ダイヤのAたち!   作:傍観者改め、介入者

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野球関係ないようなタイトルになってしまった。だけど、今回はこれです。




第40話 光に纏う影

試合は終わった。

 

その直後に沢村ら、スタメンと、ベンチ組は、薬師の選手達と整列する。

 

「…………………………………」

轟は押し黙ったまま、何も言わない。あれほどあった元気がない。

 

「………………(なんだ………これ………)」

騒いでいた方が解りやすかった。ここまで静かなのはかえって不気味である。この試合では完勝した沢村だが、それが続くとも限らない。それほどの脅威を感じた相手である。

 

――――こいつと、これから3年間…………

 

3年間、同じブロックにこの怪物がいる。果たして御幸がいなくなる最後の年は、勝てるのだろかと。

 

「…………おい、お前!!」

 

「次はお前のストレート、絶対スタンドに運んでやるッ! 秋は覚悟しとけ!!」

そして主軸の一人である三島は、沢村からヒットを打った打者の一人。

 

「…………勝つのは俺達だ………ッ!」

次はどうなるかわからない。リードがはまり、初見のスライダーで打ち取った。それでも確実に言えるのは―――

 

―――スライダーを完全にものにしないと、次は打たれる………

 

轟と握手した時、自分の手のひらとはあまりにも違う固さに、沢村は戦慄を覚えた。いったいどれだけバットを握り、振り続ければ、ここまで固くなるのかと。

 

「アイツだけは………ヤバい………」

沢村は元気を失ってこそいるが、轟の打者としての力を認めざるを得なかった。

 

「栄純君」

日頃は能天気なセリフが多い彼を見ていた春市だが、投手の本能が彼に警鐘を鳴らし、彼の意識を高めていることに、彼のさらなる成長を期待した。

 

「また強くなろう。後二つ勝って、甲子園に行こう」

 

「ああっ! あの舞台に俺達は立つんだ………」

 

 

そして今夜の全体ミーティング。

 

稲城実業が準決勝に勝ち上がり、ベスト4が出そろった。

 

やはり成宮は温存し、継投で逃げ切った稲実。そのライバルが準決勝で当たるのは、格上の高校を次々と破ってきた都立の桜沢高校。エースの長緒は、ナックルボーラーであり、守備の堅いチームである。

 

そして一方で青道が当たるのは―――

 

「仙泉学園………」

 

西東京の地区では、稲実、青道、市大三高のトップ3が君臨している現状。そこへ割って入ろうとするのがこの高校である。

 

「部員数は80名を超え、ベスト8常連の強豪校。今年の春、市大三高と1点差の投手戦の末、敗れてはいますね」

 

市大三高の真中と投げ合った投手力。その中心にいるのは、大巨人…真木 洋介。

 

身長は2mを越え、その長身から繰り出される威力があるボールが決め球。カーブは日本一の高さから放たれると言われている。

 

そして、その体格の良さと、将来性の高さは、プロも注目している。

 

「明後日、準決勝の先発は沢村で行く。そして川上、降谷には、しっかりと心の準備をしてほしい。そして最後のイニングには、調整も兼ねて、大塚に投げてもらう。」

 

「はいっ!!」

2戦連続の先発。ここが甲子園に行く最後の采配。明川学園相手に完封の大塚。彼には、相当の負担を強いていた。故に、決勝の先発は万全にしてもらう。

 

片岡監督も、チームも、決勝の先発は大塚だと悟っているのだ。あの宿敵成宮に投げ合える投手は彼しかいない。

 

「この試合では、全ての球種を解禁してもいい。」

 

 

「解りました」

大塚も本番前のテスト登板であることを悟る。

 

「特に、沢村には今日の試合は相当頑張ってもらった。だからこそ、早い回からの継投になる。降谷にはロングリリーフを任せる。」

 

片岡監督の理想としては、5回まで沢村が持ってくれれば合格である。6回7回に降谷をマウンドに上げ、調子云々によっては8回も続投させ、9回は大塚の大一番前の登板。

 

ベンチに川上を温存しておきたいのも事実。

 

ミーティングは終了し、レギュラー陣を含む部員たちは部屋を後にするのだが、

 

「監督」

一軍に選ばれなかった上級生らが監督に話があるようで――――

 

 

 

「…………すいません! あの球の感触を確かめたくて………」

沢村は、クリスと御幸にお願いして、高速縦スライダーの感触を確かめつつ、客観的な意見を求めていた。

 

「ああ。大分コースに決まっている。俺も、ここまで上達するとは思っていなかったぞ。」

クリスも驚く沢村の投手としてのポテンシャル。

 

「というか、ほんと取りにくいな、この球………急激に曲がるから、打つ方も相当ヤバそうだな。」

御幸も無難にとってはいるが、その表情に余裕はない。ムービング以上に暴れるこの球種は、明日の先発、そして決勝の場面で大塚に何らかの緊急事態が起きた場合、沢村のこの球は有効である。

 

「そういえば、今日は珍しくネットスローだったな、大塚」

 

「明川の相手に完投して、その上本格派のフォームに戻ったんだ。疲労はそれなりだろう。フォームも乱れていないし、大丈夫だとは思うが」

クリスも、顔色一つ変えずに、笑顔を見せる大塚の調整を見て、御幸の疑問は問題ないという。

 

「まあ、アイツは自分のコントロールは出来るだろうし、それほど心配はしていないが………」

一年生投手陣の中で、あれほど手のかからない投手はやりやすいし、御幸も彼に刺激を受けている部分もある。

 

「ただ俺も、大塚が必要以上にチームを背負いすぎていている傾向はあると思う。だから、今日の試合の沢村の快投は、奴の重荷を幾分も軽くさせただろう」

クリスも、責任感の強い大塚の事は心配している。だが、そこへ沢村が独り立ちした。

 

甲子園本選でも、これは十分に大塚と復帰予定の丹波のプレッシャーを軽減してくれるだろうと。

 

「そう、ですよね…………」

 

御幸の脳裏には、明川戦の決勝点を導いた、大塚の走塁が目に焼き付いていた。

 

―――あれほどの体の捻りと、回転しながらのスライディング。投手では考えられないプレーでもある。

 

それをさせざるを得なかったのは、打線が抑えられていたからで、結局その一点どまり。

 

―――あのプレーを見て、俺はいつまで気にしているんだ……? 

 

それは、クリスがけがをする直前の、言いようのない悪寒。

 

だが御幸は、大塚に何も聞く勇気がなかった。

 

 

 

そして一方の仙泉学園。戦前の予想では、一年生投手陣豊富な青道に軍配が上がっているが、

 

これは青道のミーティングよりも時系列を遡った時間帯。

 

記者たちの前でも、仙泉の監督、鵜飼 一良監督は青道に胸を借りるつもりで戦うと言ってはいた。

 

「それにしても、何やねん。青道はどうやってあれほどの投手を揃えたんかなぁ」

そして旋風を巻き起こす大塚は有名だ。しかし沢村、降谷はいずれも無名。しかも大塚は中学2年生の時の大怪我で、実戦から長く離れていた。

 

――――大塚がモノになる可能性はあったんやろう………せやけど、あの二人は無名で、最初からあんな投球ができたんか?

 

特に沢村は、夏予選でかなり評価を上げてきている。降谷も登板機会が少ないが、それでもあの剛速球はかなりの武器。

 

そして上級生の川上もコントロール抜群のサイドスロー。現在どの投手も無失点を継続中。

 

「青道は、練習量も多いし、毎年バランスのいいチームに仕上げています。うちの連中なんて、ケツを叩かな、動きませんよ。」

あくまで日頃の実力では劣っていることを認める監督。

 

「ただ勝負っちゅうんは、やってみんとわかりません。結果が見えとるなら、誰も努力なんてしませんわ」

 

「(本音が出た………?)」

大和田は、監督のつかみどころのない言葉の中に本音を見た気がした。

 

「まあ、片岡監督は熱血指導で有名やけど、選手を信じすぎとるきらいがあると、わしは思うなぁ」

 

「というと?」

峰は片岡監督の采配に疑問を口にする鵜飼監督に、質問する。

 

「この夏の予選。まさか1年生を軸に勝ち進もうとするなんて、思ってもいませんでしたわ。それが今のところは機能しとるけど、まだ1年生。投手事情を細部まで知らんわしは、青道さんの事はようわからんけど、1年生にエースナンバーを託すのも、博打やろうし」

 

大塚のエースナンバー。けがから復帰し、実戦で今のところ課題を見つけていないゴールデンルーキー。

 

試合とともに、成長を続ける沢村は背番号11。そこへ、剛腕降谷も入り込んでくる。

 

しかし、上級生の投手は2年の川上のみ。3年の丹波は噂の怪我が真実味を帯びている。

 

「確かに………」

峰も、大塚にそれだけの力があるから託されているのだと思うが、見方を変え、一年生であることを考えると、大塚がいつ崩れるかもわからないという予感もある。

 

それが本選なのか、それともあと二試合………準決勝か、決勝のどちらかはわからない。

 

それが出る可能性は考えられる。

 

「まあ、うちが付けこむのはそこやな」

やんわりとそう言ってはいるが、峰と大和田は、監督歴40年の鵜飼の冷たい闘志を感じ取っていた。

 

ズドォォォンッッ!!

 

そしてブルペンでは、エースナンバーの真木が、投球練習を行っていた。

 

低めへと威圧感もある、球威の重い速球がキャッチャーミットをいい音で響かせている。

 

「ナイスボールっ! 今日は一段と凄いな」

 

「日野さんはどうして、仙泉にきたんですか? 市大や青道に………」

真木は自分の横で練習を行う控え投手に尋ねる。それを言われた彼は笑って、

 

「そんなの決まってんだろ。声がかからなかったんだよ。声がかかってれば、俺も入っていたかもな」

それを聞いて僅かに顔をしかめる真木。

「自分もです」

ひくい声で、真木は初めて心情を吐露した。

 

「え………?」

日野は驚いた顔をしていた。まさか、この投手も声がかからなかったというのかと。

 

「自分も、本当は青道で投げたかったんです。」

 

―――でも、結局、声は一度もかからなかった。

 

ミットを大きく鳴らせる、球質の重いストレートが、周囲の目をくぎ付けにした。

 

 

そのボールは低目ではなく、高めへと吸い込まれ、威力のあるまっすぐを投げ込んだ真木。

 

―――青道高校。あの高校には、絶対負けたくない。

 

大巨人は、かつて夢見た高校を前に、闘志を燃やす。そして青道高校には、その主力となっている3人の投手陣がいる。

 

大塚栄治。沢村栄純。降谷暁。いずれ東京のビッグスリーといわれること間違いなしの、掛け値なしのエース級投手陣。

 

特に彼は、大塚を目の敵にしていた。

 

――――早いんだよ………お前が、エースナンバーを背負うのはッ!

 

1年足らずで信頼を得て、エースを名乗ることを許されている。それほどの実力に、彼は嫉妬した。

 

――――投打でお前に勝っていることを証明してやる。

 

大巨人の暗い闘志。それは果たして何を齎すか。

 

 

 

準決勝を控えた夜。沢村はミーティング終了後、携帯にて、メールが届いていることを確認した。

 

―――栄純ベスト4おめでとう!!

 

「は、早いなぁ………」

何時の間に調べたのか、沢村は幼馴染の情報の速さに驚く。

 

―――昨日の試合投げたんでしょ? それも先発で無失点!!

 

そして体がかゆくなる沢村。ここまではべた褒めである。

 

―――後二つ勝てば甲子園だよ、甲子園!!

 

「………後二つ…………」

沢村は、その少なくなった勝利が難しいのだと考える。彼は先輩たちの去年を耳にし、複雑な感情で、その文面を読んでいく。

 

―――私たちは3回戦負けで、夏休みに入っているけど、新チームでみんな頑張っているよ!!

 

「………みんな…………」

今の自分がいれば、もしかすればと思うこともあった。だが、あの時みんなの期待を胸に、青道でエースを目指すことを決意した。だから、今更謝るわけにはいかない。

 

なのに―――

 

――――明後日の試合、みんなで応援に行くからね。

 

「…………!!!」

だからこそ、仲間の応援は、何よりも心強かった。そして、明日の試合は、丁度先発である。

 

―――栄純の登板、楽しみにしています。

 

―――若菜より

 

「………俺、頑張るからな。絶対に、みんなの期待に…………ッ」

携帯の文面を最後まで読んで、沢村はどことなく救われた気がした。

 

 

 

沖田家では、

 

「今度は出番あるの、兄ちゃん?」

 

「たぶんある。オーダーにも名前はあったし、倉持先輩との併用も見えるけど。サードかショート、どうなるやら」

このままいけば、三塁をやる可能性も出てきた沖田。決勝の成宮を考えると、倉持、小湊の二遊間は必須。変化球に弱い増子先輩がこの準決勝でどれだけ打つか。

 

「兄ちゃんのホームランが見たい!!」

 

「うんうん!! お兄ちゃん頑張って!!」

弟と妹からのエール。心が燃えないわけがなかった。

 

「ああ。しっかり沢村を援護するさ」

 

 

そして大塚家、

 

「とりあえず、準決勝まで。父さんはブルペンの調子はどう?」

 

『まずまずだな。150キロ前後まで球速は戻ったし、まあまあかな。』

 

「41歳でふざけているよ、父さん。そんな中年投手はいないよ」

 

『なら俺がその第一号だ。お前は二号な』

 

「はぁ……それぐらい言える投手にはなるよ。俺も」

道のりは気が遠くなるほどに長く、険しい。

 

だからこそ、時々苦しいとおもえる。無理だ、出来ないと。

 

『新聞で吉報を待っているからな、栄治』

 

 

しかし、何も知らない父の笑顔を見ると、黒い感情が湧き上がってしまう。

 

――――――俺は、追いつけるのかな…

 

偉大過ぎる存在に苦悩しているのは、美鈴だけではなかったのだ。

 

 

 

 

その後、家族がすでに寝ているのを確認した大塚は、

 

「美鈴も県大会が終わってくたくただろうし、応援は期待できないかも。裕作もなんだか騒ぎ疲れたみたいだしね」

 

いつの間にか、自分のベッドを弟と妹に占領されている大塚は、とりあえずソファーで寝ることにするのだった。

 

―――――まったく。兄さんに遠慮なんてないなあ。

 

癖のある妹と弟がいると苦労する。それを痛感してしまう。

 

―――――まあ、兄が泣き言なんて、情けなくてできないな……あいつには約束をしてしまったし。

 

意識が薄れる中、栄治はそんな事を思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「――――まったく、不器用なところは似るのね」

 

そんな大塚に毛布を掛けてあげる綾子。父とは違い、真面目過ぎる所がある息子の、一番の理解者。

 

 

―――――昔から、泣き言をあまり言わない……

 

だが、彼女も息子の深層に辿り着けていない。あれほどの怪我をした時も、親の前で涙すら見せなかった。悔しいはずなのに、何も見せてくれなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薬師戦が終わった翌日―――

 

大巨人対策に、監督と一部の上級生の提案があり、彼に対する対策を施した実戦打撃練習を行うレギュラー陣。

 

「本気で打っていいんですよね?」ゴゴゴゴゴゴゴッッッ!

 

「打てるものならな」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!

 

そして、いきなりの結城と監督の対決など、青道打線は、大巨人攻略に向け、汗を流すのだった。

 

「まさか投手の俺まで巻き込まれるなんて…………」

大塚は、その実戦練習に巻き込まれ、やや疲れた表情。

 

「抜かせ。芯でとらえていたくせに。」

ミート力のセンスは、部内でも高いレベル。確実に芯に当て、コンパクトなスイングが持ち味の大塚。大きいのはないが、監督の球を何度も打ち返していた。

 

「……っ、まあホント、熱血というか、悪くないよね」

大塚が笑いながらそう言う。

 

「栄治?」

一瞬表情が硬くなったように見えた沖田。だが大塚は、

 

「自分の心配でもしろよ。倉持先輩にすぐにレギュラーを奪い返されるよ」

 

「打力で貢献し、守備でも負けるつもりはない」

そうやって大塚のペースへと引きずり込まれていく沖田。

 

 

その後、沖田と別れた大塚は、少し汗を顔から流しながら、親友の鋭さに苦笑いする。

 

「………まったく、勘が鋭いというか。人をよく見ているというか………」

 

「…」

自分の胸、もっと厳密に言えば、右あばら骨の近辺を触る大塚。そこに違和感を覚えているのだ。痛みではないが、やはり投球の際に気になる部位でもある。

 

 

薬師戦の後、その違和感が日に日に増していくような気がする。そして大塚はその原因がなんなのか、心当たりがある。

 

 

――――やっぱり、無茶をしたのかなぁ。

 

明川戦の危険なスライディング。あれで胸を打ったのだろう。打撲とはいえ、今度からは気を付けようと考えた大塚。そうでなければ、妹にまた迷惑をかけてしまうし、あの約束を破ることになる。

 

――――怪我をまたしたっていえば、あいつが今度こそ泣くからね。

 

だが、大塚は青道の戦力を考えて、ある一言を言ってしまう。

 

 

「まあ、俺がいなくても、沢村も、降谷もいる。丹波先輩が戻れば――――」

戦力的には十分だと。甲子園も勝ち進めるはずだと、半ば冗談気につぶやいた一言。

 

彼は、人気のない場所でこれをしゃべってしまった。人気がない場所では、声は響きやすいのだ。

 

彼は、その一言を聞いた人物に気づくことができなかった。

 

 

 

 

大塚に異変が起き始めている中、翌日

 

 

 

 

早朝の自主練をしていた小湊春市は、同じく自主練に参加していた東条と別れ、屋内練習場にて兄の亮介に遭遇する。

 

 

「昨日は眠れた、春市?」

 

「うん………」

久しぶりの兄弟の会話。東条は機を利かせて出ていったのだろう。

 

「今日が29日、決勝は31日。明後日に全てが決まるな」

 

「………終わらせない。」

 

「春市?」

強い言葉に、亮介は一瞬戸惑い、春市を見つめる。

 

「兄貴の夏も、先輩の夏も、絶対に終わらせない。」

強い決意の籠った言葉。

 

「様になってきたじゃん。そういうビッグマウスの発言も。」

春市がここまで逞しくなったことを、兄としては嬉しい気分に、同じポジションのライバルとしては壁が高くなったと思う、複雑な面持ち。

 

「その気持ち、3年間、ずっと忘れるなよ」

 

 

背番号も19番、本当にこのチームの戦力になっている弟。最初で最後の、兄と弟の甲子園。

 

「春市! もうすぐ朝食だぞ!」

そこへ、タイミングよく入ってきたような東条が春市を迎えに来た。

 

――――何かをしてくれそうなやつが、この世代は多すぎて、つい期待してしまうよね。

 

 

アハハハハハハハハハ!!!!!

 

そして朝食、増子がなぜかスキンヘッドになっており、不意をつかれた亮介は、

 

―――ここは盲点だったね…………

 

唖然としている沖田、大塚を除くメンバーが笑っているのを見て、亮介は黙々とご飯を食べるのだった。

 

 

そして準決勝第1試合。仙泉学園と、青道高校が試合会場に姿を現した。

 

「でかい…………」

これから投げ合うであろう、大巨人…真木の身長は軽く自分を超えていた。立っているだけでも威圧感のある恵まれた体格。

 

―――俺は負けない! クリス先輩から教わったこのスライダーで、絶対に抑える!!

 

 

だが負ける気はさらさらない。沢村は、こちらを睨んでいた真木を睨み返した。絶対の自信を持つ決め球を駆使し、結果を出すことを考えていた。

 

―――― 一年坊主。お前がそのマウンドに上がるのは早いんだよ

 

威勢のいい一年生を見て、真木も闘争心を増す。

 

 

甲子園へあと2勝。この大一番で、沢村はどんな投球を見せるのか。

 

 




巨大戦力の青道ですが、大正義に蔓延る影。まあ、全く穴がないわけではありません。


勝ち進めば勝ち進むほど、影は強まります。

果たして、夏を駆け抜けた末に得る物は・・・


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