二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

95 / 177
 すみません遅れてしまいました……どうにも調子を整えるのが難しくて……次はバッチリ火曜日に投稿……したいですね


95話 怒れる暴君

「さぁ……行くぞっ!」

 

 そう自身に気合いを入れるように一言、発すると光はナイトビームブレードを構えたままタイラントを目掛けてまっさかまに落下しているかのような猛スピードでヒカリを急降下させた

 と、丁度その瞬間、ヒカリのブレードショットの不意打ちに近い一撃を受けて怯んでいたタイラントも空へと飛び立ち、狙いをゾフィーからヒカリへと変え、迫るヒカリを迎撃するように、高い機動力を生かして真っ直ぐに空へと飛んで行く

 

「おおぉぉっ!!」

 

「SYAaaaaaaaa !!」

 

 直後、落下する勢いも含めたヒカリのナイトビームブレードでの一閃、そして、その攻撃に対抗するように放たれたタイラントの右手の大鎌でのヒカリの肩口を狙った降り下ろしの一撃が鋭く交差し、激しく空気を切り裂いた二つの攻撃は空中に一瞬、斬撃痕を作った

 

「ぐっ……!」

 

 そしてタイラントとの交差後、先に腹部の脇腹あたりを押さえ、苦悶の声をあげて空中でよろけたのは光であった。

 

 ヒカリのボディを守る鎧のような装甲から盛大に火花を吹き出しながら、光はヒカリの空いた手で被弾した腹部を押さえ、今にも本当に墜落してしまいそうな程によろよろとした不安な動きで飛行すると慎吾の近くの足場に何とか着地し、同時に倒れるように岩場に崩れる

 

「光! 大丈夫か!?」

 

「……直撃はしていない。が、それでもこれほどの威力とは……凄まじい相手だな。……だがな慎吾」

 

 自身のエネルギーが決して多くは無いのにも関わらず、迷わず慎吾は動くとゾフィーの両腕で光を抱き抱えるように支える。支えられた光はタイラントの一撃が自身で予想しているように効いていたのか荒い吐息と共にそう慎吾に答えると、静かに首を上げて上空のタイラントを見上げる

 

「ただ、やられただけでは無い。どうにか奴にも一撃を与えてやったぞ……! 最も、俺だけの力では無い、お前が奴に付けていた傷を利用して切っただけだがな……」

 

「GYaaaaa ……!?」

 

 丁度その瞬間、光の言葉が決して嘘では無かった事を証明するように今の今まで順調に空を飛んでいたタイラントが、悲鳴と共に墜落していく姿が見えた。落下するタイラントをよく見てみれば右肩口からエネルギー吸収器官の取り付けられた腹部にかけて斜めに深くと切られた後があり、光が脇腹を犠牲にしてそこを切り捨てたのは明らかだった

 

「望みは薄いが、手応えはあった。あれで終わってくれると良いのだが……」

 

 海に落下し、その体と重量にあった太い水柱を上げて底へ底へと沈んで行くタイラントの姿を見ながら、あまり期待はしてない様子で呟く光。そうして、タイラントが沈んだあたりから上がっていた気泡が消え始め

 

「ぎ、ぎGぎッSYAあaaaaaaAaaaあaaッッ!! 」

 

 その瞬間、先程のような耳をつんざくひび割れた凄まじい咆哮と共にタイラントが勢いよく海中から浮上し、ヒカリ、そしてゾフィーをギラギラと光る目で睨み付けた

 

「やはり、あれでは決定打になっていないか!」

 

「……気を付けろ光! ヤツの攻撃が来るぞ!」

 

 ボディに付いた傷も倒れる気配を見せず、姿を表したタイラントを見て悔しげに光が呟く、と、海上へと表れたタイラントは姿を見せるなり無茶苦茶な勢いでゾフィーとヒカリの二機目掛けて雨を通り越し、もはや暴風雨に匹敵する勢いの密度でレーザー・ガトリングを発射してきた。しかも、レーザー一発の威力自体も元より上昇しているらしく、僅か一発が直撃しただけでゾフィーのすぐ近くにあった1メートル大の岩を半壊させ熱で溶かした

 

「くっ……!」

 

 レーザーで岩が砕かれた瞬間、慎吾と光は咄嗟に岩礁から空へと飛び立つ事でレーザー・ガトリングの猛攻を避ける事に成功したが、タイラントはそんな事は一切構わないかのように乱射を一切止めようともせず、レーザー・ガトリングの暴風雨はまったくその密度を落とさないまま先程まで二人がいた岩礁を軽々と砕いていくと、そのまま暴風雨は上空の二機に向けられる

 

「このまるでエネルギー切れが無いかのような猛攻……一体なぜ奴はこんな攻撃を続ける事が出来るんだ……!?」

 

 しつこく発射され続けるガトリングの雨をギリギリの所ですり抜けるよう回避し続けながら、信じがたい物を見ているように慎吾はそう言った。

 交戦した当初からタイラントの攻撃や機動は明らかに通常のISと比べて異様と言えるレベルに強くパワフルであり、ゾフィーを相手に攻撃の直撃を幾度も耐えきり、依然リードを奪い続けている。普通に考えればいかに燃費が優れたISいえどもエネルギーが底を突き始めてるはずであるはずであった。が、しかし現在もこうしてタイラントは全力全開の攻撃を続けていられる。それが、慎吾には疑問に感じずにはいられなかったのだ

 

「慎吾、奴の無尽蔵にも見えるパワーの秘密は背中だ! あの背中から生えた刺の一つ一つがエネルギー補給器官となっている! まずはあれを破壊するんだ!」

 

 と、そんな慎吾の疑問に答えるように自身も見事に回避を続けながら光が叫ぶ

 

「ここにたどり着くまでに、俺なりに奴の事を少しでも分かればと調べていてな。おかけで奴が……タイラントが研究所から無人ぬも関わらず暴走を起こして逃走している各国のIS技術が搭載された新型機だと言うことや……奴の弱点らしき者もある程度は理解し、付け焼き刃に近いが策も練った。……そこでだ慎吾」

 

 言葉を続けながら、光はそこで動きを止め、じっと慎吾の方へと視線を向けた

 

「あんな凄まじい相手と一人で戦っていたんだ……お前の消耗が激しいのは分かっている。……それでも俺を信じて一緒に奴と戦ってくれるか?」

 

「光…………?」

 

 光にしては珍しい祈るような言葉に一瞬、慎吾は呆気に取られ意外そうにその名を呼ぶ。そんな光の態度は十年近い付き合いの中で、慎吾でも滅多に見ることは無かったのだ

 

「……あぁ! 当然だとも、親友のお前を信じないでどうする!」

 

「……慎吾!」

 

 しかし、それも一瞬の事でありすぐに慎吾は仮面の下で笑顔を作るとそう、力強く光に返事を返し、その返事を聞いた瞬間、光は再び慎吾を見つめると嬉しそうにそう呟いた

 

「GIYAAaaaaaaaッ!!」

 

 その瞬間、タイラントが動きの止まった二機を狙って大量のレーザー・ガトリングを乱射し、ゾフィーとヒカリの二機に大量のレーザーが迫り、その姿を飲み込まんと迫る

 

「セヤァッ!!」

 

「ハアァッ!!」

 

 が、レーザーに飲み込まれる直前、慎吾はゾフィーのZ光線を、光はヒカリのナイトビームブレードを引っ込めてナイトシュートを放って対抗し、二機から放たれた二つの青き光線は弾雨を蹴散らして突き破り、タイラントへと続く道を作り上げると、静かに此方を睨み付けるタイラントの姿を露にした

 

「行くぞ、慎吾!!」

 

「あぁ……分かった光!」

 

 その隙を狙って慎吾と光は声を掛け合うと、ヒカリ、その後に続いてゾフィーがタイラントに向けて向かっていく。全ては、光が思い付いた策にかけて

 

 

 スピリットゾフィー残り活動時間 約50秒


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。