沢渡さんの取り巻き+1   作:うた野

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今回のデュエルはオリキャラ相手。


ネオ沢渡さん、紅茶ですよ!

「はい、どうぞ沢渡さん!」

「おう」

「そうだ、これもどうぞ沢渡さん!」

「ああ」

「これなんてどうでしょう、沢渡さん!」

「……うん」

「お次はこれです、沢渡さん!」

「……少しは落ち着け!」

「はい! 沢渡さん!」

「……」

 

沢渡さんからの電話を受けてLDSに来てすぐ、紅茶とお菓子を用意し(今日はLDS内の売店で買いました)、ロビーで沢渡さんとお茶を始めました。

ですが久しぶりの生沢渡さんの前でついはしゃぎ過ぎてしまったらしく、怒られてしまいました!

 

「ったく……」

 

呆れたように呟きながら、私が淹れた紅茶に口をつける沢渡さん。動作一つ一つが様になってますね!

 

「そうだ沢渡さんっ、LDSに来たって事は完成したんですかっ?」

「ああ。榊遊矢がペンデュラム召喚を使おうと、このデッキで叩き潰してやる」

 

沢渡さんの取り出したデッキのトップは……氷帝メビウス? アドバンス召喚に成功した時に魔法、罠カードを破壊する効果を持つモンスター……ということは、

 

「セッティングされたペンデュラムカードは魔法カード扱いになるんですねっ?」

 

山部たちから聞いて知っていましたが。それでも感心してしまう。

 

「察しが良いな。その通りだ」

「それでメビウスをっ、流石です沢渡さん!」

「ふっふふ、ノンノン、今の俺は――」

「ネオ沢渡さん!」

「イエス!」

 

的確な対処法ですね! 流石ネオ沢渡さんです! 大嵐やサイクロン、砂塵の大竜巻などでは時読み、星読みの魔術師のペンデュラム効果で無効にされてしまいますが、モンスター効果ならその心配はない!

それに魔法カード扱いとしてフィールドに存在しているなら、私のティアラミスでも対策は打てる。オーバーレイユニットのようにカードではない状態であるのか、と危惧していましたが杞憂だったようです。実際にデュエルした沢渡さんの話を聞いて、改めて安心しました。

 

「このデッキで榊遊矢を倒す……!」

「その意気ですよ、ネオ沢渡さん!」

 

……良かった、もう強引にカードを奪おうとは考えていないようです。それなら私も少し気が楽です。榊さんが沢渡さんのリベンジを受けてくれれば、今度こそ沢渡さんの勝利は間違いないですね! 案外、良いライバルになってくれるんじゃないでしょうか!

 

「まずは明日にでもこのデッキの肩慣らしだ」

「慢心せずに練習するなんて、流石ですね!」

「当然、今でも使いこなしてみせるがな」

「はい! 私では練習相手にはならなそうで、申し訳ないですっ」

 

フィールド魔法がキーカードになっているとはいえ、私のデッキではシャドールたちの効果を魔法、罠の代わりとして使っているようなもの。アクションデュエルではそれが顕著ですし。残念ながら沢渡さんの練習相手としては合わない。勿論、私のデッキでもカードを破壊されるのが厄介なのは変わりありませんが。

 

「気にするな。それに今からデュエルしてもお前の講義で中断しちまうだろうしな」

 

こんな私に気を遣ってくれるなんて、本当に流石ですよ沢渡さん!

 

「あ、デュエルする時間はありませんが、紅茶のお代わりを淹れる時間ならありますよ! どうですかっ?」

「ああ、飲んでやる」

「はい!」

 

沢渡さんの言葉に嬉々として紅茶を淹れなおす私。ああ、まさに至福の時間です。

 

「んー、この香り、悪くないな」

「ありがとうございます!」

 

ひゃっほう! ……と、危ない危ない。また我を忘れてしまうところでした。沢渡さんと会えた時に訊こうと思っていた事があったんです。

 

「沢渡さん、一つ訊いてもいいですか?」

「なんだ?」

「中島……さん、って誰ですか?」

 

ずっと訊こうと思っていた事。

沢渡さんを利用した、中島という男。それが誰なのか、一体どんな繋がりが沢渡さんとあるのか。

 

「中島さん? ああ、まあお前が知らないのも無理はないか。最近は見かけないしな」

「有名な方なんですか?」

「まあ有名っちゃ有名だよ。LDSの理事長は知ってるだろ」

「理事長……確かレオ・コーポレーションの理事長も兼任している赤馬日美香さん、でしたよね」

「ああ。中島さんはその付き人、側近さ」

 

LDSとレオ・コーポレーションの重役の側近……ペンデュラムカード……最近新設されたコースの事を考えると、ペンデュラム召喚をLDSに取り入れる為? レオ・コーポレーションの人間なら手に入れたカードから新しいカードを生産する事も出来るはず……その為にペンデュラムカードを?

そう考えれば理由は分かる。自分たちが榊さんから直接カードを奪えば、会社の名前に傷が付き、世間から非難される。LDSの生徒たちからも不信感を抱かれるのは間違いない。だから沢渡さんを使った……という事でしょうか。

 

「たまにLDSにも来るから、その内会えると思うぜ。今は理事長が海外に出てるから忙しいみたいだけどな……久守?」

「……ああ、いえ。すいません、ありがとうございます!」

「けど何でいきなり中島さんの事を……ああ、お前、あの時の通信を聞いてたのか」

「っ、え、ええと……はい」

 

沢渡さんに盗み聞きをしていた事がバレてしまいました……。

 

「別にいいけど。俺だって中島さんの頼みを聞いたつもりはないしな。あの人が何を考えてるのかも興味ないね」

「沢渡さん……」

「俺は俺のやり方でペンデュラムカードを手に入れる。その為にもまずは榊遊矢に借りを返す。それだけだ」

「……はい!」

 

……うん、沢渡さんがこう言っている以上、私が何かをしても仕方ない。好意は抱けませんが、だからといって報復する必要もありませんね。……もしもまた同じような事をするなら、今度こそ容赦はしませんが。LDSだろうと、レオ・コーポレーションだろうと、世界だろうと。誰が相手でも関係ありません。

 

「ん、おい、そろそろ時間だろ?」

「あ、はい。……じゃあ、行ってきます」

「ああ」

「カップとかは後で回収しますから! それでは沢渡さん、また!」

 

……行きたくない、というより沢渡さんから離れたくない……! でも講義を受けなければ後に響く……くっ、今は我慢するしかありません。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

久守詠歌が去り、しばらくは一人で残った紅茶とケーキを食べていた沢渡だったが、そこに近づく人影があった。

 

「よお、沢渡」

「やあ」

「お前らは……シンクロコースの刀堂刃とエクシーズコースの志島北斗か」

 

刀堂刃と志島北斗。同じLDSで互いにそれなりに有名人同士、知らない仲ではない。とはいえそれ程仲がいい訳でもないが。

 

「何の用だ?」

「久守の奴は……いねえみたいだな」

 

刃が沢渡の前のテーブルに置かれたケーキと紅茶を見た後、周囲を見渡すが当然久守の姿はない。

 

「あいつに何か用か」

「いいや。お前に用があってな」

「そうそう、むしろ彼女が居ない方が都合が良い」

 

沢渡を挟むように隣に腰掛ける二人。

 

「な、なんだお前ら、気持ち悪い」

 

妙に近い距離感に沢渡が引くが、二人はおかまいなしに顔を近づけ、小さな声で言った。

 

「沢渡……お前、久守に何であんなに懐かれてんだ?」

「いや信奉と言ってもいいね、彼女のあれは」

「はあ?」

 

二人は先日、物凄い勢いで沢渡について捲し立てられた事を思い出しながら、沢渡に問う。

彼女が沢渡に懐いているのは彼の取り巻きに加わっている事から知っていた。けれど、あそこまでとは思っていなかったのだ。

 

「はっきり言って普通じゃないぞ、彼女……」

「お前なんかをあそこまで尊敬するなんざな……」

「おい、俺にかなり失礼な事を言ってるぞ、お前ら」

 

二人の失礼な言葉に腹立ちながらも、沢渡はその問い掛けに答える。

 

「あいつがこの俺の偉大さに気付ける聡明な人間だったってだけさ。あいつは人を見る目があるからな」

「ダメだこいつ……!」

「落ち着け刃、沢渡がこういう奴だって事は分かってた」

「そうだな……っつーかあいつっていつからお前の取り巻きなんざ始めたんだ?」

「気付いたら君の傍に居たね」

「あいつがLDSに入った時からだ。そもそもあいつにLDSを勧めたのは俺だからな」

「お前が?」

「そういえば君たちは同じ学校だったか……」

 

沢渡の口から出た意外な事実。けれど、同級生ならそういう事もあるか、と納得する。

 

「あいつが転校してきてすぐにデュエル塾を探してるって相談に来て、俺が此処を紹介してやったってわけだ」

「あいつ、この街の奴じゃなかったのか?」

「ああ。舞網市に来たのは転校してくるよりも早かったらしいが」

「? ならそれまで市内の別の学校に居たのか?」

「さあな。別に何処の学校に居たかなんて興味もない」

「……そもそも何で君に相談なんて?」

「どういう意味だそれ」

「ああいや、転校して来たばかりの子がどうして君にデュエル塾の事を聞きに来たのかと思ってね。デュエル塾を探してるなら最大手のLDSは一番最初に聞く名前だろう? 敷居が他と比べて高いから、それで諦めて別の塾を探してるならわざわざLDSの塾生に聞く必要もないじゃないか。バッジを着けてるからLDSかどうかは一目で分かるだろうし」

「ん、ああ……確かにそれもそうだな。しかもわざわざ沢渡に」

「わざわざは余計だっ。ふんっ、この完璧なるデュエリスト、沢渡シンゴの噂を聞いて来たんだろう」

「お前の噂なんざ悪評しかねえだろ……」

「確かに。しかし改めて思うと良く今まで無事にLDSに通えたものだよ。その内後ろから刺されるかもね」

 

呆れた表情で言う刃と北斗、しかし二人の疑問は未だ晴れない。

どうして久守詠歌というLDSのエリートに匹敵するほどのデュエリストが沢渡の取り巻きに甘んじ、心から尊敬しているのか、という疑問。

 

「うるせえ! あいつは最初から俺を立てる奴だった、つまりこの俺の伝説を聞いてやって来た以外にねえだろっ」

「ああ? 最初からぁ?」

 

沢渡の言葉に胡散臭そうに刃が表情を歪める。

 

「ああ、そうだ。「沢渡さん、沢渡シンゴさん、LDSの沢渡シンゴさんですよねっ!」って俺を訪ねて来たんだ」

 

沢渡の言葉を信じるなら久守詠歌は出会った当初から、いやそれ以前から沢渡を知っていて、尚且つ今同様に尊敬していた、という事になる。

知るだけなら同じ街に住んでいれば何かの機会があるかもしれないが(それに沢渡には次期市長候補の息子、という微妙な肩書もある)、あれ程の尊敬の念を抱くような理由になる出来事を沢渡が起こしたとも思えない。……ますます謎が深まっただけである。

 

「大体なんで急にあいつの事を……あ、まさかお前ら、久守の事を――」

「君が考えているような事は絶対に有り得ない!」

 

沢渡が言い切るよりも早く、北斗が声を大にして否定した。

 

「落ち着けよ北斗……けどまあ、北斗の言う通り、お前の考えているような事はねえよ。単なる好奇心だ。俺たちを負かすような奴が、どうしてお前なんかに懐いてるのかってな」

「何だお前らも久守に負けたのか。仮にもLDSのエリートが聞いて呆れるぜ」

「くっ、なんでこいつにこんな事を言われなきゃ……! 彼女に挑みさえしなければ今頃は40連勝も夢じゃなかったはずなのに……!」

「落ち着けよ北斗、気持ちは痛いほど分かるがな……!」

 

青筋を立てる二人の事など気にした素振りも見せず、沢渡は残りの紅茶に口をつけた。

 

「そもそもあいつの事が気になるなら久守本人に訊けよ」

「「絶対に嫌だ!!」」

 

先日の件を思い出し、即座に二人が声を合わせて否定する。恐らく尋ねれば訊いてもいない事までより詳しく、そしてより長く話すだろう事は嫌でも想像がつく。

 

「はあ……もういい、沢渡に聞いた俺たちが馬鹿だった、そろそろ講義も始まるしな」

「もうそんな時間か……酷く時間を無駄にした気分だ」

「だから失礼過ぎだお前ら!」

「つーか総合コースも久守が受けてるのとは別の講義あんだろ。お前も悠長に紅茶なんて飲んでないで、準備したらどうだ」

「生憎この俺が受けるような講義は今日は入ってない。お前らは勉学に励むんだな」

「はあ? だったらお前、日曜に何しにLDS来たんだよ? この時間じゃデュエルの相手も捕まんねえぞ?」

 

刃の至極当然な質問に、沢渡もまた当然と言うような態度で答えた。

 

 

「紅茶を飲む為に決まってるだろ」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「沢渡さん! 待っててくれたんですか!?」

 

講義を終え、ロビーに戻った私が目にしたのは退屈そうに雑誌を捲る沢渡さんの姿でした。まさかずっと待っていてくれたなんて……。

 

「別にお前を待ってたわけじゃない。本を読んでたらお前が戻って来ただけだ」

 

その割にはあっさり雑誌を閉じてしまいましたが、沢渡さんが言うならそうなんですよね!

 

「帰るぞ」

「はい! 今日もあの倉庫に行きますかっ?」

「いや、今日は真っ直ぐ帰るぞ。明日はデッキの肩慣らしと、榊遊矢を誘き出す為の作戦を考えなきゃいけないからな」

「分かりました!」

 

別に誘き出す必要はない気もしますが……そうかっ、以前沢渡さんが言っていた劇的な勝利の為の演出ですね! 流石沢渡さん、拘ってるぅ!

立ち上がり歩き出す沢渡さんをテーブルのカップを回収し追いかける。すぐ帰らなきゃいけないのは残念ですが、沢渡さんと一緒に帰れるなんて最高ですよ最高! たとえそれが帰宅途中までの10分だけでも!

 

LDSを出て、沢渡さんと並んで街を歩く。さり気無く道路側を歩いてくれる沢渡さんの優しさに感激です!

 

「そういやシンクロの刀堂とエクシーズの志島にも勝ったんだって?」

「はいっ、先日デュエルする機会があったので!」

「そうか。少しはやるようになったな」

「ありがとうございますっ!」

 

ひゃっほう! 沢渡さんに褒められた! 沢渡さんの前でデュエルしたのは数える程ですが、今初めてデュエルの事を褒められました!

 

「沢渡さんがLDSを薦めてくれたおかげです!」

「ま、この俺が通う塾だ。強くなってもらわなきゃ同じ塾の俺まで弱く見られるからな」

「はいっ、これからも頑張ります!」

 

その言葉だけで今後の講義も受ける気力が湧いてきました!

沢渡さんに恥をかかせるわけにはいきませんからねっ!

 

「ああ、そうだ久守」

「はいっ」

「お前って転校して来る前は何処に住んでたんだ?」

「? 何で急にそんな事を?」

「刀堂たちが気にしてたからな。俺は別に興味もないが、そういえば聞いてなかったと思ってな」

「えっと、そうですね。以前は誰も聞いたこともないような、遠い所に住んでいました」

「ふーん、の割にはLDS以外で融合だのエクシーズだのを教えてる塾があったんだろ? この街の外にそんな街があるなら有名そうだがな」

「ああ、いえ。塾でデュエルを習うのはLDSが初めてです。見て覚えた、っていうのが一番でしょうか。後は知り合いの人とやりながら少しずつ覚えたんですよ」

 

もう随分と懐かしい気がします。ほんの数か月前の話なんですが……やっぱり沢渡さんと出逢ってからの日々が充実してるからですね!

 

「へえ。ならこの街に来てからは何処の学校に居たんだ? 転校して来るより前に舞網には来てたんだろ?」

「えーと、転校して来る前までは休学していたんです。引っ越しで忙しかったので」

 

嘘ではないですよ? 沢渡さんに嘘なんて吐けませんから!

 

「お前も何かと苦労してんだな」

「いえっ、今はもう毎日が充実してますから! これも沢渡さんのおかげです!」

「この俺と一緒に居るんだ、当然だな」

「はいっ!」

 

沢渡さんにプライベートの事を聞かれるなんて、嬉しくてもうドッキドキですよ! けど楽しく話せるような私生活を送ってない……! いや、昔と比べたら十分充実してはいるんですが……休日よりLDSや学校に通っている方が楽しいだけですから!

 

「っと、お前は向こうだったな」

「あ……はい」

「じゃあな、明日は俺の新しいデッキと華麗なデュエルを見せてやるよ」

「はい! 楽しみにしていますね! それじゃあ、お疲れ様でした沢渡さん!」

「おう」

 

いつの間にか沢渡さんと別れる交差点まで来てしまっていました……くっ、ですが明日もまた沢渡さんに会える、今は我慢しなくては……!

沢渡さんに頭を下げ、手を上げて去っていく後ろ姿を見えなくなるまで見送る。去り方もクール!

ああ……色々ありましたが最高の一日でした……。後は明日を待つだけです。家に帰って、夕食と明日の準備をして、お風呂に入って寝ればもう明日! 最高ですね!

そうと分かればさっさと帰りましょう。

 

 

「……待っていたぞ」

 

 

それにしても流石沢渡さんです、この短期間でダーツモンスターたちとは全く別の、メビウスを主体にした新しいデッキを組んでくるなんて……私も見習わないといけませんね。連日カードを探してくれている刀堂さんにも申し訳ないですし……。

 

「待っていたぞ」

 

けれどレベル6というのは中々見つからないですね……7や8になればティアラミスやエルシャドールたちに負けない強力なカードたちもあるのですが……チューナー自体が少ないので、狙うのはそう簡単ではないですし。かといってチューナーを増やすのは……うーん。

 

「待て久守詠歌!」

「……え、はい?」

 

さっきから何やら視界の端に誰かが立っているとは思っていましたが、まさか私に用だったのでしょうか。

 

「この僕を無視とは良い度胸じゃないか」

「はあ……ええと、あなたは……」

 

道のど真ん中で私を遮るように立つ男性……確か彼は……

 

「同じ総合コースの……」

 

いや、違う。思い出した。彼は。

 

「……何の用です、元LDS総合コースの鎌瀬」

「元、だと……一体誰のせいで……!」

 

おかしな事を言う人だ。

 

「他の誰でもない、あなた自身のせいでしょう」

「……ああ、そうだな。君如きに負けた、僕のせいだ……!」

「分かっているじゃないですか。私に負けて、LDSを辞めたのはあなたの意思です。私は、私がデュエルで勝てば二度と同じ事をするなと言っただけで、辞めろとまでは言っていません。現に同じ条件で私に負けても今も通っている方たちもいます。勿論、約束は守ってもらっていますが」

 

ですが、まあ。

 

「あの人ではなく、私の前に現れた事だけは褒めてあげましょう。もしもまたあの人に害を成そうとするなら、今度はこの街から出ていく覚悟を持ってもらいます」

 

「ふざけるな! このっ――沢渡の人形が!」

 

「褒め言葉として受け取っておきましょう。それで、何の用ですか」

 

世間話ならまたの機会にしていただきたいです。もう私の中でこの後の予定が組み上がっているので。

 

「何の用だって? 決まってるだろう……復讐だよ」

「はあ……何のでしょうか」

「君に負けて僕はLDSを去った……いや、去らざるを得なかった! 何処の馬の骨とも分からない奴に負けて、強くなれないなら辞めろと両親から言われてね……! なのにその原因であるお前が今はLDSに通っている! そんな事許せるわけがないだろう……!」

「正規の手続きを踏んで入塾し、費用も支払っています。非難される謂れはありません」

「っ、うるさい! デュエルだ! 僕は君を倒し、今度こそあいつを……沢渡を倒してやる! どんな手を使っても……今度こそあいつの鼻っ柱をへし折ってやるんだ!」

 

……。

 

「言ったはずですよ。二度とあの人を陥れるような真似をするなと。あの人にデュエルを挑むのはあなたの自由です。それをあの人が受けたなら私は何の口出しもしません。ですが、それ以外の手段であの人に害を成す事は絶対に許さない……!」

 

デュエルディスクを構え、喚く鎌瀬。言葉を重ねても意味はない。此処ではデュエルが全てだ。それは嫌って程良く分かっている。

だから私も同じようにディスクを構える。予定変更だ。約束を違えるなら、此処でもう一度叩きのめす。

 

「近くに公園があります、そこでいいでしょう。道路の真ん中で敗北したいと言うなら此処で構いませんが」

「はっ、敗北するのは君の方だ! だがいいだろう、負けて這いつくばって、君が通行人の邪魔をするのは忍びない」

 

 

互いに睨み合いながら、すぐ近くの公園へと移動する。幸い誰も居ない、此処なら邪魔になる事もないでしょう。

移動の最中に別に束ねたサイドデッキの中からカードを三枚取り出し、ディスクのデッキへと追加する。本来なら同数のカードを入れ替えなければならない、というのがルールらしいですが、この世界にはそもそもサイドデッキという存在自体がほとんど認知されていないし、デュエル前のカードの入れ替えについての規定もない。本当なら何枚か抜いて、メインデッキの枚数を調整したいですが、そこまでの時間はくれないでしょうからカードを追加するだけに留めておく。

 

「君の敗北場所は此処で良いのかい」

「一人で言っていてください。用意は出来ていますね」

「いつでもどうぞ。楽しみだよ、君の無様な――」

「デュエルの話じゃないですよ。懺悔の用意は出来ているのか、と確認しただけです」

「っく……! いくぞ、久守詠歌ッ!」

 

「デュエル!」「デュエル」

 

EIKA VS KAMASE

LP:4000

 

「先行は僕が貰う! 僕はモンスターをセット! そしてカードを三枚セットして、ターンエンド!」

 

……あまり記憶に残っていませんが、以前の彼は確かパンサー・ウォリアーやゴブリン突撃部隊、ジェネティック・ワーウルフと言った攻撃力の高いモンスターばかりのデッキだった。エースカードも恐らくはそういった類の攻撃力の高いモンスターなのだろうけど、ティアラミスによって場をがら空きにさせてもらったので見る事はなかった。

ですが今回はセット……まだ分かりませんが、やはりカードを追加して良かったかもしれません。

 

「私のターン、ドロー」

 

どちらにせよ、このターンで分かる。もし分からなければ、それでまた、何もできずに彼のデュエルは終わりだ。

 

「私はマドルチェ・エンジェリーを召喚」

 

マドルチェ・エンジェリー

レベル4

攻撃力 1000

 

「エンジェリーの効果を――」

「もう君のやり口は分かってるんだよ! 永続罠発動! ――マクロコスモス! このカードが発動した時、手札、デッキから原始太陽ヘリオスを特殊召喚出来る! 僕はデッキから原始太陽ヘリオスを特殊召喚!」

 

原始太陽ヘリオス

レベル4

攻撃力 ?

 

……現れたのは太陽の顔と女性の体を持つ、不気味なモンスター。やはりですか。

 

「まずはマクロコスモスの効果により、お互いの墓地に送られるカードは全て除外される!」

「……私はエンジェリーの効果を発動。エンジェリーをリリースし、デッキからマドルチェ・モンスターを特殊召喚します。マクロコスモスによりリリースされたエンジェリーを除外される」

 

たとえ除外されても構わない。

 

「ふふ、ヘリオスの攻撃力は互いの除外されたモンスターの数の100倍の攻撃力になる!」

 

原始太陽ヘリオス

レベル4

攻撃力 ? → 100

 

「……私はデッキからマドルチェ・シューバリエを特殊召喚」

 

マドルチェ・シューバリエ

レベル4

攻撃力 1700

 

除外。私のデッキの最大の弱点。破壊されたマドルチェたちは一度墓地に送られてからデッキに戻る効果。シャドールたちもまた、墓地に送られた時に発生する効果を持っている。しかし墓地ではなく除外されればその効果は発動できない。

そして墓地にカードがなければホーットケーキやティアラミスの効果もまた使えず、シャドールたちを融合する為の融合カードも回収する事は出来ない。

だからこそ、この男がそういった対策を講じて来る事は予想出来ていた。

 

「バトル。シューバリエでヘリオスを攻撃」

「さらに罠カード発動! 攻撃の無力化! 攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する!」

「カードをセットし、ターンエンド」

「ふふっ、僕のターン! ドロー! 僕はモンスターを反転召喚! 召喚されるのはライトロード・ハンター ライコウ! ライコウのリバース効果、フィールドのカードを一枚破壊する! シューバリエを破壊!」

 

ライトロード・ハンター ライコウ

レベル2

攻撃力 200

 

突如現れ、飛び掛かったハンターにより、シューバリエは馬から落とされ、破壊される……そしてゲームから除外される。

 

原始太陽ヘリオス

攻撃力 100 → 200

 

「ライコウの効果により僕はデッキの上から3枚のカードを除外する――ハハッ! 除外されたのは全てモンスターカードだ! よってヘリオスがさらにパワーアップ!」

 

原始太陽ヘリオス

攻撃力 200 → 500

 

「バトル! ライコウとヘリオスで直接攻撃!」

「っ……」

 

EIKA LP:3300

 

鬱陶しい。

 

「カードを一枚セットして、ターンエンドだ」

「私のターン、ドロー。モンスターをセットし、ターンエンド」

「もう手詰まりかい? 僕のターンだ! ドロー! 僕はモンスターをセット! そして魔法カード、光の護封剣を発動! まずは効果により君のセットモンスターを表側表示にしてもらおうか」

 

光の剣が私の目の前に突き刺さり、光がセットされたモンスターの姿を浮かび上がらせる。

 

「私のセットモンスターはシャドール・ヘッジホッグ。リバース効果によりデッキから神の写し身との接触(エルシャドール・フュージョン)を手札に加えます」

「……シャドール? フュージョン……?」

「どうしました。早く進めてください」

 

シャドール・ヘッジホッグ

レベル3

守備力 200

 

ああ、そういえば前はマドルチェたちだけで、シャドールたちの出番もなく終わったんでしたか。

 

「言われずともそうするさ! バトル! ヘリオスでシャドール・ヘッジホッグを攻撃!」

 

ヘッジホッグが破壊され、除外される。それによりまたヘリオスの攻撃力が上昇する。

 

原子太陽ヘリオス

攻撃力 500 → 600

 

「ライコウで直接攻撃!」

 

EIKA LP:3100

 

「僕はターンエンド。だが護封剣の効果により、君は残り3ターン、僕に攻撃できない!」

「私のターン。モンスターをセット、エンド」

「くくっ、僕のターン。セットしていた二体目のライコウを反転召喚し、効果により君のセットモンスターを破壊!」

 

ライトロード・ハンター ライコウ

攻撃力 200

 

「セットされていたシャドール・ハウンドは破壊され、除外されます」

 

原子太陽ヘリオス

攻撃力 600 → 700

 

「そして僕はデッキの上から三枚のカードを除外……除外されたモンスターは1枚、よってヘリオスの攻撃力は100ポイントアップだ!」

 

原子太陽ヘリオス

攻撃力 700 → 800

 

「バトル! ヘリオスと二体のライコウで直接攻撃!」

「永続罠、影依の原核を発動。このカードは発動後、モンスターカードとしても扱い、フィールドに特殊召喚される。守備表示で特殊召喚」

 

影依の原核

レベル9

守備力 1950

 

「罠モンスターだと……チッ、僕は攻撃を中断して、ターンエンドだ」

「私のターン、ドロー。速攻魔法、神の写し身との接触を発動。手札のシャドール・ビーストとフィールドの影依の原核を融合」

「融合……!?」

「糸に縛られし獣よ、母なる核と一つとなりて、神の写し身となれ――融合召喚、来て、忍び寄る者、エルシャドール・ウェンディゴ」

 

エルシャドール・ウェンディゴ

レベル6

守備力 2800

 

光から現れたウェンディゴとイルカ。アクションデュエルでないからか、大人しくイルカの背に乗るウェンディゴが一度だけ私を見て、首を傾げた。

 

原子太陽ヘリオス

攻撃力 800 → 900

 

融合素材となり除外された影依の原核がモンスターとなるのは発動後、フィールドに存在している時のみ、よってヘリオスの攻撃力はビーストの分しか上昇しない。

 

「……はははっ! 融合なんて使って、どんな強力なモンスターを召喚するのかと思えば、ただの壁モンスターかい?」

「カードを二枚セットし、ターンエンド」

「また無視か。相変わらず人形じみた、気色悪い女だ! 僕のターン! ドロー! ……ふふ、壁があればヘリオスの攻撃力が上がるまでは耐えられると考えたんだろうが、無駄な事だよ。僕は二体のライコウをリリースし、アドバンス召喚! 人々の自由と希望を司りし天使よ! 六枚の翼を広げ、舞い降りろ! レベル7! 翼を織りなす者!」

 

翼を織りなす者

レベル7

攻撃力 2750

 

「ライコウがリリースされ、除外された事によりヘリオスがパワーアップ!」

 

原始太陽ヘリオス

攻撃力 900 → 1100

 

「残念ながらこの天使じゃ、君の壁モンスターにはほんの僅かだが届かない。だから安心、だなんて思っているんだろうけど……これは準備さ。次のターンのね。僕はこれでターンエンド」

「私のターン、ドロー――ターンエンド。この瞬間、光の護封剣の効果が消え、破壊される」

「っ、あははは! 本当に手詰まりみたいだね! 僕のターン! ドロー! 僕は手札から、紅蓮魔獣ダ・イーザを召喚!」

 

紅蓮魔獣ダ・イーザ

レベル3

攻撃力 ?

 

「このカードの攻撃力は僕の除外されたカードの数の400倍! 僕の除外されたカードはさっき破壊された護封剣を含めて8枚! よってダ・イーザの攻撃力は――3200!」

 

召喚された紅い魔獣がその効果により力を増し、巨大化していく。私を見下ろし、言葉に出来ない鳴き声を上げる。うるさい。

 

紅蓮魔獣ダ・イーザ

レベル3

攻撃力 ? → 3200

 

「くくっ、これで分かっただろう! 君に負けたのは僕が弱いからじゃない、‟カードの差”だったんだ! こうしてカードを変えれば君なんて敵じゃないんだよ!」

「……あは」

「何がおかしい? 敗北を悟って笑うしかない、って事か!」

「そんなわけないでしょう……あはは、ただ、なんででしょうね。あの人と同じ台詞なのに、どうしてこんなにも…………腹が立つんでしょうね」

「ッ――! バトルだ!」

 

私の言葉に何かを感じたのか、僅かに震える声で鎌瀬がバトルフェイズへの移行を宣言する。

 

「紅蓮魔獣ダ・イーザでエルシャドール・ウェンディゴを攻撃!」

 

巨大な拳がウェンディゴに向かって振り下ろされる。ウェンディゴが振り返り、私を感情の宿っていないようにも見える、二つの瞳で見つめる。安心してください、柊さんとのデュエルでのような結果にはしません。

 

「速攻魔法、禁じられた聖杯を発動! フィールドのモンスター一体の攻撃力を400ポイントアップし、そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。私はダ・イーザを選択」

「なっ――」

 

紅蓮魔獣ダ・イーザ

レベル3

攻撃力 3200 → 400

 

効果により上昇した攻撃力が0になり、聖杯の効果により400へと変わる。同時にその巨大な拳も小さく変化し、ウェンディゴへと届く前にその相棒たるイルカによって阻まれる

 

「ウェンディゴは守備表示の為、ダ・イーザは破壊されない。けどダメージは受けてもらう」

「ぐぅ……!」

 

KAMASE LP:1600

 

「小賢しい真似を……! 僕はターンエンド! だがこの瞬間、ダ・イーザは攻撃力3200の強力な姿を取り戻す!」

 

紅蓮魔獣ダ・イーザ

レベル3

攻撃力 3200

 

「私のターン、ドロー! 私は手札からマドルチェ・ミィルフィーヤを通常召喚!」

 

マドルチェ・ミィルフィーヤ

レベル3

攻撃力 500

 

「さらに効果により、手札のマドルチェ・メェプルを特殊召喚!」

 

マドルチェ・メェプル

レベル3

守備力 1800

 

ウェンディゴの隣にマドルチェの小猫と子羊が現れる。二匹は私を見て、各々の鳴き声を上げた。力を借りますね。

 

「手札から速攻魔法、異次元からの埋葬を発動! 除外されているカードを三枚まで選択し、持ち主の墓地に戻す! 私はマドルチェ・エンジェリーとあなたのライコウ二体を選択し、互いの墓地へ戻す!」

「何をするつもりだ……?」

「そしてレベル3のマドルチェ・ミィルフィーヤとメェプルでオーバーレイ! 次元の海を揺蕩う海竜よ、御伽の国に姿を現せ! エクシーズ召喚、虚空海竜リヴァイエール!」

 

じゃれ合う二匹が光となり、光の渦に消える。そして其処から新たなモンスターが姿を現す。泳ぐように飛翔したのは水色の翼と黄金色のヒレを持つ、海竜。

 

虚空海竜リヴァイエール

ランク3

攻撃力 1800

ORU2

 

「エクシーズ……! だがあの忌々しい人形でなければ恐れる必要はない! しかもたかが1800の攻撃力じゃ、ヘリオスを破壊するのが精一杯、僕の場の天使と魔獣は倒せない!」

「リヴァイエールの効果発動、オーバーレイユニットを一つ使い、除外されているレベル4以下のモンスターをフィールドに特殊召喚する! 御伽の国の道標(ディメンション・コール)! おいで、マドルチェ・マジョレーヌ!」

 

リヴァイエールが天へと吠える。それにより生まれた次元の裂け目からマジョレーヌが魔法のフォークを操り、クルリと一回転しながらウェンディゴの隣へと滞空した。

 

マドルチェ・マジョレーヌ

レベル4

攻撃力 1400

 

異次元からの埋葬が除外されるがそれと同時に3枚のカードが墓地に戻った事によりヘリオスとダ・イーザの攻撃力が変化する。

 

原始太陽ヘリオス

攻撃力 1100 → 800

 

紅蓮魔獣ダ・イーザ

攻撃力 3200 → 2400

 

「だがまだダ・イーザと翼を織りなす者の攻撃力が上だ!」

「そしてウェンディゴを攻撃表示に変更」

 

エルシャドール・ウェンディゴ

守備力 2800 → 攻撃力 200

 

「ふざけるな! たかが攻撃力200を攻撃表示だと!?」

「バトル! マジョレーヌでヘリオスを攻撃!」

「っ、しかも攻撃力の高いエクシーズモンスターじゃなく、マジョレーヌで攻撃!? 舐めた真似を……!」

 

沢渡さんもきっとこうしますよ。そうしないとバーストになってしまうじゃないですか……なんて、沢渡さんからの受け売りですけどね。

 

「罠カード、ブレイクスルー・スキルを発動! 相手フィールドのモンスター一体を選択し、その効果を無効にする! 私はヘリオスを選択ッ」

 

原始太陽ヘリオス

攻撃力 800 → 0

 

「御伽の国の魔女よ、偽りの太陽を砕け!」

 

マジョレーヌが魔法のフォークを操り、ヘリオスへと肉薄する。

そして、ヘリオスへとたどり着いた瞬間、勢いのまま器用に回転すると自身が乗るフォークで太陽を打ち砕いた。

 

KAMASE LP:200

 

「くっ……! だ、だがまだ僕にはライフが、フィールドには天使と魔獣が残ってる! しかも今の攻撃でヘリオスが除外され、ダ・イーザの攻撃力は上がる! 間抜けめ、数の計算も出来なくなったか!」

 

紅蓮魔獣ダ・イーザ

攻撃力 2400 → 2800

 

だからどうしたんですか。これでいいんですよ、これで丁度なんですから。

 

「ウェンディゴでダ・イーザを攻撃!」

「馬鹿が、返り討ちだ、ダ・イーザ!」

 

アクションデュエルでない以上、鎌瀬にこの最後の伏せカードを防ぐ手はない。

 

「速攻魔法、決闘融合―バトル・フュージョンを発動! 融合モンスターがバトルする時、バトルする相手モンスターの攻撃力を自身の攻撃力に加える! ダ・イーザの攻撃力は2800、よってウェンディゴの攻撃力も2800ポイント上昇する!」

 

エルシャドール・ウェンディゴ

攻撃力 200 → 3000

 

ウェンディゴはイルカを駆り、二人は一体となって魔獣へと迫る。携えた杖に影が集まり、破壊された偽りの太陽すら超える輝きを放つ。

 

「そんな……こ、攻撃力、3、000……ぼ、僕のライフは――」

「ウェンディゴ! 虚像の魔獣を砕けっ、影獣騎の杖(ワンド・オブ・シャドー)!」

 

 

KAMASE LP:0

 

WIN EIKA




主人公をメタるにはオリキャラ出すしかなかったので登場した鎌瀬ケンくん。
次回はアニメ7話相当の話になります。

以下関係のない戯言。
背景ストーリーはいい加減クリスタを休ませて、ウィンダに光を当ててもいいんじゃないでしょうかねえ……

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