ダイヤのAたち!   作:傍観者改め、介入者

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ついに全国でのライバル校の一つが登場。

モデルは勿論あの高校です。


しかも、この高校以外にやばい高校は後3つほどいるという事実。






第15話 神奈川の王者

5月20日。ついに当日を迎え、青道高校対横浦高校の試合が始まる。

 

 

まず先攻めの横浦高校。相手も新戦力を試しているのか、ベストメンバーではない。

 

だが―――

 

スパァァァァンっ!!

 

「ストラックアウトォォォ!!」

先頭バッターを高速パームで三振に切って取ると、

 

カァァァァン

 

インコースのクロスファイア-に詰まらされ、ショートゴロに打ち取られる二番打者を見て、沢村は次の打者を見る。

 

『さぁ、ここで選抜4ホーマーと大当たりした、今年のドラフト上位候補!! 高校通算76本塁打の男、岡本達郎を迎えます!! この一年生投手がどのような投球をするのか!!』

 

 

左バッターボックスにその大柄な体を入れ、沢村を睨む3番サード、岡本達郎。まさにスラッガーという言葉が似合う、威圧感を出す雰囲気はプロ予備軍である。

 

――――こいつは明らかに違う。選抜でも140キロの速球をホームランにしているし、甘くいけばやられる。クサイところをせめるぞ

 

「ボールっ!!」

まず、インコースのムービングボール。外れるが、しっかりとインコースに投げ込むことが出来た。

 

カキィィィィンッ!!!

 

「ファウルっ!!」

そして続くアウトコースのストレートをファウルにし、レフト線に切れる強烈なライナーをお見舞いする岡本。

 

「いい投手だな、」

そんなことを呟く岡本。

 

「もっと驚かせてやりますよ」

そんな岡本に対し、御幸は不敵な笑みを浮かべ、挑発する。沢村の実力はこんなものではないと。

 

――――まさかフォーシームをあんな完璧に捉えられるとはな………動揺は―――

 

マウンドの沢村を見ると、彼は未だに笑っていた。そしてその闘争心は衰えていなかった。

 

―――大丈夫そうだな。踏み込みをされれば、外も流される。だが、この内角に強いバッターボックスのスタイル。迂闊には投げられない。

 

―――先輩っ?

 

 

――――ここは、高速パームでタイミングを外して上手く打ち取れれば…………ワンバウンドのボール、低めの厳しい場所だ

 

沢村は大きく振り被る。明らかに格上の相手。だからこそ、失うものは何もない。

 

シュッ!

 

その一段と左腕が遅れて出てくるフォームに、戸惑う岡本。必然的に左足の重心バランスにぐらつきが出る。

 

そしてさらに、そのタイミングを外す高速パームの縦へと沈む軌道。

 

「むっ!!」

 

カキィィィンっ!!!

 

しかし、体勢を崩しながらも打球は外野へ!!

 

「なっ!?」

沢村も三振を取れたとイメージしていたのだろう。まさか前に飛ばされるとは思っていなかったので、驚いている。

 

しかし打球は結局失速し、フェンス前でセンターの伊佐敷がボールを捕球する。

 

「アウトっ!! スリーアウトチェンジ!」

 

「…………(手元で動いたか、ムービング以外に、縦軌道の速球系………もう少し見る必要があるな)」

岡本は、うちとられはしたものの、次の打席に向けて彼への対策を練ることにするのだった。

 

 

―――うっはぁぁ…………あの人、本能で打ちやがったよ。さすがプロ予備軍。だが、最後はタイミングをずらせたし、沢村のフォームにばらつきがあったから救われたな。

 

御幸は冷や汗をかく。大塚と同じようにフォームのタイミングはずれた。それを無意識にやっていることは凄い事であり、それがあったからこそ、外野で打球はとまり、フェンスオーバーにならなかったのだ。

 

 

しかし、体の限界で言うと、沢村は大塚に比肩する才能があることを見抜いた。

 

――――マジで、大塚と肩を並べる………いや、アイツはある程度完成しているから、どうなるのかわかるけど………こいつほど将来が楽しみな投手はいないな………

 

その後、小湊が四球で出塁し、結城が―――

 

カキィィィンっ!!!

 

『打ったァァァ!! 打球はライトへ!!!』

 

結城の球足の速い打球はライトとセンターの間を抜け、小湊は一塁からホームまで生還。打った結城は、二塁に進んだ。

 

『青道高校先制!! 四番結城のバットで、今日も先制点を奪いました!!』

 

二塁上では、小さくガッツポーズをする結城。まさに頼れる四番。低めのスライダーをうまく運んだのだ。

 

―――五番、サード、増子君。

 

「ん!!」

その巨体を右バッターボックスに入れ、威圧感たっぷりに、初回の岡本同様に見せつける。

 

先程、自慢のスライダーを打たれた横浦の3年生エースは、捕手とのサインがあわず、不容易な一球を投げる。

 

ストレート、それは増子がプリンに次いで大好きなモノ。

 

カキィィィンッッッ!!!!

 

動揺している投手の初球を容赦なく痛打し、増子の放った打球はレフトポールを直撃した。

 

『は、入ったァァっぁ!! 五番増子のツーランホームランっ!! 初回から畳み掛けます青道高校!! 横浦のエース和田のストレートをレフトポールに叩きつけました!! ガックリと項垂れる和田!! 打った増子がダイヤモンドを一周します!!』

 

しかし、次の回の御幸がショートゴロに倒れ、この会は3点どまりとなった。

 

強力な援護点を貰った沢村は、それに乗ったのか、快調なピッチングを続ける。

 

2回―――

 

 

ここで横浦の主砲、右投げ右打ちの坂田を迎える沢村。彼もまた、高校通算56ホーマーの大砲。3番の岡本に比べ、足は遅いが、その分全国随一のミート力を誇り、チーム一の勝負強い打撃が持ち味である。

 

「よろしくお願いします」

強面ではあるが、伊佐敷と同じように、バッターボックス前で礼をする坂田。

 

そしてその威圧感が沢村を襲う。

 

――――全国にはこんなバッターがごろごろいるのかよ…………ゾク、ゾクッ!!

 

今まで対戦した事のなかったレベルの打者が続き、沢村は野球を楽しんでいた。

 

―――初球ムービングをアウトローに、癖球を利用して、最後はサークルチェンジで仕留める。

 

「ストライィィィクッ!!」

その初球をただ見ているだけの坂田。その嫌な見逃し方に、御幸は少し目を細める。

 

―――悠然と見送っちゃって………けど、これが全国クラスの四番。次は外角の厳しいところにフォーシーム。

 

「ボ、ボールっ!!」

かなりきわどいところを通り過ぎ、判定が遅れる。実戦で制球がよくなる沢村の力量に、御幸は口元に笑みを浮かべる。

 

―――この試合無失点で抑えられはしないだろう。だが、今のところは自分の投球が出来ているぞ!

 

しかし御幸は、世の中がそううまくいかないことを知っている。初登板初先発で、穴がない筈がない。

 

――――次はカットボールで内角を切り込むぞ! ボールになっても構わない。思いっきり腕を振って来い!

 

「ファウルっ!!!」

しかし内角の球絵に反応した坂田は、そのボールをカットする、そしてそのフォロースルーの後の貫録のある動作に、御幸は苦笑い。

 

――――マジで動じていないな、こいつ………さすがは、高校ナンバーワンスラッガー。うちの哲さんと比べれば、どうなるか…………

 

 

「……………………」ゴゴゴゴゴゴゴッ!!!

そしてその坂田を見ているのは、同じくスラッガーの結城。どうやらかなりの対抗心を燃やしており、闘争心を掻き立てられている。

 

 

――――これで追い込んだ。後はサークルチェンジで止めだ!

 

ククッ、フワッ!!

 

「!!」

 

カキィィンッ!!

 

しかし、坂田は体勢を崩されながらも、腕を伸ばし、膝を曲げながらヒットゾーンを変更し、外へ逃げるサークルチェンジを捉えた。

 

「なっ!!」

 

『撃った――!!! 打球はライトへーーー!! ライト白洲っ!! 一歩も、動けない~~~~ッ!!』

 

そしてそのまま打球はライトへと突き刺さったのだ。

 

『入ったァァっ!!! 横浦高校追撃の一発!! 四番坂田のソロホームランで、差を2点に縮めます!!』

 

打たれた沢村は驚き、御幸もあそこまで飛ばされるのかと苦笑い。

 

「すまん、要求通りに投げてこの有様だ。すまない」

 

「…………アレが、全国のレベルっすか?」

打たれた方向を見る沢村。よほどショックなのだろう。決め球のサークルチェンジをまさか流してスタンドに叩き込まれるとは思っていなかったはずだ。

 

「ああ。俺達が頂点に行くには、お前たち投手が、ねじ伏せなきゃいけない相手だ」

敢えて真実を容赦なく言う御幸。これで崩れるなら、それまでの投手。それを自覚させ、前に進むかどうかは、沢村次第なのだ。

 

「今日、俺は迷惑をかけるかもしれません………けど、俺のボールをもっと多く受けてください!!」

そして、沢村はこう言い放った。一年生でこのメンタル。打たれたショックはあるが、彼はあの本に書かれたことを思いだしていた。

 

――――打たれた後の投球が大事。

 

人のふりを見て我が身を直せ。青道の上級生たちがやっていたあの地区大会の試合。この大会の前、市大三高の投手の打たれ方をビデオで見ていた沢村。

 

その後、攻めた結果で続く五番には四死球を出すも、6番をキャッチャーフライ、7番をセカンドダブルプレーに抑え込んだ沢村。粘り強く投げるのは難しかったが、それでも愚直に低めへの制球を貫いたことで、天が沢村に味方した。

 

「ヒャッハー!! 崩れるかと思ったぜ!! あんなホームラン打たれたらなぁ!!」

 

「ナイスピッチ! けど、打球をこっちに飛ばしたらアウトに出来たのにね」

二遊間に弄られ、

 

「ナイスガッツだ、沢村ちゃん」

そしてそんな時にフォローをしてくれるいい人、増子先輩。

 

「うっす! けど、アレが全国なんすよね………あんなのがいるのかよ………」  

 

 

3回はバッターを三者凡退に抑え、横浦にとって初めて見るであろうこの変則本格派投手は打ちづらかった。

 

その後、青道高校は追加点を挙げることが出来ず、3回が終わって3対1とリードを取っていた。横浦エース和田もその後立ち直り、ランナーを出さない投球。

 

 

「今年の青道は、一気にウィークポイントが解消された感じだな」

月刊、野球王国のスポーツライター、峰富士夫が快投を続ける沢村を見て、そうつぶやく。

 

「そうですね! あの打線をバックに、投げる堂々とした投手が今まで確立できませんでしたし、その前の試合には、同級生の大塚君と3年生の丹波君が揃って好投しましたし、チームカラーも変わりそうですね」

 

女性にしては大柄な体格の大和田秋子は、同僚の峰の言葉に同意し、この地区大会で躍動している青道投手陣を褒め称える。

 

「これで、全国屈指の捕手である、御幸君のリードに応えられる投手が出てきているために、この大会は結果を残す投手が増えている。今年の夏は、大塚君と沢村君、丹波君の3本柱に、抑えに川上君。そう言う流れなのだろうね。」

 

 

彼らと同じく、そして栄純を見に来た彼の地元の友人たちは、沢村の力投を喜んでいた。

 

「凄い凄いッ!! 栄ちゃんがあの選抜ベスト4を相手に1失点だよ!!」

まさに雲の上の存在だった相手に、去年一年修業を積んだ沢村の力が通用している。

 

「うん! ホームランは撃たれたけど、栄純の動く球に相当苦しんでそうね。」

あの癖球を彼らは誰一人として取ることは出来なかったが、アレを存分に活かす捕手がいることで、彼のポテンシャルはかなり高まっていた。

 

その中でも、特に効いているのは高速パームの存在。ワンバウンドでも、相手は沢村の低めのストレート系に苦労しているために、そのボールを見極めることが出来ずにいる。

 

スピードも速球と変わらず、直前で失速するため、まさに沢村の序盤の決め球になっていた。

 

そして4回一死。バッターは再び3番の岡本。

 

―――ムービングで押すぞ、沢村!!

 

カキィィンッ!!!

 

「ファウルっ!!」

 

――――フォームが所々乱れるのが邪魔をして、タイミングを取りづらい。こういう投手ほど、いやだな

 

カキィィンッ!!

 

「ファウルっ!!」

 

そしてついに、ライト方向への引っ張る打球で鋭い当たりが飛ぶ。

 

――――ムービングに慣れてきているな、それに、バッターボックスを前にしたか。変化する前に癖球を叩くつもりだな。そして――――

 

御幸は沢村を見つめる。

 

―――この程度のストレートなら、振りおくれないと言われているようなものだ。左なら十分速いんだがなぁ………ここはひとつ、高めの真直ぐで高低を利用して、アウトハイのボール球で打ち気を逸らす。

 

「ボールっ!!」

 

しかし、しっかりと見極め、際どい所を見逃す岡本。

 

―――…………この場面でチェンジアップは浮く可能性もあるし怖い。特にサークルチェンジは使えない。となると―――

 

御幸は外に構える。

 

―――だが、あえてのチェンジアップ。ボール球でも相手が反応するだけでも儲けモノだ。それに、さきほどの打席の結果で、高速パームを警戒しているはずだ。

 

「…………へ…………ッ!!」

沢村ももうここは覚悟を決めている。絶対に投げ込む、絶対にそのミッドめがけて投げると。

 

ククッ、フワンッ!!!

 

そして沢村のチェンジアップは要求通りにボールゾーンに来て――――

 

「っ!!!」

高速パームとは違い、緩やかに変化するチェンジアップ。だが―――

 

――――これはっ………!!!

 

そして要求した御幸も驚く、その変化―――!!

 

打者の手前で、急激に速度を落とし、ストレートのタイミングで待っていたバットを空振らせたのだ。

 

「ストライィィィクッ!! バッターアウトっ!!」

 

「しゃぁぁぁぁ!!!!」

沢村は恐らくわかっていない。自分が今、何を投げたのかを。しかし打ち取られた岡本、そして、そのボールを零しながらも受け止めた御幸にはわかる。

 

――――こいつのチェンジアップが、進化している。

 

それも、あの大塚の投げているパラシュートチェンジに近い軌道を描き、且つ左投手の、沢村の独特のフォームで繰り出される、いわば―――

 

魔球。

 

そのように表現するしかないだろう。

 

「…………………」

岡本は、悔しそうに、そしてそれと同じく衝撃を受けた顔をしていた。

 

そして二死。ランナーなしで、前の打席ホームランを食らっている坂田との対戦。

 

「………………ッ!」

7回からは降谷が投げる。故に、沢村には、後2イニングを粘ってほしい。それを解っているからこそ、沢村と御幸は、この打者にリベンジを果たしたいと考えている。

 

―――恐れるな、打たれてもソロだ。うちの打線なら十分引き離せる。

 

「ストライィィクッ!!」

 

カットボールが厳しいところに決まり、ワンストライク。審判も沢村の制球力に惑わされ始め、ボールゾーンをストライクとコールすることが多くなる。

 

「…………!!(審判まで味方につけやがった………ここまでゾーンが広いと………)」

 

 

ズバァァァァンっ!!

 

「ストライクツーっ!!」

 

アウトローにフォーシームが決まり、あっさりと追い込まれた坂田。

 

――――ここからが大事だ。このバッターは、3番の三振を見ているはずだ。それに、初めて投げた球種。右打者へのサークルチェンジも警戒しているはずだ。

 

 

そして尚且つストレートにも。だが、ここに来てのパラシュートチェンジ。だが御幸は、ここで流れを引き寄せるための強気なリードを貫く。

 

 

―――― 一気に決めるぞ、沢村!! 考える余裕を与えるな!!

 

そして、沢村の投げたボールは―――――

 

 

ズバァァァァァんっ!!!!

 

「ストライィィィクッ!!! バッターアウトっ!!! チェンジっ!!」

 

続けてのアウトローのフォーシームに手が出ず、見逃し三振にとって斬る沢村。今日一番の投球に、ガッツポーズの沢村。

 

『二者連続三振!!! この回の横浦打線!! 上位打線でしたが、このルーキー一年生の前に、三者凡退に抑え込まれました!!』

 

 

 

「あの場面で、アウトローに続ける勇気と、その度胸と、制球力………大塚君もそうだが、メンタル面で強い選手が入ってきたようだ」

 

 

これで勢いに乗った沢村。5回は一死からヒットを出すも、テンポのいい投球で後続をゲッツーに打ち取る。

 

「ナイスセカンド!!」

 

「行った通りでしょ? こっちに打たせたら、アウトにするって」

小湊が沢村の右肩をグローブでポンポンと叩きながら囁く。

 

「そうだぜ、沢村!! 無理に三振取るんじゃねェぞ!!」

 

「えぇぇぇ!!!」

 

6回は連打を久しぶりに許すも、

 

カァァッァンッ!

 

「サードっ!!」

 

詰まらされた打球をサード増子が捕球、三塁フォースアウト、一塁転送でダブルプレー。風の影響か、高速パームの制球力が落ちたが、その変化量が大きくなる事で、その球種の威力もさらに強まった。

 

「パームは捕球するのがメンドクサイなぁ」

 

――――といってのパームの連投。

 

「この、野郎ッ・・・!!!」

打席で惑わされ、ゲッツーに打ち取られた打者は、御幸を睨むが彼が反則をしたわけでない。

 

 

この高校2年生、この年齢で囁き戦術?モドキをやるとはいい度胸である。

 

 

7回も高速パームがさえわたり、3番には大きなフライを打たれ、厄介な4番打者には四球を与えるも、攻めた結果なので沢村は割り切った。

 

「風の影響で癖球にも変化が生じているのか、」

岡本は、悔しそうにベンチへと帰る。

 

「危ねぇ・・・マジでいったかと思った。」

御幸は3打席目で真芯で捉えられたと思ったので、フェンス前で打球が死んでくれて助かったと考えた。

 

「しかし、制球力がよかったな、1年生の割には」

坂田は際どいボールを悉く見逃し、四球を選んだが、後続のアウトには対処できなかった。5番、6番がやはり高速パームとチェンジアップに打ち取られた。

 

――――中々に面白い投手がいるようだな、青道高校

 

坂田は、沢村の名を胸に刻み、夏での雪辱を誓う。

 

 

 

後続を抑え、7回までを抑えた沢村。

 

被安打5、四死球2、三振は5つ。1失点にまとめ、あの全国屈指の横浦打線相手に堂々とした投球を披露した。

 

7回のスリーアウト後にマウンドを降りる沢村へ、観客は大声援で出迎える。

 

「………え………!? で、でも……俺は結局あの時ホームラン打たれて………それに予定とはいえ、完封も出来なかったし…………」

 

「出来過ぎだよ、バカ野郎! 横北の打線と比べんな! ここは掛け値なしの化け物打線だ。もっと自信を持っていいぞ!」

沢村が、横浦打線相手に、完封できなかったことを悔しがっていたが、御幸がそこはフォローする。

 

何しろ、投手陣で勝ち上がってきたチームと、打撃で勝ち上がってきたチームだ。タイプも違うし、レベルも違う。

 

 

そして、8回表から―――

 

「やっと投げられる…………」

満を持しての登場。本人はようやく長かった公式戦のマウンドを待ちくたびれていた。

 

剛腕、降谷出陣。

 

 

 

 




岡本は、惜しい当たりが何度ありましたが、おそらく次の打席で沢村の球をスタンドインするぐらいですね。

坂田はそんな岡本を見ていたので、沢村のサークルチェンジを叩きこみました。マジでこいつは怪物。


次の回に、ついにあの男の出番が来ます。


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