ダイヤのAたち!   作:傍観者改め、介入者

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たぶん、厄介な投手が二人も現れたという世間の認識。




第14話 青道の二人目

そして、その準々決勝。横浦、東海大に並ぶ強豪とされる、横浜北学園との対決。その初マウンドに――――

 

パァァァァン!!!

 

 

6回が終わり、未だ横浜北学園からは快音が聞かれない。対する青道高校は、力投を続けていた横学のエース、岸田を攻めたて、6回に集中打を集め、5点を奪う攻撃。

 

 

そして7回の裏、横学のスコアボードにはヒットの数が3と記されていた。

 

「ストライィィィクッ!!! バッターアウトっ!!!」

マウンドで悠々と投げる大塚。相手は神奈川の名門チーム。そのチーム相手に大塚は完封ペースを続けていた。

 

この右打者は、大塚のスロースライダーにバットが出てしまう。ゾーンを自在に操る大塚の投球が打者の打ち気を誘う。故にバットが止まらない。

 

 

高校野球ではめったにお目にかかれない、コントロールが良く、フォームを潰しに来る投手。下手をすれば、スランプを誘発させかねないその圧倒的な総合力と、投手としての力に、横学の打線は完全に沈黙し、その心が折れかかっていた。

 

「なんなんだよ………アイツ…………なんであんな化け物が青道なんかに…………!!!」

ベンチはそんな理不尽な存在への恨みが募るが、この先頭バッターの三振で、声すら出なくなっていた。

 

横学の監督も、この怪物を前に、打線が沈黙し、バントで揺さぶろうにも、フィールディングまでいい大塚相手には無力であり、ゆさぶりも何も効かない彼の投球に打つ手なし。

 

試合前は、1年生が先発という事で、

 

「随分と舐められたものだな。まさか入部したての1年を先発にあげるとはな。」

 

監督は一同を見回し、初回から檄を飛ばす。

 

「お前ら!! あの投手に高校野球の厳しさを教えてやれ!!」

 

だが、ここまでのゼロ行進。監督の勢いも、選手の勢いもなく、大塚の前に、完全に闘志を捻り潰されていた。

 

 

奪った三振は7個。ヒットは3、四死球もゼロ。ストレートとスライダー、動く球を使って投げており、打たせて取る投球を続けていた序盤から、相手がボールを見てくるようになり、必然的に三振数が増えた。

 

不運なポテンヒットこそあるが、まともに撃たれていない。

 

もっとも、誰一人としてストレートにあわず、合わそうと対応してくる打者をあざ笑うかのようにタイミングを代えてくる大塚は、まさに高校野球では悪魔に近い存在だった。

 

「行けるか、大塚?」

球数は序盤の早打ちのおかげで、79球と少なく、完投ペースである。

 

「撃たれるかもしれないけど、完投は狙えますね。そこは割り切って投げるので」

完封はあくまで付属品というスタンスの大塚。そのまま八回のマウンドに上がる。

 

 

「こい、おらぁぁぁ!!!!」

最早気力だけで叫ぶ、横学のバッター。5回の場面で屈辱三者三振を喫した横学ナイン。選手として、彼はなんとしても塁に出る決意を滲ませていた。

 

シュッ!!

 

スパァァァン!!!

 

「うっ………!」

アウトローへと息をするように決めてくる大塚、御幸のバッテリー。思い通りに投げてくれるコントロールの良い投手をリードしている御幸は、

 

――――本当にコントロールがいいと、リードがしやすい。さらに、多少タイミングが合っても、それをずらす技術があるなんて、反則だぜ。ホント、うちのスカウトよくやった

 

有頂天になりつつも、

 

―――けど、大塚には絶対に決め球とチェンジアップ系は投げさせない。そう簡単に対応できるとは考えられないが、それでも使わないに越したことはない。動く球を有効に使い、両サイドを広く使うぞ

 

SFF、パラシュートチェンジ禁止を試合前に言い渡された大塚は、

 

「チームのために最善の努力をするのがエース。その注文を要の監督と捕手がするのであれば、自分はそれに従います。先は長いですから」

と、抵抗感なくそれを受け入れたのだ。

 

常にチームの勝利を求め、自分がどういう投球をすればいいのかを考えてくれる、尚且つ総合力が高い。

 

――――普通にいけば、エースはこいつかもしれねぇな…………けど、そうなると問題なのは―――

 

御幸はバックを全て見回す。ここで試合に出ているのはほぼ3年生。自分と倉持、白洲以外は3年生である。

 

―――この人たちにエースとしての覚悟と実力を見せつけないと、ちょっと不安だな。けど、それを示してみろ、大塚!!

 

ククッ、スパァァァァン!!

 

「スイングっ!!」

凛とした声で、大塚は審判に回ったというアピールをする。

 

「ストラックアウトっ!!」

横へのタイミングをずらす外のスライダーに手が出て、スイングを取られてしまう。打者はストレートをファウルで粘り、だんだんとタイミングがあってきていた。そこへのスロースライダー(御幸命名)が外へと滑り落ち、手が出てしまったのだ。

 

 

アウトローの生命線を存分に使いつつも、両サイドを広く使う投球。プロ野球よりも甘いストライクゾーンは、大塚には広すぎた。

 

 

 

 

結局、8回まで投げることになった大塚。球数は90球を超えてもなお、ストレートに衰えがなかった。というより、そこまで彼は力を投げてない。タイミングをずらせば、ストレートをうつときは手打ちになるため、高めのストレートを打ち上げることが多くなる。

 

何しろ、彼の今日のMaxは、139キロ。癖球とタイミングを外す躱す投球で、横学打線を3安打に抑えている。

 

彼らは捉える事は出来るが、タイミングを外されていることに、違和感を覚えるだろう。そして、その強烈なタイミングを外す技術に目が行くだろう。

 

――――打てないのは、タイミングが合っていないからだと。

 

だから余計にバッターボックスで後ろに下がる。変化する速球を上手く隠し、相手を騙している。

 

 

―――けど、これで奴のフォーム殺しは世間に広まっただろうな。これを真似する投手なら現れそうだが、ここまで完璧にフォームを代えつつ、それぞれの球種の投げ方が同じな奴は、出てこないだろうな。

 

御幸はそんな高度なテクニックは、高校生が本来覚えるものではないと考えていた。

 

 

――――真似をして、フォームを崩すのが関の山だろう。アイツは力投派だし、力を抜くことはあるが、ここまでの事は出来ないだろうし、

 

そして彼は知り合いの白髪頭の左腕を思い出すが、あの性格では無理だと判断した。

 

そして9回の裏。あっさりと無四球完封を達成した大塚は、ついに世間の目の前に復活した。

 

「バカな………こんなこと………こんな1年生…………有り得てたまるかァァ!!!!!」

横学は、1年生の怪物投手を前に、叫び声を上げるのだった

 

「ナイスピッチ、大塚!」

 

「ひゃはっ!! 初先発とは思えねぇぜ!!」

鉄壁の二遊間からお褒めの言葉を貰った大塚。

 

「今日は出来過ぎなだけですよ。相手が悉く打ち損じてくれたので」

とはいえ、全国区と言われた横学の脆さに、大塚は拍子抜けしているのも事実。

 

――――こんな体たらくじゃ、いつまでたっても横浦に勝てるわけないね。

 

強打で名をはせた選抜ベスト4の強豪校を引合いにだし、自分が在籍する間は全国で対戦する機会もないだろうと感じた。いい投球をされて、少しエースが乱れたぐらいであの慌て振り。もし優勢でも、相手の一選手に過大評価をしてしまうようなメンタルの脆さ。流れを悉く支配できない強豪モドキ。

 

何より、大塚は7,8回でマウンドを降りるだろうと予想していたのだ。切り札を温存しての試合。苦しいことになるだろうと考えていた。

 

「両サイドの制球も乱れることがなかったな。ナイスピッチ、大塚」

正捕手の御幸からも制球に関する点では合格だと言われた。大塚がどことなく不完全燃焼であることをすぐに見抜き、フォローを忘れない正捕手の鏡。

 

 

――――まったく、これで決め球二つを温存しているとアイツらが知れば、どんな顔をするのやら

 

球を動かし、打たせて取る投球。これは予選でも必ず必要になってくる技術である。もし万が一、連投をしなくてはいけない時も、この投球で力を温存できる可能性もある。それが何よりも青道の投手陣に安定感を与えることを御幸は解っていた。

 

さらに、当初の予定通り、スプリットとパラシュートチェンジを使わずに済んだ。夏まで情報を隠し、スライダーが十分に使えることが分かったのも収穫だった。

 

「初先発にしては派手な景色だが、この一戦で結果を残しただけで、自惚れることのないように」

しかし片岡監督からは、釘を刺される言葉を言われる大塚。周りの上級生が大塚を褒める言葉が多い中、監督は敢えて大塚に更なる進化を求める。

 

彼はこの程度の投手ではないのだから。

 

大塚も

 

「次の出番に向けて、調整をするだけです。」

とだけ答えるのだった。

 

こんな風に、1年生で初先発、初の無四球完封を成し遂げた存在は、やはり観衆を沸かせていた。

 

 

「相手も強豪なんでしょ? 凄い1年生。それにちょっとカッコいいかも」

 

 

「もしかして、エースナンバーを貰える人かも。」

 

「今のうちにメアドもゲットしたいな~。」

 

「大塚君~~~~!!」

 

「キャ~~~、こっち向いたよ~~~!!」

 

「可愛い~~~!!」

 

 

期待の1年生、そして顔も悪くないレベルであれば、黄色い声援はつきものである。早くもターゲットにされた大塚を見て、茶化す上級生。

 

「女に声をかけられたぐらいで、舞い上がるんじゃねェぞ?」

伊佐敷は、羨ましい気持ちと、この1年生が自分を見失わないでほしいという願いから、敢えてそう口にする。

 

「アハハ……了解です。それに俺は苦手なんですよね、こういうの」

 

「苦手?」

 

「知らない女性に声をかけられるのはちょっと警戒してしまうので。中学時代はミーハーなトラブルで苦労したんです。」

 

苦笑いの大塚。中学時代、大塚栄治は大塚和正の息子であるというだけでいろいろと祭り上げられかけたことがある。やはり二世の宿命なのか、父親の存在はアメリカよりも強烈だった。

 

――――アメリカだと、父さんは父さん。俺は俺って認めてくれたんだけどね。

 

アメリカで過ごした年数が多い所為か、イマイチ日本のミーハーについていけない大塚。

 

「ん? 中学時代? 一回決勝にいったぐらいでそこまでミーハーはくるわけないだろ?」

伊佐敷は、大塚の物言いが何か深刻そうなものだったので、ふと疑問に思う。

 

「いえ。こちらの話です。今のは、流しても問題ないです」

 

ここでもし、大塚和正の息子であることがばれたら、また煩わしいことになりかねない。ここの上級生たちがそう簡単に態度が変わることは有り得ないが、また面倒なことになりかねない。

 

――――日本を訪れて、自宅に忍び込まれるのはもう勘弁。間違えてバットで殴ってしまった俺は悪くない。

 

ある日、パパラッチが海を渡って来たのかと思った大塚は、バットを持って怪しい存在を追い払ったのだが、何と日本の週刊誌の記者だったことを思いだしていた。

 

――――あの時は、ホント焦ったよ。不法侵入するなんて、パパラッチどももしなかったのに。

 

なお、和正がいろいろとコネを使って脅したので、大事には至らなかった。栄治のことに配慮して、和正は参観日にさえ出ない程だったのだ。

 

「まあ、ホント息苦しいよね。」

沖田は信頼できるからこそ、あの時に伝えているが、いつかはばれることなのだろうと思う。

 

「どうしたの、栄治君」

春市が、スタンドの黄色い声援に苦笑いだった大塚に駆け寄ったのだ。

 

「春市はいいよね。顔を赤くするだけで済むんだから」

ただ可愛いだけなら、そこまでではないのだが、と嘆息する大塚と、

 

「えぇぇぇ!?! いきなりその一声は酷いよ、栄治君!!!」

いきなりそんなことを言われて動揺する春市だった。

 

 

 

―――青道高校に新星現る!! 驚異の黄金ルーキー、大塚栄治!!

 

 

―――横浜北学園を相手に無四球完封! 10Kの活躍!!

 

 

――――大塚、「味方が先に点を取ってくれたので、冷静に投げることが出来ました」

 

 

―――驚異の技巧派! チームを準決勝へ導く!!

 

 

そんな新聞が出回り、大塚は約2年ぶりに表舞台に立った。そして、横浦高校の一年生捕手の黒羽は、そんな盟友の活躍に心躍らせる。

 

「ド派手な復活劇だよな………まさか高校初先発で、あの横北打線を完封に抑えるなんてね………」

 

映像を見る限り、明らかにあの時よりも力を抜いて投げていた。力投派ではなく、技巧派として、復活を遂げ、フォームにばかり目がいっている中、動く球の精度とキレも上がっている。

 

―――技巧派にしては、相当打ちづらいなぁ、アレ。まあ、本当は本格派なんだけど。

 

現在彼は、横浦高校のブルペン捕手を務めており、多くの主力投手の球を受けることが多い。そして持ち前の観察力で、その投球スタイルを理解し、練習試合などで、信頼を掴みつつあった。

 

「…………全国で会おうな、エイジ!」

 

 

そして、スポーツ面の記事で、大塚の事を技巧派右腕と大々的に報じている新聞を見て、一同は―――

 

「この一年坊主、世間を欺きやがったぞ!! なんて野郎だ!!」

3年生、外野手のレギュラーの一人、伊佐敷純は、カメラの前にて大塚が澄ました顔で、「自分は技巧派の投手なので」という場面で大笑いをしていた。

 

「ホント、性格悪いよね。けどそう言うのは大歓迎かな?」

小湊亮介もまた、あの時であった投手がここまでの実力をつけていることに驚きつつ、世間を欺き、実力を隠す器用さに感心し、黒い笑みを浮かべていた。

 

「まあ、データがこの2年間全くなくて、あのレベルだからな。大塚の実力なら、できなくもないだろうさ。ただ、研究されてからが勝負だぞ」

そしてほとんどの人間が称賛しているのに対し、御幸だけが彼に釘を指す。その言葉に反応した大塚はそれを解っていると真剣な表情になり、

 

「ええ。今日は序盤で俺を舐めていたのか、早打ちをしていましたし、癖球を有効に使えました。さらに中盤はスライダーを交えることで、相手のタイミングを狂わし、ストレートをより生かすことが出来ました………今日はすべておれの方向へと風が吹いただけですよ」

そしてそんな実績を残しつつも、謙遜の大塚。そして、そんな大塚の言葉に突っ込むのは、

 

「そうだっ!! 俺だってタイミングを外せるぞ!! その初心は大事だよな!!!」

沢村が突っかかる。準決勝という大一番で、先発を任された彼は、大塚には負けないという気持ちに溢れていた。しかし―――

 

「だが、そうやって気負いすぎると、お前のボールは来なくなる。お前の場合は、ピンチでも平常心で投げる事。」

 

 

「うっす、クリス先輩!!」

沢村や降谷の細かなフォームチェックを行っている3年生の滝川…クリス…優。彼は元々レギュラーの捕手ではあったが、けがにより戦列を離れ、半年間練習に参加できなかった。現在は、この将来性豊かな一年生投手陣の教育係を任されている。

 

特に沢村や降谷は、フォームでの細かなチェックにより、調子を上げ、クリスの観察眼に舌を巻いているのだ。

 

「明日の試合。相手は横浦高校だけど、投手はあまり大したことがない。うちの打線なら十分打ち崩すことは可能です。問題は―――その打撃陣。今日の横北が可愛くなるぐらいの強打のチームです。タイプ的に、一昔前のうちに似ていますね」

大塚視点で、大したことがないと言い張る横浦のエース。140キロ前半で、変化球もまあまあ、特筆すべきはスライダーのキレだが、それ以外は並である。

 

彼が注意しているのは、その強打のチームカラー。9人全員が勝負強く、選球眼がいい。どこからでも得点を取れるチームであり、きっかけさえあればいつでも爆発できるだけの力を兼ね備えている。

 

そんな打線を相手に、沢村は挑むことになる。

 

 

そしてその夜、沖田は黙々と自主練習を行っていた。

 

「さすがだなぁ、アイツらは………」

 

広角に打ち分ける技術はある。打力も調子を取り戻した。だが、脳裏にはあの光景がまだ焼き付き、浮かない表情が多い沖田。

 

「スイングもいい。崩された時を考えているお前のバッティング理論は、確かに理にかなっている………そこの問題は、お前自身が納得しないと解決しない」

 

そして、彼とともに自主練習をしている結城と、その目付けをしているクリス。沖田という逸材をメンタル面で治す必要があると、あの試合で判明し、心身ともに鍛えるのだが、

 

「…………クリス先輩は、大怪我をしていたんですよね………」

 

「ああ。だが今は完治し、リハビリを行っている段階だ。怪我というのは、やはり遠回りになるが、それだけメンタルは強くなったという感覚はある。」

リハビリ生活は長くつらいものだ。大好きな野球が出来ず、もくもくと同じ作業を繰り返す。思い通りにならない体を見て、ストレスを感じることもあるかもしれない。

 

だがそれに腐らず頑張ったことで、ここまで這い上がったのだ。クリスも、そして大塚も。

 

「…………」

 

「………俺から言えるのは、もう楽になっていいんじゃないか?」

クリスは沖田にそうはっきりという。

 

「…………」

 

「こんなことを言うのもあれだが、全力プレーが出来るのに、それを怠るお前が少し許せない。その理由を鑑みても」

少し厳しめの言葉を投げかけるクリス。

 

「そう、ですね………そう言われても仕方ありません………」

 

「お前は真面目だ。一年生の中でも、かなりのな。だから責任感を強く感じやすいし、練習もマジメ、こうやって自主練もする。」

まるで来日した父親のように、練習に躍起になり、自らを追い込んでいるようだった。何かに逃げるように。そして野球が好きで、真面目な癖に、雑念が入り混じっている。

 

「主将として、俺はお前に的確にアドバイスをすることは出来ない。だが、一つだけ言えることがある」

結城は素振りをやめて、沖田の前に立つ。

 

「野球に正直になれ。それだけで、だいぶ変わるだろう」

 

「…………!!!」

 

その後、沖田はその言葉を聞き、結城とともにバットを振り続けるのだった。

 

 

 

 

5月20日の準決勝第一試合。

 

相手は、選抜ベスト4の横浦高校。

 

 

相手にとって不足はない。

 

 

前日から沢村は、この大舞台のチャンスで武者震いをしていた。

 

「俺がついに明日あのマウンドに…………!!」

大歓声が響き渡り、大塚効果なのか、観客はほぼ満員だった今日の試合。そしてデビューが決まった後、沢村は地元の仲間に自分が試合に出ることを教えた。

 

――――準決勝に出るぞ!! 俺は先発だ!!

 

――――すっげぇっぇ!! 栄ちゃん!! こんなに早く一軍で投げるなんて!!

 

―――栄純、やったね!

 

―――あ、ああッ!! 若菜がいろいろ教えてくれたおかげだぜ!! あいつ、本当に難しい本を渡しやがって………アレ全然入門書じゃないだろ!!

 

――――う、うん……でもいきなりだから、全員は無理かもしれない。けど、行ける人は応援に行くね!!

 

 

蒼月若菜の応援に行く宣言で、かなり精神的に気にしている沢村。特に去年のあの一件以来、意識しており、青道への受験勉強でも本当にお世話になっているのだ。

 

入学後はそれぞれの学校に分かれ、遠距離になってしまったが、彼女が東京へと足を運ぶことに喜んでいる自分がいることを悟る。

 

―――なんかしらねェけど、仲間が来るよりもアイツが来ることがうれしい自分がいる…………何なんだ、このモヤモヤ感…………

 

しかし理解できていない沢村。

 

 

―――ええいっ!! 今日は早く寝るッ!! 寝て、明日完封してやるぜ!!

 

しかし、結局寝たのは寝たのだが、夢にまで彼女が出てきたという。

 




横学は小物。はっきり分かんだね。

沢村が次に対峙するのは怪物打線の横浦高校。横浜高校筒香と大阪桐蔭中田クラスがいると考えてもらって構いません。なお、ベストメンバーは3,4番のみ。


大塚はあまり目立たないけど、中学から日本に来ている設定。まだ沖田しか和正との繋がりを知りません。











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