの解である。

 

 数万回と対局を重ねれば、もっとも高い勝率をあげるのはそうした打ち手である、と月子は京太郎に語った。これを彼女は巧手と評した。

 ただしそれが達者の全てではないとも言い含めた。感性が論理を凌ぐ場面は間違いなくある。その時機を逃さず対手をコロすのが強者である。たとえば池田華菜は、その典型だった。強運と感性に理論を添えて、対手の心を折る術に長けている。

 そして、更に異なる次元に基準を置く打ち手もいる。月子自身や、月子が言うには南浦数絵もこの分類に当てはまる。

 

『厳密にいえば』と月子は語ったものだった。『わたしたちが打っているのは麻雀ではないのかもしれない。少なくとも須賀くんが打つ麻雀というゲームとわたしが打つ麻雀というゲームはちょっとばかり趣が違っているわ。――花田さんは、あれもちょっとよくわからないんだけど、彼女はそこまでではないかな』

 

 よくわからない、と京太郎は言った。

 

『わたしたちはルールを持っている。それを四角い卓の上に持ち込むことが出来る。()()()()すれば、もしくは()()()()なれば()()なる、というルールを布いている。それはジンクスに近いもので、はために見ればものすごくおかしな偶然でしかない。そして同じ卓にいるほかの人間にとって、もちろんそんなルールはただの理不尽でしかない。彼ら彼女らにとって、麻雀はそういうゲームではない。須賀くん、あなたがあの時気持ち悪いとかいったのは、たぶんこういう気持ちなんだと思うんだけれど、合ってる?』

 

 知らないしそれはおまえがそう思ってるだけで実際には偶然が続いているだけかも知れない、と京太郎は言った。

 

『そうね』と、月子はそのとき、否定はしなかった。

 

「最初に言われたときは、ぴんとこなかったけどさ」京太郎は過去を振り返りながら続けた。「南浦とか、おまえとか、優希と何回か打つあいだに、()()()()がわかったよ。たしかにありゃァ――堪ンねえな」

「まあ――わたしはこっち側だから、何か言うのも変かもしれないけれど」月子は言葉に迷った風だった。「わたしも、うんざりとしたことは何度かある。むしろ、何度もある。麻雀を続ける意味が、よくわからなくなったこともある」

 

「そうか?」と京太郎は首を捻った。「おれは、そんな感じはないな。厄介だし、手ごわいし、たぶん何百回とやれば完全に負けが込むんだろうけどさ、でも勝てないわけじゃない。だから楽しいよ。遣り甲斐がある」

「……須賀くんて、ほんと、かわってる」

 

 やわらかい口調で、月子が京太郎を評した。

 その表情は、半分だけの夜に紛れて、もう見えない。

 

「ずっと――その気持ちで麻雀を好きでいられると、いいね」

「うん」

 

 それから数分もしない内に、燃え盛る太陽は完全に地平の向こうへ没する。

 

 ――明日その陽が中天に昇るころ、京太郎は宮永照と、二度目の卓を囲む。

 

 




2013/2/18:牌画像変換

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