二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない) 作:塩ようかん
「朝か……」
丁度、太陽が出たばかりの朝に目を覚ました慎吾はベッドから降りると洗濯したてのジャージに着替え、暖かいお茶を飲んで水分を補給すると、ストレッチでしっかりと体をほぐしてから、腹筋、腕立て伏せ、そしてIS学園内の施設を確認しながらのランニングといった感じで朝のトレーニングをこなしてから、自室のシャワーで汗を流し、制服に着替えた慎吾がゆったりと歩いて一年生寮の食堂にたどり着いた時には既に生徒が集まり賑やかになり初めていた。
「さて、座る席は……」
注文した和食セットが乗ったトレイを手にもち、慎吾が座る席を探すべく食堂内を見渡しながら歩いていると進行方向の席に丁度座っている箒と一夏を見つけた。が、近付いて良く見てみると、先程から一夏が一生懸命と言った様子で箒に話しかけているのだが上手くは行ってないようで何やら剣呑な空気がただよっていた。
「……おはよう一夏、篠ノ之。席を探していてな、私が隣に座っていいか?」
その様子を見た慎吾は何とか空気を変えるべく二人に話しかけた。
「あっ慎吾さん、おはようございます!あっ、席どうぞ!」
慎吾の姿を見たとたん一夏は嬉しそうに慎吾に手を降りながら笑顔で自分の隣の席を進める。
「一夏からは許可は貰ったが………篠ノ之は私が座っても大丈夫か?」
座ろうとする直前、トレイを持ったまま慎吾は箒の方に向きながらそう訪ねる。
「好きにしろ………」
それに対し箒は、一瞬だけ慎吾を見てそう言うとすぐに視線を外した。
「では遠慮なく」
箒からも許可を貰った慎吾が迷いなくトレイをテーブルに置き、椅子に腰掛ける。
「お、大谷さんと織斑くんっ!隣いいですかっ!?」
と、そこでいつも間に集まっていたのか女子三人が慎吾と一夏の反応を待つかのごとく立っていた。
「あぁ、私は構わない。一夏はどうだ?」
「あ、俺も大丈夫です」
「…………よしっ!」
あっさりと二人からの了承を貰い、二人に話しかけた女子は小さく声を漏らしながらガッツポーズをし、後ろの二人はハイタッチを決めていた。
その後、三人の質問に答えつつ和やかなムードで一夏と慎吾は食事を進め、思ったより会話が弾んだために一夏と女子三人は千冬の大声で警告され慌てて朝食をかっこむ事になり、そんな四人を眺めながら既に食べ終わりトレイの返却をも済ませてた慎吾は食後のお茶を飲みながら、微笑ましく見ていた。
◇
「織斑、お前のISだが準備に時間がかかる。予備機も無いため学園で専用機を用意する事になった。少し時間はかかるがな」
「へっ?」
慎吾の熱心な奮闘もあってグロッキーになりながらも何とか授業に付いてゆき、再び慎吾から授業のまとめを受けていた一夏は唐突に言われた千冬からの発言に困惑した。
「専用機………やはり一夏にもですか」
教室中がざわめく中、どこか予想していたかのような口振りで慎吾は千冬に訪ねる。
「そうだ大谷、お前と同じ理由、データ収集を目的としてだ」
『えっ!?』
慎吾の質問に答える千冬の発言を聞き、騒がしかった教室に一瞬にして、驚愕の声がシンクロする。
「も、もしかして大谷さんにも専用機がっ!?」
と、勇気を出した一人の女子が一歩前に踏み出して訪ねる。
「あぁ、私は企業の尽力のお陰で結果的に一夏より早く貰っているがな」
それに対して慎吾は軽く制服を腕捲りすると右手首に緑の宝石が埋め込まれた銀のブレスレットの状態で待機している『ゾフィー』を見せた。そのとたん再び爆発するかの如く教室はざわめき始めた。
「え、えーと……」
と、状況に理解が追い付けてない様子の一夏が弱った様子でそう呟く
「一夏、教科書六ページだ。朝、復習した所を思い出せ」
見かねた慎吾がこっそり一夏にそう伝える。すると一夏は何とか記憶を絞りだそうとしてか暫く頭を考え
「な、なんとなくは今の状況が分かりました…」
「うむ、しっかり覚えてたようだな。よく頑張ったな一夏」
苦笑しながらそう答える一夏に慎吾は笑みを見せ、努力した一夏を評価した。
「あ、ありがとうございますっ!」
慎吾に誉められた一夏は嬉しそうに慎吾に礼を言うと笑顔を返す。
そんな様子の二人を箒は羨ましそうに眺めていたのだが、それには一夏も慎吾も気付いてはいなかった
もう少しで戦闘パートに行けるかもしれません。