ダイヤのAたち!   作:傍観者改め、介入者

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確かに気持ち悪いな、うん。私も感情移入は難しいです。

自分は出来ると思っている人間の視野が狭まるのは道理です。

けど、主人公も完璧じゃないんです。

ちょっと、自分を追い込むことが趣味なだけなんですって。

秋大会が終われば、彼も落ち着くと思います。


81話 追い求める者達

8月29日。甲子園決勝からもうすぐ一週間が過ぎる。青道高校は光南高校とともに最も秋に向けた新チームの始動が遅れていた。

 

 

やはり、西東京の頂点に立ち、甲子園で鮮烈な活躍を見せつけた青道投手陣、若き野手陣への期待は大きい。そして、3年生たちの粘りの打撃も、全国に見せつけることが出来た。

 

 

そして、9月のアジア大会に召集される選手は残念ながらいなかった。しかしこの青道の練習グラウンドには、まだまだ3年生の姿が見える。

 

そう、国体にも参加する予定があるのだ。しかし、この国体には3年生主体のメンバー編成。新チームの主力、特に投手陣は投げない可能性が高い。

 

秋季大会の前に待ち受ける国体というハードスケジュール。片岡監督にとっては初めての経験であり、やはりその力不足は否めない。

 

 

「しかし、青道がここまで強かった時期は久しぶりですよね。片岡監督が現役の頃に遡るのではないですか?」

野球王国の記者である大和田は、青道躍進という夏の結果に改めて驚いていた。

 

「やはり、下級生を中心とした新戦力の台頭が、青道の爆発的な成長が、青道の躍進につながったんだろう。だが―――――」

峰は、言葉をいったん切る。その理由は―――――

 

 

ギャラリーたちの一番の注目の的であったはずの大塚栄治がいない。やはり、甲子園準決勝後に発覚した背中痛、正確には右ろっ骨の5本目を痛めたことにより、屋内練習、別メニュー。

 

熱中症から復帰した降谷は、投手陣の練習に合流しており、暑さへの耐性も徐々にではあるが、つきつつある。

 

だがそれでも、大塚不在の青道の練習に少しがっかりした者も少なくない。

 

「やはり、大塚君の怪我は深刻なのでしょうか。」

 

「完治には2週間。後一週間もたてば、彼も戻ってくるだろう。それまでの練習試合に出られないのは、青道にとっても、彼にとっても相当な痛手だろうね」

 

 

新チームのエースを担う事が間違いない男の姿がいない。心なしか、新主将に指名された御幸にもどこか覇気がないというか、から元気に見える。

 

守備練習を淡々とこなしている、わけではない。ちゃんとキャプテンらしく、声を出している。

 

実戦を意識した守備練習の最中、

 

「セカンドっ!!」

 

2年生たちが声を出しながら、ノックを受けている選手のポジションを言い放つ。

 

「――――っ!」

セカンドのポジションを狙う、小湊春市。守備でのスランプはなく、打撃の調子も甲子園を経験した為か、安定感を手に入れつつある。

 

しかし、表情はさえない。

 

「ショートっ!!」

対して、ショートのポジションにいるのは沖田。だが、この後彼にはセカンドの守備練習も待っている。

 

だが、複数のポジションを守れる、守る必要がある彼は、大して堪えていないようだ。

 

「どんどん来い~~~!!!」

 

 

「張り切りすぎるんじゃねェぞ~~~、次はセカンドの練習だからな!!」

本塁付近で指示を飛ばす御幸。ちゃんと周りを見ており、周囲のメンバーに対して正確な指示を出している。

 

「つうか、ショートのレギュラーは返してもらうからなぁ!!!」

倉持も守備走塁で負けていない。ショートのレギュラー争いに名乗りを上げる。

 

 

内野手の間では、甲子園ベンチ入りをした倉持、沖田はほぼベンチ入りが確定。ショート争いが熾烈を極める中、セカンドには小湊がリードをしている現状だが、木島澪(きじまれい)がセカンド争いに名乗りを上げる。守備に定評がある木島だが、やはりまだ打力に関して言えば小湊のセンスには及ばない。

 

特に、倉持はチーム随一の俊足であり、代走要因・守備固めとしても十分機能する。それに、やはり甲子園経験者はベンチに必要。

 

サードを争うのが、2年生の日笠、沖田との自主練習で打力を伸ばした金丸の二人が争うことになる。だが、ムラのある日笠、ストレート以外に弱い金丸と、甲乙つけがたいの現状。

 

このままでは、サード沖田、ショート倉持がスタメンだろうというのが実情。

 

 

 

そしてファースト。このファーストには前園、山口の二人が争うことになるのだが、沖田の守備負担を和らげるために、サード、セカンドの他にファーストを守らせるプランも浮上していた。

 

理由は、前園と山口には、一塁を守らせるには打力が心もとない。もし、この二人の打力が不十分である場合、倉持はショート、沖田はファーストへと移動することになる。

 

そうなると、サード争いを演じる二人にも希望が見えるという事だ。

 

 

 

 

 

そして、外野手争いでは白洲・東条が確定。レフトに降谷、大塚が入ることもあるため、実質的に外野手争いは決着しつつある。それでも2年生麻生・関・川島・三村が、1年生金田がそれに次いでいる。

 

 

捕手のレギュラー争いは、主将の御幸が正捕手の座についているのだが、2番手捕手に小野、1年生狩場が続く。特に、狩場は練習でもアピールを続けており、2番手争いはし烈を極めている。

 

そして最後に、エース争い。

 

 

敗戦投手になってしまった川上だが、悔しさ以上に、

 

「もう一度、甲子園でリベンジしないと。俺だって、ただ悔しいままでいたくありません!!」

強い決意を持って、ブルペンでの投球練習を行う川上。甲子園での敗戦を糧に、ますます強い気持ちを持つ事に執着し、エースという役目にも興味を持ち始めたらしいが、

 

「けど、俺はリリーフエース。アイツはエースだと思うぜ。アイツは、青道のエース。秋には戻ってくるだろうさ」

笑顔で、大塚のエースを歓迎する川上。だが、自分を磨くことを怠ることはない。

 

新球種のカッターを覚えることに取り組んでいる川上。フォームのバランスを意識しつつ、同じフォームで投げることを意識している。川上は、沢村が陥ったあのスランプを見ていた。

 

これで、右左の打者への外へと逃げるボール。左打者へのカットボールを使う事で、踏み込みを防ぐ効果があると考えている。通常のストレートもややシュート回転するために、右打者への踏み込みも防ぐ。これで、左右の打者への対応の術を身に付けつつある川上。

 

 

 

一方、降谷はランニングに汗を流していた。課題であるスタミナを強化するために、彼はひたすらに体力強化に努めていた。

 

「課題はスタミナロール、リリース、暑さ。課題は――――」

スタミナ、コントロール、リリース、暑さ。これが降谷にとっての課題。自分でも解っているのだ。エースになれない最大の理由は、これらの要素で自分は大きく劣っていることを。

 

他にも、SFF以外の変化球が欲しいところ。夏大会終了後に習得を目指すチェンジアップについて試行を繰り返している。

 

「緩いボールを投げるだけでも、リリースの感覚を養うのに必要なことだぜ。」

気さくに投手陣により一層話すようになった御幸。なんだか調子が狂うと感じている降谷だが、アドバイスをしてくれるので自分にとっては良い傾向であることだ。

 

そして沢村。

 

「――――っ」

やはり、まだ心の整理がついていないのか、いつもの元気が垣間見られない。

 

決勝での不甲斐無い投球。いや、準々決勝の宝徳、3回戦の妙徳戦。それが沢村にとっての初めての大きな挫折。スライダーを気にするあまり、若干の焦りを覚えていた。

 

そして直面する大きな課題。縦と横の融合。早く空振りが奪えるスライダーを投げるための至上命題を前に、足踏みを強いられている。

 

 

 

そして最後に大塚は――――

 

 

8月ももうすぐ終わる頃、大塚のリハビリは続いていた。懸命に力を取り戻すことに努力をいとわない彼の姿に、医者は心配をしたりもしていたが、経過は良好。

 

「―――――3セット終わりました。一応今日はこれで終了ですね。」

 

苦しい表情を全く見せない大塚がリハビリメニューの終了を報告する。

 

「お疲れ様。今日はクールダウンをして、ゆっくり休むこと。あまり過度な運動はしないこと。骨はくっついたけど、まだまだ安静にしないといけないよ」

 

「――――試合もないので、無茶はしませんよ」

 

 

「できれば、試合があっても無茶をしないでほしかったね」

さりげなく棘のある言葉を投げかける医者に、大塚は言葉を詰まらせる。

 

「それは――――その、すいませんでした」

バツの悪そうな顔で、大塚は謝罪する。やはり罪悪感を覚えていないわけではない。

 

完全試合の中、降板をすることが難しい。ベストを尽くさないのは自身の矜持に反する。

 

完全な板ばさみだった。

 

 

「とにかく、今後は医者の言うことは聞いてほしいな。」

君の為にも、と医者は付け足す。

 

「――――そうですね。」

 

 

 

その後、リハビリステーションを後にする大塚は、床にモノを落としてしまい、手を伸ばして取ろうとしている自分と同年代の青年に出会った。

 

「俺が取りますよ」

大塚が膝を曲げ、落ちているモノを拾い上げ、青年に手渡す。

 

「ありがとう。」

青年は柔和な笑みを浮かべ、大塚にお礼を言う。

 

「集合写真ですか?」

大塚が拾った写真には、大勢の少年たちが映っており、車椅子の青年がその中心に映っていた。

 

「うん。みんなが待ってくれているんだ。ここで俺が折れるわけにはいかないからね。高校在学中は無理でも、プレーヤーとしての未来も諦めていないから」

強い決意を示す瞳でそう語る青年。

 

 

「プレーヤー? 見たところ、野球のような気がしますが―――――」

なんだか年上な気がした大塚の口調が自然と丁寧語になる。自分よりも苦労している人を見かけ、彼も態度を変えていた。

 

「うん、そうだよ。それにしても、有名人にここで出会うなんて、俺も幸運なのかな。それとも――――」

目を輝かせる青年。慌てて大塚は

 

「あ、それは―――その、秘密に――――」

あまり騒ぎにならない方がいいので、それ以上は、とお願いするも、

 

 

「秋のライバルに出会うなんて、思ってもみなかった」

 

 

「!!!!」

その衝撃的な言葉、言葉の重みに負けない彼の覚悟と気持ちの強さを感じた雰囲気に、大塚は目を見開く。

 

 

「俺だけが君の事を知っているのもフェアじゃないね。俺は松原南朋。鵜久森高校の2年生マネージャーだよ。対戦する時はお手柔らかにね」

挑戦的なセリフを言葉にする松原。

 

「―――――鵜久森高校―――――確か、東京で薬師と同じく練習試合で連勝している――――」

 

青道の方で取り寄せた情報では、確か東東京ベスト16に入ったチームでもあるという事。油断のならない力のあるチームであることを感じさせた。

 

「――――さすがは青道高校。そういうところは早いね。」

不敵な笑みを浮かべる松原。年が一つ違うというのに、大塚は彼に気圧されていた。現在怪我によるリハビリ、自分のよりどころが揺れている今の状態ならば仕方ないのかもしれないが、目の前の彼の存在感を感じたのだ。

 

「―――――秋大会。制するのは俺達です。そこは、譲りません」

 

だから、せめてこの言葉だけは宣言しなければならない。このまま気圧されたままではいけない。舐められるわけにはいかない。

 

「――――うん。そういうと思った。けど、違ったなぁ。イメージと」

 

 

「イメージと?」

 

 

「もっと唯我独尊って感じがしたから。マウンドでの強気な投球。だからね、今の君が本当にあのマウンドにいた君なのかが一瞬わからなかったんだ。」

 

 

「―――――どういう意味ですか」

今の自分は確かに情けないが、それは心外だと感じた大塚。

 

 

 

「君は、野球を楽しんでいないように見えたから。無理をしているようで、何かに突き動かされているような気がしたんだ。」

 

 

 

「!!!!!!!」

 

 

見透かされている。出会って間もないこの男は、大塚の本質を即座に見抜いたのだ。

 

 

「―――――そのままの方が、攻略はしやすいかな。けど、同じ高校生で、五体満足なのに、野球を楽しめないのは―――――」

 

 

 

「―――――――――――――――」

かなり挑発的な言葉を言われていると理解している大塚。だが、彼の現状と、自分の現状を照らし合わせつつ、自分の核心を突いた今の会話で、彼は思うように口を動かせなかった。

 

 

 

 

「野球を楽しんでいないのは、それ以上に許せないね。」

 

 

 

 

「――――――」

何も言えない大塚。それが事実だからだ。

 

 

 

重荷に感じている。期待も、自分の劣等感も。

 

 

 

「秋の大会で、お互い力を出し尽くしたいね。俺達は、俺達の全力を以て、君達の全力を凌駕する。甲子園に行くのは―――――俺達だ」

 

 

そういうと、松原は車椅子を回しながらその場を後にするのだった。大塚はその後ろ姿を追わない。

 

 

追う事が出来ない。

 

 

「―――――彼は、強い人間、なのか―――――」

その仲間を信じる強さと、それを言い切る自信の表れ。

 

 

 

――――それが眩しくて、手に届かない。

 

 

「ほう、松原君にあったのかね」

そこへ、大塚を担当している医者がやってきた。

 

「先生。彼は―――――」

 

 

「在学中に治るのは難しいな。大学ぐらいになれば日常生活も送れると思うが、実際にプレーをするというのは、相当な道のりだよ。」

 

 

「―――――――そう、ですか」

それでも、彼はプレーヤーとしての道をまだ諦めていないと言っていた。それがどんなに重いモノなのかを改めて思い知った。

 

 

「けど、彼は強さに耐えられる。長期間のリハビリの中で弱音を吐かないね。目が死んでいない。強さに負けない人間だよ、彼は」

 

 

「強さに負けない、ですか?」

 

 

「強い人間なんていない。人は皆弱いモノさ。その中で、どう生きていくのか。強くあろうとしているのだよ、彼は。事故で身体の自由を失ったその日から、彼の戦いはずっと続いているんだ。」

 

 

「―――――――」

 

 

「彼の周りに集まっているのも、意志の強い子たちばかりだったよ。友達にも恵まれているからこそ、彼も頑張れるんだろう。」

 

 

待っている人がいるからね、と付け加え、医者も大塚を残してこの場を後にする。

 

 

 

「―――――眩しい。」

 

綺麗な物で、今の自分には届かない光。もたざる者だからこそ、その光が尊く感じられた。

 

 

 

そして最終日、大塚は夏の記憶について、思いをはせていた。

 

 

 

『試合終了~~~~~!!!! 3-2!! 沖縄光南高校!! 春夏連覇、達成!! 歓喜の瞬間が今ここに!!』

 

柿崎を中心とした歓喜の輪が生まれていた。最後の打者として打ち取られた御幸は一塁ベース付近で足を止めていた。

 

『群雄割拠!! 新世代台頭の夏は!! 新たな甲子園のスターを生む為のものでした!! 光南のエースから、甲子園のエースへ!! 柿崎則春!! 不屈の3連続完投!!』

 

 

御幸は立ち上がれなかった。二塁ベースから戻ってきた結城に肩を貸され、自分で立つ事すら辛いようだ。

 

「――――――」

目を伏せ、そのアウトを見た沖田は、泣き崩れることもなく、その後毅然とした表情で光南の歓喜の輪を見ていた。

 

 

周りは、みんな泣いていた。言葉にならない泣き声を上げていた。

 

「――――っ!」

金丸が泣いていた。膝をつき、光南の優勝が決まった瞬間に、彼は自分の横で崩れ落ちた。

 

 

マネージャー陣も泣いていた。わんわん泣きながら、抱き合いながら。

 

 

その時、吉川に何かを言われたような気がしたが、思い出せない。その時の彼は、放心状態だったのだ。

 

――――何を言われたんだっけ――――俺は彼女に

 

 

 

「――――――――」

いつの間にか、大塚は夢の中にいるような感覚だった。なぜなら、目の前の自分の視界には、金丸の横で立っていた自分がいたのだ。

 

 

「―――――――――」

大塚は、意を決して崩れ落ちている金丸に手を差し伸べようとしたが、夢の中の映像に過ぎない大塚を見た瞬間に、その手が止まる。

 

―――――俺は、

 

もう取り戻せない時間。あの夏は終わった。そしてその時、自分は彼らに、彼女らに手を差し伸べなかった。

 

 

―――――そうだったのか、俺は――――

 

 

怪我でベンチメンバーから外れた。投手陣に負担を敷いたのは自分のせいだ。自分が投げていれば、と思う事すら許されない。

 

――――この光景を俺は知っている

 

最早遺恨は存在しない。だがそれでも、大塚はその忌まわしい記憶を思い出してしまった。

 

 

 

眼前でチームメイトたちが負けた光景。

 

 

あの時は怪我をして途中降板。今度は最初から出ることもかなわず。

 

 

 

その出ることも叶わない事実が、青道の敗因に等しかった。

 

 

 

8回のチャンスの場面、あそこでもし投手陣に余裕があれば、迷わず代打を送ることが出来た。丹波をいかせることになったのは、自分の離脱が大きい。

 

 

あの場所に、自分がいなかった。最後まで、チームの力になれなかった。

 

 

彼は大事な時にいなかった。そして、沢村が崩れたのを見ていることしか出来なかった。川上と御幸の攻め方に、迷いがあったことを、指摘できなかった。

 

 

―――――――違う

 

 

大塚は、理屈で考えることを中断した。彼の感じている本質は、違うと。

 

 

 

―――――いい加減に目を覚ましたらどうだ?

 

 

同じような声色で、大塚の深層心理の中で彼の声が響いた。

 

 

―――――お前は結局、仲間を信頼できない。

 

 

それはほかならぬ自分の声。大塚が忌み嫌った自分勝手な考え。エースを目指すうえで取り除きたかった心。

 

 

 

―――――お前はエゴの塊だ、今お前が一番悔しがっている理由は仲間の涙じゃないだろ?

 

人当たりの良い、大塚らしからぬ事実。彼は仲間の為に力を出してきたし、協力もした。面倒見の良い人物と思われていた。

 

 

それは、そんな汚い自分から目を背けたかったからだ。その本音は、自分の自業自得。それは絶対に認めてはならないはずなのだから。

 

 

 

 

それを認めてしまえば、今の彼は、今いる仲間たちに顔向けできない。

 

 

 

 

 

――――――お前は、自分が投げられなかったことが一番悔しいんだ。

 

 

 

 

 

「違うっ!!」

 

 

誰もいない廊下で、頭を振り乱しながら叫ぶ大塚。

 

 

 

 

 

 

「―――――違う、けどそれだけじゃないんだ。俺は―――――」

自問自答。大塚はその自分の中から生まれた事実を振り払う。何が決定的な理由かなどどうでもいい。

 

その全ての理由が、今自分に突き付けられていることを認識しなければならない。

 

 

 

 

「――――――っ」

 

大塚は、これ以上この事を考えても好転しないことを理解する。目の前の、自分がやるべきことに集中する。

 

 

 

―――――早く、チームに貢献する準備と体勢を作らないと

 

 

その為に力を磨かなければならない。

 

 

 

 

入部当初からそれしか出来なかった彼は、力を示すこと以外に、チームとのかかわり合いをまだ知らずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

そしてその敗戦を背負う運命を課せられた男は――――――――

 

 

 

 

練習が終わった後の御幸は、甲子園決勝の映像を見ていた。甲子園決勝後の数日後、彼はすでに動き始めていた。いや、動かなければ、彼は止まったままになってしまう事が解ってしまう。

 

「―――――――」

それも、これで5回だ。あの試合での反省点を洗い出し、もう二度と同じ過ちをしないよう、彼は愚直に学ぶことに徹した。

 

 

相手の狙い球、打ち取られた時の反応、次の打席での一挙一足。ヒット後の打席。各打者の全打席を踏まえた上での自分の配球の課題。

 

 

 

 

その試合の膨大な情報量を自分の糧にしようと、御幸は学ぶことをやめない。

 

 

 

 

 

「もう振り返っているのかよ。相変わらず切り替えがはぇな。」

倉持が、そんな御幸の様子に感心すると同時に、心苦しさを感じた。一番あの敗戦を悔やんでいるのは、彼だという事を解っているからだ。

 

「ああ。」

振り返らずに、御幸は倉持の声に反応する。

 

「――――ちょっと休めよ。ここの所働きっぱなしだろ。」

最近の御幸は、生き急いでいるように見えてならない。

 

「大丈夫だ。キャプテンとして、責任も重大だからな。何より俺が、目を背けちゃいけねぇんだよ」

涙はもう見せない、流さない。だが、御幸の中にも、あの夏で得た経験と、悔しさがくすぶっているのだ。

 

 

――――バカ野郎が――――そう言うことを言いたいんじゃねェンだよ―――

 

 

だが、倉持に思い浮かんだ言葉はない。どうすればいいのだ。御幸は献身的に、チームが勝つことに対して貪欲になっている。まだ慣れていないが、新しい主将として、頑張っているのは解る。

 

そして、もう一匹狼で自由気ままに出来る立場ではないことを、彼は即座に理解していた。

 

それを倉持も解っているからこそ、懸命に頑張っている彼にそこまで強い言葉を言えずにいた。

 

 

 

今声をかけたら、御幸が崩れてしまうのではないかと思ってしまう。

 

 

 

 

夏の主力メンバーが多く残った青道高校。だが、不安要素は確実に彼らを蝕んでいた。

 

 

 

そんなエースの異変、新主将の重圧と責任を目の当たりにした彼女は―――――

 

 

「大塚君――――――」

 

あれ以来、彼は厳しい顔をするようになった。慢心も、達成感も感じていないかのような顔。妙に親近感の湧く雰囲気もなくなった。

 

大塚がそれだけあの敗戦に責任を感じているからだというのは解る。彼は切り替えているようで、切り替えられていない。

 

だからこそ、いよいよ心配になった彼女は彼に声をかけたのだ。

 

「あまり、無理はしない方がいいよ。大塚君はちょっと頑張りすぎ――――」

 

仲間に心配された大塚は、それを聞くと表情を崩す。その瞬間だけ、彼はいつもの大塚に戻っていた。

 

 

「ははは、ごめんね。やっぱあの敗戦は堪えるわ。だから体が騒いでならないんだ」

 

しかし、その表情は一瞬であの顔に戻り、

 

 

 

「今まで積み重ねてきても、最後に崩してしまえば意味がないんだ。信頼も、結果も。」

 

 

 

 

厳しい表情に戻った。ストイックな面はあったが、彼がとても高校生のアマチュア選手に見えなかった。

 

吉川はスポーツ選手のメンタルについてよく知らないことが多い。中には理解できない一面もあるだろう。

 

だからこそ、もしここに他の上級生がいれば、彼が何を求めているのかは一瞬で分かる。

 

「俺みたいに夏に主力を任された選手は、結果を出して当たり前の立場じゃないと。上級生が抜けた今、有力な選手一人一人が昇格組をフォローしつつ、自分も磨かないといけない。これは義務だよ。それを新キャプテンにだけ任せるのも酷だよ」

 

 

 

 

 

「沢村も、特に投手陣は悔しい思いをしている。だからこそ、唯一“蚊帳の外”だった俺がカバーしないと。」

 

 

 

 

 

―――――彼は結果を求めている。

 

 

結果。それはチームを勝利に導くこと。チームが勝つこと。ただひたすらにそれだけを渇望している。

 

 

 

我欲が薄い彼に生まれた強烈な欲求。それは間違いなく彼を成長させるだろう。だが、何かを失ってしまうだろう。エースという存在を彼がどう解釈しているかはわからないが、それでも、

 

 

今のままでは、「優秀な投手」でしかない。

 

 

 

それを大塚は知ろうともしない。丹波があの夏に至ったエースには程遠い存在。

 

 

コイツの為に打ってやろう。こいつを信じてやりたい。彼が自分たちのエースだと。

 

 

そんな存在。

 

 

 

「大塚君には、仲間がいるんだよ? 大塚君が一人で抱え込むのは、よくないよ…」

 

 

「けど、最善を尽くさないことは、したくない。最善を尽くす、頑張らないと。連投に耐え得るタフネス、今よりも強烈な球威。それでいて、その状態を維持するための制球力。何よりも勝負勘。頑張らないといけないことはたくさんあるんだ。それに俺だけの問題じゃない。今後、昇格組と主力にも軋轢が生まれるかもしれない。その時に、冷静な人がいないといけないんだ。」

 

意識の差が、新チーム始動の時に衝突してしまうのは仕方のない事。大塚は恐れているのだ。

 

 

「新チームの始動に失敗すれば、春はおろか、夏も危ういんだ。気を抜くなんてこと、許されるわけがない。チーム力向上は、どのチームにとっても大きな指針だよ。」

 

 

 

 

吉川は何も言えない。正論だった。大塚に求められているのは、そういうことなのだ。彼が何を思おうと、チームが彼の負担を減らそうとしても、結果的にこうなる。

 

 

何よりも、ベンチにいるだけで彼の存在感はチームに安心を齎す。洞察力に長け、相手の弱点を探り出し、突破口を見出す。選手という枠には収まりきらない何かを感じさせる、

 

 

何かを起こしてくれる選手。

 

 

 

 

 

それは、大塚和正には出来なかったことを、彼はまだ知らない。見ようともしていない。

 

 

 

「新チームの中心に周りからも期待されている。俺が頑張らないと、やっぱりダメでしょ?」

 

責任感が今後彼をどう変化させていくのか、それは誰にもわからない。だが、分の悪い賭けだ。

 

 

賭けに負ければ、彼は戻れなくなるだろう。彼はプレッシャーに潰れる。だが、その苦難を乗り越えた先にあるモノは、計り知れない。

 

 

だからこそ、彼は歩みを止めないのだろう。彼はその先の結果を求めているのだから。

 

 

 

 

「だから頑張ることについて、あまりそういうことを言わないでくれ。けど、心配してくれてありがとうね、吉川さん」

 

 

 

敗戦の苦さを思い出したエースは、頑張り続ける。周りがどう思おうと、止まらない。

 

 

 

 

 

 

その話を聞いていたものは、彼女だけではなかった。

 

 

「―――――――――――――――――」

 

1年生、金丸信二。彼は、大塚の覚悟を聞いていた。大塚の本音を知った。入学した時からストイックな同級生だとは分かっていたが、ここまでくればもはやストイックというレベルではない。

 

 

ただひたすらに狂っている。野球に人生を賭けている、それほどの覚悟と正気の無さ。

 

 

アマチュアの選手ではなく、プロが持つような心構え。時期尚早、と言ってもいい。

 

 

 

そして、時折見せる脆さ。それはまるで、ガラスのエースのような。

 

 

 

――――なんだよ、なんだよそれは!?

 

 

彼が感じたのは憤り。

 

 

――――アイツは他人を見下しているわけじゃない、けどムカつくにもほどがあるぜ!!

 

 

それは大塚が悪意の欠片も持っていなかったあの発言に対してだ。昇格組と夏のベンチメンバー。そこにはやはり実力差や意識の差が存在する。

 

彼は新チームの事を考えている。だが、彼は無意識のうちに仲間を最後の一線まで信じていない。

 

 

それは、大塚が飛びぬけているから。彼が本当の意味で信頼しているのはあの夏を共に戦った一部の者達だけなのだと。

 

 

 

悪意無き驕りが、未だに大塚の中に残っている。

 

 

 

 

 

だが、大塚が何を考えて、必死に努力をしているのかを気にしている者が、果たしてこの部内で何人いるだろうか。

 

 

彼は本当に仲間にアドバイスを惜しまない。だからこそ、質が悪い。

 

 

 

金丸にも、当然焦りはある。ストレートに強いというストロングポイントを持ちながら、結果を出せていないのは打撃の安定感がないから。それは解っているが、彼自身が自分の選手像をイメージできていない。

 

―――――この先変化球に苦労するようじゃ、とてもアイツらについていけない

 

 

 

何よりも、大塚に文句の一つも言えるような立場になれない。

 

 

今の自分には、まだまだ力が足りないから。

 

 

 

 

ストレートに対する相性は、沖田に次ぐ実力。しかし変化球への弱さが彼の課題だった。

 

 

 

 

 

 

 

練習に姿を現さない大塚。それでも青道は秋大会までに準備をする必要があった。

 

 

 

 

 

 

真夏の日差しが差す中、青道グラウンドでは連日、実戦守備練習による過酷な練習が行われていた。

 

「サード!!」

 

甲高い金属音から白球が地面を走る。サードにいるのは――――

 

 

「しゃぁっ!!」

強烈なバウンドに前に突っ込みながら捕球し、そのまま送球。内野手の定位置を狙う1年生金丸がアピールを続ける。

 

「俺の定位置がどこかは知らないが、望むところだ、信二」

そんな同期のアピールに、沖田は不敵な笑みを浮かべ、その挑戦を受ける。

 

「まだお前には打力でも守備でも勝てねェよ!! だからさっさとショートに戻ってくれよ!!」

金丸としては、真正面からこの秀才とやり合う気はない。チームの事を考えれば、

 

 

沖田道広は不動の4番打者であるからだ。

 

3番にはすでにライトの定位置をつかみつつある東条。5番には捕手の御幸。きっちりとした主軸がすでに完成されているのが、新チーム始動において大きなアドバンテージ。

 

1番2番には白洲、倉持、小湊の調子の良い野手を起用することも考えられ、沖田の守備位置によってはこの3人のうち誰かがベンチになるのだ。

 

 

「――――まだまだぁ!!! もう一本!!」

そして、その危機感を一番感じているのは倉持。ショートの守備力では負けていないが、その力強いプレーはとてもまねできない。ましてや、あの打力もそうだ。

 

 

沖田は今後青道を引っ張る選手である。片岡監督も、その守備での器用さに嬉しい悩みを抱えるほどに。

 

 

本人曰く、「本職でプレーしたい」とのこと。彼が目指すのは、

 

 

トリプルスリー、5ツールプレーヤー。

 

 

盗塁を狙う事が出来、長打も期待でき、確実性も追求する。

 

 

走攻守3拍子揃った万能型のプレーヤー。

 

長打を打てる打者が、走れないなんて誰が決めた、と彼は言う。

 

 

「けど、金丸はファーストの練習もすればいいと思うぞ? セカンドも小湊がいるし、ショートは俺と倉持先輩、サードは先輩と併用する時に俺が入るし。まあ、本人がこういうのもなんだけどさ」

沖田は、冷静に現状を金丸に述べる。ファーストで勝負するのも一つの手ではないかと。

 

 

「けど、前園先輩と、山口先輩に比べて、俺はパワーが足りねぇ。」

この二人の打力には安定感こそないが、長打が期待できる。金丸はストレートに強いというストロングポイントがあるが、やはりパワーでは劣る。

 

「腕力だけで、飛距離が変わるわけではないさ、信二。スイングはとても繊細なんだ。」

 

「沖田のように懐の深いフォームならなぁ。」

 

 

「単に誰かのマネをしても、頭打ちになるだけだぞ。練習は取り入れても、根っこの部分がしっかりしていないと、甲子園では簡単に抑え込まれるぞ」

 

兄の幻影を求め、プレースタイルまで瓜二つの春市が、甲子園で打撃不振に陥ったのも。

 

 

スケールで負けていたのだ。彼らは全国に出てきた猛者たち。その激戦区をさらに勝ち上がる8強、その先の4強に残るようなチームに、弱いチームがいるわけがない。

 

彼らは個人で、集団で根っこが深い武器を携えている。

 

 

横浦には今年の夏最強の破壊力。その中心には怪物坂田久遠と岡本達郎。

 

光陵には成瀬を中心とした投手陣に加え、地力のある野手陣がバックに控えるバランスの良さ。沖田が認めるレベルの高いチームである。

 

光南には絶対的なエース、柿崎則春。そして、それぞれが一発のある油断のならない打撃陣。川上が被弾したのも、悪く言えば事故だ。

 

しかし、その事故を誘発できるほどに、長打を期待できるバッターがいたのだ。

 

 

「ファーストかぁ。まあ、沖田や小湊を相手にするよりはマシか――――」

 

沖田のアドバイスにより、金丸はサードに加え、ファーストの練習を行うようになる。

 

 

全体練習が終わり、暗くなった屋内練習場。

 

金属音が鳴り響く。

 

金丸は沖田、小湊とともに打撃練習を行っていた。

 

 

最早日課となった1年生たちの自主練習である。

 

 

「――――」

 

鋭い打球を飛ばす金丸。だがその表情はさえない。

 

 

「相変わらず、レフト方向への当たりは凄いね。プル気味の打球なら、沖田君と同じくらい凄いよ。」

打撃の結果と、金丸のさえない表情を見て、小湊がすかさずフォローに入る。

 

「――――信二? フォームに何か迷いを感じるが?」

 

沖田は、打席での彼の立ち姿に、何か自信の無さを感じ取っていた。彼は、長打力があるが、それ合から先のイメージがなかなかわからない。

 

 

――――金丸はストレートに強い。だからこそ腰の振りもいい。スイングもいい感じ。だけど変化球に弱い。

 

 

それは変化球に対する動作のバリエーションの無さが原因。それを本人も自覚している。

 

変化球への対応力をあげる。口で言うのは簡単だが、それが出来ないのはその動きを体が知らないからだ。

 

だからこそ、金丸は自分のフォームにそれを教えなければならないのだが――――

 

 

気がかりなのは、それを金丸が強く意識し過ぎていること。

 

彼が変化球を強く意識して、フォームが崩れるのではないかと沖田は危惧していた。

 

 

「成宮や楊をイメージすりゃあ、俺はまだまだ可能性も感じられねぇ。」

 

金丸が本音を吐露する。彼らに共通するのは、打者のタイミングを外す術があるという事だ。

 

「チェンジアップ、それにフォームチェンジか――――けど、成宮はともかく、楊舜臣は仕方ないぞ。正直、5回に1回ぐらいが現状だよ。長打を打てる確率は」

 

沖田をしても、楊舜臣は努力の秀才。その鍛え抜かれた技術はまさに芸術と言っていい。何よりも、一つの事をただひたすらに行ってきた者同士、親近感もある。

 

 

「俺はあの緩い球で、いつもイメージでタイミングを外されてるんだ。体勢が崩れて、バットを動かす時に手間取る。」

 

 

「正直、もっと有効にチェンジアップを使われたら、固め打ちなんて出来なかったさ。右方向を狙っていなければ、外の緩い球に三振だったかも」

 

 

「金丸は、どこの動作が不満なの?」

小湊が、打撃の始動について、動作について尋ねる。

 

「ストレートを打つときは、ストレートのタイミングだけどさ、チェンジアップや変化球、それが来た時はバットを持った手が一瞬止まってしまうんだよ。そこからまた動き始めるのが――――――!!!!!!!」

 

その瞬間、金丸の頭に電流走る。

 

 

――――そ、そうか!! 止まるのがダメだったんだ!! “止まらない”方法を考えるんだ!!

 

 

「金丸!?」

 

 

興奮を隠し切れない金丸は、その体からその未来を全身でイメージしていた。

 

動から動へとスムーズに動く、バットの動作。緩い球をストレートよりも体に引き付けて、止まらずにそのタイミングで打つ。

 

決してバットを持った手は止めない。ストレートなら溜めは短く、変化球ならば溜めは長く。

 

 

タイミングが合わず、バットを振る動作が止まり、また動き出すには時間がかかる。

 

そして、それを行えばバランスが悪くなってしまう。だからこそ、動きながら間合いを測り、そして的確なタイミングで止まることなくバットを振り抜く。

 

 

それは上半身の動きだけではだめだ。下半身の動きが一番重要で、それを為すには必要なこと。

 

これまで以上に正確で、なめらかな動きがまず、彼の関門となる。

 

 

 

だがもし、この理論を実践し、実現できた時。

 

 

自分はどんな打者になるのか、それが見てみたいと金丸は感じずにはいられなかった。

 

「俺は、この秋大会にかける。この野球への進退をかけて」

 

 

恐らく、生半可な練習量ではこれは身に付けられない。恐らくスランプが来るかもしれない。だがそれが何だというのだ。

 

 

その理想の一つ一つの動きは簡単で、だからこそ、簡単に崩れる。

 

 

現実は、容易く理想を壊し、その理想の動きから遠ざかる。自分が思い描いた軌道と違える。

 

 

だからこそ、理想は遠い。

 

 

 

 

 

 

誰よりもバットを振り込む。

 

東条よりも、小湊よりも、前園先輩よりも、

 

 

 

沖田よりも、

 

 

 

 

大塚栄治はもっと高い場所でもがいている。同じ一年生がそれでも前に進もうとしているのだ。

 

 

――――アイツは、一人ぼっちで、だから見えてないんだ!!

 

本質が解って、アイツが近くなったように思えた金丸。

 

 

 

――――そこで前を走ってろッ!!! すぐに追いついてやるッ!!!

 

 

 

負けていられない。何よりも、初めてだったのだ。ここまで自分の打者としてのイメージが芽生えたのは。

 

 

その成長に失敗するのか、それとも成長したことにより、高校級の扉を潜るのか。

 

 

そんな日常での練習で閃く同期たちの姿に、沖田はワクワクを抑えられない。

 

――――エイジ、夏は終わったが秋から俺達の野球が始まる。

 

自分たちの高校野球はまだまだこれからなのだ。

 

 

――――お前が戻ってくるときに、誰か一人くらい“変わってる”かもしれないぞ。

 

新チームは成長するしかない。だからこそ、沖田はこのチームの未来が楽しみなのだ。

 

 

 

 




金丸君が答えに辿り着きました。

プロ1「いやいや、俺らでも無理なのにお前に出来るわけないだろww」

プロ2「現実は教科書通りのスイングなんて許してくれないぞ」



沖田「そういや、広島に。あんな風に出来たらいいなぁ。」

まあ、たぶん無理でしょうけどね。いろいろ試して金丸君の打撃フォームを完成してもらいたいです。


主人公についてですが

色々重い理由があって、簡単に立ち直らせるわけにはいかないんですよ。

秋大会中は、ずっとこんな感じです。秋大会を終えて、彼が自分の本物を見つけるまでがこの章の物語です。

批判は多いですけど、この作品の主人公はあくまで彼ですからね。

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