ダイヤのAたち!   作:傍観者改め、介入者

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決め球を手に入れた沢村。

明確な目標と計画があると、人って化けるんだよね。

変化球凄い! 俺も欲しい!
    ↓
ストレートを磨かないとやばい!!
    ↓
決め球を手に入れて奴(大塚)に追いつくぜ! ←今ここ

クリス先輩万能説。



第23話 七色の軌跡

大塚が新たなフォームを会得し、一年生投手陣もブルペンに遅れながらもやって来た。

 

 

そして、クリスの沢村に伝授した決め球がどのようなモノであるか、それが知りたくていつの間にか投球練習を中断していた。

 

「ウイニングショット……」

自分にも試したいボールがあったが、沢村の決め球がどれほどのものか。決め球を覚えた投手は打者を抑えるための形が出来る。ゆえに一気に化ける可能性もあるのだ。

 

―――抜かれるかも……

 

沢村の成長を感じた大塚だった。

 

 

 

 

そして御幸、クリス、沢村の間では、

 

 

「今日は“アレ”を投げてもらうぞ、沢村」

 

クリスからのゴーサインに、沢村は頷く。

 

「おっ! ついに沢村の新球種ですか!?」

御幸はやけに楽しそうに聞いてくる。

 

「ネタをばらすとスライダーだ。だが、簡単に取れる球ではないぞ、御幸。」

クリスがそこまでいうボール。御幸は何か衝撃を受ける顔をしていた。

 

「へぇ………どんな球なんですか? キレが相当凄いとかでしょうか?」

 

「ムービングと同じだ。相当暴れるぞ、奴のスライダーは」

 

その後御幸の希望で、沢村、降谷、大塚の順番に投げることになり、

 

「スライダー行きますッ!!」

 

独特のフォームから繰り出されるスライダー。御幸はある程度の予測をつけていた。

 

―――恐らく、あの剛腕左腕と同じような真横に滑り落ちるスライダー。かなり暴れるという事は、縦軌道もあるのか?

 

ギュインっ!!

 

ボールはチェックゾーン辺りを越えて、物凄い軌道で曲がり落ちたのだ。このストレートとあまり変わらない球速で曲がり落ちるスライダーに、思わずボールを後ろに逸らしてしまう。

 

「!!!!」

 

 

―――………おいおい……初見とはいえ、俺が取れないボール………

 

御幸は歓喜に打ち震えていた。ここまでのボール、大塚以外で見たことがなかった。

 

「どうっすか!!! 俺のスライダー!? ていうか、これスライダーなのかよ!!」

沢村は、スライダーの軌道が横に曲がる球だと考えているために(パワプロ脳)、縦軌道を含んだこの球をスライダーではないと誤認していたが、クリス曰くスライダーだと言うのでそれを信じている。

 

――――初めてのボールを零すのは仕方ないし、クリス先輩も苦労したんだ。簡単に捕られてたまるか

 

そしてちょっとした些末な感情が入り乱れる沢村。

 

 

圧倒的な決め球。ウイニングショットに相応しいスライダー。それも、プロでも投げる投手の少ないタイプ。

 

 

――――これは、ただの縦スライダーじゃない!!!

 

 

 

高速縦スライダー。あの伝説的な記録をプロ野球界に残し、メジャーでも活躍しているあの投手のウイニングショットの一つ。

 

だが、沢村のスライダーはその枠に収まりきらず、彼の柔軟な間接により、不規則な回転すら取り込んでいる。

 

故に、ムービングの時と同様に変化量が常に変化しそのデフォルトの変化量が通常の高速縦スライダーであるという事。

 

彼の変化球を正確に記すのなら、七色の高速縦スライダーと呼ぶべきだろう。

 

「まさか、こんな決め球があるとはな、沢村。これは間違いなく試合で使える。」

 

空振りを奪える変化球を覚えた沢村。しかも、ムービングのように不規則に暴れる為、軌道を非常に読みづらい。

 

―――沢村の柔らかい関節が可能とした、変幻自在の高速スライダー。いわば、アイツの為の魔球だな………

 

「どうだ、大塚!!!! 俺も決め球を覚えたぞ!!!」

 

大塚に吼える沢村。これでスタートラインに立ったと言わんばかりの勢い。

 

「肩の可動域が広いが故の変幻自在の高速スライダー。これは沢村だけのウイニングショットかもしれないな」

 

大塚も認めざるを得ない。大塚がこのスライダーを投げることはほぼ不可能。縦スライダーを投げることは出来るかもしれないが、沢村のようなタイプの魔球と言えるようなモノにはならない。

 

 

「もう一球スライダー行きますッ!!!」

 

ククッ、ギュインっ!! ズバァァァンッっ!!

 

「くっ!!(また違う変化かよ!!)」

 

やや浮きながら、鋭く真横へとおちるスライダー。急ブレーキしたかのように急激に曲がるスライダー。

 

 

――――怪物スライダー。七色のスライダーとでも呼べばいいのだろうか。

 

体が重い為か、無駄な力が抜けてキレもいい。一段と成長した姿を見せている。

 

しかし、ストライクが入らない。

 

「………」

降谷は、自分がようやく変化球を一球種覚えたにもかかわらず、沢村が決め球を覚えたことに対抗心を覚える。

 

「次は僕。僕も夏合宿でただ体力を消費した訳じゃない」ゴゴゴゴゴッッッ!!

 

 

 

ドゴォォォォォんっっ!!

 

 

「っ(魔球の次は、剛速球かよ!! マジで捕球がしんどい)!!」

 

しかし、捕手の御幸はたまったものではない。扱いづらい暴れ馬が二頭もいるのだ。それでも―――

 

 

「ふっ。捕手冥利に尽きる投手ばかりなので我慢してもらう。これも試練だ、御幸」

クリスはその光景を温かく見守るのだった。

 

「そりゃあないっすよ、クリス先輩!! どちらかかまってくださいよ(泣)!!」

 

 

その後、降谷は体力に問題があるのか、思うような球威のストレートを投げ込めていないことに苛立ちを覚える。

 

「けど……コースに決まっている割合が……多く、なっているぞ。制球は、また一段とよくなっている」げっそり

やや疲れ気味の御幸。この二人の投手を相手に補給するだけでもかなりの労力を割いたのだ。

 

――――大阪桐生戦まで体力持つのかな、俺。

 

欠場の危機すら脳裏に浮かぶ御幸。

 

 

「はい……(スタミナリリースロール、スタミナリリースロールをものにしないと)」

 

 

そこへとどめを刺すように、

 

 

――――あのスライダー。昔見たバニッシュボールみたいな感じだね。けど負けられない!

 

とある暴れ馬のような制球力の投手が投げていたスライダー。沢村がもし本物の制球力を身につければ、これはヤバいと思った大塚。

 

――――降谷も、最低限のコントロールは身に着けつつあるし、胡坐をかく暇なんて一秒もない!!

 

 

闘争心をみなぎらせながら、自分の合宿中での成果を捕手陣にアピールする。

 

 

 

「次、いいですか? ちょっと試したいフォームがあるんです」

 

大塚が御幸に球を受けてほしいと強請る。フォームチェンジではないが、大塚は何かを考えついたということがその場にいるだれもが悟る。

 

「構わねェよ(やべぇよ、やべぇよ)。けど、フォームを変えるとか、普通はフォームを固めるっていうのが常識的なんだけどなぁ(けど、正捕手として逃げるわけにはいかねェ)」

内心ではもう勘弁してほしいくらいに捕球を続けている御幸。どうせ怪物染みたことをしでかすに違いないと悟っている。

 

――――というか、クリス先輩は沢村のスライダーが取れるのかよ!? マジで尊敬ですよ、だから―――

 

「ダメならやめますよ。けど、面白いって思ったんです」

不敵な笑みを浮かべる大塚。沢村や降谷とは違い、きっと何か意図があるのだと御幸は思いつつ、ミットを構える。

 

「い、いや!! 大丈夫だ。それとクリス先輩、俺一人だと3人は捌き切れないので助けてください」(懇願)

大塚の試みを否定する気にはなれないし、つい最近騙したという後ろめたさもある。断れない御幸。

 

助けを求めるようにクリスに視線を向けるが、

 

 

「すまんな。俺は監督から体を治すよう言われている。俺に出来るのはここまでだ(太陽のような笑み)」

クリスは、温かい目で御幸を見守っていた。そして―――

 

「沢村、降谷、大塚。御幸はやる気に満ちているようだ。練習試合に支障が出ない程度に感覚を確かめるんだ」

悪魔のような言葉をこの場に叩き付けたクリス。

 

クリスの目が語っている。

 

――――あの夜のツケは、ここで払うべきだろう?

 

いつかの沢村らに押し付けたアレを結城経由で知ったクリス。素敵な笑顔だった。

 

なお、丹波は大塚が川上とともに投手論について語り合ったことを知り、その輪に入りたかったと漏らしている。

 

 

「このスライダーを絶対のものにして、エースになるんだ!!!」うおぉぉぉぉぉぉ!!

 

 

「スタミナリリースロール、スタミナリリースロール、スタミナリリースロール。」以下繰り返し

 

まさに火山の如く活発的な二人の投手、御幸のSAN値が削られてくのを感じた。

 

 

 

「マジですか……」

御幸は一言、そして一息をいれると、

 

 

「ハハハハハ、面白れぇ。面白い投手をリードする前に、捕れなきゃ話になんねぇよなぁ(白目)!!」

御幸は吹っ切れたようだ。

 

 

「み、御幸先輩!? あの、ダメでしたら宮内先輩に―――「心配すんなって(白目)」は、はい!!」

静かにいつもの口調で話してはいるが、少し雰囲気がヤバい御幸。大塚はさすがに可哀想だなぁ、と思いつつ、

 

 

「右打者のインコースギリギリストライクゾーンの高め。ストレートで」

マジモードで御幸のミットめがけて投げこむことを全力で決意した。

 

 

 

 

 

沢村は、大塚の様子を見ていた。自分はただ投げ込んでいるだけ。それも、いい感触があればそれを思い出そうと投げているだけ。しかし彼は一球一球にどう投げるのかを考えて投げている。

 

――――けど、フォームチェンジはなくなったって――――

 

大塚のノーワインドアップから投球動作を始める。そして、沢村は大塚の腕の角度に注目した。

 

 

――――腕があんなに真上から、あんなんで腕を振り抜けるのかよ!?

 

明らかに腕の角度をほぼなくしたオーバースロー。オーバースローはオーソドックスな投球スタイルだ。だが、目の前のそれは、正統派というには異様な腕の角度。

 

―――おいおい。腕の角度を変えているのかよ。膝の次はそれとか―――ッ!!!

 

 

ドゴォォォォンッッッ!!!!

 

 

「っ!?」

 

 

御幸は今、もしコース通りにストレートがこなかった場合、取れる自信が全くなかった。先ほどまでの錯乱していた彼の意識すら一瞬で覚ます一球に感謝しつつも―――――

 

 

 

―――――何だ、今のストレート。降谷の重い剛速球とは違う。いや―――――

 

御幸は、捕球したミットを見つめる。

 

 

「あの、やっぱり駄目でしたか? 自分の感覚では、いい感じのボールだったんですけど」

御幸がいつまでもリアクションを取らずに呆然としているので、大塚が声をかける。

 

 

―――――――今のは、本当にストレートだったのか?

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、大塚の目途は立ったか」

クリスらの報告を聞いて、片岡監督は満足げに笑う。

 

「はい。大塚の球威は以前の比ではありません。制球力も、フォームが安定するのが早く、新たな取り組みを行っています。」

 

思い切って、ノーワインドアップにすることで、制球が逆に安定した大塚。グローブを顔の正面に構えることで、「ミットに集中しやすい」と本人も言っており、さらなる飛躍が期待できる。クリスはフォーム改造後の経過を片岡監督に伝える。

 

「…………」

 

御幸は、未だにあの感覚を思い出していた。そのためか、少しいつもの彼らしくなく、口数も少ない。

 

 

「そうか。では沢村の件はどうなった。新たな球種を覚えた様だが」

 

「ええ、一級品ですよ。捕手を限定させますが、あのキレはけた違いです。それこそ、大塚のSFFに匹敵するぐらいの」

 

七色の高速スライダー。極めれば、この一球種だけで高校野球で通用してしまう程のボールで、捕手の御幸ですらボールの軌道に戸惑うほどだ。

 

 

「ほう………お前がそこまでいう球か」

片岡監督もクリスの説明の中で大塚の最高の決め球を例えに出すほどの傑作だと聞き、口元を歪める。

 

「降谷も、球威と制球力のバランスを掴みつつあります。SFFも大塚程ではありませんが、試合で使えます」

 

「一年生投手陣の方はそう言うことか。丹波と川上は?」

 

「川上は、制球力が維持されています。調子もよく、スライダーの切れもいいです。シンカーも少しずつですが制球が安定しつつあります。」

今日の川上を見ていた宮内は、御幸がいつもの調子ではないことを気にしつつ説明を続ける。今日の彼はどうやらポンコツ状態から直るのが少し遅くなるのが目に見えているからだ。

 

 

「丹波は制球もキレもよく、新球種も精度が上がってきています。」

御幸に黙ってフォークを投げていたことに少し後ろめたさはあるが、今の御幸には話が通じそうにないし、今は説明の方が先決だと彼は考えた。

 

 

「………よし、土曜の試合の先発は大塚に託そう。練習試合は3つある。その開幕を担ってもらう。」

 

 

「そして日曜日のダブルヘッダーは、第一試合を沢村、降谷に任せ、最後の試合は丹波と川上を試す。」

 

「大塚を、ですか?」

宮内は、一年生で彼を一人で投げ切らせることに反応する。相手はあの、夏常連の大阪桐生。

 

「疲労は多少あるだろう。勝敗は問わない。この状況でどれだけ戦えるかを見たい。」

 

 

 

 

その後ミーティングが終わり、

 

「どうした、御幸? いつものお前らしくなかったな」

 

「宮内先輩」

宮内に呼び止められて、やっと御幸は口を開いた。

 

「いつもの不敵な笑みはどうした? そんなお前は初めて見たぞ」

 

「ちょっと信じられない体験をしたんですよ。捕れないと一瞬でも思ってしまったストレート。アイツの力を果たして生かし切れるのか……」

 

宮内は、ストレートを捕れないと御幸に感じさせた投手にまず降谷を思い浮かべたが、今日の練習でもコントロールに毛が生えた程度。そこまでのイメージではなかったと考えた。

 

故に、御幸をうならせる可能性のあるのはただ一人。

 

「大塚。今日の投球。お前はストレートを零していなかっただろ?」

 

後半、川上が上がった後、宮内は彼らの様子を見に来ていた。

 

大塚らのボールを受けていた御幸は、球をあまり零してはいなかった。ストレートも難なくとっていたのだ。

 

 

「――――コースが解っているからですよ。軌道がストレートじゃないように感じたんです。ストレートなんですけど、ストレートではなくて……」

まるでなぞなぞのような御幸の独白。

 

「????? なんだそりゃ」

 

 

「――――大阪桐生戦。大塚よりも、俺の方が気合をいれなきゃヤバいですね」

 

御幸は、腕の振りだけでこうも変わる者かと逆に笑みを浮かべていた。無論、それはまだ乾いた笑みだ。

 

 

――――マジで、練習試合はどうなんのかな……

 

 

御幸は、大塚が打者相手に投げた時にはどうなるのかを知りたくてしょうがなかった。

 

 

 

 

また次の日、内野陣は結城と小湊、沖田と増子が未だに立っていた。

 

「…………沖田君…………」

あの中には割り込めず、結局一年生の中で独りだけ生き残っている沖田。東条もその光景をじっと見つめていた。お腹の調子を取り戻した彼は、本来の調子を取り戻したのだ。

 

シュ

 

「……………」

極限状態の中、沖田は神経が鋭敏になっていることを感じていた。

 

―――今なら、どんな打球でも取れそうなほど、充実している。

 

「…………ほう…………」

沖田の予想を超える粘りに、片岡監督は驚きの声を上げる。

 

「一年に負けるなッ!! いつもの威勢の良さはどうした、伊佐敷!!」

 

外野ですでに足が追い付いていない伊佐敷は、沖田の奮闘を見て、まだまだ息を切らしながらも気迫で捕球する。

 

「いつもの笑顔はどうした、小湊ォォォッ!!」

セカンドで、動きの多いショートの沖田が頑張っている。だからこそ、まだ自分は倒れるわけにはいかない。

 

―――きついけど………レギュラーの意地が、あるからね………ッ♪

 

 

「休みたいなら休んでいいんだぞ、増子ォォォォ!!」

 

「う、う、う、ウガァァァァァァ!!!!」

自分を奮い立たせるかのように、叫び声を上げる増子。その巨体の割に、体の動きはキレていた。

 

 

「まだまだお願いしますッ!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッ!!!!!

満身創痍の中、結城はまだ闘気を衰えさせていなかった。自主練についてきた沖田が頑張っている。なら自分もここで倒れるわけにはいかないと。

 

「(沖田の台頭は、上級生に更なる力を与えるか………)」

 

その日、倒れ込むまで練習は続けられた。

 

「……………ハァ………ハァ…………ハァ…………どうだ、沖田。」

 

「ハァ………ゼェ……ゼェ…………きついっすね………ホント………」

結城と沖田はこの後二人でクールダウンを行い、今日は前園の部屋で少し休むことになる二人。結城と沖田は寮生ではないが、今日は本当に疲れ果てており、前園が部屋を提供したのだ。

 

沖田には、打撃についていろいろ教えてもらいたいとのこと。

 

大塚は、土曜の先発を任されたことで、このバックを背に投げることを意識していた。

 

――――燃えてくるね………この人たちの前で無様な投球は出来ない。

 

例え打たれたとしても、最後まで崩れない。それが今の自分にできる最大限の事。

 

―――諦めない………沖田、結城先輩。明日はよろしくお願いします

 

 

 

 

そしてその夜、小湊は前園にスイングを見てもらいたいと言われ、その流れで自分もバットを振りたいと考えるようになったのだ。なお、沖田はぐっすりと寝ており結城は何とか気力で帰宅した。

 

 

「………力のない者は努力するしかない………それは僕も同じです。正直、一軍のレギュラーにはまだ勝てない………だから、僕も努力したいんです!!」

 

丁度自主練をしていた東条も、二人の自主練に合流し、

 

「ああ………一緒にレギュラーを奪うぞ!!」

東条も今の自分ではあの3人に勝てないことを痛感していた。今日のノックを見てもそうだ。

 

沖田以外、野手はまだ実力不足。だからこそ少しでも早く、彼の隣に立ちたいと。

 

「あぁあぁぁ!! 余計なことを言ってもうたァァ…!!!」

前園はやる気になってしまった二人を見て、頼もしく思いつつも、悔しがっていたりする。

 

そして、3人の漫才を見ていた兄の亮介は口元に笑みを浮かべている。

 

――――頑張れよ、春市

 

だが、

 

―――お兄ちゃんはレギュラーを明け渡すほど、甘くないけどね♪

 

夜が明け、次の日が来る

 

 

「御幸君。必要になったらいつでも私に言いに来なさい。そのポジションは何かと苦労が絶えないだろうから」

 

 

「はい。何から何まですみません、礼ちゃん」

 

その夜、御幸は高島から片岡監督経由で手に入れた胃薬を紹介されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




沢村の決め球は、典型的な高速スライダーでした(大嘘、怪物スライダー)。

右打者へのサークルチェンジ、左打者へのスライダーと、外へ逃げるボールを手に入れた沢村。モデルになったであろう和田投手に近づいてきた模様。

次回、大阪の強豪校とぶつかることになった大塚。昨年夏の準優勝校相手にどんな投球をするのか。

打ち込まれるのか、それとも抑えるのか。

御幸さんにはきっちりあの夜の借りを返すべきだと思った(使命感)

まあ150キロ越え投手、変則本格派、天才投手と相手にするのはかなりしんどそうですね。

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