二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 今回の展開は少し苦しい……かも、しれません


60話 懐かしの再会 向かい合う蒼と紅

その日の朝、偶然にも慎吾、そして一夏、箒、セシリア、鈴、シャルロットとラウラ、ともかく仲間達、全員が全員手が空いていた為にいっそうの事、大がかりな訓練をしようと慎吾を中心として七人は朝食を終えると揃って食堂で話し合っていた

 

「……と、なるとやはり個人、それぞれの今の力量を瑞からで確かめられる『総当たり戦』が無難と言う事になるな、おにーちゃんよ」

 

「うん、私もその意見に賛成だラウラ。皆はどう思う?」

 

 話し合いの結果、出てきた一つの答えを纏めるように語るラウラに聞かれると、慎吾は頷いてそれを肯定するとラウラを除いた5人を見ながらそう尋ねる

 

「まっ、別にそれでも良いんじゃない?」

 

「私も特に反対意見はありませんわ慎吾さん」

 

 それに鈴があっけらかんとした様子で、セシリアは落ち着いた様子で何事も無いかのように返を返す。が、そんな二人の瞳には『たとえらどんな試合になろうと自分が軽々と負けはしない』と、言う強く熱い思いが込められており、それは無言で頷く事で肯定したシャルロットと箒、そして一夏もまた同じであった

 

「全員賛成か、では対戦スケジュールを……」

 

 全員が賛同したのを確認して慎吾が話を次の段階に進めようとした時

 

「……慎吾、随分と張り切っているみたいだな」

 

「きめっ…………!」

 

 突如、自身の背後から表れた人物に親しげな様子の声で、慎吾の肩は軽く叩かれ、その声を聞いた瞬間に慎吾は話を中断してまですぐ様振り返り、深い海色の青髪と制服を見た瞬間に驚愕で目を見開いた

 

「ヒカリ……! もう、学園に復帰出来るようになったのか?」

 

 そう、慎吾の背後にいたのはつい先日も鑑定以来を頼んだばかりの長年の友人である光であり、おまけにその姿はM-78の研究所で見るときのような白衣では無く、上級生たる二年生の証たるリボンが付いたIS学園の制服を着ている

 

「あぁ、企業から事前に言われていた今年度のノルマは既に達成した。少なくとも何か起こらない限り今年一杯は慎吾と共に学園に毎日通えるだろう」

 

「そうか、それは何よりだ……!」

 

 光の姿を見るなり嬉しそうに話しかける慎吾を見て、光もまた笑顔で返事を返し、慎吾は光のその朗報に心底満足そうに頷きながらそう言った

 

「あのー……慎吾さん、そちらの方は……?」

 

 と、そこで慎吾と光が二人だけで話す様子を見ていた一夏がタイミングをうかがいながらそう尋ねてきた

 

「と、……あぁ、すまない、紹介が遅れたな。彼女は私の親友の……」

 

「芹沢光だ、俺はこの通り二年生ではあるが……昨年は研究が忙しくて殆ど学園に来れなかった上に慎吾よりは年下。無用な気づかいは必要ないぞ」

 

 慎吾から紹介を受けると光はそう言って皆の前で軽く頭を下げて自己紹介して見せた

 

「芹沢……? もしかしてあなたは……」

 

 と、光の名を聞いた瞬間シャルロットが反応し、何らかの確信を込めた様子でそう呟き、慎吾はそれを肯定して頷きながら口を開いた

 

「あぁ、そうだシャルロット。彼女……ヒカリこそが私の専用機たるゾフィーをプロトタイプとして今も開発中の新型IS、U(ウルティメット)シリーズの発案者であり開発者、M-87が誇る天才科学者の芹沢博士その人だ 」

 

「よせ慎吾……Uシリーズは俺も設計と開発の一部に関わってただけに過ぎない。と、前にも言っただろう? あれは研究所の皆の力で生み出した努力の結晶なんだ、決して俺一人の力で出来たんじゃあない。そこをどうか忘れないでくれ」

 

 慎吾の言葉に光は少し恥ずかしながら、しかしはっきりと『自分の力だけではない』としっかり強調して言い切って僅かに慎吾を咎めながら、慎吾と話を続ける

 

「……………………」

 

 と、そんな中、唐突に表れて慎吾と親しげに話す光に多少戸惑いながらも、光の穏やかな人柄もあっていくらか落ち着きを取り戻してきたその時、ただ一人、箒だけが光が姿を表した瞬間から驚愕に目を見開いて硬直し、今なお瞬きも殆どせずに光を凝視していた

 

「箒? どうかしたのか?」

 

 と、そんな変化に気付いた一夏が、光に向けていた視線を反らして箒に声をかける

 

「久しぶり……だな篠ノ之」

 

 その瞬間、慎吾と話をしていた光が話を止め、数歩ほど歩くと正面から対面する形で静かに箒に向き直った

 

「お前は……やはり……やはりあの時の……」

 

 正面に立つ光に箒は反応し、光と互いに視線を交わしながら掠れそうな声で静かにそう呟く

 

「ヒカリ、これは一体……?」

 

「……そういえば慎吾には機会が無くて言えていなかったな」

 

 現状を理解できず珍しく迷うように慎吾が呟いた瞬間、光は悲しみと怒り二つの感情が入り混ざったかのような複雑で奇妙な笑みを浮かべると静かに、しかし淀み無く語り始めた

 

「俺は昨年、剣道の全国大会に出場していた。そして私は決勝戦まで勝ち進み、そこにいる篠ノ之と俺が戦うはずであったのだ」

 

『!?』

 

 その言葉を聞いた瞬間、そのあまりに衝撃的な言葉に一夏や鈴達に驚愕が走る

 

「…………!!」

 

 そして慎吾は光が今から箒に『やろうとしている事』を察して驚きながらも無言でそれを見守るように光に視線を送る。

 

「だが……その決着は俺には……そして篠ノ之、恐らくは君にも納得出来るような物では無かった……」

 

「……………………」

 

 言葉を続ける光に対し箒は言葉が無い。いや、出すことが出来なかったのだ。そう、昨年の大会で互いに勝ち進んでいた箒と光、本来二人が戦うはずたった決勝戦で、箒と光が戦う事が無く共に準優勝と、言うあまりにも唐突かつうやむやに終わっていたのは他でもなく原因は姉の束がISを開発した為に起きた要人保護プログラムのせいだ。その事に関して箒は光に対して責任を感じていたのだ

 

「そこでだ篠ノ之、率直に言えばあの時付けることが出来なかった決着を……ISを使って俺と全力で勝負してはくれないか? 互いに専用機を使って……な」

 

 動揺した箒に決意を込めた視線で見つめる光、その腕には光の専用機が待機状態で装着されていた




 と、言う訳で光の設定を箒に因縁があると言う風にしています。しかし、そのせいで光が好戦的な印象に……

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