ダイヤのAたち!   作:傍観者改め、介入者

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洒落にならないほど遅れた理由は、パソコンの調子が悪くなったからなのです。

入力するときにフリーズするときが多く、そうならない日もあるのですが、仕事で時間をつぶされてしまったのです。

すいませんでした。


第108話 縁を手繰り寄せる扇の要

鵜久森戦から数日が経ち、沖田と大塚は前園がしきりに御幸の所へ行っているところを目撃していた。

 

「2年生ミーティング、らしいけどさ。お前はどう思う、エイジ?」

沖田が騒いでいる前園を見て、横にいる大塚に尋ねる。

 

 

「いや、大会中はやめた方がいいと思う。レギュラー陣のメンタルをやられかねない。」

特に、チャンスで弱い人とか、守備でエラーしたりとか、ムラッケのある人とか、かなり影響出るよ、と忠告する。

 

「まあ、新チームに色々手が届かないところがあるのはよくある事だけど、俺達はかなり恵まれている方だよ」

大塚はチームの地力を分析する。

 

「センターラインを含む外野陣はほぼ固定。内野の層も厚く、投手は言わずもがな。捕手に御幸先輩がいるのも大きい。人間関係も大事だけど、それは終わってからでも出来ることだから。」

 

今は、チームが一つの方向に向かう時だと、大塚は考えているのだ。

 

「それに、本音を出し過ぎるのは後で収拾がつかなくなったりするし、あ」

 

大塚の言葉が途切れる。横に視線を向けていた沖田は何事かと前を向くと、

 

 

「そ、そうか――――そうやな、ワイが迂闊やったわ―――っ」

 

「すいません、ゾノ先輩。盗み聞きをするつもりはなかったです。」

 

「いや、ワイも冷静さを無くしとったわ。副主将なのに、いろいろ空回りし過ぎや」

後ろ首に手を置く前園。相当テンパっているようだ。

 

 

「まあでも、ゾノ先輩の無骨なところは信頼できるし、いいところだと思いますよ。」

 

――――まあ、波があるからなぁ、この人。打撃もそうだけど。

 

いいものを持っているが、メンタルに不安を抱えている。典型的なチャンスに弱い傾向にある打者。今は自分の打撃を貫くことで、フォームを崩されることはないが、これが何らかの拍子で曖昧になれば、目も当てられない。

 

――――この人にアドバイスするのは、得策ではないな。余計なことを考えず、本能で振るべきだ。

 

 

大塚と言えど、迂闊に一言をかけることも出来ない。彼はプルヒッター。流し打ちなんて覚えたら、本来の強みすら消しかねない。

 

 

プル気味のスイングで、コースによっては反対方向に勝手に飛ぶ、これぐらいの意識でいい。

 

無理に右方向を意識すると、碌なことにならない。

 

 

 

その後、入念なストレッチをフィールドの外で行っている大塚。沖田は我慢できずに内野でノックを受けていた。

 

 

 

内野の外からノックを眺めている大塚。沖田のグラブさばきは勿論上手い。高校屈指と言っていい。しかし、

 

 

 

――――沖田一人だけがいてもダメだからね

 

そして近くでは、

 

「しゃぁぁ、こい!!」

 

 

内野では、金丸と日笠が三塁の座を巡って熾烈なアピール合戦を続けていた。

 

金丸は沖田の言う壁を意識した守備を見せ、軽快な守備を魅せている。ただ、やはり送球時にもたつくことがあり、捕球からの動作にまだ固さがある。

 

一方の日笠は堅実に打球の正面に入って、重心も低い。手堅いイメージが強い。打撃も守備も本来はむらがあるのだが、今日は調子がいいのだろう。動きもいい。

 

 

――――こりゃあ、まだまだスタメンは遠そうだな

 

 

 

そして、問題の二遊間。今日はセカンドに沖田、ショートに倉持が入っての守備練習が多く、連係プレーを想定したものも含まれていた。

 

 

――――うわ、沖田のグラブトス早すぎ。みんな自分が出来ることは出来ると思っているな。

 

 

沖田なら、あのトスでも素早く、というよりアレを素手で取ってそのまま投げるのが常識みたいな節がある。

 

――――プロでもあまりしないぞ、そんなの。

 

メジャーではよく見られる光景だが、沖田は倉持が素手で取るようなことを想定し、グラブとは逆側に正確にトスを上げているのだ。

 

 

最初は面食らった倉持だったが、徐々に慣れて行き、いい笑顔をするようになっていた。どうやら日頃からそういうギリギリのプレーを求めていたらしく、破天荒な沖田の守備は大層気に入ったようだ。

 

 

――――となると、小湊のケツに火がついただろうな

 

ミート力なら、沖田や東条にも引けを取らない彼ではあるが、良くも悪くも特徴がない。木製バットを扱う器用さはあるが、長打力が望みにくい。

 

 

――――木製も当たれば飛ぶし、非力な打者が稀にスタンドを超える時もある。

 

だから一概には言えない。小湊がそれを補える技術があるのなら、文句はない。

 

 

だからこそ、適応が早過ぎる沖田には毎回驚かされる。

 

――――まあ、あいつはもう、なんというか。5ツールでユーティリティとか、

 

野球舐めてる?そう言いたくなるほどの存在だ。実際どのポジションも上手いし、守備範囲も広い。肩も強いから深い場所でも強い球を投げられる。

 

 

――――けど、監督は沖田をどのポジションで使う気なんだろうな。

 

 

名残惜しいが、ストレッチが終わったので、ティーバッティングでも開始する大塚であった。

 

 

 

―――――そういえば、練習中は本当にミスをしなくなったね、春乃

 

 

グラウンドで雑用をする彼女の奮闘ぶりを見て、少しだけ口元が崩れる。プライベートと部活を振り分けてくれている。その態度に彼は感謝する。

 

――――俺も、もう少し打撃で貢献したいね。投手としてだけではなくて。

 

 

彼女の奮闘ぶりに心が温かくなる中、打撃への興味を本格化させた大塚が練習を開始する。

 

 

――――まあ、沖田の言うすり足打法の胆は、軸足の動きだろうね

 

 

前足で反動をつけられないなら、軸足にアクションを入れている。そうすることで、長打力をそこまで落とさずに済む、そんなところだろう。

 

彼の打撃フォームを見ただけで、その事を即座に見抜く辺り、大塚も十分おかしいのだが、自覚はあってもそこまで考えていないのだ。

 

 

そして、他人の良いところは即座に真似ることに定評のある大塚。

 

数十分後。

 

 

―――――あ、できた

 

 

 

納得のいくスイング、イメージのコース、変化球を叩きこんだ感触を覚える。

 

 

――――うーん、もっとこうアクションが欲しいな。

 

 

従来の練習ではなく、もっと画期的でつい集中してしまう練習。

 

 

そんなことを考えつつ、大塚は沖田が見ていたら泣くような理想のスイングをさらに磨き続けるのだった。

 

 

 

 

 

青道の主力メンバーの練習風景を観察するのは、大塚だけではなかった。

 

 

――――――今日は中々ブルペンに入らないな、大塚。

 

スイングを確かめている様子を見た落合は、彼が打撃に目覚めつつあることをあえて止めるつもりはなかった。

 

 

――――打者の側に立ってみれば、新たな発見もあるだろう。

 

 

とはいえ、落合は内野へと視線を切り替える。

 

――――沖田道広。彼は本当にいい選手だ。こういう自分を自ら高めてくれる選手は貴重だ。

 

そして、2塁守備まで無難にこなし、ショートの倉持との併用がしやすくなる。ただでさえ3塁には試したい選手がいるのだ。

 

――――まあ、奴の守備範囲を考えれば、一塁に置くのはもったいないのは解るが。

 

 

沖田をどのポジションに置くか、それによってチームの形が変わる。

 

 

―――――倉持と組むなら守備走塁。小湊なら攻撃型。難しいところだ。

 

どちらもセンスのある選手だ。だからこそ、勿体無い。

 

 

片岡監督も片岡監督だ。沖田の器用さを持て余しているように見える。だから、半ばたらいまわし的にポジションの入れ替えが激しい。

 

 

――――扇の要、投手陣の層の厚さ。強力打線。実に高いレベルであると断言できる。だが、

 

 

 

このチームの要は、実は沖田道広であることも、落合は断言する。

 

 

 

――――彼が不調になることは考えにくい。だが、接触プレイの危険性、主力打者への内角攻め。今後アクシデントが彼を襲わないとも限らない。

 

 

そんな時、内野で絶対的な守備存在感と、打席での圧倒的な威圧感を誇る彼が抜けた時、青道は一気に弱体化すると予測できる。

 

 

 

そこをどう考えているか。

 

 

――――まあ、そうなれば小湊と倉持を使うしかないのだがな。

 

 

 

そして、ようやく大塚がブルペンへと向かうので、それについていく落合。

 

 

既にブルペンでは、沢村、川上、降谷が投球練習を行っており、其の3人ともが大塚と同じようにコースを意識していた。

 

 

――――大塚に触発されて意識のレベルも高い。

 

 

パッと見た感じでは、内気そうに見える川上だが、

 

――――右打者から逃げるスライダー、そもそも変則で幅を使える制球力もある。

 

 

更には右打者の足元に沈むシンカー、左打者の内角を攻めるカットボール。

 

 

これが、川上の更なる安定感を生んでいた。

 

――――いい変化球を覚えている。これで飛翔癖がなくなればもう安心なんだがな。

 

 

次に沢村、緩急と両サイドは基本であり、空振りを奪える変化球。打者のタイミングを外すボールではなく、カウントを奪える万能な球。

 

 

――――スライダーは、まああの暴れ馬もいいが、コントロールできる方が俺は安心だな。

 

 

高速縦スライダーを投げるのではなく、内外角に普通のスライダーを投げるだけでも十分効力があると考えている。

 

 

実際、110キロ台中盤どころのスライダーは、右打者の内角、左打者の外角によくコントロールできている。それに右打者の外角にはチェンジアップもある。

 

最近、サークルチェンジ、高速パームを投げる機会が少なくなっている。制球出来ても、打者に打たれやすければ使えないのが現実だ。癖球もフォーシームへの悪影響から、本来のムービングボールもあまり投げず、意図した変化を模索するようになっている。

 

パームは、あまりにも博打過ぎて、試合で使えるかどうかが当日にならなければわからない不安定な球種だ。この封印措置は正解だと彼は感じた。

 

 

――――大塚と同じく、どういう投手になるのかが解らんな。

 

 

流石は大塚と鎬を削るサウスポー。彼は本当に2番手らしくない控え投手だ。タイプが違うのも助かる。

 

 

――――まあ、スライダーの弱点がなくなった今、弱点らしい弱点は球質の軽さ。後は高速スライダーの制球ぐらいだろう。

 

 

沢村のチェンジアップも、大塚のように劇薬のようではないが変化しつつある。球速が増し、恐らく筋肉の質も上がっているのだろう。大塚のようなパラシュートチェンジとは違い、純粋なチェンジアップになりつつある。

 

 

そう、減速に特化したスローボールに。それに加えて、最近速度の増したフォーシームは、手元で相当伸びてくるようにも感じられる。

 

チェンジアップを覚えたのは約1年前というが、それに加えてカッター、ムービング、スライダー。

 

 

――――驚くべき成長スピードだ。

 

そして、チェンジアップとスライダー、カッターのみに残された球種の中、高速縦スライダーの威力はまだすべて発揮されていない。

 

 

「チェンジアップ、ちょっと試します!!」

 

そう言って宣言する沢村に目が止まる落合。何を試そうというのか。チェンジアップの握りを少し変えたのだろうか、

 

 

そう考えている暇もなく、沢村が放った球は

 

 

――――うん? あまり減速しないな

 

 

 

しかし、ベース付近で減速しながら、スクリュー気味に鋭く沈んだのだ。

 

しかも、捕手の小野はこのボールを零してしまっている。

 

「お、この変化良いかも!!」

 

 

その後、低目と高目で変化に差があることも判明したこのチェンジアップ。

 

――――大塚効果、ということなのだろうな。高速チェンジアップ、か。

 

 

高めだと少し変化し、芯を外す球に、低めならば鋭く落ちるボール。

 

 

キレのない棒球にも見えるが、元々伸びのあるストレートを投げる投手だ。ボールを動かすことに関しては、

 

 

――――大塚にも劣らない

 

 

片岡監督が準決勝の先発に早々と指名したが、先発を言い渡されてからの彼は、ボールの状態もよく、日に日に調子も良くなっている。

 

――――その自覚が、彼を成長させているのだろう。

 

落合としては、大塚の後ろを追いかける者として、彼のさらなる成長への刺激になればいいと当初は考えていた。

 

しかし、沢村の可能性にいつの間にか魅せられてしまっているのも事実だった。

 

 

――――そして、一番原石に近く、伸び代もでかい降谷。

 

彼が劣っているのは、技術だ。大塚と沢村に出来る両サイドを突く制球力。多彩な変化球、ストレートでファウルを稼ぎ、変化球で仕留める基本的な型も、いくつも持ち合わせていることだ。

 

最近アウトコースのボールを獲得したが、あのレベルのチームに踏み込まれるのはいただけない。

 

外角中心の危険性を落合も感じていたのだ。金属バットで強く振られれば、いくらあの球威でもスタンドに運ばれることがある。タイミングを外すチェンジアップも、バットの先で頭を越されることもあり得る。

 

 

その為には、インサイドを突くボールが必要になるが、まだあの剛速球を完全に制御できていない。

 

――――この冬の合宿で最低限インサイドを突けるようになってもらわないとな。

 

このままでは大塚はおろか、沢村にも勝てないだろうと判断する。

 

 

 

そして、成長を続ける投手陣を支えるには、捕手の成長も必須である。

 

――――明大が監督の母校とはいえ、良くあそこが許可をしたものだ。

 

御幸が常々考えていた課題。それは投手陣の決め球を完璧に捕球できる能力を獲得することである。

 

――――昔はそんなものがなかったが、時代だな。

 

 

報告では、がむしゃらに練習を続けているという御幸。全体練習の後、短い時間であることが惜しまれるが、チームの雰囲気を壊さないためにも仕方がない。

 

だが、彼の質の高い意識が、短期間で自分を変え始めているという。

 

 

――――もし、御幸が沢村の暴れ馬を完全に手懐けられるのであれば

 

 

相手打者はまるで相手にならないだろう。出所の見えにくいストレートに振り遅れないようにタイミングを速くとるスイングを強いられた中、緩急に加えスライダーがモノになれば彼の本領が完全に発揮されるだろう。

 

 

夏予選の再来。予選では獅子奮迅の活躍を見せた、あの沢村が戻ってくる。

 

 

――――大塚の全力を受け止められるのであれば、

 

 

未だ実戦で使いこなせていないSFFと高速縦スライダー。ブルペンで見たが、相当なキレと落差を誇っている。本人はまだまだ制球に課題があると思い込んでいるが、それだけではない。むしろコントロールは実践で使えるレベルにあるとみている。

 

 

――――すべては、捕手としての力量にかかっているぞ、キャプテン

 

 

 

 

 

そして、沢村が順調な調整を行う中、その男、御幸一也はある人物の下を訪れていた。

 

 

「お久しぶりです、クリス先輩」

 

「お前から呼び出すとは珍しいな、御幸。」

 

目標でもあり、沢村にスライダーを教えた人物でもあるクリス。その彼に、どうしても沢村の現状を教えておきたかったのだ。

 

 

「―――――そうか。スライダーを複数。あの沢村がそんな風に器用になったとはな」

 

ベーシックなスライダー。通称横スラを習得し、右の内角、左の外角に投げ込めるようになったというのは、驚くべきことだ。

 

そして、夏予選で猛威を振るった高速スライダー。腕の振りを今や克服し、徐々に感覚をつかみつつあるその宝刀。

 

「ええ。それに腕の振りの課題もなくなったので、過去のデータしかない王谷はかなり戸惑うと思います。」

 

「――――後輩のこういう話を聞くと、俺も頑張らないとな、そういう気持ちになれる。スライダーを教えて、本選であんなことになったからな――――やはりそこは気になっていたんだ。そうか、ついに克服したんだな」

 

感慨深そうにつぶやくクリス。

 

 

「なので、次の試合。ぜひクリス先輩に観戦していただいたらと。この試合で、沢村はまた一つ、成長出来ると思うんです。秋大会の結果次第では、あるかもしれないほどに」

御幸が断言する。沢村は、ただの控えに収まる器ではない。大塚からエースナンバーを奪えるチャンスがこの秋大会にめぐってきたのだ。

 

「―――――俺たち上級生は、今年は本当に1年生たちの成長に驚かされてばかりだ。だからこそ、お前の言葉を疑うつもりなんてないし、見にいきたいと考えていたさ」

そしてクリスは、1年生たちの躍動に引っ張られた半年を思い返す。彼らの躍進が、青道を強くした。だからこそ、それを肌で今も感じている彼の言葉を、迷わず信じることが出来るのだ。

 

 

 

「ただ、俺もそろそろスライダーを完璧に捕球できないと、捕手失格というか」

御幸の饒舌だった口調が、途端に濁る。

 

「――――そういうことか。明大で練習設備を借りているという話は結城から聞いている。実際のところはどうなんだ?」

 

明大にて御幸はピッチングマシンが青道投手陣の決め球を再現したボールを相手に捕球練習を行っていたのだ。

 

 

もちろん、明大側が要求していることもある。それは、プロ行きが有力視される選手以外の有力選手の獲得。

 

 

そして将来的なパイプの構築が狙いなのだ。

 

 

 

明大側としては青道への良いアピールになり、プロに行かない青道の有力選手獲得のためのパイプ作りにもつながると見たのだ。

 

 

 

 

青道の選手たちにとって、明大は青道とつながりが深い場所であると。

 

 

 

 

 

「――――正直、あそこまで機械がスライダー、SFFを再現してくれたら、とても助かりますね。ええ。本当に俺は運がよかったです。大分軌道もつかんできて、大体は捕れるようになりました。」

 

 

「だが、お前の求めるレベルではないという事だな」

ただ単に止めることならば、もうできているはずだろうとクリスは予測した。御幸が今更そんな当たり前の場所で止まるはずがないということぐらい。

 

「盗塁を刺すとなると、正直イーブンなんですよね。」

 

御幸の良さはここだ。基本を疎かにせず、より高いレベルを常に見据えている。

 

 

「沢村のクイックに助けられているとはいえ、こぼした状態からの送球ではな。明後日の試合までに、今日も特守に行くのか?」

 

「そうですね。前日はさすがに厳しいでしょうが、今日までなら」

 

 

「そうか――――――――ここからが正念場だぞ、御幸。準々決勝からの道のりは、今までとは違うモノになる。秋大会程相手のデータが当てにならない時のダメージは大きい。油断なく、気負いなく、お前は自分を貫けばいい」

 

尊敬する選手からの激励。そして忠告。ありきたりだが、御幸は内心小躍りしている状態だった。

 

だが、顔には出さない。

 

「そうですね。今までの道のりでも、それは痛感しました。きっとこの試合以降も。ですが俺達は選抜に行きます。今度こそ、頂の景色を見たいと、そう願っていますから」

 

 

青道の扇の要が見据えるものは大きく、険しいけもの道の終着点。

 

 

それは御幸の手にかかっている。

 

 




御幸さんが原作に比べ、かなり恵まれています。

大塚栄治の情報はすでに出回っており、プロ以外の進路ならばぜひ獲得したいと明大は考えています。

沢村が大学経由でプロに行くとなると、もしかするとここかもしれません。御幸もプロではなければここかも。

東条も小湊も微妙なんですよね。プロレベルに辿り着くかと言われると・・・・

沖田は横浜が一位指名確実。となると・・・・

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